4689 Zホールディングス 2021-04-28 15:00:00
2021年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) [pdf]

                               2021年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
                                                                                                2021年4月28日
上 場 会 社 名            Zホールディングス株式会社                                                         上場取引所       東
コ ー ド 番 号            4689         URL https://www.z-holdings.co.jp/
代  表  者 (役職名) 代表取締役社長Co-CEO(共同最高経営責任者) (氏名) 川邊 健太郎
問合せ先責任者 (役職名) 専務執行役員GCFO(最高財務責任者)        (氏名) 坂上 亮介 (TEL)03-6779-4900
定時株主総会開催予定日   2021年6月18日  配当支払開始予定日                                                           2021年6月4日
有価証券報告書提出予定日 2021年6月17日
決算補足説明資料作成の有無    : 有
決算説明会開催の有無       : 有 (証券アナリスト向け)
 
                                                                                                       (百万円未満切捨て)
1.2021年3月期の連結業績(2020年4月1日~2021年3月31日)
(1)連結経営成績                                                                                          (%表示は対前期増減率)
                                                                                          親会社の所有者に            当期包括利益
                売上収益              営業利益            税引前利益                 当期利益
                                                                                          帰属する当期利益              合計額
                 百万円       %     百万円         %    百万円            %     百万円           %      百万円          %      百万円        %
2021年3月期 1,205,846 14.5 162,125             6.5 142,615      5.1       89,120       1.2    70,145 △14.1 121,227 52.7
2020年3月期 1,052,943 10.3 152,276             8.4 135,676     10.0       88,020      13.1    81,675   3.8 79,393 △5.0

                                                   基本的             希薄化後            親会社所有者
                                                                                           資産合計   売上収益
               調整後EBITDA        調整後EPS           1株当たり            1株当たり              帰属持分
                                                                                          税引前利益率 営業利益率
                                                  当期利益             当期利益             当期利益率
               百万円       %       円 銭        %            円 銭               円 銭                %               %                %
2021年3月期 294,837       18.8     18.27 △2.1              14.02              14.01            4.1              2.7          13.4
2020年3月期 248,107          -     18.66    -              16.88              16.88           10.3              4.3          14.5
(参考) 持分法による投資損益 2021年3月期         △19,418百万円   2020年3月期  △24,542百万円
 (注) 調整後EBITDA及び調整後EPSは2021年3月期から開示しているため2020年3月期の対前期増減率の記載は省略しています。
     調整後EBITDA及び調整後EPSの定義は次のページをご覧ください。
(2)連結財政状態
                                                       親会社の所有者に                    親会社所有者               1株当たり親会社
                  資産合計                   資本合計
                                                        帰属する持分                     帰属持分比率                所有者帰属持分
                           百万円                  百万円                    百万円                         %                   円 銭
    2021年3月期         6,696,680             2,989,597             2,682,318                    40.1                   353.17
    2020年3月期         3,933,910             1,047,823               771,548                    19.6                   162.01

(3)連結キャッシュ・フローの状況
                 営業活動による                   投資活動による                      財務活動による                     現金及び現金同等物
                キャッシュ・フロー                 キャッシュ・フロー                    キャッシュ・フロー                       期末残高
                                百万円                       百万円                             百万円                         百万円
    2021年3月期                   207,921                  △12,349                      △12,070                       1,065,726
    2020年3月期                   241,578                 △503,734                       595,809                        880,100
(注)2020年3月期のキャッシュ・フローは、表示方法の変更を反映した遡及適用後の数値を記載しています。

2.配当の状況
                                                                                                                親会社所有者
                                           年間配当金                                    配当金総額           配当性向       帰属持分配当率
                 第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                     期末               合計        (合計)            (連結)         (連結)
                    円 銭    円 銭    円 銭                        円 銭            円 銭           百万円                %         %
2020年3月期                   ―        0.00          ―             8.86         8.86         42,195         52.5             5.5
2021年3月期                   ―        0.00          ―             5.56         5.56         42,228         39.7             2.2
2022年3月期(予想)               ―        0.00          ―             5.56         5.56                          ―

3.2022年3月期の連結業績予想(2021年4月1日~2022年3月31日)
                                                                                              (%表示は、対前期増減率)
                                       売上収益                                                 調整後EBITDA
                                           百万円                         %                               百万円                %
    2022年3月期             1,520,000~1,570,000              26.1~30.2                   303,000~313,000              2.8~6.2
(注) 会計影響を排除した評価へと移行するため、営業利益から調整後EBITDAへ経営指標を変更しています。
詳細は通期決算短信(添付資料)4ページ「1【経営成績・財政状態に関する分析】(1)連結経営成績に関する定性的情報 3.次期の見通し
(2021年4月1日~2022年3月31日)」をご覧ください。
※    注記事項
(1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動)                                          : 有

    新規   2社 (社名)LINE株式会社、LINE Financial Asia Corporation Limited         除外     -社

(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更
  ① IFRSにより要求される会計方針の変更                                : 無
     ②   ①以外の会計方針の変更                                   : 無
     ③   会計上の見積りの変更                                    : 無

(3)発行済株式数(普通株式)
     ①   期末発行済株式数(自己株式を含む)              2021年3月期    7,655,201,395株   2020年3月期    4,822,507,465株

     ②   期末自己株式数                        2021年3月期      60,141,521株    2020年3月期        60,061,000株

     ③   期中平均株式数                        2021年3月期    5,003,819,285株   2020年3月期    4,838,708,061株


(4) 各種経営指標の算式
・調整後EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費±EBITDA調整項目
・調整後EPS:調整後当期利益/普通株式の期中平均株式数

    ※ EBITDA調整項目:営業収益・費用の内、非経常かつ非現金の取引損益(固定資産除却損、減損損失、株式報酬費
    用、段階取得差損益、その他現金の流出が未確定な取引(一時的な引当金等)等)
    ※ 調整後当期利益:親会社の所有者に帰属する当期利益±EBITDA調整項目±調整項目の一部に係る税金相当額

 ※ 決算短信は公認会計士又は監査法人の監査の対象外です
 ※ 業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
・本資料に記載されている業績予想等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断
する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により予想数値と大きく異なる可能性があります。
・決算補足説明資料は、2021年4月28日(水)に当社ホームページ(https://www.z-holdings.co.jp/ir/)に掲載していま
す。
                      Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信




○添付資料の目次
 
1【経営成績・財政状態に関する分析】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・         2
  (1)連結経営成績に関する定性的情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        2
  (2)連結財政状態に関する定性的情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        5
  (3)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 ・・・・・・・・・・・        6
  (4)経営上の重要な契約等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        7

2【経営方針】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        12
  (1)会社の経営の基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       12
  (2)目標とする経営指標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       12
  (3)中長期的な会社の経営戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       12
  (4)会社の対処すべき課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       15

3【会計基準の選択に関する基本的な考え方】 ・・・・・・・・・・・・・・・・        16
  
4【連結財務諸表及び主な注記】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        17
   (1)連結財政状態計算書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      17
   (2)連結損益計算書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      19
   (3)連結包括利益計算書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      20
   (4)連結持分変動計算書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      21
   (5)連結キャッシュ・フロー計算書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      23
   (6)継続企業の前提に関する注記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      24
   (7)連結財務諸表に関する注記事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      25
 




                        1
                                        Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


1【経営成績・財政状態に関する分析】
(1)連結経営成績に関する定性的情報
 1.連結経営成績の概況(2020年4月~2021年3月)
 ■トピックス
  トピックス
 ・売上収益は1.20兆円(前年同期比14.5%)2年連続で2桁成長を達成、調整後EBITDAは2,948億円
  (前年同期比18.8%)増益を達成
   前年同期比18.8  増益を達成
 ・ショッピング事業の成長がけん引し、eコマース取扱高は3.22兆円(前年同期比24.4%増)
  ショッピング事業の成長がけん引
               がけん引し    コマース取扱高は3.22 前年同期比24.4

                           前連結会計年度 当連結会計年度                  増減(額)         増減(率)
売 上 収 益                        1兆529億円        1兆2,058億円     1,529億円増         14.5%増

営 業 利 益                         1,522億円         1,621億円        98億円増          6.5%増

調整後EBITDA                       2,481億円         2,948億円       467億円増         18.8%増

親会社の所有者に
                                  816億円           701億円       115億円減         14.1%減
帰属する当期利益
  当 連 結 会 計 年 度 の 売 上 収 益 は、2019 年 11 月 に ( 株 )ZOZO を 連 結 子 会 社 化 し た こ と、2021 年 3 月 に
LINE(株)と経営統合したこと、およびアスクルグループの売上収益が増加したこと等により、前年同期
比で増加しました。営業利益は、(株)ZOZOを連結子会社化したこと等により、前年同期比で増加しまし
た。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期にPayPay(株)の持分変動利益108億円を計上した
影響等により、前年同期比で減少しました。

