4576 J-DWTI 2019-04-12 15:30:00
「H-1337」の肺高血圧症に関する共同研究成果の発表のお知らせ [pdf]

                                                          2019 年 4 月 12 日
各     位
                                  会社名       株 式 会 社 デ・ウエスタン・セラピテクス研 究 所
                                  代表者名      代表取締役社長             日高 有一
                                                    ( コ ー ド 番 号 :4 5 7 6 )
                                  問合せ先      取締役総務管理部長          川上    哲也
                                            T EL   05 2-2 18 -87 85




    「 H -1337」 の 肺 高 血 圧 症 に 関 す る 共 同 研 究 成 果 の 発 表 の お 知 ら せ



    当 社 が 創 製 し た 「 H -1337」 に つ き ま し て 、 共 同 研 究 先 の 国 立 大 学 法 人 千 葉 大 学
より肺高血圧症における作用効果について、2019 年 4 月 12 日 ~ 14 日 に 開 催 さ れ て
お り ま す 第 59 回 日 本 呼 吸 器 学 会 学 術 講 演 会 に お い て 発 表 さ れ ま し た の で 、 お 知 ら
せいたします。


1.本発表の概要
    詳細は、別紙共同プレスリリースをご覧ください。


2.今後の見通し
    本 件 に よ る 2019 年 12 月 期 業 績 予 想 の 変 更 は あ り ま せ ん 。



                                                                    以   上
                                                            2019 年 4 月 12 日
                                                        国立大学法人千葉大学
                                            株 式 会 社 デ・ウエスタン・セラピテクス研 究 所
各     位




    「 H -1337」 の 肺 高 血 圧 症 に 関 す る 共 同 研 究 成 果 の 発 表 の お 知 ら せ



    国 立 大 学 法 人 千 葉 大 学 大 学 院 医 学 研 究 院 呼 吸 器 内 科 学( 千 葉 県 千 葉 市 、教 授:巽
浩 一 郎 、 以 下 、 千 葉 大 学 」 )と 株 式 会 社 デ・ウ エ ス タ ン・セ ラ ピ テ ク ス 研 究 所( 愛
      (     「          )
知 県 名 古 屋 市 、代 表 取 締 役 社 長 : 日 高     有 一 、以 下 、 DWTI」
                                              「      )は 、肺 高 血 圧 症 に 関
す る 共 同 研 究 を 進 め て お り ま す が 、そ の 研 究 成 果 に つ い て 、2019 年 4 月 12 日 ~ 14
日 に 開 催 さ れ て お り ま す 第 59 回 日 本 呼 吸 器 学 会 学 術 講 演 会 に お い て 発 表 し ま し た
ので、お知らせいたします。


    主な発表内容は次のとおりです。


    肺 高 血 圧 症 ラ ッ ト モ デ ル に 対 す る 新 規 化 合 物 ( H -1337) の 治 療 効 果
    【概要】
     「 H -1337」 肺 動 脈 性 肺 高 血 圧 症 ラ ッ ト モ デ ル 以 下 、 Su/Hx ラ ッ ト モ デ ル 」
               は                             (    「                    )
     の“①肺血行動態を改善”させ、 ②肺動脈における細胞増殖を抑制する”可
                    “
     能性がある。


    【結果】
      < H -1337 投 与 に よ る 血 管 拡 張 作 用 > 【 概 要 の ① に 該 当 】

                                  * vehicle 群 と 比 べ て 統 計 的 に 有 意 差 あ り


                                  右 室 収 縮 期 圧 (RVSP):
                                  心臓の右心室が収縮するときの血圧。肺動脈収
                                  縮期圧とほぼ等しいので肺高血圧症の評価指標
                                  と な る 。正 常 ラ ッ ト で は 30mmHg 程 度 だ が Su/Hx
                                  ラ ッ ト で は 100mmHg 付 近 ま で 上 昇 す る 。




      Su/Hx ラ ッ ト モ デ ル に H -1337 を 経 口 投 与 し た 結 果 、右 室 収 縮 期 圧 (RVSP) が
      未 治 療 群 (vehicle) に 比 べ て 低 く 抑 え ら れ た 。 H -1337 の 投 与 に よ り 血 管 拡
                                              (
      張 し 、肺 高 血 圧 症 ラ ッ ト モ デ ル に お い て 肺 血 圧 を 下 降 さ せ る こ と を 示 唆 し た 。)




                                     1
    < H -1337 投 与 に よ る 細 胞 増 殖 抑 制 作 用 > 【 概 要 の ② に 該 当 】


                                        * vehicle 群 と 比 べ て 統 計 的 に 有 意 差
                                         あり

                                               :内腔の狭窄なし。正常な血管。
                                               : 肺 動 脈 内 腔 に 50%未 満 の 狭 窄 あ り 。
                                                : 肺 動 脈 内 腔 に 50%以 上 の 狭 窄 あ り 。
                                                       :血管内膜を構成する内皮細胞
                                          が増殖し、血管の外まで増殖した細胞が広がっ
                                          て い る 状 態 。 叢 状 病 変 (plexiform lesion) 。




    Su/Hx ラ ッ ト モ デ ル に H -1337 を 経 口 投 与 し た 結 果 、 肺 の 病 変 ( 肺 動 脈 の 中 膜
    肥 厚 、 内 膜 の 細 胞 増 殖 に よ る 血 管 の 狭 窄 ) が 未 治 療 群 (vehicle) に 比 べ て 軽
    度 に 抑 え ら れ た 。 H -1337 の 投 与 に よ り 、 肺 高 血 圧 症 ラ ッ ト モ デ ル に お い て
                   (
    細胞増殖抑制→血管の狭窄を抑制し、病態の改善を示唆した。)


