4587 ペプチドリーム 2020-05-14 15:30:00
2020年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]

             2020年12月期       第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
                                                                               2020年5月14日
上 場 会 社 名   ペプチドリーム株式会社                               上場取引所                               東
コ ー ド 番 号   4587                                  URL https://www.peptidream.com/
代   表   者 (役職名)代表取締役社長                       (氏名)リード・パトリック
問合せ先責任者   (役職名)IR広報部長                        (氏名)岩田 俊幸                  (TEL)044-223-6612
四半期報告書提出予定日       2020年5月15日                  配当支払開始予定日                          ―
四半期決算補足説明資料作成の有無 : 無
四半期決算説明会開催の有無         : 無
 
                                                                              (百万円未満切捨て)
1.2020年12月期第1四半期の業績(2020年1月1日~2020年3月31日)
(1)経営成績(累計)                                                     (%表示は、対前年同四半期増減率)
                     売上高                     営業利益              経常利益               四半期純利益
                     百万円         %           百万円         %     百万円       %            百万円    %
 2020年12月期第1四半期       393       ―            △481        ―     △488      ―            △340   ―
 2019年12月期第1四半期       394    △28.9           △412        ―     △269      ―            △185   ―
 
                                         潜在株式調整後
                     1株当たり
                                           1株当たり
                    四半期純利益
                                          四半期純利益
                             円   銭                   円   銭
 2020年12月期第1四半期           △2.71        ―
 2019年12月期第1四半期           △1.48        ―
  (注) 当社は、前事業年度より事業年度末日を6月末日から12月末日に変更しました。これに伴い、当第1四半期
       累計期間(2020年1月1日から2020年3月31日)は比較対象となる前第1四半期累計期間(2019年7月1日
       から2019年9月30日)と対応する期間が異なることから、対前年同四半期増減率は記載しておりません。
(2)財政状態
                     総資産                     純資産             自己資本比率
                             百万円                     百万円                 %
 2020年12月期第1四半期         17,866                       16,636            92.6
 2019年12月期              17,817                       16,978            94.8
(参考) 自己資本 2020年12月期第1四半期 16,552 百万円                 2019年12月期 16,893 百万円
 
2.配当の状況
                                             年間配当金

                  第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                       期末          合計
                     円   銭           円   銭           円   銭      円   銭         円   銭
  2019年12月期       ―       ―                              ―        0.00        0.00
  2020年12月期       ―
  2020年12月期(予想)         0.00                             ―        0.00        0.00
 (注) 直近に公表されている配当予想からの修正の有無                    :    無
 
3.2020年12月期の業績予想(2020年1月1日~2020年12月31日)

                     売上高                 営業利益                 経常利益                当期純利益
        通期       10,000百万円以上 5,300百万円以上                      5,400百万円以上           4,000百万円以上
 (注)   直近に公表されている業績予想からの修正の有無 : 無
 
※    注記事項
(1)四半期財務諸表の作成に特有の会計処理の適用                        : 無
(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
     ①   会計基準等の改正に伴う会計方針の変更                     : 無

     ②   ①以外の会計方針の変更                            : 無

     ③   会計上の見積りの変更                             : 無

     ④   修正再表示                                  : 無
(3)発行済株式数(普通株式)
     ①   期末発行済株式数(自己株式を含む)       2020年12月期1Q   125,910,400株   2019年12月期     125,310,400株

     ②   期末自己株式数                 2020年12月期1Q      143,452株    2019年12月期        143,452株

     ③   期中平均株式数(四半期累計)          2020年12月期1Q   125,490,025株   2019年12月期1Q   125,166,948株

 (注)     期末自己株式数には、資産管理サービス信託銀行株式会社(信託E口)が保有する当社株式(2019年12月期
         143,400株、2020年12月期1Q143,400株)が含まれております。また、資産管理サービス信託銀行株式会社(信
         託E口)が保有する当社株式を、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております(2019年
         12月期143,400株、2020年12月期1Q143,400株)。


※   四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です
 
※   業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
 (将来に関する記述についてのご注意)
     本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると
    判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業
    績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
○添付資料の目次