2.セグメントの業績概況(2020年4月~2021年3月)
セグメント別の売上収益・営業利益
                            前連結会計年度           当連結会計年度        増減(額)         増減(率)
コマース事業
                   売上収益           7,153億円        8,402億円     1,248億円増        17.5%増
                   営業利益             763億円        1,112億円       349億円増        45.7%増
メディア事業
                   売上収益           3,360億円        3,406億円        46億円増         1.4%増
                   営業利益           1,570億円        1,501億円        69億円減         4.4%減
その他
              売上収益                  80億円          324億円        244億円増       304.9%増
         営業利益(△は損失)                △46億円         △110億円         63億円減             ―
調整額
                   売上収益            △64億円          △74億円               ―            ―
                   営業利益           △764億円         △881億円               ―            ―
合計
                 売上収益           1兆529億円       1兆2,058億円      1,529億円増        14.5%増
                 営業利益            1,522億円        1,621億円         98億円増         6.5%増
               調整後EBITDA         2,481億円        2,948億円        467億円増        18.8%増
 (注) 1 サービスの効率的な提供に重点を置き、迅速に市場の変化に対応するため、一部のサービスおよび子会社を
       セグメント間で移管しています。主な変更内容は、2020年4月1日より、子会社である(株)カービューを含
       む自動車関連サービスを「コマース事業」から「メディア事業」へ移管していることおよび2020年10月1日
       より、子会社である(株)イーブックイニシアティブジャパンを含むデジタルコンテンツ関連サービスを「コ
       マース事業」から「メディア事業」へ移管していることです。これに伴い、過去のデータおよび比較につい
       ては現在のセグメントに合わせて遡及修正しています。
     2「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、クラウド関連サービスおよび1ヶ月
       分(2021年3月1日から同年3月31日まで)のLINE関連サービス等を含みます。
     3 調整額は、セグメント間取引および報告セグメントに帰属しない全社費用です。




                                          2
                             Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


① 当連結会計年度のコマース事業
 2019年11月に(株)ZOZOを連結子会社化し、同社の売上収益が好調に推移したこと、ショッピング広告
売上収益(※1)が増加したこと、ワイジェイカード(株)の売上収益が増加したこと等により、コマース
事業の売上収益は前年同期比で増加しました。またeコマース取扱高(※2)は3.22兆円(前年同期比
24.4%増)となりました。PayPayの決済回数は、キャッシュレス決済の浸透に加え、「超PayPay祭」等
の販促活動により、20億3,790万回(前年同期比約2.5倍)となりました。
 以上の結果、当連結会計年度におけるコマース事業の売上収益は8,402億円(前年同期比17.5%増)、
営業利益は1,112億円(前年同期比45.7%増)となりました。なおこの売上収益が全売上収益に占める割
合は69.7%となりました。

(※1)ショッピング広告売上収益は、ヤフー(株)単体におけるショッピング広告売上収益、バリューコマース(株)が
「Yahoo!ショッピング」出店ストアに販売している「Yahoo!ショッピング」の広告商品「ストアマッチ」等の売上収益、
および「PayPayモール」掲載料の合計値です。「Yahoo!ショッピング」、「PayPayモール」出店ストアが出稿している
検索広告、Yahoo!広告(運用型)の売上収益はメディア事業セグメントの広告売上収益に計上しています。
(※2)eコマース取扱高は、物販系、サービス系、デジタル系の取扱高の合算値です。


② 当連結会計年度のメディア事業
 新型コロナウイルスの影響で広告出稿の減少が続いたものの、営業活動やプロダクト改善等により、
メディア事業の広告関連売上収益は、前年同期比で増加しました。
 以上の結果、当連結会計年度のメディア事業の売上収益は3,406億円(前年同期比1.4%増)、営業利益
は1,501億円(前年同期比4.4%減)となりました。なおこの売上収益が全売上収益に占める割合は28.2%
となりました。




                              3
                            Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


各セグメントの主な商品
          広告            ディスプレイ広告(「運用型」、「予約型」)、「ZOZO」

                        「ASKUL」、「ZOZO」、アフィリエイト関連、予約関連、「ヤフオ

          ビジネス(法人向け)    ク!」法人向けシステム利用料、決済関連、銀行業関連、クレジッ

                        トカード関連等、不動産関連

コマース事業                  「LOHACO」、「ZOZO」、「Yahoo!プレミアム」、「ヤフオク!」個

                        人向けシステム利用料、「PayPayフリマ」販売手数料、クレジット
          パーソナル(個人向け)
                        カード関連、ペット用品関連、通信キャリア関連、銀行業関連、FX

                        関連、決済関連

          その他           銀行業関連

          広告            検索広告、ディスプレイ広告(「運用型」、「予約型」)

メディア事業    ビジネス(法人向け)    メディア関連、CRM関連等

          パーソナル(個人向け)   動画関連、電子書籍関連等

          広告            LINEディスプレイ広告、アカウント広告等

          ビジネス(法人向け)    LINE FRIENDS、O2O、コマース、AI関連、公金決済関連等
その他
                        LINE コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン、 コ ン テ ン ツ、 金 融 サ ー ビ ス 関 連、
          パーソナル(個人向け)
                        「Yahoo!メール」、公金決済関連等
 (注) ビジネス、パーソナルの区分けは契約者が法人の場合はビジネス、個人の場合にはパーソナルに分類されます。
     商品項目によっては、ビジネスとパーソナルに分かれて実績が計上されます。


 3.次期の見通し(2021年4月1日~2022年3月31日)
  LINE(株)との経営統合も踏まえ、2022年3月期の連結売上収益は1.52~1.57兆円(前年度比26.1~
30.2%増)、調整後EBITDAは3,030~3,130億円(前年度比2.8~6.2%増)を見込んでいます。
 なお新型コロナウイルスの影響により依然として事業環境が不透明であること、加えて、LINE(株)と
の経営統合の初年度ということもあり、幅を持たせた業績予想としています。




                              4
                         Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


(2)連結財政状態に関する定性的情報
 
 資産、負債および資本の状況
 
  1. 資産
     当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて2,762,770百万円(70.2%増)増加
    し、6,696,680百万円となりました。
      
     主な増減理由は以下のとおりです。
    ・現金及び現金同等物の主な増減理由は、「キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
    ・銀行事業の有価証券は、取得額が売却額を上回ったことにより前連結会計年度末と比べて増加
    しました。
    ・銀行事業の貸付金は、主に住宅ローン債権が増加したことにより前連結会計年度末と比べて増
    加しました。
    ・その他の金融資産は、主に中央清算機関差入証拠金の増加およびLINE(株)との経営統合により
    前連結会計年度末と比べて増加しました。
    ・のれん、無形資産および持分法で会計処理されている投資は、主にLINE(株)との経営統合によ
    り前連結会計年度末と比べて増加しました。

  2. 負債
     当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて820,995百万円(28.4%増)増加し、
   3,707,082百万円となりました。
      
     主な増減理由は以下のとおりです。
   ・営業債務及びその他の債務は、主に外国為替取引顧客預り証拠金の増加およびLINE(株)との経
   営統合により前連結会計年度末と比べて増加しました。
   ・銀行事業の預金は、顧客からの預金の増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。
   ・有利子負債は、主に社債発行による増加およびLINE(株)との経営統合により前連結会計年度末
   と比べて増加しました。
   ・繰延税金負債は、主にLINE(株)との経営統合により前連結会計年度末と比べて増加しました。

  3. 資本
     当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末と比べて1,941,774百万円(185.3%増)増加
    し、2,989,597百万円となりました。
     
    主な増減理由は以下のとおりです。
   ・資本剰余金は、主に株式交換によってLINE(株)との経営統合を実施したことにより前連結会計
   年度末と比べて増加しました。
   ・利益剰余金は、配当の支払があったものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により
   前連結会計年度末と比べて増加しました。
   ・非支配持分は、主にLINE(株)との経営統合により前連結会計年度末と比べて増加しました。

 キャッシュ・フローの状況
    
   当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ185,626百万円増加
  し、1,065,726百万円となりました。このうち銀行事業に関する日銀預け金は294,165百万円です。

   当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
   営業活動によるキャッシュ・フローは、銀行事業の貸付金の増加およびグループ会社間の配当に
  係る源泉所得税の納付があったものの、主に税引前利益の計上および銀行事業の預金の増加、グル



