4526 理研ビタミン 2021-01-25 16:00:00
東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ [pdf]

                                           2021 年1月 25 日
各     位
                          会 社 名   理研ビタミン株式会社
                          代表者名    代表取締役社長       山木   一彦
                                  (コード番号 4526   東証第一部)
                          問合せ先    経営企画部長        池田   航
                                  (TEL 03-5362-1315)


          東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ

 当社は、過年度決算短信等を訂正した件につきまして、2021 年1月8日付で株式会社東京証券取引
所より、有価証券上場規程第 502 条第1項第1号に基づき、その経緯および改善措置を記載した「改善
報告書」の提出を求められておりましたが、本日別添のとおり提出いたしましたので、お知らせいたし
ます。


別添書類:改善報告書


                                                     以   上
                       改善報告書
                                     2021 年1月 25 日


株式会社東京証券取引所
代表取締役社長   清田   瞭   殿
                               理研ビタミン株式会社
                               代表取締役社長   山木 一彦


 この度、過年度決算短信および四半期決算短信、ならびに過年度有価証券報告書および四半
期報告書(以下、「過年度決算短信等」という)の一部訂正の件について、有価証券上場規程
第 502 条第3項の規定に基づき、その経緯および改善措置を記載した改善報告書をここに提出
いたします。




                         1
目次
1.経緯 ........................................................................... 3
  (1) 過年度決算訂正の内容 ...................................................... 3
       訂正した過年度決算短信等 ................................................... 3
       過年度決算短信等の訂正による業績への影響額 .................................. 4
  (2) 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯 .................................... 8
  (3) 特別調査委員会による調査 ................................................. 11
       調査の目的 ................................................................ 11
       特別調査委員会の構成 ...................................................... 11
       特別調査委員会の調査方法の概要............................................. 11
  (4) 調査により判明した事実の概要等 ........................................... 11
       エビの加工販売の取引事案について........................................... 11
       棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理事案について ......................... 12
  (5) 訂正に係る具体的な会計処理の内容 ......................................... 13
       エビの加工販売の取引事案について........................................... 13
       棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理事案について ......................... 14
2.改善措置 ...................................................................... 15
  (1) 不適正開示の発生原因の分析 ............................................... 15
       当社のトップマネジメントが長期にわたり子会社管理に直接関与していたこと ..... 15
       取締役会の業務執行に対する監督機能の不足 ................................... 15
       グループ・ガバナンスの脆弱さ............................................... 16
       監査機能が十分に機能していなかったこと ..................................... 17
       青島福生食品の総経理の長期間にわたるマネジメント ........................... 18
       青島福生食品における内部統制の不備......................................... 18
  (2) 再発防止に向けた改善措置(実施済みのものを含む) ......................... 19
       経営責任の明確化(2.(1)①に対応)...................................... 19
       取締役会の機構改革(2.(1)②に対応) .................................... 19
       経営幹部の職責に対する意識改革(2.(1)②に対応) ........................ 20
       監査等委員会による監査機能の強化および内部監査体制の強化(2.(1)④に対応)
     ............................................................................. 20
       青島福生食品の内部統制の不備の改善(2.(1)③、⑤、⑥に対応) ............ 22
       子会社に対する管理強化・コンプライアンス教育の強化(2.(1)③に対応) .... 26
  (3) 改善措置の実施スケジュール ............................................... 28
3.意見不表明および結論の不表明解消に向けた取り組み .............................. 29
4.不適切な情報開示等が投資家および証券市場に与えた影響についての認識 ............ 30




                                         2
1. 経緯
(1) 過年度決算訂正の内容
 当社は、2020 年9月 23 日、当社連結子会社である青島福生食品有限公司(以下、「青島福
生食品」という)におけるエビの加工販売の取引に関する特別調査委員会の調査報告書を開示
し、同月 30 日、過年度の決算短信等の訂正を行いました。また、同年 10 月 28 日に青島福生食
品の棚卸資産の評価に関して決算短信等の訂正を再度行い、2016 年3月期から 2020 年3月期
までの訂正後の連結財務諸表について監査意見を表明しない旨の監査報告書等を受領しまし
た。訂正した過年度決算短信等および業績への影響額については、以下のとおりです。


   訂正した過年度決算短信等
 【有価証券報告書】
   第 80 期(自    平成 27 年4月1日     至     平成 28 年3月 31 日)
   第 81 期(自    平成 28 年4月1日     至     平成 29 年3月 31 日)
   第 82 期(自    平成 29 年4月1日     至     平成 30 年3月 31 日)
   第 83 期(自    2018 年4月1日      至     2019 年3月 31 日)
   第 84 期(自    2019 年4月1日      至     2020 年3月 31 日)


 【四半期報告書】
   第 82 期第2四半期(自 平成 29 年7月1日            至   平成 29 年 9 月 30 日)
   第 82 期第3四半期(自 平成 29 年 10 月1日         至   平成 29 年 12 月 31 日)
   第 83 期第1四半期(自     2018 年4月1日         至   2018 年6月 30 日)
   第 83 期第2四半期(自     2018 年7月1日         至   2018 年9月 30 日)
   第 83 期第3四半期(自     2018 年 10 月1日      至   2018 年 12 月 31 日)
   第 84 期第1四半期(自     2019 年4月1日         至   2019 年6月 30 日)
   第 84 期第2四半期(自     2019 年7月1日         至   2019 年9月 30 日)
   第 84 期第3四半期(自     2019 年 10 月1日      至   2019 年 12 月 31 日)


 【決算短信】
   平成 28 年3月期    決算短信〔日本基準〕(連結)
   平成 29 年3月期    決算短信〔日本基準〕(連結)
   2018 年3月期    決算短信〔日本基準〕(連結)
   2019 年3月期    決算短信〔日本基準〕(連結)
   2020 年3月期    決算短信〔日本基準〕(連結)




                               3
【四半期決算短信】
  平成 30 年3月期   第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  平成 30 年3月期   第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  2019 年3月期   第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  2019 年3月期   第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  2019 年3月期   第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  2020 年3月期   第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  2020 年3月期   第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  2020 年3月期   第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)


   過年度決算短信等の訂正による業績への影響額
【連結財務諸表】                                      (単位:百万円)
   期間               項目   訂正前       訂正後       影響額       変動率
              売上高         88,072    88,072         -         -
              営業利益         6,029     6,007    △22      △0.4%
  第 80 期
              経常利益         5,343     5,321    △22      △0.4%
平成 28 年3月期
              当期純利益        4,129     4,107    △22      △0.5%
   通期
              総資産        109,094   109,030    △64      △0.1%
              純資産         74,406    74,341    △64      △0.1%
              売上高         87,181    87,181         -         -
              営業利益         7,061     6,820    △241     △3.4%
  第 81 期
              経常利益         6,489     6,248    △241     △3.7%
平成 29 年3月期
              当期純利益        4,330     4,089    △241     △5.6%
   通期
              総資産        109,648   109,342    △305     △0.3%
              純資産         53,916    53,611    △305     △0.6%
              売上高         43,328    43,328         -         -
              営業利益         3,378     3,341    △36      △1.1%
  第 82 期
              経常利益         2,942     2,905    △36      △1.3%
平成 30 年3月期
              四半期純利益       2,039     2,002    △36      △1.8%
 第2四半期
              総資産        114,992   114,655    △337     △0.3%
              純資産         58,487    58,150    △337     △0.6%




                          4
    期間               項目   訂正前        訂正後       影響額       変動率
               売上高         66,498     66,498         -         -
               営業利益         5,556      4,748    △808     △14.5%
   第 82 期
               経常利益         5,021      4,213    △808     △16.1%
平成 30 年3月期
               四半期純利益       3,522      2,714    △808     △22.9%
  第3四半期
               総資産        113,747    112,606   △1,141    △1.0%
               純資産         60,988     59,846   △1,141    △1.9%
               売上高         89,515     89,515         -         -
   第 82 期      営業利益         6,264      5,424    △840     △13.4%
 2018 年3月期     経常利益         5,427      4,587    △840     △15.5%
(平成 30 年3月期)   当期純利益        5,640      4,800    △840     △14.9%
    通期         総資産        112,192    110,994   △1,198    △1.1%
               純資産         60,109     58,919   △1,189    △2.0%
               売上高         22,108     22,108         -         -
               営業利益         1,364      1,295     △69     △5.1%
   第 83 期
               経常利益         1,363      1,294     △69     △5.1%
 2019 年3月期
               四半期純利益          880      810      △69     △7.9%
  第1四半期
               総資産        112,786    111,545   △1,240    △1.1%
               純資産         61,472     60,240   △1,232    △2.0%
               売上高         43,801     43,801         -         -
               営業利益         2,306      2,237     △69     △3.0%
   第 83 期
               経常利益         2,150      2,081     △69     △3.2%
 2019 年3月期
               四半期純利益       1,555      1,486     △69     △4.5%
  第2四半期
               総資産        114,545    113,322   △1,222    △1.1%
               純資産         63,104     61,890   △1,213    △1.9%
               売上高         67,237     67,237         -         -
               営業利益         4,554      4,096    △458     △10.1%
   第 83 期
               経常利益         4,486      4,028    △458     △10.2%
 2019 年3月期
               四半期純利益       3,217      2,759    △458     △14.2%
  第3四半期
               総資産        110,776    109,183   △1,593    △1.4%
               純資産         61,931     60,346   △1,584    △2.6%




