4564 M-OTS 2020-08-07 17:00:00
2021年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結) [pdf]

                      2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
                                                                                                  2020年8月7日

上場会社名 オンコセラピー・サイエンス株式会社                                                               上場取引所                      東
コード番号 4564    URL https://www.oncotherapy.co.jp
代表者      (役職名) 代表取締役社長                                   (氏名) 朴 在賢
問合せ先責任者 (役職名) 管理本部長                                      (氏名) 木村 謙二                      TEL 044-820-8251
四半期報告書提出予定日      2020年8月11日
配当支払開始予定日        ―
四半期決算補足説明資料作成の有無 :           無
四半期決算説明会開催の有無            :   無

                                                                                                 (百万円未満切捨て)

1. 2021年3月期第1四半期の連結業績(2020年4月1日∼2020年6月30日)
(1) 連結経営成績(累計)                                                                       (%表示は、対前年同四半期増減率)
                                                                                          親会社株主に帰属する
                            売上高                   営業利益                  経常利益
                                                                                            四半期純利益
                            百万円       %            百万円         %        百万円          %          百万円               %
2021年3月期第1四半期                41    △26.5          △399     ―            △398     ―              △318        ―
2020年3月期第1四半期                55    315.0          △617     ―            △616     ―              △645        ―
(注)包括利益 2021年3月期第1四半期  △318百万円 (―%) 2020年3月期第1四半期  △646百万円 (―%)
                                                       潜在株式調整後1株当たり四半期
                         1株当たり四半期純利益
                                                             純利益
                                                円銭                             円銭
2021年3月期第1四半期                                  △1.81               ―
2020年3月期第1四半期                                  △4.18               ―

(2) 連結財政状態
                               総資産                             純資産                        自己資本比率
                                               百万円                         百万円                                    %
2021年3月期第1四半期                     4,578                                 4,319                                   92.4
2020年3月期                          5,088                                 4,728                                   89.5
(参考)自己資本     2021年3月期第1四半期 4,232百万円                     2020年3月期 4,551百万円


2. 配当の状況
                                                          年間配当金
                    第1四半期末          第2四半期末                第3四半期末               期末                  合計
                             円銭                   円銭               円銭                 円銭                    円銭
2020年3月期                ―                  ―                   ―                      0.00                      0.00
2021年3月期                ―
2021年3月期(予想)                               ―                   ―                      0.00                      0.00

(注)直近に公表されている配当予想からの修正の有無 : 無



3. 2021年 3月期の連結業績予想(2020年 4月 1日∼2021年 3月31日)
 今期の連結業績予想については、本書提出日現在において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を起因とした当社グループ事業に対する具体的な
影響は軽微でありますが、当該事象の終息時期を見通すことができず、今後どの様な影響を受けるかを合理的に予測することが困難な状況にあります。
 さらに、売上高及び営業利益の予想値の公表が、当社グループ研究開発事業の導出活動ならびに受託検査業務における最大価値創出の阻害要因とし
て作用する可能性が想定されます。また、当社グループの研究開発費用の中には、提携契約の内容によって当社グループ負担または相手方負担のいず
れとなるのかが決定される費用も含まれております。
 これらの点を考慮して、現時点で当社グループは今回の業績予想について記載をしておりませんが、判明次第お知らせいたします。
※ 注記事項
(1) 当四半期連結累計期間における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動) : 無
     新規 ― 社 (社名)              、   除外  ― 社 (社名)

(2) 四半期連結財務諸表の作成に特有の会計処理の適用 : 無
(3) 会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
     ① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更  : 無
     ② ①以外の会計方針の変更         : 無
     ③ 会計上の見積りの変更          : 無
     ④ 修正再表示               : 無

(4) 発行済株式数(普通株式)
     ① 期末発行済株式数(自己株式を含む)     2021年3月期1Q   176,332,000 株 2020年3月期     176,332,000 株
     ② 期末自己株式数               2021年3月期1Q            ― 株 2020年3月期               ―株
     ③ 期中平均株式数(四半期累計)        2021年3月期1Q   176,332,000 株 2020年3月期1Q   154,494,082 株

※ 四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です

※ 業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
・2021年3月期の業績予想が判明次第、お知らせいたします。
                       オンコセラピー・サイエンス株式会社(4564) 2021年3月期 第1四半期決算短信

