4519 中外薬 2019-01-31 17:00:00
2018年12月期決算短信〔IFRS〕(連結) [pdf]

                            2018年12月期                 決算短信〔IFRS〕(連結)
                                                                     2019年1月31日
上場会社名      中外製薬株式会社                                      上場取引所 東
コード番号      4519  URL https://www.chugai-pharm.co.jp
代表者        (役職名) 代表取締役社長CEO        (氏名)小坂 達朗
問合せ先責任者 (役職名) 広報IR部長               (氏名)内田 誠彦        TEL 03-3273-0881
定時株主総会開催予定日      2019年3月28日        配当支払開始予定日        2019年3月29日
有価証券報告書提出予定日 2019年3月28日
決算補足説明資料作成の有無: 有
決算説明会開催の有無       : 有 (機関投資家、証券アナリスト、報道機関向け)
                                                             
                                                               (百万円未満四捨五入)
1.2018年12月期の連結業績(2018年1月1日~2018年12月31日)
 (1)連結経営成績                                                    (%表示は対前期増減率)
                                                                                               当社株主に                       当期包括利益
                売上収益                       営業利益                          当期利益
                                                                                             帰属する当期利益                        合計額
                 百万円             %          百万円          %               百万円         %          百万円      %                  百万円      %
2018年12月期       579,787         8.5        124,323     25.7              93,079    26.6         92,488 27.2                 87,587 15.1
2017年12月期       534,199         8.6         98,934     28.7              73,541    35.3         72,713 35.7                 76,081 49.0
 
                基本的1株当たり                          希薄化後                            当社株主帰属持分                             売上収益
                  当期利益                         1株当たり当期利益                            当期利益率                             営業利益率
                                   円 銭                  円 銭                                            %                             %
2018年12月期                         169.08               168.80                                        12.8                          21.4
2017年12月期                         133.04               132.83                                        10.9                          18.5
 
 (2)連結財政状態
                                                                     当社株主に                        当社株主                  1株当たり
                資産合計                       資本合計
                                                                    帰属する持分                       帰属持分比率               当社株主帰属持分
                           百万円                        百万円                 百万円                                  %               円 銭
2018年12月期                 919,548                    756,529             755,864                             82.2           1,381.26
2017年12月期                 852,473                    692,897             691,924                             81.2           1,265.46
 
 (3)連結キャッシュ・フローの状況
             営業活動による                            投資活動による                            財務活動による                      現金及び現金同等物
            キャッシュ・フロー                          キャッシュ・フロー                          キャッシュ・フロー                        期末残高
                     百万円                                百万円                                百万円                           百万円
2018年12月期           119,074                           △74,060                            △35,014                        146,860
2017年12月期           107,623                           △36,718                            △29,563                        139,074
 
2.配当の状況
                                                年間配当金                                                                       当社株主帰属
                                                                                                 配当金総額         配当性向
                                                                                                                             持分配当率
                第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                                期末              合計            (合計)         (連結)
                                                                                                                              (連結)
                          円 銭          円 銭             円 銭               円 銭             円 銭        百万円                  %         %
2017年12月期                   -          29.00             -               33.00           62.00      33,895             46.6       5.1
2018年12月期                   -          31.00             -               55.00           86.00      47,057             50.9       6.5
2019年12月期(予想)               -          48.00             -               48.00           96.00                           -
 
3.2019年12月期の連結業績予想(2019年1月1日~2019年12月31日)
                             (売上収益、Core営業利益及びCore EPSの%表示は対前期増減率)
                売上収益
                                  Core          Core         Core
                                 営業利益            EPS        配当性向
                           百万円                  %               百万円                 %              円 銭                %              %
2019年12月期(予想)             592,500              2.2             143,000             9.7            198.00            12.2           48.5
2018年12月期(実績)             579,787              8.5             130,336            26.3            176.42            27.2           48.7
(注)上記「連結業績予想」は、当社が定める経常的な業績を示す指標(Coreベース)に基づき予想値及び実績を算出
しております。また、Core EPSはCoreベースの当社株主に帰属する希薄化後1株当たり当期利益であります。
※    注記事項
    (1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動) : 無
 
    (2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更
      ① IFRSにより要求される会計方針の変更:有
      ② ①以外の会計方針の変更        :無
      ③ 会計上の見積りの変更         :無
 
    (3)発行済株式数(普通株式)
      ① 期末発行済株式数(自己株式を含む) 2018年12月期   559,685,889株 2017年12月期   559,685,889株
      ② 期末自己株式数           2018年12月期    12,459,413株 2017年12月期    12,909,947株
      ③ 期中平均株式数           2018年12月期   547,023,692株 2017年12月期   546,538,483株
 
      (注)1株当たり当期利益(連結)の算定の基礎となる株式数については、添付資料P.24「1株当たり利益」を
      ご覧ください。


※    決算短信は公認会計士又は監査法人の監査の対象外です
 
※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
     (1)本資料に記載されている業績予想等の将来に関する記述は、本業績予想作成時点において入手可能な情報に
     基づき当社が合理的と判断した目標であり、潜在的なリスクや不確実性が含まれているため、実際の成果や業績は
     記載の予想と異なる可能性があります。
     (2)当社が公表する業績予想は、当社社内の管理指標である国際会計基準(以下、「IFRS」という。)のCoreベ
     ースで株主・投資家の皆さまに開示するものであります。IFRS実績とCore実績の差異については、各期の業績開示
     の中で説明を行います。
     (3)業績予想に関する事項は添付資料P.10「今後の見通し」を、「利益配分に関する基本方針及び当期・次期の
     配当」は同P.11を、また「経営方針」に関しては同P.12~14をご覧ください。
     (4)当社は、以下のとおり決算説明会を開催する予定です。このうち、機関投資家・証券アナリスト向け説明会
     の資料、動画、Q&A等については、開催後速やかに当社ウェブサイトに掲載する予定です。
     ・2019年1月31日(木)・・・・・・報道機関向け説明会
     ・2019年2月1日(金)・・・・・・機関投資家・証券アナリスト向け説明会
                               中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


○添付資料の目次

 1.経営成績等の概況 ……………………………………………………………………………………                2
  (1)当期の経営成績の概況 …………………………………………………………………………                2
  (2)当期の財政状態の概況 …………………………………………………………………………                7
  (3)当期のキャッシュ・フローの概況 ……………………………………………………………                8
  (4)今後の見通し ……………………………………………………………………………………               10
  (5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 …………………………………………               11
 2.経営方針 ………………………………………………………………………………………………               12
  (1)経営の基本方針 …………………………………………………………………………………               12
  (2)目標とする経営指標 ……………………………………………………………………………               12
  (3)環境認識と対処すべき課題 ……………………………………………………………………               12
  (4)中期経営計画「IBI 21」 ………………………………………………………………………            13
 3.会計基準の選択に関する基本的な考え方 …………………………………………………………               14
 4.連結財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………               15
  (1)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 ……………………………………………………               15
  (2)連結財政状態計算書 ……………………………………………………………………………               17
  (3)連結キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………………………               18
  (4)連結持分変動計算書 ……………………………………………………………………………               19
  (5)継続企業の前提に関する注記 …………………………………………………………………               20
  (6)連結財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………               20




                       ― 1 ―
                                中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


1.経営成績等の概況
 (1)当期の経営成績の概況
                                                     (単位:億円)
                            2018年          2017年
                                                     前年同期比
                          12月期実績         12月期実績
   連結損益(Core実績)
    売上収益
    売上収益                         5,798       5,342      +8.5%
     製商品売上高(タミフル除く)              5,172       4,824      +7.2%
     タミフル                          107         169     △36.7%
     ロイヤルティ及びその他の営業収入              519         349      +48.7%
    売上原価                        △2,619      △2,529      +3.6%
    売上総利益
    売上総利益                        3,179       2,813      +13.0%
    販売費                          △737        △728       +1.2%
    研究開発費                        △942        △889       +6.0%
    一般管理費等                       △197        △163       +20.9%
    営業利益
    営業利益                         1,303       1,032      +26.3%
    当期利益
    当期利益                           973         767      +26.9%


   連結損益(IFRS実績)
    売上収益                         5,798       5,342      +8.5%
    営業利益                         1,243         989      +25.7%
    当期利益                           931         735      +26.7%


   <連結損益の概要(IFRSベース)>
     当連結会計年度の売上収益は5,798億円(前年同期比8.5%増)、営業利益は1,243億円(同
   25.7%増)、当期利益は931億円(同26.7%増)となりました。これらには当社が管理する経常
   的業績(Coreベース)では除外している無形資産の償却費12億円、無形資産の減損損失48億円が
   含まれています。

   <連結損益の概要(Coreベース)>
    当連結会計年度の売上収益は、製商品売上高、ロイヤルティ及びその他の営業収入がいずれも
   伸長し、5,798億円(前年同期比8.5%増)となりました。
    売上収益のうち、タミフルを除く製商品売上高は、国内のがん領域における新製品や主力品、
   骨・関節領域における主力品の堅調な推移に加え、アクテムラ、アレセンサのロシュ向け輸出の
   増加により、5,172億円(同7.2%増)となりました。ロイヤルティ及びその他の営業収入は、第
   1四半期に計上した太陽ファルマ株式会社への長期収載品の譲渡やイーライリリー・アンド・カ
   ンパニーへの開発品の導出に伴う一時的な収入等により、519億円(同48.7%増)となりまし
   た。
    製品別売上構成比の変化等により、製商品原価率は49.6%と前年同期比で1.1%ポイント改善
   しました。結果、売上総利益は3,179億円(同13.0%増)となりました。




