4572 J-カルナバイオ 2020-02-07 15:30:00
中期経営計画(2020年12月期~2022年12月期) [pdf]

                         中 期 経 営 計 画
                    (2020年12月期~2022年12月期)
                                                     2020年2月7日

 上場会社名 カルナバイオサイエンス株式会社                 (コード:4572、JASDAQグロース)
  (URL https://www.carnabio.com/ )
 問 合 せ 先 代表取締役社長 吉野 公一郎
         取締役経営管理本部長 山本 詠美                   TEL:(078)302‐7075


1. 中期経営計画の基本方針(2020年12月期~2022年12月期)
(1)基本方針
   1)複数の創薬パイプラインの導出(グローバルライセンスアウト)
   2)当社創薬パイプラインの導出価値の最大化を目指した自社臨床試験の開始
   3)創薬支援事業における安定的な収益の確保

(2)セグメント別基本方針
   1)創薬事業
    ① 当社創薬パイプラインの大手製薬企業等への新たな導出
    ② 自社で臨床試験を実施するための研究開発体制の構築
    ③ 当社研究開発テーマの早期ステージアップ
    ④ 次世代の新規創薬研究パイプラインの構築
    ⑤ 革新的新薬を継続的に生み出す新規コア技術の開発

    2)創薬支援事業
     ① 売上高のさらなる拡大
     ② 北米・アジア地域を中心とした自社開発製品・サービスの売上拡大
     ③ 新規製品・サービスの拡充による売上拡大


2. 前連結会計年度(2019年12月期)の総括
  当社は、創薬事業においては、アンメット・メディカル・ニーズの高い未だ有効な治療方法が確
 立されていない疾患を中心に、特にがん、免疫炎症疾患を重点領域として画期的な新薬の開発を目
 指して研究開発に取り組み、また、創薬支援事業においては、新たなキナーゼ阻害薬創製のための
 製品・サービスを製薬企業等へ提供するため、営業活動に取り組んでおります。
  2019年12月期の成果といたしましては、2019年6月に米国のギリアド・サイエンシズ社(以下、
 ギリアド社)と、当社が研究開発した新規がん免疫療法の創薬プログラムの開発・商業化にかかる
 全世界における独占的な権利を供与する契約を締結し、その対価である契約一時金20百万ドルを第
 2四半期連結会計期間に売上計上いたしました。当社は今後、開発状況や上市などの進捗に応じて
 追加的に最大で450百万ドルを受け取ることになり、さらに、本プログラムにより開発された医薬品
 の上市後の売上高に応じたロイヤリティを受け取ります。また、当社は、上記ライセンス契約とは
 別に、ギリアド社による当該プログラムの開発をサポートするために、当社が開発した脂質キナー
 ゼ阻害剤に関する創薬基盤技術を有償で、ギリアド社に一定期間、独占的に供与します。
  当社が開発し、シエラ・オンコロジー社(以下、シエラ社)に導出した、がんを標的とするCDC7
 阻害剤AS-141 (シエラ社の開発コード:SRA141)につきましては、米国においてIND申請(新薬臨床
 試験開始届)が完了しており、シエラ社は大腸がんを対象とした治験開始(フェーズ1/2)に向けた

本書は、投資勧誘を目的としたものではありません。当社の事業計画に対する評価および投資に関する決定は、投資者ご自身の判断
において行われるようお願いいたします。また本資料最終頁末尾の留意事項を必ずご参照下さい。