 
    1.当四半期決算に関する定性的情報 ……………………………………………………………………2

    (1)経営成績に関する説明 ………………………………………………………………………………2

    (2)財政状態に関する説明 ………………………………………………………………………………6

    (3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 ………………………………………………………7

    2.四半期財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………8

    (1)四半期貸借対照表 ……………………………………………………………………………………8

    (2)四半期損益計算書 ……………………………………………………………………………………10

    (3)四半期キャッシュ・フロー計算書 …………………………………………………………………11

    (4)四半期財務諸表に関する注記事項 …………………………………………………………………12

      (継続企業の前提に関する注記) ……………………………………………………………………12

      (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) ……………………………………………12




                          1
1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
  当第1四半期累計期間(2020年1月1日から2020年3月31日)において、当社独自の創薬開発プラットフォーム
 システムであるPDPS(Peptide Discovery Platform System)を活用した3つの事業戦略:①創薬共同研究開発契
 約、②PDPSの技術ライセンス、③戦略的提携による自社パイプラインの拡充を進めてまいりました。


  【当社の事業戦略】                                         2020年3月末時点パートナー数

   ①   創薬共同研究開発契約                                   19社

   ②   PDPSの非独占的技術ライセンス許諾                           7社

   ③   戦略的提携による自社パイプラインの拡充                          8社及び1アカデミア、1機関


  当社では、2020年3月31日現在、111のプログラムが進行しております(2019年12月末比4プログラム増加)。
  下表では、各創薬アプローチごとのプログラム数を記載しております。
  【創薬アプローチごとのプログラム数】                                           2020年3月末時点
  特殊ペプチド医薬品
                                                                            74
  低分子医薬品
  ペプチド薬物複合体(PDC医薬品)                                                         37
                              計                                         111


  下表では、各研究開発ステージにおけるプログラム数を2019年12月末時点のものと比較しております。
  【研究開発ステージごとのプログラム数】                       2019年12月末時点        2020年3月末時点

  ターゲット検証 - ヒット化合物                                        43                42

  ヒット化合物 - リード化合物(Hit-to-Lead)                            43                47

  リード化合物 – GLP安全性試験 (Lead-to-GLP-Tox)                     11                12

  GLP安全性試験 – IND申請(GLP-Tox-to-IND)                         8                 8

  臨床試験 第1相(フェーズ1)                                          2                 2

  臨床試験 第2相(フェーズ2)                                          0                 0

  臨床試験 第3相(フェーズ3)                                          0                 0

                     計                                107               111
  (注)上記のプログラム数は、PDPSの非独占的技術ライセンス先でのプログラムを含んでおりません。


  1つ目の事業戦略であるPDPSを活用した国内外の製薬企業との創薬共同研究開発契約については、当四半期にお
 いて新たな情報開示事項はございませんでした。創薬共同研究開発を進めている複数のパートナー企業から研究開
 発支援金を継続的に受領しております。今後、現在進行しているプログラムについて、さらなるマイルストーンが
 達成され、パートナー企業の許諾を得た上で、新たな進捗の報告をできるものと考えております。また、当社は創
 薬共同研究開発に関心のある複数の企業との間で新たな契約締結に向けた交渉を継続的に進めております。


  2つ目の事業戦略であるPDPSの技術ライセンスについては、2020年3月31日現在、7社;米国ブリストル・マイ
 ヤーズ スクイブ社(2013年)、スイス・ノバルティス社(2015年)、米国リリー社(2016年)、米国ジェネンテッ
 ク社(2016年)、塩野義製薬株式会社(2017年)、米国メルク社(2018年)、ミラバイオロジクス株式会社(2018
 年)との間で非独占的なライセンス許諾契約を締結しております。同事業においては、各ライセンス先企業から技
 術ライセンス料とともに開発プログラムの進捗ごとのマイルストーンフィーが当社に支払われます。なお、マイル
 ストーンを達成するまでの間は、ライセンス先企業での研究内容や進捗について当社に知らされることはございま
 せん。また、当社は、PDPSの非独占的ライセンス許諾に関心をもつ複数の企業との交渉を継続的に進めておりま



