4519 中外薬 2021-02-04 17:00:00
2020年12月期決算短信〔IFRS〕(連結) [pdf]

                            2020年12月期                決算短信〔IFRS〕(連結)
                                                                     2021年2月4日
上場会社名      中外製薬株式会社                                      上場取引所 東
コード番号      4519  URL https://www.chugai-pharm.co.jp
代表者        (役職名) 代表取締役会長CEO        (氏名)小坂 達朗
問合せ先責任者 (役職名) 広報IR部長               (氏名)笹井 俊哉        TEL 03-3273-0554
定時株主総会開催予定日      2021年3月23日        配当支払開始予定日        2021年3月24日
有価証券報告書提出予定日 2021年3月23日
決算補足説明資料作成の有無: 有
決算説明会開催の有無       : 有 (機関投資家、証券アナリスト、報道機関向け)
                                                             
                                                               (百万円未満四捨五入)
1.2020年12月期の連結業績(2020年1月1日~2020年12月31日)
 (1)連結経営成績                                                    (%表示は対前期増減率)
                                                                                               当社株主に                    当期包括利益
                売上収益                      営業利益                       当期利益
                                                                                             帰属する当期利益                      合計額
                 百万円          %            百万円          %             百万円           %           百万円      %                百万円      %
2020年12月期       786,946     14.7          301,230     43.0           214,733      36.3         214,733 36.3              216,748 39.7
2019年12月期       686,184     18.4          210,597     69.4           157,560      69.3         157,560 70.4              155,127 77.1

                基本的1株当たり                        希薄化後                             当社株主帰属持分                               売上収益
                  当期利益                       1株当たり当期利益                             当期利益率                               営業利益率
                                 円 銭                  円 銭                                                %                          %
2020年12月期                       130.66               130.53                                            23.4                       38.3
2019年12月期                        95.95                95.81                                            19.6                       30.7
(注)当社は、2020年7月1日を効力発生日として普通株式を1株につき3株の割合で株式分割を行っております。
   「基本的1株当たり当期利益」及び「希薄化後1株当たり当期利益」につきましては、前連結会計年度の期首に
   当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。
 (2)連結財政状態
                                                                 当社株主に                             当社株主                  1株当たり
                資産合計                      資本合計
                                                                帰属する持分                            帰属持分比率               当社株主帰属持分
                         百万円                         百万円              百万円                                         %            円 銭
2020年12月期             1,235,498                     980,003          980,003                                    79.3          596.16
2019年12月期             1,058,915                     853,985          853,985                                    80.6          519.91
(注)当社は、2020年7月1日を効力発生日として普通株式を1株につき3株の割合で株式分割を行っております。
   「1株当たり当社株主帰属持分」につきましては、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して
   算定しております。
 (3)連結キャッシュ・フローの状況
             営業活動による                          投資活動による                            財務活動による                           現金及び現金同等物
            キャッシュ・フロー                        キャッシュ・フロー                          キャッシュ・フロー                             期末残高
                     百万円                              百万円                                百万円                                百万円
2020年12月期           205,035                         △98,312                            △99,497                             212,333
2019年12月期           206,641                         △81,741                            △66,872                             203,941

2.配当の状況
                                              年間配当金                                                                         当社株主帰属
                                                                                                   配当金総額          配当性向
                                                                                                                             持分配当率
                第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                            期末                合計                (合計)          (連結)
                                                                                                                              (連結)
                          円 銭        円 銭              円 銭             円 銭                円 銭           百万円               %         %
2019年12月期                   -        48.00              -             92.00             140.00         76,647          48.6       9.5
2020年12月期                   -        75.00              -             30.00                 -          90,411          42.1       9.9
2021年12月期(予想)               -        30.00              -             30.00              60.00                           -
(注)当社は、2020年7月1日を効力発生日として、普通株式を1株につき3株の割合で株式分割を行っております。
   2019年12月期及び2020年12月期の第2四半期末の配当については、当該株式分割前の配当金を記載しておりま
   す。2020年12月期の年間配当金につきましては、株式分割の実施により単純合計ができないため、表示しており
   ません。株式分割を考慮しない場合の年間配当金は165円、株式分割を考慮する場合の年間配当金は55円でありま
   す。
3.2021年12月期の連結業績予想(2021年1月1日~2021年12月31日)
                    (売上収益、Core営業利益、Core当期利益及びCore EPSの%表示は対前期増減率)
                                                   Core                          Core                       Core               Core
                      売上収益
                                                 営業利益                          当期利益                          EPS              配当性向
                      百万円            %           百万円            %              百万円                %        円 銭           %          %
2021年12月期(予想)        800,000        1.7         320,000        3.9            232,000            5.7      141.00        5.7       42.6
2020年12月期(実績)        786,946       14.7         307,943       36.9            219,437        30.9         133.39       30.9       41.2
(注)1.上記「連結業績予想」は、当社が定める経常的な業績を示す指標(Coreベース)に基づき予想値及び実績を
     算出しております。また、Core EPSはCoreベースの当社株主に帰属する希薄化後1株当たり当期利益であり
     ます。
   2.2020年12月期(実績)のCore EPSと対前期増減率につきましては、前連結会計年度の期首に当該株式分割が
     行われたと仮定して算定しております。
※    注記事項
    (1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動) : 無
 
    (2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更
      ① IFRSにより要求される会計方針の変更:無
      ② ①以外の会計方針の変更        :無
      ③ 会計上の見積りの変更         :無
 