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  経費については、1,876億円(同5.3%増)となりました。販売費は新製品を中心とした販促活
動の増加等により737億円(同1.2%増)、研究開発費は開発テーマの進展等により942億円(同
6.0%増)、一般管理費等は法務費用及び法人事業税を含む諸経費の増加により197億円(同20.9
%増)となりました。この結果、Core営業利益は1,303億円(同26.3%増)、Core当期利益は973
億円(同26.9%増)、Core EPSは176.42円(同27.2%増)となりました。
  一方、昨年2月1日に公表した通期予想に対して、売上収益は5,798億円(通期予想比7.1%
増)となりました。国内売上及びロシュ向け輸出の増加に加え、イーライリリー・アンド・カン
パニーへの開発品の導出に伴う一時的な収入等により、当初の予想を上回りました。また、製品
別売上構成比の変化等により、製商品原価率は49.6%と通期予想を1.0%ポイント改善した一方、
法務費用の増加に加え、新製品及び主力品のさらなる市場浸透のための経費増により、経費は
1,876億円(同3.4%増)となりました。この結果、Core営業利益は1,303億円(同20.6%増)と
なりました。

※Core実績について
 当社はIFRS移行を機に2013年よりCore実績を開示しております。Core実績とはIFRS実績に当社
が非経常事項と捉える事項の調整を行ったものであり、ロシュが開示するCore実績の概念とも整
合しております。当社ではCore実績を、社内の業績管理、社内外への経常的な収益性の推移の説
明、並びに株主還元をはじめとする成果配分を行う際の指標として使用しております。
 詳細は補足資料P.1「IFRS実績からCore実績への調整表」をご覧ください。

※Core EPS:当社が定める非経常的損益項目を控除したうえで算出された、当社株主に帰属する
希薄化後1株当たり当期利益であります。

<製商品売上高の内訳>
                                                   (単位:億円)
                           2018年         2017年
                                                   前年同期比
                         12月期実績        12月期実績
製商品売上高
製商品売上高                         5,278       4,993      +5.7%
 国内製商品売上高(タミフル除く)
 国内製商品売上高 タミフル除く               3,892       3,884      +0.2%
  がん領域                         2,257       2,259      △0.1%
  骨・関節領域                       1,005         933      +7.7%
  腎領域                            363         393      △7.6%
  その他領域                          268         299     △10.4%
 タミフル
 タミフル                            107         169     △36.7%
  通常                             101         119     △15.1%
  行政備蓄等                            5          50     △90.0%
 海外製商品売上高
 海外製商品売上高                      1,279         940      +36.1%

[国内製商品売上高(タミフル除く)]
 タミフルを除く国内製商品売上高は、昨年4月の薬価改定の影響を受け、一部の抗悪性腫瘍剤
の売上が減少したものの、がん領域における新製品や主力品、骨・関節領域における主力品の堅
調な推移により、3,892億円(前年同期比0.2%増)となりました。
 がん領域の売上は、2,257億円(同0.1%減)となりました。これは、昨年4月に発売した抗悪
性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク」の売上が91億円となったことに加
え、主力品である抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤「アレセンサ」が好調に推移したものの、昨年4月の
薬価改定の影響等を受けて、抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体「ハーセプチン」
と、抗悪性腫瘍剤/抗CD20モノクローナル抗体「リツキサン」の売上が減少したことによりま
す。

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                              中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


   骨・関節領域の売上は、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」、経
 口骨粗鬆症治療剤「エディロール」といった主力品の堅調な推移により、1,005億円(同7.7%
 増)となりました。
   腎領域の売上は、昨年4月の薬価改定の影響等を受け、二次性副甲状腺機能亢進症治療剤「オ
 キサロール」や持続型赤血球造血刺激因子製剤「ミルセラ」等の売上が減少したことにより、
 363億円(同7.6%減)となりました。
   その他領域の売上は、昨年5月に発売した血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤「ヘムライブラ」の
 売上が順調な市場浸透により30億円となったものの、太陽ファルマ株式会社へ譲渡した長期収載
 品の減少等により、268億円(同10.4%減)となりました。
   一方、昨年2月1日に公表した通期予想に対して、タミフルを除く国内製商品売上高は、テセ
 ントリクやヘムライブラといった新製品の想定を上回る進捗をはじめ、すべての領域で通期予想
 を上回った結果、3,892億円(通期予想比3.8%増)となりました。

 [タミフル]
   抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」の通常シーズン向けの売上は101億円(前年同期比
 15.1%減)、行政備蓄等の売上は5億円(同90.0%減)でした。

 [海外製商品売上高]
  アクテムラ、アレセンサのロシュ向け輸出の増加により、海外製商品売上高は1,279億円(前
 年同期比36.1%増)となりました。
  一方、昨年2月1日に公表した通期予想に対して、海外製商品売上高は、アクテムラ、アレセ
 ンサのロシュ向け輸出が想定を上回り、1,279億円(通期予想比8.3%増)となりました。

研究開発活動の状況
  当社グループは、医療用医薬品に関して国内外にわたる積極的な研究開発活動を展開してお
 り、国際的に通用する革新的な医薬品の創製に取り組んでおります。国内では、御殿場、鎌倉に
 研究拠点を配置し、連携して創薬の研究を行う一方、浮間では工業化技術の研究を行っておりま
 す。また、海外では、中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド(米国)、中外
 ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド(英国)、日健中外科技(北京)有限公司(中国)、台湾中
 外製薬股份有限公司(台湾)が医薬品の開発・申請業務を、中外ファーマボディ・リサーチ・ピ
 ーティーイー・リミテッド(シンガポール)、共同支配事業であるC&Cリサーチ・ラボラトリー
 ズ(韓国)が医薬品の研究開発を行っています。
  当連結会計年度におけるCoreベースの研究開発費は、942億円となりました。

  2018年1月1日から2018年12月31日までの研究開発活動の進捗状況は以下のとおりでありま
 す。

 「がん領域」
  がん領域
 ・糖鎖改変型タイプⅡ抗CD20モノクローナル抗体「RG7159」(製品名:「ガザイバ」)は、CD20
  陽性の濾胞性リンパ腫を適応症として2018年7月に承認を取得し、8月に発売しました。
 ・HER2二量体化阻害ヒト化モノクローナル抗体「RG1273」(製品名:「パージェタ」)は、HER2
  陽性の乳がんにおける術前・術後薬物療法を適応症として、2018年10月に承認を取得しまし
  た。
 ・改変型抗PD-L1モノクローナル抗体「RG7446」(製品名:「テセントリク」)は、切除不能な
  進行・再発の非小細胞肺がんを適応症として2018年1月に承認を取得し、4月に発売しまし
  た。2018年3月には、化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺
  がんに対して承認申請を行い、12月に承認を取得しました。2018年12月には、小細胞肺がん及
  び乳がんを予定適応症として承認申請を行いました。肝細胞がんを予定適応症として2018年4
  月に、頭頸部がん(維持療法)を予定適応症として2018年6月に、早期乳がんを予定適応症と
  して2018年8月に、それぞれ第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。


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                               中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


・抗VEGF(血管内皮増殖因子)ヒト化モノクローナル抗体「RG435」(製品名:「アバスチ
 ン」)は、肝細胞がんを予定適応症として2018年4月に第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・AKT阻害剤「RG7440」は、乳がんを予定適応症として、2018年1月に第Ⅲ相国際共同治験を開
 始しました。
・抗HER2ヒト化モノクローナル抗体/HER2二量体化阻害ヒト化モノクローナル抗体「RG6264」
 (配合剤、皮下注)は、乳がんを予定適応症として、2018年7月に第Ⅲ相国際共同治験を開始
 しました。
・ALK阻害剤「AF802/RG7853」(製品名:「アレセンサ」)は、非小細胞肺がん[アジュバント]
 を予定適応症として、2018年8月に第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・ROS1/TRK阻害剤「RG6268」は、2018年7月に導入契約を締結し、非小細胞肺がん及び固形がん
 [NTRK 融合遺伝子陽性]を予定適応症とする国内開発を開始し、2018年12月に固形がん[NTRK
 融合遺伝子陽性]を予定適応症として承認申請を行いました。
・抗CEA/CD3バイスペシフィック抗体「RG7802」は、固形がんを予定適応症として、2018年1月
 に第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体「RG7828」は、血液がんを予定適応症として、2018年3月
 に第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・PI3K阻害剤「RG7604」は、導入元のロシュが実施した海外臨床試験の結果に鑑み、固形がんを
 対象とする開発を中止しました。
「骨・関節領域」
     関節領域
・活性型ビタミンD3誘導体「ED-71」(製品名:「エディロール」)は、骨粗鬆症を予定適応症
 として、2018年2月に中国で承認申請を行いました。
「神経疾患領域」
 神経疾患領域
・抗α -シヌクレインモノクローナル抗体「RG7935」は、パーキンソン病を予定適応症として、
 2018年2月に第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・「GYM329/ RG6237」は、神経筋疾患を予定適応症として、2018年10月に第Ⅰ相臨床試験を開始
 しました。
「その他の疾患領域」
 その他の疾患領域
・抗factor IXa/Xバイスペシフィック抗体「ACE910/RG6013」(製品名:「ヘムライブラ」)は、
 血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する成人及び小児の血友病Aに対する週1回
 の皮下投与による予防投与療法に対して、2018年2月に欧州で、3月に国内で承認を取得し、
 5月に国内で発売しました。また、血液凝固第VIII因子に対するインヒビター非保有の成人あ
 るいは小児の血友病Aに対する週1回、2週に1回または4週に1回の皮下投与による予防療
 法の効能・効果、及び血液凝固第VIII因子に対するインヒビター保有の成人あるいは小児の血
 友病Aに対する2週または4週に1回の用法用量の追加について、2018年4月に国内、米国及
 び欧州で承認申請を行い、2018年10月に米国で、12月に国内で承認を取得しました。
・抗VEGF/Ang2バイスペシフィック抗体「RG7716」は、糖尿病黄斑浮腫を予定適応症として、
 2018年9月に第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・「AMY109」は、子宮内膜症を予定適応症として、2018年2月に第Ⅰ相臨床試験を開始しまし
 た。
・抗IL-13ヒト化モノクローナル抗体「RG3637」は、第Ⅱ相国際共同治験「RIFF試験」の結果に
 鑑み、特発性肺線維症を対象とする開発を中止しました。
・URAT1阻害剤「URC102」は、開発ポートフォリオの優先度を考慮し、痛風を対象とする開発を
 中止しました。




