エーザイ オンコロジー アップデート
3) Epochal Precision
Anti-Cancer Therapeutics
(EPAT)
1
将来見通しに関する注意事項
本資料中の目標数値はあくまで中期的戦略、めざす方向性、ビジョン等を示すものであり正式な業績予想ではありません。
正式な業績予想は東京証券取引所規則に基く年次決算短信での開示をご参照ください。
本発表において提供される資料ならびに情報は、いわゆる「見通し情報」(forward-looking statements)を含みます。
これらの文言は、現在における見込み、予測、リスクを伴う想定、実質的にこれらの文言とは異なる現実的な結論、
結果を招き得る不確実性に基くものです。
それらリスクや不確実性には、一般的な業界ならびに市場の状況、金利、通貨為替変動といった一般的な国内および国際的な
経済状況が含まれます。リスクや不確実性は、特に製品に関連した見通し情報に存在します。製品のリスク、不確実性には、
技術的進歩、特許の競合他社による獲得、臨床試験の完了、製品の安全性ならびに効果に関するクレームや懸念、規制機関に
よる審査期間や承認取得、国内外の保健関連改革、マネジドケア、健康管理コスト抑制への傾向、国内外の事業に影響を与える
政府の法規制など、新製品開発に付随する課題などが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
また、承認済み製品に関しては、製造およびマーケティングのリスクがあり、需要を満たす製造能力を構築する能力を欠く状況、
原材料の入手困難、市場の受容が得られない場合などが含まれますが、これに限定されるものではありません。
新しい情報、将来の出来事もしくはその他の事項より、見通し情報に更新もしくは改正が望ましい場合であっても、
それを行う意図を有するものではなく、義務を負うものではありません。
当社の連結財務諸表は国際会計基準(IFRS)にて開示しています。
2
EPAT 次世代IO 治療薬の創製
*1
米国ペンシルバニア州エクストンにあるEisai Inc.バイオロジクス研究の拠点
- ヒト化モノクローナル抗体作製技術
- エリブリン・リンカーのADC*2コンジュゲーション技術
- 部位特異的ADCコンジュゲーション抗体特許化技術
- バイスペシフィック抗体技術
- IO関連プロジェクト
(免疫賦活化抗体、DC*3標的ペプチドワクチン)
EPATが指向するバイオロジクス創薬戦略
- MORAb-202で見出したエリブリン・リンカーを活用し、複数のADC薬剤を創出する
- エリブリン・リンカーを搭載したADCの最大の特長である、がん微小環境への
バイスタンダー効果を維持しつつ、正常組織でのバイスタンダー効果*4発現を
軽減するADCデザイン
(部位特異的コンジュゲーションやIgGサブクラス変換等による副作用軽減)
- 抗体技術プラットフォームを駆使した次世代IO療法の創製
*1 Immuno-oncology: がん免疫療法 *2 Antibody-Drug Conjugate 抗体薬物複合体 *3 Dendritic cell 樹状細胞
*4 標的となる抗原陽性のがん細胞内で、ADC の抗体から放出された抗腫瘍薬剤が、周辺の抗原陰性のがん細胞やがん微小環境の間質系細胞に対しても有効性を示す効果
3
MORAb-202
(ファルレツズマブ-エリブリン
抗体薬物複合体:ADC)
4
MORAb-202 抗体薬物複合体(ADC)
エーザイのケミストリー力とEPAT*1の抗体技術の融合
臨床開発進行中の自社創製抗体ファルレツズマブと現代有機合成化学の傑作である
エリブリンの組合わせによる抗体・リンカー・ドラッグすべて自社創製のADC
