4881 M-ファンペップ 2021-08-19 16:30:00
機能性ペプチド「SR-0379」の第3相臨床試験における被験者への投与開始のお知らせ [pdf]

                                                    2021 年8月 19 日
各   位
                                会 社 名   株式会社ファンペップ
                                代表者名    代表取締役社長         三好    稔美
                                        (コード番号:4881 東証マザーズ)
                                問合せ先    取締役管理部長兼 CFO      林 毅俊
                                               (TEL. 03-5315-4200)



        機能性ペプチド「SR-0379」の第Ⅲ相臨床試験における被験者への投与開始のお知らせ



 当社は、機能性ペプチド「SR-0379」の皮膚潰瘍患者様を対象とする日本での第Ⅲ相臨床試験を6月に
開始いたしましたが、この度、最初の被験者への治験薬の投与をいたしましたのでお知らせいたします。

  本第Ⅲ相臨床試験はプラセボ対照二重盲検比較試験であり、         簡単な外科的措置(縫合、植皮、有茎皮弁)
が必要な皮膚潰瘍(褥瘡、糖尿病性潰瘍及び下腿潰瘍等)の患者様(目標症例数:120 例)を対象に、
SR-0379 又はプラセボを二重盲検下で 1 日 1 回、28 日間投与した際の有効性及び安全性を検討します。

 植皮等の簡単な外科的措置が必要な皮膚潰瘍は、皮膚が深く欠損した状態にあり、感染をコントロール
しながら、皮膚の再生組織である良性肉芽の形成を促進して創底の状態を改善し、植皮等が生着可能な状
態まで創傷の状態を早期に改善させることが重要です。
 このため、本試験では、「簡単な外科的措置に至るまでの日数」を主要評価項目として設定し、SR-0379
の投与により、植皮等が生着可能な創底状態に皮膚潰瘍が改善するまでの期間が短縮することを確認しま
す。

 SR-0379 は、20 個のアミノ酸からなる機能性ペプチドの開発化合物です。血管新生や肉芽形成促進を主
たる作用とし、抗菌活性を併せ持っていることが特徴です。
 皮膚潰瘍は、皮膚のバリア機能が欠損した状態にあり、創面には様々な細菌が付着しています。細菌増
殖により感染状態になると創傷治癒が遅延し、更に敗血症により重篤な状態が生じる可能性があるため、
細菌、感染のコントロールが重要となります。SR-0379 は、同じく創傷治癒促進作用を持つ既存薬とは異
なり、抗菌活性を有することが示されています。また、SR-0379 は、今後拡大が予想される在宅医療でも
使用しやすい簡便な投与方法(常温保存可能なスプレー剤)であるため、幅広い患者様の治療への貢献が
期待されます。
 当社は、SR-0379 の開発により、高齢化社会を迎え重要性が増している褥瘡等の皮膚潰瘍の早期回復を
促進し、患者様の QOL(quality of life)向上に貢献することを目指しております。

 本件は計画通りの順調な試験進捗を示すものであり、通期業績に対する影響はありません。




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                                          <参考情報>



◆ 研究開発パイプライン

<開発品>
                               事業化   臨床試験   探索                臨床試験
   開発品            対象疾患                            前臨床                          導出先等
                              想定地域   実施地域   研究          第Ⅰ相   第Ⅱ相    第Ⅲ相
                                                                             塩野義製薬(株)
  SR-0379         ⽪膚潰瘍        全世界    ⽇本          第Ⅲ相臨床試験 実施中               (全世界のライセンス契約)

                   乾癬                豪州     第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験 実施中
  FPP003                                                                    ⼤⽇本住友製薬(株)
                              全世界
(標的:IL-17A)                                                                (北⽶のオプション契約)
                 強直性脊椎炎               ー     前臨床
  FPP004           花粉症
                              全世界     ー     前臨床                                 未定
 (標的:IgE)     (季節性アレルギー性⿐炎)
  FPP005
                   乾癬         全世界     ー     前臨床                                 未定
(標的:IL-23)



<研究テーマ>
       種類                 対象疾患                     提携企業
                  精神神経疾患
                  疼痛                           ⼤⽇本住友製薬(株)
                                            (精神神経疾患に関する研究契約)
                  ⾼⾎圧
                                                塩野義製薬(株)
抗体誘導ペプチド          アレルギー性疾患
                                              (疼痛に関する共同研究)
                  抗⾎栓
                                            ㈱メディパルホールディングス
                  家族性⼤腸腺腫症                     (研究開発⽀援)
                  その他
                  新型コロナウイルス感染症                    アンジェス㈱
感染症予防ワクチン
                  (COVID-19)                      (共同研究)




皮膚潰瘍
 皮膚潰瘍には、寝たきりの高齢者に発生することが多い「褥瘡(じょくそう(いわゆる「床ずれ」)、
                                             )」
高齢者での有病率が高い糖尿病の合併症である「糖尿病性潰瘍」や主に静脈うっ血を原因とする「下腿潰
瘍」等があります。皮膚潰瘍の治療は、高齢化社会を迎えてその重要性が増しております。

肉芽
 皮膚潰瘍が治癒する過程で形成される、赤く柔らかい粒状の結合組織のことです。

◆ SR-0379 の抗菌作用メカニズム
 皮膚や免疫細胞には「抗菌ペプチド」と呼ばれる 20~40 個程度のアミノ酸から構成される一群のペプ
チドが存在し、免疫防御機能の一翼を担っております。   「抗菌ペプチド」は、プラスに荷電している親水性
のアミノ酸と疎水性のアミノ酸が偏在するという構造的特徴により、    細菌や真菌の細胞膜を破壊して抗菌
作用を示します。SR-0379 は、天然に存在する「抗菌ペプチド」と類似の構造的特徴を持つことから、同
様の作用メカニズムで抗菌活性を示し、細菌等の細胞膜を破壊する作用メカニズムのため、耐性菌ができ
にくいと考えられます。




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<抗菌ペプチドの抗菌作用メカニズム>

親⽔性部位


        疎⽔性部位



   抗菌ペプチド        細菌の細胞膜         「プラスの電荷」の抗菌   細菌の細胞膜を破壊
 らせん構造(両親媒性)    「マイナスの電荷」       ペプチドが「マイナス電
  「プラスの電荷」                      荷」の細菌膜に結合し、
                                膜を貫通

                                                     以上




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