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                                中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


中期経営計画「IBI 18」の成果
  当社グループは、2016年度から2018年度を実行期間とする中期経営計画「IBI 18」を策定し、
 ロシュとの戦略的アライアンスを活用した競争優位性の発揮を通じて、グローバルに飛躍し続け
 る企業への変革を目指して、以下の各分野における重点課題に取り組んでまいりました。
 ①創薬
  世界最先端の抗体改変技術をはじめとする創薬技術への優先投資により、革新的な研究開発プ
 ロジェクトの創出を加速しました。「IBI 18」期間中には新たに8つのプロジェクトがポートフ
 ォリオに加わり、「ERY974」「SKY59」「AMY109」「GYM329」の4つの自社創製品の臨床試験を
 開始いたしました。また、低分子・抗体に続く次世代コア技術として位置付ける中分子の技術基
 盤が構築され、開発プロジェクトの早期創出に向けて順調に進捗しております。さらには、大阪
 大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)との包括連携をはじめとするアカデミアとの協
 働による新規プロジェクトの創出体制も強化し、複数の有望プロジェクトが生み出されておりま
 す。

 ②開発
  今後の飛躍的成長を担うドライバー品への集中的な資源投入により、自社創製品であるヘムラ
 イブラは当初計画を大きく上回るスピードでのグローバル迅速承認を達成いたしました。ロシュ
 からの導入品では、テセントリクの非小細胞肺がん1次治療/2次治療での承認を取得し、加え
 て19適応症での開発が進展中です。さらには、ヘムライブラに続く自社グローバル成長ドライバ
 ー候補である「SA237(サトラリズマブ)」が、米国FDAから視神経脊髄炎及び視神経脊髄炎関連
 疾患に対する「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)」の指定を受けるなど、承認取得に向け
 て開発が順調に進捗しています。

 ③製薬
   グローバル複数同時開発・高速上市とコスト低減に向けた製薬機能の強化に取り組み、抗体プ
 ロジェクトの開発期間の短縮、アレセンサの原価低減を達成すると同時に、バイオ原薬初期生産
 プラント「UK3」におけるGMP製造準備も進展いたしました。また、ヘムライブラの申請を通じた
 FDA査察体制の構築、中分子原薬の製造及び製剤化技術の構築も大きく進展いたしました。

 ④営業・メディカル・安全性
  患者・医療関係者をはじめとするステークホルダーの高度化・多様化するニーズに応えるた
 め、営業・メディカル・安全性を中心とする各専門機能の分業及び機能横断的な連携を一層強化
 し、質の高いソリューション提供を推進してまいりました。その結果、アバスチン、アクテム
 ラ、エディロール等の既存重点品の持続的な成長を達成するとともに、新製品であるヘムライブ
 ラ、テセントリクの早期市場浸透を実現し、計画を大きく上回る売上を達成することができまし
 た。

 ⑤全社基盤
  上記に掲げた課題の遂行にあたっては、特に人財の強化にフォーカスし、適所適財に基づく重
 点ポジションの選定、戦略遂行を担うグローバルトップクラス人財の獲得・育成・配置、及びダ
 イバーシティ&インクルージョンの推進に注力いたしました。また、長期収載品13品目の事業譲
 渡を行うなど、限られた資源をイノベーションに集中するための打ち手を実行いたしました。

  これら取組みにより、当初の定性目標及び計量計画を高い水準で達成し、財務面でも過去最高
 益を連続更新いたしました。
  2015年から中期計画最終年度である2018年までの年平均Core EPS成長率(一定為替レートベー
 ス)は、当初見通しの“Low single digit”(~3%台)を大幅に上回り、17.1%と非常に好調
 な実績となりました。

 ※本項(1)において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位
 で表示された数字で計算しております。




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    (2)当期の財政状態の概況
                                                            (単位:億円)
                                 2018年         2017年
                                                             前期末比
                                期末実績          期末実績
      純営業資産(NOA)及び純資産
       純運転資本                          2,351       2,507        △6.2%
       長期純営業資産                        2,701       1,895        +42.5%
       純営業資産(NOA)
       純営業資産                          5,053       4,402        +14.8%
       ネット現金                          2,492       2,428        +2.6%
       その他の営業外純資産                        21            99     △78.8%
       純資産合計                          7,565       6,929        +9.2%


      連結財政状態計算書(IFRS実績)
       資産合計                           9,195       8,525        +7.9%
       負債合計                          △1,630     △1,596         +2.1%
       純資産合計                          7,565       6,929        +9.2%
 
        当連結会計年度末における純営業資産(NOA)は前連結会計年度末に比べ651億円増加し、
      5,053億円となりました。うち、純運転資本は、主に棚卸資産の減少により前連結会計年度末に
      比べ156億円減少し2,351億円となった一方、長期純営業資産は主に有形固定資産の増加により前
      連結会計年度末から806億円増加し、2,701億円となりました。有形固定資産の増加は、次項
      「(3)当期のキャッシュ・フローの概況」に記載したとおりです。
        同じく、次項「(3)当期のキャッシュ・フローの概況」で示すとおり、有価証券や有利子負
      債を含むネット現金は前連結会計年度末に比べ64億円増加し、2,492億円となりました。また、
      その他の営業外純資産は、主に退職後給付負債の増加により前連結会計年度末から78億円減少
      し、21億円となりました。
        なお、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用により、期首に純運転資本や長期純
      営業資産に含まれていた繰延収益の税効果考慮後の金額106億円を利益剰余金に修正しておりま
      す。
        これらの結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ636億円増加し、7,565億円となりまし
      た。
       
      ※純営業資産(NOA)及び純資産について
        連結財政状態計算書は国際会計基準第1号「財務諸表の表示」に基づいて作成しております。
      一方で、純営業資産(NOA)及び純資産は、連結財政状態計算書を内部管理の指標として再構成
      したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、純営業資産(NOA)及び純資
      産にはCore実績のような除外事項はありません。
        詳細は補足資料P.10「財政状態」をご覧ください。
 
      ※純営業資産(NOA)について
       純営業資産(NOA:Net Operating Assets)は金融取引や税務上の取引とは独立に当社グルー
      プの業績を評価することを可能としております。純営業資産は純運転資本及び有形固定資産、無
      形資産等を含む長期純営業資産から引当金を控除することで計算しております。
 
      ※本項(2)において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位
      で表示された数字で計算しております。



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                                  中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


    (3)当期のキャッシュ・フローの概況
                                                       (単位:億円)
                                 2018年       2017年
                                                       前年同期比
                               12月期実績      12月期実績
      フリー・キャッシュ・フロー
       営業利益                        1,243         989      +25.7%
       調整後営業利益                     1,474       1,210      +21.8%
       営業フリー・キャッシュ・フロー               743         910     △18.4%
       フリー・キャッシュ・フロー
       フリー キャッシュ フロー                 437         647     △32.5%
       ネット現金の純増減                      64         379     △83.1%


      連結キャッシュ・フロー計算書(IFRS実績)
       営業活動によるキャッシュ・フロー            1,191       1,076      +10.7%
       投資活動によるキャッシュ・フロー            △741        △367      +101.9%
       財務活動によるキャッシュ・フロー            △350        △296       +18.2%
       現金及び現金同等物の増減額                  78         437     △82.2%
       現金及び現金同等物の期末残高              1,469       1,391      +5.6%
 
       当連結会計年度の営業フリー・キャッシュ・フローは、営業利益から、営業利益に含まれる減
      価償却費などのすべての非現金損益項目及び純営業資産に係るすべての非損益現金流出入を調整
      した調整後営業利益が、前年同期比21.8%増の1,474億円となったものの、主に有形固定資産の
      取得による支出718億円により、743億円(前年同期比18.4%減)の収入となりました。有形固定
      資産の取得は、主に新研究所の建設を目的にした横浜市戸塚区の事業用地取得や少量多品種の抗
      体原薬の初期商用生産を目的にした生産設備への投資であります。
       営業フリー・キャッシュ・フローから法人所得税316億円、移転価格税制調整金32億円を支払
      ったこと等により、フリー・キャッシュ・フローは437億円(同32.5%減)の収入となりまし
      た。
       フリー・キャッシュ・フローから配当金の支払358億円及び換算差額等を調整したネット現金
      の純増減は64億円増加しました。
       また、有価証券及び有利子負債の増減を除いた現金及び現金同等物は78億円増加し、当期末残
      高は1,469億円となりました。
 