ファルレツズマブ PEG2-val-cit-PABリンカー エリブリン
4つのエリブリン リンカー • がん微小環境を標的とする
・臨床開発が進行中 ・酵素で速やかに切断
が結合 ユニークな作用機序
MORAb-202 ・がん細胞内に内在化 ・エリブリンを即座に生成 • 高い水溶性で凝集形成せず
バイスタンダー*2効果を発揮するADCデザイン
葉酸受容体α(FRA)高発現のがん細胞に効率的に内在化されるファルレツズマブ
がん細胞に内在化後にカテプシンbによる酵素切断で即座にエリブリンが遊離するリンカー
バイスタンダー効果を極大化するエリブリンのプロファイル
- 酵素切断後にがん細胞内に高濃度に集積する
- 死滅したがん細胞から効率的に放出させる
- がん微小環境へのユニークな効果(血管リモデリング&上皮系-間葉系細胞転換(MET*3)誘導)
AACR2019において、MORAb-202に搭載されたエリブリンは
“本源的な治療域を備えた確立された抗がん剤としての次世代のペイロード”
というポジティブな評価を受けた
5 *1 Epochal Precision Anti-Cancer Therapeutics *2 標的となる抗原陽性のがん細胞内で、ADC の抗体から放出された抗腫瘍薬剤が、周辺の抗原陰性のがん細胞やがん微小環境の間質系細胞に対しても有効性を示す効果
*3 Mesenchymal-epithelial transition
MORAb-202 抗体薬物複合体(ADC)
バイスタンダー効果*1により、FRA*2陽性率が低いがんモデルにも顕著に奏功
バイスタンダー効果評価(in vitro)
(A)MORAb-202 (B)anti-FRA-sulfo-SPDB-DM4
(ペイロードがエリブリンでないADC)
FRA+ 単一培養
成長阻害割合
成長阻害割合
成長阻害割合 FRA+ 共培養
FRA- 単一培養
FRA- 共培養
MORAb-202濃度(nM) MORAb-003-SPDB-DM4濃度(nM)
バイスタンダー効果評価(in vivo)
*3
FRAが腫瘍全体の3.6%にしか発現していないトリプルネガティブ乳がんPDX モデルに対する効果
(A) 抗腫瘍効果 3.6% FRA positive (B) a-SMA陽性のがん間質細胞へのバイスタンダー効果
a) 対照群(vehicle投与) b) MORAb-202投与
腫瘍体積
日
腫瘍組織の採集 a-SMA陽性のがん間質細胞が、MORAb-202の5mg/kgの
単回投与によって広範囲にわたり消失
*1 標的となる抗原陽性のがん細胞内で、ADCの抗体から放出された抗腫瘍薬剤が、周辺の抗原陰性のがん細胞やがん微小環境の間質系細胞に対しても有効性を示す効果
6 *2 葉酸受容体α *3 患者様由来異種移植モデル
MORAb-202 抗体薬物複合体(ADC)
フェーズⅠ試験において腫瘍縮小効果を確認
日本で進行中のフェーズⅠ試験の用量漸増パートにおいて
複数の患者様において腫瘍縮小を伴う抗腫瘍活性を確認
最新の臨床試験の結果を2019年度のASCO*学会で発表予定
現在実施中の用量漸増パート後にアンメットメディカルニーズの
高いがん種でExpansion partを実施する予定
トリプル
子宮内膜 非小細胞
ネガティブ 卵巣がん
がん 肺がん
乳がん
MORAb-202のバイスタンダー効果によって、がん間質が豊富で、
かつ、標的のFRA発現陽性の割合がそれ程高くないがんに対しても
臨床効果を発揮する可能性が示唆されている
7 * American Society of Clinical Oncology
エーザイオンコロジーアップデート
4) H3 Biomedicine Inc.