  【補足説明】
    肺 動 脈 性 肺 高 血 圧 症( Pulmonary Arterial Hypertension: 以 下 、 PAH」
                                                             「    )は 肺
    動脈の血管攣縮や細胞増殖が生じることで血管内腔が狭窄・閉塞し肺動脈圧
    が 異 常 に 上 昇 す る 疾 患 で あ る が 、未 だ 不 明 な 点 も 多 い 。PAH の 動 物 モ デ ル と し
    て 、従 来 は ヒ ト PAH で み ら れ る 内 膜 病 変 の 再 現 は 不 可 能 で あ っ た 。一 方 で 近 年
    確 立 さ れ た Su/Hx ラ ッ ト モ デ ル は 、 ヒ ト PAH に 類 似 し た 内 膜 病 変 が 再 現 さ れ
    る た め 、 現 在 の PAH 研 究 に お け る ス タ ン ダ ー ド モ デ ル に な り つ つ あ る 。 H -
                                                                   「
    1337」 は Rho、 Akt な ど を 中 心 に 阻 害 す る マ ル チ キ ナ ー ゼ 阻 害 剤 で あ り 、 従 来
    の血管拡張作用に加え、新たなターゲットとして細胞増殖抑制作用も有する
    可能性が本共同研究で示唆された。



  「 H -1337」は 、現 在 、DWTI に て 緑 内 障 ・ 高 眼 圧 症 を 適 応 症 と し た 点 眼 薬 と し て
開 発 を 進 め て お り ま す 。そ の 特 徴 と し て 、LRRK2( 注 1 )を 中 心 と し た 各 種 プ ロ テ イ ン
キ ナ ー ゼ( 注 2 )を 阻 害 す る マ ル チ キ ナ ー ゼ 阻 害 剤( 注 3 )で あ る こ と か ら 、体 内 に あ る
プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼ に 作 用 す る 可 能 性 が あ る こ と が 示 唆 さ れ て お り ま し た 。 2017
年 9 月 に 、千 葉 大 学 と 共 同 研 究 契 約 を 締 結 し 、肺 高 血 圧 症 に 対 す る 有 効 性 を 千 葉 大
学で評価しておりました。


  肺高血圧症は、心臓から肺へ向かう血管(肺動脈)の圧力が高くなる病気です。
息切れや呼吸困難といった症状だけでなく、心臓に負担がかかることから進行に
伴い右心不全になる可能性がある難病です。その中でも中心的な疾患である肺動
脈 性 肺 高 血 圧 症 の 患 者 数 は 約 3,000 人( 国 内 )と 言 わ れ て お り 、年 々 増 加 傾 向 に あ
ります。


                                    2
  その治療は主に選択的肺血管拡張薬によりますが、未だその効果は十分とは言
えず、新たな機序を有する治療薬の開発が望まれております。


H -1337 に つ い て
  プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼ 阻 害 剤 を 中 心 と す る DWTI の 化 合 物 ラ イ ブ ラ リ ー ( 注 4 ) の シ ー
ド化合物を基にして最適化された、緑内障・高眼圧症を適応症とする開発品です。
本 剤 は 、LRRK2 を 中 心 と し た 各 種 プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼ を 阻 害 す る マ ル チ キ ナ ー ゼ 阻
害剤であり、線維柱帯-シュレム管を介して主流出路からの房水流出を促進し眼
圧 を 下 降 さ せ る こ と が 示 唆 さ れ て お り ま す 。そ の 強 力 な 眼 圧 下 降 作 用 は 、長 時 間 持
続することが動物試験等で確認されております。
  2018 年 9 月 に 米 国 第 Ⅰ 相 /前 期 第 Ⅱ 相 臨 床 試 験 が 良 好 な 結 果 で 終 了 し て お り ま
す。


                                                                      以   上

用語解説
(注 1 )LRRK2( leucine-rich repeat kinase 2)
キナーゼ活性を持つタンパク質であり、キナーゼ活性の上昇を引き起こす変異が
優性遺伝パーキンソン病患者において高頻度で検出されているため、パーキンソ
ン 病 に 関 わ る 重 要 な 分 子 と 考 え ら れ て い ま す 。 LRRK2 は 多 く の 組 織 で 発 現 し 、 眼
の線維柱帯細胞においても発現が認められており、細胞骨格の制御に関わること
が示唆されています。

(注 2 )プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼ
ATP(ア デ ノ シ ン 三 リ ン 酸 と 言 わ れ 、 体 内 で 作 ら れ る 高 エ ネ ル ギ ー 化 合 物 )等 、 生 体
においてエネルギーの元となる低分子物質等のリン酸基を、タンパク質分子に転
移 す る (リ ン 酸 化 )酵 素 で す 。 一 般 に リ ン 酸 化 を 触 媒 す る 酵 素 を キ ナ ー ゼ と 呼 び 、
特にタンパク質をリン酸化するキナーゼをプロテインキナーゼと言います。

(注 3 )阻 害 剤
生体内の様々な酵素分子に結合して、その酵素の活性を低下若しくは消失させる
物質を指します。化学物質が特定の酵素の活性を低下若しくは消失させることに
より、病気の治療薬として利用されることがあります。

(注 4 )化 合 物 ラ イ ブ ラ リ ー
化合物ライブラリーとは、当社が長年にわたり蓄積してきた新薬候補化合物のタ
ネとなる化合物群です。これらの化合物の一つ一つが特徴的な性質を有してお
り、基礎研究や新薬候補化合物発見に利用されます。



【本件に関するお問い合わせ】
千葉大学未来医療系事務部               医学部広報担当
TEL: 043-226-2501

株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所
TEL: 052-218-8785


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