○添付資料の目次
 
    1.当四半期決算に関する定性的情報 ……………………………………………………………………………………      2
     (1)経営成績に関する説明 ……………………………………………………………………………………………      2
     (2)財政状態に関する説明 ……………………………………………………………………………………………      6
     (3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明 ………………………………………………………………      6
    2.四半期連結財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………………      7
     (1)四半期連結貸借対照表 ……………………………………………………………………………………………      7
     (2)四半期連結損益計算書及び四半期連結包括利益計算書 ………………………………………………………      9
        四半期連結損益計算書                                            
         第1四半期連結累計期間 ………………………………………………………………………………………      9
        四半期連結包括利益計算書                                          
         第1四半期連結累計期間 ………………………………………………………………………………………      10
     (3)四半期連結財務諸表に関する注記事項 …………………………………………………………………………      11
       (継続企業の前提に関する注記) …………………………………………………………………………………      11
       (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) …………………………………………………………      11
       (セグメント情報等) ………………………………………………………………………………………………      11
    3.その他 ……………………………………………………………………………………………………………………      13
       継続企業の前提に関する重要事象等 ………………………………………………………………………………      13
 




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                        オンコセラピー・サイエンス株式会社(4564) 2021年3月期 第1四半期決算短信

1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
   当社グループは、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 公益財団法人がん研究会 がんプレシ
  ジョン医療研究センター所長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授と共同で、ほぼ全てのがん
  を対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、既にがん治療薬開発に適した多くの標的分子を同定しておりま
  す。また、それらの標的に対し、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の、各領域における創薬研究を
  積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施しており、臨床試験準備中の医薬品候補
  物質も複数有しております。
   このような、「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業に加えて、がんプレシジョン医療関連事業
  を実施しております。
   がんは遺伝子の異常により引き起こされる病気です。がん細胞での遺伝子の網羅的な解析は、がんの診断及びが
  ん治療薬・治療法を選択するために非常に重要です。この解析を利用して、がんの早期診断や、がん患者さん一人
  ひとりの遺伝子情報に基づいた治療薬・治療法の選択をすることや新規の免疫療法につなげていくことをがんプレ
  シジョン医療といい、近年、より効果的ながん治療をがん患者さんに提供できる手段として注目されています。
   当社は、グローバルなゲノム・トランスクリプトム・エピゲノム等の次世代シーケンス解析サービスを行ってい
  るTheragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国、以下「TB社」という。旧Theragen Etex Co., Ltd.。)との資本・業務
  提携により、がん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer
  Precision Medicine(以下「CPM社」という)を設立し、がんプレシジョン医療関連事業を実施しております。
   具体的な「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業及びがんプレシジョン医療関連事業の内容につ
  いては、以下(a)及び(b)のとおりでございます。
    なお、2020年6月30日現在、当社は全世界で532件の特許を取得しております。
   
 (a)「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業
  <基礎研究領域>
     創薬ターゲットの特定等を行う基礎研究領域においては、ヒト全遺伝子の遺伝子発現パターンを網羅的に検索
      できるcDNAマイクロアレイのシステムによる大腸がん、胃がん、肝臓がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、食
      道がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、腎臓がん、膀胱がん及び軟部肉腫等について発現解析が終了しており
      ます。これらの発現解析情報からがんで発現が高く正常臓器では発現がほとんどない遺伝子を選択し、さらに機
      能解析により、がん細胞の生存に必須な多数の遺伝子を分子標的治療薬の標的として同定しております。
  <創薬研究領域>
    医薬品候補物質の同定及び最適化を行う創薬研究領域においては、医薬品の用途毎に、より製品に近い研究
      を積極的に展開しております。
       低分子医薬につきましては、7種のがん特異的タンパク質を標的とする創薬研究を進めております。そのう
      ち1種の標的であるリン酸化酵素(キナーゼ)については、医薬品候補化合物の臨床試験を実施中です(詳細
      は、別記「<医薬開発領域>(ⅰ)低分子医薬」をご参照ください。)。他の1種のリン酸化酵素について
      は、これまでに得た高活性化合物に基づきリード最適化を進め、in vivoで強力な腫瘍増殖抑制効果を示す複数
      の高活性化合物を同定しております。これらにつき、医薬品候補化合物として臨床開発するための薬効薬理・
      薬物動態・毒性試験を進めております。さらに、別の3種の標的酵素タンパク質に関して、リード最適化の過
      程で得た高活性化合物群に対してin vivoでの薬効試験を進め、有意な薬効を示す化合物の構造に基づき、薬効
      向上のためのさらなるリード最適化を実施中です。また、さらに別の2種の標的酵素タンパク質に関して、こ
      れまでに得た高活性化合物に基づき、リード化合物の獲得に向けた新規化合物合成と構造活性相関研究を進め
      ております。
       がんペプチドワクチンにつきましては、これまでに日本人及び欧米人に多く見られるHLA-A*24:02及び
      A*02:01を中心に、大腸がん、胃がん、肺がん、膀胱がん、腎臓がん、膵臓がん、乳がん及び肝臓がん等を標的
      とした計43遺伝子を対象としたエピトープペプチドを既に同定しておりますが、それら以外にもA*11:01,
      A*33:03, A*01:01及びA*03:01等、様々なHLAに対応したより多くのエピトープペプチドを同定しております。
        このように、独創的な分子標的治療薬の創製を目指した創薬研究を積極的に展開しております。
   




