4579 J-ラクオリア創薬 2021-06-18 16:00:00
カリウムイオン競合型アシッドブロッカーの中国における新規用途に関する特許査定のお知らせ [pdf]
2021年6月18日
各 位
会 社 名 ラクオリア創薬株式会社
代 表 者 名 代表取締役 武内 博文
(コード番号:4579)
問 合 せ 先 事業戦略部長 須藤 正樹
(TEL.052-446-6100)
カリウムイオン競合型アシッドブロッカーの中国における
新規用途に関する特許査定のお知らせ
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium-Competitive Acid Blocker : P-CAB)※の用途に
関して当社が中国で出願しておりました特許(出願番号201610246787.9)は、これまで審査中でありまし
たが、本日、特許査定※の連絡を受けましたのでお知らせいたします。
今回の特許査定により、P-CABに対して、食間伝播性収縮運動(IMC)※のphase Ⅲ 収縮の発生によって
改善される、腹部膨満感、不快感及び便秘などの消化管運動低下が関与する疾患または症状を改善する用
途に関する権利が認められました。本特許の権利範囲には、当社が創出したtegoprazan(化合物コード:
RQ-00000004)の他、vonoprazanおよびrevaprazan等の化合物群を含んでおります。
P-CABは、アシッドポンプ拮抗薬とも呼ばれる新しい作用機序の胃酸分泌関連疾患治療剤で、消化器疾
患領域で注目を浴びています。P-CABは、胃食道逆流症(GERD)※治療薬として現在の第一選択薬であるプ
ロトンポンプ阻害剤(PPI)とは異なるメカニズムで、PPIよりも速やかにかつ持続的に胃酸分泌を抑制し
ます。さらに、今回の発明により、消化管機能調整剤または消化管運動賦活化剤としての用途が加わりま
した。したがって、PPIでは十分に症状が改善されなかった場合でも改善効果が期待されます。
当社は、2010年9月、tegoprazanを含むP-CABについて、CJ第一製糖株式会社との間で東アジア地域を
対象とした開発・販売及び製造の再実施許諾権(サブライセンス権)付き独占的ライセンス契約を締結し
ました。同社は2014年4月にCJヘルスケア株式会社として独立し、2020年4月に社名をHK inno.N株式会
社(本社:韓国ソウル市、代表取締役:Seok-Hee Kang、以下「HKイノエン社」)に変更しています。
Tegoprazanは2019年3月に韓国初のP-CAB「K-CABⓇ」として販売が開始され、韓国の医療現場に順調に
浸透して現在も売上を拡大しています。中国につきましては、HKイノエン社は、2015年10月、tegoprazan
について、Shandong Luoxin Pharmaceutical Group Stock Co., Ltd.(以下「Luoxin社」)との間で中国
を対象としたサブライセンス契約を締結しました。以後、Luoxin社が中国における臨床開発を実施し、今
年初めに新薬承認申請(NDA:New Drug Application)が行われています。このほか、HKイノエン社は東
南アジア、中南米諸国、さらに米国など、世界各地にtegoprazanを展開しています。
当社は今後も引き続き、知的財産の強化に注力するとともに、tegoprazanの価値最大化に向けてHKイノ
エン社と連携し、世界各地の多くの患者さまに同薬を届けることにより、消化器疾患治療の選択肢を広げ、
患者さまのQOL(Quality of Life)の向上に一層貢献できるよう努めてまいります。
なお、本特許査定により、2021年12月期(2021年1月1日~2021年12月31日)の当社業績への影響はござ
いません。
以 上
<ご参考>
【カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium-Competitive Acid Blocker : P-CAB)につい
て】
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)は、胃酸分泌の最終段階を担うH+/K+-ATPase(プロ
トンポンプ)をカリウムイオンと競合的に阻害する、次世代の胃酸分泌抑制剤です。全世界で約2.5兆円
に上る胃酸分泌抑制剤の市場で、PPIあるいはH2ブロッカーに対抗して、大きなマーケットシェアを取る
ことが期待されます。現在、日本ではvonoprazanが、韓国ではtegoprazanおよびrevaprazanが上市・販売
されています。
【食間伝播性収縮運動(IMC: interdigestive migrating contractions)について】
食間伝播性収縮運動とは、正常状態の空腹期に胃から肛門側へと伝播していく、協調的な消化管運動収
縮であり、phase Ⅰ 収縮からphase Ⅳ 収縮の4相から成り立ちます。IMCの4相のうち、phase Ⅲ 収縮
は最も強い律動的な収縮運動の相です。
【胃食道逆流症(GERD:gastroesophageal reflux disease)について】
胃食道逆流症(GERD)は、食道粘膜障害を有する逆流性食道炎(RE:reflux esophagitis)と食道粘膜障
害の認められない非びらん性胃食道逆流症(NERD:non-erosive reflux disease)を含みます。
【特許査定について】
各国特許庁の審査によって「特許権を与える価値がある出願発明である」と判断された場合に示される
評価です。特許査定の後に特許料を納付することによって、登録特許となり、該当する国において特許権
が発生することになります。