                           5
                        Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


 ープ会社間の配当に係る源泉所得税の還付により207,921百万円の収入となりました。
  投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の支配獲得による収入があったものの、主に銀行
 事業の有価証券の取得・売却等および無形資産、有形固定資産、株式の取得により12,349百万円の
 支出となりました。
  財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行および長期借入があったものの、主に短期借
 入金の繰上返済および長期借入金の返済、社債の償還、配当金の支払いにより12,070百万円の支出
 となりました。

(3)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
  当社は中長期的かつ持続的な企業価値の向上を目指しており、そのためには、将来の成長を見据え
たサービスへの先行投資や設備投資、資本業務提携を積極的に行うことが重要だと認識しています。同
時に、利益還元を通じて株主の皆さまに報いることが上場会社としての責務と捉えています。
 上記方針のもと、当期の期末配当金については、1株当たり5.56円(配当金総額は422億円)としまし
た。2022年3月期の期末配当金についても、配当金総額を同額で継続する予定です。
 当社はこれからも、将来の成長のための投資を継続しながら、株主の皆さまへの適切な利益還元を行
うことにより、企業価値の向上を目指します。




                         6
                                           Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


(4)経営上の重要な契約等
   以下には、当社グループにおける重要な契約に関する事項を記載しています。

1. オース・ホールディングス・インクとのライセンス契約
契約の名称   ヤフージャパン          ライセンス契約
         (YAHOO JAPAN LICENSE AGREEMENT)
契約締結日   1996年4月1日

契約期間     1996年4月1日~(期限の定めなし)
             但し、(i)当事者の合意による場合、(ii)一方当事者の債務不履行、若しくは破産等を原因として
         本契約が解除される場合、(iii)オース・ホールディングス・インクが競合するとみなす企業等によ
         りヤフー㈱の株式の3分の1以上が買収された場合、または(ⅳ)ヤフー㈱につき合併、買収等される
         場合において、その合併、買収等される前のヤフー㈱の株主が合併、買収等された後の会社の議決権
         の過半数を維持できない場合(但し、オース・ホールディングス・インクの同意がある場合を除く)に
         おいては本契約は終了する。
契約相手先  オース・ホールディングス・インク

主な内容      ① オース・ホールディングス・インクのヤフー㈱に対する下記のライセンスの許諾
         ・日本市場のためにカスタマイズされローカライズされたオース・ホールディングス・インクの情報
             検索サービス等(以下、日本版情報検索サービス等という)の使用複製等に係る非独占的権利
         ・オース・ホールディングス・インクの商標等の日本における利用等にかかる非独占的権利
         ・オース・ホールディングス・インクの商標等の日本における出版に関する利用等にかかる独占的権
             利
         ・日本版情報検索サービス等の開発、商業利用、プロモーション等に係る全世界における独占的権利
          ② ヤフー㈱が追加する日本固有のコンテンツのオース・ホールディングス・インクに対する全世
             界における利用にかかる非独占的権利の許諾(無償)
          ③ ヤフー㈱のオース・ホールディングス・インクに対するロイヤルティの支払い
          (注) ロイヤルティの計算方法は、売上総利益から販売手数料を差し引いた金額の3%を支払金額と
             していましたが、2005年1月から、計算方法の見直しにより、下記に記載の計算式により支払金額
             を算定しています。
             ロイヤルティの計算方法
         {(売上収益)-(広告販売手数料*)-(取引形態の異なる連結子会社における売上原価等)}×3%
         *
          広告販売手数料は連結ベース




                                            7
                                        Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信




2. グーグル・アジア・パシフィック・プライベート・リミテッドとの業務提携契約
契約の名称     サービス提供契約

          (GOOGLE SERVICES AGREEMENT)

契約締結日     2020年5月29日(当初契約日2010年7月27日)

契約期間      2025年3月31日まで

契約相手先     グーグル・アジア・パシフィック・プライベート・リミテッド
主な内容    ① 相手方による検索技術および検索連動型広告配信技術の非独占的提供
            相手方は、検索技術および検索連動型広告配信技術を非独占的にヤフー㈱に提供し、ヤフー㈱は、
            これらを用いて自らのブランドにてサービスを提供する。
        ② 検索サービスの差別化
            両者は、検索サービスによる検索結果について差別化するための付加的な機能を自由に開発・運
            用することができる。
            ヤフー㈱は、相手方が提供する検索結果を自らの判断で表示するか否かを決定することができ
            る。
        ③ ヤフー㈱の相手方に対するサービスフィーの支払い
            ヤフー㈱が提供を受けたサービスの対価は、ヤフー㈱のサイトから得られる金額を基準に年次に
            応じて定められた計算式によって算出される金額とする。ヤフー㈱がパートナーのサイトで利用
            したサービスの対価は、パートナーのサイトから得られる売上収益に年次毎に定められたレート
            を乗じた金額とする。




                                         8
                         Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信




3. 株式交換契約
  当社は2020年1月31日開催の取締役会決議に基づき、LINE(株)(以下、LINEという。)の完全子会社
であるLINE分割準備(株)との間で、LINEとの経営統合にかかる一連の取引の一部として、同日付けで
株式交換契約(以下、本株式交換契約という。)を締結しましたが、2020年6月30日付「経営統合の実
施に向けた進捗状況のお知らせ」および2020年8月3日付「経営統合の実施に係る日程に関するお知
らせ」のとおり、経営統合の実施に係る今後の日程の見直しを行ったことから、2020年8月3日、両
社はそれぞれの臨時取締役会において、本株式交換契約において定めたその効力を生ずる日(以下、
効力発生日という。)の見直しを行うことを決議し、株式交換契約変更契約書(以下、本変更契約とい
う。)を締結しました。
 本株式交換契約では、効力発生日は2020年10月1日を予定していましたが、本変更契約において、
効力発生日は2021年3月1日を予定とする効力発生日の見直しを行うことを合意しています。本変更
契約にて見直しを行った効力発生日を除いて、本株式交換契約から重要な変更はありません。
  なお、本株式交換は2021年3月1日に完了しました。




                           9
                            Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信




4. 金銭消費貸借契約
   当社は、(株)ZOZO株式公開買付に関わる資金調達に係る借入の借換えのため、2020年9月30日付で
 (株)みずほ銀行をエージェントとする取引金融機関5行との間で金銭消費貸借契約を締結し、2020年
 10月30日に借入を実施しました。

 主な契約内容は、以下のとおりです。
  ① 借入金額
     150,000百万円
  ② 借入利率
     全銀協TIBOR運営機関が公表する日本円TIBOR+スプレッド
     なお、スプレッドは契約書においてあらかじめ定められた数値が適用されます。
  ③ 返済期限
     2025年9月30日
  ④ 担保状況
     無担保
  ⑤ 連帯保証人
     ヤフー(株)
  ⑥ 借入人の主な義務
   a. 多数貸付人の承諾がない限り、第三者への保証の提供、当社の連結子会社以外の第三者への貸付および当社
  連結子会社以外の第三者への投融資資金に充てることを目的とする当社の連結子会社に対する貸付を行わないこ
  と。また、ソフトバンクグループ(株)およびソフトバンク(株)の債務を保証する保証提供、貸付その他与信行為、
  出資その他の投資を行わないこと。
   b. 財務制限条項
   (a)2020年9月期(第2四半期)以降の各決算期における決算期の各末日時点における当社の貸借対照表に表示さ
  れる純資産の部の金額が、前年同期比75%を下回らないこと。
   (b)2020年9月期(第2四半期)以降の各決算期における第2四半期と決算期の各末日時点における当社グループ
  の連結財政状態計算書に表示される資本の金額が、前年同期比75%を下回らないこと。
   (c)2020年9月期(第2四半期)以降の各決算期における決算期の各末日時点における当社の貸借対照表において
  債務超過とならないこと。
   (d)2020年9月期(第2四半期)以降の各決算期における第2四半期と決算期の各末日時点における当社グループ
  の連結財政状態計算書において債務超過とならないこと。
   (e)2021年3月決算期以降の各決算期における決算期末日時点における当社の損益計算書に表示される営業損益
  又は当期純損益に関して2期連続して損失とならないこと。
   (f)2021年3月決算期以降の各決算期における決算期末日時点における当社グループの連結損益計算書に表示さ
  れる営業損益又は当期損益に関して2期連続して損失とならないこと。
   (g)2020年9月期(第2四半期)以降の各決算期における第2四半期と決算期の各末日時点におけるネットレバレ
  ッジ・レシオ(ⅰ)が一定の数値以下であること。
   (ⅰ)ネットレバレッジ・レシオ=ネットデット(ⅱ)÷調整後EBITDA(ⅲ)
   (ⅱ)当社グループの連結財政状態計算書に示される有利子負債から現金及び現金同等物を控除した金額をい
  う。なお、ここでいう有利子負債には資産流動化(証券化)の手法による資金調達取引から生じた有利子負債を含
  めない、(株)ジャパンネット銀行の有利子負債および現金及び現金同等物は、有利子負債および現金及び現金同
  等物に含めない等の一定の調整あり。
   (ⅲ)EBITDAは営業利益に減価償却費および営業費用に含まれる除却損等、金融機関との契約で定められた一定
  の調整を加えたもの。