                                        2
す。


 3つ目の事業戦略は、世界中の高い技術力を有する創薬企業・バイオベンチャー企業及びアカデミア等の研究機
関と戦略的提携を組むことで、自社の医薬品候補化合物(パイプライン)の拡充を図ることが狙いです。同事業に
おいては、当社の強力な製薬企業とのネットワークを活用し、これらのプログラムを少なくとも第Ⅰ相に入る段階
もしくは、第Ⅰ相に入った後、場合によっては第Ⅱ相まで開発を進めることにより、通常の開発候補品よりも収益
性の高い条件で大手製薬企業にライセンスアウト(導出)することを目標にしております。当社では、PDPS技術を
用いて同定したヒット化合物を起点に、①特殊ペプチド医薬品、②ペプチド-薬物複合体(PDC医薬品)、③低分子
医薬品の3つのカテゴリーの医薬品開発を進めていくために必要な能力の拡充を進めております。同事業では、戦
略的パートナーの独自の技術・ノウハウと当社の技術を組み合わせることでより高い価値のプログラムが生み出さ
れることに加え、開発費用を両社で負担することにより、開発に成功した場合には、従来の創薬共同研究プログラ
ムと比べてより高い比率の売上ロイヤルティーが当社に支払われます。
 自社創薬については、ヘマグルチニン(HA)を標的タンパク質とした抗インフルエンザウイルス特殊環状ペプチ
ド「PD-001」や、抗自己免疫疾患・抗アレルギー性炎症に関与するインターロイキン-17(IL17)を標的タンパク質
とした特殊環状ペプチドを用いた医薬品の研究開発など、複数のプログラムが進行しております。今後、臨床開発
に向けた新たな進捗の報告ができるものと考えております。
 2020年3月12日に、当社は三菱商事株式会社(以下 三菱商事)と細胞治療・再生医療等製品の製造等に使用され
る、細胞培養向け培地の重要成分である、成長因子を代替するペプチド(以下代替ペプチド)の開発・製造・販売
を行う合弁会社・ぺプチグロース株式会社(以下ぺプチグロース)を設立することを発表いたしました。ぺプチグ
ロースに対する両社の出資比率は、三菱商事60.5%、ペプチドリーム39.5%となります。ぺプチグロースは、両社が
持つノウハウを利活用し、医薬品産業における細胞治療・再生医療等の発展に向け、取り組んでまいります。成長
因子は、ヒトを含む動物の体内に広く存在し、細胞の成長・増殖や、またiPS細胞・ES細胞等の幹細胞を神経細胞や
血液細胞等へと分化誘導させる際に重要な役割を担うタンパク質です。現在は、動物血清からの抽出物、あるいは
遺伝子組み換え技術によって製造されたものが主に使用されていますが、不純物混入による安全性上のリスク、製
造ロット間の品質のばらつき、高額な製造コスト等が、医薬品産業が直面する課題となっております。ぺプチグロ
ースは、当社のPDPSを用いて、成長因子と同等の機能を有する代替ペプチドを見つけ出し、動物血清・遺伝子組み
換え技術を用いない、化学合成による新規製造手法を開発します。また、商業ベースでの製造工程・体制を確立す
ることで、品質面においては高純度で製造ロット間のバラつきも無くし、またコスト面の合理化も実現します。現
時点で数十種類を超える成長因子が知られており、完全ゼノフリー培地の実現を可能とする為には複数の成長因子
を化学合成品によって代替していく必要があります。複数品目の成長因子について化学合成品(代替ペプチド)を
包括的に開発する今回の取り組みは、史上初であり、細胞治療・再生医療の普及拡大に必要不可欠なものと考えて
おります。三菱商事は、ぺプチグロースに社長を含む経営幹部の人材を数名派遣し、同社の経営全般に携わる他、
三菱商事グループが有する幅広いネットワーク・顧客基盤を活用することで、グローバル市場における代替ペプチ
ドの販売及び市場拡大を図り、医薬品産業が抱える課題解決や細胞治療・再生医療の普及促進に貢献してまいりま
す。
 当社はこれまで7社(JCRファーマ株式会社、モジュラス株式会社、英国Heptares Therapeutics社、米国Kleo
Pharmaceuticals社、日本メジフィジックス株式会社、ポーラ化成工業株式会社、JSR株式会社)との戦略的提携を
発表しております。また、川崎医科大学とは難治性希少疾患に対するペプチド創薬に関する共同研究を実施し、ビ
ル&メリンダ・ゲイツ財団からは結核に対する新規治療薬開発に関する研究支援金を受領しております。
 JCRファーマ株式会社(以下 JCRファーマ)とは、2016年2月に開始した共同研究において、2019年5月10日に血
液脳関門(Blood-Brain Barrier:BBB、以下「BBB」)通過を可能とするキャリアとしての特殊環状ペプチドの創製
に成功したことを発表いたしました。多くの薬物はBBBを容易に通過することができず、脳内への取り込み効率の低
さが中枢神経系疾患の医薬品開発において大きな課題となっております。今回創製したキャリアペプチドは、様々
な種類の薬物に対し、PDCとすることでBBB通過能を付与し、脳内への取り込み効率を向上させる効果を有しており
ます。このキャリアペプチドは、抗体を中心とするタンパク質、ペプチド、核酸、低分子化合物等、幅広い薬物へ
の応用が可能ですが、既に抗体医薬のBBB通過において極めて有効であることが動物モデルで実証されております。
また、低分子化合物を中心とした他の薬物への応用についても、体内動態を含む実証データの確認が進められてお
ります。両社は、BBB通過能を付与したい薬物にこのキャリアペプチドを付加することで、新たに脳内での薬効が期



