4575 M-CANBAS 2020-05-14 07:55:00
ASCO年次総会におけるCBP501臨床試験データ発表の抄録公表ならびに米国におけるコロナウイルス感染症拡大の影響について [pdf]

                                                                                2020年5月14日
各 位
                                             会 社 名         株 式 会 社         キ   ャ    ン   バ    ス
                                             代表者名             代表取締役社長              河邊    拓己
                                                                 (コード番号:4575 東証マザーズ)
                                             問 合 せ先           取締役最高財務責任者兼管理部長
                                                                加登住 眞(電話 055-954-3666)



                    ASCO年次総会におけるCBP501臨床試験データ発表の抄録公表
                    ならびに米国におけるコロナウイルス感染症拡大の影響について


 当社の抗癌剤候補化合物CBP501の臨床試験(フェーズ1b試験)のデータについて2020年米国臨床癌学会
(ASCO)年次会議において発表されることは既報(2020年3月30日公表)のとおりですが、その抄録の内容がASCO
ウェブサイトに掲載されましたので、お知らせします。
 https://meetinglibrary.asco.org/record/188996/abstract



表題:      “Phase Ib clinical study of CBP501, cisplatin, and nivolumab administered every 3 weeks
         in patients with advanced refractory tumors. Efficacy in dose-escalation and expansion
         cohorts”
         (CBP501・シスプラチン・ニボルマブ(オプジーボ)を薬剤抵抗性進行癌患者に3週間隔で併用投与するフェーズ1b試
         験。その容量漸増相および拡大相における有効性)
カテゴリー: Developmental therapeutics – Immunotherapy, New Targets and New Technologies
         (開発段階の免疫治療 新規標的・新規技術)
結果(概要): 3剤それぞれについてわかっているもの以外には安全性を懸念すべき兆候はなかった。
         有効性に関し、2020年1月9日時点の中間解析結果は以下のとおり。
         ◆用量漸増相
                投与19例中評価可能17症例
                部分奏効(PR)3例・18%(膵臓癌1・直腸大腸癌1・胆管癌1)
                3ヶ月を超える病勢安定(SD) 7例・41% (上記のPR 3例を含む)
                病勢コントロール率※1 7例・41%
                8ヶ月を超える全生存(OS) 9例・53%
         ◆拡大相
            膵臓癌 投与13例中評価可能8症例
                4ヶ月を超える病勢安定(SD) 4例・50%
                無増悪生存期間(PFS)の中央値 4.2ヶ月
                全生存期間(OS)の中央値 5.9ヶ月 (8例中6例は既治療歴※1 2以上)
            直腸大腸癌 投与5例中評価可能4症例
                用量漸増相を含む全10症例* の全生存期間の中央値 17.5ヶ月 (すべて3次治療以上)
                                            * 直腸大腸癌は症例数が少ないため、全生存期間の算出には
                                              用量漸増相の症例や評価不能の症例を含めています。
結論:      CBP501・シスプラチン・ニボルマブ(オプジーボ)3剤併用投与は認容性に問題がなく、薬剤抵抗性の固
         形癌における有効性の兆候が示された。
 用量漸増相で観察された部分奏効(PR)は拡大相試験においては未だ得られていませんが、多数の既治療歴のあ
る症例において長期間の病勢安定(SD)が高率で観察され、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が同種
の臨床試験を上回っていることなどから、有望な中間解析結果であると当社は考えています。
 なお、用量漸増相・拡大相ともに症例数が少なく、まだ数値の動く余地が残っており、良い面でも悪い面でもこれによ
って確定的なことは言えないことにご留意ください。

  ※1 病勢コントロール率
      治療の奏効の兆候を判断する基準のひとつ。
      「奏効率」(完全奏効・部分奏効の合計)との違いは、病勢安定(SD)を良い兆候に含めるか否かです。
      ケースバイケースではありますが、たとえば今回の試験のように既治療歴が多く状態の悪い被験者を対象とする試験に
      おいては病勢安定にも大きな意味があることから、完全奏効・部分奏効・病勢安定の合計である「病勢コントロール率」
      も重視するのが一般的です。
  ※2 既治療歴
      この試験に参加するまでに受けた抗癌剤の治療歴。2以上の既治療歴は奏効率に大きな悪影響を及ぼすことが知られ
      ており、既治療歴0~1の被験者を対象とする他の臨床試験とは結果数値をそのまま比較できません。
      なお、「既治療歴2」=「3次治療」です。


 5月29日午前8時(現地時間)に予定されている実際のポスター発表には、上記の抄録で触れていないデータのほ
か、2020年4月30日までの新しいデータが加わる予定です。


 本件による当期業績への影響はありませんが、現在進めているCBP501臨床試験の進行および当社の目下の最
優先課題としているCBP501提携獲得に向けて、いずれも好影響を及ぼすと考えています。


                           * * *


 なお、報道等でご承知のとおり、米国におけるコロナウイルス感染症(COVID-19)拡大は日本を上回る状況にあり、
当社が実施しているCBP501フェーズ1b拡大相試験(対象:膵臓癌・マイクロサテライト安定直腸大腸癌)の進行にも
若干の影響が出始めています。


 現在3か所あるCBP501臨床試験実施施設においては従来どおり組入れ可能な状況が維持され、患者さんの移動
が制限されていることなどで従前よりも遅いペースになっているものの、組入れが続いています。
 一方で、新たな実施施設のオープンなどの組入れ促進策はとりづらくなっています。また、「評価可能」に至るまでに
必要な数回の通院に制約があるため、組入れられた症例が評価可能となる割合も低下が懸念されます。


 これらの状況に鑑み当社は、学会発表や提携交渉での説得力、次相臨床試験の方針検討・設計・判断において、現
在までに収集できている症例のデータのみであっても大きな支障はないことから、
   ・ 現行のCBP501臨床試験(フェーズ1b試験)は中断や延期・中止をせず、今後も継続する
   ・ 組入れ実現のペースを予測することは困難であり、積極的な組入れ促進策も実施が困難なため、具体的な
     組入れ完了目標時期を定めない
とすることとしました。
 今後、組入れの進行については、膵臓癌・MSS直腸大腸癌の各癌腫について完了(評価可能各10症例到達)した
時点でお知らせします。


                                                         以上