                                -1-
準備を進めています。当該フェーズ1試験においてSRA141が最初の患者に投与されたときに、マイ
ルストーンとして4百万ドルが当社に支払われる契約となっています。シエラ社は、SRA141の開発
を引き続き前進させるため、様々な選択肢を戦略的に検討中と発表しており、当社はSRA141の治験
が早期に開始されることを期待しております。
  当社の2つのBTK阻害剤ポートフォリオのうち、炎症性免疫疾患を対象として開発を進めている
BTK阻害剤AS-0871については、2019年12月にオランダ当局にCTA(Clinical Trial Application, 臨
床試験許認可申請)を提出いたしました。2020年2月にオランダ当局および倫理委員会による承認
を受けており、欧州での臨床試験の開始が可能となりました。本試験は当社初の自社臨床試験であ
り、現地での試験準備が整い次第、健康成人を対象として臨床試験(フェーズ1試験)を開始する
予定です。一方、イブルチニブ耐性の血液がんを治療標的とした次世代BTK阻害剤AS-1763について
も、前臨床試験を実施中であり、2020年中のIND申請、その後の自社臨床試験開始に向けて、鋭意準
備を進めております。
  当社のもう一つの事業の柱である創薬支援事業においては、2019年12月期の売上高は1,079百万
円となり、年間売上高を10億円以上とする目標を達成いたしました。米国では新興バイオベンチャ
ー向けを中心に、     キナーゼタンパク質、   アッセイキット、プロファイリング受託など自社開発製品・
サービスの売上が拡大し、また、中国でもキナーゼタンパク質の販売が好調に推移しました。さら
に、創薬事業における上記ギリアド社とのライセンス契約に関連し、同社による当該プログラムの
開発をサポートするため、当社の脂質キナーゼ阻害剤に関する創薬基盤技術を一定期間、独占的に
同社に供与することとなり、2019年12月期の売上には、これに関連した売上も含まれています。
  以上の結果、2019年12月期の売上高は3,207百万円(前期比325.0%増)となりました。地域別の
売上は、連結ベースで国内売上高が259百万円(前期比23.4%減)、海外売上高は2,948百万円(前
期比608.5%増)となりました。損益面につきましては、営業利益が977百万円(前期は1,144百万円
の営業損失)、経常利益は957百万円(前期は1,159百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当
期純利益は828百万円(前期は1,210百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
  事業別の状況は以下の通りです。

①創薬事業
 当社独自の研究開発から見出された化合物を含む新規がん免疫療法の創薬プログラムに関して、ギ
リアド社と、当該プログラムの開発・商業化にかかる全世界における独占的な権利を供与する契約を
締結し、 その対価として契約一時金20百万ドル (2,128百万円)を第2四半期連結会計期間に売上計上
しております。また、前臨床研究段階にある創薬プログラムを中心に研究開発に積極的に先行投資を
行い、当事業の研究開発費は1,187百万円(前年同期は1,084百万円)となりました。その結果、売上
高は2,128百万円(前年同期は50百万円)、営業利益は577百万円(前年同期は1,261百万円の営業損
失)となりました。

②創薬支援事業
 キナーゼタンパク質の販売、アッセイ開発、プロファイリング・スクリーニングサービスおよびセ
ルベースアッセイサービスの提供等により、創薬支援事業の売上高は、1,079百万円(前期比53.2%
増)と過去最高の売上高を達成し、営業利益は400百万円(前期比241.0%増)となりました。売上高
の内訳は、国内が259百万円(前期比10.2%減)、北米地域は634百万円(前期比154.0%増)、欧州地
域は86百万円(前期比8.3%減)、その他地域が99百万円(前期比38.3%増)であります。




本書は、投資勧誘を目的としたものではありません。当社の事業計画に対する評価および投資に関する決定は、投資者ご自身の
判断において行われるようお願いいたします。また本資料最終頁末尾の留意事項を必ずご参照下さい。

                                -2-
         <創薬支援事業 地域別売上高>                                   (百万円)
                                                                     <創薬支援事業 営業利益>
 (百万円)
                             1078     1079                   450
 1100
                              99       99
 1000               938                                      400
                              86       86                                              403       400
  900                80
                                                             350
  800               100
          704                                                300
  700                                          その他
          71
  600                                                        250
          94                 633       634     欧州
                                                                              247
  500               482
                                               北米            200
  400     249                                  国内
                                                             150
  300
                                                             100    117
  200
          288       275      259       259
  100                                                         50

    0                                                          0
         18/12期      19/12期  19/12期   19/12期
                                                                   18/12期      19/12期  19/12期   19/12期
           実績     6/25修正計画 1/9修正計画      実績
                                                                     実績     6/25修正計画 1/9修正計画      実績



