4575 M-CANBAS 2019-04-01 08:45:00
AACR年次総会におけるCBP501臨床試験データ発表の抄録公表について [pdf]

                                                                                  2019年4月1日
各 位
                                          会 社 名          株式会社         キ       ャ    ン   バ   ス
                                          代表者名             代表取締役社長                河邊   拓己
                                                              (コード番号:4575 東証マザーズ)
                                          問合せ先             取締役最高財務責任者兼管理部長
                                                              加登住 眞(電話 055-954-3666)



           AACR年次総会におけるCBP501臨床試験データ発表の抄録公表について


 当社の抗癌剤候補化合物CBP501の臨床試験(フェーズ1b試験)のデータについて米国癌研究会議(AACR)年
次会議において発表されることは既報(2019年2月28日公表)のとおりですが、その抄録の内容がAACRウェブサイ
トに掲載されましたので、お知らせします。



表題:    “Phase Ib clinical study of CBP501, cisplatin and nivolumab administered every 3 weeks
       in patients with advanced refractory tumors. Dose escalation cohort”
       (CBP501・シスプラチン・ニボルマブ(オプジーボ)を薬剤抵抗性進行癌患者に3週間隔で併用投与するフェーズ1b試
       験の用量漸増相)
結果(概要): 2018年12月28日までに投与された19例において用量規定毒性(DLT)は報告されなかった。
       シスプラチン60mg/m2、CBP501 25mg/m2、ニボルマブ240mgが第2相以降の推奨用量(RP2D)。
       多数の既治療歴※1のある2症例(うち膵臓癌1例・マイクロサテライト安定※2直腸大腸癌1例)で部分奏効
       (PR)が認められ、病勢コントロール率※3は35%(薬効評価可能な17症例のうち6例)。
       とりわけ、多数の既治療歴のある膵臓癌で50%(4例中2例)・胆管癌で50%(2例中1例)の病勢コント
       ロール率を示したことは特記に値する。
結論:    3剤併用投与は認容性に問題がなく、第2相以降の推奨用量が決定された。
       膵臓癌とマイクロサテライト安定直腸大腸癌が対象癌腫に選定された拡大相では、併用投与による免疫
       微小環境の変動を調査するため、治療前と治療中の組織採取が予定されている。



 上記のとおり、当社が2018年11月15日に公表した『CBP501フェーズ1b試験用量漸増相 中間とりまとめ』の時
点からAACRへの抄録提出までに明らかとなった新しいデータが追加されています。


 多数の既治療歴のある症例において膵臓癌で50%・胆管癌で50%の病勢コントロール率、さらに、免疫チェックポ
イント抗体単独では効果がないことがわかっているマイクロサテライト安定直腸大腸癌でも部分奏効1例という、有望
な試験結果を報告することとなりました。


 病勢コントロール6例の内訳は下記のとおりです。
 ■ 膵臓癌 ・・・4例中 部分奏効1例、3ヶ月超の病勢安定1例
 ■ マイクロサテライト安定直腸大腸癌 ・・・4例中 部分奏効1例
 ■ 胆管癌 ・・・2例中 3ヶ月超の病勢安定1例
 ■ 上記のほか、胸腺癌・卵巣癌で各1例の病勢安定がありました。


 ※1 既治療歴
      この試験に参加するまでに受けた抗癌剤の治療歴。2以上の既治療歴は奏効率に大きな悪影響を及ぼすことが知られ
     ており、既治療歴0~1の被験者を対象とする他の臨床試験とは結果数値をそのまま比較できません。
 ※2 マイクロサテライト安定
     DNAのマイクロサテライト領域の塩基配列の変化しやすさ(マイクロサテライト不安定性、MSI)は、直腸大腸癌におけ
     るオプジーボなど抗PD-1抗体の奏効率に大きく影響します。
     マイクロサテライト不安定性の高い直腸大腸癌に絞れば、抗PD-1抗体単独で約50%の奏効率です。
     一方、直腸大腸癌の大半を占めるマイクロサテライト安定直腸大腸癌(大腸癌全体の85%程度であり、ステージIVに
     限れば95%以上)においては、抗PD-1抗体単独の奏効率はほぼゼロとされています。
 ※3 病勢コントロール率
     治療の奏効の兆候を判断する基準のひとつ。
     「奏効率」(完全奏効・部分奏効の合計)との違いは、病勢安定(SD)を良い兆候に含めるか否かです。
     ケースバイケースではありますが、たとえば今回の試験のように既治療歴が多く状態の悪い被験者を対象とする試験
     においては病勢安定にも大きな意味があることから、完全奏効・部分奏効・病勢安定の合計である「病勢コントロール
     率」も重視するのが一般的です。


 4月2日の実際の発表には、2019年1月31日までのさらに新しい抄録未記載データが加わります。


 本件による当期業績への影響はありませんが、現在進めているCBP501臨床試験の進行および当社の目下の最
優先課題としているCBP501提携獲得に向けて、いずれも好影響を及ぼすと考えています。


 なお、この抄録でも言及されているフェーズ1b拡大相試験(対象:膵臓癌・マイクロサテライト安定直腸大腸癌)は、
2019年1月10日公表のFPI(最初の被験者への投与開始)のあとも順調に進行しています。
 本日時点で、予定していた3か所の臨床試験実施施設がすべてオープンしており、膵臓癌・マイクロサテライト安定
直腸大腸癌の両方を含む5例が既に組み入れられています。


                                                          以上