8
がんゲノムの鍵を開放し、プレシジョン・メディスンを創製し
患者様の希望を健康へとトランスフォームする
H3: バイオテックと製薬企業の
ベストな融合
個別化がん医療の進展 設立年: 2011年
• 分子レベルの知見に基づいた処置
設立趣旨: プレシジョン・オンコロジー
• 分子レベルの知見に基づいた臨床試験
所在地: マサチューセッツ州 ケンブリッジ
展望: 現在目にしている機会の持つ可能性を 我々はがんに苦しむ世界中の患者様に大きな
最大限に実現していく
希望を持っていただける新たなアプローチを
• がんに対する包括的な理解(がんゲノム) 追求するためにH3 Biomedicine を設立する
内藤晴夫, President and CEO, エーザイ株式会社
探索研究への長期的視点
9
研究戦略: ビッグ・データ、ヒューマン・バイオロジー、
精密化学の融合
がんドライバー RNA
免疫回避機構
と耐性 スプライシング
がんドライバー依存性と がんドライバーとなる
がんの耐性を スプライシング・イベントを 次世代のがん免疫
ターゲットとした 修飾するRNA 治療法の開発に向けた
治療薬の開発 スプライシングへの ゲノミクスの活用
アプローチ
10
H3B-6545
(ERα阻害剤)
11
H3B-6545: 乳がんにおけるファースト・イン・クラス経口型
選択的エストロゲン受容体α共有結合型アンタゴニスト
明確なアンメットニーズとゲノム情報に基づいた
がん生物学
• エストロゲン受容体αをコードする遺伝子ESR1に
ホットスポット変異を持つ患者様は内分泌
療法が奏功せず、よい臨床結果が得られていない
• 内分泌療法に耐性を示すがん患者様の多くは
エストロゲン受容体αのシグナルに依存している
メカニズムに基づいた創薬
• 新規の作用機序: 共有結合型アンタゴニストは
エストロゲン受容体分解剤とは異なる
• エストロゲン受容体αの野生型、変異型双方に
対して単剤、併用いずれにおいても効果を示す
Oesterreich & Davidson, Nat Gen 45:1415 (2013)
臨床開発戦略
• 再発転移性乳がんにおけるCDK4/6 阻害剤+
アロマターゼ阻害剤後の単剤もしくは併用による
二次、三次治療
• CDK4/6 阻害剤+アロマターゼ阻害剤の薬効改善を
企図した転移性乳がんにおける一次治療での
CDK4/6 阻害剤との併用可能性
• mTOR 阻害剤との併用など、他の併用療法の
可能性
現在フェーズⅠ/Ⅱ試験を実施中
2019年中にはフェーズⅡパートを開始する
12
H3B-6545: 乳がん細胞株、PDXモデルにおいて
エストロゲン受容体α 野生型、変異型ともに阻害する
Viability- CTG-Glo, GI50 (nM)
MCF7 MCF7 MCF7 MCF7 PDX MDA-MB-231
Compound MCF7 ERaWT
ERaY537S ERaY537N ERaY537C ERaD538G ERaY537S/WT ERa negative
H3B-6545 0.6 ± 0.2 5.3 ± 3.1 2.3 ± 1.4 1.6 ± 0.9 6.6 ± 4.0 4.7 ± 1.5 > 1000
4-OHT 1.7 ± 0.4 33.8 ± 20.0 8.8 ± 3.6 6.1 ± 2.2 20.9 ± 16.1 13.5 ± 3.2 >1000
Fulvestrant 0.9 ± 0.2 5.2 ± 3.1 3.3 ± 1.0 3.7 ± 2.2 5.7 ± 2.1 10.4 ± 2.4 >1000
GDC-0810 10.7 ± 1.6 335.8 ± 246.2 64.7 ± 11.4 35.8 ± 4.9 73.4 ± 26.3 273.8 ± 29.5 >1000
Y537S
W T PDX ER T u m o r X e n o g r a ft
PDX ER T u m o r X e n o g r a ft
M o d e l w ith E 2 S u p p le m e n ta tio n
M o d e l w ith E 2 S u p p le m e n ta tio n
2500
2000 H 3 B - 6 5 4 5 v e h ic le
H 3 B - 6 5 4 5 V e h ic le
T u m o r v o lu m e (m m )
( m m 3 M e a n + /- S E M )
3
2000 H 3 B -6 5 4 5 , 3 m g /k g , P O , Q D
H 3 B - 6 5 4 5 1 m g /k g , P O , Q D
T u m o r v o lu m e
1500
M ean SEM
H 3 B - 6 5 4 5 3 m g /k g , P O , Q D H 3 B -6 5 4 5 , 1 0 m g /k g , P O , Q D
1500
H 3 B - 6 5 4 5 1 0 m g /k g , P O , Q D H 3 B -6 5 4 5 , 3 0 m g /k g , P O , Q D
1000