                             10
                                  Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信




5. 債務保証に関する契約
    当社は、LINE(株)(以下、LINEという。)との経営統合に係る一連の取引に関連して、LINEが発行
  する新株予約権付社債の繰上償還に関わるLINEによる資金調達につき連帯保証を提供するため、
  2020年9月30日付で、LINE、NAVER Corporation、(株)みずほ銀行をエージェントとする取引金融
  機関22行との間で、債務保証に関する契約を締結しています。

     主な契約内容は、以下のとおりです。
    ① LINEによる資金調達の概要
    LINEの下記「シンジケートローン契約締結に関するお知らせ」をご参照ください。
    https://d.line-scdn.net/stf/linecorp/ja/ir/all/LINE_20200928_2_JP.pdf
    ② 保証の範囲
    当社は、LINEのトランシェB(686億円)およびトランシェD(57億円)に係る借入債務につき、それ
   ぞれの取引金融機関に対して連帯保証を提供しています。
    なお、当社は、上記資金調達においてNAVER Corporationが提供する保証に関連して、経営統合
   完了により当社の連結子会社となったLINE(旧・LINE分割準備(株)であり、LINEの資金調達に関す
   る権利義務を含むLINEの事業を承継した法人)がNAVER Corporationに対して負担する可能性のあ
   る求償債務につき、NAVER Corporationに対して連帯保証を提供しています。
    ③ 保証人の主な義務
    当社は、LINEとの経営統合の完了日以降、LINEが借入に関する全ての債務の履行を完了するま
   での間、LINEおよびヤフー(株)を当社の連結子会社として維持し、かつ、当社のLINEおよびヤフ
   ー(株)に対する持株比率が50.1%を下回らない状態を保持し続けることを確約しています。




                                   11
                          Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


2【経営方針】
 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
 当社グループは、情報技術の力で全ての人に無限の可能性を提供する「UPDATE THE WORLD」をミッシ
ョンに掲げ、『人類は、「自由自在」になれる』というビジョンの実現を目指しています。
 情報技術の発展により、人々はインターネットを介してあらゆる知識・情報の取得と、世界中に向け
た情報発信が可能になりました。今後も人々は情報技術の活用によって様々な制約から解放されるとと
もに、新たな未来を創っていくと当社グループは考えます。
 常にユーザーファーストの視点を貫き持続的成長に向けたサービスの向上に努め、人々や社会の課題
を解決することに貢献し、当社グループの企業価値向上を目指します。

(2)目標とする経営指標
 当社グループは主要財務指標として、全社の売上収益、調整後EBITDA(注1)を重視しています。サ
ービス毎の指標として、コマース事業ではeコマース取扱高、クレジットカード取扱高、「PayPay」決
済回数等を設定しています。メディア事業では広告関連売上収益、月間ログインユーザーID数、スマー
トフォンログインユーザー利用時間等を指標としています。
(注1)調整後EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費±EBITDA調整項目
※ EBITDA調整項目:営業収益・費用の内、非経常かつ非現金の取引損益(固定資産除却損、減損損失、
株式報酬費用、段階取得差損益、その他現金の流出が未確定な取引(一時的な引当金等)等)


(3)中長期的な会社の経営戦略
 1.経営環境
 近年、情報技術が発達し社会のあらゆる領域でオンラインとオフラインの境目は急速に失われていま
す。インターネットの可能性が飛躍的に広がる中で、期せずして生じた新型コロナウイルス感染症拡大
により、かつてない大きな変革期を迎えています。オンラインとオフラインの融合により、ビッグデー
タの価値が加速度的に高まっています。日本政府が提唱する「Society5.0」にあるとおり、データを用
いて経済発展と社会課題の解決を両立するサービスや事業を創り出す企業が求められています。
 さらに世界中でキャッシュレスやIoT、ビッグデータ等、インターネットを介し、革新的で高い利便
性を持つサービスが次々と生み出され、生活の新しいスタンダードになりつつあります。加えて、海外
のIT企業が日本に進出し、その存在感は年々高まっています。他方、国内でもベンチャー企業が次々と
現れており、激しい競争が続くインターネット市場では今後もめまぐるしい環境変化が予想されます。
 当社グループの展開する事業はコマース事業とメディア事業に大別されます。コマース事業では、経
済産業省の調査によると、2019年のBtoC-EC市場規模は19.0兆円、物販系分野におけるEC化率は、6.76
%となりました。日本のEC化率は年々右肩上がりに上昇しており、さらなる上昇余地があると考えられ
ます。特に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛要請を契機にeコマースの利用が拡大し、
日本のEC化率がさらに上昇することが予想されます。今後の拡大が期待されるキャッシュレス決済の領
域に関しては、経済産業省のキャッシュレス・ビジョン「支払い方改革宣言」において、日本のキャッ
シュレス決済比率は約2割と海外に比べて低い水準にあることから、2025年にキャッシュレス決済比率
を4割にまで引き上げることを目標としています。このようにコマース事業の市場は拡大するととも
に、ビッグデータやテクノロジーの活用、モバイルペイメントといった決済手段により、オンラインと
オフラインの融合が進むことが予想されます。
 また、当社グループが創業期から事業を展開しているメディア事業では、(株)電通の発表によると、
2020年における日本の総広告費は通年で6兆1,594億円となりました。そのうちインターネット広告費
は、テレビメディア広告費を上回り、初めて2兆円を超える2兆2,290億円となりました。そこから
「インターネット広告制作費」および「物販系ECプラットフォーム広告費」を除いた「インターネット
広告媒体費」は、1兆7,567億円と成長を続けています。広告種別では、検索連動型広告とディスプレ
イ広告の2種で全体の約7割を超え、ビデオ(動画)広告は前年から伸長し全体の約2割を占めました。


                           12
                             Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信




 2.経営戦略
 当社グループは創業以来、「ユーザーファースト」を信念としてサービスを展開してきました。規模
や組織が変化したいまも、サービスの利便性をさらに高め、人々の生活を豊かにしていきたいという想
いは変わりません。その実現にはユーザーへのより多角的かつ深い理解が不可欠との考えから、「デー
タの蓄積・活用を通じて利用者を最も理解する存在」、ひいては「日本の利用者を最も理解する国産プ
ラットフォーマー」となるべく取り組んでいます。日本に住む人々を最も理解し、最高の体験を提供す
ることで社会課題を解決し、未来を創り出すための中核となるのが「マルチビッグデータの横断利活
用」です。2018年度から「第三の創業期」と位置付け、マルチビッグデータを活かした事業モデルを展
開する「データドリブンカンパニー」への変革を目指し、積極的に成長投資を行ってきました。
  当社グループは、コマースとメディアという異なる事業において、eコマース、メディア、Fintechを
中心とした多様なサービスを展開しています。オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提
供する、世界的にもユニークな企業グループです。当社グループの提供する多様なサービスから得られ
る豊富なデータは、当社グループならではのサービスを創り出すための重要な競争優位性となります。
各サービスから得られるデータを横断的に活用することで、利用者一人ひとりに最適化されたサービス
を提供し、さらに質の高い利用者体験の提供を目指します。
 その実現に向けた施策の1つが、ソフトバンク(株)との連携強化です。従来からeコマースやモバイ
ルペイメント事業等の分野で事業連携を進めてきましたが、2019年6月に当社グループはソフトバンク
(株)の連結子会社になりました。世界的にも類を見ない規模の「情報通信グループ」として、両者の多
様なサービス群と国内最大級の顧客基盤、およびそこから得られる膨大な量と種類のマルチビッグデー
タを活用し、さらなる成長と企業価値の向上を目指します。
 さらに、この取り組みを強力に推進し日本・アジアを代表する企業グループになるべく、当社グルー
プは2021年3月1日にLINE(株)との経営統合を完了しました。当社グループはLINE(株)との統合によ
り、サービスを提供する国と地域は230にまで広がりました。またLINEのアジア主要国と地域における
1億6700万人の利用者基盤を活かし、各事業でのシナジー創出に向け取り組み、当社グループにしか創
れない未来を力強く創造していきます。
 また、このように多様なサービス・グループ会社を展開する経営を進めることは、安定的な収益創出
にもつながります。新型コロナウイルスの感染拡大など有事の際でも収益源やビジネスモデルが多様性
に富むことで影響を分散化できるため、経営基盤の安定に寄与すると考えています。
 これらの競争優位性や強みを活かし、利用者のニーズに合致したより質の高いサービスから、新たな
利用者体験を創り出していきます。こうした取り組みを通じ、2023年度に売上収益2兆円、調整後
EBITDA3,900億円の達成を中期目標として掲げています。
 豊富なデータ量と多様性あふれるデータ資産を持ち合わせた国内最大級のデータ所有者として、その
能力を最大限に引き出し、日本全体の価値を向上させる企業を目指します。

