4526 理研ビタミン 2021-08-06 16:00:00
東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ [pdf]

                                            2021 年8月6日
各   位
                           会 社 名   理研ビタミン株式会社
                           代表者名    代表取締役社長     山木 一彦
                                   (コード番号 4526 東証第一部)
                           問合せ先    経営企画部長      池田 航
                                   (TEL 03-5362-1315)


        東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ

 当社は、2021 年1月 25 日に東京証券取引所に提出しました「改善報告書」につきまして、有価証券
上場規程第 503 条第1項の規定に基づき、改善措置の実施状況および運用状況を記載した「改善状況報
告書」を、本日添付のとおり提出いたしましたので、お知らせいたします。


添付書類:改善状況報告書


                                                   以    上
                        改善状況報告書
                                         2021 年8月6日


株式会社東京証券取引所
代表取締役社長   山道   裕己   殿
                                  理研ビタミン株式会社
                                  代表取締役社長   山木 一彦


2021 年1月 25 日提出の改善報告書について、有価証券上場規程第 503 条第1項の規定に基づ
き、改善措置の実施状況および運用状況を記載した改善状況報告書をここに提出いたします。




                           1
目次
1.経緯 ........................................................................... 3
  (1) 過年度決算訂正の内容 ...................................................... 3
        訂正した過年度決算短信等 .................................................. 3
        過年度決算短信等の訂正による業績への影響額 ................................ 4
  (2) 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯 .................................... 7
  (3) 特別調査委員会による調査 ................................................. 10
        調査の目的 ............................................................... 10
        特別調査委員会の構成 ..................................................... 10
        特別調査委員会の調査方法の概要 ........................................... 10
  (4) 調査により判明した事実の概要等 ........................................... 10
  (5) 訂正に係る具体的な会計処理の内容 ......................................... 12
  (6) 不適正開示の発生原因の分析 ............................................... 13
        当社のトップマネジメントが長期にわたり子会社管理に直接関与していたこと .... 13
        取締役会の業務執行に対する監督機能の不足 ................................. 14
        グループ・ガバナンスの脆弱さ ............................................. 15
        監査機能が十分に機能していなかったこと ................................... 15
        青島福生食品の総経理の長期間にわたるマネジメント ......................... 17
        青島福生食品における内部統制の不備 ....................................... 17
2.再発防止に向けた改善措置ならびにその実施状況および運用状況等 .................. 18
  (1) 再発防止に向けた改善措置ならびにその実施状況および運用状況 ............... 18
        経営責任の明確化(1.(6)①に対応) .................................... 18
        取締役会の機構改革(1.(6)②に対応) .................................. 19
        経営幹部の職責に対する意識改革(1.(6)②に対応) ...................... 20
        監査等委員会による監査機能の強化および内部監査体制の強化(1.(6)④に対
     応) ........................................................................ 22
        青島福生食品の内部統制の不備の改善(1.(6)③、⑤、⑥に対応)........... 28
        子会社に対する管理強化・コンプライアンス教育の強化(1.(6)③に対応) ... 38
        青島福生食品の当社グループからの切り離し(改善報告書に記載していない改善措
     置) ........................................................................ 42
  (2) 改善措置の実施スケジュール ............................................... 43
3.意見不表明および結論の不表明解消に向けた取り組み .............................. 44
  (1) 青島福生食品の全社的な内部統制の開示すべき重要な不備の改善 ............... 44
  (2) 他の財務数値への影響の調査の完了 ......................................... 44
4.改善措置の実施状況および運用状況に対する上場会社の評価 ......................... 49




                                        2
 1. 経緯
(1) 過年度決算訂正の内容
 当社は、2020 年9月 23 日、当社連結子会社である青島福生食品有限公司(以下、「青島福生
食品」という)におけるエビの加工販売の取引に関する特別調査委員会の調査報告書を開示し、
同月 30 日、過年度の決算短信等の訂正を行いました。また、同年 10 月 28 日に青島福生食品の
棚卸資産の評価に関して決算短信等の訂正を再度行い、2016 年3月期から 2020 年3月期までの
訂正後の連結財務諸表について監査意見を表明しない旨の監査報告書等を受領しました。訂正
した過年度決算短信等および業績への影響額については、以下のとおりです。


   訂正した過年度決算短信等
 【有価証券報告書】
   第 80 期(自    平成 27 年4月1日     至     平成 28 年3月 31 日)
   第 81 期(自    平成 28 年4月1日     至     平成 29 年3月 31 日)
   第 82 期(自    平成 29 年4月1日     至     平成 30 年3月 31 日)
   第 83 期(自    2018 年4月1日      至     2019 年3月 31 日)
   第 84 期(自    2019 年4月1日      至     2020 年3月 31 日)


 【四半期報告書】
   第 82 期第2四半期(自 平成 29 年7月1日            至   平成 29 年9月 30 日)
   第 82 期第3四半期(自 平成 29 年 10 月1日         至   平成 29 年 12 月 31 日)
   第 83 期第1四半期(自     2018 年4月1日         至   2018 年6月 30 日)
   第 83 期第2四半期(自     2018 年7月1日         至   2018 年9月 30 日)
   第 83 期第3四半期(自     2018 年 10 月1日      至   2018 年 12 月 31 日)
   第 84 期第1四半期(自     2019 年4月1日         至   2019 年6月 30 日)
   第 84 期第2四半期(自     2019 年7月1日         至   2019 年9月 30 日)
   第 84 期第3四半期(自     2019 年 10 月1日      至   2019 年 12 月 31 日)


 【決算短信】
   平成 28 年3月期    決算短信〔日本基準〕(連結)
   平成 29 年3月期    決算短信〔日本基準〕(連結)
   2018 年3月期    決算短信〔日本基準〕(連結)
   2019 年3月期    決算短信〔日本基準〕(連結)
   2020 年3月期    決算短信〔日本基準〕(連結)




                               3
【四半期決算短信】
  平成 30 年3月期   第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  平成 30 年3月期   第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  2019 年3月期   第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  2019 年3月期   第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  2019 年3月期   第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  2020 年3月期   第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  2020 年3月期   第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  2020 年3月期   第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)


   過年度決算短信等の訂正による業績への影響額
【連結財務諸表】                                      (単位:百万円)
   期間               項目   訂正前       訂正後       影響額       変動率
              売上高         88,072    88,072         -         -
              営業利益         6,029     6,007    △22      △0.4%
  第 80 期
              経常利益         5,343     5,321    △22      △0.4%
平成 28 年3月期
              当期純利益        4,129     4,107    △22      △0.5%
   通期
              総資産        109,094   109,030    △64      △0.1%
              純資産         74,406    74,341    △64      △0.1%
              売上高         87,181    87,181         -         -
              営業利益         7,061     6,820    △241     △3.4%
  第 81 期
              経常利益         6,489     6,248    △241     △3.7%
平成 29 年3月期
              当期純利益        4,330     4,089    △241     △5.6%
   通期
              総資産        109,648   109,342    △305     △0.3%
              純資産         53,916    53,611    △305     △0.6%
              売上高         43,328    43,328         -         -
              営業利益         3,378     3,341    △36      △1.1%
  第 82 期
              経常利益         2,942     2,905    △36      △1.3%
平成 30 年3月期
              四半期純利益       2,039     2,002    △36      △1.8%
 第2四半期
              総資産        114,992   114,655    △337     △0.3%
              純資産         58,487    58,150    △337     △0.6%




                          4
    期間               項目   訂正前        訂正後       影響額       変動率
               売上高         66,498     66,498         -         -
               営業利益         5,556      4,748    △808     △14.5%
   第 82 期
               経常利益         5,021      4,213    △808     △16.1%
平成 30 年3月期
               四半期純利益       3,522      2,714    △808     △22.9%
  第3四半期
               総資産        113,747    112,606   △1,141    △1.0%
               純資産         60,988     59,846   △1,141    △1.9%
               売上高         89,515     89,515         -         -
   第 82 期      営業利益         6,264      5,424    △840     △13.4%
 2018 年3月期     経常利益         5,427      4,587    △840     △15.5%
(平成 30 年3月期)   当期純利益        5,640      4,800    △840     △14.9%
    通期         総資産        112,192    110,994   △1,198    △1.1%
               純資産         60,109     58,919   △1,189    △2.0%
               売上高         22,108     22,108         -         -
               営業利益         1,364      1,295     △69     △5.1%
   第 83 期
               経常利益         1,363      1,294     △69     △5.1%
 2019 年3月期
               四半期純利益          880      810      △69     △7.9%
  第1四半期
               総資産        112,786    111,545   △1,240    △1.1%
               純資産         61,472     60,240   △1,232    △2.0%
               売上高         43,801     43,801         -         -
               営業利益         2,306      2,237     △69     △3.0%
   第 83 期
               経常利益         2,150      2,081     △69     △3.2%
 2019 年3月期
               四半期純利益       1,555      1,486     △69     △4.5%
  第2四半期
               総資産        114,545    113,322   △1,222    △1.1%
               純資産         63,104     61,890   △1,213    △1.9%
               売上高         67,237     67,237         -         -
               営業利益         4,554      4,096    △458     △10.1%
   第 83 期
               経常利益         4,486      4,028    △458     △10.2%
 2019 年3月期
               四半期純利益       3,217      2,759    △458     △14.2%
  第3四半期
               総資産        110,776    109,183   △1,593    △1.4%
               純資産         61,931     60,346   △1,584    △2.6%




                           5
    期間             項目   訂正前       訂正後       影響額       変動率
             売上高         89,888    89,024     △863     △1.0%
             営業利益         5,052     4,580     △472     △9.3%
  第 83 期
             経常利益         4,860     4,388     △472     △9.7%
 2019 年3月期
             当期純利益        3,949     2,623   △1,325    △33.6%
    通期
             総資産        111,392   109,706   △1,685     △1.5%
             純資産         61,624    59,229   △2,394     △3.9%
             売上高         22,864    20,493   △2,371    △10.4%
             営業利益         1,640     1,455     △184    △11.2%
  第 84 期
             経常利益         1,575     1,388     △187    △11.9%
 2020 年3月期
             四半期純利益       1,040   △1,451    △2,491          -
  第1四半期
             総資産        108,249   105,981   △2,267     △2.1%
             純資産         61,269    56,326   △4,943     △8.1%
             売上高         48,336    41,531   △6,805    △14.1%
             営業利益         3,375     3,032     △342    △10.2%
  第 84 期
             経常利益         3,078     2,728     △350    △11.4%
 2020 年3月期
             四半期純利益       2,105   △5,479    △7,584          -
  第2四半期
             総資産        107,492   103,880   △3,612     △3.4%
             純資産         62,380    52,727   △9,652    △15.5%
             売上高         72,557    63,102   △9,455    △13.0%
             営業利益         5,680     5,249     △430     △7.6%
  第 84 期
             経常利益         5,662     5,218     △443     △7.8%
 2020 年3月期
             四半期純利益       4,149   △5,551    △9,700          -
  第3四半期
             総資産        109,639   106,650   △2,988     △2.7%
             純資産         64,327    52,851   △11,476   △17.8%
             売上高         82,974    82,974         -         -
             営業利益         6,389     5,307   △1,081    △16.9%
  第 84 期
             経常利益         6,127     5,045   △1,081    △17.7%
 2020 年3月期
             当期純利益      △7,851    △8,933    △1,081          -
    通期
             総資産        104,452   101,853   △2,599    △2.5%
             純資産         49,373    46,789   △2,584    △5.2%
(注)当期純利益は「親会社株主に帰属する当期純利益」を、四半期純利益は「親会社株主に
   帰属する四半期純利益」を指します。