H 3 B - 6 5 4 5 3 0 m g /k g , P O , Q D 1000 F u lv e s t r a n t , 5 m g / m o u s e , S C , Q W
500 500
0
0
0 50 100 150
0 40 80 120 160 200
T r e a tm e n t tim e ( d a y s )
T r e a tm e n t t im e ( d a y s )
H3B-6545は非臨床モデルにおいて標準療法よりも
優れた増殖抑制効果を示す
13 PDX: 患者様由来異種移植モデル、QD: 一日一回投与、PO: 経口投与 出典: SABCS 2017
H3B-6545: パルボシクリブやエベロリムスとの
併用効果ー更なる薬効改善を目指して
CDK4/6阻害剤 パルボシクリブとの併用 mTOR阻害剤 エベロリムスとの併用
2000 2500
(m m , (m e a n S E M )
T u m o r v o lu m e ( m m )
2000
3
1500
T u m o r v o lu m e
m ean SEM
1500
1000
1000
3
500
500
0 0
0 100 200 300 0 50 100 150
T r e a tm e n t tim e ( d a y s ) T r e a tm e n t tim e ( d a y s )
V e h ic le , Q D , P O V e h ic le , Q D , P O
H 3 B -6 5 4 5 , 3 m g /k g , Q D , P O H 3 B -6 5 4 5 , 3 m g /k g , Q D , P O
p a lb o c ic lib , 7 5 m g / k g , Q D , P O E v e r o lim u s , 2 .5 m g /k g , Q D , P O
H 3 B - 6 5 4 5 3 m g /k g + H 3 B - 6 5 4 5 , 3 m g /k g , Q D , P O +
p a lb o c ic lib 7 5 m g / k g , Q D , P O e v e r o lim u s , 2 .5 m g / k g , Q D , P O
H3B-6545は非臨床モデルにおいて既存薬との併用により
持続的な薬効改善を示す
14 *1: エストラジオール無補充条件下、ESR1Y537S/WT PDX モデル ST941を用いた。全ての群で n=8、 *2: QD: 一日一回投与、 *3: PO: 経口投与
H3B-6527
(FGFR4阻害剤)
15
H3B-6527: 肝細胞がん適応での開発
明確なアンメットニーズとゲノム情報に FGFR4パスウェイ
基づいたがん生物学
• 肝細胞がん治療薬の承認が相次いでいるが、
新たな分子標的薬、新たなアプローチへの 全身循環
FGF19
FGF19
FGF19
FGF19
ニーズは依然として存在 FGF19 FGF19
• FGFR4-FGF19 シグナル経路は
FGFR4
KLB
発がんと強く関連しており、約30%の肝細胞がんで
FGF19 の過剰発現が確認されている HCC
P FRS2
自己分泌/傍分泌
メカニズムに基づいた創薬 H3B-6527
• 経口投与可能な、高選択的
P ERK Cyclin-CDK
共有結合型低分子 FGFR4阻害剤
• 競合品と差別化された薬物動態プロファイルにより、 Cholesterol
幅広い薬剤との併用が可能
CYP7A1
臨床開発戦略 Bile Acid
• 標準治療後のFGF19 過剰発現患者様群での
単剤療法 FGF19 FGF19 FGF19
• CDK4/6 阻害剤との併用等、
新規併用療法の機会 がんの増殖と生存
既治療の進行性肝細胞がん、管内胆管がんを
対象としたフェーズ I 試験が進行中
16
H3B-6527: 経口投与可能な、
高選択的共有結合型低分子FGFR4阻害剤
F G F 1 9 e x p r e s s in g
H 3 -6 5 2 7 V e h ic le P O B ID
C563 H CC PD x M odel
2000 H 3 -6 5 2 7 1 0 0 m g / k g P O B ID
T u m o r v o lu m e (m m )
3
H 3 -6 5 2 7 3 0 0 m g /k g P O B ID
(M e a n + S E M )
1500 H 3 -6 5 2 7 , 5 0 0 m g / k g P O B ID
V561
S o r a fe n ib 4 0 m g / k g P O Q D
1000
500
0
K514 0 5 10 15 20
D641
D ay o f T reatm en t
H3B-6527 はFGF19 発現PDx モデルにおいて
高選択的共有結合型低分子FGFR4阻害剤
腫瘍縮小効果を示す
JH H 7 X e n o g ra ft M o d e l
2500 FGF19(+) • FGF19 レベルは臨床
V e h ic le 試験で実施されている
