4528 小野薬 2019-01-31 14:00:00
Repare Therapeutics社とPol-theta阻害剤に関する戦略的提携契約を締結 [pdf]

                                                   2019 年 1 月 31 日

各位


                               会 社 名: 小野薬品工業株式会社
                               代表者名: 代表取締役社長 相良 暁
                                      (コード: 4528 東証第一部)
                               問合せ先: 常務執行役員 広報部長 谷 幸雄
                                      (TEL: 06-6263-5670)



       Repare Therapeutics社とPol-theta阻害剤に関する戦略的提携契約を締結


 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁、以下、当社)は、本日、
Repare Therapeutics, Inc.(本社:カナダ、ケベック州モントリオール市、社長兼最高執行責任者
(CEO):Lloyd M. Segal、以下、Repare 社)と、同社の Pol-theta(Polθ)阻害剤の開発および
商業化を目的とする戦略的提携契約を締結しましたので、お知らせします。


 Repare 社は、がんの合成致死領域におけるパイオニアとして、特定の患者集団における腫瘍細
胞の脆弱性を標的とした新たなプレシジョンメディシンの研究開発に特化した非上場のベンチャー
企業であり、現在、低分子 Polθ 阻害剤の創製に取り組んでいます。


 本契約の締結により、当社は、日本、韓国、台湾、香港・マカオ(中国本土は除く)および
ASEAN 諸国において、Polθ 阻害剤を独占的に開発および商業化する権利を取得します。Repare 社
は、当社のテリトリー以外の米国、カナダおよび EU を含む地域で製品を開発および商業化する権
利を留保します。
 当社は、契約一時金および研究資金として最大 17 億円を Repare 社に支払うとともに、新薬治験
許可申請(IND)に係る費用の一部を負担します。本契約には、開発段階および販売マイルストン
(最大約 172 億円)も含まれます。また、当社は、当社のテリトリーにおける売上高に応じた 1 桁
台後半~2 桁台前半のロイヤルティを Repare 社に支払います。


 当社の代表取締役社長である相良暁は、次のように述べています。「当社は、ファーストインク
ラスかつベストインクラスである Polθ 阻害剤を当社のポートフォリオに組み入れるため、Repare
社と提携契約しました。がん患者さんのために Repare 社と協働していくことを楽しみにしていま
す。」


 Repare 社の社長兼最高執行責任者である Lloyd M. Segal は、次のように述べています。
「Repare 社は、Polθ 阻害剤の創薬・開発において小野薬品と提携できることをうれしく思います。
今回の提携は、この重要な新しいがん領域におけるプレシジョンメディシンの創薬において、我々
の臨床開発に向けた取り組みを推進するものと期待しています。」
Pol-theta 阻害剤について
 DNA Polymerase theta(Polθ)は、類のない多機能な DNA Polymerase であり、特に相同組換え
修復異常(Homologous Recombination Deficient:HRD)が生じている細胞における DNA 損傷の修
復に欠かせない酵素です。BRCA1 や BRCA2 遺伝子の機能欠損を含む HRD は、乳がん、卵巣がん、
前立腺がん、膵臓がんなどの様々ながん腫において認められる重要な特性です。正常細胞における
Polθ 遺伝子の発現は低いですが、HRD が認められるがんを含め、様々ながんで Polθ 遺伝子の発現
が上昇しています。現在、HRD が認められるがんに対しては、Poly(ADP-ribose)Polymerase
(PARP)阻害剤が治療に用いられます。PARP 阻害剤の市場は、急速に成長しており、全世界で
数千億円に達する見込みです。PARP 阻害剤による治療で早期に効果が認められない患者さんはか
なりの割合で存在し、また、大多数の患者さんは PARP 阻害剤での治療開始後に同阻害剤に耐性を
獲得します。Polθ 阻害剤は、PARP 阻害剤とは異なる作用機序であることから、多数のがん腫に亘
って単剤療法および PARP 阻害剤との併用療法での効果が期待され、PARP 阻害剤による治療で早
期の効果が認められなかった患者さんや耐性を獲得した患者さんに有用な薬剤となり得ることが期
待されます。さらに、化学療法、放射線療法およびがん免疫療法薬との併用療法としても期待され
ます。


Repare Therapeutis Inc.社について
 Repare 社は、がんの合成致死領域におけるパイオニア企業として、特定の患者集団における腫
瘍細胞の脆弱性を標的とした次世代のプレシジョンメディシンを開発しています。同社は、先ず、
DNA 損傷反応(DNA Damage Response:DDR)またはゲノム不安定性に関連する機能を欠損した
がん腫における新規標的療法の開発に焦点を置いています。Repare 社の SNIPRx™プラットフォー
ムでは、CRISPR による遺伝子編集を用いた独自のハイスループット標的探索技術と、高分解能タ
ンパク質結晶構造解析、計算生物学、医薬品化学および臨床情報学を組み合わせて、臨床研究用の
低分子化合物を迅速に創製します。Repare 社は Versant Ventures や MPM Capital をはじめとする
大手グローバルヘルスケア投資家の支援を受けています。詳細については、www.reparerx.com を
ご覧ください。



                                                             以上