  3.主要セグメントの基本方針
  コマース事業
  コマース事業では、eコマース関連サービスや会員向けサービス、決済金融関連サービス等を提供し
ています。ソフトバンク(株)、PayPay(株)、(株)ZOZO等との連携が奏功し、ショッピング事業取扱高は
6年連続でYoY20%以上の高い成長率を維持しています。2019年度にローンチしたプレミアムなオンラ
インショッピングモールである「PayPayモール」では実店舗の在庫をオンライン上で購入できる「X
(クロス)ショッピング」を開始しており、約140兆円規模のオフライン消費市場でのシェア獲得を目
指します。加えて、LINE(株)との統合による短期的な取り組みとして、各社のロイヤリティプログラム
を統合し、ヤフー、PayPay、LINEの3つの起点を活用させることで、サービス間のクロスユースを促
し、経済圏を一層拡大していきます。中・長期的な取り組みとして、LINEのコミュニケーション機能を
活用した「ソーシャルコマース」を展開していきます。その実現のための施策の一つが、NAVER
Corporationの知見を活かした「Smart Store Project」の展開です。この取り組みを通じ、企業のECサ
イト構築から売上最大化までを支援するサービスを2021年度に開始する予定です。今後も2020年3月に



                              13
                           Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


発表したヤマトホールディングス(株)との物流・配送の強化に関する業務提携による物流サービスの改
善、ロイヤリティプログラムの強化、及びソーシャルコマース等の我々の強みやグループ全体のアセッ
トを活かした便利でお得なサービスを展開することにより、eコマース取扱高の持続的な成長を実現し
てまいります。
 また、決済事業に関しては「PayPay」と「LINE Pay」の国内のQR・バーコード決済事業について2022
年4月を目標に「PayPay」に統合すべく協議を開始しています。今後もPayPay(株)、LINE(株)との連携
により、「PayPay」「LINE Pay」を起点とする決済を中心としたオフライン上での生活における様々な
データの蓄積と残高拡大により、O2O(Online to Offline / 送客)ビジネスや金融サービス等、多様
な収益事業へと成長させてまいります。

 メディア事業
 メディア事業では、日常に欠かせない多様なメディアサービスを提供することで多くの利用者を集
め、広告により収益を上げています。特に新型コロナウイルスの感染拡大のような有事の際には、求め
られている情報やサービスを適切かつ迅速に提供することが重要です。我々が創業以来掲げてきた「ユ
ーザーファースト」の理念に基づき、必要とされるサービスを適切なタイミングで提供することがメデ
ィアとしての信頼性を高め、結果として中長期的なユーザー数の拡大、ひいては広告売上収益の拡大に
つながると考えています。
 サービス利用に関する重要指標である月間ログインユーザーID数は当期末時点で5,200万人と順調に
拡大を続けており、2020年度の第三者機関による国内トータルデジタルリーチにおいてYahoo! JAPANが
1位となりました。またLINE(株)との統合により、競合他社にはないユニークなアセットが拡充されま
した。今後はNAVER CorporationのAI技術やLINE(株)のアセットを活用しながら、認知から興味・関心
といった「新規顧客獲得のためのファネル」に加えて、購入からCRMの「優良顧客化のためのファネ
ル」まで一気通貫で支援する、新たなマーケティングソリューションを実現していきます。さらに、蓄
積されたデータをPayPay、LINE公式アカウント等と組み合わせて活用し、コンバージョンにコミットす
るソリューションを提供していきます。その結果、一人ひとりに最適な提案をする「1:1」のマーケテ
ィングを実現し、利用頻度の増加を目指します。加えて、オフラインへの進出を新たなチャンスと捉
え、オフライン上の利用者の生活も便利にする取り組みを進めています。「PayPay」によるオフライン
決済のデータを活用することで、「認知」から「購買」までを一気通貫で可視化することにより、販促
市場でのシェア拡大に取り組んでいます。




                            14
                        Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信




(4)会社の対処すべき課題
 (3)2.の経営戦略を実行するにあたり、当社グループでは、常にユーザーファーストの視点を貫
き持続的成長に向けたサービスの向上のため、個人情報の保護を筆頭にセキュリティの強化を最優先に
取り組んでいます。マルチビッグデータの横断利活用を進める上で、最も大切な基本姿勢は利用者の方
のプライバシーを尊重することと考えています。プライバシーポリシーを策定した上で、日本国の法令
に基づいて運用しています。
 また、インターネットは生活やビジネスに欠かせないインフラであり、その中で当社グループの担う
公共的な責任も増しているため、突発的な事故や自然災害等に対する施設面・業務面でのリスクマネジ
メントの徹底に努めています。特に、当社グループはコーポレートガバナンスを「中長期的な企業価値
の増大」を図るために必要不可欠な機能と位置付けています。少数株主を含む全株主の利益に適う経営
が実現できるようガバナンス体制の強化に努めてまいります。また、企業の社会的責任を果たすための
取り組みや、企業経営のリスクに対応するための内部統制システムの構築および運用についても、さら
に強化していきます。
 加えて、当社グループの価値創造の源泉である人財のパフォーマンス最大化も重要な課題です。その
ため、仕事に対する社員の意識や仕事の質のスタンダードを向上させていく仕組み・制度の整備を進め
ています。当社グループ企業のヤフー株式会社は「健康経営優良法人2020(ホワイト500)」に2017年
より4年連続で認定を受けています。働く社員の心身のコンディションを最高の状態にすることがパフ
ォーマンスの最大化につながると考え、全ての社員が心身ともに最高の状態で仕事に向き合えるような
環境整備にも継続して取り組んでいます。
 なお、2021年3月に、当社グループにおけるデータの取り扱いをセキュリティ観点およびガバナンス
観点から外部有識者にて検証・評価する特別委員会「グローバルなデータガバナンスに関する特別委員
会」を設置しました。また、特別委員会を技術的知見から支援するため、サイバーセキュリティ分野に
おける外部の専門家で構成される技術検証部会も設置いたしました。デジタルプラットフォーム事業者
の社会的責務を果たすため、今後もお客さまや有識者のご意見・ご指摘と真摯に向き合い、 透明性を
高め安心してご利用いただける環境作りのため、継続的な改善を行っていきます。




                         15
                        Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


3【会計基準の選択に関する基本的な考え方】
当社グループは、2015年3月期より国際会計基準(IFRS)を適用しています。




                         16
                              Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


4【連結財務諸表及び主な注記】
(1)連結財政状態計算書

                                                                    (単位:百万円)

                     前連結会計年度           当連結会計年度
                                                              増     減
                    (2020年3月31日)      (2021年3月31日)

                        金額                金額             金額         増減率(%)

資産

  現金及び現金同等物                880,100          1,065,726     185,626        21.1

  銀行事業のコールローン                    ―             65,000      65,000          ―

  営業債権及びその他の債権             386,799            480,195      93,396        24.1
  棚卸資産                       20,889            24,668       3,778        18.1
  カード事業の貸付金                342,245            407,955      65,709        19.2

  銀行事業の有価証券                415,809            517,984     102,174        24.6

  銀行事業の貸付金                   98,752           247,047     148,295       150.2

  その他の金融資産                 264,213            448,210     183,997        69.6

  有形固定資産                   131,215            153,240      22,025        16.8

  使用権資産                    106,304            150,928      44,623        42.0

  のれん                      400,034          1,778,765   1,378,730       344.7

  無形資産                     679,375          1,075,871     396,496        58.4

  持分法で会計処理されている投資             8,567           177,870     169,302          ―

  繰延税金資産                     43,739            39,427     △4,311        △9.9

  その他の資産                   155,863             63,788    △92,075        △59.1
資産合計                     3,933,910          6,696,680   2,762,770        70.2




                                17
                             Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


                                                                   (単位:百万円)

                    前連結会計年度           当連結会計年度
                                                             増     減
                   (2020年3月31日)      (2021年3月31日)

                       金額                金額             金額         増減率(%)

負債及び資本

 負債

   営業債務及びその他の債務           487,242            616,681     129,439        26.6

   銀行事業の預金                903,118          1,186,206     283,087        31.3
   有利子負債                1,086,436          1,389,563     303,126        27.9
   その他の金融負債                 10,157            10,759         601         5.9