                              3
待できる薬物の創製を推進するとともに、第三者へのライセンス活動を開始しております。第三者へのライセンス
活動においては、手続き効率化の観点から問い合わせ窓口、及び契約締結からキャリアペプチドの供給まで主とし
て当社が担当しており、多くの問い合わせをいただいております。本キャリアペプチドのライセンス活動によって
得られる収益は、当社とJCRファーマとの間で分配されます。
 モジュラス株式会社(以下 モジュラス)とは、これまで開発が難しかった創薬ターゲットに対する低分子医薬品
候補化合物の開発を進めております。モジュラスは最先端の計算科学を駆使した高速かつ効率的な低分子医薬品候
補化合物のデザインに関する技術を有するベンチャー企業です。両社は開発コストを分担し、得られた成果も両社
で共有いたします。当社はPDPSを用いてキナーゼの変化の影響を受けないATP-非競合型インヒビター(アロステリ
ックインヒビター)であるキナーゼ阻害剤の候補となるヒットペプチドをすでに数多く同定しております。両社は
得られたヒットペプチドと標的キナーゼとの複合体の結晶構造から計算科学を用いて低分子医薬品候補化合物をデ
ザインする能力を高める取組みを進めております。
 英国Heptares Therapeutics社(以下 ヘプタレス)とは、疼痛、がん、炎症性疾患など複数の適応症において既
に検証されているGタンパク質共役受容体(GPCR)として知られるプロテアーゼ活性化受容体2(PAR2)を標的とし
て新規治療薬の研究開発・商業化を目的とした戦略的共同研究を行っております。この共同研究では、両社のもつ
業界屈指のプラットフォーム技術を融合いたします。両社で選択したGPCRターゲットに対して、ヘプタレス社の
StaRプラットフォームを用いて安定化し、当社のPDPSを用いてヒット化合物を得ることで、新たな治療薬の開発を
進めてまいります。本契約のもと両社はコストを分担し、得られたすべての成果を共有いたします。両社は既に
PAR2に対して高い親和性と選択性を有するペプチド・アンタゴニストを同定しており、リード候補化合物の特定に
向けた共同研究は順調に進捗しております。
 米国Kleo Pharmaceuticals(以下 クリオ)とは、複数の適応症でがん免疫治療薬の共同研究開発を行っておりま
す。クリオが選択した複数のがん細胞表面、及び免疫細胞表面の受容体ターゲットに対して当社のPDPSを用いて特
殊環状ペプチドを同定し、最適化を実施いたします。それらとクリオが有するAntibody Recruiting Molecules
(ARMs)、Synthetic Antibody Mimics(SyAMs)、 及 び Monoclonal Antibody Therapy Enhancers(MATEs) と い う
新たながん免疫療法のプラットフォーム技術を用いてPDC医薬品候補化合物を創製いたします。当社は製品開発の貢
献度に応じて、すべての製品から生じる一定の収益を得る権利を有しております。2017年7月に開始した両社の戦
略的共同研究開発において、2つの臨床候補化合物(クリオのパイプライン上では、KP1237、KP1196と公表)が創
製されております。いずれも骨髄腫細胞表面に発現しているCD38を標的とし、PDPSを用いて特定された特殊環状ペ
プチドにARMsを結合したPDC医薬品候補化合物(CD38-ARMs)で、多発性骨髄腫を適応症としております。 ARMsは、
体内にもともと内在する抗体と結合し、その抗体が腫瘍細胞への高い殺傷能力を有する免疫細胞を誘導することで
骨髄腫細胞を攻撃する作用メカニズムをその特徴としております。 CD38は多発性骨髄腫の標的として実証されてい
ることに加えて、慢性リンパ性白血病やその他のがん細胞表面にも多く発現していることが知られております。今
回の臨床候補化合物は、前臨床モデルにおいて安全性と有効性に関する良好なデータが確認されたものから選抜さ
れました。 KP1237は短期間作用型の治療薬として幹細胞移植を受けた多発性骨髄腫患者向けに開発を行っており、
KP1196は長期間作用型としてより広く一般の多発性骨髄腫患者向けに使用される治療薬として開発を進めておりま
す。2つの臨床候補化合物はともに2020年の臨床開発入りを計画しております。クリオは2020年2月7日に多発性
骨髄腫を適応症として申請しておりましたKP1237のIND(新薬臨床試験開始届)が米国FDA(食品医薬品局)から承
認されたことを発表しました。両社は、今回の臨床候補化合物以外にもARMを用いた複数プログラムの研究開発を進
めるとともに、クリオが有するARM以外のがん免疫療法のプラットフォーム技術であるSyAMs、及びMATEsを用いたプ
ログラムの研究開発も進めております。なお当社は、戦略的な観点からクリオに出資しており、株主となっており
ます。
 日本メジフィジックス株式会社(以下 NMP)とは、特殊ペプチドにラジオアイソトープ(RI:放射性同位元素)
を標識した治療薬及び診断薬の創製に向けた戦略的共同研究開発を行っております。当社はPDPS技術を活用し、特
殊ペプチドを用いたペプチド-薬物複合体(PDC)の研究開発を進めております。またNMPは「治療と診断の融合(セ
ラノスティクス)」の実用化を目指しており、治療用及び診断用の放射性医薬品を開発するための新たな研究製造
拠点の整備に着手しております。当社が持つ特殊ペプチドにNMPが持つ放射性核種を標識する技術を組み合わせるこ
とにより、セラノスティクスの実現につながる新たな治療薬及び診断薬の創製を進めてまいります。本取組みによ
って得られるRI標識ペプチドの開発及び製品化の技術は両社で共有し、日本を含むアジア、ならびに欧米等におい
て共同開発またはライセンスの導出を進めてまいります。