T u m o r v o lu m e ( m m )
3
2000
p a lb o c ic lib 1 0 0 m g / k g P O Q D mRNA のqRT-PCR
(M e a n + S E M )
1500 H 3 B -6 5 2 7 5 0 0 m g /k g P O Q D アッセイ結果
1000
H 3 B -6 5 2 7 5 0 0 m g /k g P O Q D + • FGF19 陽性は
p a lb o c ic lib 1 0 0 m g / k g P O Q D
アッセイの検出限界で
500 定義されている
*1: BID: 一日二回投与; FGF19(-)
0 *2: QD: 一日一回投与
0 5 10 15 20 *3: PO: 経口投与;
D a y o f T re a tm e n t *4: PDX: 患者様由来異種移植モデル H3B-6527 H3B-6527
非奏功例 奏功例
H3B-6527 は非臨床モデルにおけるパルボシクリブ 肝細胞がんのPDx モデルにおいて、H3B-6527の
との併用療法において腫瘍縮小効果を示す 効果発現にはFGF19 発現が必要である
17
Splicing Platform
18
H3 Biomedicine における
スプライシング・プラットフォーム
H3B-8800
H3 Biomedicine の有する豊富な
スプライシング・モジュレーター化合物ライブラリ
生物評価系により化合物の結合や
スプライシング・モジュレーション能を評価
メッセンジャー RNAのスプライシングパターンを
解析するバイオインフォマティクス・パイプライン
スプライソソーム複合体と化合物の
結合様式を解析する構造生物学
mRNA スプライシングの変調はがんの際立った特徴である
H3B-8800 は変異型、野生型のSF3B 複合体に対する低分子修飾剤であり、
現在血液がん患者様を対象にフェーズ I 試験を実施している
Bristol-Myers Squibbとの共同研究は、新たながん免疫療法の開発に向けてH3
Biomedicineの有するRNAスプライシング・プラットフォームを最大限に活用し、かつ
Bristol-Myers Squibbの有する免疫腫瘍学における知識やノウハウを取り入れることを企図する
19
New Immuno Oncology
20
がん免疫を活性化する“免疫エンハンサー”
STING アゴニストによる抗原提示樹状細胞の活性化
二つの方法で細胞障害性T細胞による およびがん細胞におけるクラスI MHC分子の活性化
がん細胞死滅を増強する
スプライシング・モジュレータによる
ネオアンチゲンの誘導 樹状細胞
T細胞プライミング
T細胞の活性化・増殖
I
活性型細胞
傷害性T細胞
腫瘍細胞の破壊
ネオアンチゲン誘導やSTING作動薬などがん免疫を活性化する「免疫エンハンサー」は、
チェックポイント阻害剤などがん免疫を正常化する「免疫ノーマライザー」との併用シナジーが期待できる
21
E7766
(STING作動薬)
22
腫瘍免疫微小環境をターゲット
がん微小環境
23
STING*: インターフェロン遺伝子刺激因子
発がんリスクに関連するSTING遺伝子近傍の
遺伝子変異体(TMEM173)
STING機能の亢進にともなう
タイプ1 インターフェロンの産生亢進
同様の変異体が
低下したインターフェロンα反応に関連
STING タイプ1 インターフェロン がん
24 * Stimulator of Interferon Genes
新規クラスのSTING*アゴニストの創製
STINGアゴニストに関する既知の競合開発化合物
2’,3’-series 2’,2’-series 3’,3’-series 環状ジヌクレオチド
構造的な類似
差別化困難
E7766: 架橋構造を持つ新規環状化合物
前例のない構造クラス
ユニークな化学構造
明確な差別化
* Stimulator of Interferon Genes
25
E7766のユニークな全STING*遺伝子型に対する効果
ヒトはそれぞれ異なるSTING遺伝子型を有する : その分布は民族によって異なる
ラテン系 南アジア系 アフリカ系 白色人種系 東アジア系
競合化合物の環状ジヌクレオチドはSTING E7766はすべてのSTING遺伝子型
遺伝子型の違いにより活性が大きく異なる に対して活性を示す
EC50 (uM) EC50 (uM)
競合化合物の環状ジヌクレオチドは遺伝子型によって活性が異なり、REF/REF遺伝子型を有する
個体では効果を示さない。これに対して、E7766はあらゆる個体に対して活性を示す
26 * Stimulator of Interferon Genes
E7766の一貫性のある効果を示す化合物の構造的特徴
架橋構造を持つ新規環状化合物
環状構造による構造の固定
27
膀胱がん治療における新規膀胱内投与試験
E7766の膀胱内単回投与により E7766の作用メカニズムを示す
膀胱がんへの治癒効果の可能性を確認 インターフェロンの産生増加を確認
M e d ia n P v a lu e v s .
