4563 M-アンジェス 2021-04-12 08:30:00
慢性椎間板性腰痛症治療用NF-kBデコイオリゴDNA(AMG0103):後期第1相臨床試験12ヶ月経過観察結果 [pdf]

 
 

                                                2021 年 4 月 12 日
各 位
                                  会 社 名   アンジェス株式会社
                                  代表者名    代表取締役社長 山田 英
                                      (コード番号 4563 東証マザーズ)

        慢性椎間板性腰痛症治療用 NF-kB デコイオリゴ DNA(AMG0103)の開発進捗

      ~後期第 1 相臨床試験の 12 ヶ月経過観察でも、安全性と有効性の良好な結果を確認~

当社は、慢性椎間板性腰痛症(DLBP)の治療用の核酸医薬品である NF-kB デコイオリゴ DNA(開発コード
AMG0103)の後期第 1 相臨床試験(1 回、椎間板内投与)について、すでにお知らせした 6 ヵ月経過観察結
果に続き、この期間を含む 12 ヵ月の経過観察結果についてトップラインデータを発表しました。本試験は多
施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験で、6 ヵ月の二重盲検(パート 1)に引き続き、さらに 6 ヵ月の
継続評価(パート 2)をしたものです。対象患者は、32〜70 歳(平均年齢:53.5 歳)の慢性椎間板性腰痛症患
者の男女 25 症例です。AMG0103 は、12 ヵ月間の観察期間を通して重篤な有害事象(SAE)は認められず、
高い安全性を示しました。有効性についても探索的にデータを評価したところ、投与早期に腰痛は大幅に軽
減し、腰痛の抑制は投与 12 ヵ月後まで継続しました。また、患者自身からも高い満足度が得られました。

慢性椎間板性腰痛症は、患者の日常生活に大きな支障を来しており、主に生産性の低下と賃金の損失によ
り、社会に大きな経済的損失を引き起こします。 腰痛症は、うつ病、糖尿病、血管疾患、呼吸器疾患などを
上回る生活障害の要因とされています。人口統計学的、慢性椎間板性腰痛症の医療ニーズの観点から、
AMG0103 は大きな市場を形成する可能性を秘めています。

この試験の治験責任医師である、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部長で整形外科教授の Steven
Garfin 先生は次のように述べています。「AMG0103 は、素晴らしい安全性プロファイルを有し、12 ヵ月にわた
り腰痛を有意に軽減しており、慢性椎間板性腰痛症に苦しむ患者に対して画期的治療薬となる将来性があ
ると考えています。さらに、腰痛の軽減に加えて、椎間板の高さを回復させる可能性が示唆されたことは注目
に値します。AMG0103 は、慢性椎間板性腰痛症の治療に使用される世界初の低侵襲デコイオリゴヌクレオ
チドになる可能性があります。」

当社の最高経営責任者の山田英は、「AMG0103 10mg 椎間板内単回投与は安全で、腰痛の改善、患者の
高い満足度が得られ、その効果は長期に持続することが確認されました。さらに、椎間板の高さを回復させる
可能性が示唆されたことは、椎間板の変性を抑制する可能性を秘めています。また、経口鎮痛剤の使用削
減にもつながることが示唆されます。この臨床試験を進めるにあたり、患者様、研究者、治験担当者、そのス
タッフの皆様の熱意に心から感謝いたします。我々は、今回の結果を確認するために臨床試験をさらに進め、
FDA(アメリカ食品医薬品局)および世界の他の規制当局からの販売承認取得を検討する予定です。」と述べ
ています。

安全性に関する試験結果

本試験の主要評価項目は、AMG0103 の投与後 12 ヶ月までの忍容性と安全性の評価です。AMG0103
(0.3mg、3.0mg、10.0 mg)を椎間板内に直接投与し 12 ヵ月後まで安全性を評価した結果、臨床的に問題と
なる可能性のあった腎機能障害、肝機能障害、血液機能障害はいずれも認められませんでした。 さらに、神
経や知覚への悪影響や運動機能の低下も認められませんでした。治験薬との因果関係が否定できない有
害事象としては、低用量 0.3mg 投与直後に軽度の嘔気が 1 件認められましたが、特に処置なく消失しました。
 
