5367 ニッカトー 2021-11-01 15:00:00
新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書 [pdf]

                                                   2021 年 11 月 1 日
                                            会 社 名 株式会社ニッカトー
                                            代表者名 大西     宏司
                                            問合せ先 経理部      濱田   悦男


           新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書


 当社は、2022年4月に予定される株式会社東京証券取引所の市場区分の見直しに関し
て、本日[プライム市場]を選択する申請書を提出いたしました。当社は、移行基準日時点
(2021年6月30日)において、当該市場の上場維持基準を充たしていないことから、
下記のとおり、新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書を作成しましたので、お知
らせいたします。


                               記


1.当社の上場維持基準の適合状況及び計画期間
  当社の移行基準日時点における[プライム市場]の上場維持基準への適合状況は、以下の
  とおりとなっており[流通株式時価総額/1日平均売買代金]については基準を充たして
  おりません。当社は、[流通株式時価総額および1日平均売買代金に関して、2025年
  3月期まで]に上場維持基準を充たすために各種取組を進めてまいります。



             株主数   流通株式数      流通株式時価総額 流通株式比率 1日平均売買代金       時価総額
             (人)    (単位)           (億円)   (%)      (億円)      (億円)


  当社の状況
             -     76,285単位        54億円   62.8%   0.1億円        -
 (移行基準日時点)


  上場維持基準     -     20,000単位    100億円      35%     0.2億円        -



 計画書に記載の項目   -                      〇               〇          -


 ※当社の適合状況は、東証が基準日時点で把握している当社の株券等の分布状況等をもと
  に算出を行ったものです。


2.上場維持基準の適合に向けた取組の基本方針、課題及び取組内容

  当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的に、あらゆるコーポレート・
  アクションを検討し、施策を迅速に推し進め、プライム市場上場維持基準への適合を目
  指します。

 (1)「流通株式時価総額」および「1日平均売買代金」の上場維持基準の適合に向けて




                               1
①   上場維持基準の適合に向けた計画書「CONNECT 25」

    流通株式時価総額の適合基準達成に向けた課題は、当社株価水準の向上であり、過
    去の株価推移から株価に大きく影響を及ぼし連関性の高い、当社業績の持続的な成
    長および中長期的な企業価値を向上させることであります。よって今後新市場一斉
    移行日後 3 ケ年の中期経営計画(2021 年度~2024 年度)を別紙「CONNECT25」
    の通り推し進め、それに伴う IR 活動も積極的に取組んでまいります。また、1日
    の平均売買代金については、当社の株価推移に大きく連動し、流通時価総額の適合
    基準達成により、当該基準も適合できるものと判断しております。

                                                以上




                        2
        2021年度~2024年度
        新中期経営計画


        「CONNECT 25」
        2021年11月1日




証券コード
5367
目次


 I.   はじめに
      1. トップメッセージ
      2. 当社の製品
      3. 当社のビジネスモデル



 II. 前中期経営計画の振り返り
      1. 前中期経営計画・業績推移の振り返り
      2. 過年度株価推移



 III. 新中期経営計画 「CONNECT 25」
      1.   新中期経営計画について
      2.   CONNECT 25のコンセプト
      3.   主なトピック
      4.   計数目標
      5.   投資方針
      6.   株主還元方針
はじめに
トップメッセージ

