4552 JCRファーマ 2020-09-29 16:00:00
血液脳関門通過型ハンター症候群治療酵素製剤「JR-141」先駆け審査指定制度下における日本での製造販売承認申請のお知らせ [pdf]

                                         2020 年 9 月 29 日
各   位




                   会 社 名 J C R フ ァ ー マ 株 式 会 社
                   代表者名 代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 芦 田     信
                              (東証第 1 部 コード番号 4552)
                   問合せ先 上席執行役員経営企画本部担当 本 多          裕
                                    (TEL 0797-32-1995)

          血液脳関門通過型ハンター症候群治療酵素製剤
      〔パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)(開発番号:JR-141)〕
     先駆け審査指定制度下における日本での製造販売承認申請のお知らせ

 当社は、血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」を適用したムコ多糖症 II 型(ハンター
症候群)治療酵素製剤〔パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)開発番号:JR-141(血液
脳関門通過型遺伝子組換えイズロン酸 2 スルファターゼ)    〕について、この度、厚生労働省
に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせいたします。なお、JR-141 は 2018 年 3 月
に厚生労働省より、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されています。

 この度の申請は、     これまでに蓄積した JR-141 に関する非臨床試験結果および臨床試験結
果から総合的に示されたエビデンスに基づいています。
 JR-141 を 52 週間投与した国内臨床第 3 相試験では、主要評価項目であり中枢神経症状
に対する有効性評価の代替指標である脳脊髄液中のヘパラン硫酸濃度が全症例で減少し、
主要目的を達成いたしました。     また、全身症状の評価では、   既存の治療酵素製剤から JR-141
へ切替を行った症例では効果の維持が確認され、臨床試験開始前に既存治療酵素製剤によ
る治療を受けていなかった新規治療症例では、症状の改善が確認されました。さらに、疾患
重症度別に発達評価を行ったところ、52 週間の治療において発達年齢の維持または改善が
確認されました。     なお、安全性に関して臨床上問題となるような重要な有害事象は認められ
ませんでした。

 当社は、JR-141 に続いて、J-Brain Cargo®を適用した他のライソゾーム病治療酵素製剤
の開発を順次行っております。   希少疾病領域のスペシャリティファーマとして、       より多くの
患者の皆さんの治療に貢献できるよう引き続き取り組んでまいります。

 なお、本件に関する今期当社連結業績への影響は軽微であります。
                                                   以   上
JR-141 について
JR-141 は、マンノース-6-リン酸受容体を介した作用に加え、当社独自の血液脳関門通過技
術「J-Brain Cargo®」によりトランスフェリン受容体を介して血液脳関門(以下、BBB)を
通過させることで中枢神経症状に対する作用を期待し、       分子設計の段階から非臨床、     臨床に
いたるまで必要なエビデンスを構築しながら開発を進めて参りました。
非臨床試験においては、       トランスフェリン受容体への親和性だけでなく、JR-141 が BBB を
通過し神経細胞へ到達することを電子顕微鏡下において確認し、       また、脳の各組織中への酵
素取り込み、蓄積基質の減少を確認いたしました*¹。
これらの結果に基づき実施した臨床試験においては、中枢神経症状に対する有効性の代替
評価指標である脳脊髄液中のヘパラン硫酸濃度において、非臨床試験にて得られた結果と
矛盾しない結果を得ております。       また、中枢神経症状への効果と考えられる結果も得ており
ます*²。

ムコ多糖症 II 型(ハンター症候群)について
ライソゾーム病の一種。ムコ多糖を体内で分解する酵素(Iduronate-2-sulfatase)の欠損に
より発症する X 染色体連鎖劣性遺伝性疾患。日本における患者数は約 250 人(当社調べ)
であり、幅広い症状があるなか、既存の治療酵素製剤は BBB を通過できないため、脳内で
薬効を発揮できず、中枢神経症状に対し効果が期待できないことが重大な課題となってい
ます。



【参考文献】
*¹: A Blood-Brain-Barrier-Penetrating Anti-human Transferrin Receptor Antibody
Fusion Protein for Neuronopathic Mucopolysaccharidosis II
(DOI: https://doi.org/10.1016/j.ymthe.2018.02.032)
*²: Iduronate-2-sulfatase with anti-human transferrin receptor antibody for
neuropathic mucopolysaccharidosis II: a phase 1/2 trial
(DOI: https://doi.org/10.1016/j.ymthe.2018.12.005)