S u r v iv a l V e h ic le
V e h ic le 35 --
E 7 7 6 6 1 0 g /m o u s e (Q 7 D x 4 ) >98 0 .0 4 3 3
E 7 7 6 6 3 0 g /m o u s e (Q 7 D x 4 ) 71 0 .1 8 5 2
E 7 7 6 6 1 0 0 g /m o u s e (Q 7 D x 4 ) >98 0 .0 0 0 5
E 7 7 6 6 3 0 0 g /m o u s e (Q 7 D x 4 ) >98 0 .0 0 1 7
100
P e r c e n t s u r v iv a l
80
60
40
20
0
0 10 40 60 80 100
D a y p o s t-e n g r a ftm e n t
E7766は、STING*アゴニストとして膀胱がん治療薬として開発中
28 * Stimulator of Interferon Genes
事業ドメインの変革
データサイエンスとイノベーション
29
H3 Biomedicine:
エーザイにおける“5D*”のパイオニア
H3 データサイエンス: 患者様価値にフォーカスした組織を目指して
Lead データ・ドリブン文化の旗手に
Democratize データを誰にでもアクセス可能に
Transform データを知識、有用な情報、意思決定へとトランスフォーム
ビッグデータ, ディープ
インシリコ予測 がんと健康のデジタル化
マイニング- がんゲノムに
– 良い治療をより速く - – 臨床試験のトランスフォーメーション -
基づく標的探索
大規模ドッキング リアルワールドデータを
がんゲノミクス 活かした臨床試験
シミュレーション
リアルワールドデータを インシリコ 薬剤 リキッド・バイオプシー
含む臨床ゲノミクス デザイン –最小限の侵襲による診断
非臨床モデル インシリコ 化合物 技術革新による
プロファイリング プロファイリング 精密バイオマーカー
デジタルイノベーション
ゲノム – 患者様モニタリング
スクリーニング
Public Private
Partnership (PPP)
化合物
スクリーニング
30 * Data Driven Drug Discovery & Development
Data Driven Drug
Discovery & Development (5D)
デジタル技術がもたらす創薬のパラダイムシフトと新しい価値創造
31
全てはデータから始まる:エーザイデータレイクの構築
2025年に向けたロードマップ
クラウドコンピューティングによるデータ一元管理と高速解析基盤を実現 2025
2020
2019 プラット
2018 フォームデータ
2017 個人の
2016 臨床/健康管理 健康データ • パートナーとの協働から
得られる特定の目的に
2010 • ウェアラブルデバイスや
リアルワールド データ モニタリングデバイスからの
沿ったデータの集積
• エーザイ臨床試験データ 生物学的データ
研究データ データ(RWD) アリセプト治験データ • 患者様SNSデータ
• 化合物 • AD,がんのRWD エーザイ臨床試験データ
とのコネクション • デジタル機器を活用した
• 薬理試験 購入可能データ 臨床データ
(レセプト,電子カルテ) 疾患ゲノムデータ
• 薬物代謝・毒性 医用画像データ
• スクリーニング • 国が管理するデータ (MRI, PET, CT等)
• 電子ノート 副作用情報
ナショナルデータベース, • 健康管理データ
ADNIデータ 自治体による
健康増進データ
• エーザイユニークデータ
hhcナレッジデータベース • 疾患レジストリデータ
市販後調査データ • 社内グローバル研究所群間の
データ共有
臨床データの例:アリセプト臨床試験データを格納
1991-2002の11年間に行われた13臨床試験(8694例)
32
「データ駆動型創薬」 エーザイの解釈
Factual basis and Preciseness
for Innovation
データに基づく超客観的仮説生成と
AIを用いた最適化による創薬プロセスの刷新
33
データの役割:仮説検証から仮説生成へ
従来 これから
データによる仮説検証 データからの仮説生成
論文情報から研究者が創薬仮説を立て、 臨床サンプルのゲノム解析とマルチオミクス
それを確認するためにデータを取る 解析からターゲット仮説を生成させ、
得意とする反応系や過去の成功体験を システマティックに検証実験を行う
元に化合物を合成し薬理データを取る コンピューター上で化学構造をバーチャルに
自らが取ったデータを最も信頼性の高い 発生させ、その中から改善が予測される
