5201 AGC 2021-02-05 15:00:00
AGC、新たな経営方針、長期経営戦略および中期経営計画を策定 [pdf]

                                                   2021年2月5日
 各   位
                           会 社 名   AGC株式会社
                           代表者名    代表取締役社長執行役員 平井良典
                                   (コード番号   5201 東証第 1 部)
                           問合せ先    広報・IR部長 玉城和美
                                   (TEL.03-3218-5603)


         AGC、新たな経営方針、長期経営戦略および中期経営計画を策定

 AGC(AGC株式会社、本社:東京、社長:平井良典)は、新たな経営方針 AGC plus 2.0、長期
経営戦略「2030 年のありたい姿」および中期経営計画 AGC plus-2023 を策定しました。その概要を
以下の通りお知らせします。


<AGCグループのグループビジョンおよび中長期の経営方針・経営戦略>




1. 新経営方針 AGC plus 2.0 および新長期経営戦略「2030 年のありたい姿」について
 AGCは、新経営方針 AGC plus 2.0 および長期経営戦略「2030 年のありたい姿」を以下の通り策定
しました。


 新経営方針 AGC plus 2.0

             ・世の中に「安心・安全・快適」を

             ・お客様・取引先様に「新たな価値・機能」と「信頼」を

             ・従業員に「働く喜び」を

             ・投資家の皆様に「企業価値」を

             ・将来世代に「より良い未来」を

             プラスする




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 新長期経営戦略 2030 年のありたい姿




            独自の素材・ソリューションの提供を通じて

           サステナブルな社会の実現に貢献するとともに

                     継続的に成長・進化する

               エクセレントカンパニーでありたい




 「2030 年のありたい姿」実現のために、コア事業と戦略事業を両輪として、最適な事業ポートフォリ
オへの転換を図り、継続的に経済的・社会的価値を創出することを目指します。
 建築用ガラス、自動車用ガラス、ディスプレイ、基礎化学品、フッ素化学品などのコア事業においては、
各事業の競争力を高め、強固で長期安定的な収益基盤を構築します。
 また高成長分野であるエレクトロニクス、ライフサイエンス、モビリティの戦略事業においては、自社
の強みを活かし、当社グループの将来の柱となる高収益事業を創出・拡大します。


 この戦略に基づき各種施策を実施することで、以下の財務目標達成を目指します。
          2020 年度実績       2023 年度目標     2025 年度目標    2030 年度目標
 営業利益       758 億円          1,600 億円      2,000 億円
                                                      2030 年までに
   ROE        2.9%             8%            9%
                                                     最高益*を更新し
 戦略事業
            444 億円          700 億円       1,000 億円    安定的に ROE10%
 営業利益
                                                       以上を確保
 D/E 比率      0.63           0.5 以下        0.5 以下
 *過去最高益: 2010 年度    営業利益 2,292 億円


 また財務目標の達成に加えて、「事業成長」と「持続可能な社会の実現」の両立が求められる中、当社
グループが直面する重要機会と重要リスクを踏まえ、あらゆる事業活動においてサステナビリティ目標
に取り組み、以下5つの社会課題解決に貢献します。


   ◼   持続可能な地球環境の実現
   ◼   安全・快適な都市インフラの実現
   ◼   安心・健康な暮らしの実現
   ◼   健全・安心な社会の維持
   ◼   公正・安全な働く場所の創出




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2. 中期経営計画 AGC plus-2020 の振り返り
              2017 年度実績 2020 年度目標                     2020 年度実績 コロナ禍影響
                                                                除く(推定)
       営業利益            1,196 億円         1,600 億円        758 億円   1,250 億円
                                           以上
      ROE               6.1%              8%以上            2.9%            6%
 戦略   利益貢献比率             12%             25%以上             59%           36%
 事業    営業利益額           142 億円            400 億円          444 億円         影響なし
    D/E 比率               0.38            0.5 以下            0.63          0.53

 2018 年に策定した中期経営計画 AGC plus-2020 では、資産効率が低く、市況変動に左右される事業
の割合が高いことから、ROE 改善にはポートフォリオ変革が課題であるとの認識のもと、以下 4 点を主
要戦略と定め、事業運営を行ってきました。
   ◼   市況変動に強い高付加価値事業を伸ばす
   ◼   戦略事業の成長戦略を推進する
   ◼   成長地域・勝てる地域へ経営資源を集中する
   ◼   戦略的なM&Aにより持続的成長を図る


 その結果、コロナ禍の影響も加わったガラス事業では多くの課題を残したこともあり、営業利益、ROE、
D/E 比率目標については未達となったものの、戦略事業についてはエレクトロニクス、ライフサイエンス
が想定以上のスピードで拡大し、当初目標を達成しました。


3. 新中期経営計画 AGC plus-2023 について
 AGCは、長期経営戦略「2030 年のありたい姿」を確実に実現するため、新たな中期経営計画 AGC
plus-2023 を策定しました。その経営財務目標と主要戦略は以下の通りです。


 <経営財務目標>
                                      2020 年度実績       2023 年度目標

                   営業利益                    758 億円       1,600 億円
                  ROE                       2.9%           8%
              戦略事業営業利益                     444 億円        700 億円
                D/E 比率                       0.63        0.5 以下

