4563 M-アンジェス 2021-02-17 08:30:00
慢性椎間板性腰痛症を対象とした核酸医薬品NF-kBデコイオリゴDNA開発の進捗について [pdf]

 
 


                                                2021 年 2 月 17 日
各 位
                                会 社 名   アンジェス株式会社
                                代表者名    代表取締役社長 山田 英
                                    (コード番号 4563 東証マザーズ)

    慢性椎間板性腰痛症を対象とした核酸医薬品 NF-kB デコイオリゴ DNA 開発の進捗について

         ~後期第1相臨床試験で良好な結果を確認し、第 2 相臨床試験へ移行~

当社は、椎間板性腰痛症の治療薬である核酸医薬品 NF-kB デコイオリゴ DNA(開発コード AMG0103)の
後期第 1 相試験の結果(速報)を発表しました。椎間板性腰痛症の患者、男女 25 名[32~70 歳(平均年齢
53.5 歳)]を対象に AMG0103 を椎間板内に 1 回投与した、二重盲検無作為化比較試験(観察期間 6 カ月
間)で、患者の忍容性は高いうえ、重篤な有害事象も認められず、AMG0103 の安全性を確認できました。さ
らに、探索的にデータを評価したところ、患者に腰痛の著しい軽減とその効果の持続が認められ、有効性も
確認できました。今後、12 ヵ月後までの結果も踏まえて、第 2 相臨床試験へ移行することになります。

この試験の治験責任医師である、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部長で整形外科教授の Steven
Garfin 先生は、次のように述べています。「この後期第 1 相試験で示された安全性と有効性のデータから、
椎間板起因の腰痛に苦しむ患者さんに対して AMG0103 は画期的な治療を提供する可能性を秘めていると
考えます。私たちのチームは、この臨床試験での大幅な痛みの軽減効果とその持続期間を素晴らしい結果
と受け止めており、その後の試験でのさらなる評価を期待しています。成功すれば、AMG0103 は、この慢性
椎間板性腰痛症に使用される、最初の核酸医薬品になる可能性があります。」

アンジェスの代表取締役社長である山田英は、次のように述べています。「この試験結果は、AMG0103 を椎
間板内に 1 回投与することで、腰痛を安全かつ持続的に改善できることを示していますし、そのことは患者さ
んの QOL (生活の質) の向上に寄与するものと考えます。 私たちは、この臨床研究にお力添えくださった、
すべての患者さん、研究者および研究スタッフの皆様に心からの感謝を申し上げます。 今後、私たちは、米
国 FDA および世界中の規制当局から販売承認を取得するために、今回の結果を検証する臨床試験を継続
していく予定です。」

世界中できわめて多くの方が椎間板性腰痛症を患っており、これらの患者さんは、日常生活に支障をきたす
とともに、生産性の低下に伴う、大きな経済的負担を強いられています。腰痛は、うつ病、糖尿病、血管疾
患、呼吸器疾患などの主要疾患を超えて、日常生活に支障をきたす原因の第一位となっています。患者数
および社会的影響から、慢性椎間板性腰痛症治療薬である AMG0103 は、大きな市場を形成する可能性が
あります。

安全性に関する試験結果

成人の椎間板性腰痛症を対象とした後期第 1 相臨床試験の主要評価項目は、投与後 12 ヵ月間の
AMG0103 の忍容性と安全性の評価です。本試験では、椎間板性腰痛症の外来患者に AMG0103(0.3mg、
3.0mg、あるいは 10.0 mg)またはプラセボを無作為に椎間板に直接投与し、安全性を検討します。6 ヵ月まで
のデータ(パート 1)では、腎機能、肝機能、または血液機能に臨床的に問題となる異常は認められませんで
した。治験薬投与後比較的早期に、一過性の有害事象が一部の患者に認められましたが、重篤あるいは試
験からの脱落を強いられる有害事象は認められませんでした。
 
 


今回は、この試験における 6 ヵ月データ(パート 1)の分析をご報告いたしました。この後、12 ヵ月の有効性に
関する追加の試験結果を追ってご報告いたします。

有効性に関する試験結果

本試験の有効性の評価には、腰痛、下肢痛の測定、腰痛に基づく日常生活障害、心理的な負担、QOL に
ついて Patient Global Impression of Change (PGI-C)、Roland-Morris Disability Questionnaire (RMDQ)、
Oswestry Disability Index を用いて評価しました。

 AMG0103 は、投与開始後 6 ヵ月までの腰痛の強さ(100mm の VAS で計測)を軽減し、用量依存的な改善
を示しました(パート 1)。AMG0103 のすべての用量でプラセボに比べて腰痛を改善し、高用量の AMG0103
10mg 投与では、投与 14 日後に腰痛の強さを約 50%軽減し、6 ヵ月後には 71%まで軽減しました。プラセボ
では 6 ヵ月の腰痛の強さを 15%軽減するに留まり、AMG0103 10mg はプラセボに比べ腰痛を有意に緩和し
ました(p=0.033)。12 ヵ月間のデータが入手可能になり次第、分析を完了し、その結果を報告する予定で
す。

腰痛に基づく日常生活障害、心理的な負担、QOL の改善について患者自身が評価した PGI-C スコア(1 か
ら 7 までの順序スケールで測定)は、投与 6 ヵ月後用量依存的な改善を示し、AMG0103 のすべての用量で
プラセボよりも数値的に優れていました。AMG0103 10mg では、プラセボに比べても 3 ポイント近く改善し、
統計学的にも有意でした(p=0.001)。PGI-C は、患者がベースラインからの改善をどのように評価しているか
を数値化したもので 7 点満点の尺度で 3 ポイントの差があることは、臨床としての意義があります。この結果
に加えて、患者の日常生活障害を評価指標である RDMQ スコアでは、プラセボが 15%以上の悪化するの
に対して、AMG0103 はいずれの用量でも 20~50%改善しました。

AMG0103 について

AMG0103 は、NF-κB 転写因子に結合して炎症性サイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質)の放出
を抑制する合成 NF-κB オリゴヌクレオチドデコイであり、過剰な炎症反応や免疫反応に起因する様々な疾患
の治療に有効な薬剤として期待されています。現在、米国 FDA が慢性椎間板性腰痛症に対する薬物療法
として承認しているのは、消炎鎮痛剤による対症療法のみです。AMG0103 は、推定される原因物質を阻害
することで効果を発揮する点で、既存の鎮痛剤とは異なります。基礎科学的研究の結果、AMG0103 の局所
注射は、既存の治療薬では改善できない椎間板変性症などの病気の進行を抑える効果があることが示唆さ
れています。

当社は、この画期的な慢性椎間板性腰痛症治療薬を開発する努力を続けてまいります。

なお、今年度の通期連結業績に与える影響は現在精査中です。



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