4569 キョーリンHD 2021-01-22 15:00:00
間質性膀胱炎治療剤「ジムソ膀胱内注入液50%」の製造販売承認取得について [pdf]

                                                   2021 年 1 月 22 日
 各   位
                           会 社 名    キョーリン製薬ホールディングス株式会社
                           代表者名     代 表 取 締 役 社 長  荻原 豊
                                   (コード番号 4569 東証第 1 部)
                           問合せ先     グループ経営企画統轄部 部長 谷藤 功典
                           電  話     03 ー 3525 ー 4707


  間質性膀胱炎治療剤「ジムソ®膀胱内注入液 50%」の製造販売承認取得について


  キョーリン製薬ホールディングス株式会社の子会社である杏林製薬株式会社(本社:東京都千代田区、
社長:荻原 茂)は、1 月 22 日付けで、厚生労働省より間質性膀胱炎治療剤「ジムソ®膀胱内注入液 50%」
(以下、本剤)の製造販売承認を取得しました。

 本剤は、50%(w/w)のジメチルスルホキシドを含む膀胱内注入液であり、日本人間質性膀胱炎患者 96
例を対象とした第Ⅲ相臨床試験(多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験)
を実施し、その有効性と安全性が評価され、承認に至りました。
 本剤の膀胱内注入療法は、厚生労働省の設置する医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会
議による検討の結果、「医療上の必要性に係る基準」に該当すると判断されました。その後、厚生労働省が
開発企業を広く募り、杏林製薬が開発意思を申し出て、本邦における開発を行いました。また 2017 年 9 月
に、厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。

 杏林製薬㈱は、本剤を重点領域とする泌尿器科領域の製品ラインナップに加え、アンメットメディカルニーズ
に応える治療薬として間質性膀胱炎の患者さんの治療と QOL 改善に一層の貢献をしてまいります。

 なお発売時期や売上規模などにつきましては、本剤の薬価収載後に適時お知らせいたします。

(製品情報)

製 品 名:ジムソ®膀胱内注入液 50%
一 般 名:ジメチルスルホキシド(Dimethyl Sulfoxide)
効能又は効果:間質性膀胱炎(ハンナ型)の諸症状(膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼痛、圧迫感及び不快感、
       尿意亢進又は頻尿等の下部尿路症状)の改善
用法及び用量:通常、成人には 50%(w/w)ジメチルスルホキシド溶液を 1 回あたり 1 バイアル 50mL(ジメチル
       スルホキシドとして 27g)、2 週間間隔で 6 回膀胱内に注入する。なお、膀胱内注入後、可能な
       限り 15 分間以上膀胱内に保持してから排出させる。


                                                            以上
【参考情報】
■間質性膀胱炎の疾患、病態及び疫学について
  間質性膀胱炎は頻尿、尿意亢進、尿意切迫感及び膀胱痛を呈する疾患であり、中でも膀胱充満時に生じ
 る膀胱痛が特徴的な症状として挙げられますが、膀胱痛を伴わず顕著な頻尿を主訴とする場合もあります。
 持続する症状は患者さんの日常生活に多大な支障をきたし、著しい QOL の低下を招きます。主に中高年の
 女性に発症しますが、若年者や男性に発症することも稀ではありません。国内の正確な患者数は不明である
 ものの、2013 年の調査では国内で治療中の患者数は約 4,500 人であることが報告されており、希少疾患の
 一つとされています。
  2019 年に発行された間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン(以下、IC/BPS 診療ガイドライン)で
 はハンナ型のみが間質性膀胱炎と定義されました。ハンナ型の病理学的所見である膀胱上皮の剥離及び膀
 胱粘膜下層の炎症細胞浸潤、微小血管増生は非ハンナ型と異なります。また、ハンナ型でのみ膀胱内壁で
 の炎症関連分子の発現亢進が認められ、全ゲノム解析において膀胱内壁で明らかな炎症所見を有するのは
 ハンナ型のみであることが示されました。

■間質性膀胱炎の治療法について
  間質性膀胱炎の治療法として、IC/BPS 診療ガイドラインでは、保存的治療、薬物治療、膀胱内注入療法
 及び内視鏡的治療等が挙げられていますが、推奨グレード A(行うよう強く勧められる)に該当する確立され
 た治療法はありません。また、現在、国内で保険適用を有する治療法は膀胱水圧拡張術のみであり、保険診
 療上の治療選択肢が限られています。



 (参考文献)
 Yamada Y, Nomiya A, Niimi A, Igawa Y, Ito T, Tomoe H, et al. A survey on clinical practice of
 interstitial cystitis in Japan. Transl Androl Urol. 2015; 4(5): 486-90.
 日本間質性膀胱炎研究会/日本泌尿器科学会編集.間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン.2019.