4552 JCRファーマ 2020-12-22 16:00:00
JR-141 ブラジルでの製造販売承認申請のお知らせ [pdf]

                                        2020 年 12 月 22 日
各   位




                  会 社 名 J C R フ ァ ー マ 株 式 会 社
                  代表者名 代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 芦 田     信
                             (東証第 1 部 コード番号 4552)
                  問合せ先 上席執行役員経営企画本部担当 本 多          裕
                                   (TEL 0797-32-1995)

           血液脳関門通過型ハンター症候群治療酵素製剤
            〔alfapabinafuspe(開発番号:JR-141)〕
         ブラジル連邦共和国での製造販売承認申請のお知らせ

 当社は、血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」を適用したムコ多糖症 II 型(ハンター
症候群)治療酵素製剤〔ブラジル一般名:alfapabinafuspe 開発番号:JR-141(血液脳関
門通過型遺伝子組換えイズロン酸 2 スルファターゼ)について、この度、ブラジル国家衛生
監督庁(ANVISA)に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせいたします。

 この度の申請は、これまでに蓄積した JR-141 に関する非臨床試験結果および、日本、ブ
ラジルでの臨床試験結果から総合的に示されたエビデンスに基づいています。
 JR-141 を 26 週間投与したブラジル臨床第 II 相試験では、有効性に関する評価項目にお
いて、中枢神経症状に対する有効性評価の代替指標である脳脊髄液中のヘパラン硫酸濃度
が、2mg/kg/週以上の投与群全症例で減少いたしました。また、全身症状の評価として、臨
床試験開始前に既存治療酵素製剤による治療を受けていなかった新規治療症例で血液中の
デルマタン硫酸濃度の減少が、既存治療酵素製剤による治療を受けていた切替え症例で維
持が確認されました。発達評価においては、26 週間の治療で多くの患者に発達年齢の維持
または改善が確認されました。さらに 52 週間投与を行う継続試験では、患者の重症度に関
わらず、神経認知機能に対する有効性が確認されています。
 安全性に関して臨床上問題となるような重要な有害事象は認められませんでした。

 当社は、JR-141 に続いて、J-Brain Cargo®を適用した他のライソゾーム病治療酵素製剤
の開発を順次行っております。   希少疾病領域のスペシャリティファーマとして、       より多くの
患者の皆さんの治療に貢献できるよう引き続き取り組んでまいります。

 なお、本件に関する今期当社連結業績への影響は軽微であります。
                                                   以   上
JR-141 について
JR-141 は、マンノース-6-リン酸受容体を介した作用に加え、当社独自の血液脳関門通過技
術「J-Brain Cargo®」によりトランスフェリン受容体を介して血液脳関門(以下、BBB)を
通過させることで中枢神経症状に対する作用を期待し、       分子設計の段階から非臨床、     臨床に
いたるまで必要なエビデンスを構築しながら開発を進めて参りました。
非臨床試験においては、       トランスフェリン受容体への親和性だけでなく、JR-141 が BBB を
通過し神経細胞へ到達することを電子顕微鏡下において確認し、       また、脳の各組織中への酵
素取り込み、蓄積基質の減少を確認いたしました*¹。
これらの結果に基づき実施した臨床試験においては、中枢神経症状に対する有効性の代替
評価指標である脳脊髄液中のヘパラン硫酸濃度において、非臨床試験にて得られた結果と
矛盾しない結果を得ております。       また、中枢神経症状への効果と考えられる結果も得ており
ます*²。

ムコ多糖症 II 型(ハンター症候群)について
ライソゾーム病の一種。ムコ多糖を体内で分解する酵素(Iduronate-2-sulfatase)の欠損に
より発症する X 染色体連鎖劣性遺伝性疾患。全世界における患者数は約 7,800 人(当社調
べ)であり、また、ブラジル連邦共和国において 1982 年から 2015 年の間にムコ多糖症 II
型の診断を受けた患者は、343 名と報告されています*³。
幅広い症状があるなか、既存の治療酵素製剤は BBB を通過できないため、脳内で薬効を発
揮できず、中枢神経症状に対し効果が期待できないことが重大な課題となっています。



【参考文献】
*¹: Hiroyuki Sonoda, et al. A Blood-Brain-Barrier-Penetrating Anti-human Transferrin
Receptor Antibody Fusion Protein for Neuronopathic Mucopolysaccharidosis II. Mol
Ther. 2018; 26(5): 1366-74.
*²: Torayuki Okuyama, et al. Iduronate-2-sulfatase with Anti-human Transferrin
Receptor Antibody for Neuropathic Mucopolysaccharidosis II: A Phase 1/2 Trial. Mol
Ther. 2020; 27(2): 456-464.
*³: Giugliani R, et al. Relative frequency and estimated minimal frequency of
Lysosomal Storage Diseases in Brazil: Report from a Reference Laboratory. Genet Mol
Biol. 2017; 40: 31–39.