                           5
    期間             項目   訂正前       訂正後       影響額       変動率
             売上高         89,888    89,024     △863     △1.0%
             営業利益         5,052     4,580     △472     △9.3%
  第 83 期
             経常利益         4,860     4,388     △472     △9.7%
 2019 年3月期
             当期純利益        3,949     2,623   △1,325    △33.6%
    通期
             総資産        111,392   109,706   △1,685     △1.5%
             純資産         61,624    59,229   △2,394     △3.9%
             売上高         22,864    20,493   △2,371    △10.4%
             営業利益         1,640     1,455     △184    △11.2%
  第 84 期
             経常利益         1,575     1,388     △187    △11.9%
 2020 年3月期
             四半期純利益       1,040   △1,451    △2,491          -
  第1四半期
             総資産        108,249   105,981   △2,267     △2.1%
             純資産         61,269    56,326   △4,943     △8.1%
             売上高         48,336    41,531   △6,805    △14.1%
             営業利益         3,375     3,032     △342    △10.2%
  第 84 期
             経常利益         3,078     2,728     △350    △11.4%
 2020 年3月期
             四半期純利益       2,105   △5,479    △7,584          -
  第2四半期
             総資産        107,492   103,880   △3,612     △3.4%
             純資産         62,380    52,727   △9,652    △15.5%
             売上高         72,557    63,102   △9,455    △13.0%
             営業利益         5,680     5,249     △430     △7.6%
  第 84 期
             経常利益         5,662     5,218     △443     △7.8%
 2020 年3月期
             四半期純利益       4,149   △5,551    △9,700          -
  第3四半期
             総資産        109,639   106,650   △2,988     △2.7%
             純資産         64,327    52,851   △11,476   △17.8%
             売上高         82,974    82,974         -         -
             営業利益         6,389     5,307   △1,081    △16.9%
  第 84 期
             経常利益         6,127     5,045   △1,081    △17.7%
 2020 年3月期
             当期純利益      △7,851    △8,933    △1,081          -
    通期
             総資産        104,452   101,853   △2,599    △2.5%
             純資産         49,373    46,789   △2,584    △5.2%
(注)当期純利益は「親会社株主に帰属する当期純利益」を、四半期純利益は「親会社株主に
   帰属する四半期純利益」を指します。




                         6
 なお、9月 30 日の決算短信等の訂正原因となった、エビの加工販売の取引の実在性が確認で
きなかったことに対する売上および売上原価の取り消し、特別損失の計上(表中、「エビ取
引」という)、また、10 月 28 日の決算短信等の訂正原因となった棚卸資産の評価に関する不
適切な会計処理に対する棚卸資産評価損の計上(表中、「棚卸資産」という)について、訂正
が重複する期間についての内訳は以下のとおりです。
 【連結財務諸表】                                   (単位:百万円)
    期間             項目                訂正内訳
                        エビ取引         棚卸資産       訂正額合計
             売上高             △863           -      △863
             営業利益             △10      △461        △472
   第 83 期
             経常利益             △10      △461        △472
 2019 年3月期
             当期純利益           △863      △461       △1,325
    通期
             総資産             △111     △1,574      △1,685
             純資産             △837     △1,556      △2,394
             売上高            △2,371          -     △2,371
             営業利益             △66      △117        △184
   第 84 期
             経常利益             △69      △117        △187
 2020 年3月期
             四半期純利益         △2,374     △117       △2,491
  第1四半期
             総資産             △541     △1,725      △2,267
             純資産            △3,235    △1,707      △4,943
             売上高            △6,805          -     △6,805
             営業利益            △134      △207        △342
   第 84 期
             経常利益            △142      △207        △350
 2020 年3月期
             四半期純利益         △7,376     △207       △7,584
  第2四半期
             総資産            △1,881    △1,730      △3,612
             純資産            △7,940    △1,712      △9,652
             売上高            △9,455          -     △9,455
             営業利益            △198      △232        △430
   第 84 期
             経常利益            △211      △232        △443
 2020 年3月期
             四半期純利益         △9,468     △232       △9,700
  第3四半期
             総資産            △1,290    △1,697      △2,988
             純資産            △9,795    △1,680     △11,476
(注)当期純利益は「親会社株主に帰属する当期純利益」を、四半期純利益は「親会社株主に
   帰属する四半期純利益」を指します。




                        7
(2) 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯
   エビの加工販売の取引の疑義
   2020 年7月 20 日に、当社は会計監査人である有限責任 あずさ監査法人(以下、「あ
  ずさ監査法人」という)から、青島福生食品のエビの加工販売の取引について、現時点に
  おいて監査意見を表明するに足る十分な監査証拠を得られていない旨の通知を受けまし
  た。
   上記通知を受け当社は、青島福生食品のエビ加工販売の取引に係る実在性の疑義につい
  て、より主体的な調査を行うために、外部の専門家である弁護士および公認会計士ならび
  に社外監査等委員で構成される特別調査委員会の設置を 2020 年7月 27 日開催の臨時取締
  役会において決議しました。
   その後、2020 年9月 23 日に当社は青島福生食品において疑義が生じているエビの加工
  販売の取引について、その実在性を確認するには至らなかったとする特別調査委員会の第
  一次調査報告書を受領しました。


   過年度の決算短信等の訂正と 2021 年3月期第1四半期報告書の延長申請
   2020 年9月 30 日に、特別調査委員会の第一次調査報告書を真摯に受け止め、過年度の
  決算短信等の訂正を行いました。また同日、2021 年3月期第1四半期報告書について 2020
  年 10 月 16 日までの提出期限延長の申請を関東財務局に行い、同日に承認されました。


   棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理の疑義の発覚
   2020 年9月 30 日に青島福生食品から受領した 2020 年8月度月次決算報告において、鱈
  を中心とした水産加工品の一部が通常とは異なる低価格で売上計上され、それに伴い約 26
  億円の営業損失が計上されていたことから、同年 10 月1日に青島福生食品に対し、事実関
  係の説明および関連書類の提出を求めたところ、青島福生食品からは、滞留していた原材
  料や製品の一部について、飼料用途として廉価で処分販売していたとの報告を受けまし
  た。
   この報告により、青島福生食品と当社の間で、在庫の仕入・製造時期についての認識に
  相違があることが判明し、過年度においてそれらの評価が適切に行われていなかった疑
  い、およびその結果として過年度の連結貸借対照表上の棚卸資産が過大に計上されていた
  疑いが生じました。
   そのため当社は、同月7日、エビ取引の実在性に関する調査の目的で設置した特別調査
  委員会に改めて調査を委嘱することを臨時取締役会において決議しました。




                        8
 2021 年3月期第1四半期報告書の遅延と監理銘柄(確認中)の指定
 上記のとおり、新たに青島福生食品の棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理の疑義
が生じたことから、2021 年3月期第1四半期報告書について、延長承認された提出期限で
ある 2020 年 10 月 16 日までに提出できない見込みとなりました。
 そのため、同月 15 日付で当該四半期報告書の提出遅延に関する適時開示を行い、当社株
式は同日付で監理銘柄(確認中)に指定されました。その後、延長承認後の提出期限であ
る同月 16 日の経過後8営業日以内である同月 28 日に当該四半期報告書を提出したため、
当社株式の監理銘柄(確認中)の指定は解除されました。


 過年度の決算短信の再度の訂正、および 2016 年3月期から 2020 年3月期までの訂正後
の財務諸表についての監査法人の意見不表明
 上記1.(2)③のとおり、当社は、新たに青島福生食品の棚卸資産の評価に関する不
適切な会計処理の疑義が発生したことを受け、再度特別調査委員会を設置しました。
 特別調査委員会の調査は継続していましたが、2020 年 10 月上旬に実施した実地棚卸、
また棚卸資産についての書類および青島福生食品からの事実関係の説明を確認した結果か
ら、当社としては過年度において連結貸借対照表上の棚卸資産の評価が適切に行われてい
なかったと判断し、同年 10 月 28 日に過年度の有価証券報告書および四半期報告書の訂正
報告書を提出し、過年度の決算短信および四半期決算短信についても訂正しました。
 なお、当社は、同日にあずさ監査法人から訂正後の 2016 年3月期から 2020 年3月期ま
での連結財務諸表について、監査意見を表明しない旨の監査報告書を受領しました。ま
た、2016 年3月期第2四半期から 2020 年3月期第3四半期までの訂正後の四半期連結財
務諸表および 2021 年3月期第1四半期の連結財務諸表について結論を表明しない旨の四半
期レビュー報告書を受領しました。
 受領した平成 28 年3月期、平成 29 年3月期、平成 30 年3月期、2019 年3月期、およ
び 2020 年3月期の訂正後の連結財務諸表に係る監査報告書の意見不表明の根拠は次のとお
りです。
  当社は、2019 年3月期および 2020 年3月期の連結会計年度の連結財務諸表の作成に
  あたって、連結子会社の青島福生食品有限公司において実在性が確認できなかった特
  定の顧客向けのエビ加工販売等の取引に係る売上高を取り消し、既入金額を仮受金と
  して計上するとともに、取り消した売上に対応する売上原価(特定の仕入先からの仕
  入高を含む)を特別損失の水産加工品取引関連損失として計上しておりますが、監査
  法人は当該売上の計上および取り消し処理について裏付けとなる十分な記録および資
  料を当社から入手することができなかったこと。
  当社は、平成 28 年3月期、平成 29 年3月期、平成 30 年3月期、2019 年3月期、
  2020 年3月期の連結会計年度の連結財務諸表の作成にあたって、青島福生食品有限公
  司において過年度より滞留していた棚卸資産に係る評価損を売上原価として計上して