                  株式会社ニッカトー                            当社の歩みと事業

                  代表取締役社長        大西 宏司                 セラミックスの専業メーカーとしての強み
                                                        当社は、100年以上も前に当時ドイツからの輸入にほとんど頼っていた理化学用陶磁器の開発・
                  1981年4月 当社入社                         事業化への挑戦と持続をたゆまぬ努力で推し進めてまいりました。創業時の「工業によって国に報
                  2018年6月 当社代表取締役社長 就任(現在)             いる」という精神は当社の原点であり、現在も従業員に脈々と引き継いでおります。
                                                        現在では、理化学用陶磁器の製品開発を経て、広く工業用部材として金属や樹脂と肩を並べるま
                                                       でに成長したファインセラミックスの開発にもいち早く着手し、他社にはない様々な用途にマッチし
新中期経営計画策定の背景                                           た素材を有し、長年の間、培ってきたセラミックス製造技術を駆使し、多くの製品を世に送り続けて
                                                       おります。
時代が必要とする企業を目指して                                         特に昨今のスマートフォンや自動車のEV化、自動運転化には欠かすことのできない電子部品の
 第1次中期経営計画は、2018年度からスタートし、好調に推移する市場需要・ニーズに応えるた         製造において、なくてはならないセラミックス製品や計測システムを数多くの電子部品メーカーでご
め、社内課題の改善を中心とし、安定的な生産体制構築・生産能力の増強に取り組んでまいりまし           使用いただいております。中でも“YTZ® ボール”については、代表的な電子部品である積層セラ
た。市場の需要増加に乗って2018年度の業績は伸長した一方で、2019年度から米中貿易摩擦に         ミックコンデンサ(MLCC)の製造には欠くことのできない、ディファクトスタンダードとして位置づけ
よる外需減速の顕在化、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた国内外の製造業需要の減少・            されるまでに成長いたしました。
工場停止により、売上・収益ともに落ち込んで着地した期間となりました。                      以上のように、当社の強みである長年培ってきた100余年の歴史とブランド力、挑戦と持続、独自
 特に2020年度は、世界中の新型コロナウイルス感染症拡大により、人々の生活様式から企業活          の素材・技術を積極的に活かした経営を進めてまいります。
動に至る様々なことが今までには想像もできないレベルで大きく変貌しました。その一方で、人と人
との会話もウェブになるなど新たな取り組みが見られ、今後新型コロナウイルス感染症の収束によ
り、世の中が大きく変化し、ますます不確実性が高くなると思われる中で、どの企業も変わらなけれ          中長期視点での経営戦略
ば市場からの撤退という厳しい状況となります。
                                                       “Reliable Company”であるための3つの成長ドライバー
 一方で、2020年には日本政府により「カーボンニュートラル」宣言がなされましたが、気候変動の
抑制のためのGHG排出量の低減など企業の環境負荷低減による社会貢献が大きく求められてお             「ニッカトーは創造性に富んだ信頼される商品の提供を通じて科学技術と産業の発展に寄与し、
ります。                                                   企業の成長と発展を期し、親しまれる経営で社会に貢献する」という企業理念を示しているように、
 当社としましては、このような激動の時代の中で“Reliable Company -時代が必要とする企業   新たな価値を常に創造することで科学技術と産業の発展に貢献し、様々な点でステークホルダーの
だけが成長する-”ということを強く認識し、サステナブルな成長を目指した取り組みを進めるため          皆様に信頼される企業であり続けるためにも、サステナブルな成長を目指してまいります。
に、この変化を当社と事業の変革点とし、中長期的な持続的成長に繋げていくための経営基盤の             サステナブルな成長を推進していく上で、【ENVIRONMENT】・【QUALITY】・
再構築・土台作りと定め、「CONNECT 25」と題し第2次中期経営計画を策定いたしました。         【MANAGEMENT】を成長ドライバーとして、3つのテーマを掲げて鋭意取り組んでまいります。