                         6
(2) 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯
   エビの加工販売の取引の疑義
   2020 年7月 20 日に、当社は会計監査人である有限責任 あずさ監査法人(以下、「あず
  さ監査法人」という)から、青島福生食品のエビの加工販売の取引について、現時点におい
  て監査意見を表明するに足る十分な監査証拠を得られていない旨の通知を受けました。
   上記通知を受け当社は、青島福生食品のエビ加工販売の取引に係る実在性の疑義につい
  て、より主体的な調査を行うために、外部の専門家である弁護士および公認会計士ならびに
  社外監査等委員で構成される特別調査委員会の設置を 2020 年7月 27 日開催の臨時取締役
  会において決議しました。
   その後、2020 年9月 23 日に当社は青島福生食品において疑義が生じているエビの加工販
  売の取引について、その実在性を確認するには至らなかったとする特別調査委員会の第一
  次調査報告書を受領しました。


   過年度の決算短信等の訂正と 2021 年3月期第1四半期報告書の延長申請
   当社は特別調査委員会の第一次調査報告書を真摯に受け止め、2020 年9月 30 日に、過年
  度の決算短信等の訂正を行いました。また同日、2021 年3月期第1四半期報告書について
  2020 年 10 月 16 日までの提出期限延長の申請を関東財務局に行い、同日に承認されました。


   棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理の疑義の発覚
   2020 年9月 30 日に青島福生食品から受領した 2020 年8月度月次決算報告において、鱈
  を中心とした水産加工品の一部が通常とは異なる低価格で売上計上され、それに伴い約 26
  億円の営業損失が計上されていたことから、同年 10 月1日に青島福生食品に対し、事実関
  係の説明および関連書類の提出を求めたところ、青島福生食品からは、滞留していた原材料
  や製品の一部について、飼料用途として廉価で処分販売していたとの報告を受けました。
   この報告により、青島福生食品と当社の間で、在庫の仕入・製造時期についての認識に相
  違があることが判明し、過年度においてそれらの評価が適切に行われていなかった疑い、お
  よびその結果として過年度の連結貸借対照表上の棚卸資産が過大に計上されていた疑いが
  生じました。
   そのため当社は、同月7日、エビ取引の実在性に関する調査の目的で設置した特別調査委
  員会に改めて調査を委嘱することを臨時取締役会において決議しました。


   2021 年3月期第1四半期報告書の遅延と監理銘柄(確認中)の指定
   上記のとおり、新たに青島福生食品の棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理の疑義
  が生じたことから、2021 年3月期第1四半期報告書について、延長承認された提出期限で
  ある 2020 年 10 月 16 日までに提出できない見込みとなりました。




                          7
 そのため、同月 15 日付で当該四半期報告書の提出遅延に関する適時開示を行い、当社株
式は同日付で監理銘柄(確認中)に指定されました。その後、延長承認後の提出期限である
同月 16 日の経過後8営業日以内である同月 28 日に当該四半期報告書を提出したため、当
社株式の監理銘柄(確認中)の指定は解除されました。


 過年度の決算短信の再度の訂正、および 2016 年3月期から 2020 年3月期までの訂正後
の連結財務諸表についての監査法人の意見不表明
 上記1.(2)③のとおり、当社は、新たに青島福生食品の棚卸資産の評価に関する不適
切な会計処理の疑義が発生したことを受け、再度特別調査委員会を設置しました。
 特別調査委員会の調査は継続していましたが、2020 年 10 月上旬に実施した実地棚卸、ま
た棚卸資産についての書類および青島福生食品からの事実関係の説明を確認した結果から、
当社としては過年度において連結貸借対照表上の棚卸資産の評価が適切に行われていなか
ったと判断し、同年 10 月 28 日に過年度の有価証券報告書および四半期報告書の訂正報告
書を提出し、過年度の決算短信および四半期決算短信についても訂正しました。
 なお、当社は、同日にあずさ監査法人から訂正後の 2016 年3月期から 2020 年3月期まで
の連結財務諸表について、監査意見を表明しない旨の監査報告書を受領しました。また、
2016 年3月期第2四半期から 2020 年3月期第3四半期までの訂正後の四半期連結財務諸
表および 2021 年3月期第1四半期の連結財務諸表について結論を表明しない旨の四半期レ
ビュー報告書を受領しました。
 受領した平成 28 年3月期、平成 29 年3月期、平成 30 年3月期、2019 年3月期、および
2020 年3月期の訂正後の連結財務諸表に係る監査報告書の意見不表明の根拠は次のとおり
です。
  当社は、2019 年3月期および 2020 年3月期の連結会計年度の連結財務諸表の作成に
  あたって、連結子会社の青島福生食品有限公司において実在性が確認できなかった特
  定の顧客向けのエビ加工販売等の取引に係る売上高を取り消し、既入金額を仮受金と
  して計上するとともに、取り消した売上に対応する売上原価(特定の仕入先からの仕
  入高を含む)を特別損失の水産加工品取引関連損失として計上しておりますが、監査
  法人は当該売上の計上および取り消し処理について裏付けとなる十分な記録および資
  料を当社から入手することができなかったこと。
  当社は、平成 28 年3月期、平成 29 年3月期、平成 30 年3月期、2019 年3月期、
  2020 年3月期の連結会計年度の連結財務諸表の作成にあたって、青島福生食品有限公
  司において過年度より滞留していた棚卸資産に係る評価損を売上原価として計上して
  おりますが、監査法人は当該棚卸資産の評価について裏付けとなる十分な記録および
  資料を当社から入手することができなかったこと。
  当社は、当該棚卸資産の評価に関する事実関係、他の財務数値への影響および内部統
  制への影響についての調査を継続中であるため、監査法人は当該調査の結果を評価で




                       8
 きておらず、また、青島福生食品有限公司の全社的な内部統制に重要な不備が存在す
 るため、同社の他の財務数値において、上記の連結財務諸表に重要な虚偽表示を生じ
 させる取引やその他の事象があるか否かについて判断することができなかったこと。
これらの結果、あずさ監査法人は、当社の連結財務諸表を構成する青島福生食品有限公司
の財務情報に関して十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかったため、連結財
務諸表を構成する数値に修正が必要かどうかについて判断することができませんでした。


 特別調査委員会による第二次調査報告書の受領
2020 年 11 月 13 日に青島福生食品の棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理について、
特別調査委員会の第二次調査報告書を受領しました。


 2021 年3月期第2四半期報告書の提出、四半期連結財務諸表への結論の不表明
2020 年 11 月 16 日に、2021 年3月期第2四半期の四半期報告書を提出しましたが、同四
半期連結財務諸表について、あずさ監査法人から結論を表明しない旨の四半期レビュー報
告書を受領しました。結論の不表明となった根拠は、以下のとおりです。
 当社は、同四半期連結財務諸表の作成にあたって、青島福生食品において実在性が確
 認できなかった特定の顧客向けのエビ加工販売等の取引に係る売上高について、売上
 高の取り消し、既入金額の仮受金計上、およびこれに対応する売上原価を特別損失の
 水産加工品取引関連損失として計上しておりますが、監査法人は当該売上の計上およ
 び取り消し処理について裏付けとなる十分な記録および資料を当社から入手すること
 ができなかったこと。
 当社は、同四半期連結財務諸表の作成にあたって、青島福生食品において過年度より
 滞留していた棚卸資産に係る評価損を売上原価として計上しておりますが、監査法人
 は当該棚卸資産の評価について裏付けとなる十分な記録および資料を当社から入手す
 ることができなかったこと。
 当社が他の財務数値および内部統制への影響を調査中であり、また、青島福生食品の
 全社的な内部統制に重要な不備があるため、同四半期連結財務諸表に重要な虚偽表示
 を生じさせる取引やその他の事象があるか否かについて判断することができなかった
 こと。
これらの結果、あずさ監査法人は、当社の当連結会計年度の四半期連結財務諸表を構成す
る青島福生食品の財務情報に関して結論の表明の基礎となる証拠を入手することができな
かったため、四半期連結財務諸表を構成する数値に修正が必要かどうかについて判断する
ことができませんでした。




                      9
(3) 特別調査委員会による調査
      調査の目的
          第一次調査
          青島福生食品のエビの加工販売の取引の事実関係の調査
          第二次調査
          青島福生食品の棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理の疑義の事実関係の調査
          上記に類似する問題の有無および事実関係の調査
          その他、特別調査委員会が必要と認めた事項


      特別調査委員会の構成
  委員長       藤津 康彦   (弁護士 森・濱田松本法律事務所)
  委 員       那須 美帆子(公認会計士 PwCアドバイザリー合同会社)
  委 員       竹俣 耕一   (公認会計士 独立役員 当社社外取締役監査等委員)
  委 員       藤永 敏    (独立役員 当社社外取締役監査等委員)
      なお、第二次調査については前回と異なる調査委員とした場合には初期説明にも時間を
  要してしまう可能性があることから、できる限り迅速かつ確実に調査を進めるために第一
  次調査委員会と同じ構成としました。


      特別調査委員会の調査方法の概要
 a.       第一次調査(エビの加工販売の取引の実在性)
      特別調査委員会は、2020 年7月 28 日から同年9月 23 日までの間、当社および青島福生
  食品から提供された資料の確認・分析、関係者へのインタビューを実施しました。
 b.       第二次調査(棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理)
      特別調査委員会は、2020 年 10 月7日から同年 11 月 13 日までの間、当社および青島福生
  食品から提供された資料の確認・分析、関係者へのインタビュー、実地棚卸への立ち会い、
  デジタルフォレンジックを実施しました。


(4) 調査により判明した事実の概要等
      エビの加工販売の取引事案について
      青島福生食品におけるエビの加工販売の取引に係る売上高は 2018 年 12 月に特定の顧客
  との取引を開始したことにより急増し、同社の 2019 年 12 月期には特定の顧客に対するエ
  ビの加工販売に係る売上高が約 116 億円と同社売上高の7割以上にのぼりました。特別調
  査委員会はこの取引を開始した経緯や取引高が急増した背景、また特定の仕入先を含む取
  引全体の商流について、全容の解明と営業取引としての実在性の有無についての調査を行
  いました。




                             10
 調査に際しては、新型コロナウイルス感染拡大防止策の観点から移動制限があったほか、
取引開始の経緯を知る関係者が退職しておりインタビューが実施できなかったことや、青
島福生食品から十分な調査協力が得られなかったことを含む制約が存在しました。
 調査の結果、エビの加工販売の取引の実在性を否定すべき明確な根拠は検出されません
でしたが、青島福生食品の IT 化・システム化が進んでいない上に、紙媒体の社内記録も精
緻に作成されていなかったため、青島福生食品の社内記録に高い信用性があるとはいえず、
青島福生食品の社内に存在する記録および資料からは取引の実在性を確認するには至りま
せんでした。
 さらに、この取引に係る取引先が作成、または保管しているはずの証憑類についても、証
拠価値の高い証憑類を入手することができませんでした。
 以上のことから、特別調査委員会は、エビの加工販売の取引の実在性を確認するには至り
ませんでした。


 棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理事案について
 その後当社が 2020 年9月 30 日に、青島福生食品から同年8月度月次損益の報告を受け
た際、粗利が大きくマイナスとなっていたため、同年 10 月1日に青島福生食品に対して説
明を求めたところ、市場監督管理局による立入り検査および在庫の処分の経緯について報
告を受けました。報告の内容は以下のとおりです。
    2020 年7月 15 日に、青島福生食品に対し、膠州市の市場監督管理局による立入り
     検査が実施された。これは定例の検査だが、2020 年は新型コロナウイルス感染症拡
     大の影響を受けたこともあり、特に原材料の管理に関して例年より厳格な検査が実
     施された。この検査において、青島福生食品の倉庫に賞味期限を超えた在庫が発見
     されたため、青島福生食品は、賞味期限に関して問題がある在庫を調査し、処分す
     るよう指導を受けた。
    これを受けて青島福生食品は、同年8月6日までに古い在庫の処分方針および在庫
     処分販売計画を決定し、古い在庫を飼料用として安価で販売することにより処分し
     た。
 当社は、青島福生食品から、月次でロット別原材料明細表(以下、「明細表」という)の
提出を受けており、冷凍魚の原材料在庫については仕入から2年間は品質的に問題がない
との説明に基づき、仕入後 1.5 年を経過する原材料在庫の有無を確認し、必要に応じて経年
による評価損を計上することとしていました。
                    したがって、本来であれば、明細表に基づき、
滞留在庫の存在を把握できていたはずでした。しかしながら、青島福生食品は、本来であれ
ば、原材料は先入先出法により使用し、その使用したロットの原材料を明細表から消し込ん
でいくという処理を行うべきでしたが、実際には、使用したロットにかかわらず、古いロッ
トの原材料から順番に明細表から消し込んでいくという処理を行っていたため、当社が提
出を受けていた明細表の表示上は、古いロットの原材料から順調に消化されて滞留在庫が




                      11
  存在しないことになっていました。また、当社は明細表の内容が正確であることを当然の前
  提としており、根拠資料の確認までは行っていませんでした。
   また、製品在庫については、当社は青島福生食品に対し、四半期毎に、製造後 1.5 年を超
  過する滞留在庫および廃棄予定の有無について報告を求めていましたが、青島福生食品か
  らロット別の滞留在庫の情報が十分に共有されず、ロット単位で滞留在庫に対する評価を
  行った場合には、追加で評価減を計上すべき製品が存在することが判明しました。
   処分対象となった古い在庫は、2015~2017 年頃に購入または製造された、鱈等の原材料
  在庫、および鱈や鮭等の製品在庫です。なお、青島福生食品においては、滞留在庫が特定で
  きる在庫のリストは作成されておらず、冷凍倉庫内の在庫も必ずしも日付順に整理されて
  いなかったため、倉庫内で古い日付の在庫を探して特定した上で処分しました。この点、古
  い在庫については、
          品質管理部と倉庫部が集計を行い、集計報告書を作成し、
                                   飼料用として、
  計4社に廉価で販売しました。販売した在庫の数量合計は 21,189 トン、そのうち賞味期限
  切れであった在庫は 14,217 トンです。
   なお、これらの処分在庫に関する取引については、特別調査委員会の調査において、売却
  先に残存していた処分在庫の現物の一部を確認し、売却先である4社中2社へのインタビ
  ューを実施したほか、各売却先との間の売買契約書、物品受領書および発票(請求書)の存
  在を確認しており、青島福生食品の報告どおり滞留在庫の処分であったことについて疑わ
  せる事情は検出されませんでした。
   青島福生食品においては滞留在庫の存在自体は経営幹部にも認識されていたものの、青
  島福生食品内で精緻な在庫管理がなされておらず、正確なロット別の情報が存在しません
  でした。そのため当社に対して正確な報告がなされず、当社は滞留在庫の存在を認識するこ
  とができませんでした。特別調査委員会は、意図的な隠蔽であったかという視点でも調査し
  ましたが、青島福生食品が滞留在庫の存在を意図的に隠蔽していたことを示す証拠は見つ
  かりませんでした。


(5) 訂正に係る具体的な会計処理の内容
   エビの加工販売の取引事案について
   2019 年3月期通期から 2020 年3月期第3四半期における当社連結決算において、当社と
  しては取引の全容および実在性が確認できなかった特定の顧客向けの売上高を取り消し、
  既入金額を仮受金として計上するとともに、取り消した売上に対応する売上原価(特定の仕
  入先からの仕入高を含む)は営業損益以外の項目と判断し、特別損失に計上する等の決算訂
  正を行い、2020 年9月 30 日に開示しました。また、同様の会計処理を 2020 年3月期通期
  から 2021 年3月期第3四半期についても行いました。




                           12
  エビの加工販売の取引に関する会計処理                                     (単位:百万円)
                            2019 年3月期                  2020 年3月期
  (連結損益計算書)
  売上高の取り消し額                                863                     12,351
  特別損失の計上額                                 853                     12,050
  (連結貸借対照表)
  仮受金の計上額                                  726                     12,348


   棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理事案について
   2016 年3月期通期から 2020 年3月期通期における当社連結決算において、2020 年8月
  に廉価で販売した水産加工品について棚卸資産の評価の訂正を行い、訂正した決算短信を
  2020 年 10 月 28 日に開示しました。なお、2021 年3月期第1四半期以降は、青島福生食品
  の在庫管理表(2.(1)⑤d.を参照ください)の記載に基づいて棚卸資産の評価を行って
  います。


  棚卸資産への影響額および売上原価に含まれる棚卸資産評価損の修正額(単位:百万円)
                 2016 年      2017 年       2018 年       2019 年    2020 年
                 3月期         3月期          3月期          3月期       3月期
  (連結貸借対照表)
  商品および製品           △64            △44           △79      △125       △883
  原材料および貯蔵品                        △260    △1,119       △1,448     △1,715
  (連結損益計算書)
  売上原価                 22           241          848       470       1,079


(6) 不適正開示の発生原因の分析
   当社のトップマネジメントが長期にわたり子会社管理に直接関与していたこと
   青島福生食品は 1994 年、日本の加工食品用の原料供給基地として中国が有望であると考
  えた当時の会長(以下、「元名誉会長」という)が主導し、実際に中国のいくつかの企業を
  視察した上で、当時の国営企業であった青島福生食品を買収しました。買収当時の目的は同
  社が製造する冷凍野菜・乾燥野菜を当社の自社ブランドのレトルト食品およびスープの原
  料として使用するというものでしたが、当社はそれまで冷凍野菜を事業として扱ったこと
  はなく、また同社は元国営企業であり、指示命令系統が強いトップダウン型であったことか
  ら買収時の総経理であった者(以下、「元総経理」という)に引き続きマネジメントを任せ
  ました。買収直後に当社から1名副総経理として出張させ、現地で業務にあたることを試み
  たことがありましたが、当時国営企業のガバナンスが色濃く残っていたためか、当社からの
  出張者による指示に元総経理が反発し、元名誉会長も元総経理にマネジメントを任せると



                              13
の方針を示したため、常駐には至りませんでした。当時の経営陣の中に元名誉会長より中国
の事業環境について詳しい者はおらず、売上規模から見ても当社経営に大きな影響を与え
なかったことから、青島福生食品については元名誉会長に任せ、触れないでいこうという雰
囲気が徐々に形成されました。
 また、元名誉会長の後は当時の代表取締役社長(その後、代表取締役会長に就任し、現在
は退任。以下、「元会長」という)が青島福生食品の管理を引き継ぎました。元会長は同社
買収時に常務取締役として視察も行い、買収交渉にも関わったことから、引き継ぐのは自然
な流れであったと考えられます。取締役会における青島福生食品関連の報告は海外担当役
員が行っておりましたが、元総経理とのコミュニケーションは元会長が行っており、2016 年
以降同社の業績が悪化してからは、関連する部署の担当とともに自ら定期的に訪問し、元総
経理と経営計画や事業の状況について議論を行っていたため、同社の実質的な担当は元会
長であるとの認識が当社内にありました。
 社内で最も長く経営に携わり、大きな影響力を持つ人物が長期にわたり、青島福生食品の
経営に最も深く関わっていたことが本件を防止できなかった大きな原因であると考えてお
ります。


 取締役会の業務執行に対する監督機能の不足
 当社は 2006 年に執行役員制度を導入し、また 2017 年に監査等委員会設置会社へ移行な
らびに東京証券取引所の有価証券上場規程に定める独立役員を4名確保し、取締役会の監
督機能の強化に努めてまいりました。
 しかしながら、当社の事業領域が多岐にわたっており、当社の取締役(社外取締役の監査
等委員を除く)はほとんどの場合、各事業部門を長年経験した人物が内部昇格してきたため、
担当事業の業務執行については精通しているものの、一方で全社的な経営監督の観点や担
当外の事業の知識が不十分な状態であり、各事業についての的確な意見や注意すべき事項
の指摘に至らないという、取締役会の経営監督と業務執行の分離が不明確な状況であった
と考えております。このため、青島福生食品の経営監督に深く関わっていた元会長に対して、
他の取締役から同社の施策について意見を出すのが難しい状況になり、取締役会が適切な
監督を行うことができませんでした。
 また、当社の指名委員会においては、委員会の委員長を代表取締役である委員とし、招集
権者についても、委員長である代表取締役としてきたため、社外の委員が必要性を認識した
時点での機動的な開催がなされず、青島福生食品が複数年度にわたり業績の回復が見られ
なかった時期でも、業務執行が滞っていた取締役の重任について十分な審議を行う機会を
逸していた可能性があると認識しております。指名委員会の審議事項についても、代表取締
役社長が作成した原案審議が主たる審議事項となっていること、および、社外の委員からの
発議や、制度の基本方針の策定・実行・モニタリングについての議論が活発でなかったこと
が委員会運営の硬直化を招き、また、サクセッションプランに係る審議を取り上げてこなか




                     14
ったことで、取締役の資質の精査や長期間の重任について意見具申をする機会を逸してい
た可能性があると認識しております。


 グループ・ガバナンスの脆弱さ
 当社は、グループ・ガバナンスの考え方において、当社創業のルーツである「理化学研究
所」から由来する自由闊達な社風という理念から、子会社においても自主自立の考えを重視
してまいりました。また、当社では子会社の設立は各事業部が中心となって進めてきたため、
当社による子会社管理の比重は事業活動の推進および実績管理が中心であり、総務や経理
などの管理部門を含めた運営についての全般的な管理・指導となっておらず、管理手法を大
きく見直すといった対策はとられませんでした。リスク管理の観点においても、特に海外の
子会社運営に関するリスクについては、全社的な重点リスクとしての認識が十分ではあり
ませんでした。これに加え、青島福生食品においては、当社グループに子会社化した際の特
殊性(他の子会社は当社が設立に関与、青島福生食品は国営企業を買収)や、買収時から元
総経理に経営全般を任せてきたこと、上記1.(6)①で触れたように当社から副総経理の
派遣を試みたことはあったものの、常駐には至らずにその後も当社からの経営陣、管理職の
派遣を行ってきませんでした。
 以上のことから青島福生食品に対するガバナンス体制が脆弱であり、同社が上場企業グ
ループの一員であるという意識や企業理念の共有につながらず、日本の会計基準や決算処
理・手続きに対する意味を十分に理解させることができませんでした。
 また、青島福生食品における棚卸資産の不適切な会計処理について、同社社員が遅くとも
2018 年頃には滞留在庫を認識し、問題と感じていたにもかかわらず、当社へ直接報告がさ
れませんでした。当社グループ内の内部通報制度が十分に整備されていれば、当社がこの問
題を早期に把握できた可能性があったと考えております。


