4552 JCRファーマ 2020-02-13 16:00:00
16th Annual WORLDSymposium 2020における発表内容のご報告 [pdf]

                                                                         2020 年 2 月 13 日
各         位




                                    会 社 名 J C R フ ァ ー マ 株 式 会 社
                                    代表者名 代表取締役会長兼社長 芦 田           信
                                                (東証第 1 部 コード番号 4552)
                                    問合せ先 執行役員経営企画本部長 本 多          裕
                                                  (TEL 0797-32-1995)

           16th Annual WORLDSymposiumTM 2020 における発表内容のご報告

 当社は、2020 年 2 月 10 日から 13 日に米国フロリダ州オーランドで開催された 16th
Annual WORLDSymposiumTM 2020*¹において、当社が開発中の血液脳関門通過型ハンタ
ー症候群治療酵素製剤(開発番号:JR-141)および、J-Brain Cargo®*²適用ポンペ病治療
酵素製剤(開発番号:JR-162)について口頭およびポスター発表を行いましたので、その
詳細を別添資料にてご報告いたします(発表前リリースはこちら)            。

1.     口頭発表(2 件:発表前リリース時より1件追加)
                                  演題名                                        発表日時
     Results from a phase 2 trial of a blood-brain barrier penetrating   2020年2月12日
     enzyme (JR-141) in patients with MPS II in Brazil                   15:45-16:00 EST
     Therapy for mucopolysaccharidosis II with an intravenous
     blood-brain barrier-crossing enzyme (JR-141): 26-week results       2020年2月12日
     from a phase 3 study in Japan suggesting significant efficacy       16:00-16:15 EST
     against central nervous system and systemic symptoms

2.     ポスター発表(3 件)
                                  演題名                                        発表日時
     Results from a phase 2 trial of a blood-brain barrier penetrating   2020年2月10日
     enzyme (JR-141) in patients with MPS II in Brazil                   16:30-18:30 EST
     Therapy for mucopolysaccharidosis II with an intravenous
     blood-brain barrier-crossing enzyme (JR-141): 26-week results       2020年2月11日
     from a phase 3 study in Japan suggesting significant efficacy       16:30-18:30 EST
     against central nervous system and systemic symptoms
     A novel approach to CNS dysfunction of Pompe disease with a
                                                                         2020年2月12日
     fusion protein consisting of anti-transferrin receptor antibody
                                                                         16:30-18:30 EST
     and GAA enzyme
当社が取り組むライソゾーム病治療薬について
 当社は、   J-Brain Cargo®という当社独自のブレイクスルー技術を用いて、希少疾病である
ライソゾーム病治療薬の開発を順次行っております。ハンター症候群治療薬として開発中
の JR-141 は、日本での臨床第 3 相試験およびブラジルでの臨床第 2 相試験を実施してお
り、2020 年中に日本での製造販売承認申請を目指しております。
 また、                       3
      下記疾患の治療薬については、 年以内の臨床試験開始に向けて準備しております。

      ハーラー / ハーラー・シャイエ / シャイエ症候群(開発番号:JR-171)

 ポンペ病(開発番号:JR-162)        サンフィリッポ症候群 A 型(開発番号:JR-441)

   サンフィリッポ症候群 B 型         スライ症候群

 これらの開発品目に続き、以下のライソゾーム病に対する新薬の創出を実現するため、よ
り早期に臨床試験のステージへと進めるべく、研究開発を加速しております。

  GM1 ガングリオシドーシス          フコシドーシス              クラッベ病

    α-マンノシドーシス              ゴーシェ病             ニーマンピック病

  バッテン病(遅発乳児型)          バッテン病(乳児型)          異染性白質ジストロフィー

  GM2 ガングリオシドーシス



*¹ WORLDSymposiumTM
このシンポジウムは、ライソゾーム病の基礎研究から臨床応用をテーマとして毎年米国で
行われる国際学会です。
          (http://www.worldsymposia.org/)

*² J-Brain Cargo®
抗トランスフェリンレセプター抗体を利用した画期的薬剤輸送システム。ハンター症候群
治療薬として開発中の JR-141 においては、血液脳関門(BBB)の通過を可能とする J-Brain
Cargo®により全身症状だけでなく中枢神経症状の改善が期待される。また、主に筋組織の
障害が見られるポンペ病治療薬として開発中の JR-162 においては、  トランスフェリンレセ
プターを介した筋組織への薬剤輸送による直接的な治療効果のみならず、BBB 通過により
筋肉を支配する神経細胞への効果を介した治療効果も期待される。