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 ポーラ化成工業株式会社(以下 ポーラ化成工業)とは、ペプチドを用いた化粧品、医薬部外品、及び医薬品の研
究開発を行っております。当社のPDPS技術を活用することで、ポーラ化成工業における医薬部外品や化粧品の素材
開発に拡大するとともに、ポーラ化成工業との協業により、皮膚に効果のある医薬品シーズの創出などに取り組ん
でまいります。
 川崎医科大学とは、難治性希少疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対するペプチド医薬品の共
同研究開発を行っております。DMDは進行性の筋力低下を特徴とする遺伝疾患であり、いまだ有効な治療法が確立さ
れておりません。共同研究開発では、マイオスタチンを標的タンパク質としたペプチド医薬品候補化合物がDMDのモ
デル動物に投与した際に筋力低下を有意に改善することが確認されており、革新的な筋萎縮阻害剤の開発につなが
りうるものと期待しております。現在、前臨床試験を進めており、近い将来に臨床試験を実施できるよう全力で取
り組んでまいります。
 ビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下              ゲイツ財団)とは、世界の最貧国において大きな問題となっている2つの
感染症である結核、及びマラリアを治療するための新規特殊環状ペプチドを見出すことを目的とした複数のプログ
ラムにつき、ゲイツ財団からの研究支援金を受けて研究開発を進めております。2019年11月1日に、当社はゲイツ
財団から結核に対する新規治療薬開発に関して第2回目の研究支援金を受領することを発表いたしました。2017年
11月に受領した初回の研究支援金による取り組みの結果、複数の有望なヒット候補化合物が特定され、次なる開発
ステップに向けた検討を進めてまいりました。今回の新たな支援金は、結核治療薬として最も有望なヒット化合物
を、前臨床試験を視野に入れて最適化を行い、リード化合物として開発することに充当されます。結核は、世界人
口の約3分の1が潜伏感染しているといわれ、毎年1,040万人の新規感染症例と180万人の死亡例が報告されており
ます。今回の支援金により開発される治療薬は、ゲイツ財団との合意に基づき、低中所得国(LMIC)においては安
価で提供されることになっております。一方、先進国においては、当社が自社での商業化及びライセンス活動の権
利を有しております。
 JSR株式会社(以下 JSR)とは、抗体医薬品などのバイオ医薬品の精製過程で用いられるアフィニティクロマトグ
ラフィーに適用可能な特殊ペプチドの共同研究を開始しております。医療現場で広く使われている抗体医薬品など
のバイオ医薬品製造は大きく、1)CHO細胞などを培養し目的とするタンパク質を作る工程と、2)その産生細胞を除
去し、多くの不純物から目的タンパク質を精製する工程に分類されます。この精製工程に用いられるクロマトグラ
フィーは、プロテインAなどのタンパク質リガンドを用いたアフィニティクロマトグラフィーをはじめ、イオン交換
クロマトグラフィー等、目的に応じて様々なクロマトグラフィーが使用されますが、特殊ペプチドを用いた新たな
クロマトグラフィー担体の開発・商業化は、バイオ医薬品精製プロセスの簡便化・低コスト化に貢献します。特殊
ペプチドは化学合成が可能なため、従来のタンパク質リガンドと比べて均一な品質のリガンドをより安定的に大量
製造できる利点があり、また物理的に小さい特殊ペプチドをリガンドとすることで精製効率そのものを向上させる
こと、さらにこれまでアフィニティクロマトグラフィーでは精製が難しかったバイオ医薬品の精製も実現可能とな
ります。
 当社は今後も特定の分野で世界をリードする優れた技術を有するバイオベンチャー企業やアカデミア等の研究機
関 と の 戦 略 的 提 携 を 通 じ て、 次 世 代 の フ ァ ー ス ト イ ン ク ラ ス (first-in-class)、 及 び ベ ス ト イ ン ク ラ ス
(best-in-class)となる優れた治療薬の開発に向けた取組みをさらに加速してまいります。