 監査機能が十分に機能していなかったこと
 監査等委員会による監査活動について
 当社監査等委員会の青島福生食品に対する監査活動においては、元総経理との直接の意
思疎通が十分にできなかったこと、往査の頻度が2年に1度程度と低かったことといった
不十分な点がありました。
 元総経理との意思疎通が不十分であった背景としては、監査等委員会の青島福生食品に
対する往査の際、元総経理には監査に対する抵抗感があり、これは多種多様な監査や問合せ
(現地行政当局による種々の監査や現地監査法人による監査、当社担当部門からの確認事
項問合せ)に多くの時間が費やされるため、総経理としての業務に支障をきたすとの不満が
あったためと認識しております。また、元総経理との会話は当社の限定された中国語話者に
頼る状況で通訳体制の課題もあったと認識しております。加えて、元総経理の当社との主た
るコミュニケーションが元会長との間になされていたことから、十分な問題意識を持つに




                    15
は至りませんでした。往査の頻度について従来の年間監査計画では、海外子会社の重要先は
2~4年に1度程度、青島福生食品は2年に1度と比較的高く設定しておりましたが、結果
としてその頻度でも十分ではありませんでした。
 監査等委員会は青島福生食品に対する個別監査として、取締役会、執行役員会の報告や書
類の閲覧、担当部門、監査部および会計監査人からの報告聴取を通じて事業の状況を確認し、
会計上の確認項目であった保有在庫の実在性・評価の妥当性、債権評価の妥当性、固定資産
の減損および同社に対する当社の投資の評価についての対応は行っていたと認識していた
ため、同社に対する監査強化がされず、本件の防止まで至りませんでした。
 監査部による監査活動について
 当社内部監査を担当する監査部は、2008 年の J-SOX 監査導入以降、内部統制の重要な不
備が検出されていなかったこと、会社法内部統制の主管部署である総務部や、推進部署の
CSR 推進部からも特段の問題提起がなかったことから、限られた人的資源での成果獲得を図
るべく、3名体制を維持してきました。このような体制下において、青島福生食品の往査は
財務報告に係る内部統制を中心に実施していたため、コンプライアンスの実践やリスク管
理といった監査項目については十分な確認ができておらず、本件を未然に防止・発見するこ
とができませんでした。
 監査等委員会と監査部の連携について
 監査等委員会と監査部の協議会を年2回開催し、前期の結果や今期の計画および課題の
共有、監査部作成の監査報告書の回覧、年2回の経営会議における監査部長からの内部統制
評価の報告を行い、
        必要に応じて打合せを行っていました。しかしながらこれらは、
                                    形式的、
定型的な内容が主となり、会社状況や外部環境に即した具体的課題に対しての協議が十分
には行えていなかったと認識しております。
 代表取締役との意思疎通について
 監査等委員会は、代表取締役との意思疎通の機会として、元会長および代表取締役社長と
各々年2~4回の懇談会を実施し、中期経営計画の遂行状況、事業運営状況や取締役会の実
効性向上について意見交換を行っておりました。青島福生食品に関しては、当社の連結決算
において特別な検討が必要となる項目の一つとして、同社は仕入時期が限定された水産原
料を扱っており、年間を通じて販売するためには一時期に大量の在庫を購入する必要があ
るため、棚卸資産残高が売上高に対して年間を通じて高い水準にあり、滞留在庫の発生可能
性が高い、として 2014 年以降会計監査人の監査上の重要項目として挙げられておりました。
このことから、当社としても在庫量や滞留在庫の状況を確認し適切に連結対応することが
重要である旨の議論を行っておりましたが、棚卸資産に関する根拠資料の確認まで至らず、
また本質的なリスク管理やグループ・ガバナンス体制について深掘りするまでは至りませ
んでした。




                     16
 青島福生食品の総経理の長期間にわたるマネジメント
 買収前の国営企業から総経理であった元総経理は 2020 年 11 月 19 日に辞任するまで 25
年以上の長期間、総経理職にありました。青島福生食品のガバナンスはトップダウン型であ
り、重要事項は元総経理を通す必要があったこと、事業内容が当社と異なり、他の海外子会
社のような当社との多部署にわたる連携が必要なかったことから、取引先との契約情報や
公的機関の立ち入り状況報告を含む当社への情報発信は消極的でした。このことから当社
元名誉会長、元会長とのコミュニケーションライン以外実質的に機能せず、当社の連携すべ
き関連部署である第2生産本部、経理部とのコミュニケーションが希薄であったことが本
件を防げなかった大きな原因であると考えております。


 青島福生食品における内部統制の不備
 本来機能すべき青島福生食品および当社の内部統制について、以下の点に重要な不備が
あり、本件の防止・早期発見に至りませんでした。
 特定の役職者に財務報告に重要な影響を及ぼす取引に関する情報や権限が集中し、意思
 決定の根拠や重要なリスクについて審議する稟議体制や会議体が整備されておらず、青
 島福生食品におけるガバナンス体制が不十分でした。
 取締役会をはじめとする当社の監視機関による青島福生食品に対するモニタリング体
 制が不十分でした。
 新規取引先の採用や大口販売先の実態について、実務レベル間での協議やその裏付けと
 なる資料の受け渡しが不十分なため、適時・適切な情報と実態の把握ができていません
 でした。
 在庫管理を含む生産系業務プロセスおよび新規販売先の採用や証憑保管を含む販売系
 業務プロセスについて適切な業務手順書が十分に整備されていませんでした。
 当社との事業上の関係が希薄であり、人材の派遣もなされておらず当社グループの一員
 としての財務報告に係る知識や重要性の認識の共有がなされていませんでした。




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 2. 再発防止に向けた改善措置ならびにその実施状況および運用状況等
(1) 再発防止に向けた改善措置ならびにその実施状況および運用状況
    経営責任の明確化(1.(6)①に対応)
   【改善報告書に記載した改善策】
   2020 年 11 月 19 日付「代表取締役および取締役の異動、ならびに役員報酬の減額に関す
  るお知らせ」にて公表しましたとおり、代表取締役会長、常務取締役から取締役辞任の申し
  出がありました。代表取締役専務からも代表権返上の申し出があり、いずれも 2020 年 11 月
  19 日付で受理いたしました。また、その他の取締役においても責任の所在を明確にするた
  め、代表取締役の異動および役員報酬の減額を行いました。
 a. 辞任した取締役
  代表取締役会長                    辞任(顧問に就任)
  常務取締役                      辞任
   顧問に就任した元代表取締役会長の任務は、青島福生食品の内部統制の改善のための補
  助業務としております。2021 年3月末日までに退任する予定であり、退任後に当社グルー
  プ会社の役職に就く予定はありません。
 b. 代表取締役の異動および役員報酬の減額
  役職                         内容
  代表取締役社長                    月額報酬 50%減額(6か月)
  代表取締役副社長                   代表取締役専務に降格
  代表取締役専務                    取締役に降格
  取締役(2名)                    月額報酬 30%減額(6か月)
 c. 監査等委員である取締役の申し出に基づく役員報酬の減額
  役職                         内容
  取締役   常勤監査等委員              月額報酬 10%減額(6か月)
  社外取締役 常勤監査等委員              月額報酬 10%減額(6か月)
  社外取締役 監査等委員                月額報酬 10%減額(3か月)


   【実施状況および運用状況】
   上記 a.において「辞任した取締役」のうち、青島福生食品の内部統制の改善のための補
  助業務を担う顧問に就任していた元代表取締役会長は、2021 年3月末日をもって予定の業
  務を終了し、顧問を退任しました。その後、当社グループ会社のいかなる役職にも就任して
  おりません。現在、当社は元代表取締役会長および元常務取締役両名と特段の関係は有して
  おりません。また、b.およびc.において実施するとした役員報酬の減額はそれぞれ定めら
  れた期間において実施しました。




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 取締役会の機構改革(1.(6)②に対応)
 【改善報告書に記載した改善策】
 今後の取締役会において、サクセッションプランの強化・推進、およびその一環として指
名委員会のあり方の再検討や、企業経営の経験豊富な外部人材を取締役に登用することに
ついて議論のうえ、取締役会の機構改革を進めます。
 サクセッションプランの強化・推進について
 2021 年度に現在の総務部人事室を人事部に昇格させ、人事担当役員と人事部が推進者と
して部門長以下に関する後継者の選抜および育成計画の策定を行っている「人材最適化検
討会」の強化を図ります。また、役員候補者については、これまで役員室内にて議論してい
たものを、社外取締役を含めた取締役会にて議論してまいります。これにより、候補者の選
定に社内外の幅広い知見を用いて議論を行い、担当事業に留まらず、幅広い視点を持った候
補者選定につなげます。
 指名委員会および報酬委員会について
 2020 年 12 月 25 日開催の取締役会において、両委員会の規程を変更し、議長を従来の代
表取締役社長から変更し、社外取締役である委員から選任することとしました。また、指名
委員会の審議事項に代表取締役社長および役員の後継者計画の監督を追加し、役員の重任
や定年に係る基準の策定についても審議事項に追加しました。この内容に基づき、2021 年
1月開催予定の指名委員会で委員長の選任を実施予定です。
 企業経営の経験豊富な外部人材の取締役への登用について
 これまで当社においては、事業領域が多岐にわたり専門性も高いため、一朝一夕に当社業
務の執行や客観的な判断をすることは困難であると考えており、監査役や監査等委員以外
に非業務執行役員として外部人材を登用することに消極的でした。今後、業務執行の是非や
進捗状況の公正な判断を高めるには、自己の経験に基づき客観的な立場で、当社に対して的
確に指摘できる人材が不可欠であると考え、当社以外での企業経営の経験豊富な人材を登
用する必要性を強く認識し、2021 年6月開催の定時株主総会での選任に向けて候補者の選
定を行っております。
 【実施状況および運用状況】
 サクセッションプランの強化・推進について
 2021 年4月1日に総務部人事室を人事部に昇格させ、サクセッションプランの強化を図
っています。部門長の後継者選定や育成計画については、人事部内に新設した「人材最適化
推進チーム」が開催する部門別の分科会で自部門の後継者候補を明確にした上で、「人材最
適化検討会(参加者は代表取締役専務、取締役、常務執行役員、部長、室長計 25 名)」に
諮り、後継者候補の今後の育成プランやキャリアパス、異動(昇格)時期等について全社的
な視点も交えた議論をいたします。人事部人材最適化推進チームは、2021 年7月に本年度
第1回目の分科会を開催しました。今後9月から 10 月にかけて第2回目の分科会を、11 月
に「人材最適化検討会」を開催する予定です。




