4579 J-ラクオリア創薬 2021-02-12 17:30:00
株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ [pdf]

                                                   2021年2月12日
各   位
                              会 社 名 ラクオリア創薬株式会社
                              代 表 者 名 代表取締役      谷      直 樹
                                          (コード番号:4579)
                              問 合 せ 先 取締役        髙松     康浩
                                           (TEL.052-446-6100)


         株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ


 当社は、当社の株主である柿沼佑一氏(以下「提案株主」といいます。   )より、2021年3月開
催予定の第13期定時株主総会における議題について、株主提案(以下「本提案」といいます。    )
を行う旨の2021年1月26日付書面を受領していましたが、本日開催の当社取締役会において、  本
提案について反対することを決議しましたので、下記のとおりお知らせいたします。

                        記

Ⅰ.本提案の内容
 1 提案された議題
  (1)取締役(監査等委員である取締役を除く。)3名選任の件
  (2)監査等委員である取締役3名解任の件
  (3)監査等委員である取締役3名選任の件
  (4)補欠の監査等委員である取締役1名解任の件
  (5)補欠の監査等委員である取締役1名選任の件
 2 議案の内容及び提案の理由
    別紙をご参照ください。

Ⅱ.本提案に対する当社取締役会の意見
 1 取締役(監査等委員である取締役を除く。)3名選任の件
 (1) 取締役(監査等委員である取締役を除く。)3名選任の件の概要
     この提案の概要は以下の候補者3名を取締役に選任することを提案するものです。
     武内 博文
     土屋 裕弘
     渡邉 修造
 (2) 当社取締役会の意見
     当社取締役会としては、取締役(監査等委員である取締役を除く。)3名選任の件に以下
   の理由で反対いたします。
 (3) 反対の理由
   ①当社の予定する新体制のもとで成長戦略を着実に実施していくことが企業価値向上の観
   点から最良であること
     まず、当社取締役会は、当社が創薬会社として堅実に成長してきているものと自負してお
   ります。 医薬品ビジネスは 20 年から 25 年の長期的視点で捉えるべきものですので、現時点
   のみを取り出して批判するのではなく、10 年先にどのようなビジネスを展開しているか、
                        -1-
すなわち将来を見据えた戦略を策定することが必要であります。このようなビジョンを抜
きにした議論は意味がないものと考えます。
 当社の現段階の収入の過半を占めるロイヤルティ収入は、   当社の研究戦略においては、 あ
くまで長期的な補助エンジンと位置付けられるものであり、当社の本質的価値は創薬研究
にあります。   当社のイオンチャネル創薬技術に基づいて創成された低分子化合物は、 複数の
製薬企業への導出に成功して開発段階に入っています。例えば、本年1月 29 日に公表され
た P2X7 受容体拮抗薬の全世界を対象としたライセンス契約は、当社の創薬能力の高さを対
外的に改めて示すことができた成果の一つであります。   当社は、今現在においても継続的に
注目を集めるシード化合物を創出しており、   そのシード創出の戦略、技術は他のバイオベン
チャーに決して劣るものではなく、研究員の質、実績も誇るに足るものです。
 このような認識のもと、   当社は本日付けで次年度以降に予定する経営体制(以下「新体制」
といいます。)を発表いたしました。当社の予定する新体制は以下のとおりです。

・    渡邉修造氏が、新たに代表取締役として就任し、当社グループの経営全般を統括する。
・    土屋裕弘氏が、経営者としての豊富な経験に裏打ちされた貴重な進言を行う。
・    髙松康浩氏が、人事総務担当として会社の根幹を支える役割を担う。
・    宇都克裕氏が、新たに創薬研究担当として就任し、当社の創薬研究の発展に尽力する。
    ※現取締役の谷直樹氏及び河田喜一郎氏は、2021 年3月開催予定の第 13 期定時株主総会
    の終結の時をもって取締役を退任します。

 新代表取締役候補の渡邉修造氏は、これまで、研究者としての優秀な実績は勿論のこと、
当社の創薬研究事業の最高責任者としてその全体を牽引するとともに、取締役副社長執行
役員として全社的な立場からも優れたリーダーシップを発揮して参りました。さらに今回、
当社取締役会は、宇都克裕氏を新規取締役候補者とすることを決定いたしました。   宇都氏は、
旭化成ファーマ株式会社に在籍中は、当社との P2X7 受容体拮抗薬に関する共同研究におい
て、旭化成ファーマ社側のプロジェクトリーダー並びにステアリングコミッティーメンバ
ーとして中心的役割を果たした逸材であります。このように、   渡邉氏を筆頭とする新体制は、
当社の核となる創薬研究事業を強化することで当社の輝かしい未来を創造し、また上場企
業として当社事業の安定性と継続性を確保するにふさわしい経営体制であると自負してお
ります。
 以上の内容を含む会社提案は、株主の皆様をはじめ、当社研究員を含む従業員、国内外の
取引先企業、名古屋大学をはじめとするアカデミア、名古屋を中心とした地域社会、といっ
た当社の全てのステークホルダーにとって何よりも最良な選択であり、このことに疑いの
余地はありません。新体制のもと、新中期経営計画(Gaia2021)に基づく成長戦略を着実に
実施していくことこそが、当社の企業価値の向上の観点から最良であると確信しておりま
す。