    (3)発行済株式数(普通株式)
      ① 期末発行済株式数(自己株式を含む) 2020年12月期 1,679,057,667株 2019年12月期 1,679,057,667株
      ② 期末自己株式数             2020年12月期    35,186,586株 2019年12月期    36,487,062株
      ③ 期中平均株式数             2020年12月期 1,643,445,409株 2019年12月期 1,642,140,155株
 
    (注)1.1株当たり当期利益(連結)の算定の基礎となる株式数については、添付資料P.23「1株当たり利益」を
         ご覧ください。
       2.当社は、2020年7月1日を効力発生日として普通株式を1株につき3株の割合で株式分割を行っておりま
         す。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、発行済株式数(普通株式)を算定して
         おります。

※    決算短信は公認会計士又は監査法人の監査の対象外です
 
※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
     (1)本資料に記載されている業績予想等の将来に関する記述は、本業績予想作成時点において入手可能な情報に
     基づき当社が合理的と判断した目標であり、潜在的なリスクや不確実性が含まれているため、実際の成果や業績は
     記載の予想と異なる可能性があります。
     (2)当社が公表する業績予想は、当社社内の管理指標である国際会計基準(以下、「IFRS」という。)のCoreベ
     ースで株主・投資家の皆さまに開示するものであります。IFRS実績とCore実績の差異については、各期の業績開示
     の中で説明を行います。
     (3)業績予想に関する事項は添付資料P.10「今後の見通し」を、「利益配分に関する基本方針及び当期・次期の
     配当」は同P.11を、また「経営方針」に関しては同P.12~15をご覧ください。
     (4)当社は、以下のとおりオンライン/電話説明会を開催する予定です。この説明会で使用した資料、音声、Q&A
     等については、開催後速やかに当社ウェブサイトに掲載する予定です。
     ・2021年2月4日(木)・・・・・・機関投資家・証券アナリスト・報道機関向けオンライン/電話説明会
                                 中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


○添付資料の目次

 1.経営成績等の概況 ……………………………………………………………………………………                  2
  (1)当期の経営成績の概況 …………………………………………………………………………                  2
  (2)当期の財政状態の概況 …………………………………………………………………………                  7
  (3)当期のキャッシュ・フローの概況 ……………………………………………………………                  8
  (4)今後の見通し ……………………………………………………………………………………                 10
  (5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 …………………………………………                 11
 2.経営方針 ………………………………………………………………………………………………                 12
  (1)経営の基本方針 …………………………………………………………………………………                 12
  (2)目標とする経営指標 ……………………………………………………………………………                 12
  (3)環境認識と対処すべき課題 ……………………………………………………………………                 12
  (4)中期経営計画「IBI 21」 ………………………………………………………………………              13
  (5)2030年に向けた新たな成長戦略「TOP I 2030」 ……………………………………………          13
 3.会計基準の選択に関する基本的な考え方 …………………………………………………………                 15
 4.連結財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………                 16
  (1)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 ……………………………………………………                 16
  (2)連結財政状態計算書 ……………………………………………………………………………                 18
  (3)連結キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………………………                 19
  (4)連結持分変動計算書 ……………………………………………………………………………                 20
  (5)継続企業の前提に関する注記 …………………………………………………………………                 21
  (6)連結財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………                 21




                         ― 1 ―
                                中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


1.経営成績等の概況
 (1)当期の経営成績の概況
                                                     (単位:億円)
                            2020年          2019年
                                                     前年同期比
                          12月期実績         12月期実績
   連結損益(Core実績)
    売上収益
    売上収益                         7,869       6,862      +14.7%
     製商品売上高                      6,333       5,889      +7.5%
     ロイヤルティ等収入及び
                                 1,536         973      +57.9%
     その他の営業収入
    売上原価                        △2,723      △2,651      +2.7%
    売上総利益
    売上総利益                        5,147       4,211      +22.2%
    販売費                          △715        △735       △2.7%
    研究開発費                       △1,135      △1,021      +11.2%
    一般管理費等                       △217        △206       +5.3%
    営業利益
    営業利益                         3,079       2,249      +36.9%
    当期利益
    当期利益                         2,194       1,676      +30.9%


   連結損益(IFRS実績)
    売上収益                         7,869       6,862      +14.7%
    営業利益                         3,012       2,106      +43.0%
    当期利益                         2,147       1,576      +36.2%


   <連結損益の概要(IFRSベース)>
     当連結会計年度の売上収益は7,869億円(前年同期比14.7%増)、営業利益は3,012億円(同
   43.0%増)、当期利益は2,147億円(同36.2%増)となりました。これらには当社が管理する経
   常的業績(Coreベース)から除外している無形資産の償却費13億円、無形資産の減損損失6億
   円、事業所再編費用47億円及び環境対策費用1億円が含まれています。

   <連結損益の概要(Coreベース)>
     当連結会計年度の売上収益は、国内製商品売上高の減少の一方、海外製商品売上高、ロイヤル
   ティ等収入及びその他の営業収入が伸長し、7,869億円(前年同期比14.7%増)となりました。
     売上収益のうち、製商品売上高は、国内製商品売上高が昨年4月の薬価改定の影響等により減
   少した一方、新型コロナウイルス肺炎を対象とした臨床試験用を含むアクテムラのロシュ向け輸
   出の増加や、ヘムライブラの通常出荷価格によるロシュ向け輸出の開始、加えてエンスプリング
   のロシュ向け輸出の開始により海外製商品売上高が大幅に増加し、6,333億円(同7.5%増)とな
   りました。ロイヤルティ等収入及びその他の営業収入は、ヘムライブラに関するロイヤルティ及
   びプロフィットシェア収入の大幅な増加と、一時金収入によるその他の営業収入の増加により、
   1,536億円(同57.9%増)となりました。加えて、ヘムライブラをはじめとする自社品の売上構
   成比の増加等により、製商品原価率が43.0%と前年同期比で2.0%ポイント改善した結果、売上
   総利益は5,147億円(同22.2%増)となりました。