データと位置づけ意思決定を行う 化合物のみを合成し活性測定
自ら立てた仮説に合わないデータが出た リアルワールドデータを解析し、今まで
時には実験が間違っていると考える 知られていなかったエビデンスを得て
データが取れない場合は検証できなかった リサーチクエスチョンとし新たな試験を計画
と判断する
34
G2D2におけるデータ駆動型創薬戦略
認知症に関連するヒトゲノム情報を創薬の全てのステージで活用
遺伝的変異 臨床疾患
タンパク質構造と 細胞機能 組織機能 疾患関連の
機能 取り込み、増殖、遊走、 表現型変異の 表現型
サイトカイン 下流マーカー
疾患関連の変異に タンパク変異構造と
ヒト遺伝学に基づいた
関与する 機能解析に基づく
バイオマーカー戦略
ターゲットを選択 精密有機化学
• 国際遺伝学コンソーシアム • アッセイの優先順位づけを • バイオマーカーが豊富な
からのGWAS*1 可能とする機能変異の詳細な コホートのPheWAS*2
• 遺伝子間のネットワーク解析 特定 (患者様基準と人口基準)
• 計算化学 • 希少疾患の患者様の特徴づけ
論文情報から研究者が創薬仮説を立て、それを確認するためにデータを取るような従来の手法を
抜本的に変革させ、ヒト遺伝学とデータサイエンス、精密合成化学の力を駆使し
認知症悪化の原因遺伝子に直接作用する画期的薬剤を創製する
35 *1 Genome-wide Association Study *2 Phenome-wide Association Studies
社内ビッグデータからの仮説生成:AIドラッグデザイン
10年以上に渡り蓄積された化合物データから仮説を生成する手法を実用化
膨大な構造活性相関
インプット データ(>200万件)
良い活性が期待される
新しい化合物を
リード化合物 AI コンピュータ内で自動発生
薬効・物性・
代謝安定性に課題
10年以上に渡る
仮説生成と
検証のサイクルによる 物性・薬物動態・ AI
継続学習 毒性データ
アウトプット
活性値: 改善 AIでデザインした化合物を コンピュータ内でAIにより
溶解度: 改善 実際に合成し、評価 化合物の薬らしさを評価
(20化合物未満)
化学構造展開に苦しんでいたマラリア創薬プロジェクトに対し、独自に構築したAIを
使って構造展開仮説を生成させることで、活性と物性を同時に改善することに成功
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社外ビッグデータからの仮説生成:認知機能進行予測
ADNI*データを用いた予測モデル構築の実践
ADNIは世界的なAD臨床コホート研究であり脳イメージングを始め有用データが蓄積されている:
米国(US-ADNI)、日本(J-ADNI)
ADNIデータを解析する中でMCI患者様の中に認知機能が悪化する場合と
悪化しない場合の2グループがあることに気づいた(日本でも米国でも同様)
BL BL
ベースラインのMRI画像を用いて2年後にMCIが悪化するかどうかを
予測するAIの開発に着手
* ADNI: The Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative
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ディープラーニングによるMCI進行予測AIの開発
正確な対象患者様のエンロールメントを通じた治験効率化への活用
認知機能が悪化した人の 認知機能が悪化しなかった人の
2年前のMRI画像 学習データ 2年前のMRI画像
社内臨床データや社外ビッグデータ
(東北メディカル・メガバンク機構、
UKBB*1、AIBL*2等)による
検証とさらなる機能向上を計画中
テストデータ
Progressive MCI
学習 認知機能が悪化する
ディープラーニング
検証 (AI)
予測 90%以上の精度で判定
Stable MCI
認知機能が悪化しない
両者の違いをベースラインの時点で見分けることで、正しい患者様の
エンロールメントによる治験成功確率の向上が可能となる
*1 UK Biobank *2 The Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle Flagship Study of Ageing
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AI薬理試験:脳波を読むAIによる睡眠ステージの自動判定
研究者の暗黙知を再現するAIシステムを自社開発、実用化に成功
レンボレキサント創薬研究の過程で
構築されたマウス睡眠研究プラット
フォームと、そこから生み出され
蓄積された膨大な睡眠脳波データ 熟練した研究者のみが判断できる