                      19
 また、執行役員および取締役については、2021 年 12 月 24 日に開催予定の取締役会にお
いて、候補者に関する議論を行います。その内容をもとに 2022 年2月の指名委員会で取締
役および常務執行役員の候補者を審議し、同年4月度の取締役会において任命の決議(ただ
し、取締役については、株主総会での承認を経て正式に決定します。)を行います。
  指名委員会および報酬委員会について
 指名委員会においては、2021 年1月 29 日開催の委員会において社外取締役である委員か
ら議長を選任し就任しました。また、同日の委員会において、取締役候補者の選任にあたっ
て遵守すべき任期や定年等に関する事項を記載したガイドラインを指名委員会が策定し、
その後取締役会に報告しました。「代表取締役社長および役員の後継者計画の監督」につい
ては、今後 2021 年 12 月 24 日開催予定の取締役会における執行役員および取締役の候補者
の審議に先立ち、指名委員会においてその内容について人事担当役員および人事部等から
の報告を受け審議し、あわせて代表取締役の候補者がこれまでに蓄積した経験および今後
の育成計画についても審議を行います。これらの審議は今後も年1回以上継続して実施し
ます。
 また、報酬委員会においても、2021 年5月 14 日開催の委員会において、社外取締役であ
る委員から議長を選任し就任しました。
  企業経営の経験豊富な外部人材の取締役への登用について
 企業経営の経験豊富な外部人材の登用に向け、業界、経験役職、企業規模等の多角的な観
点で選任を進めた結果、2021 年4月 26 日開催の取締役会において、アサヒビール株式会社
で代表取締役社長を務めた平野伸一氏(以下、「平野氏」という)を候補者として内定しま
した。その後6月 22 日開催の当社第 85 期定時株主総会にて株主の皆さまにご承認いただ
き、平野氏は社外取締役に就任しました。平野氏は、企業経営者として豊富な経験と見識、
飲料・ビール業界における豊富な経験・ネットワークを有しており、客観的に独立した立場
からの業務執行の是非、経営計画の進捗状況等への監督と助言を期待しています。
 また、当社第 85 期定時株主総会において、末吉亙氏(以下、「末吉氏」という)を監査
等委員である取締役として株主の皆さまからご承認いただき、末吉氏は社外取締役監査等
委員に就任しました。末吉氏は、他の上場会社での社外取締役の経験に加え、企業経営にお
ける重要な事項である著作権の分野において公職を務めるなど、弁護士としての高い専門
性および豊富な経験、企業経営に対する豊富な知見を有しており、独立した立場からの経営
の監督と助言を期待しています。


 経営幹部の職責に対する意識改革(1.(6)②に対応)
 【改善報告書に記載した改善策】
 取締役については CSR 推進部主催で毎年5月頃に開催する CSR 研修会にて、主に業務や
時事問題に関する内容について研修を行ってまいりましたが、CSR 研修会が社員層も参加す
る研修会であり、コーポレート・ガバナンスが研修内容として馴染まなかったこと、また、




                      20
CSR 推進部はコーポレート・ガバナンスに関しての専門部署でなかったことから、取締役の
資質として重要と考えられるコーポレート・ガバナンスに係る内容を取り上げることがで
きておりませんでした。このことから 2021 年2月 22 日に取締役、執行役員、関係会社社長
を対象に一般社団法人日本能率協会の主催による、経営幹部の責任・役割、コーポレート・
ガバナンスに関する研修を追加で実施します。また、新任の取締役については、就任年度に
経営幹部の責任・役割、コーポレート・ガバナンスに関する研修を実施すべく対応してまい
ります。コーポレート・ガバナンスの研修を追加し、毎年継続することにより、取締役の認
識を深め、企業価値の向上につながっていくと考えております。
 【実施状況および運用状況】
 改善報告書に記載した 2021 年2月 22 日の研修は、取締役、常務執行役員、執行役員、社
外取締役および国内子会社社長の合計 27 名が受講しました。なお、スケジュールの都合上
受講できなかった執行役員1名は、同様の研修を3月 15・16 日に受講しました。
 この他に実施した研修は下記のとおりです。
    2021 年6月7日から7月1日にかけて人事部と関連事業統括室が連携し、国内外子
     会社の社長 12 名を対象に、内部統制に関する基本的な理解を深め、監査部の改善提
     案に対して自律的に改善活動を行うための研修を実施しました。
    2021 年7月7日から9日まで新任の取締役、執行役員計6名(昨年度就任者を含む)
     が、公益財団法人日本生産性本部主催の新任取締役・執行役員研修の受講を完了しま
     した。この研修では、経営者が最低限知るべき法務知識を習得するとともに、参加者
     間のケース討議、経営戦略の概要、経営分析と財務戦略、企業倫理、これからの企業
     経営と取締役への期待について学びました。なお、執行役員1名が 10 月 13 日から
     15 日まで同様の研修を受講予定です。また、新任の取締役、執行役員計5名が 2021
     年7月2日から9月1日までの期間で計4~6回、みずほリサーチ&テクノロジー
     ズ株式会社主催の新任役員必須セミナーを受講中です。この研修では取締役・執行役
     員の心得、法的責任とコンプライアンス、求められる戦略的役割と経営視点等を学び
     ます。
    2021 年7月7日にオンラインと集合型を併用した CSR 研修会を実施し、取締役から
     課長までの役職者に国内外子会社社長を加えた合計 154 名が受講しました。研修会
     は一般社団法人経営倫理実践研究センターが主催し、内部統制、また事業活動に関わ
     る法令について、事例を交えた講義を受け、理解を深めました。
    2021 年7月1日から8月 31 日までの期間において、海外子会社社長および社長就任
     予定者計9名を対象としたコーポレートガバナンス・コードに関する研修を実施し
     ています。内容はコーポレートガバナンス・コードに関する課題図書を読んだ上で受
     講者がレポートを作成し、外部の弁護士がフィードバックを行うもので、子会社社長
     がコーポレートガバナンス・コードについて理解し、子会社の持続的な成長に向けた
     自律的な対応につなげることを目的としています。




                      21
 今後も人事部がスケジュールを策定し、取締役、常務執行役員、執行役員、子会社社長へ
のコーポレート・ガバナンスに関する研修を年1回実施することにより、経営幹部一人一人
の職責に関する意識改革を図り、グループ全体のガバナンス強化につなげます。


 監査等委員会による監査機能の強化および内部監査体制の強化(1.(6)④に対応)
  監査等委員会と監査部との連携強化
 【改善報告書に記載した改善策】
 監査等委員会と監査部の協議会を年6回以上開催し、各拠点のリスクの状況等を共有し、
リスク評価を行い、監査上の重要項目を定めることにより国内事業所および国内外子会社
に対する監査部監査、監査等委員会監査の実効性および効率性の向上を図ります。
 直近では 2020 年 12 月 22 日に協議会を開催し、ア)監査等委員会 85 期修正計画、イ)直
近に監査等委員会が実施した子会社往査結果の共有とリスク分析、ウ)監査部による子会社
内部管理体制の調査の進捗状況、エ)監査等委員会・監査部の連携項目についての再確認、
の4点を協議しました。
 協議の結果、今後は基本的に毎月協議会を開催することとし、監査等委員会と監査部とで
リスク分析と必要な対応策についての協議を深め、組織監査の強化を図っていくことを確
認しました。
 また、現在実施している子会社内部管理体制、業務手順の再確認の内容をベースに関連事
業統括室との連携する必要性について確認し、2021 年1月 19 日に第1回目の監査等委員
会・監査部・関連事業統括室協議会を開催しました。その結果、監査等委員会および監査部
から監査結果によるリスク分析を、関連事業統括室からはグループ会社の運営についての
事項を共有し、管理体制の整備・強化を図っていくこととしました。この協議会は2か月毎
に開催することとし、次回は3月に行う予定です。
 【実施状況および運用状況】
 監査等委員会と監査部の協議会の開催頻度は従来年2回のところ、2020 年4月~2021 年
3月の期間に7回、2021 年4~7月に4回開催し、監査等委員会よりリケビタ・インド、
リケビタ・トルコ、理研維他精化食品工業(上海)、天津理研維他食品、理研維他亜細亜の往
査報告、2021 年3月期活動報告、監査部より青島福生食品の監査の状況、青島福生食品以
外の国内外子会社内部統制監査報告の共有と対応策の進捗状況、監査部の 2022 年3月期監
査体制と監査計画について情報交換を行いました。
 2021 年1月に新設された関連事業統括室とは、2か月毎の1、3、5、7月に監査等委
員会・監査部・関連事業統括室協議会を開催しました。協議会では各部署が 2020 年 12 月以
降に行った子会社社長へのヒアリングや資料確認に基づき、国内外子会社におけるリスク
分析評価結果を共有しました。その結果、海外子会社における、複数の会社に共通する改善
すべき課題や本社側への要望事項として『規程類の整備見直し』『リスク管理活動』『情報




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 セキュリティ対策』『人材育成・後継者育成』『BCP』『販売管理のルール』『購買管理の
 ルール』『在庫管理のルール』の8項目を確認しました。
      その後、2021 年6月 11 日に海外販売担当、海外生産担当、システム担当、総務・人事担
 当の本社関連部門および関連事業統括室、監査部、監査等委員が参加した海外関係会社監査
 報告会を開催し、上記改善すべき項目の進捗状況を確認しました。また、7月 28 日に監査
 等委員会・監査部・関連事業統括室協議会を開催し、進捗状況を確認しました。それぞれの
 項目の状況は下表のとおりです。今後は関連事業統括室とそれぞれの海外子会社が連携し、
 改善活動の定着およびさらなる管理体制の強化を図ります。
項目               改善状況
規程類の整備見直し        関係会社管理規程を 2021 年4月に改訂しました。あわせてグループ
                 規程であるリスク管理規程、機密管理規程、個人情報管理規程、内
                 部情報管理規程、文書管理規程の英文・中文訳を作成し、7月に各
                 子会社に展開しました。
リスク管理活動          関連事業統括室が、7月に海外子会社の個別のリスク事項の一覧表
                 を作成しました。
情報セキュリティ対策       関連事業統括室とシステム部が海外子会社向け情報システムセキュ
                 リティポリシーを7月に策定し、海外子会社に送付しました。
人材育成・後継者育成       「2.(1)②a.サクセッションプランの強化・推進について」に記
                 載しました。(全社の人材育成・後継者育成に海外子会社が含まれ
                 ます)
BCP              関連事業統括室が海外販売子会社に共通する BCP 案を7月に策定
                 し、海外販売子会社に送付しました。各海外販売子会社で各社の実
                 情にあわせた微修正と各国言語への翻訳を行い、8月末までに確定
                 する予定です。
販売管理のルール         関連事業統括室が販売管理ルールを作成し、7月に整備が必要な海
                 外子会社に送付しました。現在英文・中文訳を翻訳業者に依頼して
                 おり、8月末までに完成する予定です。
購買管理のルール         海外製造子会社については ISO 関連規程に購買ルールがあることを
                 6月に確認しました。
在庫管理のルール         関連事業統括室にて在庫管理ルールを策定し、6月に整備が必要な
                 海外子会社に送付しました。
      なお、国内子会社では 2021 年4月に監査部が行った内部監査を踏まえ、2021 年5月に指
 摘を受けた国内子会社3社がそれぞれの改善案を監査部に提出し、監査部は8月5日まで
 に、それらの改善策が実施されたことを確認しました。