      ※フリー・キャッシュ・フロー(FCF)について
       連結キャッシュ・フロー計算書は国際会計基準第7号「キャッシュ・フロー計算書」に基づい
      て作成しております。一方で、FCFは、連結キャッシュ・フロー計算書を内部管理の指標として
      再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、FCFにはCore実績のよ
      うな除外事項はありません。
       詳細は補足資料P.11「キャッシュ・フロー」をご覧ください。
 




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    キャッシュ・フロー関連指標の推移
 
                               2018年      2017年      2016年     2015年
                               12月期       12月期       12月期      12月期
    当社の株主帰属持分比率(%)                82.2       81.2       80.1      79.5
    時価ベースの当社の株主帰属持分比率(%)          379.7      370.1     227.3     294.0
    キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)            0.2        0.3       1.7       1.2
    インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)        26,274.1   19,772.7   4,708.4   8,582.4


     当社の株主帰属持分比率              :当社の株主持分/総資産
     時価ベースの当社の株主帰属持分比率        :株式時価総額/総資産
     キャッシュ・フロー対有利子負債比率        :有利子負債/キャッシュ・フロー
     インタレスト・カバレッジ・レシオ         :キャッシュ・フロー/利払い
     (注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
     (注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出し
         ております。
     (注3)キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシ
         ュ・フローを使用しております。
     (注4)有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている
         全ての負債を対象としております。
     (注5)利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払を使用しております。

    ※本項(3)において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位
    で表示された数字で計算しております。




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                                     中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


    (4)今後の見通し
      ①見通しの前提
       為替レートは1スイスフラン=114円、1ユーロ=128円、1米ドル=111円、1シンガポール
      ドル=82円を想定しております。

      ②業績の見通し
      [売上収益]
        国内製商品売上につきましては、ヘムライブラやテセントリク等の新製品の伸長の一方、後発
      品を含む競合及び薬価改定の影響による売上高の減少がこれを上回り、3,891億円(前年同期比
      2.7%減)と前年を下回る見通しです。
        海外製商品売上につきましては、ロシュ向け輸出のアレセンサの順調な伸長及びアクテムラの
      持続的な数量成長により、1,389億円(同8.6%増)と増加する見通しです。
        ロイヤルティ等収入及びその他の営業収入は、645億円(同24.3%増)となる見通しです。こ
      のうちロイヤルティ及びプロフィットシェア収入は、主にヘムライブラに関するロシュからのロ
      イヤルティ収入の増加により、535億円(同122.0%増)となる見込みです。その他の営業収入
      は、前年に長期収載品の譲渡による一時金収入を計上したこと等により減少し、110億円(同
      60.6%減)と見込んでおります。

      [Core営業利益、Core EPS]
        これら売上収益の増加を主要因とし、売上総利益は前年同期比7.0%増加の3,400億円となる見
      通しです。一方、経費全体では前年同期比94億円増の1,970億円と前年を上回る予定です。この
      うち研究開発費は、開発テーマの進展等、研究開発活動の増加を中心に、前年同期比78億円増の
      1,020億円を見込んでいます。
        これによりCore営業利益は1,430億円(前年同期比9.7%増)となる見通しです。また、Core
      EPSは198.00円(同12.2%増)を見込んでおります。

                                             (単位:億円)
                          2019年見通し           増減率
            売上収益                    5,925          +2.2%
                製商品売上高              5,280          +0.0%
            Core営業利益                1,430          +9.7%


      ※本項(4)において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位
      で表示された数字で計算しております。
 




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(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
    当社は、戦略的な投資資金需要や業績見通しを勘案したうえで、Core EPS対比平均して50%の
  配当性向を目処に、株主の皆様へ安定的な配当を行うことを目標としております。内部留保資金
  につきましては、一層の企業価値向上に向け、現戦略領域でさらなる成長を図ることや将来のビ
  ジネス機会を探索するための投資に充当してまいります。
    中期経営計画「IBI 18」の最終年にあたる2018年度の業績は、過去最高益の実績を挙げること
  ができ、Core EPSで前年対比27.2%の増加、期初公表対比20.0%の過達となりました。また、
  「Core EPSの一定為替ベース年平均成長率でLow single digit(3%台以下)を目指す」と公約
  した「IBI 18」の定量目標に対して、成長率実績17.1%と大きく上回るとともに、トップ製薬企
  業像を実現することができました。
    こうした好業績を反映し、「Core EPS対比平均して50%の配当性向を目処に、安定的な配当を
  行う」という当社方針に準ずるよう、当期の期末配当金は期初予想に10円の増配及び14円の特別
  配当を加えた1株当たり55円を予定しております。この結果、年間配当金は1株当たり86円、
  Core配当性向は48.7%(5年平均で48.6%)となります。
    次期の配当予想につきましては、1株当たり年間96円、うち中間配当金48円を予想値といたし
  ます。これにより、2019年の予想Core配当性向は48.5%(5年平均で48.4%)となります。

                                直近の配当予想               前期実績
                 決定額
                             (2018年2月1日公表)         (2017年12月期)
     基準日      2018年12月31日       2018年12月31日         2017年12月31日
   1株当たり
                55円00銭               31円00銭           33円00銭
    配当金
   配当金総額       30,097百万円               -            18,044百万円
   効力発生日      2019年3月29日               -            2018年3月23日
    配当原資        利益剰余金                  -             利益剰余金




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2.経営方針
 (1)経営の基本方針
    当社グループは、世界有数の製薬企業であるロシュとの戦略的アライアンスのもと、「革新的
   な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」
   ことをMission(存在意義)とし、「患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア
   産業のトップイノベーターとなること」を目標に、社会とともに発展することを経営の基本方針
   としています。
    その実践にあたっては、当社グループのCore Values(価値観)である、「患者中心」、「フ
   ロンティア精神」、「誠実」に沿った事業活動を行っております。
    この基本方針のもと、「すべての革新は患者さんのために」という考え方に沿って、革新的な
   創薬を柱とするイノベーションに集中し、一人ひとりの患者さんにとって最適な医療の提供によ
   る社会課題の解決と健全な社会の発展を目指すとともに、持続的な企業価値拡大を図ります。
    さらに、事業活動に伴う社会へのインパクトを最善のものとするため、環境・社会・ガバナン
   スに代表される課題に積極的に取り組んでまいります。こうした活動は、社会全体の持続性向上
   に寄与するとともに、当社グループの長期的な発展を支える基盤になると確信しております。

 (2)目標とする経営指標
    当社グループはイノベーションの創出による企業価値の向上を重視し、中長期計画の策定にお
   いては、資本スプレッドを加味した目標と現状とのギャップを明確にしたうえで成長戦略を立案
   しております。開発テーマ等の投資判断においても、都度、資本コストを踏まえた評価をするな
   ど、収益性と資本効率を重視した資源配分・経営判断を行っております。そのうえで、持続的な
   企業価値向上を端的に表し、かつ株主等ステークホルダーと共有できる指標として、2019年度か
   ら2021年度までを期間とする中期経営計画「IBI 21」においては、3年間でのCore EPS年平均成
   長率「High single digit(一桁台後半;一定為替レートベース)」を掲げております。

 (3)環境認識と対処すべき課題
    世界人口の増加と各国における高齢化進展によって、医薬品への期待・ニーズが増大するな
   か、限られた資源のもと、持続可能な医療の実現が世界共通の課題となっております。また、ラ
   イフサイエンスやICTの飛躍的な進歩によって、社会構造が大きく変化するとともに、医療課題
   解決へのイノベーション創出機会が拡大する一方、既存業界の枠を超えた企業間のスピード競争
   はこれまで以上に熾烈化しております。
    こうした変化は相互に影響しあいながら、社会全体に幾何級数的な変動をもたらすことが予想
   されます。このため、製薬産業においても大幅な変革が求められる状況にあります。
    最も重要な課題は、「イノベーション」の追求です。新たな治療ターゲットの探索や創薬技術
   のさらなる革新により、アンメット・メディカルニーズに応える新薬の創出が求められます。さ
   らには、患者さん一人ひとりに最適な医療の実現に向けて、ライフサイエンス進展による新たな
   技術や、ビッグデータ、AIといったデジタル技術の進化を柔軟に取り入れながら、従来の創薬力
   にとどまらないケイパビリティを獲得・強化することが課題となります。
    その実現に向けた「事業構造改革」も喫緊の課題です。グローバルでの財政圧力・薬剤費抑制
   策の強化により製薬企業の経営環境が厳しくなるなか、限られた資源をイノベーションに集中投
   資できる体制への変革が一層求められます。特に国内においては、薬剤費抑制に向けた厳しい制
   度改革が次々と打ち出され、今後はますますの市場縮小が見通されており、既存プロセスやコス
   ト構造の抜本的見直し、及びデジタル等も活用した新たな事業構造のデザインが課題となりま
   す。
    こうした製薬産業における課題に加え、社会全体において、近年の地球環境変動や、経済格差
   による貧困等の社会経済を含めた社会システムの持続性への危機が高まっております。事業活動
   の持続的な発展のために、企業はこれらの背景にある社会課題と真摯に向き合い、それぞれのバ
   リューチェーンに関連した課題を特定し、解決に向けて取り組む必要があります。

