4575 M-CANBAS 2021-02-16 11:30:00
CBP501臨床第2相試験計画の公表について [pdf]
2021年2⽉16⽇
各 位
会社名 株 式 会 社 キ ャ ン バ ス
代表者名 代表取締役社⻑ 河邊 拓⼰
(コード番号︓4575 東証マザーズ)
問合せ先 取締役最⾼財務責任者 加登住 眞
IR@canbas.co.jp
CBP501臨床第2相試験計画の公表について
当社はこのたび、抗癌剤候補化合物CBP501の臨床第2相試験を下記のとおり実施する計画を取りまとめまし
たので、お知らせします。
併せて、CBP501の作⽤機序の呼称を従来の「カルモジュリンモジュレータ」から「免疫着⽕剤(Immune
Igniter)」に変更する旨についてお知らせします。
なお、本公表の内容については本⽇11時30分配信の当社2021年6⽉期第2四半期決算説明会においてもご説
明いたします。 配信URL https://www.youtube.com/watch?v=xcwAQVd-rNo&feature=youtu.be
1. 臨床第2相試験計画の概要
対象︓膵臓癌3次治療
実施施設︓⽶国内(15〜20施設を予定)
投与群・症例数︓以下の4投与群に対し、ステージ1で各9例、ステージ2(必要となった場合)各14例
A. 3剤併⽤ CBP501 25mg/㎡ + シスプラチン + ニボルマブ(オプジーボ)
B. CBP501の投与量を減らした3剤併⽤ CBP501 16mg/㎡ + シスプラチン +ニボルマブ
C. 2剤併⽤ CBP501 25mg/m2 + シスプラチン
D. 2剤併⽤ シスプラチン + ニボルマブ
開始時期(予定)・期間︓2021年央にFPI(最初の症例への投与)、中間解析まで1〜1.5年程度
試験の詳細についてはClinicalTrials.govに公表予定です。
2. 今回計画している臨床第2相試験の特徴
(1) FDAとの認識擦り合せを経て決定した必要⼗分な4投与群の設定
当社のような⼩規模創薬企業の実施する臨床試験においては、「承認に向けて必要になる試験をやり残
さない」「不必要な試験をやらない」の2点が重要です。
当社とFDAは、エンド・オブ・フェーズ1ミーティング(2020年11⽉18⽇公表)において、直前に実
施した臨床第1b相試験の良好な結果を元にディスカッションし、CBP501がシスプラチン・オプジーボ
との併⽤で膵臓癌の3次治療薬として⽶国で承認を得るためにどのような第3相試験が必要かについて、
双⽅の認識の擦り合わせができました。
今回計画している第2相試験の内容は、この共通認識を反映したものです。第3相試験の内容を確定す
るために必要かつ⼗分な4つの投与群を設定しました。
当社はこの臨床第2相試験を、CBP501承認への道筋が明確となった第⼀歩と位置づけています。
(2) 中間解析を実施する2ステージデザイン
4投与群各9例への投与を終えた時点で(ここまでをステージ1と称します)中間解析を実施し、予め定
めた有効基準をクリアした場合には「早期有効中⽌」、無効基準を下回った場合には「早期無効中⽌」
として、その群については以後の組⼊れ(ステージ2と称します)を実施しない設計としました。
有効基準と無効基準の中間の有効性だった場合のみ、その群について14例のステージ2を実施します。
この設計によって、短期間の第2相試験で早期に次の臨床試験(承認のための第3相試験)を開始できる
可能性があるほか、登録症例数を少なくできることで臨床試験費⽤も抑制できる可能性があります。
(投与群と2ステージデザイン)
3. CBP501の作⽤機序新呼称「免疫着⽕剤 Immune Igniter」について
CBP501の作⽤機序について当社は当初、CBP501の選択的な作⽤が確認できた分⼦への直接の影響から直
結的に引き起こされる現象を表現し、「G2チェックポイント阻害剤」としていました。
のちにCBP501が最も強く作⽤する分⼦がカルモジュリンであることが判明しましたが、この分⼦への直接
の影響から引き起こされる現象が多彩であるため、直結的に引き起こされる現象ではなく作⽤する分⼦を表
現し、カルモジュリンの働きを調節する「カルモジュリンモジュレータ」と謳ってきました。
その後現在に⾄る研究開発で得られたデータから、このカルモジュリンの働きを調整した結果起きる現象の
うち、
「癌細胞へのプラチナ流⼊促進」
「癌細胞の免疫原性細胞死の促進」
「免疫抑制的マクロファージの阻害」
によって、CBP501が従来型抗癌剤や免疫系抗癌剤の効かない癌に効果を発揮するために最も重要な、
「CD8T細胞の存在しない(または極めて少ない)免疫コールドな癌組織にCD8T細胞を誘引して免疫ホッ
トにし、免疫チェックポイント阻害抗体の効果を⾼める」
という結果が表れていることがわかりました。
さらに、これが理論だけでなく、動物実験や臨床検体においてもこの仮説の正当性を⽀持する結果が⽰され
ました。
そこで、この作⽤機序に着⽬した表現として、CBP501が免疫の働きを着⽕(Ignite)するように⾒えるこ
とから、CBP501の作⽤機序を印象的にわかりやすく表現する「免疫着⽕(Immune Igniter)」に統⼀す
ることとしました。
(免疫コールドと免疫ホット)
4. 当期の業績に及ぼす影響、その他投資者が会社情報を適切に理解・判断するために必要な事項
当社は、当期の業績⾒通しを⾮開⽰としています。
上記の臨床試験を計画どおり2021年央に開始する場合、主に第4四半期会計期間(2021年4〜6⽉)の研究
開発費が増加する可能性があります。
変動発⽣の有無及び具体的な⾦額⾒通しについては現在精査中であり、今後、公表すべき事項が⽣じた場合
には速やかに開⽰いたします。
【株式会社キャンバスについて】
キャンバスは、癌免疫に特化して新規抗癌剤の創出を⽬指す、臨床開発段階の研究開発型創薬企業です。
創業期から研究開発を続け現在最も開発ステージの進んでいる⾃社創出化合物CBP501は、
「CD8T細胞の存在しない(または極めて少ない)免疫コールドな癌組織にCD8T細胞を誘引して免疫ホットに
し、免疫チェックポイント阻害抗体の効果を⾼める」
というユニークな作⽤機序を持つImmune Igniter(免疫着⽕剤)であり、これまで多数の臨床試験で⼗分な安
全性が確認された上、直近では膵臓癌3次治療を対象とした⽶国での臨床第1b相試験で有効性を⽰す有望な結果
が得られました。現在は臨床第2相試験を準備中です。
後続の化合物CBS9106は、⾃社の探索システムから創出し⾃社で前臨床試験を完了した段階で2014年に⽶国
Stemline社へ導出しました。臨床第1相試験で有望な安全性と有効性が⽰されており、次相臨床試験が検討され
ています。
これらのほかキャンバスは、前臨床試験段階の抗癌剤候補化合物CBP-A08、低分⼦の免疫系抗癌剤である
IDO/TDO⼆重阻害剤、新しいコンセプトの免疫系抗癌剤の探索創出段階にある「NEXT」プロジェクト、免疫
系抗癌剤の感受性予測システムなど、癌免疫領域に集中した基礎研究に基づく中⻑期的な研究開発ポートフォリ
オを有しています。また、IDO/TDO⼆重阻害剤については、同じ作⽤メカニズムでサイトカインストームの抑
制にも効果が期待できることから、静岡県⽴⼤学と共同で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬とし
ても研究を進めています。
以上