                            23
  国内外グループ会社への往査頻度の見直し
 【改善報告書に記載した改善策】
 監査等委員会による往査の頻度を上げるとともに、上記のように監査部との連携を強化
し往査の実効性の向上を図ります。2021 年3月期の監査計画の修正を行い、重要な監査項
目として本件に関する再発防止策の実施状況の確認を追加し、重要拠点への往査を追加で
計画しました。新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限の影響を勘案し、リモート方式
も取り入れて実施します。なお、青島福生食品の往査として 2021 年1月下旬に、日本の監
査等委員および現地訪問中の監査等委員会の補助使用人が、総経理他幹部との Zoom による
映像会議で内部統制の改善状況を確認します。2022 年3月期以降は監査部との分担・連携
により、リケビタ・マレーシア、リケビタ・シンガポール、青島福生食品、天津理研維他食
品、理研維他精化食品工業(上海)の海外主要子会社5社について往査を毎年実施するとと
もに、その他の各事業拠点への往査の頻度も上げて監査機能の強化を図ります。
 【実施状況および運用状況】
 監査等委員会は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、リモートによる往査も取り入
れて監査を実施しました。2020 年4月~2021 年7月の期間中、国内拠点のうち、理研食品、
健正堂は現地訪問による往査を行い、栄研商事、システム部、千葉工場、草加工場、京都工
場、大阪工場は Zoom を利用したリモートによる往査を行いました。また、海外子会社のリ
ケビタ・インド、リケビタ・トルコ、青島福生食品、天津理研維他食品、理研維他精化食品
工業(上海)、理研維他亜細亜は全てリモート往査を実施しました。海外子会社の中で規模
が小さく日本人駐在員がいないリケビタ・インド、リケビタ・トルコに対するリモート往査
では、それぞれ、リケビタ・シンガポールの日本人社長(リケビタ・インド社長を兼任)お
よび理研ビタミンヨーロッパの日本人社長(リケビタ・トルコの社長を兼任)に事前にイン
タビューを行った上でナショナルスタッフとのリモート面談を行い、コロナ禍での営業活
動、受発注プロセス、在庫管理プロセスや営業の進捗状況、 新規取引、価格設定を含む日
常の日本人社長による管理状況について聴取しました。
 監査等委員会は 2022 年3月期の監査計画において、監査部との分担・連携によりすべて
の海外子会社の往査を実施するとともに、その他の各事業拠点への往査頻度も上げて監査
を強化します。海外子会社は、金商法の内部統制評価で多くの項目を実施し、重要性が高い
と認識しているリケビタ・マレーシア、地理的にマレーシアに近く往査効率の良いリケビ
タ・シンガポールの2社の往査を監査部が、天津理研維他食品、理研維他精化食品工業(上
海)、理研維他亜細亜、理研ビタミン USA、ガイモン・エクストラクツ、理研ビタミンヨーロ
ッパ、リケビタ・インド、リケビタ・トルコの8社の往査を監査等委員が行います。また、
国内拠点は子会社(理研食品、栄研商事、サニー包装、健正堂)とすべての工場(草加、千
葉、東京、大阪、京都)、および大阪支店、札幌支店の往査を監査等委員が行います。監査
等委員会は 2023 年3月期以降においても、監査部との分担・連携により、海外主要子会社
4社(リケビタ・マレーシア、リケビタ・シンガポール、天津理研維他食品、理研維他精化




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食品工業(上海))の往査を毎年実施します。また、監査等委員会は、その他の各事業拠点に
ついても、これまでより往査の頻度を上げる計画を立案してまいります。
 2021 年1月 25 日の青島福生食品のリモート往査の際には、現地出張中の監査等委員会の
補助使用人および日本側関連部門(監査部、経理部、関連事業統括室)が青島福生食品内で以
下の確認を行いました。
     業務プロセスに関する証憑類の整備・保管状況の確認
     冷凍倉庫内の在庫の日付および数量について、サンプル調査による在庫管理状況の
      確認
     理研ビタミングループの経営理念の社内啓蒙活動の実施状況の確認


     監査等委員会による取締役会へのフィードバック
 【改善報告書に記載した改善策】
 従来、監査等委員会の監査結果の取締役会への報告は四半期毎でしたが、今後は往査実施
後速やかにリスクの状況について報告し、必要に応じて対応を要請します。直近で実施した
国内子会社(2020 年 12 月 18 日実施)および国内工場(同月 23 日実施)の往査結果の概要
は同月 25 日開催の取締役会へ報告し、国内子会社における固定資産管理の徹底、大型設備
投資案件の振り返りのルール化と当社への報告、コロナ禍における海外わかめ原料の安定
調達と課題、について共有しました。
 【実施状況および運用状況】
 監査等委員会は子会社に対して、コロナ禍の中での事業活動、
                            受発注、
                               在庫管理プロセス、
各種規程類の管理・運用状況、生産管理体制について聴取し、速やかに取締役会への往査・
面談報告を行いました。不正行為または法令・定款に違反する事案は検出されず、対応を要
請するケースはありませんでした。取締役会へのフィードバックの中では、化成品事業部門
が管掌していた化成品製造子会社である健正堂の生産に関するオペレーション上の課題に
ついて報告したところ、生産部門のサポート体制や管掌部門の変更について検討する必要
性を取締役会で認識し、管掌部門を生産部門へ変更する決議へ至った事例がありました。
 2021 年の取締役会への報告は下表のとおりです。
取締役会開催日         報告対象
2021 年1月 29 日   京都工場、大阪工場、青島福生食品
2021 年2月 25 日   食品開発部長、営業本部長、青島福生食品
2021 年3月 25 日   栄研商事、健正堂、リケビタ・インド、リケビタ・トルコ
2021 年6月 22 日   理研維他精化食品工業(上海)、天津理研維他食品
2021 年7月 30 日   理研維他亜細亜




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 監査等委員会と代表取締役との意思疎通の強化
 【改善報告書に記載した改善策】
 監査等委員会は代表取締役社長との意見交換の機会を最低年4回以上確保し、経営方針
の確認等に留まらず、リスク管理の点においても適切なテーマを取り上げ、グループ・ガバ
ナンス向上のための議論を行います。また、今回の再発防止策について進捗状況の確認を行
い、対応策が必要であれば要請を行います。
 2021 年の初回の懇談会として1月 19 日に代表取締役社長と監査等委員全員が出席し、経
営方針および今回の再発防止策の実施状況について、意見交換を行いました。毎年恒例の代
表取締役社長による年頭の辞(2021 年は1月4日に実施、新型コロナウイルス感染防止の
ためオンラインでも配信)では、再発防止に向けた改革に全力で取り組む強い姿勢を全従業
員へ伝え協力を要請しており、今後も社長が社内報などの媒体を通じて従業員へのメッセ
ージ発信を継続し、再発防止に向けた基盤整備を進めていくことを確認しました。また、各
再発防止策について、現時点で滞っている項目はないこと、さらに、新設した関連事業統括
室はグループ会社の全般的な管理・指導を行う社長直轄の部署であり、各部門との協力体制
が不可欠であるため社長のトップダウンの推進力でグループ会社管理体制の強化を行って
いく旨を確認しました。次回の懇談会は4月の開催を予定しております。
 【実施状況および運用状況】
 2021 年1月に引き続き、4月に代表取締役社長と監査等委員全員による懇談会を実施し、
『青島福生食品の不適切会計処理に対する再発防止策の進捗状況』『KAM(監査上の主要な
検討事項)』『当社の人材発掘・育成戦略』について意見交換を行いました。再発防止策に
ついては、項目毎に進捗を確認し、着実に進んでいることを確認しました。さらに中長期的
な人材育成戦略については、人事部が海外を含めた人材のストック、育成、ローテ―ション
の計画的推進、組織改革を進めていくことを確認しました。また、経営幹部の選定プロセス
として、執行役員については人材最適化検討会で議論した候補者をベースに取締役会で任
命決議を行い、常務執行役員および取締役については人材最適化検討会で議論した候補者
を指名委員会で審議し、取締役会において常務執行役員の任命の決議、および定時株主総会
の取締役(監査等委員以外)候補者の決議を行うこととし、任命された経営幹部の育成につ
いては、人事部が作成した研修スケジュールに沿って実施していくことを確認しました。次
回の懇談会は8月を予定しています。本懇談会は四半期に最低1回、年間で4回以上開催し、
代表取締役社長との意思疎通を強化します。


 監査等委員会の補助使用人の設置
 【改善報告書に記載した改善策】
 2021 年1月1日より監査部員との兼任となる監査等委員会の補助使用人を設置しました。
補助使用人は、監査等委員会の往査時の確認事項を適切に設定するための情報収集などの




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監査活動の実効性を高めるために、各拠点の状況に関する事前の調査・情報収集および適切
な往査時確認事項の選定についての補助を中心とした支援を行います。
 なお、当社は「内部統制システム構築の基本方針」において、監査等委員会の職務を補助
すべき使用人に関する事項、ならびに当該使用人の独立性および当該使用人に対する指示
の実効性の確保に関する事項として、当該使用人の任免・異動・人事評価については監査等
委員会の同意を必要とすること、また、当該使用人が他部署の使用人を兼務する場合は監査
等委員会の職務の補助を優先すること、と定めており、当該補助使用人の監査等委員以外の
取締役や業務執行者からの独立性を確保します。
 【実施状況および運用状況】
 補助使用人は、監査等委員会の往査に際し、被監査部門に対し監査部が実施した監査や内
部統制評価の結果、総務部や CSR 推進部が確認している労務管理やコンプライアンス活動
に関する実施状況について、情報収集と提供を行っています。 被監査部門ごとの個別業務
については、監査時の所感や本社関連部門(第1・第2生産本部や国際営業統括部)から得
た月報や合同会議の資料を確認し、子会社間の取引における証憑の保管体制といった気付
き事項を伝えています。今後は被監査部門への事前アンケートの運用を開始し、重点監査項
目の絞り込みによる効率的で実効性の高い監査の実施を図ります。
 2021 年5月より常勤監査等委員および補助使用人による定例連絡会を週1回開催してい
ます。連絡会では、補助使用人が監査部員として行う業務について、常勤監査等委員と情報
共有を行い、監査部全般の業務実施状況を常勤監査等委員が把握し、補助使用人業務の優先
順位やスケジュールを確認しています。また、監査部監査に際し常勤監査等委員から監査等
委員会監査時に発見された留意点や収益認識の変更といった着眼点の助言を得て、被監査
部門以外の事例や一般的な基準を含む広い視野で監査を行い、監査の客観性確保に活かし
ています。


 監査部の増員および内部監査人としての監査スキルの向上
 【改善報告書に記載した改善策】
 2020 年 12 月1日に監査部員を従来の3名から2名増員し、5名としました。増員された
2名は、営業部門、品質保証部門、生産管理部門の職務経験があり、当社の取引先(購買先・
外注先・販売先)の監査や被監査を経験していることから、適正な能力を有していると判断
しました。この2名は監査部長によるガイダンス、および外部機関が行う講習会に参加して
基本的なスキルの習得を図ります。また、外部の会計事務所の支援を受けて実施している海
外子会社の管理体制・業務手順の再確認業務において、インタビューへの同席や打合せでの
議論への参加、書記業務による OJT を実施しています。これらの実務経験を通じ外部専門家
のノウハウを吸収し、早期に戦力といたします。今後は、グループ会社の業務監査の実施頻
度を上げるべく監査部として計画を立案し、必要に応じて増員を図ります。




