4519 中外薬 2021-06-28 15:05:00
エンスプリング、視神経脊髄炎スペクトラム障害に対する初の在宅皮下治療薬として欧州で承認を取得 [pdf]

                                                                     2021 年 6 月 28 日
各 位
                                             上場会社名 中外製薬株式会社
                                             コード番号     4519(東証1部)
                                             本社所在地 東京都中央区日本橋室町 2-1-1
                                             代 表 者     代表取締役社長 CEO 奥田 修
                                             問い合せ先     責任者役職名          広報 IR 部長
                                                       氏         名     笹井 俊哉
                                                       電 話 番 号         03(3273)0554



              エンスプリング、視神経脊髄炎スペクトラム障害に対する
                初の在宅皮下治療薬として欧州で承認を取得


        成人および青年の抗アクアポリン 4(AQP4)抗体陽性視神経脊髄炎スペクトラム障害
         (NMOSD)に対し欧州で承認された新たな治療薬。12 歳以上の青年に対する治療薬としては
         欧州初
        中外製薬独自のリサイクリング抗体技術を初めて適用し、4 週 1 回の皮下投与※1 により、自己注射
         ※2
            での在宅治療が可能
        2 本の第 III 相国際共同治験において、抗 AQP4 抗体陽性 NMOSD の再発リスクを有意に減少
        日米欧をはじめ 54 カ国で承認



 中外製薬株式会社(本社︓東京、代表取締役社長 CEO︓奥田 修)は、当社創製の pH 依存的結合
性ヒト化抗 IL-6 レセプターモノクローナル抗体エンスプリング®(一般名︓サトラリズマブ)について、成人および 12
歳 以 上 の 青 年 の 抗 ア ク ア ポ リ ン 4 ( AQP4 ) 抗 体 陽 性 視 神 経 脊 髄 炎 ス ペ ク ト ラ ム 障 害 ( NMOSD ︓
Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)に対する初の皮下投与による治療法として、単剤療法、およ
び 免 疫 抑 制 剤 に よ る ベ ー ス ラ イ ン 治 療 と の 併 用 療 法 と し て 、 ロ シ ュ 社 が 欧 州 委 員 会 ( European
Commission︓EC)より承認を取得したことをお知らせいたします。エンスプリングは 12 歳以上の青年に対する
欧州で初めての治療薬です。


 代表取締役社長 CEO の奥田 修は、「エンスプリングを、抗 AQP4 抗体陽性 NMOSD に対し在宅でも治療
※2
     が可能な初の皮下投与薬として、欧州で承認を取得できたことを大変嬉しく思います」と述べるとともに、「エンス
プリングは中外製薬独自のリサイクリング抗体技術を初めて適用し承認された治療薬です。本剤が NMOSD 患者
の日々の生活に合わせて、患者さんの治療に大きく貢献できることを確信しています」と語っています。


 エンスプリングは、実臨床における患者集団に相当する、初発および青年を含む NMOSD を対象にした大規模
臨床試験において有効性と安全性が評価されています。今回の EC 承認は、NMOSD を対象に実施した第 III
相国際共同治験 SAkuraSky 試験(NCT02028884)および SAkuraStar 試験(NCT02073279)の
成績に基づいています。SAkuraSky 試験はエンスプリング皮下投与と免疫抑制剤によるベースライン治療との併用
療法、SAkuraStar 試験はエンスプリング皮下投与の単剤療法の試験です。


     エンスプリングは、NMOSD の主な原因である IL-6 シグナルを阻害することで、NMOSD の再発を抑制するよう
デザインされ、現在日米欧をはじめ 54 カ国で承認されています。


     なお、本件が中外製薬の 2021 年 12 月期連結業績に与える影響は軽微です。


     ※1 投与開始後 4 週目までは 2 週間隔、以降は 4 週間隔での皮下投与
     ※2 日本において現時点では自己注射の適用はありません



【参考情報】
エンスプリング、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)に対する再発リスクと再発重症度に関する新たな
データを発表(2020 年 9 月 10 日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200910150000_1022.html


・SAkuraSky 試験
視神経脊髄炎スペクトラムに対するサトラリズマブの第 III 相国際共同治験成績が The New England Journal
of Medicine 電子版に掲載(2019 年 11 月 29 日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20191129110000_880.html


・SAkuraStar 試験
視神経脊髄炎スペクトラム障害に対するサトラリズマブの 2 本目の第 III 相国際共同治験のポジティブな成績が
Lancet Neurology に掲載(2020 年 4 月 24 日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200424150001_965.html


視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)について 1
     NMOSD は、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患であり、永続的な神経障
害により、生涯にわたって著しい生活の質の低下が生じます。NMOSD の患者さんは、症状を繰り返す再発経過を
たどることが多く、神経の損傷や障害が蓄積されます。症状として、視覚障害、運動機能障害や生活の質の低下を
伴う疼痛などが現れます。症状の発生が致死的な結果となる場合もあります。NMOSD の 70~80%の患者さん
では、病原性の抗体である抗アクアポリン 4 抗体が検出されており、抗アクアポリン 4 抗体はアストロサイトと呼ばれ
る中枢神経に存在する細胞を標的とし、視神経や脊髄、脳の炎症性脱髄病変に繋がることが知られています 2-5。
                                                                                6-
炎症性サイトカインである IL-6 は、NMOSD の発症に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります
10
     。


上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。


出典
1.       視神経脊髄炎(NMOSD)Online. https://nmosd-online.jp/ Accessed June 2021.

                                                                             2 / 3
2.   Jarius S, Ruprecht K, Wildemann B et al. Contrasting disease patterns in seropositive
     and seronegative neuromyelitis optica: A multicentre study of 175 patients. J
     Neuroinflammation 2012; 9:14.
3.   Lennon VA, Wingerchuk DM, Kryzer TJ et al. A serum autoantibody marker of
     neuromyelitis optica: distinction from multiple sclerosis. Lancet 2004; 364:2106-12.
4.   Marignier R, Bernard-Valnet R, Giraudon P et al. Aquaporin-4 antibody-negative
     neuromyelitis optica: Distinct assay sensitivity-dependent entity. Neurology 2013;
     80:2194-200.
5.   Takahashi T, Fujihara K, Nakashima I et al. Anti-aquaporin-4 antibody is involved in
     the pathogenesis of NMO: a study on antibody titre. Brain 2007; 130:1235-43.
6.   Chihara N, Aranami T, Sato W et al. Interleukin 6 signaling promotes anti-aquaporin 4
     autoantibody production from plasmablasts in neuromyelitis optica. Proc Natl Acad Sci
     USA 2011; 108:3701-6.
7.   Kimura A, Kishimoto T. IL-6: regulator of Treg/Th17 balance. Eur J Immunol 2010;
     40:1830-5.
8.   Lin J, Li X, Xia J. Th17 cells in neuromyelitis optica spectrum disorder: a review. Int J
     Neurosci2016; 126:1051-60.
9.   Takeshita Y, Obermeier B, Cotleur AC, et al. Effects of neuromyelitis optica-IgG at the
     blood-brain barrier in vitro. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2016; 4(1):e311.
10. Obermeier B, Daneman R, Ransohoff RM. Development, maintenance and disruption
     of the blood-brain barrier. Nat Med 2013; 19:1584-96.



                                                                                           以上




                                                                                          3 / 3