4591 M-リボミック 2020-05-21 15:30:00
2020年3月期 決算説明会 質疑応答の要約ならびに メールでの関連質問へのお問い合わせについて [pdf]

News Release


                                           2020 年 5 月 21 日
各 位
                                          株式会社リボミック
                                (コード番号:4591 東証マザーズ)


            2020 年 3 月期 決算説明会 質疑応答の要約
        ならびに メールでの関連質問へのお問い合わせについて


2020年5月20日(水)開催のアナリスト・機関投資家向け 2020年3月期第4四半期決算説明会
における質疑応答、並びに、2020年3月期決算に関して投資家・株主等の皆様から頂いたお問い
合わせに対する回答を下記の通り纏めて記載させて頂きます。


1.RBM-007 を用いた滲出型加齢黄斑変性の臨床試験について
質問                     回答
SUSHI 試験の結果からすると、TOFU 試 ご指摘のように、抗 VEGF 阻害剤が奏功しない被験者
験で平均で 15 文字以上の回復を目指すの を対象にしているため、 文字以上の視力回復は困難
                                 15
はなかなかハードルが高いようにも感じ だと考えています。どの程度の視力回復になるかは、
ますが、いかがでしょうか?患者のベース 抗 VEGF 阻害剤とは作用機序が異なる RBM-007 のパ
ライン、試験デザイン、投与量など、SUSHI ワー次第だと思います。SUSHI 試験と TOFU 試験の
試験と TOFU 試験での違いが関係してき 違いですが、投与回数については、前者は単回ですが
ますか?                   後者は4回、被験者については、前者は回復の見込め
                       ない難治性患者で後者は OCT 検査による回復の可能
                       性のある患者で、TOFU 試験の投与量は SUSHI 試験
                       で安全性が確認された最高用量の 2 mg/eye です。
仮に TOFU 試験が 15 文字以上の改善に 5 文字以上(one line)の視力改善であれば臨床的に有
ならなかった場合でも、どの程度の改善 意義だと考えています。
であれば臨床的意義があるとお考えです
か?
FGF2 の瘢痕形成と血管新生の 2 つの経路 瘢痕形成阻害による視力改善は 16 週間では困難だと
を阻害するとのご説明ですが、TOFU 試験 我々も考えており、その効果は次の Phase 3 試験で検
の主要評価項目の 16 週間でも、瘢痕形成 証する必要があります。しかし、瘢痕形成に絡む網膜
阻害による視力改善を観察できますか? 異常への効果は検証できる可能性はあります。
(瘢痕化はより長いサイクルということ
はないでしょうか?)
007 はルセンティスやアイリーアのみな ベオビュも抗 VEGF 阻害剤ですから、007 とは作用機
らずベオビュに対しても優越性がある、 序が全く異なるため、
                  と          仮に 007 がルセンティスやアイ
いう理解で良いですか?             リーアに対して優越性が観察できれば、ベオビュに対
                        しても優越性が期待できると考えています。


2.脳内標的アプタマーの研究開発について
質問                      回答
血液脳関門を通過する技術は、御社独自 自社でも様々な検討を進めていますが、他社との提携
で開発する方針でしょうか。それとも他 も視野に入れています。
社とタッグを組むのでしょうか。


3.ユビキチンによって標的分子の分解を促す研究開発について
質問                      回答
ユビキチンによって標的分子の分解を促 低分子では捕捉できないようなターゲットをアプタマ
す低分子医薬などの研究開発が進められ ーで捕捉することがメリットです。開発における課題
ているかと思いますが、それを二重特異性 は細胞内への高効率の DDS 技術の確立かと思います。
アプタマーにするメリットなどはどこに
あるのでしょうか。また、二重特異性アプ
タマーの開発で課題となるのは何でしょ
うか。