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                         オンコセラピー・サイエンス株式会社(4564) 2021年3月期 第1四半期決算短信

<医薬開発領域>
     医薬開発領域においては、当社グループ独自での開発及び複数の製薬企業との提携による開発を、以下のと
    おりそれぞれ進めております。
     (ⅰ)低分子医薬
       がん幹細胞の維持に重要な分子であるMELK(Maternal Embryonic Leucine zipper Kinase)を標的とし
      たOTS167については、急性骨髄性白血病に対する第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を米国シカゴ大学及びコーネル大学に
      て実施しております。この臨床試験は、急性骨髄性白血病を含む血液がんの患者さんを対象とし、OTS167
      の静脈内反復投与における安全性及び推奨投与量の確認を行い、確認後には、急性骨髄性白血病を含む予
      後不良の各種白血病についてのPOCを獲得することを目的とするものです。また、OTS167の乳がんに対する
      第Ⅰ相臨床試験を米国コーネル大学、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター、米国ノーウォー
      ク・ホスピタル及び米国メモリアルスローンケタリングがんセンターにて実施しております。この臨床試
      験は、トリプルネガティブ乳がんを含む乳がんの患者さんを対象とし、OTS167のカプセル剤による経口投
      与における安全性及び推奨投与量の確認を主目的とし、副次的にトリプルネガティブ乳がんに対する臨床
      上の有効性を確認するものです。なお、OTS167は、オーストラリアで実施しておりました健常成人を対象
      とした経口投与による消化管吸収性(バイオアベイラビリティ)の確認を主たる目的とする臨床試験にお
      いて、ヒトでの良好な経口吸収性が確認されています。
       OTS167の標的は、MELKであり、がん幹細胞に高発現し、その維持に重要な役割をしているタンパク(キ
      ナーゼ)です。そのキナーゼを阻害し、強い細胞増殖抑制効果が期待できる新しい作用機序(ファース
      ト・イン・クラス)の分子標的治療薬です。OTS167は、すでに動物試験において、肺がん、前立腺がん、
      乳がん、膵臓がん等に対し、強力な抗腫瘍効果が確認されています。
       また、細胞分裂に重要ながん特異的新規標的分子(TOPK)に対する複数の最終化合物を同定しておりま
      す。動物実験で、顕著な結果が得られたことから、製剤化検討及び非臨床試験を進めております。
        
     (ⅱ)がんペプチドワクチン
       がんペプチドワクチンにつきましては、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、提携先が実施する臨
      床開発の側面支援、後方支援を強化して参りました。
       塩野義製薬株式会社とは、当社がライセンスアウトしているがん特異的ペプチドワクチンS-588410の臨
      床開発を支援する目的で、食道がん患者さんを対象とした第Ⅲ相臨床試験実施に関する覚書を締結してお
      り、塩野義製薬株式会社が臨床試験を実施しております。この臨床試験におきましては、2018年3月に最
      後の患者登録が完了しております。なお、塩野義製薬株式会社は、S-588410の食道がん第Ⅲ相臨床試験の
      ほか、膀胱がんを対象としたS-588410について日欧で第Ⅱ相臨床試験を完了しており、頭頸部がんを対象
      としたS-488210は欧州で第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を、また、固形がんを対象としたS-588210は英国で第Ⅰ相臨床
      試験を、それぞれ実施しております。
       サイアス株式会社には、特定のがん治療用ペプチドワクチンを利用して製造した再生T細胞をがん治療に
      用いることに関する開発・製造・販売権を供与しており、サイアス株式会社はがん患者さんの治療を目指
      して、非臨床試験開始に向けた準備を行っております。
       ノーベルファーマ株式会社には、当社の有するがん治療用ペプチドワクチンに関して、特定のがん種を
      適応症としたオプション権付きの開発・製造・販売権を供与しております。
       また、シンガポールのNUH(National University Hospital)ならびに韓国のYonsei University Health
      System, Severance Hospitalにて、がんペプチドカクテルワクチンOTSGC-A24の胃がんに対する第Ⅰ相臨床
      試験を、医師主導治験として実施しております。
        
     (ⅲ)抗体医薬
       がん治療用抗体医薬OTSA101については、日本における滑膜肉腫に対する第Ⅰ相臨床試験を実施しており
      ます。本試験は、難治性又は再発性の滑膜肉腫患者を対象に、放射性同位元素を結合したOTSA101投与にお
      ける安全性及び体内薬物動態の確認を主たる目的とするものです。
       また、当社連結子会社であるイムナス・ファーマ株式会社が協和キリン株式会社にライセンスアウトし
      ております抗アミロイドβ(Aβ)ペプチド抗体KHK6640については、協和キリン株式会社が、アルツハイ
      マー型認知症に対する第Ⅰ相臨床試験を欧州及び日本にて実施しております。
 