                                                       以   上
              別添資料
(16th Annual WORLDSymposiumTM 2020 発表まとめ)




                  注意事項

  本資料中の開発見通し等の将来に関する記述は、当社が現在得ている情報をもと
  になされた当社の判断に基づくものであり、既知あるいは未知のリスクや不確実
  な要素を含んでいます。実際の結果は、様々な要因によりこれら将来に関する記
  述内容とは大きく異なる可能性があることをご承知ください。

  本資料は医薬品(開発中の物を含む)に関する情報が含まれておりますが、その
  内容は宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。ま
  た、当社の会社説明・事業説明に関する情報の提供を目的としたものであり、当
  社が発行する有価証券の投資を勧誘することを目的としたものではありません。

  本資料に掲載した臨床開発のデータは、中間解析時点での結果となります。それ
  らは今後の結果を保証するものではなく、また、開発中の製品の効能・効果を保
  証・宣伝・広告するものではありません。本資料に掲載した臨床開発のデータ
  は、査読のある学術誌に公表されていないものが含まれております。

  フェア・ディスクロージャー・ルールに則り、本資料に掲載した以外のデータ
  は、質疑応答においても公表いたしません。ご理解いただきますようお願いいた
  します。
    開発コード                                    演題名
     JR-141    Results from a phase 2 trial of a blood-brain barrier penetrating
    (ブラジル)     enzyme (JR-141) in patients with MPS II in Brazil

【発表資料】
口頭発表:https://www.jcrpharm.co.jp/ir/pdf/200213/141_br01.pdf
ポスター:https://www.jcrpharm.co.jp/ir/pdf/200213/141_br02.pdf

【概要】
JR-141 のブラジルにおける臨床第 2 相試験では、ムコ多糖症 II 型(ハンター症候群)患者
20 名に対して、抗トランスフェリンレセプター抗体(J-Brain Cargo®)とイズロン酸-2-ス
ルファターゼの融合タンパクである JR-141 を週 1 回、体重 kg あたり 1.0 mg、2.0 mg 又
は 4.0mg にて 26 週間静脈内投与し、用量反応性に加え中枢神経症状および全身症状に対
する有効性、安全性について評価を行った。今回はその結果について報告する。

【結果概要】
 26 週投与後、2.0 mg 投与群および 4.0 mg 投与群の全例において、脳脊髄液(CSF)
  中ヘパラン硫酸(HS)濃度の減少が確認された。また、2.0 mg 投与群および 4.0 mg
  投与群の新規治療患者において、血清中デルマタン硫酸(DS)濃度の減少が確認され
  た。

    26 週目までの発達評価について、JR-141 投与前と比較して重症型 12 名のうち 10 名
     (83.3%)において発達年齢(AE)の維持または改善を示し、軽症型の 4 名全例で発
     達指数(DQ)の維持または改善を示した。

    26 週時点の安全性について、JR-141 に関連した重篤な有害事象は認められなかった。
     また、一時的な投与中止・加療等を要した投与関連反応(IAR)は 4.0 mg 投与群のみ
     で報告された。

    以上の結果より、JR-141 は週 1 回、
                          体重 kg あたり 2.0mg が至適用量であると考える。




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    開発コード                                      演題名
                Therapy for mucopolysaccharidosis II with an intravenous blood-brain
    JR-141      barrier-crossing enzyme (JR-141): 26-week results from a phase 3
    (日本)        study in Japan suggesting significant efficacy against central nervous
                system and systemic symptoms

【発表資料】
口頭発表:https://www.jcrpharm.co.jp/ir/pdf/200213/141_jp01.pdf
ポスター:https://www.jcrpharm.co.jp/ir/pdf/200213/141_jp02.pdf

【概要】
JR-141 国内臨床第 3 相試験では、ムコ多糖症 II 型(ハンター症候群)   患者 28 名に対して、
抗トランスフェリンレセプター抗体(J-Brain Cargo®)とイズロン酸-2-スルファターゼの
融合タンパクである JR-141 を、週 1 回、体重 kg あたり 2.0mg にて 52 週間静脈内投与し
た際の有効性および安全性を評価する。今回は、当該試験における 26 週時点での中枢神経
系および全身症状に対する有効性並びに安全性の解析結果について報告する。