4.COVID-19 治療薬の開発について
質問                      回答
アプタマー治療薬開発の具体的な内容に COVID-19 の原因ウイルス SARS-CoV-2 は、「ウイ
ついて説明してください。            ルス表面のスパイク(S)タンパク質」が「ヒトの細胞
                        表面にある受容体(ACE2 タンパク質)」に結合する
                        ことによって、感染が開始され、その後細胞内に侵入
                        し増殖することが明らかになっています。当社は、
                        ACE2 タンパク質結合部位である S タンパク質中の S1
                        部分に対する anti-S1 アプタマーや anti-ACE2 アプタ
                        マーを創製してウイルスの細胞への結合を阻止できる
                        アプタマーを開発する予定です。さらに、ウイルスの
                        細胞侵入には S タンパク質の中の S2 部分が必要なこ
                        とがわかっていますので、 anti-S2 アプタマーを創製
                        して侵入を阻止する計画です。
新型コロナウイルス感染症に対するアプ 開発のスピードについては、現段階では確かなことは
タマーの開発について、既に研究は開始さ 申し上げられませんが、我々の期待としては、年内に
れたかと思いますが、アプタマーを得るま は、細胞・動物実験を完了して開発候補品を特定した
での期間・費用をどの程度見込んでいる いと考えています。ここまでの開発費用はそれほど大
か。その後の細胞・動物実験をいつ頃開始 きくない見込みです。
したいかなど、研究開発のスケジュールを
教えていただけますでしょうか。
コロナウイルスは変異しながら感染を拡 当社が狙っているアプタマーの標的部位は、S1、 と
                                          S2
大しているようですが、変異したウイルス ACE2 です。このうち、S2 は比較的変異しにくいこと
にはアプタマーが効かなくなるのではな が知られており、ヒト細胞の ACE2 も変異しないター
いですか?                    ゲットです。そのため、anti-S2 と anti-ACE2 アプタ
                         マーは変異したコロナウイルスに対しても有効だと考
                         えています。さらに、現在の SARS-CoV-2 の他に、今
                         後異なる型の病原性コロナウイルスが出現しても、
                         anti-S2 と anti-ACE2 アプタマーは有効であることが
                         期待されます。
開発のスピードが鍵になると思われます ご指摘のように、現在のパンデミックに対応するため
が、開発戦略を教えてください。          には、開発期間の劇的な短縮が不可欠です。そのため
                         の戦略として、 通常の化学修飾等の加工が不要な核
                                1)
                         酸アプタマーを初期に選別する、 少量でも薬効が期
                                        2)
                         待できる高結合性のアプタマーを創製する、 アプタ
                                             3)
                         マー投与は吸入(Inhalation)とする等を想定してい
                         ます。これにより、薬剤合成の効率化と局所投与によ
                         る安全性の担保、ならびに肺でのウイルス感染増殖の
                         直接阻害を期待するところです。
コロナウイルスを取り扱う研究となると 候補アプタマー作りと試験管内での評価は全て当社内
リボミックでは無理ではありませんか? で安全に実施することができます。その後、見出され
                         たアプタマーについて、コロナウイルスを用いた細胞
                         実験と動物感染実験は、社外の専門研究グループと共
                         同で実施する計画です。
先日、コロナウイルスの治療薬のIRが出 核酸アプタマーの利点は「ものを見つける」スピード
ましたが、取り組みの開始時期が他社に比 と「ものを合成する」スピードです。既存の承認薬と
べてかなり遅いと思われます。他社より早 の比較ではなく、ゼロからスタートした場合には、他
く 開 発 で き る 目 論 見 は 有 る の で し ょ う 社に勝つ目算は十分にあると考えています。できるだ
か?                       け早く開発候補品を確定し、国あるいは製薬会社と連
                         携して開発を進めたいと考えています。現在公表され
                         ている取り組みの多くはワクチンや既存薬の応用であ
                         りコロナウイルスそのものをターゲットにした治療薬
                         の開発においては決して取り組みが遅いわけではない
                         と考えています。
ワクチン開発が先行していると思います ワクチンは予防薬で治療薬ではありませんので、競合
が、勝算はありますか?              しているとは考えておりません。治療薬とワクチンは
                         両方とも必要です。我々としては、核酸アプタマーこ
                         そが、コロナウイルスに対する阻害剤の開発に最も適
                         していると考えていますので、それを我々の手で実証
                         してみせたいと強く考えています。