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                     オンコセラピー・サイエンス株式会社(4564) 2021年3月期 第1四半期決算短信

(b)がんプレシジョン医療関連事業
 <がんプレシジョン医療への取組み>
  (ⅰ)がん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を行う合弁会社設立
     当社は、2017年に、がん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、CPM
    社を設立致しました。CPM社に対しては、グローバルなゲノム・トランスクリプトム・エピゲノム等の次世
    代シーケンス解析サービスを行っているTB社が資本・業務提携したことから、当社とTB社との合弁会社とな
    っております。また、当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発及
    びT/B細胞受容体(TCR/BCR)レパトア解析サービスを行っていた腫瘍免疫解析部の事業について、会社分割
    (簡易分割)をし、CPM社に事業を承継させました。CPM社は、日本におけるがんプレシジョン医療を加速す
    るため、以下の検査、治療法研究を行っております。
    ・全エクソームシーケンス解析
    ・RNAシーケンス解析
    ・ネオアンチゲン解析
    ・リキッドバイオプシー
    ・全ゲノムシーケンス解析
    ・シングルセルRNAシーケンス解析
    ・メタゲノムシーケンス解析
    ・TCR/BCRレパトア解析
    ・免疫反応解析
    ・ネオアンチゲン樹状細胞療法
    ・TCR遺伝子導入T細胞療法
     
 (ⅱ)製薬企業、医療機関、研究機関等に対してのTCR/BCRレパトア解析サービスの提供
   がん免疫療法における最先端の取組みとして、シカゴ大学医学部中村祐輔研究室において開発された、次
  世代シーケンサーを用いてTCR/BCRレパトアを解析する方法を導入し、製薬企業、医療機関、研究機関等に対
  してTCR/BCRレパトア解析サービスを提供する事業を行っております。また、ワクチン投与前後の腫瘍組織及
  び末梢血におけるTCRレパトア解析を行うことにより、ワクチン投与によるペプチド特異的T細胞の増加を科学
  的に検証し、免疫チェックポイント阻害剤との併用による相乗効果に関する検討を進めております。
     
  (ⅲ)DCワクチンコンソーシアムとの樹状細胞療法による治療法の共同研究
    当社は、大阪、福岡、東京を拠点とする3医療法人(医療法人協林会         大阪がん免疫化学療法クリニッ
  ク、医療法人慈生会 福岡がん総合クリニック及び医療法人社団ビオセラ会 ビオセラクリニック)からなる
  樹状細胞免疫療法懇話会(DCワクチンコンソーシアム)と、当社がライセンスを保有するペプチドワクチンに
  ついて、その非独占的実施権をDCワクチンコンソーシアムに供与し、樹状細胞療法によるがん治療法の研究・
  開発を共同で進めております。この共同研究により、当社及びCPM社が支援する、がん臨床領域でのプレシジ
  ョン医療の実施において、オンコアンチゲンやネオアンチゲンを利用した免疫療法に大きな役割を果たすと考
  えております。
      
  (ⅳ)IMSグループとの共同研究
   CPM社は、IMSグループ傘下の医療法人社団明芳会、医療法人財団明理会及び株式会社アイルと、リキッド
  バイオプシーによる胃がん及び大腸がんの手術後のがん細胞の残存、再発の早期発見法の検討にかかる共同研
  究契約を締結しております。本共同研究は胃がん及び大腸がんの患者さんに対し、リキッドバイオプシーの手
  法を用いた遺伝子解析により、手術前後の特定遺伝子における突然変異の検出によるがん細胞の残存、がん再
  発の早期発見可能性の探究を目的とするもので、本共同研究には、中村祐輔教授及びIMSグループ傘下の医療
  法人社団明芳会 板橋中央総合病院、医療法人社団明芳会 横浜旭中央総合病院、医療法人社団明理会 新松
  戸中央総合病院及び株式会社アイルが参加して実施しております。
   本共同研究による成果を確認した後、IMSグループ各医療機関において、がん診断のためにリキッドバイオ
  プシーを臨床応用する予定であり、さらに、CPM社とIMSグループ各医療機関とは、がん患者さん一人ひとりの
  遺伝子解析のためのクリニカルシーケンスなどがんプレシジョン医療について幅広く提携して参ります。
      




