4968 荒川化学 2021-03-22 13:00:00
第5次中期5ヵ年経営実行計画(2021~2025年度)について [pdf]

                                                 2021 年3月 22 日
各   位
                          会社名      荒川化学工業株式会社
                          本社所在地    大阪市中央区平野町 1 丁目 3 番 7 号
                          代表者名     取締役社長 宇根 高司
                          (コード番号   4968 東証第一部)
                          問合せ先     取締役経営企画室長 高木 信之
                                   TEL(06)6209-8500(代表)


         第5次中期5ヵ年経営実行計画(2021~2025年度)について

 荒川化学グループは、第5次中期5ヵ年経営実行計画を以下の如く策定いたしました。


1.計画の名称
        第5次中期5ヵ年経営実行計画(以下、第5次中計と呼ぶ)


2.計画期間
        2021年度(2022年3月期) ~ 2025年度(2026年3月期)


3.第4次中計の振り返り
 基本方針として SHIFT 実現体制を構築し、事業の新陳代謝を進め、永続的な成長サイクルの創出と
 真のグローバル化を目指してきました。


    ①SHIFT 実現体制の構築
     経営資源(人・モノ・金)の適正な配置や事業の変革を推進するために、機能本部体制を導入し、
    全機能を十分に発揮できる体制を整えました。人の SHIFT は加速し、SHIFT 体制の土台は構築さ
    れ、SHIFT の意識が経営層だけでなく、全社的に浸透しました。


    ②事業の新陳代謝の実践
     SHIFT 実現体制のもと「事業の新陳代謝」を促し、集中的、効率的に経営資源を投入していくた
    めに、各事業をミッションに分類し、それぞれの戦略を明確にしました。ミッションを明確にするこ
    とで意識改革につながりました。一方、事業の SHIFT は不採算事業の改善や将来の柱となる新規事
    業の創出に向けての取り組みは道半ばにあります。


    ③真のグローバル化とガバナンス体制強化
     国内市場がシュリンクする中、成長が見込まれる海外市場で事業を拡大し、最終年度の2020年
    に海外売上高450億円、海外売上高比率45%の達成を目指しました。一部施策(千葉アルコン製
    造、荒川ケミカルベトナム社)が第5次中計にずれ込みましたが、「のばす」事業に経営資源を投入
    し、基盤が整いつつあります。第5次中計では、さらなるグローバル化を推進してまいります。
     また、指名諮問委員会および報酬諮問委員会の設置、新たに社外取締役(女性かつ外国人を含む)
    を増員するなどコーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んできました。




                          1/11
   第4次中計期間中は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症等による需要の減少、富士工場爆
  発・火災事故やドイツのコンビナート停止等による原料コストアップ要因がありました。また事業の
  新陳代謝や新規事業創出の遅れもあり、計数目標は未達成でした。定量面では大きく乖離しましたが、
  掲げた施策は着実に進捗しております。


連結業績(公表値)                                                               金額:百万円
                                                                    2020 年度   2020 年度
                2015 年度    2016 年度   2017 年度   2018 年度   2019 年度
                                                                     予想       中計目標
    売上高           79,119    77,380    80,782    79,501     72,967    68,500    100,000
   営業利益            3,639     5,095     4,892     3,564      2,574     2,900      5,800
   経常利益            3,851     5,314     5,218     3,950      2,927     3,200      6,000
   当期純利益           2,311     3,416     3,111     3,890      1,732     1,900      3,700
  ROE(%)             5.0       7.1       6.0       7.1        3.2       3.3   6.5 以上


4.経営理念とビジョン
   当社のグループ経営理念は、「個性を伸ばし 技術とサービスで みんなの夢を実現する」であり、
 グループ全体での共有とその実現に向けた活動を推進しております。さらに、ビジョンとして、当社
 の得意とする材料と材料を「つなぐ」技術で社会に貢献することを目指し、「つなぐを化学する
 SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」を掲げております。特に2030年に向けたビジョン(=2030
 年の当社の「ありたい姿」
            )として『ロジンをはじめとする環境に配慮した素材を活かし、
                                        「つなぐ」
 技術の深化と新たな付加価値の創造に挑戦し続けることで、地球環境と社会の持続可能な未来に貢献
 する』を新たに設定いたしました。