                                                                                                          3
トップメッセージ

中長期視点での経営戦略
                                                       人的資本投資・知財戦略の強化
【QUALITY】: 市場ニーズに応える製品・技術の追求                            この3つのテーマを実行していく上で、人的資本及び知財戦略が益々重要となってまいります。
 “QUALITY”としては、EVや5G関連市場において最も需要が大きくなる電子部品は今後とも        今後、サステナブルな成長には時代の変化に対応できる多種多様な人材が必要であり、将来を見
高性能化・多様化が進むことが予測されます。当然のことながら、電子部品の製造に用いられる当           据えた人材育成を進めております。
社製品においてもより高品質化・高機能化の要求が大きくなりますが、スピーディーにニーズに応            また、知財戦略は自社製品の保護だけでなく、顧客が当社製品を権利侵害の心配なく、安心して
えていくことで市場優位性・競争力を維持してまいります。特に、電子部品等の先端材料を用いた           ご使用いただくためにも重要であり、ブランド力の強化にも大きな効果が期待できることからも、
製品の製造は求められる製品特性により使用されるセラミックス製品や計測システムが異なるこ            なお一層の強化をはかってまいります。さらには、知的財産権の強化をはかることでイノベーショ
とから、顧客のニーズにマッチした製品をスピーディーに提供できる技術開発力が必要不可欠で            ンの発掘にもつながることからも積極的に進めております。
あるため、従来技術だけにこだわらず、常に新しい発想を導入した製造プロセス・品質管理体制の
構築を推進いたします。
                                                       ステークホルダーの皆さまへ
【ENVIRONMENT】: 環境負荷低減のための技術開発
 “ENVIRONMENT”としては、20数年前に焼成炉の使用ガスをLPGからLNGへ転換し、
                                                       ROE目標の意味・株主還元に対する考え方
GHG排出量の低減を図っております。今後より一層の環境改善を推し進めるべく、製造プロセス            売上・収益を持続的に成長させていくにあたって、資本効率も加味した上での進捗・結果を示す
の改善と技術開発により自社製品製造時のGHG排出量の削減を図ると共に、製品の高品質化・            ため、ROEを重要指標の1つとしております。過年度は新型コロナウイルス感染症拡大による業績
高性能化による長寿命化をはかることで、顧客の製造工程における環境負荷低減の推進に貢献             悪化を受けて2%へ低下しましたが、新中期経営計画ではセラミックス事業の収益性改善を通じ
してまいります。                                               て、ROE7%を必達水準とし、更なる8%の目標達成を目指してまいります。
                                                        また利益創出を推進し、企業価値の向上を通じて、株主の皆様にも還元していくべく、安定かつ
【MANAGEMENT】: 事業ポートフォリオの再構築                            継続的な配当による利益還元を基本方針としております。これまで業績悪化時においても配当性
                                                       向30%を堅持してまいりましたが、引き続きの利益還元を実施していき、配当性向35%目標を
 “MANAGEMENT”としては、顧客が求めるニーズに的確に応えるために常に顧客とのコミュ         計画しております。
ニケーションを積極的に取るだけでなく、得られた情報を応用展開し、市場動向に注視することで
新たなニーズの発掘を行います。また、将来を見据えた製品ラインナップの見直しや事業ステージ
を再区分し、より競争力のある製品へ経営資源の投下を進めることで、事業ポートフォリオの再構
                                                       ステークホルダーへのメッセージ
築を実施してまいります。                                            冒頭でも述べましたように、今回の新型コロナウイルス感染症による予測できない危機の到来や
                                                       今後益々不確実性が高まり、社会の変化が速くなっていく中で、私たち自信が変化し、サステナブ
 以上3つのテーマを的確に進めていくことで、顧客とは単なる製品の納入業者という関係でなく、
                                                       ルな社会貢献と成長を続けてまいります。
顧客と一緒になって十分に満足していただける製品の開発と提供ができるパートナーとしてのお
付き合いをいただき、“Reliable Company:顧客から頼りにされる会社“となることで、企業とし    これからも、役員、従業員全員が最大限の力を発揮し、企業価値の向上を図り、ステークホル
ての成長と価値向上に邁進してまいります。                                   ダーの皆様の期待に応えてまいりますのでご理解ご支援をお願い申し上げます。


                                                                                                       4
当社の製品

我々は、工業用セラミックス                                                                                    セラミックス事業       (工業用セラミックス)


と計測システムを通じて、
                                                                                耐摩耗                 耐熱             機能性         分析・研究用
                                                                               セラミックス             セラミックス          セラミックス        化学磁器


日本のものづくり産業の発展
に貢献してまいります。
                                                                             電子部品材料の原料           電子部品材料の熱処      酸素センサ・発熱体や    耐熱性・耐食性が高い
                                                                             処理(粉砕・分散)や、         理工程において、熱処     水処理用フィルターと    化学磁器で、分析・研
                                                                             産業用機器部材として          理や焼成炉部材として     して、各種機械に組み    究用として使用されて
                        <エネルギーになる>
                        ・リチウムイオン電池
                                                                             使用されています。           使用されています。      込まれ使用されていま    います。
                 <電気をコントロールする>                <研究開発>                                                            す。
                 ・MLCC・圧電体                    ・企業の研究開発部門
                                              ・大学他研究機関
          <光を映し出す>
          ・FPD向けカラーフィルター
          ・LED


    <電気をコントロールする>
                           電子部品             研究分野              <火力発電所>
                                                              ・排煙脱硫装置
                                                                                       エンジニアリング事業             (計測システム)
    ・センサ
    ・基板材料(PCU向け半導体)                                                             加熱装置・
                                                                <リサイクル>                            各種センサ
                                                                ・食品廃棄物処理装置     研究開発装置
   <車のカラーリングをする>       電動車・EV                      エネルギー・環境
   ・自動車用塗料
                                                              <バイオエタノール>



    <タイヤのゴムに伸縮性を持たせる>                                      <ろ過>
    ・不溶性硫黄                                                 ・セラミックス膜ろ過装置
                            医療              生活関連