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                              中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


 経費については、2,067億円(同5.4%増)となりました。販売費は新型コロナウイルスの感染
拡大に伴う国内営業活動の自粛・抑制により715億円(同2.7%減)、研究開発費は開発テーマの
進展に伴う費用の増加等により1,135億円(同11.2%増)、一般管理費等は主に法人事業税(外
形標準課税)及び諸経費等の増加により217億円(同5.3%増)となりました。以上から、Core営
業利益は3,079億円(同36.9%増)、Core当期利益は2,194億円(同30.9%増)となりました。
 一方、昨年1月30日に公表した通期予想に対して、売上収益は7,869億円(通期予想比6.3%
増)となりました。アクテムラをはじめとするロシュ向け輸出の増加を主因として、当初の予想
を上回りました。また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国内営業活動の自粛・抑制による
販売費等の減少により、経費は2,067億円(同3.0%減)となりました。この結果、Core営業利益
は3,079億円(同12.0%増)となりました。

※Core実績について
 当社はIFRS移行を機に2013年よりCore実績を開示しております。Core実績とはIFRS実績に当社
が非経常事項と捉える事項の調整を行ったものであり、ロシュが開示するCore実績の概念とも整
合しております。当社ではCore実績を、社内の業績管理、社内外への経常的な収益性の推移の説
明、並びに株主還元をはじめとする成果配分を行う際の指標として使用しております。
 詳細は補足資料P.1「IFRS実績からCore実績への調整表」をご覧ください。

<製商品売上高の内訳>
                                                   (単位:億円)
                           2020年         2019年
                                                   前年同期比
                         12月期実績        12月期実績
製商品売上高
製商品売上高                         6,333       5,889      +7.5%
 国内製商品売上高
 国内製商品売上高                      4,091       4,376      △6.5%
  がん領域                         2,295       2,405      △4.6%
  骨・関節領域                         924       1,084     △14.8%
  腎領域                            286         346     △17.3%
  その他領域                          587         541      +8.5%
 海外製商品売上高
 海外製商品売上高                      2,242       1,513      +48.2%


[国内製商品売上高]
 国内製商品売上高は、昨年4月の薬価改定と後発品浸透の影響によりがん領域、骨・関節領域
及び腎領域における主力品の売上が減少したため、4,091億円(前年同期比6.5%減)となりまし
た。
 がん領域の売上は、2,295億円(同4.6%減)となりました。新製品の抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒ
ト化モノクローナル抗体「テセントリク」の市場浸透に加え、主力品の抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤
「アレセンサ」や抗悪性腫瘍剤/HER2二量体化阻害ヒト化モノクローナル抗体「パージェタ」が
堅調に推移したものの、薬価改定や後発品浸透の影響により抗悪性腫瘍剤/抗VEGFヒト化モノク
ローナル抗体「アバスチン」や抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体「ハーセプチ
ン」などの売上が減少したことによります。
 骨・関節領域の売上は、薬価改定の影響によりヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗
体「アクテムラ」の売上が減少したことに加え、後発品発売の影響により骨粗鬆症治療剤「エデ
ィロール」の売上が大きく減少したことなどにより、924億円(同14.8%減)となりました。
 腎領域の売上は、薬価改定に加え、後発品発売に伴う価格競争の激化による持続型赤血球造血
刺激因子製剤「ミルセラ」の売上減少などにより286億円(同17.3%減)となりました。




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                              中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


  その他領域の売上は、抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」の通常シーズン向けの売上が
前年を大幅に下回ったものの、新製品の血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤「ヘムライブラ」や遺伝
子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」及び昨年8月に発売した
pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「エンスプリング」の市場浸透によ
り、587億円(同8.5%増)となりました。
  一方、昨年1月30日に公表した通期予想に対して、国内製商品売上高は、新型コロナウイルス
の感染拡大の影響により、ヘムライブラ、テセントリクなどの新製品や適応拡大品の市場導入が
影響を受けたものの、アバスチン、パージェタなどの主力品が想定を上回って推移した結果、
4,091億円(通期予想比0.6%減)となりました。

[海外製商品売上高]
 新型コロナウイルス肺炎を対象とした臨床試験用を含むアクテムラのロシュ向け輸出の増加
や、ヘムライブラの通常出荷価格によるロシュ向け輸出の開始、加えてエンスプリングのロシュ
向け輸出の開始により、海外製商品売上高は2,242億円(前年同期比48.2%増)となりました。
 一方、昨年1月30日に公表した通期予想に対して、海外製商品売上高は、アクテムラのロシュ
向け輸出の大幅な増加をはじめ、ロシュ向け輸出が想定を大きく上回り、2,242億円(通期予想
比33.1%増)となりました。