 当社は塩野義製薬株式会社、積水化学工業株式会社と合弁で特殊ペプチド原薬の製造プロセスに関する研究開発、
製造及び販売を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization:医薬品開発製造受託機関)・
ペプチスター株式会社(以下 ペプチスター)を2017年9月に設立いたしました。ペプチスターは国内の様々な会社
が有する技術を融合し、高品質、高純度でしかも製造コストを大幅に低減する最先端技術を開発、提供することを
目指しております。ペプチスターは当社の創薬共同研究開発企業だけでなく、戦略的提携により自社開発品の製造
も請け負うことが予想されます。大阪府摂津市に建設を進めていた同社の工場は、当初の計画通り2019年10月から
商業生産を開始しております。ぺプチスターは2019年12月6日に、2017年10月に国立研究開発法人 日本医療研究開
発機構(AMED)と委託環境整備契約を締結した医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)における課題「特殊ペプチ
ド原薬CMO創設」において、計画通り供給体制の基盤構築を達成したことを発表しております。
 当社はサステイナビリティへの取り組み(ESG)に関して、当社の基本方針、重点取組み、主要データ/指標につ
いて自社WEBサイト上に専用ページ(https://www.peptidream.com/esg/data.html)を開設し、積極的な情報開示を
行っております。当社は地球環境への配慮、社会・従業員に関する取り組み、企業統治(ガバナンス)に関して業



                                          5
    界トップクラスの水準を目指して取り組んでまいります。2019年6月に当社は、「気候関連財務情報開示タスクフ
    ォース(TCFD)」提言への賛同を表明しております。
     当社の従業員は2020年3月31日現在で124名(派遣を含む。女性社員比率は約4割)となっております(2019年12
    月末比1人増)。取締役7名を含めると総勢131名の体制となりました。なお、中国でアミノ酸や低分子化合物の合
    成や製造等を委託しているCRO内には当社専属で15名が勤務しております。
     以上の結果、当事業年度における売上高は393,782千円、営業損失481,278千円、経常損失488,296千円、当期純損
    失340,700千円となりました。
     なお、当社の事業は単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。


  (注)当社は、前事業年度より事業年度末日を6月末日から12月末日に変更しました。これにより、当第1四半期累
     計期間(2020年1月1日から2020年3月31日)と比較対象となる前第1四半期累計期間(2019年7月1日から
     2019年9月30日)の期間が異なるため、経営成績に関する説明における前年同四半期増減については記載して
     おりません。

(2)財政状態に関する説明
    ①財政状態の分析
     当第1四半期会計期間の総資産は17,866,562千円となり、前事業年度末と比べて49,221千円増加しました。その主
    な要因は、売掛金が269,776千円減少したものの、工具、器具及び備品が229,940千円、繰延税金資産が148,848千円
    増加したこと等によるものです。
     負債は1,229,673千円となり、前事業年度末と比べて390,622千円増加しました。その主な要因は、前受金が
    268,002千円増加したこと等によるものです。
     純資産は16,636,889千円となり、前事業年度末と比べて341,400千円減少しました。その主な要因は、四半期純損
    失により利益剰余金が340,700千円減少したこと等によるものです。
 
    ②キャッシュ・フローの状況
     当第1四半期累計期間における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ69,578千円増加し、7,056,300千円と
    なりました。
     当第1四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
 
     (営業活動によるキャッシュ・フロー)
     営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期純損失488,296千円の計上等があったものの、売上債権の減
    少額269,776千円、前受金の増加額268,002千円等により、339,594千円の収入となりました。
 
     (投資活動によるキャッシュ・フロー)
     投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出263,195千円、無形固定資産の取得による
    支出3,750千円により、266,945千円の支出となりました。
 