                                         <日用品>
         <体の一部になる>                       ・インクジェットインキ   <コンクリート>
         ・歯科材料                           ・ボールペン                              高温から低温、高 圧か         各種センサの発信、受
                                                       ・製造機械向け部品
                                         ・化粧品
                   <医薬品>
                                                                             ら 真 空 、 各種 ガス 雰 囲   信、制御、データ処理の
                                              <自転車部品>
                        <MRI用天板(GFRP)>        ・反り修正用加圧プレス機                   気炉等加熱・ 熱処理装         システムの設計、開発、
                                                                             置の設計、開発、製造を         製造を行っています。
                                                                             行っています。


                                                                                                                                           5
当社のビジネスモデル -1/2-
–                   最先端技術から基幹産業まで、部品・材料メーカーの生産工程・研究開発を、当社のセラミックス製品が製造用部材として支えています
–                   当社主力製品の粉砕用ボールは、EV車や5G関連部品に使われるMLCC(積層セラミックコンデンサ)製造において、デファクトスタンダード
                    (業界標準品)として位置づけられ、主要国内メーカーのトップシェアを占めています

                                                                                        • 精密部品製造には、セラミックス部材も高品質・高
                                          • セラミックスが持つ優れた耐   • セラミックスの持つ特性を活かし、様々な産業・
        特               • 顧客のニーズに最適な製品      摩耗性・耐熱性・耐食性等の     製品の製造効率化・品質向上に間接的に貢献
                                                                                          精度なものが求められる
        徴                 とするため、複数のセラミッ     特性を活かし、各種部品・材
                                                                                        • 一層の成長が期待されるEV車・5G通信関連製品
                          クス原料素材を調達         料等の製造用部材として使    • MLCCや全固体電池といった、先端技術製品の
                                                                                          に必須である、MLCC・電池の製造に当社製品が
                                            用                 各生産工程で、必須の製造用部材として活躍
                                                                                          使用されており、需要は更に伸長する見込


                            仕入先                  当社            顧客(部品・材料メーカー)             エンドユーザー(製品メーカー)
                          原料素材 調達                製造
                                                                        • MLCC(コンデンサ)
                                                             電子部品
                                                                        • リチウム・全固体電池
                        安定品質の原料選択と調達      主な製品               メーカー
                                                                        • その他電子部品       EV車
                セ
                ラ       • ジルコニア           • 耐摩耗セラミックス
    事                                                                   • センサ・基板
                ミ         比重が高く、粉砕に適す       (粉砕・分散用)         自動車部品
                                                                        • モーター用磁石
    業           ッ                                            メーカー
                                                                        • 塗料・インク
                ク       • アルミナ            • 耐熱セラミックス
                ス         比較的安価で強度も高い       (熱処理・焼成炉用)
                                                                        •   日用品・化粧品
                                                             その他
                                                                        •   ガラス関連
                        • 窒化ケイ素           • 機能性セラミックス        部品・材料
                                                                        •   エネルギー施設部品
                          高温下でも高強度を誇る                        メーカー
                                          • 分析・研究開発用
                                                                        •   医療・歯科材料 他   5G通信
                        • その他原料             化学磁器                                        関連製品
                                                                     開発・製品化

                                                                       改良・新製品
            ア       エ
事           リ       ン       装置・機器             設計・開発・販売           企業 研究開発部門
業           ン       ジ       メーカー          •   加熱装置               ・大学等 研究機関                    その他 基幹産業
            グ       ニ                     •   計測・制御機器
                                          •   各種センサ 他
                                                                                            医療・生活・エネルギー...

                                                                                                                6
当社のビジネスモデル -2/2-
–         原材料の粉砕・熱処理工程部分だけでなく、各生産工程で使用する産業機器部品やセンサなど、顧客のニーズにマッチしたセラミックス製品の
          開発・製造が可能です


                           当社                                         顧客(部品・材料メーカー)