                        9
 おりますが、監査法人は当該棚卸資産の評価について裏付けとなる十分な記録および
 資料を当社から入手することができなかったこと。
 当社は、当該棚卸資産の評価に関する事実関係、他の財務数値への影響および内部統
 制への影響についての調査を継続中であるため、監査法人は当該調査の結果を評価で
 きておらず、また、青島福生食品有限公司の全社的な内部統制に重要な不備が存在す
 るため、同社の他の財務数値において、上記の連結財務諸表に重要な虚偽表示を生じ
 させる取引やその他の事象があるか否かについて判断することができなかったこと。
これらの結果、あずさ監査法人は、当社の連結財務諸表を構成する青島福生食品有限公
司の財務情報に関して十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかったため、連結
財務諸表を構成する数値に修正が必要かどうかについて判断することができませんでし
た。


 特別調査委員会による第二次調査報告書の受領
2020 年 11 月 13 日に青島福生食品の棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理につい
て、特別調査委員会の第二次調査報告書を受領しました。


 2021 年3月期第2四半期報告書の提出、四半期連結財務諸表への結論の不表明
2020 年 11 月 16 日に、2021 年3月期第2四半期の四半期報告書を提出しましたが、同四
半期連結財務諸表について、あずさ監査法人から結論を表明しない旨の四半期レビュー報
告書を受領しました。結論の不表明となった根拠は、以下のとおりです。
 当社は、同四半期連結財務諸表の作成にあたって、青島福生食品において実在性が確
 認できなかった特定の顧客向けのエビ加工販売等の取引に係る売上高について、売上
 高の取り消し、既入金額の仮受金計上、およびこれに対応する売上原価を特別損失の
 水産加工品取引関連損失として計上しておりますが、監査法人は当該売上の計上およ
 び取り消し処理について裏付けとなる十分な記録および資料を当社から入手すること
 ができなかったこと。
 当社は、同四半期連結財務諸表の作成にあたって、青島福生食品において過年度より
 滞留していた棚卸資産に係る評価損を売上原価として計上しておりますが、監査法人
 は当該棚卸資産の評価について裏付けとなる十分な記録および資料を当社から入手す
 ることができなかったこと。
 当社が他の財務数値および内部統制への影響を調査中であり、また、青島福生食品の
 全社的な内部統制に重要な不備があるため、同四半期連結財務諸表に重要な虚偽表示
 を生じさせる取引やその他の事象があるか否かについて判断することができなかった
 こと。
これらの結果、あずさ監査法人は、当社の当連結会計年度の四半期連結財務諸表を構成
する青島福生食品の財務情報に関して結論の表明の基礎となる証拠を入手することができ




                      10
  なかったため、四半期連結財務諸表を構成する数値に修正が必要かどうかについて判断す
  ることができませんでした。


(3) 特別調査委員会による調査
      調査の目的
          第一次調査
          青島福生食品のエビの加工販売の取引の事実関係の調査
          第二次調査
          青島福生食品の棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理の疑義の事実関係の調査
          上記に類似する問題の有無および事実関係の調査
          その他、特別調査委員会が必要と認めた事項


      特別調査委員会の構成
  委員長       藤津 康彦   (弁護士 森・濱田松本法律事務所)
  委 員       那須 美帆子(公認会計士 PwCアドバイザリー合同会社)
  委 員       竹俣 耕一   (公認会計士 独立役員 当社社外取締役監査等委員)
  委 員       藤永 敏    (独立役員 当社社外取締役監査等委員)
      なお、第二次調査については前回と異なる調査委員とした場合には初期説明にも時間を
  要してしまう可能性があることから、できる限り迅速かつ確実に調査を進めるために第一
  次調査委員会と同じ構成としました。


      特別調査委員会の調査方法の概要
 a.       第一次調査(エビの加工販売の取引の実在性)
      特別調査委員会は、2020 年7月 28 日から同年9月 23 日までの間、当社および青島福生
  食品から提供された資料の確認・分析、関係者へのインタビューを実施しました。
 b.       第二次調査(棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理)
      特別調査委員会は、2020 年 10 月7日から同年 11 月 13 日までの間、当社および青島福
  生食品から提供された資料の確認・分析、関係者へのインタビュー、実地棚卸への立ち会
  い、デジタルフォレンジックを実施しました。


(4) 調査により判明した事実の概要等
      エビの加工販売の取引事案について
      青島福生食品におけるエビの加工販売の取引に係る売上高は 2018 年 12 月に特定の顧客
  との取引を開始したことにより急増し、同社の 2019 年 12 月期には特定の顧客に対するエ
  ビの加工販売に係る売上高が約 116 億円と同社売上高の7割以上にのぼりました。特別調
  査委員会はこの取引を開始した経緯や取引高が急増した背景、また特定の仕入先を含む取




                             11
引全体の商流について、全容の解明と営業取引としての実在性の有無についての調査を行
いました。
 調査に際しては、新型コロナウイルス感染拡大防止策の観点から移動制限があったほ
か、取引開始の経緯を知る関係者が退職しておりインタビューが実施できなかったこと
や、青島福生食品から十分な調査協力が得られなかったことを含む制約が存在しました。
 調査の結果、エビの加工販売の取引の実在性を否定すべき明確な根拠は検出されません
でしたが、青島福生食品の IT 化・システム化が進んでいない上に、紙媒体の社内記録も精
緻に作成されていなかったため、青島福生食品の社内記録に高い信用性があるとはいえ
ず、青島福生食品の社内に存在する記録および資料からは取引の実在性を確認するには至
りませんでした。
 さらに、この取引に係る取引先が作成、または保管しているはずの証憑類についても、
証拠価値の高い証憑類を入手することができませんでした。
 以上のことから、特別調査委員会は、エビの加工販売の取引の実在性を確認するには至
りませんでした。


 棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理事案について
 その後当社が 2020 年9月 30 日に、青島福生食品から同年8月度月次損益の報告を受け
た際、粗利が大きくマイナスとなっていたため、同年 10 月1日に青島福生食品に対して説
明を求めたところ、市場監督管理局による立入り検査および在庫の処分の経緯について報
告を受けました。報告の内容は以下のとおりです。
    2020 年7月 15 日に、青島福生食品に対し、膠州市の市場監督管理局による立入り
     検査が実施された。これは定例の検査だが、2020 年は新型コロナウイルス感染症拡
     大の影響を受けたこともあり、特に原材料の管理に関して例年より厳格な検査が実
     施された。この調査において、青島福生食品の倉庫に賞味期限を超えた在庫が発見
     されたため、青島福生食品は、賞味期限に関して問題がある在庫を調査し、処分す
     るよう指導を受けた。
    これを受けて青島福生食品は、同年8月6日までに古い在庫の処分方針および在庫
     処分販売計画を決定し、古い在庫を飼料用として安価で販売することにより処分し
     た。
 当社は、青島福生食品から、月次でロット別原材料明細表(以下、「明細表」という)
の提出を受けており、冷凍魚の原材料在庫については仕入から2年間は品質的に問題がな
いとの説明に基づき、仕入後 1.5 年を経過する原材料在庫の有無を確認し、必要に応じて
経年による評価損を計上することとしていました。したがって、本来であれば、明細表に
基づき、滞留在庫の存在を把握できていたはずでした。しかしながら、青島福生食品は、
本来であれば、原材料は先入先出法により使用し、その使用したロットの原材料を明細表
から消し込んでいくという処理を行うべきでしたが、実際には、使用したロットにかかわ