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        (ⅴ)公益財団法人がん研究会との共同研究の実施
          CPM社は、公益財団法人がん研究会(以下「がん研」という)と、リキッドバイオプシーによるがん遺伝子
         変異の検出に係る共同研究を実施しております。この共同研究は、固形がん(肺がん、大腸がん、乳がん等)
         の診断を目的として、がん遺伝子変異を検出するためのリキッドバイオプシー技術の改良、新規技術(新規遺
         伝子パネルを含む)の研究開発を共同で実施し、それらの臨床応用可能性を探求するもので、固形がん患者か
         ら採取した血液等を利用した、がん研独自技術を含むリキッドバイオプシーの評価、がんのスクリーニング、
         分子標的治療薬の選択、再発のモニタリング等におけるリキッドバイオプシー技術の課題抽出とそれらの解決
         法の検討を共同で行っております。
          また、ネオアンチゲン予測アルゴリズム(全自動化パイプラインを含む)に関わる共同研究も実施してお
         ります。この共同研究は個別化がん免疫療法のために正確なネオアンチゲン予測アルゴリズムの開発と関連技
         術の改良を目的とするもので、シーケンスデータからネオアンチゲン予測用コンピュータアルゴリズムの開発
         及び評価、全自動化したネオアンチゲン予測パイプラインの開発、ならびに予測されたネオアンチゲンについ
         て樹状細胞療法の治療効果に関わる科学的検証を共同で行っております。
           
        (ⅵ)セコム医療システム株式会社及び医療法人社団あんしん会四谷メディカルキューブとのがんプレシジョン
           医療を提携して推進するためのリキッドバイオプシーによるがんの早期発見法の検討にかかる共同研究契
           約の締結
          CPM社は、セコム医療システム株式会社及び医療法人社団あんしん会四谷メディカルキューブとがんプレシ
         ジョン医療を提携して推進するためのリキッドバイオプシーによるがんの早期発見法の検討にかかる共同研究
         契約を締結しました。この共同研究は、がん検診を受診する健常人における、リキッドバイオプシーの手法を
         用いた遺伝子解析により、特定遺伝子における突然変異の検出によるがんの早期発見可能性及び臨床現場での
         応用可能性を検討することを目的としたものです。本共同研究終了後は、四谷メディカルキューブにおいての
         がん検診へのリキッドバイオプシーの採用をはじめ、がんプレシジョン医療において、セコム医療システムと
         幅広い提携を進めて参ります。
              
        (ⅶ)コスモ・バイオ株式会社とのペプチド合成委受託契約の締結
          CPM社は、コスモ・バイオ株式会社と、がん免疫療法のためのペプチド合成に関する委受託契約を締結しま
         した。
          CPM社のネオアンチゲン解析により得られた結果に基づき、ペプチド合成をコスモ・バイオ株式会社に委託
         してがん免疫療法におけるペプチド合成期間の短縮を図るとともに、CPM社が行うがん検体を用いたネオアン
         チゲン解析サービスに、コスモ・バイオ株式会社が合成したペプチドをCPM社から医療機関ならびに研究機関
         に提供するサービスを付加したものを、パッケージ化して提供します。
     
     これらの結果、当第1四半期連結累計期間における連結事業収益につきましては、受託検査サービスによる収入
    や契約一時金等の受領により、41百万円(前期比14百万円減少)となりました。
     また、医薬品候補物質の基礎研究、創薬研究の継続的な実施による研究開発費用の計上に加え、低分子医薬、が
    んペプチドワクチン、抗体医薬の3つの領域についての臨床開発進展による費用計上、がんプレシジョン医療関連
    事業に関する研究開発費用の計上を主な要因として、連結営業損失は399百万円(前期は617百万円の損失)、連結
    経常損失は398百万円(前期は616百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は318百万円(前期は645百
    万円の損失)となりました。
     セグメント別経営成績は、次のとおりであります。
        a. 「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業
           契約一時金等の受領により、事業収益は6百万円(前期比0百万円減少)となりました。また、医薬品候補物
         質の基礎研究、創薬研究の継続的な実施による研究開発費用の計上に加え、低分子医薬、がんペプチドワクチ
         ン、抗体医薬の3つの領域についての臨床開発進展による研究開発費用の計上を主な要因として、営業損失は
          264百万円(前期は411百万円の損失)となりました。
        b. がんプレシジョン医療関連事業
          受託検査サービスによる収入等の受領により、事業収益は47百万円(前期比1百万円減少)となりました。
         また、遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、
         リキッドバイオプシー、TCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスに関する研究開発費及び売上
         原価の計上を主な要因として、営業損失は73百万円(前期は108百万円の損失)となりました。
 




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    (2)財政状態に関する説明
    資産、負債、純資産の状況
      当第1四半期連結会計期間末の総資産は、4,578百万円(前連結会計年度末比509百万円減少)となりました。内
     訳としては、流動資産は4,379百万円(同 498百万円減少)となりました。これは現金及び預金が553百万円減少
     したことが主な要因となっております。有形固定資産は103百万円(同 10百万円減少)となりました。無形固定
     資産は5百万円(同 0百万円減少)となりました。
      負債の合計は259百万円(前連結会計年度末比100百万円減少)となりました。内訳としては、流動負債は162百
     万円(同 79百万円減少)となりました。これは、未払法人税等が76百万円減少したことが主な要因となっており
     ます。固定負債は96百万円(同 20百万円減少)となりました。
      純資産は、4,319百万円(前連結会計年度末比408百万円減少)となりました。これは、利益剰余金が318百万円
     減少したことが主な要因となっております。
 