<新型コロナウイルス感染症への取り組み及び業績への影響について>
 新型コロナウイルス感染症への当社の対応といたしましては、年間を通じて、従業員及び事業
関係者への感染防止、緊急事態時における医療機関及び患者の方への負担減とサポート、そして
製品の安定供給体制の維持を中心に取り組んでまいりました。これまでのところ、国内及び海外
ともに製品供給への影響は出ておりません。引き続き、状況の変化を注視するとともに、同様の
取り組みを行ってまいります。
 当連結会計年度での新型コロナウイルス感染症の業績影響については、売上収益及び各段階利
益に大きなマイナスインパクトはなかったものの、一部事業活動の進捗では影響を受けました。
まず、国内の販売面につきましては、テセントリク、ヘムライブラなどの新製品や適応拡大品の
市場導入が影響を受けました。市場浸透は確実に進んでおりますが、営業活動の自粛、入院及び
外来患者数の減少、不透明な生活環境の中で新薬への切り替えの見送りなどさまざまな理由が重
なったため、市場浸透のスピードが想定よりも遅れました。海外への販売につきましては、新型
コロナウイルス肺炎を対象とした臨床試験用を含むアクテムラのロシュ向け輸出が増加いたしま
した。また、ヘムライブラのロシュ向け輸出は順調に増加したものの、海外での市場浸透が当社
の想定より遅れたため、ロイヤルティ収入が影響を受けました。経費については、国内営業活動
の自粛等により一部経費の発生が抑制されました。承認申請や審査対応などの薬事関連業務につ
きましては、申請あるいは承認時期については大きな影響はありませんでした。開発中のプロジ
ェクトでは、医療施設による訪問規制や患者の来院自粛等の理由により、治験の開始時期や進捗
などスケジュールの遅延が一部で発生しましたが、大きな影響はありませんでした。創薬研究活
動につきましては、一部のプロジェクトでスケジュール変更を行いましたが、優先度の高いプロ
ジェクトの遅延はありませんでした。設備投資等プロジェクトは、建設中の中外ライフサイエン
スパーク横浜で、緊急事態宣言の期間中に一部の工事を中断しましたが、全体工期への影響は限
定的でございます。
 以上のように、新型コロナウイルス感染症により一部事業活動の進捗は影響を受けましたが、
業績へのマイナス影響は限定的でありました。不透明な事業環境が続きますが、引き続き、従業
員及び事業関係者への感染防止、医療機関及び患者の方への負担減とサポート、そして製品の安
定供給体制の維持を中心に取り組んでまいります。




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                                中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


研究開発活動の状況
  当社グループは、医療用医薬品に関して国内外にわたる積極的な研究開発活動を展開してお
 り、国際的に通用する革新的な医薬品の創製に取り組んでおります。国内では、御殿場、鎌倉に
 研究拠点を配置し、連携して創薬の研究を行う一方、浮間では工業化技術の研究を行っておりま
 す。また、海外では、中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド(米国)、中外
 ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド(英国)、日健中外科技(北京)有限公司(中国)、台湾中
 外製薬股份有限公司(台湾)が医薬品の開発・申請業務を、中外ファーマボディ・リサーチ・ピ
 ーティーイー・リミテッド(シンガポール)が医薬品の研究開発を行っています。
  当連結会計年度におけるCoreベースの研究開発費は、1,135億円(前年同期比11.2%増)、売
 上収益研究開発比率は14.4%となりました。

  2020年1月1日から2020年12月31日までの研究開発活動の進捗状況は以下のとおりでありま
 す。

 「がん領域」
  がん領域
 ・抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体「RG3502」(製品名:「カドサイラ」)は、2020年
  8月にHER2陽性の乳がんにおける術後薬物療法の適応拡大について承認を取得しました。
 ・ROS1/TRK阻害剤「RG6268」(製品名:「ロズリートレク」)は、2020年2月にROS1 融合遺伝
  子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの適応拡大について承認を取得しました。
 ・改変型抗PD-L1モノクローナル抗体「RG7446」(製品名:「テセントリク」)は、2020年2月
  に、切除不能な進行・再発の肝細胞がんを対象として承認申請を行い、同年9月に承認を取得
  しました。また、同年7月に腎細胞がん(カボザンチニブとの併用)、同年8月に非小細胞肺
  がん(ステージⅢ)(RG6058との併用)を対象としてそれぞれ第Ⅲ相国際共同治験を開始しま
  した。加えて同年10月に膵臓腺がんを対象として第Ⅰ相国際共同治験(「RG6058」又は
  「RG1569」との併用)を開始しました。第Ⅲ相国際共同治験IMvigor010及びIMmotion151の結
  果に鑑み、筋層浸潤尿路上皮がん(アジュバント)及び腎細胞がんを対象とする開発をそれぞ
  れ中止しました。
 ・抗VEGF(血管内皮増殖因子)ヒト化モノクローナル抗体「RG435」(製品名:「アバスチ
  ン」)は、2020年2月に切除不能な進行・再発の肝細胞がんを対象として承認申請を行い、同
  年9月に承認を取得しました。また、同年1月に小細胞肺がんを対象として国内第Ⅲ相臨床試
  験(「RG7446」との併用)を開始しました。第Ⅲ相国際共同治験IMmotion151の結果に鑑み、
  腎細胞がんを対象とする開発を中止しました。
 ・抗CD79b抗体薬物複合体「RG7596」は、2020年6月に、再発又は難治性のびまん性大細胞型B細
  胞リンパ腫を対象として承認申請を行いました。
 ・抗TIGITヒトモノクローナル抗体「RG6058」は、2020年2月に小細胞肺がん、同年3月に非小
  細胞肺がん、同年8月に非小細胞肺がん(ステージⅢ)、同年9月に食道がんを対象としてそ
  れぞれ第Ⅲ相国際共同治験(「RG7446」との併用)を開始しました。
 ・腫瘍溶解性5型アデノウイルス「OBP-301」は、2020年3月に食道がんを対象として第Ⅱ相臨
  床試験を開始しました。
 ・「AMY109」は、2020年3月に固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
 ・抗CD137アゴニストスイッチ抗体「STA551」は、2020年3月に固形がんを対象として第Ⅰ相臨
  床試験を開始しました。
 ・抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体「RG6026」は、2020年3月に血液がんを対象として第Ⅰ相
  臨床試験を開始しました。
 ・選択的エストロゲン受容体分解薬「RG6171」は、2020年4月に乳がんを対象として第Ⅰ相臨床
  試験を、同年10月に第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
 ・「SPYK04」は、2020年9月に固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
 ・抗HER2/CD3バイスペシフィック抗体「RG6194」は、2020年11月に固形がんを対象として第Ⅰ相
  国際共同治験を開始しました。
 ・Raf/MEK阻害剤「CKI27」は、2020年1月に、全世界における製造・開発・販売の独占的実施権
  を許諾するグローバルライセンス契約をVerastem Oncology社と締結しました。