                      12
  らず、古いロットの原材料から順番に明細表から消し込んでいくという処理を行っていた
  ため、当社が提出を受けていた明細表の表示上は、古いロットの原材料から順調に消化さ
  れて滞留在庫が存在しないことになっていました。また、当社は明細表の内容が正確であ
  ることを当然の前提としており、根拠資料の確認までは行っていませんでした。
   また、製品在庫については、当社は青島福生食品に対し、四半期毎に、製造後 1.5 年を
  超過する滞留在庫および廃棄予定の有無について報告を求めていましたが、青島福生食品
  からロット別の滞留在庫の情報が十分に共有されず、ロット単位で滞留在庫に対する評価
  を行った場合には、追加で評価減を計上すべき製品が存在することが判明しました。
   処分対象となった古い在庫は、2015 年~2017 年頃に購入または製造された、鱈等の原材
  料在庫、および鱈や鮭等の製品在庫です。なお、青島福生食品においては、滞留在庫が特
  定できる在庫のリストは作成されておらず、冷凍倉庫内の在庫も必ずしも日付順に整理さ
  れているものでもなかったため、倉庫内で古い日付の在庫を探して特定した上で処分しま
  した。この点、古い在庫については、品質管理部と倉庫部が集計を行い、集計報告書を作
  成し、飼料用として、計4社に廉価で販売しました。販売した在庫の数量合計は 21,189 ト
  ン、そのうち賞味期限切れであった在庫は 14,217 トンです。
   なお、これらの処分在庫に関する取引については、特別調査委員会の調査において、売
  却先に残存していた処分在庫の現物の一部を確認し、売却先である4社中2社へのインタ
  ビューを実施したほか、各売却先との間の売買契約書、物品受領書および発票(請求書)
  の存在を確認しており、青島福生食品の報告どおり滞留在庫の処分であったことについて
  疑わせる事情は検出されませんでした。
   青島福生食品においては滞留在庫の存在自体は経営幹部にも認識されていたものの、青
  島福生食品内で精緻な在庫管理がなされておらず、正確なロット別の情報が存在しません
  でした。そのため当社に対して正確な報告がなされず、当社は滞留在庫の存在を認識する
  ことができませんでした。特別調査委員会は、意図的な隠蔽であったかという視点でも調
  査しましたが、青島福生食品が滞留在庫の存在を意図的に隠蔽していたことを示す証拠は
  見つかりませんでした。


(5) 訂正に係る具体的な会計処理の内容
   エビの加工販売の取引事案について
   2019 年3月期通期から 2020 年3月期第3四半期における当社連結決算において、当社
  としては取引の全容および実在性が確認できなかった特定の顧客向けの売上高を取り消
  し、既入金額を仮受金として計上するとともに、取り消した売上に対応する売上原価(特
  定の仕入先からの仕入高を含む)は営業損益以外の項目と判断し、特別損失に計上する等
  の決算訂正を行い、2020 年9月 30 日に開示しました。また、同様の会計処理を 2020 年3
  月期通期から 2021 年3月期第2四半期についても行いました。




                        13
エビの加工販売の取引に関する会計処理                                     (単位:百万円)
                          2019 年3月期                  2020 年3月期
(連結損益計算書)
売上高の取り消し額                                863                     12,351
特別損失の計上額                                 853                     12,050
(連結貸借対照表)
仮受金の計上額                                  726                     12,348


 棚卸資産の評価に関する不適切な会計処理事案について
 2016 年3月期通期から 2020 年3月期通期における当社連結決算において、2020 年8月
に廉価で販売した水産加工品について棚卸資産の評価の訂正を行い、訂正した決算短信を
2020 年 10 月 28 日に開示しました。なお、2021 年3月期第1四半期および第2四半期にお
いても同様に棚卸資産の評価減を計上しました。


棚卸資産への影響額および売上原価に含まれる棚卸資産評価損の修正額(単位:百万円)
               2016 年      2017 年       2018 年       2019 年    2020 年
               3月期         3月期          3月期          3月期       3月期
(連結貸借対照表)
商品及び製品            △64            △44           △79      △125       △883
原材料及び貯蔵品                         △260    △1,119       △1,448     △1,715
(連結損益計算書)
売上原価                 22           241          848       470       1,079




                            14
2. 改善措置
(1) 不適正開示の発生原因の分析
   当社のトップマネジメントが長期にわたり子会社管理に直接関与していたこと
   青島福生食品は 1994 年、日本の加工食品用の原料供給基地として中国が有望であると考
  えた当時の会長(以下、「元名誉会長」という)が主導し、実際に中国のいくつかの企業
  を視察した上で、当時の国営企業であった青島福生食品を買収しました。買収当時の目的
  は同社が製造する冷凍野菜・乾燥野菜を当社の自社ブランドのレトルト食品およびスープ
  の原料として使用するというものでしたが、当社はそれまで冷凍野菜を事業として扱った
  ことはなく、また同社は元国営企業であり、指示命令系統が強いトップダウン型であった
  ことから買収時の総経理であった者(以下、「元総経理」という)に引き続きマネジメン
  トを任せました。買収直後に当社から1名副総経理として出張させ、現地で業務にあたる
  ことを試みたことがありましたが、当時国営企業のガバナンスが色濃く残っていたため
  か、当社からの出張者による指示に元総経理が反発し、元名誉会長も元総経理にマネジメ
  ントを任せるとの方針を示したため、常駐には至りませんでした。当時の経営陣の中に元
  名誉会長より中国の事業環境について詳しいものはおらず、売上規模から見ても当社経営
  に大きな影響を与えなかったことから、青島福生食品については元名誉会長に任せ、触れ
  ないでいこうという雰囲気が徐々に形成されました。
   また、元名誉会長の後は当時の代表取締役社長(その後、代表取締役会長に就任し、現
  在は退任して顧問。以下、「元会長」という)が青島福生食品の管理を引き継ぎました。
  元会長は同社買収時に常務取締役として視察も行い、買収交渉にも関わったことから、引
  き継ぐのは自然な流れであったと考えられます。取締役会における青島福生食品関連の報
  告は海外担当役員が行っておりましたが、元総経理とのコミュニケーションは元会長が行
  っており、2016 年以降同社の業績が悪化してからは、関連する部署の担当と共に自ら定期
  的に訪問し、元総経理と経営計画や事業の状況について議論を行っていたため、同社の実
  質的な担当は元会長であるとの認識が当社内にありました。
   社内で最も長く経営に携わり、大きな影響力を持つ人物が長期にわたり、青島福生食品
  の経営に最も深く関わっていたことが本件を防止できなかった大きな原因であると考えて
  おります。


   取締役会の業務執行に対する監督機能の不足
   当社は 2006 年に執行役員制度を導入し、また 2017 年に監査等委員会設置会社へ移行な
  らびに東京証券取引所の有価証券上場規程に定める独立役員を4名確保し、取締役会の監
  督機能の強化に努めてまいりました。
   しかしながら、当社の事業領域が多岐にわたっており、当社の取締役(社外取締役の監
  査等委員を除く)はほとんどの場合、各事業部門を長年経験した人物が内部昇格してきた
  ため、担当事業の業務執行については精通しているものの、一方で全社的な経営監督の観




                       15
点や担当外の事業の知識が不十分な状態であり、各事業についての的確な意見や注意すべ
き事項の指摘に至らないという、取締役会の経営監督と業務執行の分離が不明確な状況で
あったと考えております。このため、青島福生食品の経営監督に深く関わっていた元会長
に対して、他の取締役から同社の施策について意見を出すのが難しい状況になり、取締役
会が適切な監督を行うことができませんでした。
 また、当社の指名委員会においては、委員会の委員長を代表取締役である委員とし、招
集権者についても、委員長である代表取締役としてきたため、社外の委員が必要性を認識
した時点での機動的な開催がなされず、青島福生食品が複数年度にわたり業績の回復が見
られなかった時期でも、業務執行が滞っていた取締役の重任について十分な審議を行う機
会を逸していた可能性があると認識しております。指名委員会の審議事項についても、代
表取締役社長が作成した原案審議が主たる審議事項となっていること、および、社外の委
員からの発議や、制度の基本方針の策定・実行・モニタリングについての議論が活発でな
かったことが委員会運営の硬直化を招き、また、サクセッションプランに係る審議を取り
上げてこなかったことで、取締役の資質の精査や長期間の重任について意見具申をする機
会を逸していた可能性があると認識しております。


 グループ・ガバナンスの脆弱さ
 当社は、グループ・ガバナンスの考え方において、当社創業のルーツである「理化学研
究所」から由来する自由闊達な社風という理念から、子会社においても自主自立の考えを
重視してまいりました。また、当社では子会社の設立は各事業部が中心となって進めてき
たため、当社による子会社管理の比重は事業活動の推進および実績管理が中心であり、総
務や経理などの管理部門を含めた運営についての全般的な管理・指導となっておらず、管
理手法を大きく見直すといった対策はとられませんでした。リスク管理の観点において
も、特に海外の子会社運営に関するリスクについては、全社的な重点リスクとしての認識
が十分ではありませんでした。これに加え、青島福生食品においては、当社グループに子
会社化した際の特殊性(他の子会社は当社が設立に関与、青島福生食品は国営企業を買
収)や、買収時から元総経理に経営全般を任せてきたこと、上記2.(1)①で触れたよう
に当社から副総経理の派遣を試みたことはあったものの、常駐には至らずにその後も当社
からの経営陣、管理職の派遣を行ってきませんでした。
 以上のことから青島福生食品に対するガバナンス体制が脆弱であり、同社が上場企業グ
ループの一員であるという意識や企業理念の共有につながらず、日本の会計基準や決算処
理・手続きに対する意味を十分に理解させることができませんでした。
 また、青島福生食品における棚卸資産の不適切な会計処理について、同社社員が遅くと
も 2018 年頃には滞留在庫を認識し、問題と感じていたにもかかわらず、当社へ直接報告が
されませんでした。当社グループ内の内部通報制度が十分に整備されていれば、当社がこ
の問題を早期に把握できた可能性があったと考えております。