【結果概要】
 26 週投与が完了した全ての患者において、主要評価項目である脳脊髄液(CSF)中ヘ
  パラン硫酸(HS)濃度の減少が確認された(Mean 58.4±9.5 %) 。また、JR-141 国内
  臨床第 1/2 相試験に組み入れられた患者のうち、     本試験に組み入れられた 10 名全例で、
  第 1/2 相試験終了後から本試験開始までに、CSF 中 HS 濃度の上昇を認め、本試験に
  おける JR-141 の投与後に CSF 中 HS 濃度の再度の減少が確認された。本結果は、静
  脈内投与された JR-141 が血液脳関門を超えて中枢神経系に作用したことを改めて支
  持する結果である。

   ベースライン(投与 0 週)時点における CSF 中 HS 濃度を測定した結果、重症型と軽
    症型の間で約 4,000 mg/mL を閾値とした分布を認めた。本結果は、CSF 中 HS 濃度が
    本疾患の重症度を反映する指標となることを支持する結果である。

   26 週時点での発達評価について、JR-141 投与前と比較して重症型の 17 名全例におい
    て発達年齢(AE)の維持または改善を示し、軽症型の 8 名全例で発達指数(DQ)の維
    持または改善を示した。また、各患者における投与後の行動変化について、       「語彙が増
    えた」 「数字を数えられるようになった」  「落ち着くようになった」 「表情が豊かになっ
    た」 「集中力が改善された」
                 「再び笑うようになった」などの報告が複数例あげられた。

   全身症状を反映する指標と考えられる血清中 HS およびデルマタン硫酸(DS)濃度は、
    既存治療薬からの切り替え患者において維持が確認され、既存治療を受けていない新
    規治療患者において投与後 4 週時点で減少が確認された。今回得られた結果は、 JR-141
    が全身症状に対して既存の酵素補充療法と同様の効果を有することを支持する結果で
    ある。

   26 週時点の安全性について、JR-141 に関連した重篤な有害事象は認められず、既存の
    酵素補充療法と同様であった。




                                          2
    開発コード                                   演題名
               A novel approach to CNS dysfunction of Pompe disease with a fusion
    JR-162     protein consisting of anti-transferrin receptor antibody and GAA
               enzyme

【発表資料】
ポスター:https://www.jcrpharm.co.jp/ir/pdf/200213/162_01.pdf

【背景・概要】
ライソゾーム病の一種であるポンペ病は、酸性 α-グルコシダーゼ(GAA)が欠損または不
足することによって引き起こされる。   無治療の乳児型患者においては、   グリコーゲンの蓄積
によって心肥大と筋力低下を引き起こし、2 歳までに心不全により死亡する。無治療の遅発
型患者においては、   乳児型と比較し症状は軽度だが、  ほとんどの患者で筋力低下による呼吸
障害を引き起こす。   今回、筋肉および中枢神経系へ効率的に薬物を送達するために設計され
た、抗トランスフェリンレセプター抗体(J-Brain Cargo®)と遺伝子組み換えヒト GAA
(rhGAA)からなる融合タンパクである JR-162 をポンペ病モデルマウス(hTfR-KI/Gaa-
KO)に 40 週間、一定間隔で静脈内投与し、その効果を検証した。

【結果概要】
 脳内グリコーゲンは、JR-162 投与によって無治療のモデルマウスおよび rhGAA 投与
  のモデルマウスに対して統計学的有意に低下した。

   疾患に伴う中枢神経系組織の組織病理学的変化が JR-162 投与群で抑制された。

   JR-162 投与後、モデルマウスにおける蓄積グリコーゲンレベルは、遅筋(type I)優
    位の筋組織(ヒラメ筋)および心臓においては rhGAA と同等に、速筋(type II)優位
    の筋組織(大腿四頭筋、前脛骨筋)および横隔膜では rhGAA 以上に低下した。

   以上の結果より、JR-162 が筋原性のみならず神経原性ミオパチーによる筋力低下およ
    び呼吸機能障害に対する治療効果を発揮する可能性を有することが示唆された。

                                                                           以    上




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