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                               中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


「骨・関節領域」
     関節領域
・活性型ビタミンD3誘導体「ED-71」(製品名:「エディロール」)は、2020年12月に中国にて
 骨粗鬆症を適応症として承認を取得しました。
「神経疾患領域」
 神経疾患領域
・pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「SA237/RG6168」(製品名:「エ
 ンスプリング」)は、2020年6月に視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の
 再発予防を適応症として承認を取得し、8月に発売しました。また、同年8月に米国にて視神
 経脊髄炎スペクトラム障害を適応症として承認を取得しました。
・SMN2 スプライシング修飾剤「RG7916」は、2020年10月に脊髄性筋萎縮症を対象として承認申
 請を行いました。
・パーシャルTAAR1アゴニスト「RG7906」は、2020年2月に統合失調症を対象として第Ⅱ相国際
 共同治験を開始しました。
・抗ミオスタチンadnectin「RG6206」は、第Ⅱ/Ⅲ相国際共同治験「SPITFIRE試験」の結果に鑑
 み、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象とする開発を中止しました。
・バソプレシン1a 受容体アンタゴニスト「RG7314」は、ロシュ社による複数の海外試験の結果
 に鑑み、自閉スペクトラム症を対象とする開発を中止しました。
「その他の領域」
 その他の領域
・抗補体C5リサイクリング抗体「SKY59/RG6107」は、2020年9月に発作性夜間ヘモグロビン尿症
 を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「MRA/RG1569」(製品名:「アクテムラ」)
 は、2020年5月に新型コロナウイルス肺炎を対象として国内第Ⅲ相臨床試験を開始しました。
・抗血液凝固第Ⅸa/Ⅹ因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ACE910/RG6013」(製品名:
 「ヘムライブラ」)は、2020年6月に後天性血友病Aを対象として国内第Ⅲ相臨床試験を開始
 しました。

※本項(1)において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位
で表示された数字で計算しております。




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                                 中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


(2)当期の財政状態の概況
                                                      (単位:億円)
                             2020年         2019年
                                                       前期末比
                            期末実績          期末実績
  純営業資産(NOA)及び純資産
   純運転資本                          3,000       2,372         628
   長期純営業資産                        3,460       3,098         362
   純営業資産(NOA)
   純営業資産                          6,460       5,470        990
   ネット現金                          3,786       3,331         455
   その他の営業外純資産                     △446        △261        △185
   純資産合計                          9,800       8,540       1,260


  連結財政状態計算書(IFRS実績)
   資産合計                          12,355      10,589       1,766
   負債合計                          △2,555     △2,049        △506
   純資産合計                          9,800       8,540       1,260

    当連結会計年度末における純営業資産(NOA)は前連結会計年度末に比べ990億円増加し、
  6,460億円となりました。うち、純運転資本は、主に営業債権の増加により前連結会計年度末に
  比べ628億円増加し3,000億円となりました。また、長期純営業資産は主に中外ライフサイエンス
  パーク横浜への投資により前連結会計年度末から362億円増加し、3,460億円となりました。
    次項「(3)当期のキャッシュ・フローの概況」で示すとおり、有価証券や有利子負債を含む
  ネット現金は前連結会計年度末に比べ455億円増加し、3,786億円となりました。その他の営業外
  純資産は、主に未払法人所得税の増加により前連結会計年度末から185億円減少し、△446億円と
  なりました。
    これらの結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ1,260億円増加し、9,800億円となりまし
  た。

  ※純営業資産(NOA)及び純資産について
   連結財政状態計算書は国際会計基準第1号「財務諸表の表示」に基づいて作成しております。
  一方で、純営業資産(NOA)及び純資産は、連結財政状態計算書を内部管理の指標として再構成
  したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、純営業資産(NOA)及び純資
  産にはCore実績のような除外事項はありません。
   詳細は補足資料P.9「財政状態」をご覧ください。

  ※純営業資産(NOA)について
   純営業資産(NOA:Net Operating Assets)は金融取引や税務上の取引とは独立に当社グルー
  プの業績を評価することを可能としております。純営業資産は純運転資本及び有形固定資産、使
  用権資産、無形資産等を含む長期純営業資産から引当金を控除することで計算しております。