   未払法人所得税                  32,887            47,024      14,136        43.0

   引当金                      28,161            33,075       4,914        17.5

   繰延税金負債                 160,976            283,568     122,592        76.2

   その他の負債                 177,106            140,203    △36,902        △20.8

 負債合計                   2,886,086          3,707,082     820,995        28.4



 資本

  親会社の所有者に帰属する持分

   資本金                    237,422            237,724         301         0.1

   資本剰余金                  212,539          2,063,881   1,851,341       871.1

   利益剰余金                  330,752            362,999      32,246         9.7

   自己株式                  △17,382            △17,385          △2           ―

   その他の包括利益累計額               8,216            35,098      26,882       327.2
  親会社の所有者に帰属する
                          771,548          2,682,318   1,910,769       247.7
  持分合計
  非支配持分                   276,274            307,279      31,004        11.2

 資本合計                   1,047,823          2,989,597   1,941,774       185.3

負債及び資本合計                3,933,910          6,696,680   2,762,770        70.2




                               18
                         Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


(2)連結損益計算書

                                                              (単位:百万円)
                      前連結会計年度       当連結会計年度
                    (自 2019年4月1日 (自 2020年4月1日                 増   減
                     至 2020年3月31日) 至 2021年3月31日)
                         金額              金額              金額       増減率(%)
売上収益                      1,052,943       1,205,846     152,902        14.5

 売上原価                          424,463        432,446     7,982         1.9
 販売費及び一般管理費                    468,032        591,964   123,932        26.5
 固定資産売却益                            ―           5,669     5,669          ―
 固定資産除却損                         3,952         12,191     8,238       208.5
 減損損失                            4,219         12,788     8,569       203.1
営業利益                           152,276        162,125     9,849         6.5

 その他の営業外収益                      12,954          9,783   △3,170        △24.5

 その他の営業外費用                       5,011          9,875     4,863        97.0

 持分法による投資損益(△は損失)          △24,542         △19,418        5,124          ―

税引前利益                          135,676        142,615     6,939         5.1

 法人所得税                          47,655         53,495     5,839        12.3

当期利益                            88,020         89,120     1,099         1.2


当期利益の帰属

 親会社の所有者                        81,675         70,145   △11,530       △14.1

 非支配持分                           6,345         18,975    12,629       199.0

 当期利益                           88,020         89,120     1,099         1.2
親会社の所有者に帰属する
1株当たり当期利益
 基本的1株当たり当期利益(円)                 16.88          14.02    △2.86        △17.0

 希薄化後1株当たり当期利益(円)                16.88          14.01    △2.87        △17.0




                          19
                      Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


(3)連結包括利益計算書

                                                  (単位:百万円)
                       前連結会計年度              当連結会計年度
                     (自 2019年4月1日         (自 2020年4月1日
                      至 2020年3月31日)        至 2021年3月31日)
当期利益                             88,020               89,120
その他の包括利益
 純損益に振り替えられることのない
 項目
  確定給付制度の再測定                          ―                △673
  FVTOCIの資本性金融資産                △6,677                29,437
  持分法適用会社に対する持分相当額                    ―                    △4
 項目合計                           △6,677                28,760
 純損益にその後に振り替えられる
 可能性のある項目
  FVTOCIの負債性金融資産                △1,415                     457
  在外営業活動体の換算差額                    △535                 2,888
  持分法適用会社に対する持分相当額                    0                    ―
 項目合計                           △1,949                 3,346
税引後その他の包括利益                     △8,627                32,107
当期包括利益                           79,393              121,227


当期包括利益の帰属
 親会社の所有者                         73,822              101,511
 非支配持分                            5,570               19,715
 当期包括利益                          79,393              121,227




                          20
                                                  Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


(4)連結持分変動計算書

 前連結会計年度(自       2019年4月1日       至    2020年3月31日)
                                                                                              (単位:百万円)
                                               親会社の所有者に帰属する持分
                                                                      その他の                 非支配         資本
                                      資本          利益        自己                              持分         合計
                      資本金                                             包括利益       合計
                                     剰余金         剰余金        株式
                                                                       累計額
2019年4月1日                8,939   △12,545         832,147   △24,440     14,190    818,291    92,231    910,523
新基準適用による累積的影響額
                                                 △2,466                          △2,466    △2,997     △5,463
(注)
2019年4月1日(修正後)           8,939   △12,545         829,681   △24,440     14,190    815,825    89,234    905,060

 当期利益                                             81,675                          81,675     6,345     88,020

 その他の包括利益                                                             △7,852     △7,852      △774     △8,627

当期包括利益                      ―            ―        81,675         ―    △7,852      73,822     5,570     79,393

所有者との取引額等

 新株の発行                 228,483       226,393                                     454,877              454,877

 剰余金の配当                                          △45,042                        △45,042    △5,608    △50,650
 その他の包括利益累計額から
                                                 △1,877                 1,877         ―                     ―
 利益剰余金への振替
 自己株式の取得                                                   △526,625             △526,625             △526,625

 自己株式の消却                                        △533,684    533,684                   ―                     ―
 子会社の支配獲得及び
                                                                                      ―    186,309    186,309
 喪失に伴う変動
 支配継続子会社に対する
                                     △1,138                                      △1,138        777      △361
 持分変動
 その他                                   △170          △0                            △170        △9       △180

所有者との取引額等合計            228,483       225,084    △580,603      7,058     1,877   △118,099   181,469     63,369

2020年3月31日             237,422       212,539     330,752   △17,382      8,216    771,548   276,274   1,047,823

(注) IFRS第16号「リース」の適用に伴い、遡及修正の累積的影響を利益剰余金期首残高の修正として認識しています。
  




                                                    21
                                              Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


 当連結会計年度(自    2020年4月1日       至   2021年3月31日)
                                                                                         (単位:百万円)
                                        親会社の所有者に帰属する持分
                                                                その他の                  非支配         資本
                                   資本        利益        自己                              持分         合計
                   資本金                                          包括利益        合計
                                  剰余金       剰余金        株式
                                                                 累計額
2020年4月1日           237,422       212,539   330,752   △17,382     8,216     771,548   276,274   1,047,823

 当期利益                                        70,145                          70,145    18,975     89,120

 その他の包括利益                                                        31,366      31,366       740     32,107

当期包括利益                   ―            ―      70,145         ―    31,366     101,511    19,715    121,227

所有者との取引額等

 新株の発行                  301           301                                       603                  603

 剰余金の配当                                     △42,195                        △42,195    △6,977    △49,172
 その他の包括利益累計額から
                                              4,484             △4,484           ―                     ―
 利益剰余金への振替
 自己株式の取得                                                  △2                    △2                   △2
 子会社の支配獲得及び
                              1,850,933       △196                        1,850,737    17,740   1,868,477
 喪失に伴う変動(注)
 支配継続子会社に対する
                                      142                                       142       888      1,030
 持分変動
 その他                                 △35          8                            △26      △362       △388

所有者との取引額等合計             301   1,851,341     △37,898       △2    △4,484    1,809,257    11,289   1,820,547

2021年3月31日          237,724   2,063,881     362,999   △17,385    35,098   2,682,318   307,279   2,989,597

(注) 株式交換によってLINE(株)との経営統合を実施したことによる、新株の発行を含みます。(「4.企業結合」参照)




                                                22
                          Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