    そのようななか、当社グループは、革新的な新薬の創出と、ロシュとの戦略的アライアンスを
   基盤とした国内トップクラスの成長を実現してまいりました。ロシュの充実した新薬パイプライ
   ンによる安定した収益基盤を確保しながら、自社創薬に資源を集中し、革新的な研究開発プロジ
   ェクトを継続的に創出しております。その結果、これまで4つの当社創製医薬品(アクテムラ、
   アレセンサ、ヘムライブラ、「SA237(サトラリズマブ)」)が米国FDAから「画期的治療薬
   (Breakthrough Therapy)」に指定されるなど、当社グループの創薬力は世界的に高い評価を受
   けております。また、後期開発や販売においては、グローバル・ロシュのプラットフォームを活
   用することで、高い生産性を実現しております。


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                                     中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


       今後、アレセンサ、ヘムライブラなどの成長ドライバーをグローバル市場で確実に価値最大化
      すること、そしてこれらに続く自社成長ドライバーをいち早く創出し、スピーディな開発を成し
      遂げることで、今後も持続的な利益成長を目指してまいります。
       その一方で、社会がグローバルで大きな変化を迎えるなか、当社の取組みもさらなる進化が必
      要であると認識しております。

    (4)中期経営計画「IBI 21」
        当社グループは、2019年度から2021年度までを期間とする新たな中期経営計画「IBI 21」を策
      定しました。前中計「IBI 18」で築いた事業基盤とロシュとの戦略的アライアンスをベースに、
      さらなる競争優位の獲得と持続的な利益成長・企業価値拡大の実現を目指し、新たなステージで
      の変革に取り組んでおります。
        「IBI 21」で私たちが目指すのは、革新的新薬を中核として、イノベーションによる社会及び
      当社の発展を加速することです。「グローバル成長ドライバーの創出と価値最大化」及び「事業
      を支える人財・基盤の強化」を重点テーマとし、実現に向けた「5つの戦略」を掲げておりま
      す。
        「IBI 21」では、「IBI」に込めた当社のイノベーションに対する基本姿勢、「INNOVATION
      BEYOND IMAGINATION(創造で、想像を超える。)」をさらに強化し、革新を通じた持続的な企業
      成長を目指してまいります。
 
      ①Value Creation(創薬、開発、製薬)
       当社グループは、これまで世界最先端の抗体改変技術への優先投資により、革新的な研究開発
      プロジェクトの創出を加速してまいりました。また、低分子、抗体に加えて次世代のコア創薬技
      術として中分子を選択し、集中投資による技術確立と研究開発プロジェクトの早期創出に向けて
      取り組んでおります。
       「IBI 21」においては、「治癒、疾患コントロールを目指した革新的創薬の実現」をテーマ
      に、新たな次元での創薬に挑戦してまいります。これまで培ってきた独自の創薬技術をさらに強
      化するとともに、バイオロジー(病態のさらなる深い理解)との融合により独創的な創薬ターゲ
      ットを同定し、それらの最速でのPoC取得~開発の実現と患者価値の実証を強力に推進してまい
      ります。特に、自社開発パイプラインについて、日米欧3極を軸とした自社のトランスレーショ
      ナルリサーチ推進体制、及びロシュとの協働のもと、グローバルトップクラスの質・スピードに
      よる開発を進め、次世代成長ドライバーとなる革新的新薬の連続創出を実現します。
       こうした革新的新薬をいち早く患者さんにお届けするため、高速開発と製品供給体制の充実、
      特に中分子医薬品など製剤難度の高い研究開発プロジェクトに対応した製造技術のさらなる進化
      を推進します。また、グローバル基準に対応した品質管理、品質保証、及びレギュラトリー機能
      の強化にも引き続き努めてまいります。
 
      ②Value Delivery(営業、メディカル、安全性)
       当社グループは、これまで自社及びロシュからの多くの有力な治療薬を市場に展開し、がん領
      域、腎領域、骨・関節領域、リウマチ領域をはじめとして参入市場において確固たる地位を築い
      てまいりました。
       「IBI 21」においては、これまで取り組んできた患者中心の情報提供活動や安全性マネジメン
      トを含めた医薬品適正使用推進活動、患者さんにとっての薬剤価値を高めるエビデンス創出活動
      を一層強化するとともに、技術進化に対応したデジタルソリューションの強化も含め、高度化・
      多様化するステークホルダー・ニーズに応えるソリューション提供を追求し、「患者中心の高度
      かつ持続的な医療」の実現に貢献するとともに、国内外において成長ドライバー品への活動集中
      により、当社グループの成長加速を目指してまいります。
 




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    ③個別化医療(PHC)の高度化
      ゲノム医療やデータ解析技術の飛躍的な進歩を背景に、近年、「個別化医療(Personalized
    Healthcare; PHC)」がますます進展しています。また、デジタルデバイスの進化などによって、
    これまでの「効果・安全性」という概念にとどまらず、QOL等を含めた患者さんにとっての幅広
    いメリットの測定が可能となることで、患者さんにとって最適なソリューションの提供と価値の
    証明が一層求められます。このようななか、当社は個別化医療において世界をリードするロシ
    ュ・グループの一員として、一人ひとりの「個人」に最適な治療を提供する新たな段階の個別化
    医療を目指して、国やアカデミアとも緊密に協働しながら取り組んでまいります。さらには、患
    者さんやその家族にとっての幅広い価値の提供とその証明を可能にするケイパビリティの強化に
    競合に先んじて取り組みます。さらには、デジタル技術・データを活用した取組みを通じて、創
    薬ターゲットや分子探索の効率化、RWDを用いた臨床開発の効率化といったR&Dプロセスの革新も
    積極的に推進してまいります。
      また、がん領域におけるリーディングカンパニーとして、がんゲノム医療の実現と提供体制の
    構築に貢献することは当社の重要な責務と考えております。「FoundationOne CDx がんゲノムプ
    ロファイル」はその一環で、次世代シークエンサーを用いて網羅的がん関連遺伝子解析プロファ
    イリング情報を提供する製品であり、がん治療における個別化医療の発展と普及に貢献するもの
    です。2018年には「ファウンデーションメディシン・ユニット」を新設し、本事業を力強く推進
    しております。
 
    ④人財の強化と抜本的な構造改革
     ここまで掲げた戦略の遂行にあたっては、激変する環境に対応し、イノベーション創出を牽引
    する多様な人財の育成・獲得が重要となります。「IBI 21」においては、中長期を見据えた高度
    かつ多様な人財の獲得・育成・配置に向けた取組みを一層強化します。具体的には、リーダー人
    財の適所適財を推進するためのタレントマネジメント・ポジションマネジメント実行体制の強
    化、戦略実行のキーとなる専門人財の獲得、挑戦的な風土を支える人事・報酬制度への変革、そ
    してダイバーシティ&インクルージョンの一層の推進により多様な人財の活躍でイノベーション
    が創出される組織風土の醸成に取り組んでまいります。
     また、財政圧力を背景に製薬企業の事業環境が厳しさを増すなか、イノベーションへの資源集
    中を可能にするコスト構造への変革が大きな課題となります。当社においても、限られた資源を
    イノベーションに集中するために、2018年には長期収載品13品目の事業譲渡を行うなどの打ち手
    を実行してまいりました。「IBI 21」では、機動的なイノベーションへの投資と持続的な利益成
    長を同時に実現するため、事業プロセスやコスト構造の抜本的な見直しを断行いたします。

    ⑤Sustainable基盤の強化
     当社グループは、高度で持続可能な医療を実現し人々の健康に貢献するために、Core Values
    (価値観)に沿った事業を行っております。生命関連企業として、常に誠実な事業活動を行い、
    高い倫理観とコンプライアンス遵守、品質マネジメントに努めています。また、地球環境に配慮
    した事業活動や、「医療」「福祉」「教育」「地域社会」及び「環境」に関連した社会貢献活動
    についても良き企業市民として取り組んでまいりました。
     「IBI 21」では、当社グループのMissionと、事業の経済・社会・環境に及ぼす影響を踏まえ
    て特定した重要課題(マテリアリティ)に取り組んでまいります。なかでも、医薬品及びサービ
    スの高い品質の維持、及び当社の技術や知見が活用可能な保健医療アクセスの向上によるグロー
    バルヘルスへの貢献については特に注力してまいります。また、自然資本への悪影響の最小化を
    目指して地球環境へ配慮した事業活動を推進いたします。
     当社グループが取り組むこれら重要課題(マテリアリティ)については、ステークホルダーへ
    積極的な情報開示と対話を進めてまいります。

     「IBI 21」では、これら5つの戦略を柱として、イノベーションによる社会及び当社の発展を
    目指して取り組んでまいります。

3.会計基準の選択に関する基本的な考え方
  当社グループは国内外において革新的な新薬を提供することを目指し、国外においても医薬品の販
 売や研究開発活動を実施し、国際的な事業活動を行っております。こうした状況を鑑み、投資家の皆
 様の利便性の観点から財務情報の国際的な比較可能性の向上を図るべく、2013年12月期第1四半期連
 結会計期間から国際会計基準(IFRS)を適用しております。