②本提案が株主共同の利益を毀損する提案であること
 一方、本提案は、具体的な経営戦略は何ら示されておらず、いかにして当社の企業価値を
向上させるのかが不明確です。
 また、武内氏、土屋氏、渡邉氏が取締役候補者となっていますが、このうち現在の当社取
締役である土屋氏、渡邉氏は、本提案の候補者による取締役会の構成を拒絶しております。
そもそも、本提案は、土屋氏、渡邉氏の同意を得て提案されたものではありません(本人た
ちに対する打診すらありませんでした)。
 土屋氏は、製薬会社をはじめ大企業の経営者を歴任されており、その豊富な経験とグロー
バルで幅広い見識は、当社の経営に貴重なものであるとともに、社外取締役として当社の経
営の透明性の確保、コーポレートガバナンスの強化に欠くことができない人材であります。
また、渡邉氏は、当社の事業の核である創薬研究において長年中心的な役割を担ってきた人
材であり、渡邉氏の活躍なくしては、当社の発展は望めません。しかしながら、土屋氏と渡
邉氏は、武内氏を含めた役員構成の下では、取締役としての職責を十分に果たすことはでき
ないと考えております。土屋氏、渡邉氏が十分に能力を発揮できなければ、当社は、発展が
                        2
望めないどころか、衰退していくよりほかありません。
 一方、本提案の取締役候補者の武内氏は、2014 年から 2018 年まで約4年間、当社に在籍
しておりましたが、武内氏のキャリアは小規模な企業における財務を中心としたものであ
り、同氏は医薬品開発や導出活動の経験はありません。  さらに、   武内氏は、当社在籍期間中、
当社においてコスト削減が必要になった際、研究部門の縮小、      すなわち研究職のリストラを
提案していました。創薬業界においては、研究者は経営の根幹であるとともに、優秀な人材
の採用は難しく、一旦失われた優秀な人材は戻りません。
 また、本提案を受け、社内において武内氏が取締役候補者となることについてアンケート
を行ったところ、武内氏が当社に在籍した約4年間の同氏の実績、      行動により具体的なイメ
ージが湧くためと考えられますが、武内氏を取締役とすることについては消極的意見が大
勢でありました。したがいまして、もし武内氏が取締役に就任することになっても、研究者
を含む従業員の賛同は得られないものと思われます。
 このような事情から致しますと、武内氏を取締役候補とする本提案は、      全く非現実的であ
る上に、株主共同の利益を毀損するような提案であると言うべきです。

③本提案の理由には多くの事実誤認がみられること
・時価総額が目標を下回っていることについて
  本提案においては、当社の中期経営計画「Gaia 2021」は株主が期待する結果を達成して
おらず、市場から評価されていないことを理由としています。
  時価総額 1,000 億円という数字は、機関投資家を始めとする多くの投資家の投資基準値
であるため、     当社が医薬品の研究開発を進めるうえで更なる飛躍を遂げるためには、         重要な
メルクマールの一つであることは当社としても認識しております。
  しかしながら、      当社は会社の重要業績評価指標  (KPI)として時価総額を採用しておらず、
「Gaia 2021」におきましても時価総額を KPI としての目標設定はしておりません。また、
時価総額 1,000 億円という基準のみをもって中期経営計画「Gaia 2021」が市場から評価さ
れていないと判断することはできません。         このため、 時価総額が 1,000 億円を下回っている
ことをもって、現在進行中の中期経営計画「Gaia 2021」が市場から評価されていないと批
判することは的を射たものではありません。
  当社が「Gaia 2021」で掲げている主要な施策は、「ヒト用医薬品上市」と「海外展開加
速」の2テーマであります。1つめの「ヒト用医薬品上市」につきましては、韓国において
tegoprazan が 2019 年に販売が開始され、同剤は中国においても 2021 年上半期に上市が見
込まれるなど順調に進んでおります。2つめの「海外展開加速」につきましては、新型コロ
ナウイルス感染症の影響もあり順調とまでは言えないものの、米国サンディエゴに米国拠
点を立ち上げ、海外の研究機関等との連携に取り組んでおります。
  以上のように、      現在、  当社は中期経営計画に掲げた施策を着実に進めている最中にありま
す。