 

有効性に関する試験結果

腰痛、下肢痛のほか、腰痛に伴う日常生活動作障害に対する有効性の評価として Patient Global Impression
of Change(PGI-C)、Roland-Morris Disability Questionnaire(RMDQ)、Oswestry Disability Index を用いて評
価しました。100 mm VAS スケールで測定された腰痛の評価では、投与後 6 ヵ月で用量依存的な腰痛改善
効果認められました。経時的には、10mg 単回投与群は、投与後わずか 14 日で腰痛が投与前に対してから
ほぼ 50%減少し、6 ヵ月での中央値で 84%軽減し、プラセボ対照群 14%に比べ腰痛を有意に改善しました
(p = 0.033)。さらに、10mg 単回投与群は 12 ヵ月まで腰痛をさらに改善し、中央値で 97.5%まで軽減し、対
照群と比べて有意に勝っていました(p = 0.045)。

投与 6 ヵ月後の椎間板の高さを測定した結果、プラセボ対照群では椎間板が縮小したのに対して、
AMG0103 投与群では伸長が認められ、椎間板変性を抑制する可能性が示唆されました。本成績は、
AMG0103 の動物試験で得られたた結果を再現しており、12 ヵ月評価を含め継続評価してまいります。

患者自身の満足度を評価した PGI-C(1~7 の順位で評価)は、投与 6 ヵ月後で用量依存的な改善が認めら
れ、AMG0103 10mg 投与群は 12 ヵ月の観察期間を通してプラセボ対照群よりも優れていました。また、10mg
投与群では、プラセボ対照群と比較して 6 ヵ月後に平均 2.83 点(p=0.001)および 12 ヵ月後 1.67 点(p=0.042)
改善しました。また、腰痛に伴う日常生活動作障害を RDMQ では、3 つの治療群すべてにおいて、投与 6 ヵ
月後の RDMQ スコアは AMG0103 投与群では平均 20〜50%改善したのに対し、プラセボ対照群では平均
15%悪化しました。また、投与 12 ヵ月後でも、10mg 投与群では平均 38%改善したのに対して、対照群では
平均 45%悪化しました。

本臨床試験に参加した患者は、オピオイドによる自己治療は一切認められていませんが、突発的な痛みに
対して非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンの経口投与が可能です。 被験者は観察期の
来院前に、これらの「レスキュー・メディケーション」を中止することが求められ、各訪問時に薬物使用日記から
「レスキュー・メディケーション」の使用の頻度を検討しました。 プラセボ対照群の患者は、投与後 12 ヵ月間の
観察期間中、平均 16 日レスキュー薬を使用し、最大で 98 日使用した被験者もいました。 一方、AMG0103
10mg 投与群では、試験期間中に 1 回もレスキュー薬を服用した被験者はいませんでした。 NSAIDs やその
他の医薬品による追加介入が回避されたことは、この後期第 1 相臨床試験で示された臨床的有用性をさらに
強調するものです。

AMG0103 について

AMG0103 は、NF-κB 転写因子に結合して炎症性サイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質)の放出を
抑制する合成 NF-κB オリゴヌクレオチドデコイであり、過剰な炎症反応や免疫反応に起因する様々な疾患の
治療に有効な薬剤として期待されています。現在、米国 FDA が慢性椎間板性腰痛症に対する薬物療法とし
て承認しているのは、消炎鎮痛剤による対症療法のみです。AMG0103 は、推定される原因物質を阻害する
ことで効果を発揮する点で、既存の鎮痛剤とは異なります。基礎科学的研究の結果、AMG0103 の局所注射
は、既存の治療薬では改善できない椎間板変性症などの病気の進行を抑える効果があることが示唆されて
います。当社は、この画期的な慢性椎間板性腰痛症治療薬を開発する努力を続けてまいります。

なお、今年度の通期連結業績に与える影響は現在精査中です。

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