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4.連結財務諸表及び主な注記
    (1)連結損益計算書及び連結包括利益計算書
     連結損益計算書
                                                    (単位:百万円)
                          当連結会計年度                 前連結会計年度
                        (自 2018年1月1日            (自 2017年1月1日
                         至 2018年12月31日)          至 2017年12月31日)
売上収益
売上収益                              579,787                  534,199
 製商品売上高                           527,844                  499,308
 ロイヤルティ及びその他の営業収入                  51,943                   34,891
売上原価                             △262,847                △254,171
 売上総利益
 売上総利益                            316,940                  280,028

販売費                                  △73,706               △72,800
研究開発費                                △99,202               △92,947
一般管理費等                               △19,710               △15,347
 営業利益
 営業利益                                124,323                98,934

金融費用                                    △111                △110
その他の金融収入(支出)                              449                △87
その他の費用                                △3,212               △1,706
 税引前当期利益
 税引前当期利益                              121,449              97,031

法人所得税                                △28,370               △23,490
 当期利益
 当期利益                                 93,079                73,541

当期利益の帰属:
 当社の株主持分                               92,488               72,713
 非支配持分                                    591                  827

1株当たり当期利益
 基本的1株当たり当期利益(円)                       169.08               133.04
 希薄化後1株当たり当期利益(円)                      168.80               132.83
 




                        ― 15 ―
                                中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


    連結包括利益計算書
                                                   (単位:百万円)
                           当連結会計年度                前連結会計年度
                         (自 2018年1月1日           (自 2017年1月1日
                          至 2018年12月31日)         至 2017年12月31日)
当期利益
当期利益                                93,079                 73,541

その他の包括利益

    確定給付制度の再測定                        △2,472                  916
    その他の包括利益を通じて公正価値
                                          363                   -
    で測定する金融資産
    純損益に振り替えられない項目合計
    純損益に振り替えられない項目合
               い項目合計                  △2,109                  916

    売却可能金融資産                               -                1,204
    その他の包括利益を通じて公正価値
                                            0                   -
    で測定する金融資産
    キャッシュ・フロー・ヘッジ                      △225                △3,293
    在外子会社等の為替換算差額                     △3,158                3,713
    のちに純損益に振り替えられる
    のちに純損益に振り替えられ
               られる
                                      △3,383                1,624
    可能性のある項目合計
    可能性のある項目合計

その他の包括利益合計
その他の包括利益合計                            △5,492                2,540
当期包括利益
当期包括利益                                 87,587              76,081

当期包括利益の帰属:
 当社の株主持分                               87,078              75,154
 非支配持分                                    509                 927
 




                       ― 16 ―
                         中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


(2)連結財政状態計算書
                                            (単位:百万円)
                     当連結会計年度              前連結会計年度
                    (2018年12月31日)        (2017年12月31日)
資産
非流動資産:
 有形固定資産                        222,388            171,569
 無形資産                           22,699             21,078
 長期金融資産                          9,723             11,350
 繰延税金資産                         35,568             34,501
 その他の非流動資産                      29,077             14,836
  非流動資産合計
   非流動資産合計                     319,455            253,333

流動資産:
 棚卸資産                          159,360            169,056
 営業債権及びその他の債権                  179,556            174,284
 未収法人所得税                             3                717
 有価証券                          102,533            104,018
 現金及び現金同等物                     146,860            139,074
 その他の流動資産                       11,781             11,990
  流動資産合計
  流動資産合計                       600,093            599,141

 資産合計
 資産合計                          919,548            852,473

負債
非流動負債:
 長期有利子負債                         △82               △207
 繰延税金負債                        △9,031             △9,211
 退職後給付負債                      △14,671             △9,292
 長期引当金                         △2,072             △2,041
 その他の非流動負債                     △1,946            △15,923
  非流動負債合計
   非流動負債合計                    △27,802            △36,674

流動負債:
 短期有利子負債                        △133               △129
 未払法人所得税                      △19,567            △18,541
 短期引当金                            △1                △79
 営業債務及びその他の債務                 △71,706            △63,518
 その他の流動負債                     △43,810            △40,635
  流動負債合計
  流動負債合計                     △135,218           △122,902

 負債合計
 負債合計                        △163,019           △159,576

 純資産合計
 純資産合計                         756,529            692,897

資本の帰属:
 当社の株主持分                       755,864            691,924
 非支配持分                             664                973
  資本合計
  資本合計                         756,529            692,897




                ― 17 ―
                              中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


(3)連結キャッシュ・フロー計算書
                                                 (単位:百万円)
                         当連結会計年度                前連結会計年度
                       (自 2018年1月1日           (自 2017年1月1日
                        至 2018年12月31日)         至 2017年12月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー
 営業活動による現金創出                        151,857             124,776
 運転資本の減少(△は増加)                        4,486              14,465
 確定給付制度に係る拠出                        △2,652              △2,483
 引当金の支払                                △29                 △34
 その他の営業活動                           △3,022              △6,447
  小計                               150,639             130,278
 法人所得税の支払                          △31,565             △22,655
  営業活動によるキャッシュ・フロー
  営業活動によるキャッシュ フロー                 119,074             107,623

投資活動によるキャッシュ・フロー
 有形固定資産の取得                         △71,785             △32,881
 無形資産の取得                            △5,886             △11,645
 有形固定資産の処分                               49                  64
 無形資産の処分                                 -                  452
 利息及び配当金の受取                             200                 271
 有価証券の取得                          △263,503            △208,480
 有価証券の売却                            264,711             215,510
 投資有価証券の取得                            △709                   -
 投資有価証券の売却                            2,863                  -
 その他の投資活動                               △0                  △8
  投資活動によるキャッシュ・フロー
  投資活動によるキャッシュ フロー                △74,060             △36,718

財務活動によるキャッシュ・フロー
 利息の支払                                 △5                  △5
 配当の支払―当社株主持分                      △35,010             △30,054
 配当の支払―非支配持分                         △791                △944
 ストック・オプションの行使                         996                 922
 自己株式の減少(△は増加)                        △19                 △20
 その他の財務活動                            △187                  538
  財務活動によるキャッシュ・フロー
  財務活動によるキャッシュ フロー                 △35,014             △29,563

 現金及び現金同等物に係る換算差額                   △2,215               2,363
現金及び現金同等物の増減額
現金及び現金同等物の増減                         7,785              43,706

現金及び現金同等物の期首残高                      139,074             95,368
現金及び現金同等物の期末残高
現金及び現金同等物の期末残
           末残高                      146,860            139,074




                     ― 18 ―
                                          中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


    (4)連結持分変動計算書
                                                                  (単位:百万円)
                                当社の株主持分
                                      その他の
                             資本    利益                             非支配     資本
                   資本金                資本構成               合計
                            剰余金   剰余金                              持分     合計
                                        要素
前連結会計年度
前連結会計年度
2017年1月1日          72,967   63,500   507,399    1,642   645,508    989   646,497
  当期利益                 -        -     72,713       -     72,713    827    73,541
  売却可能金融資産             -        -         -     1,204     1,204     -      1,204
  キャッシュ・
                      -        -          -    △3,293   △3,293      -    △3,293
  フロー・ヘッジ
  在外子会社等の
                      -        -          -     3,613     3,613    100     3,713
  為替換算差額
  確定給付制度の
                      -        -         916       -        916     -        916
  再測定
当期包括利益合計
当期包括利益合計              -        -     73,630     1,524   75,154     927   76,081

  剰余金の配当               -        - △30,055          - △30,055      △944 △30,998
  株式報酬取引                3      102      -          -      105       -      105
  自己株式                 -     1,213      -          -    1,213       -    1,213
2017年12月31日
    年12月31日        72,970   64,815 550,974      3,166 691,924      973 692,897



当連結会計年度
当連結会計年度
2018年1月1日          72,970   64,815   550,974    3,166   691,924    973   692,897
  会計方針の変更の
  会計方針の変更の
                      -        -     10,606        -    10,606      -    10,606
  影響
2018年1月1日修正
        日修正
                   72,970   64,815   561,580    3,166   702,530    973   703,503
再表示後残高
再表示後残高
  当期利益                -        -      92,488       -     92,488    591    93,079
  その他の包括利益
  を通じて公正価値            -        -          -       363       363     -        363
  で測定する金融資産
  キャッシュ・
                      -        -          -     △225      △225      -      △225
  フロー・ヘッジ
  在外子会社等の
                      -        -          -    △3,077   △3,077     △82   △3,158
  為替換算差額
  確定給付制度の
                      -        -     △2,472        -    △2,472      -    △2,472
  再測定
当期包括利益合計
当期包括利益合計              -        -     90,016    △2,938   87,078     509   87,587

  剰余金の配当              -         - △35,003          - △35,003      △817 △35,820
  株式報酬取引              31      △97      -           -    △66         -     △66
  自己株式                -      1,325     -           -   1,325        -    1,325
  その他の資本構成
  要素から利益剰余            -        -       1,498   △1,498        -      -         -
  金への振替
2018年12月31日
    年12月31日        73,000   66,043   618,091   △1,270   755,864    664   756,529
 




                                ― 19 ―
                               中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