・業績の下方修正はコロナ禍と売上の一部が次期へずれたことが主な理由であること
 また、本提案においては、当社の業績の下方修正も、本提案の理由の1つとして挙げられ
ています。
 当社は、2019 年より開始した中期経営計画「Gaia 2021」に基づき、着実に業績を改善さ
せており、2019 年度に最終損益の黒字化を達成しております。2020 年度につきましては年
初より新型コロナウイルス感染症が全世界で蔓延し、当社もその影響を大きく受けました。
1度目の業績修正は、2020 年度上半期に販売ロイヤルティが下振れしたことが判明したこ
とにより行ったものであります。下期に入り感染症による当社の業績への影響を注視して
おりましたが、  時間の経過とともに導出交渉や開発状況の遅れ等が判明したため、     2度に渡
る下方修正を余儀なくされました。
 医薬品の研究開発を事業とする当社において、事業収益は化合物の導出契約に基づく契
約一時金収入、開発の進展に伴って発生するマイルストン収入及び医薬品の販売に伴う販
売ロイヤルティ収入によって構成されております。契約一時金収入は導出交渉先の販売方
針や開発計画等の事業計画に、マイルストン収入は導出先の臨床試験の結果等によって左
                         3
右されます。また、販売ロイヤルティ収入は、導出先から提供される限られた情報に基づき
予測を策定することになるため、   業績のぶれが生じやすい状況にあります。   さらに当社のよ
うに販売品目が少ない会社においては、1品目の状況の変化が業績に大きく影響を及ぼし
ます。
 上述のとおり、   当社の業績は導出先の事情に左右されるため、   依然として業績予想がぶれ
やすい状況にあります。   また、販売情報や開発情報の守秘義務が厳格である医薬品業界とい
う事業の特性上、開示情報は限られたものとなりますが、当社は、その中において迅速かつ
公正なディスクロージャーに努めております。   2020 年度は2度の下方修正を行いましたが、
多くは 2021 年度にずれ込んだものとなっております。
 株主の皆様におかれましては、何卒、当社の事業特性をご理解いただき、引き続きご支援
賜りますようお願い申し上げます。

・役員報酬は減額され公表もしていること
 本提案の理由においては、   役員報酬の減額等の公表もなされていないとされていますが、
当社代表取締役の谷は、2015 年から役員報酬を 50%カットし、これを現在においても継続
しています。役員報酬をカットする事実は 2015 年に公表されておりますが、免罪符を得る
かのように役員報酬カットの事実を毎年公表することを控えていたにすぎません。
 なお、前述のとおり、2020 年度の業績予想の下方修正は、多くが 2021 年度にずれ込んだ
ためであることから、現段階でさらなる役員報酬の減額を実施する必要はないものと考え
ております。
 ちなみに、2016 年度以降の役員報酬は、取締役 7 人で約 35 百万円であり、上場している
バイオベンチャーにおいてはほぼ最低額であります。

・本提案の理由における、当社が、既存パイプラインの開発をストップさせている、また
新パイプラインの導出ができていないといった指摘は誤りであること
 本提案の理由において、   既存パイプラインの開発をストップさせている、 また新パイプラ
インの導出ができていないと指摘されていますが、これは誤りです。
 まず、既存パイプラインの開発について、当社では、導出戦略に基づいて既存パイプライ
ンの開発を順次進めており、決してストップしている訳ではありません。ただ、既存パイプ
ラインの開発には多額の費用が必要となります。非臨床試験用の原薬を製造するだけで1
億円に近い費用を要し、   その後、非臨床試験を実施するにはさらに約2億円の費用がかかり
ます。したがって、業績の状況を見極めながら、しかるべきタイミングで開発を進行させる
必要があります。   そのような状況下において、昨年からグレリン受容体作動薬(RQ-00433412)
の非臨床試験用の原薬製造に着手しております。また、開発の進行状況の詳細は、企業秘密
に当たる場合もあり、   競合者にこのような情報を与えては、 会社の損失を招くことにもつな
がりかねません。   本提案の理由の記載は、パイプライン開発の運用をよく理解していないと
言わざるを得ません。
 また、 新規パイプラインの導出についても、   共同研究型でしか開発を進めることができて
いない等の指摘がありますが、これも誤りです。当社が 2017 年にマルホ株式会社に導出し
た選択的ナトリウムチャネル遮断薬は、共同研究型ではなく自社で開発を進めて導出に至
り、現在、マルホ社で開発を進めています。さらに、大学等との共同研究からは導出した医
薬品候補物が出ていないとの指摘もありますが、大学から提供されるアイデアから医薬品
候補物を創出するには一般的に最短でも5年以上は必要です。当社は名古屋大学に拠点を
移して 2015 年から名古屋大学と多くの共同研究を実施してきておりますが、いくつかのテ
ーマで有力な医薬品の候補の化合物も出てきている等、開発のプログラムは順調に進んで
おり十分に評価できるものであります。