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 【実施状況および運用状況】
 増員配属された2名は 2020 年 12 月から 2021 年3月までにそれぞれ8回、 回の外部研
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修を受講し、監査業務についての基本的なスキルを修得しました。また、2名に対する OJT
として、期末に近い時期の財務報告に係る内部統制評価や海外子会社社長に対するヒアリ
ングに参加させた上で、調書作成時に、
                 評価、
                   質問の意図および不備の基準について説明し、
実務作業の理解・習得を図りました。また、外部の専門家の助言・指導の下で行われた、海
外子会社の全社的な内部統制の整備や、在庫管理や販売管理といった個別業務の監査を通
じて、監査上の重要な視点や、確認すべき資料とポイントの習得を進めました。
 また、2021 年4月、監査部員を業務監査担当2名と内部統制評価担当2名に分け、増員
配属者2名の早期のスキル向上と業務の効率化を図りました。2021 年4~7月には、国内
子会社4社を含む7件の業務監査を実施しました(2019 年同期実績4件、2020 年は緊急事
態宣言の影響があり1件)。
 内部統制評価は、監査法人と協議し 2021 年3月期分から青島福生食品の販売プロセスや
当社の決算・財務報告プロセスの評価項目を追加して実施しました。2022 年3月期分の評価
は、2021 年4月以降の新組織に基づいた内部統制の改定(担当部署や承認者の見直し)を
確認して、第1四半期に遂行された業務からのサンプル抽出およびその評価を期首計画ど
おりに実施しています。なお、監査部は従来実施していなかった海外子会社の業務監査を追
加した上で、グループ内すべての部署の業務監査を一巡するのに約3年かかっていた往査
頻度を約2年に上げる計画を立て、2021 年 10 月に業務監査担当として1名の増員を予定し
ています。一方、2020 年 12 月に増員された監査部員のうち内部統制評価を担当していた1
名が、2021 年6月に急逝し現在1名減となっています。ただし、青島福生食品が当社グル
ープから外れたことで評価作業の負担が軽減されたこと、および当面は部長および業務監
査担当も内部統制評価業務の一部を行う体制を整えたことで、現在の評価業務に支障は来
しておりません。なお、人員の補充要請を人事部に行っており、適正な人材が見つかり次第
補充する予定です。


 青島福生食品の内部統制の不備の改善(1.(6)③、⑤、⑥に対応)
 当社は 2021 年6月8日に青島福生食品の持分譲渡契約を締結しましたので、この項の内
容は契約締結までの期間の取り組みです。持分譲渡については後述「2.(1)⑦青島福生
食品の当社グループからの切り離し」に記載しました。
 【改善報告書に記載した改善策】
  経営幹部の刷新およびコミュニケーションの強化
 青島福生食品の総経理より辞任の申し出があり、2020 年 11 月 19 日付で受理しました。
後任には、国営企業時代より主に品質管理部門を歴任し、長年にわたり、食品法規の遵守、
各国の認証の取得、顧客の要求する規格への対応を行ってきた現副総経理を同日付で昇格
させると同時に、当社第2生産本部で、青島福生食品を担当していた社員を副総経理に任命




                       28
しました。元総経理は顧問となっておりますが、過去の経緯を確認する程度の業務としてお
り、経営に対する影響は排除しております。これにより親会社としてのガバナンス不足およ
びコミュニケーション不足の解消を図ります。
     当社社員副総経理によるモニタリング
 新型コロナウイルス感染拡大により現時点で現地駐在の時期は未定ですが、駐在までの
間は以下の方法でモニタリングを実施します。
     リモートによる承認または確認
      指定フォーマットおよび PDF によるエビデンスをメールで確認
         販売契約・仕入契約・その他すべての契約書の締結前承認
         販売・仕入の日次結果報告
         支払業務の事前承認(5万元を超える支払はエビデンスの確認)
         入金情報の事後報告(売掛代金回収以外の特殊な入金はエビデンスの確認)
     会計仕訳伝票の正確性確認
      下記の勘定科目に関する会計仕訳伝票についてエビデンスとの照合を実施し、会計仕
     訳伝票が正確に起票されているか確認します。なお、当面の間は外部の会計事務所に調
     査作業を委託し、調査結果について当社経理部が確認します。
         売上高および売掛金の計上伝票:全件
         棚卸資産の計上伝票:全件
         その他の会計仕訳伝票: 20 万元を超える取引に関するもの
     他の中国連結子会社職員の駐在
      当社職員が順次、青島福生食品に出張し同社の業務プロセスの改善活動を実施する予
     定ですが、当社から職員を派遣できない期間については、他の中国連結子会社の職員が
     青島福生食品に駐在し、同社内の様子を現地で確認する体制をとっております。
      青島福生食品への派遣について、これまでの実績および今後の予定は以下のとおりで
     す。
     2020 年 12 月 21 日~12 月 25 日   天津理研維他食品職員
     2021 年1月4日~1月 18 日           理研維他精化食品工業(上海)職員
     2021 年1月 18 日~1月 21 日        天津理研維他食品職員
     2021 年1月 20 日※~2月 10 日       当社職員:経理部・監査部・関連事業統括室
     2021 年2月 17 日~3月3日           当社職員:第2生産本部
     2021 年3月3日~3月 17 日           天津理研維他食品または
                                  理研維他精化食品工業(上海)職員
     2021 年3月 17 日~3月 31 日        当社職員:第2生産本部
     2021 年4月以降                   当社職員または中国における連結子会社から
                                  の派遣を調整して行います。




                                  29
     また、毎朝当社社員副総経理および当社経理部職員、現地駐在職員および青島福生食
    品総経理が Zoom による映像会議で日々の情報の共有を図っております。
     ※ 当社職員(経理部・監査部・関連事業統括室)が1月6日に中国に入国し 14 日間
    の隔離の後、1月 20 日から駐在予定でしたが、中国におけるコロナ感染拡大予防策の
    拡充により 21 日間の隔離が必要となりましたので、当該職員は1月 27 日から駐在する
    こととなりました。駐在者不在期間中は上記の毎朝の映像会議により、青島福生食品の
    状況を把握しています。
【実施状況および運用状況】
財務報告に係る内部統制において開示すべき重要な不備の1つとして判断した全社的な
内部統制の不備、とりわけ情報と伝達およびモニタリング不足を解消するため以下の取り
組みを行いました。
    元総経理は顧問となっていますが、青島福生食品には出社していませんでした。
    当社社員副総経理によるモニタリングは、メールで送付された指定フォーマットおよび
    エビデンス資料を確認する方法で実施しました。また、2021 年4月 28 日から5月 19 日
    までの期間は当社社員副総経理が青島福生食品に駐在し、現地で直接モニタリングを行
    いました。モニタリングの内容は下表のとおりです。
    リモートによる承認または確認(件数は6月8日の持分譲渡契約締結まで)
    契約書の締結前承認           2020 年 12 月以降、135 件の契約内容を確認し、
                        後述「2.(1)⑦青島福生食品の当社グループ
                        からの切り離し」を視野に入れた際に適切では
                        ないと判断した1件の契約締結を見合わせる
                        よう指示しました。
                        契約内容別の件数は以下のとおりです。
                        ・販売契約:34 件
                        ・購買契約:77 件
                        ・役務提供:23 件
    販売・仕入の日次結果報告        2020 年 12 月以降、延べ件数で受注情報 153 件、
                        発注情報 616 件の報告を受けました。
                        受注情報の内訳は以下のとおりです。
                        ・野菜加工品:30 件
                        ・水産加工品:123 件
                        発注情報の内訳は以下のとおりです。
                        ・野菜原材料:100 件
                        ・副原材料:117 件
                        ・包装資材:399 件




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    支払業務の事前承認               2020 年 12 月以降の1件あたり2万元を超える
                            支払情報 162 件について事前に確認し承認しま
                            した。
                              (5万元/件を超える支払については発票
                            (請求書)との整合性確認も実施)
    入金情報の事後報告               2021 年1月以降の1件あたり 10 万元を超える
                            入金実績 99 件について報告を受けました。
                            入金の内訳は以下のとおりです。
                            ・売掛金回収:92 件
                            ・設備賃貸料:5件
                            ・税金還付:2件
    会計仕訳伝票の正確性確認
     2020 年 12 月度から 2021 年3月度の会計仕訳伝票について、調査を依頼した外部の
    会計事務所が青島福生食品を訪問し、記帳された仕訳伝票および関連証憑類を閲覧し、
    必要に応じて青島福生食品の担当者へのヒアリングを行い、仕訳伝票の勘定科目、金額、
    計上時期の正確性を確認しました。
     本件調査で発見された債務計上の遅れおよびこれに伴う資産計上または費用計上の
    遅れについては、「3.意見不表明および結論の不表明解消に向けた取り組み」の件外
    調査結果報告に記載のとおり、2021 年3月期第3四半期または 2021 年3月期の連結財
    務諸表に反映しました。
    改善報告書提出日以降の青島福生食品への派遣実績
    2021 年1月 27 日~2月9日      当社職員:経理部・監査部・関連事業統括室
    2021 年2月 10 日~3月3日      当社職員:経理部・関連事業統括室
    2021 年3月3日~3月5日         当社職員:経理部
                            天津理研維他食品職員
    2021 年3月8日~3月 10 日      当社職員:経理部
                            理研維他精化食品工業(上海)職員
    2021 年3月 10 日~3月 16 日   当社職員:経理部・第2生産本部
    2021 年3月 17 日~3月 19 日   当社職員:経理部
                            天津理研維他食品職員

    2021 年3月 22 日~3月 24 日   当社職員:経理部
                            理研維他精化食品工業(上海)職員

    2021 年3月 25 日~4月2日      理研維他精化食品工業(上海)職員
    2021 年4月6日~4月9日         天津理研維他食品職員
    2021 年4月 12 日~4月 16 日   理研維他精化食品工業(上海)職員
    2021 年4月 19 日~4月 23 日   天津理研維他食品職員




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     2021 年4月 28 日~5月 19 日   当社職員:第2生産本部(青島福生食品副総経
                             理含む2名)
     2021 年5月 20 日~6月 23 日   当社職員:第2生産本部
      当社職員が現地に駐在している期間は当該職員が青島福生食品の状況を直接確認し、
     別の連結子会社からの職員派遣期間は当該職員を通じてあるいは本社との Zoom による
     映像会議で青島福生食品の状況を逐次共有し、把握しました。


     青島福生食品との定例会議の設置
 【改善報告書に記載した改善策】
 当社と青島福生食品のコミュニケーション改善策の1つとして、Zoom による月次会議を
開始しました。2020 年 12 月3日に当社代表取締役社長も出席して第1回目の会議を実施
し、CSR 経営を推進するにあたっての基本となる理研ビタミングループの経営理念の再確認、
当社の置かれている状況の共有、新総経理の所信表明、新型コロナウイルスの影響について
の情報共有を行いました。2021 年1月 14 日に実施した2回目の会議では、青島福生食品に
おける 2020 年 12 月実施の期末実地棚卸の結果報告、2020 年業績および 2021 年計画概要報
告、在庫管理規程の制定について議論しました。
     定例会議出席者
当社             生産部門担当取締役、第2生産本部長、当社社員副総経理、
               関連事業統括室長、経理部長、経営企画部長、監査部長、
               常勤監査等委員
青島福生食品         総経理・財務部長・その他経営幹部


 【実施状況および運用状況】
 月次定例会議は確実に実施しました。2021 年2月 24 日に実施した3回目の会議では、春
節後の経営状況、輸入冷凍水産品の新型コロナウイルス感染リスクに関する手続きの厳格
化による販売への影響、水産原料および製品の販売進捗状況の情報共有を行いました。3月
16 日に実施した4回目の会議では、水産原料および製品の販売進捗確認、新型コロナウイ
ルスの影響、売掛金の回収状況について議論しました。
 また、4月 28 日に実施した5回目の会議では、経営状況、今後の経営方針および各事業
の販売チャネル等の計画について議論しました。
 5月 31 日に実施した6回目の会議では、経営状況、新規取引先との進捗状況について議
論しました。
     第1回から第4回までの定例会議出席者
当社             生産部門担当取締役、第2生産本部長、当社社員副総経理、
               経理部長、経営企画部長、監査部長、常勤監査等委員、
               関連事業統括室長