(5)継続企業の前提に関する注記
   該当事項はありません。

(6)連結財務諸表に関する注記事項
 ①重要な会計方針等
  a. 作成の基礎
     作成の基礎
     この連結財務諸表は、日本(東京)に所在し、東京証券取引所に上場(証券コード:4519)し
   ている中外製薬株式会社及びその子会社の連結財務諸表です。この連結財務諸表は、2019年1
   月31日に取締役会によって承認されております。
     ロシュ・ホールディング・リミテッドはスイス証券取引所に上場し、国際会計基準(以下、
   「IFRS」という)に準拠し業績を開示しているロシュ・グループの親会社です。当社グループ
   はロシュとの戦略的アライアンスの締結により2002年10月よりロシュ・グループの主要なメン
   バーになっております。ロシュ・ホールディング・リミテッドは、当社株式の発行済株式総数
   のうち59.89%(発行済株式総数から自己株式を控除したベースでは61.25%)を所有しており
   ます。
     当社グループは、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵
   省令第28号。以下、連結財務諸表規則)第1条の2に定める指定国際会計基準特定会社の要件
   を満たすことから、同第93条の規定によりIFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。
      
     連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円で表示し、百万円未満を四捨五入しておりま
   す。公正価値による測定が要求されている一部の項目を除き、測定は取得原価に基づいており
   ます。

  b. 重要な会計方針
     重要な会計方針
     当社グループの連結財務諸表において適用する重要な会計方針は、c. 会計方針の変更に記載
   のあるものを除き、前連結会計年度において適用した会計方針と同一であります。

  c. 会計方針の変更
     会計方針の変更
     2018年1月1日において当社グループは、以下の新しい会計基準及び当該基準に係る修正項
   目について準拠しました。
     IFRS第9号「金融商品」
     IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」
      
     当社グループの連結財務諸表への重要な会計方針の変更の内容及び影響は以下のとおりで
   す。
      
     IFRS第9号「金融商品」
              金融商品
       当社グループは2018年1月1日よりIFRS第9号「金融商品」を適用しました。この新しい
     基準はIAS第39号「金融商品:認識及び測定」を置き換えたものです。この基準は、金融商品
     の分類、認識及び測定(減損を含む)に対応したものであり、新たなヘッジ会計のモデルを
     明示したものです。
       この基準の適用による当社グループの業績又は財政状態に対する重要な影響はありませ
     ん。
         
     金融商品の分類と測定
     金融商品の分類と測定
       従来のIAS第39号において売却可能金融資産として分類していた資本性金融商品、負債性金
     融商品などは、経過措置に従い、適用開始日現在の事実及び状況に基づいて、預入期間が3
     か月超の定期預金を除き、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産(FVTOCI
     金融資産)として分類しています。預入期間が3か月超の定期預金については償却原価で測
     定する金融資産に分類しています。これらの分類及び測定の変更に関して過年度の連結財務
     諸表を修正再表示しないことを認める経過措置を適用しますが、変更に伴う帳簿価額の変動
     はないため、2018年1月1日時点の利益剰余金の修正額に該当する金額はありません。


                      ― 20 ―
                                中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


      なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品については、公正価
    値の変動額はその他の包括利益として認識し、認識を中止した場合にはその他の包括利益の
    累計額を利益剰余金に振り替えます。
        
    金融資産の減損損失
    金融資産の減損損失
      当社グループは2018年1月1日より金融資産の減損損失の測定手法を、IAS第39号が規定す
    る発生損失モデルからIFRS第9号が規定する予想信用損失モデルに移行しました。新しい減
    損モデルは、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する
    負債性金融商品には適用されますが、資本性金融商品には適用されません。2018年1月1日
    に移行の経過措置に従い過年度の連結財務諸表の修正は行わず、予想損失モデルに基づいて
    損失評価引当金を測定しております。
        
    ヘッジ会計
    ヘッジ会計
      IFRS第9号を初度適用する際に、IFRS第9号のヘッジ会計に関する規定の代わりに、IAS第
    39号のヘッジ会計に関する規定を引き続き適用するという会計方針を選択することができる
    ため、当社グループは引き続きIAS第39号のヘッジ会計に関する規定を適用しています。
        
    IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」
        第15号 顧客との契約から生じる収
      当社グループは2018年1月1日より、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用
    しました。新しい基準はIAS第18号「収益」及びIAS第11号「工事契約」を置き換えたもので
    す。IFRS第15号は財務諸表の表示を含む収益認識の金額、収益認識の時期を決定する包括的
    フレームワークを定めています。
      この基準の中心となる原則は、収益は顧客と約束した財又はサービスの移転によって、当
    該財又はサービスと交換に得る対価を反映する金額で認識することにあります。
      本基準の目的は、収益を以下の5ステップアプローチに基づいて認識することです。
    ステップ1:顧客との契約の識別
    ステップ2:履行義務の識別
    ステップ3:取引価格の算定
    ステップ4:履行義務への取引価格の配分
    ステップ5:履行義務の充足による収益認識
      見積りや仮定、履行義務の識別、変動対価の見積りの制限、取引価格の履行義務への配分
    には判断が伴います。
      この基準の適用により、開示を要する項目が増加します。
 
    当社グループへの本基準書適用による影響
    当社グループへの本基準書適用による影
               書適用による影響
     この基準書は以下のように当社グループに関連する新しい要求事項やガイダンスについて
    規定しております。
    ・ライセンス契約から生じる収益(売上高ベースのロイヤルティ、開発マイルストンのよう
     な変動対価の見積りの制限)は、それぞれの履行義務に分けて変動対価を認識することに
     なります。この変更による重要な影響はありません。
    ・この基準書は、値引き等を含む売上を複数の履行義務へ配分する方法、履行義務それぞれ
     に係る売上の認識時期などのガイダンスを示しています。このようなガイダンスを実際に
     適用するためには、見積り、仮定、判断の使用が求められます。このガイダンスによる重
     要な影響はありません。




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                             中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


 ・技術等の導出契約には、導出以降の義務が一切ない場合、又は研究、後期開発、規制当局
  承認、共同販促、製造への関与を含んでいる場合があります。これらは、契約一時金やマ
  イルストン収入、サービス償還費の組み合わせによって決まります。これらの関与が単一
  もしくは複数の履行義務かについては、単純なものではなく、判断が必要となります。こ
  の判断に基づいて、収益は一時の収益として、又は、履行義務が充足される一定期間に渡
  る収益として認識されることになります。この基準書の適用により、従来は繰延収益とし
  て一定期間に渡り収益を認識していた契約一時金について、導出時に一時の収益として認
  識しています。

   移行方法
   移行方法
     この基準書の適用にあたり、当社グループは経過措置として認められている累積的影響を
   適用開始日に認識する方法を採用いたしました。当該方法の採用により、この基準書の適用
   開始の累積的影響である2017年12月31日の連結財政状態計算書に計上されている繰延収益の
   税効果考慮後の金額10,606百万円を当連結会計年度の利益剰余金期首残高へ表示を修正して
   います。なお、この修正以外にこの基準書の適用による当社グループの業績又は財政状態に
   対する重要な影響はありません。
    
d. 未適用の新たな基準書
   未適用の新たな基準書
   連結財務諸表の承認日までに新設または改訂が行われた重要な基準書のうち、当社グループ
 が2019年から適用するものは下記のとおりです。
   そのほかにも、基準書の新設、基準書の軽微な変更等がありましたが、当社グループの業績
 及び財政状態に重要な影響を与えるものではないと考えております。

 (a) 2019年度に適用となる基準書
   IFRS第16号「リース」
            リース
     新しい基準の主な影響は、借手のオペレーティング・リース取引がオフバランス処理から
   オンバランス処理へ変更となることです。移行に当たっては、経過措置として認められてい
   る累積的影響を適用開始日に認識する方法を採用する予定であります。
     当社グループは潜在的な影響を評価しておりますが、現在のところ、新しい基準の適用に
   より、リース関連の資産の帳簿価額が約150億円増加し、同時にリース負債もほぼ同額増加
   するという見込みであります。
     また、新しい基準の適用により、これまでのオペレーティング・リースのリース料の一部
   については、支払利息に計上されることになります。当社グループはリース契約の規模及び
   現在の低金利の経済状況を鑑みると、この変更による影響には重要性はないと考えておりま
   す。
     この基準の適用により、開示を要する項目が増加します。

 (b) 2020年度以降に適用となる基準書
     当社グループは2020年度以降に適用となる新たな基準書による影響を調査中です。




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                                        中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


    ②セグメント情報
 
     当社グループは、単一の医薬品事業に従事し、複数の事業セグメントを有しておりません。当社
    グループの医薬品事業は、新規の医療用医薬品の研究、開発、製造、販売活動から成り立っており
    ます。これらの機能的な活動は事業として統合した運営管理を行っております。
 
    売上収益
    売上収益                                                (単位:百万円)
                   当連結会計年度                       前連結会計年度
                  (自 2018年1月1日                 (自 2017年1月1日
                   至 2018年12月31日)               至 2017年12月31日)
                          ロイヤルティ及び                      ロイヤルティ及び
               製商品売上高                        製商品売上高
                          その他の営業収入                      その他の営業収入
    日本            399,906         21,569        405,280         5,635
    海外            127,939         30,374         94,028        29,256
     うちスイス        109,938         24,250         76,359        28,957
        合計        527,844         51,943        499,308        34,891
 
    主要顧客に関する情報
    主要顧客に関する情報                                             (単位:百万円)
                                 当連結会計年度                前連結会計年度
                              (自  2018年1月1日           (自 2017年1月1日
                               至  2018年12月31日)         至 2017年12月31日)
    エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・
                                            134,188              105,262
    リミテッド
    アルフレッサ株式会社                              103,959              104,952
    株式会社メディセオ                                76,004               80,390
    株式会社スズケン                                 53,251               52,668
 