 以上のように、本提案は取締役候補者である土屋氏、渡邉氏が本提案の候補者による取締
役会の構成を望んでいないという点だけでも非現実的で株主共同の利益にならない提案で
ある上、本提案の理由は多くの事実誤認に基づいています。よって、当社取締役会は、本提

                       4
 案に反対いたします。

2 監査等委員である取締役3名解任の件、及び監査等委員である取締役3名選任の件
(1) 監査等委員である取締役3名解任の件の概要
    この提案は以下の3名の監査等委員である取締役を解任することを提案するものです。
    牧 真之介(注)
    縣 久二(注)
    野元 学二
    (注)別紙のとおり、本提案では異なる文字が使われておりますが、正しい氏名に修正し
    て記載しております。
(2) 監査等委員である取締役3名選任の件の概要
    この提案は以下の候補者3名を監査等委員である取締役に選任することを提案するもの
  です。
    柿沼 佑一
    石井 幸佑
    宇津 恵
(3) 当社取締役会の意見
    当社取締役会としては、(1)監査等委員である取締役3名解任の件、及び(2)監査等委員
  である取締役3名選任の件に以下の理由で反対いたします。
(4) 反対の理由
    本提案の理由では、現在の監査等委員である取締役3名による経営のモニタリングは、  株
  主価値を保護する観点から十分なものとはなっていなかった等と記載されていますが、現
  在の監査等委員である取締役3名は、  適切にその職務を遂行されており、 本提案の理由は事
  実に反するものです。
    すなわち、当社監査等委員は、経営経験をも有する公認会計士、多くのベンチャー企業の
  育成に携わられてきた経営専門家、およびベンチャーを含む企業法務と産学官連携におけ
  るコンプライアンスに精通された弁護士により構成されており、当社の事業規模および事
  業内容に鑑み、 執行サイドを厳しくモニタリングするに相応しい構成となっております。  か
  かる監査等委員は、これまで、取締役会、経営戦略委員会その他社内の重要な会議に出席し
  た上でその手続き及び内容を監査し、適宜修正・反対意見を述べるほか、内部監査室との連
  携を密接にして必要に応じて独自の調査を行うなど充実した組織的監査を実施して参りま
  した。
    このように、現在の監査等委員会による経営のモニタリングは株主価値を保護する観点
  から十分なものであり、解任すべき理由は何ら見当たりません。
    なお、監査等委員は、IR や経営企画といった業務執行に関与する性質の役職ではなく、
  監査は、 業務執行取締役の職務執行が正しく行われているかをチェックするものであり、  業
  務執行からの独立性・中立性が重要ですので、提案株主の提案は、監査等委員としての独立
  性・中立性をゆがめるおそれがあります。また、筆頭株主として業務執行への影響力を大き
  く持ちうる方が、自らの意見や構想に反する少数株主や社員を始めとする会社の各ステー
  クホルダーの利益を適正に代理した判断をなしうるのかという懸念もあります。
    さらに、監査等委員の職務である会計監査においても業務監査においても、  監査対象会社
  の特徴および業務について十分に理解していることが必要ですが、会社の特徴および業務
  についての理解は継続的に関与していくことにより深まるものです。   つまり、適切な距離を
  保ちながら継続的に会社の経営にかかわっていくことが適切な監査業務につながります。
  そのため、監査等委員3名を任期途中で解任することは、3名それぞれが担い、かつ、組織
  的に行う監査業務の実効性をこの上なく害することになります。
    したがいまして、当社は、 現在の監査等委員である取締役3名を解任することはかえって
  監査の実効性を害し、 会社の利益を損なうものであって、 理由はないものと考えております。
  また会社法上正当な理由のない解任が議決された場合、会社は当該監査等委員である取締
                     5
    役に対し損害賠償責任を負うため、会社資産の流出にもつながります。そして、解任の必要
    及び正当な理由がない以上、現時点で新たな監査等委員である取締役3名を選任する必要
    もなく、仮に重複して選任された場合にはこれも会社資産の流出となります。よって、当社
    取締役会は、本提案に反対します。