                開発                        製造                              生産工程

                                製造:
                                 顧客の要望に合った特性の製品を提供す                          原材料
新製品開発:
     顧客の部品・材料の特性・用途に合わせた         るため、原料処理工程から検査まで最適
     製品開発で、最適な部材提供を実現            な方法・条件を設定して製造し、安定した
                                 品質特性の製品を提供             耐摩耗セラミックス           粉砕・分散
                                                        •粉砕用ボール                       •   粉砕用ボールを衝突さ
                                                        •粉砕機械用部材 等                        せることで、加工しやす
                                 原    成   焼    加    検                         成形          い微小粒子に粉砕・分散
    素材:
                                 料    形   成    工    査                                     させる
     ジルコニア・アルミナ・窒化ケイ素を中心
     に要望される特性・形状・用途に応じて、
     最適な材質の部材を提供可能                                      耐熱セラミックス            熱処理・焼成
                                                        •チューブ・容器
                                製品例:YTZ®ボール(主力製品)       •保護管・耐熱部材 等                          炉内で焼成
                                サイズラインナップ:
                                                                              加工
    製品ラインナップ:                    精密部品生産に必須の微小サイズに強く、
     粉砕工程でのセラミックスボールや、熱          1mm以下サイズでは国内トップシェア                                   •   粉砕・成形された原材料
     処理工程での容器・チューブだけでなく、                                その他セラミックス             検査          を容器に入れ、炉で焼き
                                 (最小クラスの0.03mmまで対応)                                       固め、製品部品としての
     各生産工程で必要とされるセラミックス                                 •生産機械用部材
                                精度:                                                       加工工程へ
     部材を提供                                              •センサ・フィルタ 等
                                 サイズ・球形の精度が高く、顧客生産工
                                                                             製品完成
                                 程でのブレ・歪み防止・不良抑制に貢献
                                                                             ・出荷



                                                                                                     7
前中期経営計画の振り返り
2018年度~2020年度
前中期経営計画・業績推移の振り返り
–    前中期経営計画期間は、米中貿易摩擦による外需減速や、新型コロナウイルス感染症拡大による経済悪化・取引先工場の製造停止により、売
     上・利益ともに減少したことから、2020年度は当初計画を未達



             2018年度    2019年度    2020年度   2020年度    計画実績
    (百万円)                                                        2020年度の計画において売上100億円達成を掲げ、売上・利
               実績        実績        実績       計画       差異
                                                                  益ともに過去最高更新を想定
     売上高     10,683     9,330    8,655    10,600    ▲1,945

                                                                 2018年度には、電子部品製造における粉砕用ボールの需要拡
    営業利益      1,162     666       363      930       ▲567
     (%)     (10.9%)   (7.1%)    (4.2%)   (8.8%)    (▲4.6%)       大を受け売上・利益ともに計画水準を達成したものの、

    経常利益      1,228     752       440      950       ▲510         2019年度以降は米中貿易摩擦・新型コロナウイルス感染症拡
     (%)     (11.5%)   (8.1%)    (5.1%)   (9.0%)    (▲3.9%)       大の影響により取引先製造企業の需要が急減、売上減少

    当期純利益     791       441       275      670       ▲395
      (%)    (7.4%)    (4.7%)    (3.2%)   (6.3%)    (▲3.1%)

     ROE      7.4%      4.1%      2.5%     7.0%     ▲4.5%


セラミックス事業
                                                                 セラミックス事業:
     売上高      8,062     7,081     6,601    8,400    ▲1,799        景況悪化により売上は減少、取引先の工場停止・生産調整により
    営業利益      1,175     673       336       975      ▲639         当社の工場稼働率も低下し、営業利益率は悪化
     (%)     (14.6%)   (9.5%)    (5.1%)   (11.6%)   (▲6.5%)
エンジニアリング事業
                                                                 エンジニアリング事業:
     売上高      2,621     2,248     2,053    2,200     ▲147         過年度から赤字継続していた中で、景況悪化による需要低下で
    営業利益       ▲13       ▲6        27       ▲45       72          売上高は減少。一方で、売上偏重の営業活動を見直し収益性は
     (%)     (▲0.5%)   (▲0.3%)   (1.3%)   (▲2.0%)   (3.3%)
                                                                  改善、部門黒字化を達成
                                                                                                   9
過年度株価推移
–     過去最高業績を上げた2018年度は、2018年8月に株価最高値を記録(18/8月:高値:1,670円、安値:1,310円)
–     新中期経営計画では、2017~2018年度を上回る売上・利益目標の達成を目指す

         1,800                                                                1,670
         1,600
         1,400                                                                 1,310

         1,200
         1,000
          800
          600
          400
          200
             -
                      12/3    13/3    14/3    15/3    16/3    17/3    18/3      19/3    20/3    21/3
                       月       月       月       月       月       月       月         月       月       月