  (注)上記グラフの会社計画は2019年6月25日および2020年1月9日公表の修正値です。




3. 事業別経営方針
   当社の事業別の中期経営計画策定の背景、今後の見通しおよびその前提条件は以下のとおりで
  あります。

 1)創薬事業
    当社は、アンメット・メディカル・ニーズの高い未だ有効な治療方法が確立されていない疾患
  を中心に、特にがん、免疫炎症疾患を重点領域として画期的な新薬の開発を目指しています。自
  社臨床試験の実施が可能となったことから、重点領域の創薬プログラムについては、自社臨床開
  発パイプラインを充実させ、事業価値の最大化を目指します。
    ブロックバスターの可能性がある2つのBTK阻害剤ポートフォリオ、AS-0871およびAS-1763に
  ついて、当社初となる自社臨床試験を実施する予定であり、これらの臨床開発を推進する体制を
  さらに強化し、パイプラインの価値を高めていく計画です。また、画期的な新薬を継続的に生み
  出すため、探索段階にある創薬プログラムの早期ステージアップを目指し、研究を推進いたしま
  す。
    また、当社は2019年12月までに複数の創薬プログラムを製薬企業等(シエラ社、大日本住友製
  薬、ギリアド社)に導出しており、開発段階の進展によるマイルストーン収入(総額 最大で約
  860億円、1ドル105円で換算)の獲得および上市後の売上高に応じたロイヤリティ収入を目指し
  ます。同時に、新たな導出による契約一時金収入およびマイルストーン収入を得るため、引き続
  き導出活動を行ってまいります。
    当社の主な創薬の研究開発パイプラインおよびその状況は以下のとおりです。




本書は、投資勧誘を目的としたものではありません。当社の事業計画に対する評価および投資に関する決定は、投資者ご自身の
判断において行われるようお願いいたします。また本資料最終頁末尾の留意事項を必ずご参照下さい。

                                                     -3-
 ①創薬の研究開発パイプライン

                                      研究開発ステージ              開発
    化合物         標的     対象疾患
                                探索      前臨床       臨床       パートナー
     SRA141
    (AS-141)   CDC7      がん                      IND完了   Sierra Oncology

    低分子        キナーゼ     がん免疫                             Gilead Sciences

    低分子        キナーゼ    精神神経疾患                            大日本住友製薬

    AS-0871     BTK    免疫炎症疾患                    CTA完了        自社

                        血液がん
    AS-1763     BTK                                           自社
                        がん免疫
                 wnt
    低分子                 がん免疫                                  自社
               シグナル
                TGFβ    血液がん
    低分子                                                       自社
               シグナル     がん免疫
    低分子        キナーゼ    免疫炎症疾患                                 自社

    低分子         不明      マラリア                                  自社

    低分子        キナーゼ      がん                                   自社


 ・CDC7阻害剤(SRA141 / AS-141)
   2016年5月に、カナダのシエラ・オンコロジー社(以下、シエラ社)と、全世界を対象とした
 AS-141(シエラ社の開発コード:SRA141)の開発・商業化に関するライセンスを供与する導出契
 約を締結いたしました。       シエラ社は、  契約に基づき、   契約一時金として既に受領した90万ドル(約
 1億円)、さらに開発状況、承認、上市などの進捗に応じて最大270百万ドル(約283億円、1ドル
 105円換算)のマイルストーン、上市後の売上高に応じた一桁の段階的ロイヤリティを当社に支
 払うことになっています。
   SRA141(AS-141)は、米国においてIND申請(新薬臨床試験開始届)が完了しており、シエラ社
 は大腸がんを対象とした治験開始         (フェーズ1/2試験)  に向けた準備を進めておりましたが、 同社
 が保有する別のパイプライン       (momelotinib)のフェーズ3試験にリソースを集中させるために、
 SRA141の開発方針について様々な選択肢を戦略的に検討中と発表しております。

 ・ギリアド社に導出した創薬プログラム
  2019年6月に米国のギリアド社と、当社が研究開発した新規がん免疫療法の創薬プログラムの
 開発・商業化にかかる全世界における独占的な権利を供与する契約を締結いたしました。契約一
 時金として20百万ドル(約21億円)をすでに受領しており、当社は今後、開発状況や上市などの
 進捗に応じて追加的に最大で450百万ドル(約472億円、1ドル105円換算)のマイルストーンを受
 け取ることになり、さらに、本プログラムにより開発された医薬品の上市後の売上高に応じたロ
 イヤリティを受け取ります。