                    16
 監査機能が十分に機能していなかったこと
 監査等委員会による監査活動について
 当社監査等委員会の青島福生食品に対する監査活動においては、元総経理との直接の意
思疎通が十分にできなかったこと、往査の頻度が2年に1度程度と低かったことといった
不十分な点がありました。
 元総経理との意思疎通が不十分であった背景としては、監査等委員会の青島福生食品に
対する往査の際、元総経理には監査に対する抵抗感があり、これは多種多様な監査や問合
せ(現地行政当局による種々の監査や現地監査法人による監査、当社担当部門からの確認
事項問合せ)により多くの時間が費やされるため、総経理としての業務に支障をきたすと
の不満があったためと認識しております。また、元総経理との会話は当社の限定された中
国語話者に頼る状況で通訳体制の課題もあったと認識しております。加えて、元総経理の
当社との主たるコミュニケーションが元会長との間になされていたことから、十分な問題
意識を持つには至りませんでした。往査の頻度について従来の年間監査計画では、海外子
会社の重要先は2年~4年に1度程度、青島福生食品は2年に1度と比較的高く設定して
おりましたが、結果としてその頻度でも十分ではありませんでした。
 監査等委員会は青島福生食品に対する個別監査として、取締役会、執行役員会の報告や
書類の閲覧、担当部門、監査部および会計監査人からの報告聴取を通じて事業の状況を確
認し、会計上の確認項目であった保有在庫の実在性・評価の妥当性、債権評価の妥当性、
固定資産の減損および同社に対する当社の投資の評価についての対応は行っていたと認識
していたため、同社に対する監査強化がされず、本件の防止まで至りませんでした。
 監査部による監査活動について
 当社内部監査を担当する監査部は、2008 年の J-SOX 監査導入以降、内部統制の重要な不
備が検出されていなかったこと、会社法内部統制の主管部署である総務部や、推進部署の
CSR 推進部からも特段の問題提起もなかったことから、限られた人的資源での成果獲得を
図るべく、3名体制を維持してきました。このような体制下において、青島福生食品の往
査は財務報告に係る内部統制を中心に実施していたため、コンプライアンスの実践やリス
ク管理といった監査項目については十分な確認が出来ておらず、本件を未然に防止・発見
することができませんでした。
 監査等委員会と監査部の連携について
 監査等委員会と監査部の協議会を年2回開催し、前期の結果や今期の計画および課題の
共有、監査部作成の監査報告書の回覧、年2回の経営会議における監査部長からの内部統
制評価の報告を行い、必要に応じて打合せを行っていました。しかしながらこれらは、形
式的、定型的な内容が主となり、会社状況や外部環境に即した具体的課題に対しての協議
が十分には行えていなかったと認識しております。




                     17
  代表取締役との意思疎通について
 監査等委員会は、代表取締役との意思疎通の機会として、元代表取締役会長および代表
取締役社長と各々年2~4回の懇談会を実施し、中期経営計画の遂行状況、事業運営状況
や取締役会の実効性向上について意見交換を行っておりました。青島福生食品に関して
は、当社の連結決算において特別な検討が必要となる項目の一つとして、同社は仕入時期
が限定された水産原料を扱っており、年間を通じて販売するためには一時期に大量の在庫
を購入する必要があるため、棚卸資産残高が売上高に対して年間を通じて高い水準にあ
り、滞留在庫の発生可能性が高い、として 2014 年以降会計監査人の監査上の重要項目とし
て挙げられていました。このことから、当社としても在庫量や滞留在庫の状況を確認し適
切に連結対応することが重要である旨の議論を行っておりましたが、棚卸資産に関する根
拠資料の確認まで至らず、また本質的なリスク管理やグループ・ガバナンス体制について
深堀するまでは至りませんでした。


 青島福生食品の総経理の長期間にわたるマネジメント
 買収前の国営企業から総経理であった元総経理は 2020 年 11 月 19 日に辞任するまで 25
年以上の長期間、総経理職にありました。青島福生食品のガバナンスはトップダウン型で
あり、重要事項は元総経理を通す必要があったこと、事業内容が当社と異なり、他の海外
子会社のような当社との多部署にわたる連携が必要なかったことから、取引先との契約情
報や公的機関の立ち入り状況報告を含む当社への情報発信は消極的でした。このことから
当社元名誉会長、元会長とのコミュニケーションライン以外実質的に機能せず、当社の連
携すべき関連部署である第2生産本部、経理部とのコミュニケーションが希薄であったこ
とが本件を防げなかった大きな原因であると考えております。


 青島福生食品における内部統制の不備
 本来機能すべき青島福生食品および当社の内部統制について、以下の点に重要な不備が
あり、本件の防止・早期発見に至りませんでした。
  特定の役職者に財務報告に重要な影響を及ぼす取引に関する情報や権限が集中し、意
  思決定の根拠や重要なリスクについて審議する稟議体制や会議体が整備されておら
  ず、青島福生食品におけるガバナンス体制が不十分でした。
  取締役会をはじめとする当社の監視機関による青島福生食品に対するモニタリング体
  制が不十分でした。
  新規取引先の採用や大口販売先の実態について、実務レベル間での協議やその裏付け
  となる資料の受け渡しが不十分なため、適時・適切な情報と実態の把握が出来ていま
  せんでした。
  在庫管理を含む生産系業務プロセスおよび新規販売先の採用や証憑保管を含む販売系
  業務プロセスについて適切な業務手順書が十分に整備されていませんでした。




                       18
   当社との事業上の関係が希薄であり、人材の派遣もなされておらず当社グループの一
   員としての財務報告に係る知識や重要性の認識の共有がなされていませんでした。


(2) 再発防止に向けた改善措置(実施済みのものを含む)
   経営責任の明確化(2.(1)①に対応)
   2020 年 11 月 19 日付「代表取締役および取締役の異動、ならびに役員報酬の減額に関す
  るお知らせ」にて公表しましたとおり、代表取締役会長、常務取締役から取締役辞任の申
  し出がありました。代表取締役専務からも代表権返上の申し出があり、いずれも 2020 年
  11 月 19 日付で受理いたしました。また、その他の取締役においても責任の所在を明確に
  するため、代表取締役の異動および役員報酬の減額を行いました。
 a. 辞任した取締役
  代表取締役会長                    辞任(顧問に就任)
  常務取締役                      辞任
   顧問に就任した元代表取締役会長の任務は、青島福生食品の内部統制の改善のための補
  助業務としております。2021 年3月末日までに退任する予定であり、退任後に当社グルー
  プ会社の役職に就く予定はありません。
 b. 代表取締役の異動および役員報酬の減額
  役職                         内容
  代表取締役社長                    月額報酬 50%減額(6か月)
  代表取締役副社長                   代表取締役専務に降格
  代表取締役専務                    取締役に降格
  取締役(2名)                    月額報酬 30%減額(6か月)
 c. 監査等委員である取締役の申し出に基づく役員報酬の減額
  役職                         内容
  取締役   常勤監査等委員              月額報酬 10%減額(6か月)
  社外取締役 常勤監査等委員              月額報酬 10%減額(6か月)
  社外取締役 監査等委員                月額報酬 10%減額(3か月)


   取締役会の機構改革(2.(1)②に対応)
   今後の取締役会において、サクセッションプランの強化・推進、およびその一環として
  指名委員会のあり方の再検討や、企業経営の経験豊富な外部人材を取締役に登用すること
  について議論のうえ、取締役会の機構改革を進めます。
   サクセッションプランの強化・推進について
   2021 年度に現在の総務部人事室を人事部に昇格させ、人事担当役員と人事部が推進者と
  して部門長以下に関する後継者の選抜および育成計画の策定を行っている「人材最適化検
  討会」の強化を図ります。また、役員候補者については、これまで役員室内にて議論して