(5)連結キャッシュ・フロー計算書

                                                              (単位:百万円)
                                  前連結会計年度               当連結会計年度
                                (自 2019年4月1日          (自 2020年4月1日
                                 至 2020年3月31日)         至 2021年3月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー
 税引前利益                                    135,676               142,615
 減価償却費及び償却費                                83,419               102,080
 固定資産売却損益(△は益)                                    -             △5,669
 固定資産除却損                                    3,952                12,191
 減損損失                                       4,219                12,788
 持分法による投資損益(△は益)                           24,542                19,418
 銀行事業のコールローンの増減額(△は増加)                     20,000              △65,000
 営業債権及びその他の債権の増減額(△は増加)                   △31,237                10,557
 営業債務及びその他の債務の増減額(△は減少)                    73,784                 3,386
 カード事業の貸付金の増減額(△は増加)                      △88,904              △65,709
 銀行事業の貸付金の増減額(△は増加)                       △17,980              △148,295
 銀行事業の預金の増減額(△は減少)                        134,504               283,087
 その他                                      △39,638              △39,473
 小計                                       302,337               261,977
 利息及び配当金の受取額                                  699                   903
 利息の支払額                                   △2,398                △5,475
 法人所得税の支払額                                △59,269              △159,061
 法人所得税の還付額                                    210               109,578
 営業活動によるキャッシュ・フロー                         241,578               207,921
投資活動によるキャッシュ・フロー
 銀行事業の有価証券の取得による支出                       △278,180              △354,684
 銀行事業の有価証券の売却または償還による収入                   279,696               251,900
 投資の取得による支出                               △41,089              △30,221
 投資の売却または償還による収入                           10,096                15,717
 有形固定資産の取得による支出                           △34,361              △28,578
 無形資産の取得による支出                             △50,765              △42,163
 子会社の支配獲得による収入                                   60             177,082
 その他                                     △389,189               △1,402
 投資活動によるキャッシュ・フロー                        △503,734              △12,349
財務活動によるキャッシュ・フロー
 短期借入金の純増減額(△は減少)                         503,440              △277,298
 長期借入による収入                                 21,000               177,896
 長期借入金の返済による支出                            △3,382               △23,439
 社債の発行による収入                               229,217               199,367
 社債の償還による支出                               △5,000               △10,000
 配当金の支払額                                  △45,036              △42,190
 リース負債の返済による支出                            △23,630              △28,782
 その他                                      △80,798               △7,623
 財務活動によるキャッシュ・フロー                         595,809              △12,070
現金及び現金同等物に係る換算差額                            △338                  2,124
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)                       333,316               185,626
現金及び現金同等物の期首残高                            546,784               880,100
現金及び現金同等物の期末残高                            880,100              1,065,726


                           23
                   Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


(6)継続企業の前提に関する注記
    該当事項はありません。




                    24
                      Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


(7)連結財務諸表に関する注記事項
1. 重要な会計方針
    当社グループが本連結財務諸表において適用する重要な会計方針は、前連結会計年度に係る連結
  財務諸表において適用した会計方針と同一です。

2.表示方法の変更
  (連結キャッシュ・フロー計算書関係)
   前連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローの「その他」に含めて表示してい
  た金融事業以外の「利息及び配当金の受取額」および財務活動によるキャッシュ・フローの「その
  他」に含めて表示していた金融事業以外の「利息の支払額」は重要性が増したため、当連結会計年
  度において営業活動によるキャッシュ・フローにて独立掲記しています。
   この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フ
  ローの「その他」に含めて表示していた699百万円は、営業活動によるキャッシュ・フローの「利
  息及び配当金の受取額」として組替えています。また、財務活動によるキャッシュ・フローの「そ
  の他」に含めて表示していた△2,398百万円は、営業活動によるキャッシュ・フローの「利息の支
  払額」として組替えています。


3.見積り及び判断の利用
  IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は会計方針の適用および資産、負債、収
 益、費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り、仮定を設定することが義務付けられています。実
 際の業績はこれらの見積りと異なる場合があります。
  見積りおよびその基礎となる仮定は継続して見直しています。会計上の見積りの見直しによる影
 響は、見積りを見直した会計期間および将来の会計期間において認識しています。
  当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える判断、見積り、仮定は、前連
 結会計年度に係る連結財務諸表と同一です。
  なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、急激な経済活動の縮小およびこれに
 伴う経済環境の悪化が発生していますが、当社グループにおいては当連結会計年度の業績に大きな
 影響はありません。現時点では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響の及ぶ期間と程度を
 合理的に推定することはできませんが、感染拡大の収束が遅れた場合には、当社グループの将来収
 益およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす等、その見積に一定の不確実性が存在します。このよ
 うな状況において、のれん、有形固定資産、使用権資産および無形資産の減損の評価、投資の公正
 価値測定および債権等に関する予想信用損失の測定等は、連結財務諸表作成時点で利用可能な情
 報・事実に基づき、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の期間とその影響のリスクや不確実性を
 考慮の上で、合理的な金額を見積って計上しています。ただし、将来の不確実性により、最善の見
 積りを行った結果としての見積られた金額と事後的な結果との間に乖離が生じる可能性がありま
 す。




                       25
                                     Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


4. 企業結合
 前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
  前連結会計年度に生じた主な企業結合は以下のとおりです。

 (株)ZOZO
 (1)企業結合の概要
    当社は、eコマース事業のさらなる成長のためにファッションECを強化することを目的として、
  2019年9月12日開催の取締役会において決議された(株)ZOZOの普通株式に対する公開買付けを実
  施 し ま し た 。 当 公 開 買 付 け は、2019 年 11 月 13 日 を も っ て 終 了 し、 ( 株 )ZOZO の 普 通 株 式
  152,952,900株を現金400,736百万円にて取得しました。これにより、当社の(株)ZOZOに対する議決
  権割合は50.1%となり、同社を連結子会社化しています。また、当企業結合にあたり対象株式の取
  得資金の一部に充当するために、400,000百万円の借入を実行しています。

 (2)被取得企業の概要
   名称   株式会社ZOZO
   事業内容 ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の企画・運営
        プライベートブランド「ZOZO」の企画・開発
        カスタマーサポート、物流倉庫「ZOZOBASE」の運用

 (3)支配獲得日
   2019年11月13日




                                      26
                           Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信




(4)支配獲得日における取得対価、取得資産および引受負債の公正価値、非支配持分およびのれん
                            (単位:百万円)
    取得対価の公正価値
           現金                     400,736
    取得資産および引受負債の公正価値
       資産                         607,479

           現金及び現金同等物               22,875
           営業債権及びその他の資産            30,442
           有形固定資産                   8,609
           無形資産(注)2               503,017
           その他                     42,533
       負債                        △233,902
           営業債務及びその他の債務          △28,362

           有利子負債                 △42,589

           その他                   △162,951

       純資産                        373,576

    非支配持分(注)3                    △185,750

    のれん(注)4                       212,910

    合計                            400,736
    (注)1 暫定的な金額の修正
         取得対価は、支配獲得日における公正価値を基礎として、取得した資産および引き受けた負債に配分し
         ています。前第4四半期連結会計期間において、取得対価の配分が完了しました。当初の暫定的な金額
         と最終的な金額の間に変動はありません。
       2 無形資産
         識別可能な資産502,199百万円が含まれており、内訳は以下のとおりです。なお、顧客基盤の見積耐用年
         数は18年~25年です。商標権は、耐用年数を確定できない無形資産に分類しています。
                               (単位:百万円)
                顧客基盤              322,070
                商標権               178,720
                その他                 1,409
                合計                502,199
       3 非支配持分
         識別可能な被取得企業の純資産の公正価値に対する持分割合で測定しています。
       4 のれん
         今後の事業展開や当社グループと被取得企業とのシナジーにより期待される将来の超過収益力を反映し
          たものです。


(5)企業結合に係る支配獲得日以降の損益情報
   前連結損益計算書に認識している当該支配獲得日以降における被取得企業の売上高は57,462百
  万円、当期利益は5,773百万円です。
  なお、上記の当期利益には、支配獲得日に認識した無形資産の償却費等が含まれています。




                            27
                         Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


 当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
  当連結会計年度に生じた主な企業結合は以下のとおりです。

 LINE(株)
 (1) 企業結合の概要
      当社は、2021年3月1日を効力発生日として、当社を株式交換完全親会社、当社の親会社で
    あるAホールディングス(株)(旧社名:LINE(株))の完全子会社であるLINE(株)(旧社名:LINE
    分割準備(株))を株式交換完全子会社とする株式交換を実施しました。
     本経営統合は、それぞれの事業領域におけるシナジーを追求するとともに、AI、コマース、
    Fintech、広告・O2O、その他の新規事業領域における成長を目指して事業投資を実行すること
    で、日本およびグローバルにおける熾烈な競争を勝ち抜くことができる企業グループへと飛躍
    することを目的として行うものです。

(2) 被取得企業の概要
   名称    LINE株式会社(旧社名:LINE分割準備(株))
   事業内容  モバイルメッセンジャー・アプリケーション「LINE」を基盤とした広告サービ
         ス、スタンプ販売およびゲームサービス等を含むコア事業ならびにFinTech、AI
         およびコマースサービスを含む戦略事業の展開

(3) 支配獲得日
    2021年3月1日

(4)取得した議決権付資本持分の割合
   100%

(5) 支配獲得日における取得対価、取得資産および引受負債の公正価値、非支配持分およびのれん

                                  (単位:百万円)
   取得対価の公正価値
     支配獲得日に交付した当社普通株式等(注)1          1,850,494
   取得資産及び引受負債の公正価値
    資産(注)2                          1,075,163
     現金及び現金同等物                        177,082
     営業債権及びその他の債権                      62,223
     有形固定資産                            24,666
     使用権資産                             62,939
     無形資産(注)3                         425,400
     持分法で会計処理されている投資                  174,501
     その他                              148,348
    負債(注)2                          △565,601
     営業債務及びその他の債務                    △87,700
     有利子負債                          △244,248
     繰延税金負債                         △155,855
     その他                             △77,796
    純資産                               509,561
   非支配持分(注)4                         △16,968
   のれん(注)2、5                        1,357,901
   合計                               1,850,494