3   補欠の監査等委員である取締役1名解任の件、及び補欠の監査等委員である取締役1名
  選任の件
(1) 補欠の監査等委員である取締役1名解任の件の概要
    この提案は以下の1名の補欠の監査等委員である取締役を解任することを提案するもの
  です。
    高野 均
(2) 補欠の監査等委員である取締役1名選任の件の概要
    この提案は以下の候補者1名を補欠の監査等委員である取締役に選任することを提案す
  るものです。
    高木 明
(3) 当社取締役会の意見
    当社取締役会としては、(1)補欠の監査等委員である取締役1名解任の件、及び(2)補欠
  の監査等委員である取締役1名選任の件に以下の理由で反対いたします。
(4) 反対の理由
    まず、当社の現在の補欠の監査等委員である取締役(1 名)は、2021 年3月に開催予定の
  定時株主総会の開始の時をもって辞退する旨の意思を表明しておられます。     したがって、補
  欠の監査等委員である取締役を解任する必要はありません。
    そして、前述のとおり、本提案における現在の監査等委員である取締役3名の解任には理
  由がありません。 したがって、 監査等委員が欠けた場合に備える補欠の監査等委員である取
  締役の候補者は、現在の監査等委員である取締役により構成される監査等委員会の同意を
  得た者であるべきであります。本提案における候補者を監査等委員である取締役として選
  任することは、 当社における監査業務の実効性を著しく害し、 会社の利益を損なうものであ
  ることからすると、本提案にかかる監査等委員である取締役候補者の同意のある候補者を
  補欠の監査等委員として選任することには理由がありません。よって、当社取締役会は、本
  提案に反対します。

                                            以   上




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別紙
当該別紙は、本株主提案書面の該当記載を原文のまま記載したものであります。



                            記

【株主提案の議題】
  第1号議案 取締役(監査等委員である取締役を除く。)3名選任の件
  第2号議案 監査等委員である取締役3名解任の件
  第3号議案 監査等委員である取締役3名選任の件
  第4号議案 補欠の監査等委員である取締役1名解任の件
  第5号議案 補欠の監査等委員である取締役1名選任の件


【株主提案の議題の説明について】
 株主提案の各議案の内容とその理由は、後述のとおりでありますが、第1~5号議案を提案す
るに至った理由を総括的に述べます。

 私は、貴社が日本発の創薬ベンチャーとして、 ゼロから新薬を作ることができることに魅力を
感じて、長年、投資しております。
 ところが、貴社が進めている中期経営計画「Gaia2021」におかれましては、以下の問題が生じ
ております。

・度重なる業績の下方修正
 貴社は、3期連続で期初の業績予想を下方修正しております。
 2019 年 12 月期及び 2020 年 12 月期については、上場廃止基準をクリアーするため、株主に対
して、「黒字必達」を公約していながら、営業損失を計上し、上場廃止基準をクリアーできない
状況となっております。
 とりわけ、2020 年 12 月期に至っては、2020 年8月公表の業績予想において 2020 年 12 月期
のみならず、     2021 年 12 月期及び 2022 年 12 月期の業績まで下方修正するといった事態に陥って
います。また、同公表後に私が再度の下方修正がないかを質問しましたが、問題ないと回答をし
たにもかかわらず権利確定日である 2020 年 12 月 28 日の株式市場が終了してから 2020 年 12 月
期2度目の業績の下方修正を発表するという株主に対して不誠実な姿勢に失望を禁じえません。

・既存パイプラインの開発をストップさせていること
 上場廃止基準をクリアーすべく(営業黒字を目指すために)、「戦略的に」 「1期分のみ」
研究開発費を抑えているのであれば、少しは理解できますが、 貴社は株主説明会や株主総会にお
いて、「黒字必達」と株主に説明をしていながら、これを達成できておりません。「必達」とは
「必ず達成する」という意味と理解をしましたが、違うのでしょうか。
 業績で上場廃止基準をクリアーできず、かつ、既存のパイプラインをストップさせるという経
営方針は、全く理解できません。
 既存の医薬品候補物には特許期間があります。 開発をストップさせるということは、既存のパ
イプラインを腐らせることと同じと考えます。

・新規パイプラインの導出ができないこと
 貴社は、新規パイプラインについて、共同研究型でしか開発を進めることができていません。
 自社である程度の開発をしないと製薬会社への導出は困難と思います。
 また、産学連携の名のもとに大学等と沢山の共同研究を締結しておりますが、製薬会社に導出
した医薬品候補物は出てきておりません。
                            7
 医薬品開発は、特許期間や競合薬の出現等、時間との戦いです。単に特許をとって終わりとい
うのでは意味が無いと考えます。
 また、探索等の初期段階での共同研究型では、一時金・マイルストンや上市のロイヤリティー
の料率は低くなります。
 したがいまして、このままでは、貴社は衰退していくものと考えます。