 ・大日本住友製薬との共同研究プログラム
  2018年3月に大日本住友製薬株式会社と精神神経疾患を標的とした共同研究契約を締結いたし
 ました。大日本住友製薬は、契約一時金および研究マイルストーンとして、最大8千万円を支払
 い、その後の研究開発の進展に伴い、進捗に応じて追加的に最大で約106億円のマイルストーン
 および売上高に応じたロイヤリティを受領することになります。

本書は、投資勧誘を目的としたものではありません。当社の事業計画に対する評価および投資に関する決定は、投資者ご自身の
判断において行われるようお願いいたします。また本資料最終頁末尾の留意事項を必ずご参照下さい。

                                -4-
 ・BTK阻害剤(AS-0871)
  BTKを標的とした薬剤は、すでに血液がんの領域でイブルチニブを始めとする不可逆的阻害薬
 が上市されていますが、これまでに炎症性免疫疾患を対象として承認された薬剤はありません。
 当社が創製したAS-0871は、自社化合物ライブラリーから独自のアッセイ系を用いて生み出され
 た非共有結合型で可逆的な阻害様式を示すBTK阻害剤であり、その高いキナーゼ選択性から、炎
 症性免疫疾患の治療薬として研究開発を進めています。GLP基準(医薬品の安全性に関する非臨
 床試験の実施基準)に基づいた各種前臨床試験が完了し、2019年12月にオランダ当局にCTA
 (Clinical Trial Application、臨床試験許認可申請)を提出いたしました。当局および倫理委
 員会による審査は2020年2月に完了しており、欧州における臨床試験の開始が可能となっており
 ます。本試験は当社初の自社臨床試験であり、現地での試験準備が整い次第、2020年上半期中に
 健康成人を対象とした臨床試験(フェーズ1試験)を開始する予定です。

 ・BTK阻害剤(AS-1763)
  第1世代の不可逆的BTK阻害剤イブルチニブは、B細胞性リンパ腫の治療薬として高い治療効果
 を示していますが、一部の患者においてBTK遺伝子に変異が生じてイブルチニブへの耐性が生じ
 ることが報告されており、イブルチニブに耐性が生じた変異型BTKにも効果を示す次世代型BTK阻
 害薬が求められています。当社が創製したAS-1763は野生型BTKだけでなく、変異型BTKにも高い
 阻害効果を示すことから、イブルチニブ耐性患者を対象とした次世代型BTK阻害剤として開発を
 進めており、 2020年中の米国におけるIND申請  (新薬臨床試験開始届)に向けて前臨床試験を進め
 てまいります。このAS-1763は、AS-0871と同様にキナーゼ選択性に優れており、また非共有結合
 型可逆的阻害剤であることから、AS-0871のバックアップ化合物として、炎症性免疫疾患の治療
 薬としても研究開発を進めてまいります。

 ・その他の探索段階にある創薬研究プログラム
  当社では、上記以外の創薬研究プログラムにつきましても、wntシグナル阻害薬やTGFβシグナ
 ル阻害薬など、画期的な新薬創製に向けて様々な創薬研究プログラムを実施しております。これ
 らの創薬プログラムにつきましても、早期ステージアップを目指して研究を継続してまいります。

 ②創薬研究の基本戦略
  当社の創薬研究は、アンメット・メディカル・ニーズが高いがんおよび免疫炎症疾患を重点領
 域としており、有望テーマへ研究リソースを重点的に投入し、創薬の成功確率の向上と研究期間
 の短縮に努めながら、当社が培ってきたキナーゼに関する創薬基盤技術などを利用して、新規性
 の高い画期的な医薬品候補化合物の創出を目指しております。
  当社の創薬事業は、製薬企業出身者が中心となって、当社のコア技術であるキナーゼ創薬基盤
 技術を中心に、様々な創薬標的に対して、低分子医薬品に関する創薬研究を実施しており、次々
 と独自の新たなパイプラインを生み出すことができることが大きな特長となっています。2019年
 に実施した本社創薬ラボの拡張・拡充により研究環境のさらなる整備を行ったことから、これま
 で社内での実施が難しかった実験も行えるようになり、より画期的な研究成果が期待されます。
 また、大学等アカデミアとの共同研究も積極的に推進しており、新しいコア技術の開発や新規創
 薬テーマの発掘のための研究を行なってまいります。

