4552 JCRファーマ 2021-03-23 15:00:00
遺伝子組換えムコ多糖症II型治療剤「イズカーゴ点滴静注用10mg」製造販売承認取得に関するお知らせ [pdf]

                                        2021 年 3 月 23 日
各   位




                  会 社 名 J C R フ ァ ー マ 株 式 会 社
                  代表者名 代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 芦 田     信
                             (東証第 1 部 コード番号 4552)
                  問合せ先 上席執行役員経営企画本部担当 本 多          裕
                                   (TEL 0797-32-1995)

    遺伝子組換えムコ多糖症 II 型治療剤「イズカーゴ®点滴静注用 10mg」
            製造販売承認取得に関するお知らせ

 当社は、本日、遺伝子組換えムコ多糖症 II 型治療剤「イズカーゴ®点滴静注用 10mg」
                                            (開
発番号:JR-141)について、厚生労働省より製造販売承認を取得しましたので、お知らせ
いたします。

 「イズカーゴ®点滴静注用 10mg」は、ライソゾーム病の一種であるムコ多糖症 II 型(ハ
ンター症候群)に対して、全身症状だけでなく血液脳関門を通過し脳実質細胞への直接の作
用を発揮する初めての医薬品です。  脳実質細胞への直接の作用により、  中枢神経系症状の改
善または進行の抑制が期待できます。
 本承認は、これまでに蓄積した JR-141 に関する非臨床試験結果および臨床試験結果から
総合的に示されたエビデンスに基づいています 1,2,3,4。

 「イズカーゴ®点滴静注用 10mg」は当社独自の血液脳関門通過技術 J-Brain Cargo®を適
用した世界で初めての医薬品です。また、ムコ多糖症 II 型において、点滴静注により血液
脳関門通過を可能にした治療酵素製剤としても、世界で初めての医薬品です。
 当社代表取締役会長兼社長の芦田 信は次のように述べています。  「世界に先駆けて、       日本
でイズカーゴ®が承認されたことを大変嬉しく思います。我々は、ライソゾーム病の多くで
みられる中枢神経系症状に対して有効な治療法が待ち望まれている現状を知り、10 年以上
にわたり研究開発に注力してきました。今回の承認は、   我々のグローバル展開における重要
なマイルストンであり、また血液脳関門通過という、  J-Brain Cargo®技術の価値を証明する
非常に重要なイベントです。日本のムコ多糖症 II 型患者の皆さんに新たな治療選択肢を提
供できることを喜ばしく思うと同時に、世界の患者の皆さんに一日でも早く貢献できるよ
う、日本発・世界初の独自技術をもって妥協なき挑戦を続けてまいります。         」

 JR-141 は現在、ブラジルにおいて製造販売承認を申請中であり、また、米国・ブラジル・
欧州(イギリス、ドイツ、フランス)におけるグローバル臨床第 3 相試験の開始に向けた準
備を進めております。
 当社は引き続き、希少疾病領域のスペシャリティファーマとして、より多くの患者の皆さ
んの治療に貢献できるよう取り組んでまいります。

     なお、本件に関する今期当社連結業績への影響は、期首計画に織込済みです。



<イズカーゴ®点滴静注用 10mg について>
     販     売      名   イズカーゴ®点滴静注用 10mg
     一     般      名   パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)
     効 能 ・ 効 果        ムコ多糖症 II 型
     用 法 ・ 用 量        通常、パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)として、1 回
                       体重 1kg あたり 2.0mg を週 1 回、点滴静注する。
     製造販売承認日          2021 年 3 月 23 日



                                                                               以   上

パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)の研究開発について
パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)は、マンノース-6-リン酸受容体を介した作用に
加え、当社独自の血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」によりトランスフェリン受容体を
介して血液脳関門  (以下、BBB)を通過させることによる中枢神経系症状に対する作用を期
待し、分子設計の段階から非臨床、   臨床にいたるまで必要なエビデンスを構築しながら開発
を進めて参りました。
非臨床試験においては、  トランスフェリン受容体への親和性だけでなく、     パビナフスプ ア
ルファ(遺伝子組換え)が BBB を通過し神経細胞へ到達することを電子顕微鏡下において
確認し、また、脳の各組織中への酵素取り込み、蓄積基質の減少を確認いたしました 1,2。
これらの結果に基づき実施した臨床試験においては、中枢神経系症状に対する有効性の代
替評価指標である脳脊髄液中のヘパラン硫酸濃度において、非臨床試験にて得られた結果
と矛盾しない結果を得ております。   また、中枢神経系症状への作用と考えられる結果も得て
おります 3,4。



【参考文献】
1: Hiroyuki Sonoda, et al. A Blood-Brain-Barrier-Penetrating Anti-human Transferrin

Receptor Antibody Fusion Protein for Neuronopathic Mucopolysaccharidosis II. Mol Ther.
2018; 26(5): 1366-74.
2: Hideto Morimoto, et al. Clearance of heparin sulfate in the brain prevents

neurodegeneration and neurocognitive impairment in MPS II mice. Mol. Ther. 2021;
ONLINE NOW
3: Torayuki Okuyama, et al. Iduronate-2-sulfatase with Anti-human Transferrin

Receptor Antibody for Neuropathic Mucopolysaccharidosis II: A Phase 1/2 Trial. Mol
Ther. 2020; 27(2): 456-464.
4: Torayuki Okuyama, et al. A Phase 2/3 Trial of Pabinafusp Alfa, IDS Fused with Anti-

Human Transferrin Receptor Antibody, Targeting Neurodegeneration in MPS-II. Mol
Ther. 2020; 29(2): 671-679.