4599 M-ステムリム 2020-06-30 16:00:00
HMGB1ペプチドの適応拡大に向けた新たな契約締結に関するお知らせ [pdf]

                                              2020 年 6 月 30 日




各 位
                              会 社 名     株 式 会 社 ス テ ム リ ム
                              代表者名    代表取締役会長 CEO 冨田 憲介
                                      (コード番号:4599 東証マザーズ)
                              問合せ先    取 締役経営管理部長 星野 智之
                                          (電話番号:072-648-7152)


       HMGB1 ペプチドの適応拡大に向けた新たな契約締結に関するお知らせ

 当社は、本日開催の取締役会において、2014 年 11 月 14 日付のライセンス契約で塩野義製薬株式会
社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下、「塩野義製薬」)へ導出済みの HMGB1
ペプチド[開発コード:S-005151、一般名レダセムチド]に関して、塩野義製薬との間で、今後、複数の疾
患に対する臨床開発を加速度的に展開していくための新たな契約を締結することを決議致しましたので、
お知らせ致します。

 本契約により、当社は、塩野義製薬との既存のライセンス契約で定められたマイルストーンやロイヤリテ
ィとは別に、新たに最大で総額 31 億円の対価を塩野義製薬から受領する予定です(契約条件に関する
これ以上の詳細は非開示とさせて頂きます)。

 レダセムチドは、怪我や病気で損傷した組織を、生きた細胞を用いることなく薬の投与により再生させる
医薬品、「再生誘導医薬」の開発候補品で、全世界における独占的開発、製造、販売権を塩野義製薬に
許諾しています。

 レダセムチドは、患者の骨髄内に存在する間葉系幹細胞を刺激し血液中に放出させることで、体内を
循環する間葉系幹細胞の量を増加させる薬理作用を有します。レダセムチドの投与により骨髄から血液
中に放出された間葉系幹細胞は、患者体内の末梢循環血流を介して、怪我や病気で損傷した組織に供
給され、患部に集積することで、損傷した組織の再生と治癒を促進します。レダセムチドは、従来の再生
医療とは異なり、体外で人工的に培養した細胞の移植や投与を一切必要とせず、薬の投与のみにより患
者体内の幹細胞を活用する方法で、損傷した組織の再生を促す全く新しい作用メカニズムに基づく医薬
品です。

 このレダセムチドの最大特徴の1つが、その適応症の広さにあります。骨髄から血液中に放出された間
葉系幹細胞は、血流を介して様々な疾患を原因とする損傷組織に移動することができ、行き着いた組織
の環境に応じた多様な能力を発揮することで、組織の再生を促進します。それゆえ、レダセムチドは、単
一の疾患にとどまらず、幅広い適応症に対して治療効果をもたらすと期待されています。

 この特徴を裏付けるように、これまでにおこなわれた非臨床試験では、複数の疾患モデルに対してレダ
セムチドの治療効果が確認されており、また、臨床試験に関しては、大阪大学等で実施された第Ⅱ相医
師主導治験において表皮水疱症に対する有効性が示されたほか(現在、塩野義製薬が承認申請に向け
準備中)、急性期脳梗塞についても第Ⅱ相臨床試験が塩野義製薬により進められています。

 今回の契約により、当社と塩野義製薬は、当社がこれまでに複数のアカデミア・グループとの共同研究
を通じて蓄積してきた非臨床研究のエビデンスを活用して、新たに 3 つの疾患(慢性肝疾患、変形性膝
関節症、心筋症)を対象とした医師主導治験を開始する準備を進めていくこととなります。
  塩野義製薬から 2020 年 6 月 1 日に開示された、2030 年 Vision と新中期経営計画 (21 年 3 月期-25
年 3 月期)において、レダセムチドは、再生医療の パラダイムを変える Game Changer として位置づけら
れています。また、同社は R&D 戦略の一つとして、開発化合物の価値を最大化する「LCM(Life Cycle
Management)戦略の強化」を掲げており(下記 URL 参考)、今回の契約は、同社のこの戦略に合致した
ものであります。今後、幅広い疾患領域への適応拡大を通じて、レダセムチドの価値最大化に向けた取り
組みを両社で加速して参ります。

  なお、本契約に基づく収入の一部は、2020 年 7 月期の事業収益に計上される見込です。2020 年 7 月
期通期の業績予想については、「通期業績予想の修正に関するお知らせ」にて開示の通りであります。

                                                                                      以 上


【ご参考】
塩野義製薬株式会社「2030 年 Vision と新中期経営計画」
https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/investors/ir-library/presentation-
materials/p200601sts.pdf


* P.33 「LCM(Life Cycle Management)戦略の強化」に、当社から導出したレダセムチドに関する記載
    がございます。