5.第5次中計の基本方針とスローガン
   当社が掲げた「ありたい姿」の実現を目指し、グループの価値観・行動指針(ARAKAWA WAY 5つ
 の KIZUNA )に基づいた経営(=KIZUNA 経営)のもと、SHIFT の継続による人と事業の新陳代
 謝の深化、事業基盤の持続性を確保いたします。また、持続可能な地球環境と社会を実現するための
 課題に取り組み、付加価値・新規事業の創出に挑戦いたします。そして、創業150周年、さらにそ
 の先を見据え、歴史と伝統をしっかりと受け継ぎながらも、安全文化の醸成、および働きがいと生産
 性の向上を目指すことで成長し続け、
                 「ありたい姿」を実現するために設定する KIZUNA 指標を達成
 いたします。
   この基本方針をグループ一丸となって実現するため、スローガンを以下のように設定いたしまし
 た。 V-ACTION for sustainability」
   「

                                      2/11
基本方針




KIZUNA 指標:5つの KIZUNA とリンクした優先的な重要課題から設定した指標、
                                           「ありたい姿」を実現するための指標




     スローガン




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6.荒川化学グループの未来像(ビジョンの具現化)
   安全意識、働きがい、生産性等の向上を推進し、
   「製紙、印刷インキ、塗料、粘着・接着剤、電子材料関連の中間素材の化学メーカー」から
   「地球環境と社会の持続的な未来に貢献するエコシステムにしっかり入り込み、ライフサイエン
   ス関連などの素材をも手掛け、REAL と DIGITAL を下支えする化学メーカー」への変革を実現
   している。




 ※1)経営理念に基づいた持続可能な成長の実現に向け、重要課題や関連目標の設定や見直し、進捗状況のモニタリング・評価などを

   おこない、事業ポートフォリオの見直しや中長期的な経営計画、方向性を決定します。

 ※2)当社が目指す事業ポートフォリオの実現に向けたグローバル事業戦略を立案し、事業本部・研究開発本部・生産本部とともに

   施策の推進・評価・見直しを実施することにより、事業の付加価値を高め、持続可能な成長の実現を目指します。

 ※3)個人と会社がともに成長できる体制や施策を立案し、5つの KIZUNA 共有活動や働きがい改革などを通じて、企業風土の改革

   を目指します。




                              4/11
7.施策
  1)KIZUNA 指標
   ①マテリアリティ(重要課題)と5つの KIZUNA
    優先的な重要課題として以下の12項目を選定し、5つの KIZUNA とリンクさせ、重点的に取
   り組みます。




   ②5つの KIZUNA と KIZUNA 指標
       ARAKAWA WAY 5つの KIZUNA とリンクした優先的な重要課題に対する指標の達成度合いに応
   じてポイントを付与します。2025年度に目標250ポイント、2030年度に目標500ポ
   イントを目指し、「ありたい姿」を実現いたします。




                             5/11
 2)財務目標


ⅰ)連結業績                                                                                         金額:百万円
            2020 年度                2023 年度                              2025 年度                     2030 年度
                予想            目標                伸長率   1)
                                                                   目標            伸長率   1)            目標
  売上高 2)        68,500        84,000             +22.6%            90,000         +31.4%            100,000 以上
  営業利益           2,900         4,500             +55.2%             6,500         +124.1%            10,000 以上
  経常利益           3,200         4,500             +40.6%             6,500         +103.1%            10,000 以上
  当期純利益          1,900         3,250             +71.1%             4,500         +136.8%                     ―
営業利益率(%)           4.2           5.4                    ―             7.2               ―               約 10.0
   EBITDA        5,950         9,800                               11,200
                                                        ―                               ―                     ―
    (%)            8.7          11.7                                 12.4
1)2020 年度予想基準     2)2023 年度と 2025 年度は新収益認識基準を想定した売上高を記載



   (参考)減価償却費(百万円)              2021 年度             2022 年度          2023 年度         2024 年度          2025 年度

     連結減価償却費(予想)                   約 6,300              約 5,700         約 5,300        約 4,900         約 4,700
       うち千葉アルコン製造㈱                 約 3,000              約 2,200         約 1,800        約 1,400         約 1,200