 ③導出活動
  当社は、臨床試験の初期段階(フェーズ2a)までのいずれかの段階で当社の創薬パイプライン
 を製薬企業等に導出することを基本方針としております。導出契約は、研究開発のステージが高
 くなるほど収益性が高くなることが見込まれますが、その反面、開発中止のリスクや導出に至る
 までに必要な研究開発費が多額になります。反対に、前臨床段階などで早期に導出することを想
 定した場合、ヒトにおける臨床データがなく、臨床開発リスクが考慮されるために、導出先製薬

本書は、投資勧誘を目的としたものではありません。当社の事業計画に対する評価および投資に関する決定は、投資者ご自身の
判断において行われるようお願いいたします。また本資料最終頁末尾の留意事項を必ずご参照下さい。

                           -5-
 企業等から獲得する収益は低くなる可能性があります。
  当社が創出した医薬品候補化合物が臨床試験を経て上市する成功確率を高めるためには、臨床
 試験段階のパイプラインを複数保有することが重要です。これまでの複数の製薬企業(ジョンソ
 ン・エンド・ジョンソン社、シエラ社、ギリアド社)への導出実績や国際的学術科学雑誌への研
 究成果の掲載、さらには当社が独自に研究開発中の創薬パイプラインへの注目度の高まり等を受
 けて、海外メガファーマや国内製薬企業等との面談の機会が多くなっております。
  当社は、自社で臨床試験を実施し、創薬パイプラインの価値を最大限に高めたうえで導出する
 ことを中期的な経営の基本方針として掲げていますが、競合状況や導出先製薬企業との頻回な面
 談による情報収集により、当社にとって最大価値を生み出せるよう戦略的かつ臨機応変に導出交
 渉に取り組んでまいります。

 ④臨床開発体制の確立
  当社創薬研究の研究開発体制は、継続的に新薬候補化合物を創出できる研究技術レベルに達し
 ましたが、一方で臨床候補化合物の選択後にレギュラトリーサイエンスに基づいて前臨床試験お
 よび臨床試験を推進する開発体制はいまだ不十分であると認識しております。2018年7月に臨床
 開発部を設立し、2019年2月には米国サウスサンフランシスコに米国で臨床試験を実施するため
 の臨床開発オフィスを新設しました。自社開発品であるAS-0871およびAS-1763の臨床試験が速や
 かに開始できるよう、引き続き臨床開発体制の強化を進めてまいります。
  上記開発体制を構築してさらなる事業の発展を目指していくうえで、開発を推進、管理する人
 員の確保、臨床試験を推進するための資金の獲得が必要となります。当社は、創薬支援事業およ
 び創薬事業における営業キャッシュ・フロー収入を投じる予定でありますが、必要に応じて資本
 市場等から資金を調達し、当社事業の拡充に取り組んでまいります。
  以上の取り組みをとおして、複数の臨床試験段階のパイプラインを有する創薬ベンチャーとし
 て飛躍的な成長を実現し、当社の企業価値を高めてまいります。

 ⑤創薬事業の業績予想の前提条件
   当社は、製薬企業と情報交換を継続的に行い、各パイプラインの導出の時期を見極めながら導
 出活動を行っておりますが、導出一時金収入等の時期および対価を予想することは困難です。ま
 た、導出済みの創薬プログラムの開発状況に応じて受領するマイルストーン収入もその時期には
 不確定予想が含まれることから、創薬事業の売上は連結業績予想に含めておりません。一方、自
 社臨床試験の開始を計画していることや前臨床試験へ積極的に先行投資を行うことから、2020年
 12月期の創薬事業の研究開発費は1,935百万円を計画しており、同事業の営業損失は2,155百万円
 と予想しております。