                               ― 23 ―
                                  中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


    ③その他の費用
 
     当社は、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドとの取引において、日本及びスイス両税務当
    局に対し、独立企業間価格の算定方法等に関する事前確認を申請しておりましたが、2017年第1四
    半期に、2016年から2020年の各事業年度において、当社の課税所得を一定額減額して、ロシュの課
    税所得を同等額増額すること、必要な場合には2021年に追加的調整を行うこと、とする旨などの合
    意通知書を受領いたしました。
     これにより、両社間でのライセンス契約の取決めに基づき、当社で減額される法人税等の一部
    を、ロシュにおいて納付すると見込まれる税額等としてロシュへ支払うこととし、移転価格税制調
    整金3,212百万円を計上しております。
 
    ④1株当たり利益
 
    基本的1株当たり利益
    基本的 株当たり利益
                           当連結会計年度                 前連結会計年度
                        (自  2018年1月1日            (自 2017年1月1日
                         至  2018年12月31日)          至 2017年12月31日)
    当社株主に帰属する当期利益
    当社株主に帰属する当期利
                                       92,488               72,713
    (百万円)
     百万円

    加重平均普通株式数(株)                   559,685,889          559,685,889
    加重平均自己株式数(株)                  △12,662,197          △13,147,406
     基本的加重平均普通株式数(株)
     基本的加重平均普通株式数                 547,023,692          546,538,483

    基本的1株当たり当期利益(円)
    基本的 株当たり当期利益                       169.08               133.04
 
    希薄化後1株当たり利益
    希薄化後 株当たり利益
                           当連結会計年度                 前連結会計年度
                        (自  2018年1月1日            (自 2017年1月1日
                         至  2018年12月31日)          至 2017年12月31日)
    当社株主に帰属する当期利益
    当社株主に帰属する当期利
                                       92,488               72,713
    (百万円)
     百万円

    基本的加重平均普通株式数(株)                547,023,692          546,538,483
    希薄化効果の影響調整:
                                       892,227              886,414
     ストック・オプション(株)
     希薄化効果後
     希薄化効果後
                                   547,915,919          547,424,897
     加重平均普通株式数(株)
     加重平均普通株式数

    希薄化後1株当たり当期利益(円)
    希薄化後 株当たり当期利益                      168.80               132.83
 
     希薄化効果を有さないとして、希薄化後加重平均普通株式数の算定から除外されているストッ
    ク・オプションはございません。
 




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                                 中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


    ⑤キャッシュ・フロー計算書
 
    営業活動によるキャッシュ・フロー
    営業活動によるキャッシュ フロー
     営業活動によるキャッシュ・フローは、当社グループの主要な事業活動である医薬品の研究開
    発・製造・販売活動から生じます。営業活動による現金創出額は、営業利益に有形固定資産の減価
    償却費、無形資産の償却費や減損損失等の非資金損益項目の調整を行う間接法によって計算してお
    ります。営業キャッシュ・フローには、当社グループのすべての活動によって生じる法人所得税の
    支払を含んでおります。
 
    営業活動による現金創出額
    営業活動による現金創出額                                    (単位:百万円)
                         当連結会計年度                 前連結会計年度
                       (自 2018年1月1日            (自 2017年1月1日
                        至 2018年12月31日)          至 2017年12月31日)
    当期利益                           93,079                  73,541
    金融費用                              111                     110
    その他の金融収入(支出)                    △449                       87
    その他の費用                          3,212                   1,706
    法人所得税                          28,370                  23,490
     営業利益
     営業利益                         124,323                  98,934

    有形固定資産の減価償却費                      14,590                14,549
    無形資産の償却費                           1,988                 1,785
    有形固定資産の減損損失                           59                     4
    無形資産の減損損失                          4,844                 4,035
    確定給付制度に係る営業費用                      4,427                 4,231
    持分決済型株式報酬に係る営業費用                     282                   415
    引当金に係る費用(戻入)の純額                       -                   △11
    棚卸資産損失                             1,051                   630
    その他の調整                               294                   205
     合計                              151,857               124,776
 
    投資活動によるキャッシュ・フロー
    投資活動によるキャッシュ フロー
     投資活動によるキャッシュ・フローは主に有形固定資産及び無形資産への投資です。また、有価
    証券等への投資、投資から得られる受取利息及び受取配当金を含んでおります。
 
    利息及び配当金の受取
    利息及び配当金の受取                                      (単位:百万円)
                          当連結会計年度                前連結会計年度
                       (自  2018年1月1日           (自 2017年1月1日
                        至  2018年12月31日)         至 2017年12月31日)
    受取利息                               85                     88
    受取配当金                             115                    183
     合計                               200                    271
 
    財務活動によるキャッシュ・フロー
    財務活動によるキャッシュ フロー
     財務活動によるキャッシュ・フローは主に配当の支払です。
 
    重要な非資金取引
    重要な非資金取引
     当連結会計年度及び前連結会計年度において、重要な非資金取引はありません。
 




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                                          中外製薬株式会社(4519) 2018年12月期 決算短信


⑥関連当事者
a. 支配株主
   支配株主
  研究基盤を強化した日本のトップ製薬企業となるべく、当社はロシュと戦略的アライアンスの契
約を締結しております。この契約に基づき、当社は2002年10月、ロシュの日本における医薬品事業
の子会社であった日本ロシュと合併し、合併後は中外製薬としてロシュ・グループの一員となりま
した。
  当社はロシュと以下を合意しております。

アライアンス基本契約(Basic Alliance Agreement)
アライアンス基本契約
  当社とロシュは、2001年12月にアライアンスに関する基本契約を締結し、戦略的アライアンスに
基づく事業活動を開始いたしました。本基本契約では、以下の各項目を含む、当社のガバナンス及
び業務運営に関する合意事項を定めております。
  ・アライアンスのストラクチャー
  ・ロシュの株主権
  ・ロシュによる当社取締役推薦権
  ・ロシュによる当社普通株式売買の制限事項
  当社は、新株予約権付社債及びストック・オプションの行使並びにその他の目的により、普通株
式を追加で発行することがあります。この場合、ロシュが保有する当社株式の割合が変動すること
になりますが、当基本契約では、その割合が50.1%を下回らないとするロシュの権利を保障してお
ります。
     
ライセンス契約
ライセンス契約
  2001年12月に調印した日本包括的権利契約(Japan Umbrella Rights Agreement)により、当社
は、ロシュの日本市場における唯一の医薬品事業会社となり、ロシュが有する開発候補品の日本に
おける開発・販売について第一選択権を保有しております。
  また、2002年5月に調印した(日本、韓国を除く)世界包括的権利契約(Rest of the World
Umbrella Rights Agreement)を修正し、2014年8月に(日本、韓国、台湾を除く)改訂世界包括
的権利契約(Amended and Restated Rest of the World Umbrella Rights Agreement)を締結しま
した。これにより、ロシュは当社が有する開発候補品の海外(韓国、台湾を除く)における開発・
販売について第一選択権を保有しております。
  これらの包括契約に加え、当社とロシュは個別の製品ごとに契約を締結しております。この契約
条項及び個別の事情に基づき、第三者間取引価格の原則に沿って、以下の項目の支払が行われるこ
とがあります。
  ・第一選択権行使による製品導入時の契約一時金
  ・開発目標達成によるマイルストン
  ・売上に対するロイヤルティ
  これらの個別契約は、第三者間取引価格の原則に基づき生産・供給等についても包含する場合が
あります。
     
研究協力契約
研究協力契約
  当社とロシュは、バイオ医薬品探索及び低分子合成医薬品研究における研究協力契約を締結して
おります。

配当
 当社のロシュに対する配当は21,454百万円(前連結会計年度18,437百万円)です。




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b. 関連当事者との重要な取引及び債権債務
   関連当事者との重要な取引及び債権債
              引及び債権債務

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド                               (単位:百万円)
に対する取引高
に対する取引高
                          当連結会計年度               前連結会計年度
                        (自 2018年1月1日         (自  2017年1月1日
                         至 2018年12月31日)       至  2017年12月31日)
製商品売上高                             109,938                76,359
原材料仕入高                             125,657               124,792

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド                               (単位:百万円)
に対する債権・債務
に対する債権
                          当連結会計年度末             前連結会計年度末
                         (2018年12月31日)        (2017年12月31日)
営業債権                                25,307               19,593
営業債務                              △29,567              △24,805

c. 経営幹部の報酬
   経営幹部の報酬

役員報酬
役員報酬                                             (単位:百万円)
                      当連結会計年度                  前連結会計年度
                    (自 2018年1月1日             (自 2017年1月1日
                     至 2018年12月31日)           至 2017年12月31日)
取締役
 定例報酬                                 304                    333
 賞与                                   120                    234
 勤務継続型譲渡制限付株式報酬                        57                     92
 業績連動型譲渡制限付株式報酬                        72                     35
 一般型ストック・オプション                         21                     83
 株式報酬型ストック・オプション                       -                      34
  合計                                  573                    811

監査役
 定例報酬                                  87                     85
  合計                                   87                     85

 前連結会計年度より、取締役に対し、株主のさらなる価値共有を進めること、及び当社の中長期
の業績との連動性を一層高め、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えることを目的
として、現行ストック・オプション報酬に代えて譲渡制限付株式報酬を新たに導入いたしました。

⑦後発事象
 当連結会計年度において、該当事項はありません。




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