ⅱ)連結業績(セグメント別)                                                                                 金額:百万円
                               2020 年度                       2023 年度                          2025 年度
                                       1)
                                予想                    目標             伸長率    2)
                                                                                       目標             伸長率 2)
    機能性          売上高 3)            15,500               19,000          +22.6%          20,000          +29.0%
 コーティング         セグメント利益             1,350                  1,800        +33.3%              2,100       +55.6%
                 売上高     3)
                                   16,500               19,000          +15.2%          20,000          +21.2%
  製紙・環境
                セグメント利益                400                   900      +125.0%               1,250     +212.5%
   粘接着・          売上高 3)            24,200               30,500          +26.0%          31,000          +28.1%
  バイオマス         セグメント利益             1,150                  1,200        +4.3%               2,100       +82.6%
  ファイン・          売上高 3)            12,000               15,000          +25.0%          18,000          +50.0%
エレクトロニクス        セグメント利益                400                 1,150      +187.5%               1,800     +350.0%
                 売上高     3)
                                            0                200            ―                 600             ―
   みつける
                セグメント利益                     0                 80            ―                 280             ―
                  売上高              68,500               84,000          +22.6%          90,000          +31.4%
                セグメント利益             3,320                  5,150        +55.1%              7,550     +127.4%
    合計          新規開発投資              △350                   △650             ―               △850              ―
                新規開発投資
                                    2,970                  4,500        +51.5%              6,700     +125.6%
                 差引後利益

1)2020 年度の製品構成時    2)2020 年度予想基準                3)2023 年度と 2025 年度は新収益認識基準を想定した売上高を記載
注)2021 年度より事業部の名称を一部改称し、機能性コーティング事業部、製紙・環境事業部、粘接着・バイオマス事業部、

ファイン・エレクトロニクス事業部の 4 事業部体制としました。また、機能性コーティング事業部と粘接着・バイオマス事業部のセ

グメント間で一部製品の区分を変更しております。各事業の付加価値を高め、持続的な成長を実現することに加えて、持続可能性に

貢献できる事業の構築を目的とした事業部体制を将来的に実現することを目標といたします。




                                                 6/11
ⅲ)連結データ
            第 4 次中計期間見込           第 5 次中計期間
                                                          備考
           (2016 年度~2020 年度)   (2021 年度~2025 年度)
                                                   生産能力増強
                                                   ・荒川ケミカルベトナム社
総投資金額          約 300 億円            約 250 億円
                                                   ・機能性コーティング剤
(定常投資含む)      (5 年間累計)            (5 年間累計)
                                                   ・ファインケミカル事業
                                                   M&Aなど
減価償却費       約 30 億円(最終年度)      約 47 億円(最終年度)       ―
  ROE       3.3%以上(最終年度)       7.0%以上(最終年度)        ―
                                                   成長戦略の実現による利益の拡大
                                                   を通じた配当額の増加と、配当の
 配当性向        30%を目途とする           40%を目標とする         「安定的、継続的、かつ積極的」
                                                   な実施という両面を勘案して、配
                                                   当性向 40%を目標とする。




                                7/11
3)事業ポートフォリオ改革
①コア技術・素材
 荒川化学グループが提供できる価値に対して、長期的に経営資源を投入し、
 事業ポートフォリオの中核といたします。




②現事業領域・素材と今後のターゲット分野
 現事業領域に加え、新たな事業領域での事業創出に挑戦いたします。




                   8/11
③プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント
「みつける」
     「そだてる」
          「のばす」ミッションへ積極的に経営資源を投入し、
定常的にポートフォリオを見直します。