2)創薬支援事業
  当社の創薬支援事業は、当社の創薬基盤技術に基づくキナーゼ関連製品およびサービスの高い
 品質を強みとし、その創薬基盤技術を基にして顧客の要望に的確に応える学術サポートを通じて、
 世界的なシェアを拡大し、安定的な収益を獲得することを基本方針としています。この獲得した
 収益を創薬事業に投じることで研究開発のスピードアップに寄与することが、創薬支援事業の重
 要なミッションです。
  地域別には、市場規模が大きい北米での中期的かつ持続的な売上増およびシェア拡大、また売
 上が減少傾向の国内のてこ入れが重要と考えており、急成長しているその他地域の中国での売上
 拡大とともに注力してまいります。
  製品別では、当社のオンリーワン製品である機能性キナータンパク質製品のビオチン化タンパ
 ク質の製品数を増加させるとともに、プロメガ社のNanoBRETTMテクノロジーを用いて細胞内での
 キナーゼ阻害剤の作用を評価する受託試験サービスを2018年末に開始いたしました。これら新製

本書は、投資勧誘を目的としたものではありません。当社の事業計画に対する評価および投資に関する決定は、投資者ご自身の
判断において行われるようお願いいたします。また本資料最終頁末尾の留意事項を必ずご参照下さい。

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 品、サービスを顧客に積極的に提案するとともに、顧客ニーズに合致した新製品、サービスをさ
 らに開発し提供することで売上の拡大に取り組んでまいります。
  さらに、当社の顧客はがんの研究グループの比重が高いとの認識から、免疫炎症、中枢神経等、
 他の疾患領域の研究者へも引き続き拡販を図り、売上の拡大を目指します。
  地域別の販売戦略の基本方針は、以下の通りです。

 a.国内地域
   国内での当社のシェアは高いとの認識から、売上拡大には既存顧客への訪問頻度を増やし当
  社の創薬基盤技術を駆使したソリューションとして、当社製品・サービスの提案を行うことが
  重要と認識しており、最新の研究動向を分析し、顧客へ的確なアプローチを行うことで、潜在
  ニーズを掘り起こし、安定的な売上の確保、収益性の向上を図ります。

 b.北米地域
   在米子会社であるCarnaBio USA, Inc.の販売体制を強化し、北米で次々と設立され創薬研究
  を開始する創薬バイオベンチャーを当社製品・サービスの継続的な顧客とする関係構築を図る
  とともに、大手製薬企業個々のニーズに応じたきめ細やかな対応をさらに進めて顧客基盤を強
  固にし、中期的な売上拡大を目指します。また、北米地域においてセルベースアッセイサービ
  スの需要が高まっていることから、自社サービスとして提供を開始したNanoBRETTMについて顧
  客への訴求を図ることにより、売上増に加え利益率向上にも取り組んでまいります。

 c.欧州地域
   当社の販売代理人であるデンマークのキナーゼロジスティックス社を中心に、既存顧客への
  販促活動を引き続き行い、売上拡大を図ります。また、新たな販売代理店を通じて、販売体制
  の強化も行ってまいります。

 d.その他地域
   中国での創薬ビジネスの高まりを受けて売上が急拡大していることから、販売代理店である
  上海ユニバイオ社との関係強化を通じて、さらなる売上拡大を目指してまいります。

  当社は、2020年12月期における創薬支援事業の売上高を前期比4.0%減の1,036百万円、営業利
 益を6.2%減の375百万円と計画しております。当社の脂質キナーゼ阻害剤に関する創薬基盤技術
 を一定期間、独占的にギリアド社に供与することとなっており、2020年12月期の売上計画には、
 これに関連した売上も含まれておりますが、2019年12月期に複数の顧客から大口の受注があった
 ことを考慮し、創薬支援事業の売上高および営業利益は前年比で小幅な減少になると予想してお
 ります。 なお、創薬支援事業における研究開発費は、  新規製品・サービスの開発および既存製品・
 サービスの品質向上を目的として、104百万円を計画しております。




本書は、投資勧誘を目的としたものではありません。当社の事業計画に対する評価および投資に関する決定は、投資者ご自身の
判断において行われるようお願いいたします。また本資料最終頁末尾の留意事項を必ずご参照下さい。