《問題点の打開策⇒株主ガバナンスを効かした迅速に行動できる経営体制の確立》
  上記問題点について、どこに原因があるのかを考えておりました。
  私は、貴社の経営陣が、株主や社員の意向を無視し、第一線を退いた 60~80 代の取締役・顧
問・コンサルタントの方々が主体となっていることが原因と考えます。
  医薬品開発は日々刻々と状況が変化します。
  そのような状況に対応していくためには、行動力があり、かつ、経営能力・経営の経験のある
30~50 代を中心とした経営体制の構築が必要と考えます。
  もちろん、  令和時代の模範となる経営体制は、株主によるガバナンスが効いていることも重要
と考えます。
  つまり、  専門家が専門知識を出し合い、迅速に行動できる経営体制の構築が大事であると考え
ます。
  1 経営能力・経営経験のある者が経営の指揮をとること
  2 創薬担当者が、創薬に専念できること
  3 株主ガバナンスの観点から、  筆頭株主が監査等委員取締役となり、かつ、 社外取締役が取
    締役会の過半数を占めること
  を考えますと、「私の提案以上に良い提案は無いものと確信」しております。

 令和時代にふさわしい経営体制を構築することで、ラクオリア創薬(株)を復活させ、世界で
戦える「令和時代の創薬ベンチャー」にしていきたいと考えます。




                       8
 第1号議案 取締役(監査等委員である取締役を除く。)3名選任の件
1 提案の内容
  貴社を世界で戦える「令和時代の創薬ベンチャー」とするために、後記の取締役候補者3名
 を一括して、取締役に選任することをお願いするものです。
  但し、この3名のうち一部の者のみが選任された場合に、その選任の効力を否定する趣旨で
 はありません。

2 提案の理由
 (1) 上記【株主提案の議題の説明について】において述べたとおり、現在、貴社が進めて
    いる中期経営計画「Gaia2021」は、株主が期待する結果を達成しておらず、市場から評
    価されていません。実際、2017 年に日刊薬業の取材において 2020 年に時価総額 1,000
    億円を目指していることを公言されましたが、    2020 年 12 月末時点の時価総額は 219 億
    円と目標を大きく下回っております。また二度にわたる業績予想の下方修正を行った
    にも関わらず、経営計画の抜本的な見直しが行われておらず、         役員報酬の減額等の信賞
    必罰の公表もなされず、地位に恋々としがみついていると言われても仕方のない状況
    のまま今日に至っております。
     このような状況において、    貴社の現在の取締役5名による経営は、     患者に医薬品を届
    けることで株主価値を向上させるという創薬ベンチャーの経営の観点からは不十分と
    言わざるを得ません。 よって、   このような貴社の現経営陣に今後の当社の経営を委ねる
    ことはできないと考え、  上記 《問題点の打開策⇒株主ガバナンスを効かした迅速に行動
    できる経営体制の確立》  を実現するために、  武内博文氏及び土屋裕弘氏並びに渡邉修造
    氏を取締役候補者として推薦します。    この3名は、  当社の取締役に相応しい多くの資質
    を持っていると考えております。候補者らの略歴は下記(2)株主提案の取締役候補者
    (3名)のとおりです。

(2)株主提案の取締役候補者(3名)
  ❶武内博文(1971 年 12 月 21 日生・49 歳)
    【略歴】
  1994 年4月 協和㈱ 入社
  2004 年2月 ㈱スカイライト・バイオテック入社 営業統括マネージャー
  2005 年9月    同社 事業推進兼財務担当取締役
  2006 年7月    同社 管理本部担当取締役 CFO
  2009 年5月 住商リアルティ・マネジメント㈱入社 管理部マネージャー
  2013 年3月 ㈱サイフューズ 取締役経営管理担当
  2014 年1月    貴社 入社 経理部長代理
  2014 年4月    貴社 経理部長
  2014 年 10 月 貴社 財務・経営企画部門 財務経理部長
  2018 年4月 ユビエンス㈱設立 代表取締役社長(現任)

     【取締役候補者とした理由】
    武内博文氏は、バイオベンチャーの経営者として、  企業経営や財務に関する豊富な実務経験
    と知識を有するとともに、2014 年に貴社入社後、ターンアラウンドチームの一員として事
    業費用の削減等の計画策定において中心的に役割を果たしました。貴社の内情を理解した
    上で創薬ベンチャーとして成長性、効率性および株主還元の観点に基づいた経営を行って
    いただくことを期待し、取締役候補として選任をお願いするものであります。