  ※本項(2)において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減は億円単位で表示
  された数字で計算しております。




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                                  中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


    (3)当期のキャッシュ・フローの概況
                                                       (単位:億円)
                                 2020年       2019年
                                                       前年同期比
                               12月期実績      12月期実績
      フリー・キャッシュ・フロー
       営業利益                        3,012       2,106      +43.0%
       調整後営業利益                     3,355       2,452      +36.8%
       営業フリー・キャッシュ・フロー             2,012       1,814      +10.9%
       フリー・キャッシュ・フロー
       フリー・キャッシュ・フロー               1,354       1,426      △5.0%
       ネット現金の純増減                     455         839     △45.8%


      連結キャッシュ・フロー計算書(IFRS実績)
       営業活動によるキャッシュ・フロー            2,050       2,066      △0.8%
       投資活動によるキャッシュ・フロー            △983        △817       +20.3%
       財務活動によるキャッシュ・フロー            △995        △669       +48.7%
       現金及び現金同等物の増減額                  84         570     △85.3%
       現金及び現金同等物の期末残高              2,123       2,039      +4.1%
 
       営業利益から、営業利益に含まれる減価償却費などのすべての非現金損益項目及び純営業資産
      に係るすべての非損益現金流出入を調整した調整後営業利益は、3,355億円(前年同期比36.8%
      増)となりました。純運転資本等の増加644億円、有形固定資産の取得による支出570億円等があ
      った一方で、営業利益の大幅な増益等により、営業フリー・キャッシュ・フローは2,012億円
      (同10.9%増)の収入となりました。純運転資本等の増加要因は前項「(2)当期の財政状態の
      概況」に記載したとおりです。
       営業フリー・キャッシュ・フローから法人所得税668億円を支払ったこと等により、フリー・
      キャッシュ・フローは1,354億円(同5.0%減)の収入となりました。
       フリー・キャッシュ・フローから配当金の支払914億円等を調整したネット現金の純増減は455
      億円の増加となりました。
       また、有価証券及び有利子負債の増減を除いた現金及び現金同等物は84億円増加し、当期末残
      高は2,123億円となりました。
 
      ※フリー・キャッシュ・フロー(FCF)について
       連結キャッシュ・フロー計算書は国際会計基準第7号「キャッシュ・フロー計算書」に基づい
      て作成しております。一方で、FCFは、連結キャッシュ・フロー計算書を内部管理の指標として
      再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、FCFにはCore実績のよ
      うな除外事項はありません。
       詳細は補足資料P.10「キャッシュ・フロー」をご覧ください。
 




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    キャッシュ・フロー関連指標の推移
 
                               2020年     2019年     2018年      2017年
                               12月期      12月期      12月期       12月期
    当社の株主帰属持分比率(%)                79.3      80.6      82.2       81.2
    時価ベースの当社の株主帰属持分比率(%)         732.2     521.2      379.7     370.1
    キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)            -         -         0.2       0.3
    インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)        6,067.7   7,537.5   26,274.1   19,772.7


     当社の株主帰属持分比率              :当社の株主持分/総資産
     時価ベースの当社の株主帰属持分比率        :株式時価総額/総資産
     キャッシュ・フロー対有利子負債比率        :有利子負債/キャッシュ・フロー
     インタレスト・カバレッジ・レシオ         :キャッシュ・フロー/利払い
     (注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
     (注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出し
         ております。
     (注3)キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシ
         ュ・フローを使用しております。
     (注4)有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている
         全ての負債を対象としております。
     (注5)利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払を使用しております。

    ※本項(3)において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位
    で表示された数字で計算しております。




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    (4)今後の見通し
      ①見通しの前提
       為替レートは1スイスフラン=116円、1ユーロ=126円、1米ドル=105円、1シンガポール
      ドル=78円を想定しております。

      ②業績の見通し
      [売上収益]
       国内製商品売上につきましては、ヘムライブラやテセントリク等の新製品が伸長する一方で、
      後発品発売等に伴う競争激化の影響及び薬価改定による売上高の減少がこれを上回り、3,937億
      円(前年同期比3.8%減)と前年を下回る見通しです。
       海外製商品売上につきましては、前年に大幅な追加輸出を行ったアクテムラは減少を想定する
      一方、ロシュ向け輸出のヘムライブラの順調な伸長により、2,373億円(同5.8%増)と増加する
      見通しです。
       ロイヤルティ等収入及びその他の営業収入は、1,690億円(同10.0%増)となる見通しです。
      このうちロイヤルティ及びプロフィットシェア収入は、主にヘムライブラに関するロシュからの
      ロイヤルティ収入の増加により、1,630億円(同25.8%増)となる見込みです。その他の営業収
      入は、一時金収入の減少により、60億円(同75.1%減)を見込んでおります。

      [Core営業利益、Core EPS]
       売上収益の増加に加え、製品別売上構成比の変化等により、製商品原価率は前年同期比3.0%
      ポイント改善となる40.0%を想定しており、売上総利益は5,475億円(前年同期比6.4%増)とな
      る見通しです。一方、経費全体では2,275億円(同10.1%増)、このうち研究開発費は、開発テ
      ーマの進展等、研究開発活動の増加により1,315億円(同15.9%増)を見込んでおります。
       これによりCore営業利益は3,200億円(同3.9%増)、Core当期利益は2,320億円(同5.7%増)
      となる見通しです。また、Core EPSは141.00円(同5.7%増)を見込んでおります。