    (3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
      当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を進展させるとともに、後期臨床
     開発を目指したがん幹細胞維持に重要な分子であるMELKを標的としたOTS167の米国での臨床試験実施、がん治療用
     抗体医薬OTSA101の日本国内での臨床試験を開始する等、当社グループ独自で実施している臨床開発の推進に加
     え、提携先製薬企業との戦略的対話をより促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強力に推し
     進めて参りました。さらにはがんプレシジョン医療関連事業として、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エ
     クソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するための
     リキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サ
     ービスの共同研究及び事業化を進めて参りました。また、ネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR遺伝子導入T細胞療
     法等の新しい個別化がん免疫療法の研究も行っております。
      なお、当期の連結業績予想については、本書提出日現在において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を起
     因とした当社グループ事業に対する具体的な影響は軽微でありますが、当該事象の終息時期を見通すことができ
     ず、今後どの様な影響を受けるかを合理的に予測することが困難な状況にあります。
      さらに、売上高及び営業利益の予想値の公表が、当社グループ研究開発事業の導出活動ならびに受託検査業務に
     おける最大価値創出の阻害要因として作用する可能性が想定されます。また、当社グループの研究開発費用の中に
     は、提携契約の内容によって当社グループ負担または相手方負担のいずれとなるのかが決定される費用も含まれて
     おります。
      これらの点を考慮して、現時点で当社グループは今回の業績予想について記載をしておりませんが、判明次第お
     知らせいたします。




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2.四半期連結財務諸表及び主な注記
    (1)四半期連結貸借対照表
                                                               (単位:千円)

                                     前連結会計年度             当第1四半期連結会計期間
                                    (2020年3月31日)           (2020年6月30日)
    資産の部                                                                   
     流動資産                                                                  
       現金及び預金                                4,713,947            4,160,180
       売掛金                                      29,248               15,785
       仕掛品                                       6,727                6,749
       原材料及び貯蔵品                                 18,201               19,298
       前渡金                                       2,747                1,134
       その他                                     107,132              176,448
       流動資産合計                                4,878,005            4,379,597
     固定資産                                                                  
       有形固定資産                                                              
         建物                                    552,399              549,042
          減価償却累計額及び減損損失累計額                   △456,974             △461,264
          建物(純額)                                95,424               87,778
         機械及び装置                                104,526              104,526
          減価償却累計額及び減損損失累計額                   △104,526             △104,526
          機械及び装置(純額)                                 0                    0
         工具、器具及び備品                             919,059              882,731
          減価償却累計額及び減損損失累計額                   △901,007             △867,354
          工具、器具及び備品(純額)                         18,052               15,377
         有形固定資産合計                              113,476              103,156
       無形固定資産                                                              
         特許権                                     3,274                3,189
         ソフトウエア                                  2,774                2,493
         その他                                        72                   72
         無形固定資産合計                                6,122                5,755
       投資その他の資産                                                            
         長期前払費用                                    199                  133
         差入保証金                                  90,272               90,272
         投資その他の資産合計                             90,472               90,405
       固定資産合計                                  210,071              199,317
     資産合計                                    5,088,076            4,578,915
 




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                    オンコセラピー・サイエンス株式会社(4564) 2021年3月期 第1四半期決算短信

 
                                                            (単位:千円)

                                  前連結会計年度             当第1四半期連結会計期間
                                 (2020年3月31日)           (2020年6月30日)
    負債の部                                                                
     流動負債                                                               
       未払金                                  141,109              120,660
       未払法人税等                                77,289                  724
       その他                                   24,486               41,527
       流動負債合計                               242,885              162,912
     固定負債                                                               
       繰延税金負債                                 3,273                3,163
       資産除去債務                               113,436               93,354
       固定負債合計                               116,710               96,517
     負債合計                                   359,595              259,430
    純資産の部                                                               
     株主資本                                                               
       資本金                                1,420,486            1,420,486
       資本剰余金                             22,684,016           22,684,016
       利益剰余金                            △19,553,001          △19,871,975
       株主資本合計                             4,551,502            4,232,527
     新株予約権                                  176,979               86,956
     純資産合計                                4,728,481            4,319,484
    負債純資産合計                               5,088,076            4,578,915
 




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                     オンコセラピー・サイエンス株式会社(4564) 2021年3月期 第1四半期決算短信

    (2)四半期連結損益計算書及び四半期連結包括利益計算書
     四半期連結損益計算書
      第1四半期連結累計期間
                                                              (単位:千円)

