4575 M-CANBAS 2020-06-01 08:00:00
(続報)ASCO年次総会におけるCBP501臨床試験データ発表について [pdf]

                                                                                  2020年6月1日
各 位
                                            会 社 名         株 式 会 社         キ   ャ    ン   バ    ス
                                            代表者名             代表取締役社長              河邊    拓己
                                                                (コード番号:4575 東証マザーズ)
                                            問 合 せ先           取締役最高財務責任者兼管理部長
                                                               加登住 眞(電話 055-954-3666)



               (続報)ASCO年次総会におけるCBP501臨床試験データ発表について


 当社の抗癌剤候補化合物CBP501の臨床試験(フェーズ1b試験)のデータが、2020年米国臨床癌学会(ASCO)
年次会議において発表されましたので、お知らせします。
 この発表の予定と抄録は既報(2020年3月30日公表・2020年5月14日公表)のとおりですが、現地時間2020年5
月29日午前8時(日本時間5月29日午後9時)に下記2点がASCOウェブサイトに掲載されたものです。
 ポスタープレゼンテーション https://meetinglibrary.asco.org/record/188996/poster
 ビデオプレゼンテーション https://meetinglibrary.asco.org/record/188996/video


 内容は下記のとおりです。5月14日公表の抄録からの主な修正点や加筆に下線を付しています。


表題:     “Phase Ib clinical study of CBP501, cisplatin, and nivolumab administered every 3 weeks
        in patients with advanced refractory tumors. Efficacy in dose-escalation and expansion
        cohorts”
        (CBP501・シスプラチン・ニボルマブ(オプジーボ)を薬剤抵抗性進行癌患者に3週間隔で併用投与するフェーズ1b試
        験。その容量漸増相および拡大相における有効性)


結果(概要): 3剤それぞれについてわかっているもの以外には安全性を懸念すべき兆候はなかった。
        有効性に関し、2020年4月30日時点の中間解析結果は以下のとおり。
        ◆用量漸増相
              投与19例中評価可能17症例
              部分奏効(PR)3例・18%(膵臓癌1・直腸大腸癌1・胆管癌1)
              3ヶ月を超える病勢安定(SD) 7例・41% (上記のPR 3例を含む)
              病勢コントロール率※1 7例・41%
              全生存(OS)中央値 12.4ヶ月(すべて3次治療以上)
        ◆用量漸増相と拡大相を合わせて
          膵臓癌 評価可能13症例中
              部分奏効(PR) 1例・8%
              4ヶ月を超える病勢安定(SD) 6例・46%(上記のPR 1例を含む)
              無増悪生存期間(PFS)の中央値 1.9ヶ月
              全生存期間(OS)の中央値 5.0ヶ月
            ※ このうち白血球数<10,000/uLの患者(10症例)では
                   無増悪生存期間(PFS)の中央値 4.2ヶ月
                   全生存期間(OS)の中央値 5.9ヶ月
          直腸大腸癌 評価可能9症例中
              全生存期間の中央値 14.3ヶ月 (すべて3次治療以上)
  ◆膵臓癌治療前後の生検サンプルの組織染色
         CD8発現細胞割合(治療前→2回投与後)と無増悪生存期間
             患者A 0% → 1-5% (増加)      5.9ヶ月
             患者B <0.1% → 1-2% (増加)   8.1ヶ月
             患者C 2% → 2% (不変)        1.3ヶ月
             患者D 5% → 5% (不変)        1.9ヶ月


 結論:     CBP501・シスプラチン・ニボルマブ(オプジーボ)3剤併用投与は認容性に問題がなく、薬剤抵抗性の固
         形癌における有効性の兆候が示された。



 5月14日公表の抄録時点と同様に、用量漸増相で観察された部分奏効(PR)は拡大相試験においては未だ得られ
ていませんが、多数の既治療歴のある症例において長期間の病勢安定(SD)が高率で観察され、無増悪生存期間
(PFS)および全生存期間(OS)が同種の臨床試験を上回っており、さらには、サンプル数が少ないとはいえ非臨床デ
ータからの予測通りCD8陽性細胞の浸潤増加が見られた症例に長いPFSが観察されており、有望な中間解析結果で
あると当社は考えています。
 また、特許化の済んでいる白血球数<10,000の患者集団で良い傾向が見られることには、大きな意味があると考
えています。
 なお、用量漸増相・拡大相ともに症例数が少なく、引き続き数値の動く余地が残っており、確定的なことは言えないこ
とにご留意ください。

 ※1 病勢コントロール率
     治療の奏効の兆候を判断する基準のひとつ。
     「奏効率」(完全奏効・部分奏効の合計)との違いは、病勢安定(SD)を良い兆候に含めるか否かです。
     ケースバイケースではありますが、たとえば今回の試験のように既治療歴が多く状態の悪い被験者を対象とする試験に
     おいては病勢安定にも大きな意味があることから、完全奏効・部分奏効・病勢安定の合計である「病勢コントロール率」
     も重視するのが一般的です。
 ※2 既治療歴
     この試験に参加するまでに受けた抗癌剤の治療歴。2以上の既治療歴は奏効率に大きな悪影響を及ぼすことが知られ
     ており、既治療歴0~1の被験者を対象とする他の臨床試験とは結果数値をそのまま比較できません。
     なお、「既治療歴2」=「3次治療」です。


 本件による当期業績への影響はありませんが、現在進めているCBP501フェーズ1b試験の進行および当社の目下
の最優先課題としているCBP501提携獲得に向けて、いずれも好影響を及ぼすと考えています。


 なお、既報のとおりCBP501フェーズ1b試験は現在も継続中です。
 今後、組入れの進行については、膵臓癌・MSS直腸大腸癌の各癌腫について完了(評価可能各10症例到達)した
時点でお知らせします。


                                                        以上