    ❷土屋裕弘(1947 年 7 月 12 日生・73 歳)
    【略歴】
    1976 年4月 田辺製薬㈱(現 田辺三菱製薬㈱)入社
    2001 年4月  同社 取締役 経営企画部長
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2003 年6月    同社 常務取締役・研究本部長
2006 年6月    同社 代表取締役 専務執行役員・研究本部長
2007 年 10 月 田辺三菱製薬㈱ 取締役 副社長
2009 年6月    同社 代表取締役社長
2014 年6月    同社 代表取締役会長
2016 年6月    同社 取締役会長
2017 年6月    同社 相談役
2018 年6月 住友電気工業㈱ 社外取締役(現任)
2018 年6月 京都大学イノベーションキャピタル㈱ 取締役(現任)
2020 年3月 貴社 社外取締役(現任)

 【取締役候補者とした理由】
 土屋裕弘氏は、経営者として豊富な経験とグローバルで幅広い見識を有していることか
 ら、同氏の持つこれらの知識を当社の経営に活かしていただくとともに、取締役会の一層
 の活性化を促進し、併せて経営の透明性の向上とコーポレート・ガバナンスの強化を図る
 べく、引き続き社外取締役候補者として選任をお願いするものです。


❸渡邉修造(1967 年 5 月 15 日生・53 歳)
  【略歴】
1992 年4月 ファイザー製薬㈱(現ファイザー㈱)入社
2005 年4月 同社 中央研究所 生物科学研究統括部 主任研究員
2006 年 12 月 同社 中央研究所 生物科学研究統括部 主幹研究員
2008 年7月 貴社 入社
2012 年 10 月 貴社 執行役員(創薬研究担当)
2016 年3月 貴社 常務執行役員(創薬研究担当)
            貴社 取締役(現任)
2017 年4月    テムリック㈱ 取締役(現任)
2020 年 10 月 貴社 副社長執行役員(創薬研究担当)(現任)
  【取締役候補者とした理由】
   渡邉修造氏は、取締役副社長執行役員(創薬担当)として、当社の核となる事業である
   創薬研究について携わってきました。今後は名古屋大学をはじめとする大学との共同研
   究への取り組みを中心に研究成果を取りまとめていただけるものと考え、引き続き当社
   取締役候補者として選任をお願いするものであります。




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 第2号議案 監査等委員である取締役3名解任の件
1 提案の内容
  監査等委員である取締役3名の解任をお願いするものです。

2   提案の理由
    上記【株主提案の議題の説明について】において述べたとおり、現在、貴社が進めている中
    期経営計画「Gaia2021」は、株主が期待する結果を達成しておらず、諸々の課題が山積して
    おります。また 2020 年度は二度に渡る業績の下方修正を公表したにも関わらず経営計画の
    抜本的な見直しが行われておらず、役員報酬の減額等の信賞必罰の公表がなされておりま
    せん。このような状況を招いた一因として、    貴社の現在の監査等委員である取締役 3 名によ
    る経営のモニタリングは、株主価値を保護する観点から十分なものとはなっていなかった
    からと考えております。    よって、牧真之助氏及び懸久二氏並びに野元学二氏の解任をお願い
    するものです。




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 第3号議案 監査等委員である取締役3名選任の件
1 提案の内容
  貴社を世界で戦える「令和時代の創薬ベンチャー」とするために、後記の取締役候補者3名
 を一括して、取締役に選任することをお願いするものです。
  但し、この3名のうち一部の者のみが選任された場合に、その選任の効力を否定する趣旨で
 はありません。

2 提案の理由
 (1)上記第2号議案において述べたとおり、 貴社の現在の監査等委員である取締役3名によ
   る経営のモニタリングは、株主価値を保護する観点から十分なものとはなっていなかっ
   たからと考えております。 よって、このような貴社の現在の監査等委員である取締役3名
   に経営のモニタリングを委ねることはできないと考え、 上記《問題点の打開策⇒株主ガバ
   ナンスを効かした迅速に行動できる経営体制の確立》 を実現するために、柿沼佑一氏及び
   石井幸佑氏並びに宇津恵氏を監査等委員である取締役として選任をお願いするものであ
   ります。この3名は、当社の取締役に相応しい多くの資質を持っていると考えております。
   候補者らの略歴は下記(2)株主提案の取締役候補者(3名)のとおりです。

 (2)株主提案の取締役候補者(3名)
   ❶柿沼佑一(1977 年 11 月 16 日生・43 歳)
     【略歴】
   2005 年4月 最高裁判所司法研修所入所
   2007 年1月 埼玉弁護士会登録
   2007 年1月 髙篠法律事務所(現 髙篠・柿沼法律事務所)入所
   2010 年 10 月  同事務所 パートナー(現任)
   2014 年6月    ㈱ツツミ 補欠監査役
   2015 年6月     同社 社外取締役
   2017 年6月     同社 社外取締役(監査等委員)就任(現任)