                             28
                                    Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


        (注)1 支配獲得日に交付した普通株式は、支配獲得直前の日の終値で評価した金額で測定しています。
              また、取得対価には企業結合に伴う代替報酬を含んでいます。
             2 当連結会計年度末において、支配獲得日における識別可能な資産及び負債の特定および支配獲得日に
              取得した資産および引き受けた負債の公正価値評価が完了しておらず、現時点での最善の見積りによ
              る暫定的な金額です。そのため、取得した資産及び引き受けた負債の金額および発生したのれんに対
              する取得対価の配分について、支配獲得日時点で存在していた事実や状況に関する追加的な情報が得
              られ評価される場合には、支配獲得日から1年間は修正することがあります。
           3 無形資産
              識別可能な無形資産406,964百万円が含まれており、内訳は以下のとおりです。なお、顧客基盤の見積
              耐用年数は12年~18年です。商標権は、耐用年数を確定できない無形資産に分類しています。
              また、企業結合により識別した無形資産は、見積将来キャッシュ・フロー、割引率、既存顧客の逓減
              率、対象商標権から生み出される将来売上収益、ロイヤルティレート等の仮定に基づいて測定してい
              ます。
                                    (単位:百万円)
               顧客基盤                         236,886
               商標権                          170,078
               合計                           406,964
             4 非支配持分
               非支配持分は、LINE(株)(旧社名:LINE分割準備(株))の子会社に対するもので、支配獲得日におけ
              る識別可能な当該子会社の純資産に、企業結合後の非支配持分比率を乗じて測定しています。
             5 のれん
              今後の事業展開や当社グループと被取得企業とのシナジーにより期待される将来の超過収益力を反映
              したものです。
             6 当該企業結合に係る取得関連費用は2,718百万円であり、前連結会計年度および当連結会計年度におい
               ては、1,723百万円、995百万円をそれぞれ「販売費及び一般管理費」に計上しています。


  (6) 株式交換比率およびその算定根拠並びに交付株式数
    ① 株式交換比率
                          当社        LINE㈱
             株式交換比率             1         11.75


        ② 株式交換比率の算定根拠
          当社およびAホールディングス(株)は、それぞれが定めた第三者算定機関から得た算定結果
         並びにリーガル・アドバイザーからの助言等を参考に、相手方に対して実施したデュー・ディ
         リジェンスの結果等を踏まえて慎重に検討し、両者の財務状況、業績動向、株価動向等を総合
         的に勘案した上で、株式交換比率について複数回にわたり慎重に交渉を重ねた結果、上記①に
         記載の株式交換比率が適切であるとの判断に至り、2019年12月23日に最終的に合意・決定しま
         した。

        ③ 交付した株式数
          普通株式 2,831,284,030株




                                     29
                                   Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


5.セグメント情報
   当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可
  能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う
  対象となっているものです。
   当社グループは、「コマース事業」および「メディア事業」の2つを報告セグメントとしていま
  す。
   「コマース事業」は、主に中小企業や個人向けにインターネットを介して商品の販売やサービス
  の企画・提供および決済金融関連サービスの提供をしています。
   「メディア事業」は、主に広告商品の企画・販売・掲載をするための各サービスの企画・運営、
  情報掲載サービスの提供およびその他法人向けサービスの提供をしています。
   「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、LINE関連サービスおよ
  びクラウド関連サービス等を含みます。
   各報告セグメントの会計方針は、「1.重要な会計方針」で参照している当社グループの会計方
  針と同一です。セグメント利益は連結損益計算書の営業利益と調整を行っており、セグメント利益
  の調整額は、各報告セグメントに配分していない全社費用です。全社費用は、主に報告セグメント
  に帰属しない一般管理費です。セグメント間収益は市場実勢価格に基づいています。
   なお、サービスの効率的な提供に重点を置き、迅速に市場の変化に対応するため、一部のサービ
  スおよび子会社をセグメント間で移管しています。主な変更内容は、2020年4月1日より、子会社
  である(株)カービューを含む自動車関連サービスを「コマース事業」から「メディア事業」へ移管
  していることおよび2020年10月1日より、子会社である(株)イーブックイニシアティブジャパンを
  含むデジタルコンテンツ関連サービスを「コマース事業」から「メディア事業」へ移管しているこ
  とです。これに伴い、前連結会計年度のセグメント情報を修正再表示しています。
   当社グループのセグメント情報は以下のとおりです。

 前連結会計年度(自   2019年4月1日 至      2020年3月31日)
                                                                       (単位:百万円)
                               報告セグメント
                                                         その他      調整額         連結
                  コマース事業        メディア事業        合計

売上収益
 外部収益               713,004        335,135   1,048,139    4,804        ―    1,052,943
 セグメント間収益             2,382            868       3,251    3,199   △6,450           ―
        合計          715,386        336,003   1,051,390    8,004   △6,450    1,052,943

セグメント利益(△は損失)        76,362        157,030     233,393   △4,669   △76,448     152,276
 その他の営業外収益                                                                    12,954
 その他の営業外費用                                                                      5,011
 持分法による投資損益(△は損失)                                                            △24,542
税引前利益                                                                         135,676
その他の項目
 減価償却費及び償却費(注)        44,321  5,478             49,799    2,236    31,382      83,419
(注) IFRS第16号の適用に伴い、使用権資産償却費を含みます。




                                     30
                                   Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


 当連結会計年度(自   2020年4月1日 至      2021年3月31日)
                                                                        (単位:百万円)
                               報告セグメント
                                                         その他       調整額         連結
                  コマース事業        メディア事業        合計

売上収益
 外部収益               838,024        339,685   1,177,709    28,137       ―     1,205,846
 セグメント間収益             2,228            949       3,177     4,273   △7,451           ―
       合計           840,252        340,635   1,180,887    32,410   △7,451    1,205,846
セグメント利益(△は損失)
                    111,276        150,105     261,381   △11,068   △88,187     162,125
(注)2、3
  その他の営業外収益                                                                      9,783
 その他の営業外費用                                                                       9,875
 持分法による投資損益(△は損失)                                                             △19,418
税引前利益                                                                          142,615
その他の項目
 減価償却費及び償却費(注)1   57,497 5,564   63,061 4,414 34,604 102,080
(注)1 使用権資産償却費を含みます。
  2 「コマース事業」には、クレジットカード事業の既存システム刷新に伴う固定資産除却損6,878百万円を含み
     ます。
  3 「その他」には、使用権資産の減損損失を含みます。(「6.減損損失」参照)




                                     31
                          Zホールディングス株式会社(4689) 2021年3月期 決算短信


6.減損損失
   LINE(株)との経営統合に伴い識別したLINE(株)が借手のリース契約について、IFRS第3号「企業
  結合」に基づき、取得したリースが取得日現在で新規のリースであったかのように残りのリース料
  の現在価値で測定し、使用権資産はリース負債と同額で測定しています。
   当連結会計年度末において、各資産グループの属する事業環境等を勘案し、減損の兆候の有無を
  検討しました。その結果、減損の兆候がある資産グループについては、経営統合後の事業計画に基
  づき回収可能価額を算定し、帳簿価額が回収可能価額を上回る資産について、IAS第36号「資産の
  減損」に従い回収可能価額まで減額し、10,699百万円の減損損失を認識しています。



7. 1株当たり情報
    親会社の所有者に帰属する基本的1株当たり当期利益および希薄化後1株当たり当期利益の算定
  基礎は以下のとおりです。
                                  前連結会計年度              当連結会計年度
                                (自 2019年4月1日         (自 2020年4月1日
                                 至 2020年3月31日)        至 2021年3月31日)

基本的1株当たり当期利益(円)                              16.88                14.02

 親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円)                      81,675               70,145

 親会社の普通株主に帰属しない利益(百万円)                           ―                    ―
 基本的1株当たり当期利益の計算に使用する利益
                                            81,675               70,145
 (百万円)
 普通株式の期中平均株式数(千株)                        4,838,708            5,003,819




希薄化後1株当たり当期利益(円)                             16.88                14.01

 当期利益調整額(百万円)                                    ―                    ―

 普通株式増加数(千株)                                   110                3,149

希薄化効果を有しないため、希薄化後1株当たり当期利益 2010年度第1回、第2回新
                                                                      ―
の算定に含まれなかった潜在株式            株予約権




8.重要な後発事象
   該当事項はありません。




                           32