                                前第1四半期連結累計期間           当第1四半期連結累計期間
                                 (自 2019年4月1日           (自 2020年4月1日
                                  至 2019年6月30日)          至 2020年6月30日)
    事業収益                                    55,826                 41,012
    事業費用                                                                 
     売上原価                                  104,078                 74,138
     研究開発費                                 463,777                291,149
     販売費及び一般管理費                            105,801                 74,815
     事業費用合計                                673,657                440,104
    営業損失(△)                               △617,830               △399,092
    営業外収益                                                                
     受取利息                                       89                    134
     為替差益                                    3,358                    315
     その他                                        -                       0
     営業外収益合計                                 3,448                    450
    営業外費用                                                                
     株式交付費                                   1,766                     -
     営業外費用合計                                 1,766                     -
    経常損失(△)                               △616,148               △398,642
    特別利益                                                                 
     固定資産売却益                                50,265                     -
     新株予約権戻入益                               82,911                 90,022
     特別利益合計                                133,176                 90,022
    特別損失                                                                 
     減損損失                                  162,168                  9,740
     特別損失合計                                162,168                  9,740
    税金等調整前四半期純損失(△)                       △645,140               △318,359
    法人税、住民税及び事業税                               724                    724
    法人税等調整額                                  △294                   △109
    法人税等合計                                     429                    614
    四半期純損失(△)                             △645,570               △318,974
    親会社株主に帰属する四半期純損失(△)                   △645,570               △318,974
 




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     四半期連結包括利益計算書
      第1四半期連結累計期間
                                                                (単位:千円)

                                  前第1四半期連結累計期間           当第1四半期連結累計期間
                                   (自 2019年4月1日           (自 2020年4月1日
                                    至 2019年6月30日)          至 2020年6月30日)
    四半期純損失(△)                               △645,570               △318,974
    その他の包括利益                                                               
     為替換算調整勘定                                  △498                      -
     その他の包括利益合計                                △498                      -
    四半期包括利益                                 △646,069               △318,974
    (内訳)                                                                   
     親会社株主に係る四半期包括利益                        △646,069               △318,974
 




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    (3)四半期連結財務諸表に関する注記事項
    (継続企業の前提に関する注記)
      該当事項はありません。
 
    (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
      該当事項はありません。
 
    (セグメント情報等)
      【セグメント情報】
          前第1四半期連結累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年6月30日)
          1.報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報
                                                                         (単位:千円)

                                    報告セグメント                              四半期連結
                                                              調整額        損益計算書
                      「医薬品の研究及び                               (注)1        計上額
                                    がんプレシジョ
                      開発」並びにこれら                    合計                    (注)2
                                    ン医療関連事業
                       に関連する事業

    売上高                                                                           

     外部顧客への売上高              6,546         49,280     55,826          -      55,826
     セグメント間の内部売上高
                               -               -         -           -          -
     又は振替高
            計               6,546         49,280     55,826          -      55,826

    セグメント損失(△)           △411,216      △108,318    △519,534    △98,296    △617,830
     (注)1.セグメント損失(△)の調整額△98,296千円は、セグメント間取引消去4,807千円、各報告セグメント
            に配分していない全社費用△103,103千円であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一
            般管理費であります。
           2.セグメント損失(△)は、四半期連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。
 
          2.報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報
           (固定資産に係る重要な減損損失)
            当第1四半期連結累計期間において、がんプレシジョン医療関連事業に係る減損損失162,168千円を計上
           しております。
 




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                        オンコセラピー・サイエンス株式会社(4564) 2021年3月期 第1四半期決算短信

          当第1四半期連結累計期間(自   2020年4月1日      至   2020年6月30日)
          1.報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報
                                                                         (単位:千円)

                                   報告セグメント                               四半期連結
                                                              調整額        損益計算書
                    「医薬品の研究及び                                 (注)1        計上額
                                   がんプレシジョ
                    開発」並びにこれら                      合計                    (注)2
                                   ン医療関連事業
                     に関連する事業

    売上高                                                                           

     外部顧客への売上高             6,112         34,899      41,012          -      41,012
     セグメント間の内部売上高
                             -           12,564      12,564    △12,564          -
     又は振替高
             計             6,112         47,463      53,576    △12,564      41,012

    セグメント損失(△)         △264,910        △73,671     △338,581    △60,511    △399,092
     (注)1.セグメント損失(△)の調整額△60,511千円は、セグメント間取引消去5,035千円、各報告セグメント
         に配分していない全社費用△65,546千円であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般
            管理費であります。
           2.セグメント損失(△)は、四半期連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。
 
          2.報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報
           (固定資産に係る重要な減損損失)
            当第1四半期連結累計期間において、がんプレシジョン医療関連事業に係る減損損失9,740千円を計上し
           ております。
 