                        19
いたものを、社外取締役を含めた取締役会にて議論して参ります。これにより、候補者の
選定に社内外の幅広い知見を用いて議論を行い、担当事業に留まらず、幅広い視点を持っ
た候補者選定につなげます。
  指名委員会および報酬委員会について
 2020 年 12 月 25 日開催の取締役会において、両委員会の規程を変更し、議長を従来の代
表取締役社長から変更し、社外取締役である委員から選任することとしました。また、指
名委員会の審議事項に代表取締役社長および役員の後継者計画の監督を追加し、役員の重
任や定年に係る基準の策定についても審議事項に追加しました。この内容に基づき、2021
年1月開催予定の指名委員会で委員長の選任を実施予定です。
  企業経営の経験豊富な外部人材の取締役への登用について
 これまで当社においては、事業領域が多岐にわたり専門性も高いため、一朝一夕に当社
業務の執行や客観的な判断をすることは困難であると考えており、監査役や監査等委員以
外に非業務執行役員として外部人材を登用することに消極的でした。今後、業務執行の是
非や進捗状況の公正な判断を高めるには、自己の経験に基づき客観的な立場で、当社に対
して的確に指摘できる人材が不可欠であると考え、当社以外での企業経営の経験豊富な人
材を登用する必要性を強く認識し、2021 年6月開催の定時株主総会での選任に向けて候補
者の選定を行っております。


 経営幹部の職責に対する意識改革(2.(1)②に対応)
 取締役については CSR 推進部主催で毎年5月頃に開催する CSR 研修会にて、主に業務や
時事話題に関する内容について研修を行ってまいりましたが、CSR 研修会が社員層も参加
する研修会であり、コーポレート・ガバナンスが研修内容として馴染まなかったこと、ま
た、CSR 推進部はコーポレート・ガバナンスに関しての専門部署でなかったことから、取
締役の資質として重要と考えられるコーポレート・ガバナンスに係る内容を取り上げるこ
とができておりませんでした。このことから 2021 年2月 22 日に取締役、執行役員、関係
会社社長を対象に一般社団法人日本能率協会の主催による、経営幹部の責任・役割、コー
ポレート・ガバナンスに関する研修を追加で実施します。また、新任の取締役について
は、就任年度に経営幹部の責任・役割、コーポレート・ガバナンスに関する研修を実施す
べく対応してまいります。コーポレート・ガバナンスの研修を追加し、毎年継続すること
により、取締役の認識を深め、企業価値の向上につながっていくと考えております。


 監査等委員会による監査機能の強化および内部監査体制の強化(2.(1)④に対応)
  監査等委員会と監査部との連携強化
 監査等委員会と監査部の協議会を年6回以上開催し、各拠点のリスクの状況等を共有
し、リスク評価を行い、監査上の重要項目を定めることにより国内事業所および国内外子
会社に対する監査部監査、監査等委員会監査の実効性および効率性の向上を図ります。




                      20
 直近では 2020 年 12 月 22 日に協議会を開催し、ア)監査等委員会 85 期修正計画、イ)
直近に監査等委員会が実施した子会社往査結果の共有とリスク分析、ウ)監査部による子
会社内部管理体制の調査の進捗状況、エ)監査等委員会・監査部の連携項目についての再
確認、の4点を協議しました。
 協議の結果、今後は基本的に毎月協議会を開催することとし、監査等委員会と監査部と
でリスク分析と必要な対応策についての協議を深め、組織監査の強化を図っていくことを
確認しました。
 また、現在実施している子会社内部管理体制、業務手順の再確認の内容をベースに関連
事業統括室との連携する必要性について確認し、2021 年1月 19 日に第1回目の監査等委
員会・監査部・関連事業統括室協議会を開催しました。その結果、監査等委員会および監
査部から監査結果によるリスク分析を、関連事業統括室からはグループ会社の運営につい
ての事項を共有し、管理体制の整備・強化を図っていくこととしました。この協議会は2
か月毎に開催することとし、次回は3月に行う予定です。
  国内外グループ会社への往査頻度の見直し
 監査等委員会による往査の頻度を上げるとともに、上記のように監査部との連携を強化
し往査の実効性の向上を図ります。2021 年3月期の監査計画の修正を行い、重要な監査項
目として本件に関する再発防止策の実施状況の確認を追加し、重要拠点への往査を追加で
計画しました。新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限の影響を勘案し、リモート方
式も取り入れて実施します。なお、青島福生食品の往査として 2021 年1月下旬に、日本の
監査等委員および現地訪問中の監査等委員会の補助使用人が、総経理他幹部との Zoom によ
る映像会議で内部統制の改善状況を確認します。2022 年3月期以降は監査部との分担・連
携により、リケビタ・マレーシア、リケビタ・シンガポール、青島福生食品、天津理研維
他食品、理研維他精化食品工業(上海)の海外主要子会社5社について往査を毎年実施する
とともに、その他の各事業拠点への往査の頻度も上げて監査機能の強化を図ります。
  監査等委員会による取締役会へのフィードバック
 従来、監査等委員会の監査結果の取締役会への報告は四半期毎でしたが、今後は往査実
施後速やかにリスクの状況について報告し、必要に応じて対応を要請します。直近で実施
した国内子会社(2020 年 12 月 18 日実施)および国内工場(同月 23 日実施)の往査結果
の概要は同月 25 日開催の取締役会へ報告し、国内子会社における固定資産管理の徹底、大
型設備投資案件の振り返りのルール化と当社への報告、コロナ禍における海外わかめ原料
の安定調達と課題、について共有しました。
  監査等委員会と代表取締役との意思疎通の強化
 監査等委員会は代表取締役社長との意見交換の機会を最低年4回以上確保し、経営方針
の確認等に留まらず、リスク管理の点においても適切なテーマを取り上げ、グループ・ガ
バナンス向上のための議論を行います。また、今回の再発防止策について進捗状況の確認
を行い、対応策が必要であれば要請を行います。




                       21
 2021 年の初回の懇談会として1月 19 日に代表取締役社長と監査等委員全員が出席し、
経営方針および今回の再発防止策の実施状況について、意見交換を行いました。毎年恒例
の代表取締役社長による年頭の辞(2021 年は1月4日に実施、新型コロナウイルス感染防
止のためオンラインでも配信)では、再発防止策に向けた改革に全力で取り組む強い姿勢
を全従業員へ伝え協力を要請しており、今後も社長が社内報などの媒体を通じて従業員へ
のメッセージ発信を継続し、再発防止に向けた基盤整備を進めていくことを確認しまし
た。また、各再発防止策について、現時点で滞っている項目はないこと、さらに、新設し
た関連事業統括室はグループ会社の全般的な管理・指導を行う社長直轄の部署であり、各
部門との協力体制が不可欠であるため社長のトップダウンの推進力でグループ会社管理体
制の強化を行っていく旨を確認しました。次回の懇談会は4月の開催を予定しておりま
す。
 監査等委員会の補助使用人の設置
 2021 年1月1日より監査部員との兼任となる監査等委員会の補助使用人を設置しまし
た。補助使用人は、監査等委員会の往査時の確認事項を適切に設定するための情報収集な
どの監査活動の実効性を高めるために、各拠点の状況に関する事前の調査・情報収集およ
び適切な往査時確認事項の選定についての補助を中心とした支援を行います。
 なお、当社は「内部統制システム構築の基本方針」において、監査等委員会の職務を補
助すべき使用人に関する事項、ならびに当該使用人の独立性および当該使用人に対する指
示の実効性の確保に関する事項として、当該使用人の任免・異動・人事評価については監
査等委員会の同意を必要とすること、また、当該使用人が他部署の使用人を兼務する場合
は監査等委員会の職務の補助を優先すること、と定めており、当該補助使用人の監査等委
員以外の取締役や業務執行者からの独立性を確保します。
 監査部の増員および内部監査人としての監査スキルの向上
 2020 年 12 月1日に監査部員を従来の3名から2名増員し、5名としました。増員され
た2名は、営業部門、品質保証部門、生産管理部門の職務経験があり、当社の取引先(購
買先・外注先・販売先)の監査や被監査を経験していることから、適正な能力を有してい
ると判断しました。この2名は監査部長によるガイダンス、および外部機関が行う講習会
に参加して基本的なスキルの習得を図ります。また、外部の会計事務所の支援を受けて実
施している海外子会社の管理体制・業務手順の再確認業務において、インタビューへの同
席や打合せでの議論への参加、書記業務による OJT を実施しています。これらの実務経験
を通じ外部専門家のノウハウを吸収し、早期に戦力といたします。今後は、グループ会社
の業務監査の実施頻度を上げるべく監査部として計画を立案し、必要に応じて増員を図り
ます。