                                               (単位:億円)
                           2021年見通し            増減率
            売上収益                      8,000          +1.7%
                製商品売上高                6,310         △0.4%
            Core営業利益                  3,200          +3.9%
            Core当期利益                  2,320          +5.7%


      ※本項(4)において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位
      で表示された数字で計算しております。
 




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(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
   当社は、戦略的な投資資金需要の変化や業績見通しを勘案したうえで、株主の皆様へ安定的な
  配当を継続的に行うことを目標とし、配当性向としてはCore EPS対比平均して45%を目処としま
  す。内部留保資金につきましては、一層の企業価値向上に向け、現戦略領域でさらなる成長を図
  ることや将来のビジネス機会を探索するための投資に充当してまいります。
   2020年度の業績は、過去最高益の実績を挙げることができ、Core EPSで前年対比30.9%の増加
  となりました。
   こうした好業績を反映し、「安定的な配当」「Core EPS対比平均して45%の配当性向を目処」
  という当社方針に準ずるよう、当期の期末配当金は1株当たり30円を予定しております。この結
  果、中間配当金75円(株式分割前)、期末配当金30円(株式分割後)、期首に株式分割が行われ
  たと仮定して算定した場合の年間配当金は1株当たり55円となり、Core配当性向は41.2%(5年
  平均で44.9%)となります。
   次期の配当予想につきましては、1株当たり年間60円、うち中間配当金30円を予想値といたし
  ます。これにより、2021年の予想Core配当性向は42.6%(5年平均で43.8%)となります。

                               直近の配当予想               前期実績
                決定額
                            (2020年1月30日公表)        (2019年12月期)
    基準日      2020年12月31日       2020年12月31日         2019年12月31日
   1株当たり
               30円00銭               25円00銭           92円00銭
    配当金
   配当金総額      49,316百万円               -            50,372百万円
   効力発生日     2021年3月24日               -            2020年3月31日
    配当原資       利益剰余金                  -             利益剰余金


   当社は、2020年7月1日を効力発生日として普通株式を1株につき3株の割合で株式分割を行
  っております。2019年12月期の配当については、当該株式分割前の配当金を記載しております。




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                                    中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


2.経営方針
 (1)経営の基本方針
    当社グループは、世界有数の製薬企業であるロシュとの戦略的アライアンスのもと、「革新的
   な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」
   ことをMission(存在意義)とし、「患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア
   産業のトップイノベーターとなること」を目標に、社会とともに発展することを経営の基本方針
   としています。
    その実践にあたっては、当社グループのCore Values(価値観)である、「患者中心」、「フ
   ロンティア精神」、「誠実」に沿った事業活動を行っております。
    この基本方針のもと、「すべての革新は患者さんのために」という考え方に沿って、革新的な
   創薬を柱とするイノベーションに集中し、一人ひとりの患者さんにとって最適な医療の提供によ
   る社会課題の解決と健全な社会の発展を目指すとともに、持続的な企業価値拡大を図ります。
    さらに、事業活動に伴う社会へのインパクトを最善のものとするため、環境・社会・ガバナン
   スに代表される課題に積極的に取り組んでまいります。こうした活動は、社会全体の持続性向上
   に寄与するとともに、当社グループの長期的な発展を支える基盤になると確信しております。

 (2)目標とする経営指標
    当社グループはイノベーションの創出による企業価値の向上を重視し、経営計画の策定にあた
   っては、革新的な新薬の創出に対して優先的に経営資源の配分を行っております。一方で、短中
   期的にも安定的な利益成長を達成できるよう、機動的で柔軟な事業運営に努めております。ま
   た、個別の開発テーマ等の投資判断におきましては、資本コストを踏まえた投資価値評価を行
   い、収益性と効率性を重視した意思決定をしております。
    このような方針のもとで、これまで「IBI 18」、「IBI 21」等の中期計画を策定・遂行してま
   いりましたが、近年では、当社の収益構造が大きく変貌を遂げ、収益面ではイノベーティブな自
   社開発品がもたらす割合が大きくなりました。そして、その収益の源泉は世界各国の市場へと広
   がり、これまで以上に海外市場の動向に収益が影響を受けるようになりました。
    また、外部環境においては、ヘルスケア産業におけるデジタル化、創薬技術の進化、医療財源
   の問題、国を跨いだ企業結合や提携の活発化など競争環境が大きく変化しています。このような
   変化の激しい事業環境を背景としまして、当社としては、中長期の定量目標を定めて、それらを
   外部に発表するのが難しい状況になっているという判断に至りました。これを踏まえ、2021年度
   より中期計画についての定量目標の開示は止めることといたします。一方、これまでどおり経営
   戦略や研究開発パイプラインの見通しの説明を通じて事業活動の進捗の状況を開示し、その達成
   に道筋を示していくことには変わりはなく、引き続き、年間業績予想の公表や各説明会等の場で
   経営状況を説明し、当社の掲げる経営戦略の進捗を適時報告していく予定です。