    【監査等委員である取締役候補者とした理由】
    柿沼佑一氏は、幅広く弁護士として活躍されており、その専門的見地から企業法務及び
    コンプライアンスの多面的なアドバイスをいただけるのみならず、貴社の筆頭株主であ
    る他、バイオベンチャーに対して個人投資家として長年の投資経験を有していることか
    ら株主によるコーポレート・ガバナンスを実現するにふさわしい人物であると考えてお
    り、監査等委員である取締役候補者として選任をお願いするものであります。


    ❷石井幸佑(1982 年8月 31 日生・38 歳)
      【略歴】
    2005 年1月 ㈱アーケイディア・グループ入社
    2005 年 11 月 新日本監査法人(現 EY 新日本有限責任監査法人)入所
    2008 年6月 公認会計士登録
    2013 年9月 株式会社メガカリオン(出向) 管理部長
    2015 年3月     同社 入社
    2018 年3月    同社 執行役員経営管理部長
    2019 年7月 石井幸佑会計事務所 代表 (現任)
    2020 年5月 メタジェンセラピューティクス㈱ 社外監査役(現任)
    2020 年9月 ㈱BioAid 代表取締役(現任)

    【監査等委員である取締役候補者とした理由】
    石井幸佑氏は、監査法人での会計監査経験があり、公認会計士として財務及び会計に関
    する相当程度の知見を有しており、会計分野の専門的見地を当社の監査に反映していた
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だけるのみならず、バイオベンチャーにおける内部統制の構築等に実績があることから、
監査等委員である取締役候補者として選任をお願いするものであります。


❸宇津恵(1960 年9月 26 日生・60 歳)
   【略歴】
1983 年4月 中外製薬株式会社 入社
2010 年6月 同社 プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット        オンコロジ
         ーライフサイクルマネジメント副部長
2015 年1月 同社 プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット        オンコロジ
         ーライフサイクルマネジメント部長

【監査等委員である取締役候補者とした理由】
宇津恵氏は、中外製薬株式会社においてアクムテラや選択的 ALK(anaplastic lymphoma
kinase)阻害薬であるアレクチニブ塩酸塩等、同社の研究開発・ライフサイクルマネジ
メントをリードして来られました。直接企業経営に関与された経験はありませんが、そ
の高い専門性と見識に基づき、客観的な視点で独立性並びに公平性をもって企業経営を
監視し、助言を与える等の職務を適切に遂行していただけると考えており、監査等委員
である取締役候補者として選任をお願いするものであります。




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 第4号議案 補欠の監査等委員である取締役1名解任の件
1 提案の内容
  補欠の監査等委員である取締役1名の解任をお願いするものです。

2   提案の理由
    監査等委員である取締役が法令に定めた員数を欠くこととなる場合に備え、全ての監査等
    委員である取締役の補欠として、予め補欠の監査等委員である取締役1名の選任が必要と
    なりますが、上記第3号議案において述べたとおり、新たに監査等委員である取締役3名の
    選任を提案することに伴い、新たな監査等委員である取締役3名の同意を得た候補を選任
    する必要があるため補欠の監査等委員である取締役1名の解任をお願いするものです。




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 第5号議案 補欠の監査等委員である取締役1名選任の件
1 提案の内容
  補欠の監査等委員である取締役1名の選任をお願いするものであります。

2 提案の理由
 (1)監査等委員である取締役が法令に定めた員数を欠くこととなる場合に備え、全ての監査
    等委員である取締役の補欠として、予め補欠の監査等委員である取締役1名の選任をお
    願いするものです。なお、本議案に関しましては第3号議案に定める監査等委員である
    取締役候補者全員の同意を得ております。

 (2)補欠の監査等委員である取締役候補者
   高木 明(1983 年 10 月7日生・37 歳)
     【略歴】
   2009 年4月 あらた監査法人(現 PwC あらた有限責任監査法人)   入所
   2014 年 10 月 佐藤総合法律事務所 入所
   2015 年1月 ㈱アイモバイル 社外監査役(現任)
   2017 年8月 髙木公認会計士事務所 所長(現任)
   2018 年7月 ㈱ストラディア代表取締役(現任)
   2019 年3月 ビットバンク㈱ 社外監査役(現任)
   2019 年 11 月 ㈱REXEV 社外監査役(現任)
   2020 年3月 エルピクセル㈱ 社外監査役(現任)

     【補欠の監査等委員である取締役候補者とした理由】
    高木明氏は、監査法人での会計監査経験があり、公認会計士として財務及び会計に関する
    相当程度の知見を有しており、その知識経験に基づき、客観的な立場から当社取締役の職
    務執行を監査していただけるものと判断し、補欠の監査等委員である取締役として選任
    をお願いするものであります。

                                              以   上




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