                      2011    2012    2013    2014    2015    2016    2017      2018    2019    2020    2021
                       年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度        年度      年度      年度     年度※
                 高値   538     506     515     424     460     453     1,214     1,670   986     900     830
    株価
                 安値   362     373     390     390     351     330     410        762    397     498     638
      PBR(倍)           0.7     0.6     0.6     0.5     0.5     0.5     1.1       1.0     0.6     0.8    0.8
      PER(倍)          10.2    21.2    25.7    17.0    10.9    10.9    15.8       13.7   15.8    33.0    28.4
1日平均売買代金(百万円)          3.1     2.6     5.4     2.8     3.9     3.6    188.7      87.2   27.0    12.5     -


    売上高(百万円)          8,230   7,696   7,909   8,773   8,577   8,919   9,717    10,683   9,330   8,655    -
    営業利益(百万円)         924     423     347     441     595     668     1,032     1,162   666     363      -
     ※2021年度は、2021/10/1時点

                                                                                                               10
新中期経営計画 「CONNECT 25」
2021年度~2024年度
  新中期経営計画について
  –    当社の存在意義である、「独自素材の提供を通じて、脱炭素社会の実現に貢献する」べく、持続的に成長し、社会的課題の解決に取り組み続け
       られる経営基盤の再構築期間と位置付け
  –    2025年度を新たなスタートとして、中長期の持続的成長に繋げていくために中期経営計画「CONNECT 25」を策定

                                                                         2025年度~
                                                                     持続的成長【GROWTH】の継続・
                                                                      脱炭素社会の実現に向けた       目指すべき経営基盤
                                                                       継続的な社会的価値創出
                                                                                         持続的に成長し、社会的課題解決へ貢献していける、
環境・省エネ                                                                                   経営基盤の再構築
  投資
                                       2021~24年度                                         •   成長し変化する市場・顧客ニーズに応えられる
                                      第2次中期経営計画                                              製品開発体制
                               「CONNECT 25」                                              •   2050年の脱炭素社会の実現に向けて、環境負荷
                                                                                             軽減に繋がる技術開発
人的・知的                         持続的成長【GROWTH】に向けた経営基盤の再構築
資本投資                                  達成に向けた3つの取組テーマ
                                                                                         •   成長・取り組みを支え続ける次世代人材の育成、技
                              【QUALITY】・【ENVIRONMENT】・【MANAGEMENT】                           術・ノウハウの継承

            2018~20年度                                                                    目指すべき計数目標
           第1次中期経営計画
製造設備
 投資      【短期的な社内課題への取り組み】
                                                                                         •   売上高    100億円の達成
         生産効率の改善・製造能力の強化 等                                                               •   営業利益   10%水準の創出

                社内                   市場・顧客                      社会的
                                                                                         •   ROE    7%の達成・8%を目標
                課題                    課題                         課題                      •   株価     1,300円台への到達
                                                                                         •   配当性向   35%水準の維持

                                 創業110年の歴史                                               ⇒ 計数目標の達成を通じて、東京証券取引所の新市場区分「プ
                             積み上げてきた経営基盤・事業競争力                                             ライム市場」の上場維持基準充足を実現

                                                                                                                     12
「CONNECT 25」のコンセプト
–   経営基盤の再構築を、【QUALITY】・【ENVIRONMENT】・【MANAGEMENT】の3つの成長ドライバーをテーマに実施
–   当社と事業の持続的成長によって、脱炭素社会の実現・社会的課題の解決に貢献し、 時代に必要とされる“Reliable Company”を目指す



      「CONNECT 25」における目標                達成のための3つの成長ドライバー


      持続的に成長し、社会的課題解決へ                     【QUALITY】     •   これまで築いてきた競争優位性を元に、変化する市場ニー
                                                             ズに応えられる製品開発を推進
     貢献していけるだけの経営基盤の再構築
                                        市場ニーズに応える製品・     •   素材・性能・品質・コスト面において、さらなる付加価値向
                                           技術の追求             上・差別化を追求




           存在意義の確立
     経済的価値・社会的価値の創出を通じた                  【ENVIRONMENT】   •   製品製造時の温室効果ガス削減・エネルギー利用減少を実
    自社の持続的成長【GROWTH】の達成と、                                    現する、製造プロセス改善を推進
        脱炭素社会実現への貢献                      環境負荷軽減のための      •   当社の製品により、顧客の生産工程における環境負荷の軽
                                            技術開発             減に繋がる製品・技術開発を強化