     (財務活動によるキャッシュ・フロー)
     財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使による株式の発行による収入6,569千円により、6,569千
    円の収入となりました。


  (注)当社は、前事業年度より事業年度末日を6月末日から12月末日に変更しました。これにより、当第1四半期累
     計期間(2020年1月1日から2020年3月31日)と比較対象となる前第1四半期累計期間(2019年7月1日から
     2019年9月30日)の期間が異なるため、キャッシュ・フローの状況に関する説明における前年同四半期増減に
     ついては記載しておりません。




                                   6
(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明
  当第1四半期累計期間の業績は、通期計画に対してほぼ想定通りの進捗となっており、2019年8月8日に発表い
 たしました2020年12月期の業績予想から変更はございません。
  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は、当社の事業運営に一部影響を及ぼしております。当社は4月
 7日の政府からの緊急事態宣言の発令を受けて、出社制限下での稼働体制にシフトしております。オフィスワーク
 は原則在宅勤務にシフトし、在宅勤務が難しい実験等のラボワークについてもチームごとの稼働調整を最適化する
 ことで出社頻度を制限しております。また、オフィス内の衛生管理の強化や「密な接触機会」の回避を図る取り組
 みを進めること等により、社員およびすべての関係取引先、ならびにそのご家族の皆様の感染リスク軽減に努めて
 おります。なお、本四半期決算短信提出日時点において、当社の役職員から新型コロナウイルス感染者は確認され
 ておりません。
  COVID-19の世界的な感染拡大に対して、当社の研究開発パートナー企業の多くにおいても在宅勤務へのシフトや
 研究開発オペレーションの縮小等、必要な対応策が取られております。その結果、研究開発活動の一部にスピード
 ダウンが生じておりますが、大半のパートナー先では今後数週間から数か月の間に通常稼働に戻すことが計画され
 ており、現時点において影響は軽微なものと見込んでおります。当社では、当面の間、こうした状況が続くと見込
 んでおり、今後の影響を十分に見極めるには時間を要するものと考えておりますが、現時点においては事業継続に
 支障はなく、顕在化している重大なリスクはございません。また、当社の財務状況は良好であり、有利子負債ゼロ
 (無借金経営)を継続するとともに、自己資本比率は90%以上の高い水準を維持しております。手元資金は2020年
 3月末で7,056百万円となり、次なる成長に向けた投資、および研究開発を持続的に推進していくための運転資金と
 して十分な水準を維持しております。今後、当社の想定範囲を超える何らかの影響が顕在化し、業績予想の修正が
 必要になった場合には速やかに公表いたします。
             決算期変更前                         決算期変更後
        2019年6月期   2019年6月期   2019年12月期      2020年12月期    2020年12月期
       第1四半期実績       通期実績         実績        第1四半期実績           予想
         2018年7月    2018年7月    2019年7月        2020年1月      2020年1月
             ~          ~          ~              ~            ~
         2018年9月    2019年6月    2019年12月       2020年3月      2020年12月
設備投資
                36       185          140           326            500
(百万円)
減価償却費
               128       501          246           137            533
(百万円)
研究開発費
               222     1,141          893           355          1,687
(百万円)
期末人員数
                96       120          123           124            150
(人)
 ※ 1.期末人員数は派遣社員を含む人数を記載しております。
    2.設備投資額は、実際に支払う金額を表示しております。




                              7
2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
                                                     (単位:千円)
                            前事業年度             当第1四半期会計期間
                         (2019年12月31日)         (2020年3月31日)
資産の部
 流動資産
   現金及び預金                         6,986,722            7,056,300
   売掛金                              312,492               42,715
   貯蔵品                              341,316              361,246
   前払費用                             150,960              106,989
   その他                              248,306              195,441
   流動資産合計                         8,039,797            7,762,693
 固定資産
   有形固定資産
     建物(純額)                       3,683,377            3,651,091
     構築物(純額)                        160,232              157,114
     工具、器具及び備品(純額)                  986,708            1,216,649
     土地                             904,628              904,628
     有形固定資産合計                     5,734,947            5,929,482
   無形固定資産
     のれん                             11,815                6,751
     ソフトウエア                         102,151               96,970
     その他                              1,622                1,589
     無形固定資産合計                       115,589              105,312
   投資その他の資産
     投資有価証券                       1,295,598            1,288,298
     関係会社株式                       1,900,000            1,900,000
     長期貸付金                           95,839               94,279
     長期前払費用                          16,977               16,752
     繰延税金資産                         476,431              625,280
     その他                            142,158              144,463
     投資その他の資産合計                   3,927,005            4,069,073
   固定資産合計                         9,777,543           10,103,869
 資産合計                            17,817,340           17,866,562
負債の部
 流動負債
   買掛金                               38,595               91,605
   未払金                              127,138              176,927
   未払費用                              70,854               84,426
   未払法人税等                            22,729               10,912
   前受金                              312,923              580,926
   預り金                               12,367               12,715
   その他                               93,930              111,650
   流動負債合計                           678,540            1,069,162
 固定負債
   株式給付引当金                           15,774               15,774
   役員株式給付引当金                        144,736              144,736
   固定負債合計                           160,510              160,510
 負債合計                               839,050            1,229,673