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3.その他
継続企業の前提に関する重要事象等
  当社グループは、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や拡大、積極的な
 創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となっております。一方
 で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研
 究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しております。
  このようなことから、当第1四半期連結会計期間末において、今後の資金計画を含め、より保守的に検討したとこ
 ろ、当社グループは、当第1四半期連結会計期間末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況
 が存在しているものの、当第1四半期連結会計期間末現在で、現金及び預金を4,160百万円有しており、概ね1.5年分
 の研究開発費は確保していることから、当面は事業活動の継続性に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確
 実性は認められないものと判断しております。
  当社グループの重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対策案
 は、次のとおりであります。
 ① 基礎研究の継続的な実施
   当社グループは2001年から2013年にかけて元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 公益財団法
  人がん研究会 がんプレシジョン医療研究センター所長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授
  との共同研究により、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、多くのがん治療薬開発に
  適した標的分子を同定いたしました。現在、それらの標的に対する創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の
  成果を基にした複数の臨床試験を実施中または準備中の医薬品候補物質を多数有しております。
   基礎研究の継続的な実施は当社グループ事業の将来にかかる重要課題の一つとして認識しており、今後も当社独
  自及び共同研究等による研究体制の充実と円滑な推進のための対応を図っていく方針であります。
 ② 創薬研究の確実な推進
   当社グループは基礎研究の成果をもとに、臨床応用を目指して低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等
  の創薬研究を実施し、ファースト・イン・クラスの創薬を目指します。
 ③   臨床開発の確実かつ迅速な推進
     当社グループは、「有効性が高く、より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さん
  に届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命とし、国内外において、当社グループ独自で複数の臨床試験
  を行っており、各提携先製薬企業とも共同で臨床試験を行っております。当社グループは、非臨床試験データに基
  づいた適応症の選択を行い、臨床開発を確実かつ迅速に推進させていく方針です。
 ④ 新規提携先の開拓および既存提携先との提携事業の確実な推進
   当社グループは、一日も早くがん治療薬を上市することを企業使命とし、今後とも新規提携先を積極的に開拓す
  るとともに、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強化す
  ることにより提携事業を確実かつ迅速に進め、一日も早く当社グループの医薬品候補化合物の上市を目指します。
 ⑤ がんプレシジョン医療関連事業への取組み
   がんプレシジョン医療関連事業につきましては、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケン
  ス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプ
  シーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究
  や事業化に加えて、ネオアンチゲン樹状細胞療法やTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究
  開発を進めて参ります。
 ⑥ 経営環境及び経営者の問題意識と今後の方針について
   当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発
  見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グルー
  プは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。
   この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携
  により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあります。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を起因
  とした当社グループ事業に対する具体的な影響は軽微でありますが、当該事象の終息時期を見通すことができず、
  今後どの様な影響を受けるかを合理的に予測することが困難な状況にあり、当社グループを取り巻く事業環境は、
  急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。このような経営環境のもと、当社グループの
  事業展開における重要な要素としては、「事業推進のスピード」「事業領域の拡大」「リスクとリターンのバラン
  ス」といった3点が挙げられます。
   事業推進のスピードにつきましては、医薬品業界、特にバイオテクノロジー業界においては、世界的な新薬開発
  競争とその新薬開発のための様々な研究開発や技術開発が世界的規模で行われており、当社グループの研究活動も
  このスピード競争を勝ち抜き、質の高い研究成果を一日も早く臨床開発へ進展させることが当社の優位性を確保す
  る上で非常に重要であると認識しております。また、今後市場が拡大すると予想するがんプレシジョン医療につき


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                   オンコセラピー・サイエンス株式会社(4564) 2021年3月期 第1四半期決算短信

    ましても、質の高いがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発をより早く進展させることが非
    常に重要であると認識しております。
     事業領域の拡大につきましては、現在当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等で創薬
    研究を展開しており、さらにがんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、今後とも、より積極的に事業を
    拡大していく方針であります。このような事業領域の拡大により、当社グループの研究成果を、より多くの医薬品
    開発用途へ応用することにより、事業価値を高めたいと考えています。
     最後にリスクとリターンのバランスですが、当社グループの最大の強みは、数多くのゲノム創薬にもとづく創薬
    ターゲットを所有していることであります。ただ、それら多数の創薬ターゲットの全てについて、多岐の用途にわ
    たる創薬研究と臨床開発を、当社グループのみの資源と費用で、かつ世界的な競争に打ち勝つスピードで遂行する
    ことは、膨大な設備投資と研究開発費を必要とし、資金的なリスクを生じせしめます。当社グループとしては、製
    薬企業等との積極的な提携契約の締結や研究開発の提携等により、製品化の可能性を極大化しつつ、リスクは経営
    上合理的なレベルにとどめる方針を現時点では採用しています。本方針により、事業展開からの成果や利益といっ
    たリターンをパートナーと共有することにはなりますが、可能性のある製品を商業化できないリスクやスピード競
    争に負けるリスクを低減することができます。今後ともリスクとリターンのバランスに十分配慮し、最善と考えら
    れる経営判断を行っていきたいと考えております。
 
 




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