 青島福生食品の内部統制の不備の改善(2.(1)③、⑤、⑥に対応)
 経営幹部の刷新およびコミュニケーションの強化




                     22
青島福生食品の総経理より辞任の申し出があり、2020 年 11 月 19 日付で受理しました。
後任には、国営企業時代より主に品質管理部門を歴任し、長年にわたり、食品法規の遵
守、各国の認証の取得、顧客の要求する規格への対応を行ってきた現副総経理を同日付で
昇格させると同時に、当社第2生産本部で、青島福生食品を担当していた社員を副総経理
に任命しました。元総経理は顧問となっておりますが、過去の経緯を確認する程度の業務
としており、経営に対する影響は排除しております。これにより親会社としてのガバナン
ス不足およびコミュニケーション不足の解消を図ります。
    当社社員副総経理によるモニタリング
新型コロナウイルス感染拡大により現時点で現地駐在の時期は未定ですが、駐在までの
間は以下の方法でモニタリングを実施します。
    リモートによる承認または確認
     指定フォーマットおよび PDF によるエビデンスをメールで確認
         販売契約・仕入契約・その他すべての契約書の締結前承認
         販売・仕入の日次結果報告
         支払業務の事前承認(5万元の支払はエビデンスの確認)
         入金情報の事後報告(売掛代金回収以外の特殊な入金はエビデンスの確認)
    会計仕訳伝票の正確性確認
     下記の勘定科目に関する会計仕訳伝票についてエビデンスとの照合を実施し、会計
    仕訳伝票が正確に起票されているか確認します。なお、当面の間は外部の会計事務所
    に調査作業を委託し、調査結果について当社経理部が確認します。
         売上高および売掛金の計上伝票:全件
         棚卸資産の計上伝票:全件
         その他の会計仕訳伝票: 20 万元を超える取引に関するもの
    他の中国連結子会社職員の駐在
     当社職員が順次、青島福生食品に出張し同社の業務プロセスの改善活動を実施する
    予定ですが、当社から職員を派遣できない期間については、他の中国連結子会社の職
    員が青島福生食品に駐在し、同社内の様子を現地で確認する体制をとっております。
     青島福生食品への派遣について、これまでの実績および今後の予定は以下のとおり
    です。
    2020 年 12 月 21 日~12 月 25 日   天津理研維他食品有限公司職員
    2021 年1月4日~1月 18 日           理研維他精化食品工業(上海)有限公司職員
    2021 年1月 18 日~1月 21 日        天津理研維他食品有限公司職員
    2021 年1月 20 日※~2月 10 日       当社職員:経理部・監査部・関連事業統括室
    2021 年2月 17 日~3月3日           当社職員:第2生産本部
    2021 年3月3日~3月 17 日           天津理研維他食品有限公司または
                                 理研維他精化食品工業(上海)有限公司職員



                                 23
     2021 年3月 17 日~3月 31 日   当社職員:第2生産本部
     2021 年4月以降              当社職員または中国における連結子会社から
                             の派遣を調整して行います。
      また、毎朝当社社員副総経理および当社経理部職員、現地駐在職員および青島福生
     食品総経理が Zoom による映像会議で日々の情報の共有を図っております。
      ※ 当社職員(経理部・監査部・関連事業統括室)が1月 6 日に中国に入国し 14 日
     間の隔離の後、1月 20 日から駐在予定でしたが、中国におけるコロナ感染拡大予防策
     の拡充により 21 日間の隔離が必要となりましたので、当該職員は1月 27 日から駐在
     することとなりました。
      駐在者不在期間中は上記の毎朝の映像会議によるコミュニケーションを確実に実施
     し、青島福生食品の状況を把握します。
     青島福生食品との定例会議の設置
 当社と青島福生食品のコミュニケーション改善策の1つとして、Zoom による月次会議を
開始しました。2020 年 12 月3日に当社代表取締役社長も出席して第1回目の会議を実施
し、CSR 経営を推進するにあたっての基本となる理研ビタミングループの経営理念の再確
認、当社の置かれている状況の共有、新総経理の所信表明、新型コロナ影響についての情
報共有を行いました。2021 年1月 14 日に実施した2回目の会議では、青島福生食品にお
ける 2020 年 12 月実施の期末実地棚卸の結果報告、2020 年業績および 2021 年計画概要報
告、在庫管理規程の制定について議論しました。
     定例会議出席者
当社             生産部門担当取締役、第2生産本部長、当社社員副総経理、
               関連事業統括室長、経理部長、経営企画部長、監査部長、
               常勤監査等委員
青島福生食品         総経理・財務部長・その他経営幹部
     在庫管理体制の強化およびその他の業務の見直し
     適切な期末実地棚卸の実施
      青島福生食品では 2020 年 12 月 19 日を基準日とした期末実地棚卸を 12 月 21 日~24
     日に実施し、継続記録している在庫管理データをもとに作成した棚卸表との整合を確
     認しました。実地棚卸については、当社からの立ち会い人員の増員を予定しておりま
     したが、新型コロナウイルスの感染拡大による渡航制限の影響により、外部の会計事
     務所に実地棚卸の立ち会いを依頼し、当社に代わっての現物確認を実施しました。ま
     た、天津理研維他食品有限公司の職員1名も立ち会いに参加しました。
      外部の会計事務所からは、実地棚卸において棚札と棚卸表の全件確認、任意の 241
     件のサンプリングでのテストカウントによる数量の一致および任意の 40 件のサンプリ
     ングで日付情報確認を実施したところ、いずれも問題はなかった旨の結果報告を受け
     ております。



                             24
    在庫管理プロセスの改善
     2020 年9月末を基準日とした実地棚卸以降、青島福生食品における在庫の入出庫を
    継続的に記録する在庫管理方法を導入しました。当面は Excel による簡易的な管理方
    法ですが、品名・数量のほか原材料であれば仕入日・漁獲日、製品であれば製造日・
    賞味期限情報を含めた情報を一元管理するよう改めました。
     また、これまで明確に文書化されていなかった日々の在庫入出庫時に作成する書類
    や現物との確認方法、各プロセスにおける責任者、また先入先出の原則、在庫の滞留
    状況の報告および滞留在庫の処理時の承認ルール、さらに日付・数量情報が一元化さ
    れた「在庫管理表」の作成手順を定めた在庫管理規程の策定に着手しており、2021 年
    1月に運用を開始します。
     さらに、冷凍庫内の現物確認を容易にするため、2020 年 10 月以降に仕入した原材
    料から、仕入日を記載したラベルを外装箱に貼付することをルール化し、運用を開始
    しました。
    販売プロセスの内部統制の再構築
     これまで連結財務諸表に占める割合が低かったため、財務報告に係る内部統制の評
    価対象としていなかった青島福生食品の販売プロセスにつき、同社の売上高増加を鑑
    み、2021 年3月期より評価対象とする準備を進めておりました。
     2019 年の当社経理部および監査部の青島福生食品出張の際に担当部門にヒアリング
    した結果、および入手した関連資料に基づき当社が作成した内部統制評価3点セット
    (業務フロー図・業務記述書・リスクコントロールマトリックス)を利用して販売プ
    ロセスの内部統制の整備状況および運用状況を評価します。現在、監査部の担当者は
    中国国内におり 21 日間の隔離期間中ですが、隔離が解除される予定の1月 27 日以
    降、評価を開始します。
     特に、販売の実在性を証明できる証憑類の整備、新規販売先との取引開始にあたっ
    ての取引先の信用調査を含む取引開始判断のルール化に重点を置いて改善を図りま
    す。
     また、青島福生食品が第一次調査を受けて自ら策定した業務改善ルールについて、
    外部専門家の協力を得ながら整備状況を評価し、不足していた個別の受注時の販売単
    価および数量に関する責任者による明確な承認方法を定めたルールの制定、顧客の与
    信管理制度に関する審査記録の保存、請求書発行プロセスにおける契約締結された販
    売単価との照合、を統制として追加するとともに、2021 年1月に当社監査部が出張し
    た際にその運用状況を確認します。
     青島福生食品が策定した業務改善ルールは、以下のとおりです。
    販売時(出荷時)に「納品書(送り状)」に販売先の受領印を入手することの徹底
    原材料購入時に仕入先から交付される納品書への仕入先の署名押印と保管の徹底




                       25
    契約審査制度の導入(仕入、販売価格決定プロセスの確立および仕入、販売価格の
    分析の実施)
    取引先管理制度の導入(取引先評価制度、新規取引先調査の実施)
    経理業務・購買・生産計画業務などその他の業務プロセスの改善
     経理業務は 2021 年1月の当社経理部長の出張時に、購買・生産管理業務は、工場に
    おける間接業務に長けている第2生産本部の社員を担当とし、青島福生食品の業務プ
    ロセスの問題点を洗いだし改善を図ります。いずれも当社のほか外部の専門家の協力
    を得ながら進めてまいります。
    青島福生食品の従業員の意識改革
     青島福生食品の経営幹部、経理責任者に対して、上場企業の子会社として必要な財
    務報告に係る知識を教育します。2020 年 12 月3日に実施しました第1回定例会議に
    おいて、財務報告の重要性について改めて説明したうえで、財務報告に影響を与える
    可能性のある事象について適時に当社に報告することを指示しました。また、財務報
    告に係る再教育として、当社が採用している会計基準や会計方針について、具体的に
    例示したうえで、同社の経営幹部や関連業務担当者に対して説明会を実施する予定で
    す。こちらも 2021 年1月の当社経理部長の出張時に直接説明する予定です。
     また、当社と青島福生食品の決算月が異なるため、上記とあわせて後発事象につい
    ても具体的な事例を示しながら説明し、当社の連結決算が適切に作成されるよう青島
    福生食品の役職者の財務報告に関する理解促進に努めます。
     なお、今後も月次で実施する定例会議で継続的に、財務報告の重要性について福生
    食品の役職員の意識醸成を図ります。