                     8
                                                  (単位:千円)
                         前事業年度             当第1四半期会計期間
                      (2019年12月31日)         (2020年3月31日)
純資産の部
 株主資本
   資本金                         3,930,541            3,933,885
   資本剰余金                       3,926,823            3,930,167
   利益剰余金                       9,488,501            9,147,801
   自己株式                        △411,570             △411,570
   株主資本合計                     16,934,296           16,600,284
 評価・換算差額等
   その他有価証券評価差額金                 △40,700              △48,000
   評価・換算差額等合計                   △40,700              △48,000
 新株予約権                            84,693               84,604
 純資産合計                        16,978,289           16,636,889
負債純資産合計                       17,817,340           17,866,562




                  9
(2)四半期損益計算書
  第1四半期累計期間
                                              (単位:千円)
               前第1四半期累計期間            当第1四半期累計期間
                (自 2019年7月1日          (自 2020年1月1日
                至 2019年9月30日)         至 2020年3月31日)
売上高                       394,877                393,782
売上原価                      322,095                338,762
売上総利益                      72,782                 55,019
販売費及び一般管理費                485,616                536,298
営業損失(△)                  △412,834               △481,278
営業外収益
 受取利息                        1,174                 1,710
 為替差益                        4,623                     -
 業務受託料                     137,592                     -
 その他                             -                 1,101
 営業外収益合計                   143,390                 2,811
営業外費用
 為替差損                           -                  9,798
 株式交付費                          -                     30
 営業外費用合計                        -                  9,829
経常損失(△)                  △269,444               △488,296
税引前四半期純損失(△)             △269,444               △488,296
法人税、住民税及び事業税               △2,059                  1,252
法人税等調整額                   △82,118               △148,848
法人税等合計                    △84,177               △147,596
四半期純損失(△)                △185,266               △340,700




               10
(3)四半期キャッシュ・フロー計算書
                                                       (単位:千円)
                         前第1四半期累計期間           当第1四半期累計期間
                          (自 2019年7月1日         (自 2020年1月1日
                          至 2019年9月30日)        至 2020年3月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前四半期純損失(△)                      △269,444             △488,296
 減価償却費                              120,213              137,263
 のれん償却額                               5,064                5,064
 受取利息及び受取配当金                        △1,174               △1,710
 為替差損益(△は益)                           4,637                9,640
 株式交付費                                    -                   30
 売上債権の増減額(△は増加)                   2,917,158              269,776
 貯蔵品の増減額(△は増加)                     △49,596              △19,930
 前払費用の増減額(△は増加)                    △16,831                43,970
 仕入債務の増減額(△は減少)                     △7,273                55,272
 未払金の増減額(△は減少)                      396,165             △12,114
 未払費用の増減額(△は減少)                   △325,680                13,571
 前受金の増減額(△は減少)                    △215,382               268,002
 預り金の増減額(△は減少)                     △85,491                   348
 その他                              △283,089                59,760
 小計                               2,189,275              340,650
 利息及び配当金の受取額                          1,174                1,710
 法人税等の支払額                         △732,402               △2,766
 営業活動によるキャッシュ・フロー                 1,458,047              339,594
投資活動によるキャッシュ・フロー
 有形固定資産の取得による支出                     △4,623             △263,195
 無形固定資産の取得による支出                     △4,697              △3,750
 投資活動によるキャッシュ・フロー                   △9,320             △266,945
財務活動によるキャッシュ・フロー
 新株予約権の行使による株式の発行による収入                    -                6,569
 財務活動によるキャッシュ・フロー                         -                6,569
現金及び現金同等物に係る換算差額                    △4,637               △9,640
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)               1,444,089               69,578
現金及び現金同等物の期首残高                    6,853,150            6,986,722
現金及び現金同等物の四半期末残高                  8,297,239            7,056,300




                         11
(3)四半期財務諸表に関する注記事項
  (継続企業の前提に関する注記)
   該当事項はありません。




  (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
   該当事項はありません。




                         12