         経営ビジョンの達成
                                                         •   全事業・製品を4つのステージ(重点・強化・再構築・再編)に
        “Reliable Company”               【MANAGEMENT】        分類定義
    -時代に必要とされる企業だけが成長する-                                 •   市場ニーズに応えるべく、競争力のある重点・強化事業には
                                         事業ポートフォリオの          経営リソースを集中投下
                                            再構築              再構築・再編事業は高付加価値化による収益性改善を図る

                                                                                        13
主なトピック

【ENVIRONMENT】 製品製造における焼成技術の変革                                            【MANAGEMENT】事業ポートフォリオの再構築

 ガス炉から電気炉を中心とした製造へ                                                      全事業・製品を4つのステージに分類し、各ステージ毎の経営リソースの集
  の切り替え、焼成技術の開発に取り組み、                                                     中・収益性の改善を通じて、競争優位性の強化・発展を推進
  エネルギーの効率的利用を推進
                                                                              強化事業   :収益力の引き上げ         重点事業    :経営リソースの集中・優位性強化

                                                                          市   • 熱処理用セラミックス             • 粉砕用セラミックス
                                                                          場                              (精密部品向け粉砕ボール)
•   精密部品向けの粉砕用ボール製品を中心に、                                                  成
    製造効率・歩留まりが改善                                                          長
                                                                          性
                                                                              再編事業   :製造外注化による収益性改善    再構築事業   :セラミックス事業との一体化による営業効率化
•   製品製造時のGHG排出量の削減と同時に、
                                                                              • 研究開発向け理化学陶磁器           • エンジニアリング事業
    コストダウン・品質向上も同時に実現
                                                                              • その他不採算製品
                                                                                                  収益性・競争優位性



【QUALITY】 GMP省令ガイドラインへの対応                                               人材育成・知財管理への注力
                                                                        • 将来の人的・知的資本の強化を、“CONNECT 25”の達成を支える重要テーマと位置づけ
                                                                        • これからの中長期的な持続的成長を支えるため、設備投資・研究開発だけでなく、
 主力製品のYTZ®ボール製造において、                                                     人材育成・知財管理にも積極的に投資
  GMP省令ガイドラインに対応した製造・品
  質管理体制を構築                                                               人材採用・育成、評価方法の見直し
                                                                          従来の、特定製品に特化した職人人材を、背中を見て覚えるという教育文化を抜本改革し、変化す
                                                                          る市場・顧客ニーズに対応できる、次世代を支える人材を採用育成し、評価するための制度を構築
•   医薬品・食品・化粧品製造において、今後一層
    重要度が増す品質・安全性基準へいち早く対応                                                100年の歴史で培われてきた職人技術・ノウハウの継承
•   既存品・競合他社との差別化を推し進め、売上・                                                製品精度・品質を左右する製造時の膨大な条件・方法を、ビックデータとして蓄積・分析環境を構築
                                                                          し、属人化しがちな職人技術・ノウハウの確実な継承と発展へ繋げる
    シェアの拡大と収益性向上を図る
                                                                1.00m
                                                                m
                                                                         知財専門人材の登用・育成、知財管理強化
※   GMP省令:Good Manufacturing Practice(適正製造規範)           φ0.3㎜
    医薬品・食品等製造における製造管理・品質管理基準を定めたもの              200µm
                                                                          取締役に知財専門人材を招聘し、知財管理体制の一層の強化を図る
                                                                          当社が築いてきた競争優位性の源泉を保護・拡大し、さらなる競争力の獲得・企業価値拡大を推進

                                                                                                                                        14
計数目標
–   EV車・5G関連製品を始めとする成長産業での需要増加を確実に捉え、過去最高水準の売上高100億円を達成
–   セラミックス製品の差別化・競争優位性の追求により収益性を改善、営業利益率10%超へ到達し、営業利益も過去最高益創出を図る

                2020年度    2021年度   2022年度   2023年度    2024年度       増減
        百万円
                  実績        目標       目標       目標        目標      2020年度比


       売上高      8,655     9,500    10,000   10,200    10,800    +2,145
       (前期比)              (+845)   (+500)   (+200)    (+600)



       営業利益      363       900      970     1,030     1,200     +837
        (%)     (4.2%)    (9.5%)   (9.7%)   (10.1%)   (11.1%)   (+6.9%)



       経常利益      440       920      990     1,050     1,200     +760
        (%)      (5.1%)   (9.7%)   (9.9%)   (10.3%)   (11.1%)   (+6.0%)