• 10秒の脳波・筋電データから、 感覚的な睡眠ステージの解読
マウス覚醒・レム・ノンレムを判断 • 個人への負担・疲労によるミス
• ノウハウ継承の難しさ
赤色の線: AI
黒色の線: 熟練者
ディープラーニングにより匠の感覚をAIが模写
AIと熟練者の一致度
96.73%
睡眠時間
熟練した研究者が持つ暗黙知のデジタル化による超効率的創薬プロセス
薬理実験データ解析において最も時間のかかる精密な睡眠ステージ判定を
熟練者の1/100の解析時間で完了するAIシステムを実用化し、研究期間の短縮に貢献
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ビッグデータの可視化:肝細胞がんの治療推移の把握
リアルワールドにおける肝細胞がん患者様の治療実態を理解する
HCC: 肝細胞がん
日本における肝細胞がん患者様8,999名のレセプトデータを分析し TACE: 肝動脈化学塞栓療法
Sankey diagram*により可視化(対象期間:2008-2017) Hepatectomy: 肝切除
TAE: 肝動脈塞栓療法
RFA:ラジオ波焼灼
PEI: 経皮的エタノール注入療法
ステージ ステージ HAIC: 肝動脈輸液化学療法
I/II III/IV
リアルワールドデータ解析からの客観的事実
• ステージ I/IIでの第一治療は主に3つ(TACE、肝切除及びラジオ波焼灼)ステージ III/IVでは2つ(TACEと肝切除)
• ラジオ波焼灼療法はステージⅠ/Ⅱで20%程度施術をされているが、ステージ III/IVでは4%程度に留まる
• ソラフェニブはステージ Ⅲ/Ⅳの症例に4%程度用いられているが、I/IIでは1%未満である
第一治療から次治療へ移行する毎に治療を受けられない患者様が増えている。
またステージIII/IVでは明らかに治療選択肢が減っている。これらのアンメットメディカルニーズに
対し、レンバチニブの高い抗腫瘍効果によってがんを縮小させ、根治的な治療方法に
コンバージョンし、患者様に新たな希望を与える新しい治療アルゴリズムの提案に繋げていく
40 * ビッグデータを可視化する手法の一つで個別の推移を表すのに適している。一本の線が一人の患者様の治療推移を表す。
グローバルヘルス創薬研究の推進
グローバルhhc実現のためのマラリア・結核・顧みられない熱帯病撲滅への貢献
ブロード研究所(米国)との リバプール熱帯医学研究所
共同研究:マラリア・結核に (英国)との共同研究:
対する前臨床試験を実施中 リンパ系フィラリア症に
対する前臨床研究を実施中
ケンタッキー大学(米国)との共同研究: MMV(スイス)との共同研究:
マラリアに対するフェーズⅠ試験を 自社で発見した創薬ターゲット
オーストラリアにて実施中 GWT1阻害剤プロジェクトの
探索研究を筑波で実施中
DNDi(スイス)との共同研究:
自社化合物E1224の臨床試験を
南米・アフリカにて実施中
• シャーガス病(ボリビア)
• マイセトーマ(スーダン)
“Public Private Partnership (PPP) ”modelを活用したプロジェクト推進
GHITファンド等の外部資金を獲得し、世界中の研究機関と協力しながら創薬を進める
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Data Driven Drug Discovery &
Development (5D) : 今後の展望
エーザイは第4次産業革命を「データによって生み
出される価値を用いて今迄見たこともないものや
状況を造り出すこと」と捉えている。データは新し
い石油と言われている。これからはデータから生ま
れる新しい仮説が競争力の源泉となる。データレ
イクをさらに充実させ、進化を続けるAIを搭載した
知識創造エンジンを原動力として、新たなデータ
獲得と新仮説生成を強力に推進する。
これにより、新しいターゲット発見、精密な臨床予
データレイク 測と正しい対象患者様のエンロールメントや、デジ
& AI タルデバイスを活用した自動測定による客観的エ
ンドポイントの設定、さらにリアルワールドデータ活
“エンジン” 用によるプラセボのない革新的な臨床開発が可
能となり、これまでになかったイノベーティブな新薬
を低コストで成功確率高く創出することができる。
さらに医療ビッグデータが整備され個人ヘルスケ
アデータの利活用が進めば、創薬のみならず疾患
リスクの予測・予防・治療後のケア、さらにはアク
セスの改善など、人々のライフコースに新しい価
値を提供することができるようになる。
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