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青島福生食品      総経理・財務部長・その他経営幹部・通訳
    第5回定例会議出席者
当社          生産部門担当取締役、第2生産本部長、当社社員副総経理、
            経理部長、関連事業統括室長
青島福生食品      総経理・通訳
    第6回定例会議出席者
当社          生産部門担当取締役、第2生産本部長、当社社員副総経理、
            経理部長、関連事業統括室長
青島福生食品      総経理・通訳、(駐在中の第2生産本部職員)


    在庫管理体制の強化およびその他の業務の見直し
【改善報告書に記載した改善策】
    適切な期末実地棚卸の実施
     青島福生食品では 2020 年 12 月 19 日を基準日とした期末実地棚卸を 12 月 21~24 日
    に実施し、継続記録している在庫管理データをもとに作成した棚卸表との整合を確認し
    ました。実地棚卸については、当社からの立ち会い人員の増員を予定しておりましたが、
    新型コロナウイルスの感染拡大による渡航制限の影響により、外部の会計事務所に実地
    棚卸の立ち会いを依頼し、当社に代わっての現物確認を実施しました。また、天津理研
    維他食品の職員1名も立ち会いに参加しました。
     外部の会計事務所からは、実地棚卸において棚札と棚卸表の全件確認、任意の 241 件
    のサンプリングでのテストカウントによる数量の一致および任意の 40 件のサンプリン
    グで日付情報確認を実施したところ、いずれも問題はなかった旨の結果報告を受けてお
    ります。
    在庫管理プロセスの改善
     2020 年9月末を基準日とした実地棚卸以降、青島福生食品における在庫の入出庫を
    継続的に記録する在庫管理方法を導入しました。当面は Excel による簡易的な管理方法
    ですが、品名・数量のほか原材料であれば仕入日・漁獲日、製品であれば製造日・賞味
    期限情報を含めた情報を一元管理するよう改めました。
     また、これまで明確に文書化されていなかった日々の在庫入出庫時に作成する書類や
    現物との確認方法、各プロセスにおける責任者、また先入先出の原則、在庫の滞留状況
    の報告および滞留在庫の処理時の承認ルール、さらに日付 数量情報が一元化された
                              ・           「在
    庫管理表」の作成手順を定めた在庫管理規程の策定に着手しており、2021 年1月に運用
    を開始します。
     さらに、冷凍庫内の現物確認を容易にするため、2020 年 10 月以降に仕入した原材料
    から、仕入日を記載したラベルを外装箱に貼付することをルール化し、運用を開始しま
    した。



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     販売プロセスの内部統制の再構築
      これまで連結財務諸表に占める割合が低かったため、財務報告に係る内部統制の評価
     対象としていなかった青島福生食品の販売プロセスにつき、同社の売上高増加を鑑み、
     2021 年3月期より評価対象とする準備を進めておりました。
      2019 年の当社経理部および監査部の青島福生食品出張の際に担当部門にヒアリング
     した結果、および入手した関連資料に基づき当社が作成した内部統制評価3点セット
     (業務記述書・フローチャート・リスクコントロールマトリックス)を利用して販売プ
     ロセスの内部統制の整備状況および運用状況を評価します。現在、監査部の担当者は中
     国国内におり 21 日間の隔離期間中ですが、隔離が解除される予定の1月 27 日以降、評
     価を開始します。
      特に、販売の実在性を証明できる証憑類の整備、新規販売先との取引開始にあたって
     の取引先の信用調査を含む取引開始判断のルール化に重点を置いて改善を図ります。
      また、青島福生食品が第一次調査を受けて自ら策定した業務改善ルールについて、外
     部専門家の協力を得ながら整備状況を評価し、不足していた個別の受注時の販売単価お
     よび数量に関する責任者による明確な承認方法を定めたルールの制定、顧客の与信管理
     制度に関する審査記録の保存、請求書発行プロセスにおける契約締結された販売単価と
     の照合、を統制として追加するとともに、2021 年1月に当社監査部が出張した際にその
     運用状況を確認します。
      青島福生食品が策定した業務改善ルールは、以下のとおりです。
     販売時(出荷時)に「納品書(送り状)」に販売先の受領印を入手することの徹底
     原材料購入時に仕入先から交付される納品書への仕入先の署名押印と保管の徹底
     契約審査制度の導入(仕入、販売価格決定プロセスの確立および仕入、販売価格の分
     析の実施)
     取引先管理制度の導入(取引先評価制度、新規取引先調査の実施)
     経理業務・購買・生産計画業務などその他の業務プロセスの改善
      経理業務は 2021 年1月の当社経理部長の出張時に、購買・生産管理業務は、工場に
     おける間接業務に長けている第2生産本部の社員を担当とし、青島福生食品の業務プロ
     セスの問題点を洗いだし改善を図ります。いずれも当社のほか外部の専門家の協力を得
     ながら進めてまいります。
 【実施状況および運用状況】
 財務報告に係る内部統制において開示すべき重要な不備の1つとして判断した「青島福
生食品の全社的な内部統制、決算・財務報告および生産系業務プロセスに係る内部統制の不
備」の解消に向けて、以下の取り組みを行いました。
     在庫管理プロセスの改善
      2020 年9月末を基準日とした実地棚卸以降、在庫の入出庫を継続的に記録する在庫
     管理方法を継続しました。




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     当社監査部が確認および評価した結果、作成している在庫管理表は品名、規格、保管
    場所、数量(重量)に加え、棚卸資産評価の基礎となる日付情報(入庫時の製造日、使
    用期限、出庫時の出荷日)もデータ化されており、作成部門である冷蔵管理部の責任者
    が毎月末に確認していました。
     在庫管理表作成の基礎資料における日付情報に一部不備(消費期限の一部未記載)が
    ありましたが在庫管理表全体の正確性に重要な影響を与えるほどの不備ではないと判
    断しました。
     また、2020 年 12 月に当該在庫管理表に基づいて実地棚卸を実施したほか、各月の月
    末残高については当社経理部でも財務諸表と一致していることを確認しました。
     さらに、青島福生食品において 2021 年1月に制定した「在庫管理規程」において以
    下の業務手順について明確にルール化し、在庫管理が適切に行える体制を整備しました。
        在庫の入出庫時の手順および作成資料、管理責任者
        在庫管理データの作成手順および管理責任者
        先入先出の原則
        在庫の滞留状況(今後3ヶ月で品質保持期限を迎える在庫)の報告および滞留在
         庫の処理時の経営者による承認ルール
        異常品発生時の報告および処理申請、管理責任者
     また、新規仕入原材料の外装箱に仕入日を記載したラベルを貼付し、冷凍庫内の現物
    確認を容易にする仕組みも導入しました。
    販売プロセスの内部統制の再構築
     販売プロセスの内部統制については、新たに内部統制の3点セット(業務記述書・フ
    ローチャート・リスクコントロールマトリックス)を整備し、それに基づき運用状況の
    評価を行いました。改善対策を行った後のサンプル評価については手順どおり作業が実
    施されており、一部に中国語表記と英語表記の社名の相違や入金(回収)の遅れはある
    ものの内部統制上の重要な不備は発見されませんでした。
     当社が重点改善項目と判断した「販売の実在性を証明する証憑類の整備」および「新
    規販売先との取引開始判断のルール化」については、次項「青島福生食品が策定した業
    務ルールの整備・運用状況および評価」に記載のとおり、販売先の受領印を入手するこ
    とに関して一部不備があったものの、改善が図られていることを確認しました。
    青島福生食品が策定した業務ルールの整備・運用状況および評価
     2021 年1月 27 日~2月6日に当社監査部が出張した際に、下記のとおり遵守されて
    いることを確認しました。
販売時(出荷時)に「納品書(送り状)」に        販売先各社に受領サイン権限委嘱者を定
販売先の受領印を入手することの徹底           める「授権書」の提出を求め、「発貨単
                            (納品書)」に販売先の権限委嘱者の受




                       35
                           領のサインを入手していることを確認し
                           ました。
                           なお、一部の販売先は受領サインの権限
                           を青島福生食品の職員に委嘱しており、
                           同職員の代理受領サインが記載された取
                           引が発見されましたが、当該取引は同社
                           の売上高全体に占める割合が1%に満た
                           ないため、重要な不備ではないと判断し
                           ました。
原材料購入時に仕入先から交付される納品        原材料購入時に仕入先のサインまたは押
書への仕入先の署名押印と保管の徹底          印のある納品書を入手し保管しているこ
                           とを内部統制評価にて確認しました。
契約審査制度の導入(仕入、販売価格決定プ       新規販売契約締結の際に見積原価計算を
ロセスの確立および仕入、販売価格の分析        行い適正な利益を確保できる販売価格で
の実施)                       の契約となっていることを確認する体
                           制、また新規仕入または役務提供契約締
                           結の際に3社から相見積を取り、取引価
                           格や取引条件を比較検討して経済的合理
                           性のある取引先と契約する体制を整備・
                           運用していることを確認しました。
取引先管理制度の導入(取引先評価制度、新       新規販売先に対する取引先調査を実施し
規取引先調査の実施)                 ました。
                           取引先の評価、与信額の設定は順次進め
                           ましたが、他の改善項目への対応を優先
                           したため完成には至りませんでした。
    経理業務・購買・生産計画業務などその他の業務プロセスの改善
     経理業務については、外部専門家(公認会計士)に依頼している会計仕訳伝票の正確
    性確認において発見された経費の計上遅れ問題について、その都度青島福生食品の財務
    部門にフィードバックして、当社経理部長が改善を促しました。
     また、青島福生食品が自ら経理業務改善の一環として 2021 年1月度より導入した会
    計システムについて、当社経理部長が青島福生食品に出張した際に実際の業務手順を確
    認するとともに、当社経理部および外部専門家が会計システムから出力した複数の勘定
    科目の元帳が正確に作成されていることを確認しました。
     これまで起票した仕訳伝票に基づいて手書きで転記して作成していた総勘定元帳や
    補助元帳が、会計システムの導入によって自動的に作成されることにより、時間短縮だ
    けでなく記帳ミスの発生が防止できるなど、経理業務の合理化が図られました。




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      また、当社経理部による件外調査や、外部会計事務所に依頼した仕訳伝票確認作業も
     スムーズに実施できるようになりました。
      購買・生産計画業務プロセスについては、工場における間接業務に長けている当社第
     2生産本部社員を 2021 年3月 10~16 日に派遣し、インタビューと帳票のサンプリング
     による業務確認と評価を実施しました。購買業務については生産計画に基づき必要な原
     材料を必要なタイミングで発注していることを、生産計画業務プロセスにおいては生産
     リードタイムの設定、生産計画の平準化、中期生産計画に基づく短期生産計画への落と
     し込みといった同プロセスの主業務を実施、運用していることを確認しました。これら
     業務プロセスにおいて、即時改善が必要となる大きな不備はありませんでした。


     青島福生食品の従業員の意識改革
 【改善報告書に記載した改善策】
 青島福生食品の経営幹部、経理責任者に対して、上場企業の子会社として必要な財務報告
に係る知識を教育します。2020 年 12 月3日に実施しました第1回定例会議において、財務
報告の重要性について改めて説明したうえで、財務報告に影響を与える可能性のある事象
について適時に当社に