      当期純利益      275       630      680      720       820      +545
        (%)     (3.2%)    (6.6%)   (6.8%)   (7.1%)     (7.6%)   (+4.4%)



                                                       7%達成
        ROE      2.5%     5.9%     6.0%     6.2%                +4.5%
                                                      (8%目標)

                                                                          15
計数目標 ーセグメント別業績目標ー
–   EV車・5G関連製品の成長・需要増加に対応し、セラミックス事業を中心に売上の伸長を図る
–   最先端技術の製品製造に求められる品質・環境価値を満たし、付加価値向上により営業利益率の向上を目指す


           2020年度   2021年度    2022年度    2023年度    2024年度
    百万円                                                      増減
             実績       目標        目標        目標        目標

セラミックス事業                                                               セラミックス事業:
                                                                        •   成長が見込まれる先端技術産業※の需要拡大に対応し、
                                                                            製品付加価値向上を通じた収益性改善を推進
    売上高    6,601    7,400     7,800     8,000     8,400     +1,799
                                                                            (※ EV車・5G関連部品に必須かつ、今後一層の需要増加が見込まれる
                                                                            MLCC(積層セラミックコンデンサ)や、EV車への搭載に向けて開発・実
                                                                            用化が進められている全固体電池 等)
    営業利益    336      850       910       970      1,130     +794
     (%)   (5.1%)   (11.5%)   (11.7%)   (12.1%)   (13.5%)   (+8.4%)


エンジニアリング事業                                                             エンジニアリング事業:
                                                                        •   これまで事業独立した動きとなっていた営業活動から、
    売上高    2,053    2,100     2,200     2,200     2,400     +347            セラミックス事業との一体営業・ニーズ発掘を推進し、
                                                                            先端技術製品の研究開発におけるニーズ取り込みを

    営業利益    27        50        60        60        70       +43            強化
     (%)   (1.3%)   (2.4%)    (2.7%)    (2.7%)    (2.9%)    (+1.6%)




                                                                                                              16
投資方針
–   継続的な投資を実行し、新中期経営計画期間全体で3,400百万円を計画
–   環境負荷軽減・省エネのための技術開発や、人材採用・育成へ積極的に投資し、持続的成長の促進に繋げる


                 前中期経営計画における                         新中期経営計画における
                   投資区分別内訳                             投資区分別内訳

                  土地
    省エネ・環境関連投資    7%
                                             省エネ・環境関連投資
        9%                                       20%

    研究開発投資
      4%
                                           研究開発投資
    IT関連投資                                   5%
       8%
                                            IT関連投資
                                               8%
                                                                   製造設備更新・増強
                               製造設備更新・増強                              67%
                                  72%




                                             研究・環境投資、ならびに人的資本への投資金額は、
                                              前中期経営計画対比で約150%への増加を計画

                                                                               17
株主還元方針
–   過年度の業績悪化時においても、配当性向30%水準を堅持
–   今後も安定的な配当の継続を基本方針に掲げ、配当性向 35%を中期的な株主還元目安とする



                                                                                                              24     25
     1,000
                                                              22      22
                                                                                                      21
                                                      20                                      20
      800                                                                                                            20
                                                                                                             820
                                                             791
                                                     752                              16
                                                                                                     720
                                              14                                             680                     15
      600                                                                            630
              12      12              12
                              10
                                             478                                                                     10
      400                                                            441      8
                                     412

                             285                                             275
      200    247                                                                                                     5
                     192


        0                                                                                                            0
             2012    2013    2014    2015    2016    2017    2018    2019    2020    2021    2022    2023    2024
              年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度
                                                     当期純利益      1株あたり配当額
                                                     (百万円)      (円)

             2012    2013    2014    2015    2016    2017    2018    2019    2020    2021    2022    2023    2024
              年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度      年度
     配当性向    58.4%   74.8%   41.9%   34.7%   35.0%   31.7%   33.2%   59.5%   34.8%   30.3%   35.1%   34.8%   34.9%



                                                                                                                          18
         見通しに関する注意事項               ■ 本資料に関するお問い合わせ先

                                    株式会社ニッカトー
•   本資料に記載いたしております業績予想数値は、現時点で入     経理部 IR担当
    手可能な情報に基づき判断した見通しであり、多分にリスクや
    不確実な要素を含んでおります。
                                      TEL    072-238-3641
•   実際の業績は、今後様々な要因によって予想数値と異なる可
    能性があります。                         URL     https://www.nikkato.co.jp/IR/IR.html




                                                                                    19