2020年度
 現在




2025年度
ありたい姿




                     9/11
④事業の施策概要


 機能性コーティング事業
   機能性コーティング剤の強固な事業基盤構築によるさらなる拡大を推進します。また、
  印刷インキ用樹脂や塗料用樹脂においては、採算性の向上を推し進めるとともに、コア技術を
  活かした新規テーマの創出にも注力いたします。
  ・光硬化型樹脂「ビームセット」、熱硬化型樹脂「アラコート」におけるデジタルデバイス関
   連アイテムの拡充と新規技術の確立、新規分野への参入
  ・各種ポリマー合成技術を活用した地球環境と社会へ貢献できる新規テーマの創出
 製紙・環境事業
   推進中の海外事業の拡大戦略を加速するとともに、国内事業は採算性の向上を強力に推し進
  めます。また、コア技術を活かした新規テーマの創出にも注力いたします。
  ・ASEANを中心としたアジア地域での紙力増強剤の拡大
  ・テーマの選択と集中、生産体制の最適化による国内事業の採算性向上
  ・コア技術である水系ポリマーを活用した地球環境と社会へ貢献できる新規テーマの創出
 粘接着・バイオマス事業
   「ロジンの荒川」から「Global Pine Chemicals Partner」への深化を目指し、松脂資源と
  関連事業の持続性を確保いたします。水素化石油樹脂「ARKON」はアジア唯一のグローバルサ
  プライヤーとして、ブランド力の維持・強化に努めます。
 ・バイオマス素材としての利点を活かしたロジン誘導体事業の拡大と持続性確保
 ・ ARKON」3拠点体制(水島、千葉、ドイツ)の特長を活かした供給体制構築と拡販
  「
 ファイン・エレクトロニクス事業
   通信高速大容量化、自動車電動化をメインターゲットとして、市場ニーズに合わせて関係
  会社を含む関連事業間で素早く連携できる仕組みを確立し、事業のさらなる拡大いたします。
 ・海外の半導体用途および非フラックス洗浄用途での洗浄剤「パインアルファ」の拡大
 ・5Gスマートフォン用高周波FPC市場での「PIAD」の拡大
 ・先端材料分野での拡販と新規テーマの獲得による「ファインケミカル製品」の拡大
 ・センサー市場を中心とした伸長分野での「電子材料用配合製品」の拡大
 ・HDD、SAWデバイス市場での「精密研磨剤」のさらなる拡大
 ・EV関連市場への参入
新規開発
   新規事業創出の仕組みを確立し、ターゲット分野への参入に挑戦いたします。またAI・
  MI活用による研究開発活動の効率化を推進いたします。
 ・新規分野での実績化
   (ライフサイエンス、海洋プラスチック問題解決、セラミックス用、モビリティ関連素材など)
 ・社内テーマ提案・チャレンジャー育成の推進とマーケティング機能の強化
 ・外部ソースの有効活用




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8.サスティナビリティへの取り組み
   経営理念に基づいた持続可能な成長の実現に向けてコーポレート・ガバナンス機能を強化するこ
 とを目的とし、2021 年度よりサスティナビリティ委員会を設置する。当委員会が中心となり、ES
 G、SDGs、Society5.0、気候変動やダイバーシティ&インクルージョンなどを含む環境問題や
 社会的課題に対応すべく、以下の事項に取り組んでまいります。


  1)サプライチェーンの持続性確保に向けた取り組み
   ・根幹であるロジン関連事業をはじめとする持続可能な再生原料の活用推進
   ・カーボンニュートラルの観点での転換原料の活用や生産プロセスの再構築
   ・エネルギーや資源の効率活用
   ・製品設計や製品形態の見直しによる輸送効率の向上やモーダルシフトへの貢献
   ・製品の機能向上によるリサイクルへの貢献、廃水負荷やVOCの低減
   ・植林活動の実施、継続


  2)炭素循環社会の実現に向けた関連産業への取り組み
   ・自動車のEV化や軽量化に関連する素材
   ・5G、6G関連の次世代情報通信や半導体関連素材
   ・スマート農業の促進に寄与する素材
   ・カーボンリサイクルや資源循環産業と関わる素材


  3)個々の能力を最大限発揮できる取り組み
   ・キャリア形成支援
   ・各種制度の充実によるワークライフバランスの最適化
   ・業務プロセス改革



  なお、これらの新たな取り組みを達成した際には、KIZUNA 指標のポイント加算対象といたします。




 見通しに関する注意事項
 当資料に記載されている内容は、種々の前提に基づいたものであり、記載された将来計画数値、
 施策の実現を確約したり、保証したりするものではありません。




                                                以上




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