子会社に対する管理強化・コンプライアンス教育の強化(2.(1)③に対応)
    子会社に対する管理強化およびコミュニケーションの強化
    関連事業統括室の新設による子会社管理およびコミュニケーションの強化
     グループ会社の運営についての全般的な管理・指導を行う統括的組織として、新た
    に社長直轄の「関連事業統括室」を 2021 年1月1日に室長1名、担当者2名の計3名
    体制にて設置しました。
     関連事業統括室は各子会社の経営課題、取締役・監査役の任命状況、人員構成、会
    議体の運営状況、主要な規程と手順書の整備状況、人員構成、リスク管理の状況、監
    査部・監査等委員会・監査法人の改善指摘事項について確認を行い、改善する必要が
    認められる事項について具体的な解決を図ります。また、上場企業としてのあるべき
    姿や価値観を当社グループ全体でより強く共有していくために、関連事業統括室は3
    か月毎に個社別に開催する会議体において、各子会社経営者および経営幹部・従業員
    との対話を行い、コミュニケーションを強化します。




                       26
     その上で 2021 年6月末までに、すべての連結子会社のガバナンス状況の把握、分
    析、評価と取締役会への報告を行います。
    監査部による海外子会社の管理体制・業務手順の再確認
     2020 年 12 月、監査部は全ての海外子会社について、外部の専門機関からの指導も
    交え、管理体制および業務手順の再確認を行い、2021 年1月末を目途に結果の取りま
    とめを進めております。今回確認した改善を要すると思われる事項については、関係
    各部署と調整の上、2月末までに改善提言を行います。
    リスク管理委員会における重点リスク設定とリスク軽減施策の進捗管理
     リスク管理委員会の各委員が、自部署が認識し削減すべきリスクとして設定する重
    点リスクについて、関連事業統括室、経理部をはじめとする海外子会社に関連する部
    門においては、監査等委員会と監査部の協議によるリスク評価と整合させた海外子会
    社に関するリスクを設定し、定例会においてリスク軽減施策の進捗について報告しま
    す。リスク管理委員会に報告された本件に関するものを含む重大なリスク管理の状況
    は、これに関する監査部および監査等委員の意見と合わせ、取締役会に報告すること
    とします。
    コンプライアンス教育の徹底と内部通報制度の拡充
当社は、従業員のコンプライアンス意識のさらなる醸成のための教育プログラムと、問
題発生の際に速やかに対応し解決を図るための内部通報制度を拡充します。
    海外子会社のコンプライアンス教育の充実
     2021 年2月末までに英語、中国語、マレーシア語、スペイン語のコンプライアンス
    学習会用資料を作成し、3月末までに学習会を実施します。また、同年4月改訂予定
    のグループ行動規範とコンプライアンスハンドブックについて、同様の言語対応版を
    作成し、従業員に配布する予定です。年間4回以上を原則として職場のグループ単位
    で実施している各海外子会社のコンプライアンス学習会では、行動規範の読み合わせ
    を必須とし、当社グループのコンプライアンスの在り方を再度徹底します。
    海外関係会社コンプライアンス推進会議の新設
     2021 年2月に CSR 推進部長を議長、海外子会社の社長をメンバーとした会議体を設
    置し、年4回、現地のコンプライアンス学習会の運営状況や他社のコンプライアンス
    違反の事例について、CSR 推進部および関連事業統括室と共有し、子会社間の連携を
    強化します。あわせてメンバーによる研修会も実施します。
    内部通報制度の拡充
     当社グループは、社内および社外専門業者の受付窓口を通じ、CSR 推進部もしくは
    監査等委員を受付部署とする内部通報制度を運営しておりますが、海外子会社の従業
    員の利用を促進するため、既存の日本語、英語、マレーシア語、インドネシア語に加
    え、2021 年2月に中国語、スペイン語への対応を開始する予定です。開始にあたって




                       27
   はグループ全体の役職員に対し通知するとともに、各国言語に対応した従業員向けポ
   スターを作成し、各社の従業員に周知を行います。


(3) 改善措置の実施スケジュール
                                 検討・準備                 実施・運用
                            2020        2021
            改善措置項目
                            11     12   1      2   3   4   5   6   7
①経営責任の明確化
②取締役会の機構改革
 a.サクセッションプランの強化・推進
 b.指名委員会・報酬委員会のあり方の再検討
 c.企業経営の経験豊富な外部人材の取締役への登用
③経営幹部の職責に対する意識改革
 経営幹部の定期的な研修の実施
④監査等委員会による監査機能の強化・
 内部監査体制の強化
 a.監査等委員会と監査部との連携強化
 b.国内外グループ会社への往査頻度の見直し
 c.監査等委員会による取締役会へのフィードバック
 d.監査等委員会と代表取締役との意思疎通の強化
 e.監査等委員会の補助使用人の設置
 f.監査部の増員とスキル向上
⑤青島福生食品の内部統制の不備の改善
 a.経営幹部の刷新とコミュニケーション強化
 b.当社社員副総経理によるモニタリング
 c.青島福生食品との定例会議の設置
 d.在庫管理体制の強化およびその他の業務の見直し
 e.青島福生食品の従業員の意識改革
⑥子会社に対する管理・コンプライアンスの強化
 a.子会社に対する管理強化および
  コミュニケーションの強化
 b.コンプライアンス教育の徹底と内部通報制度の
  拡充




                       28
3. 意見不表明および結論の不表明解消に向けた取り組み
 当社は、あずさ監査法人から、2021 年3月期第3四半期以降の連結財務諸表に対する意見不
表明または結論の不表明を解消する前提として、連結財務諸表に対する意見不表明および四半
期連結財務諸表に対する結論の不表明の根拠として示されている事項(1.(2)⑦参照)の
うち、青島福生食品の全社的な内部統制の改善、および本件で修正を行った財務数値以外の他
の財務数値への影響についての調査を完了させるように求められております。
 このため当社は、以下の取り組みを全力で行っており、その進捗状況について、あずさ監査
法人と随時共有を図っております。


(1) 青島福生食品の全社的な内部統制の開示すべき重要な不備の改善
   青島福生食品において特定の役職者に財務報告に重要な影響を及ぼす取引に関する情報
  や権限が集中していたことをはじめ同社におけるガバナンス体制が不十分であったこと、
  取締役会をはじめとする当社の監視機関による青島福生食品に対するモニタリング体制が
  不十分であったことを改善するために、以下の対策を講じております。
   経営幹部の刷新およびコミュニケーションの強化(詳細については、2.(2)⑤ a.
   b. c. d. を参照ください)


   青島福生食品の役職員の意識改革(詳細については2.(2)⑤ e. を参照ください)


(2) 他の財務数値への影響の調査の完了
   当社は、2020 年 12 月以降、外部専門家である公認会計士や弁護士の支援を受けなが
  ら、青島福生食品に対し、本件で修正を行った財務数値以外の他の財務数値への影響を確
  認するため、下記の件外調査を実施しております。
   なお、件外調査は主に当社の 2021 年3月期第3四半期累計期間に該当する同社の 2020
  年1月から9月の損益計算書または同年9月末時点の貸借対照表を対象としており、2021
  年1月末までに調査を完了させる予定で進めております。
      調査項目                    内容
  売上高           取引高推移、販売価格の推移の分析による不自然な契約条件の
                有無の確認
  仕入高           仕入価格の推移の分析による不自然な契約条件の有無の確認
  製造経費          事業の性質、取引量、人員数に照らした合理性の検証
  販管費・営業外費用     費目別の金額の妥当性(必要性・事業規模との整合)の検証
  売掛金           販売先に対する残高確認および差異分析の実施
  固定資産          実査、遊休状態資産の有無確認および取得時の証憑類の確認の
                実施




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       調査項目                     内容
   買掛金          残高確認および差異分析の実施および買掛金残高のある仕入先
                との契約書の通査による追加債務認識の必要性有無の確認
   未払金・未払費用     未払金・未払費用残高のある取引先における契約書の通査によ
                る追加債務認識の必要性有無の確認
   債務全般         債務計上漏れおよび経費の計上タイミングの適正性の検証
   契約書の法務デュー    現在有効である契約書の法務デューデリジェンスの実施によ
   デリジェンス       り、追加的に債務認識すべき事象がないかの確認


4. 不適切な情報開示等が投資家および証券市場に与えた影響についての認識
 この度の不適切な会計処理により、過年度の決算数値を訂正するとともに、決算発表を遅延
させたこと、また、2016 年3月期から 2020 年3月期の訂正後の連結財務諸表および 2021 年3
月期第1四半期、第2四半期の四半期連結財務諸表について、監査意見を表明しない旨の監査
報告書等を受領したことにより、株主・投資家の皆さまをはじめ関係者の皆さまに多大なるご
迷惑とご心配をお掛けしたことを、深くお詫び申し上げます。
 今回の事態について真摯に反省していくとともに、二度とこのような事態を起こさないよう
に、本報告書の再発防止策を着実に実行し、内部管理体制を強化して信頼の回復に努めてまい
ります。




                                                 以上




                         30