 <事業セグメント別業績イメージ>                                                       (単位:億円)
                          売上                                 営業利益
          19 年実績       20 年実績       23 年目標       19 年実績      20 年実績      23 年目標
  ガラス          7,429        6,510        7,100          93       ▲166          330
   電子          2,767        2,894        3,500         256        378          400
  化学品          4,758        4,512        5,600         630        505          850
  その他            226          207          300          37         41           20
   計          15,180       14,123       16,500       1,016        758        1,600




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 <主要戦略>




 (1)“両利きの経営”の追求
 各事業の方向性
 経営方針 AGC plus のもと、コア事業の深化と戦略事業の探索を実現する「両利きの経営」を実践
しています。AGC plus-2023 における各事業の主要課題と方向性は以下の通りです。




 AGC plus-2023 では、両利きの経営を更に追求し、戦略事業領域においては成長を加速させるとと
もに、エネルギー関連など新たな事業領域を探索し、2023 年に戦略事業の売上高 3,000 億円、営業利益
700 億円を目指します。
 一方、建築用ガラス・自動車用ガラスにおいては、需要に見合った生産体制へのシフト、高効率設備


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投入による生産集約や人員削減、減価償却費の 8 割以下までの投資縮減など、2023 年までに両事業にお
いて固定費を中心として年間 150 億円削減します(2019 年比)。また建築用ガラスについては、業界
リーダーとして業界再編も視野に入れた構造改革をスピード感を持って実施するため、CFO をトップと
する構造改革プロジェクトを発足しました。


 投資資源配分および資産効率向上への取組み
 投資資源配分については、戦略事業をはじめとする成長事業への投資を強化し、本中計期間において
全社投資金額の 33%に相当する 2,000 億円を戦略事業に投じる予定です。また、全社投資金額における
ガラス 3 事業(建築用ガラス、自動車用ガラス、ディスプレイ)への投資割合を、前中計期間の 52%か
ら 33%まで削減します。




 これらの取組みにより、全ての事業の資産効率を改善し、事業ポートフォリオ変革を行うことで、
2023 年に全社 ROCE(営業資産利益率)7.5%、EBITDA3,440 億円を目指します。




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 株主還元方針の変更およびキャッシュフロー計画
 中長期的な財務健全性を維持しつつ、成長事業への投資機会を確保するため、以下の通り株主還元方
針を変更することとしました。


 <現方針>
現在の 1 株あたり年間配当額以上の継続を基本に、自己株取得を含めた連結総還元性向 50%以上を継続


 <新方針>
連結配当性向 40%を目安に安定的な配当を継続。自己株取得は機動的に実施


 以上の事業計画、投資計画、株主還元方針による AGC plus-2023 におけるキャッシュフロー計画は
以下の通りです。




 財務健全性の確保を前提とした上で、創出したキャッシュを資産効率の高い事業や成長事業に重点配
分することにより、成長を実現します。


 (2)サステナビリティ経営の推進
 AGCは創業以来、お客様との信頼関係を礎として、長期視点による研究開発と事業化のチャレンジ
によって、時代の要請に応えて社会課題の解決に取り組んできました。
 これからも独自の素材・ソリューションの力で、私たちの使命である“AGC、いつも世界の大事な
一部”を果たし続け、地球・社会のサステナビリティ実現に貢献します。


 AGCは、2014 年、2020 年に年間 CO2 排出量の 6 倍を省エネ・創エネ製品で削減することを目標に
設定しました。事業活動における CO2 排出量削減と、省エネガラスや環境対応型次世代低 GWP 冷媒な
ど省エネ・創エネ製品の普及、販売拡大に取り組んできた結果、その目標を概ね達成しました。




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 今般、持続可能な地球環境の実現に向け、2050 年カーボン・ネットゼロを目指し、そのマイルストー
ンとして、2030 年 GHG(温室効果ガス)排出量 30%削減、GHG 排出量の売上高原単位*50%削減を
目標に設定しました。
(*GHG 排出量売上高原単位=GHG 排出量/売上高)


 この目標達成に向け、当社のガラス溶解プロセスにおいて、エネルギー効率の高い酸素燃焼方式や燃
料使用削減につながる溶解用電気ブースターの導入を推進するとともに、今後は溶解熱源の電化を加速
します。また高性能省エネガラスや燃料電池膜用フッ素系電解質ポリマーなどの供給を通じて、世の中
のネットゼロ実現にも貢献していきます。


 (3)DXの加速による競争力の強化
 AGCはこれまで、開発・製造、営業・マーケティング、物流などの領域でデジタル技術を活用し、
ビジネスプロセスの変革に取り組んできました。また、これらを支える専門性の高い業務知識と高度な
データ解析スキルを併せ持つ「二刀流」デジタル人財の育成にも注力しています。独自の育成プログラ
ムを活用し、データサイエンティストを 2020 年末までに 1,600 名、データサイエンスを用いて自部門
の課題を解決可能な上級人財 40 名を育成しました。2025 年までにデータサイエンティスト 5,000 名、
上級人材 100 名を育成予定です。


 今後は、これまでの取組みを深化・複合化させるとともに、DXによるAGCグループのビジネスモ
デル変革に取り組みます。これにより競争優位性を築き、お客様と社会に新たな付加価値を提供しま
す。


 AGCグループは、新中期経営計画 AGC plus-2023 で掲げた戦略の実行による経営財務目標の達成
およびサステナビリティ経営の推進により、世の中、お客様・取引先様、従業員、投資家の皆様、将来
世代など全てのステークホルダーに様々な価値をプラスします。


                                                   以   上




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