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(百万円)    <創薬支援事業 地域別売上計画>                        (百万円)   <創薬支援事業 営業利益計画>
                   1079                            450
  1100                      1036
                    99
  1000                                             400
                             120
                    86                                              400
   900
                             77                    350                       375
   800                               その他
           704                                     300
   700                               欧州
           71
                                     北米            250
   600     94       634
                             591     国内
   500                                             200

   400     249
                                                   150
   300
                                                   100     117
   200
           288      259      246
   100                                              50

     0                                               0
          18/12期   19/12期   20/12期                        18/12期   19/12期   20/12期
            実績       実績       計画                            実績       実績       計画




4. 財務戦略および設備投資計画

 1)財務戦略
  当社の財務戦略は、長期にわたる研究開発を行うための強固な財務基盤を保つために、手元資金
 については高い流動性と厚めの資金量を確保および維持することを基本方針としております。先行
 投資が必要な創薬事業の研究開発資金に、創薬支援事業で獲得したキャッシュ・フローおよび創薬
 事業で獲得した契約一時金、マイルストーン収入およびロイヤリティ収入を充当し、当社創薬パイ
 プラインの拡充および着実な進展を図り、当社事業価値を高めていくという経営方針に基づいて財
 務戦略を策定しております。
  現在、2019年7月29日に発行した行使価額修正条項付き第18回新株予約権による資金調達を進め
 ており、2020年1月末までに累計で2,152百万円の資金を調達いたしました。引き続き第18回新株
 予約権の行使による資金調達を行ってまいりますが、当社は2020年12月期に自社臨床試験を開始す
 るべく準備を進めており、そのための短期的、中期的な資金確保が重要と認識しております。今後
 の創薬事業および創薬支援事業からの収益確保に取り組むとともに、新たな資金調達の検討を進め、
 必要な資金確保に努めてまいります。また、銀行等からの借入についても、財務状況や借入金の返
 済状況等を総合的に勘案し、適宜実施することといたします。

 2)設備投資計画
  創薬研究に用いる機器や情報システム機器の新設、更新費用として、総額54百万円の設備投資を
 計画しています。




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5. 2020年12月期の業績予想
  当社の2020年12月期の連結業績予想は以下の通りであり、その前提条件等は3.事業別経営方針
 および4.財務戦略および設備投資計画に記載のとおりです。

                                                           (%表示は対前期増減率)
                    売上高             営業利益            経常利益         当期純利益
               百万円           %     百万円       %
    創薬支援事業     1,036       -4.0      375   -6.2
    創 薬 事 業         -       -     △2,155     -

    全 社(連結)    1,036      -67.7   △1,779     -    △1,794    -   △1,822   -



  なお、研究開発費は、3.事業別経営方針に記載の方針に基づいて、連結ベースで2,040百万円
 (対前期比59.1%増)を計画しております。
  また、2021年以降の業績目標の数値は、当社ビジネスモデルの特性上現時点で見積もることは難
 しいことから、記載しておりません。




                                                          以 上
本開示資料は、投資者に対する情報提供を目的として将来の事業計画等を記載したものであって、投資勧誘を目的としたものではありま
せん。当社の事業計画に対する評価および投資に関する決定は投資者ご自身の判断において行われるようお願いいたします。
また、当社は、事業計画に関する業績目標その他の事項の実現・達成等に関しその蓋然性を如何なる意味においても保証するものではな
く、その実現・達成等に関して一切責任を負うものではありません。
本開示資料に記載されている将来に係わる一切の記述内容(事業計画に関する業績目標も含みますがそれに限られません。)は、現時点
で入手可能な情報から得られた当社の判断に基づくものであり、将来の経済環境の変化等を含む事業計画の前提条件に変動が生じた場合
その他様々な要因の変化により、実際の事業の状態・業績等は影響を受けることが予想され、本開示資料の記載内容と大きく異なる可能
性があります。




本書は、投資勧誘を目的としたものではありません。当社の事業計画に対する評価および投資に関する決定は、投資者ご自身の
判断において行われるようお願いいたします。また本資料最終頁末尾の留意事項を必ずご参照下さい。

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