 (3)環境認識と対処すべき課題
    世界人口の増加と各国における高齢化進展によって、医薬品への期待・ニーズが増大するな
   か、持続可能な医療の実現が世界共通の課題となっております。2020年に発生した新型コロナウ
   イルス感染症の世界的流行によって、社会における医療の役割と重要性も強く認識され、産業へ
   の期待もますます高まっています。また、各国の医療財政が逼迫するなか、薬剤費を含む医療費
   の抑制政策はますます厳しくなっており、限られた資源のもとで高度かつ持続可能な医療を実現
   するため、「真に価値あるソリューションだけが選ばれる」VBHC(Value Based Healthcare)の
   流れはますます加速しています。
    また、ライフサイエンスやデジタル技術の飛躍的な進歩によって、医療課題解決に向けたイノ
   ベーション創出機会が拡大する一方、デジタル・IT企業をはじめとする多様なプレーヤーがヘル
   スケア領域でイノベーションに挑戦しています。その結果、既存企業の枠を超えた競争もこれま
   で以上に熾烈化しております。
    そのようななか、革新的な医薬品の提供を使命とする私たちの最重要課題は、やはり「イノベ
   ーション」の追求だと考えます。新たな治療ターゲットの探索や創薬技術のさらなる革新によ
   り、アンメット・メディカルニーズに応える新薬の創出が求められます。また、患者さん一人ひ
   とりにとって最適な医療の実現に向けて、ライフサイエンス進展による新たな技術、ビッグデー
   タやAIなどのデジタル技術の進化を柔軟に取り入れながら、従来の創薬力にとどまらない能力を
   獲得・強化することが課題となります。グローバル規模での財政圧力の増加によって製薬企業の
   経営環境が厳しさを増すなか、限られた資源をイノベーションに集中投資できる体制への変革が
   一層求められています。




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                                    中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


    当社グループは、革新的な新薬の創出とロシュとの戦略的アライアンスを基盤として、国内ト
  ップクラスの成長を実現してまいりました。ロシュの充実した新薬パイプラインによる安定した
  収益基盤を確保しながら、自社創薬に資源を集中し、革新的な研究開発プロジェクトを連続的に
  創出しております。その結果、これまで5つの当社創製医薬品(アクテムラ、アレセンサ、ヘム
  ライブラ、エンスプリング、ネモリズマブ)が米国FDAから「画期的治療薬(Breakthrough
  Therapy)」に指定されるなど、当社グループの創薬力は世界的に高い評価を受けております。
  また、後期開発や販売では、ロシュのグローバル・プラットフォームを活用することで、高い生
  産性を実現しております。
    今後、アレセンサ、ヘムライブラ、そして2020年に上市したエンスプリングなどの成長ドライ
  バーをグローバル市場で確実に価値最大化すること、そしてこれらに続く革新的新薬をいち早く
  創出し、高い患者価値を証明しつつ迅速な開発を成し遂げることで、今後も持続的な利益成長を
  目指してまいります。また、新型コロナウイルス感染症に対する診断・予防・治療の必要性が高
  まるなか、当社グループは独自の創薬技術を活用した治療薬の開発に引き続き取り組んでいきま
  す。
    こうした製薬産業における課題に加え、近年の地球環境変動や経済格差の拡大など社会システ
  ムの持続性への危機が高まっています。事業活動の持続的な発展のために、当社としてもこれら
  の社会課題と真摯に向き合い、事業活動への取組みにもさらなる進化が必要であると認識してお
  ります。

(4)中期経営計画「IBI 21」
    当社グループは、2019年から2021年の3か年を期間とする中期経営計画「IBI 21」を掲げて取
  り組んでまいりました。
    定量面では、3年間でのCore EPS年平均成長率目標30%前後(一定為替レートベース、期間途
  中の株式分割を考慮せず)を設定しておりましたが、ヘムライブラやアクテムラなど自社品のグ
  ローバル市場での大幅な成長や、ヘムライブラ・テセントリクなど新製品の国内市場での拡大を
  背景に、2020年までの2年間で年平均49.5%の成長を達成し、想定を上回る高い水準で進捗して
  います。
    定性面においても、創薬・開発では、2年間で新たに5つのプロジェクトがポートフォリオに
  加わり、次世代抗体のSTA551をはじめ4つの自社創製品が臨床入りしました。また、新たな成長
  ドライバーと期待するクロバリマブ(SKY59)のフェーズ3を開始しました。さらには、次世代
  コア技術として確立を目指す中分子医薬の開発も、2021年度中の臨床試験開始に向けて順調に進
  展しています。
    グローバル市場では、自社創製品のヘムライブラ、アクテムラ、アレセンサが大きく伸長する
  とともに、自社創製の新製品・エンスプリングが日米をはじめ世界各国において承認を取得しま
  した。国内市場では、新製品のテセントリクが複数がん種に適応拡大し市場浸透しました。ま
  た、次世代シークエンサーを用いた包括的がん関連遺伝子解析システムである「FoundationOne
  CDx がんゲノムプロファイル」を2019年上市し、がんゲノム指定病院での使用が本格化していま
  す。
    経営基盤の強化についても、タレントマネジメントの高度化と役割成果主義を軸とした新人事
  制度を2020年4月より開始し、イノベーションを牽引する人財の活躍・育成に向けた新たなスタ
  ートを切りました。また、デジタル・トランスフォーメーションによる事業革新を目指した
  「Chugai Digital Vision 2030」を策定し、デジタルを梃子にしたバリューチェーンの最適化と
  新薬創出力の高度化・効率化を強力に推進しております。さらには、ESGをはじめとするサステ
  ナビリティ基盤を強化してまいりましたが、世界の代表的なESG評価指数である「Dow Jones
  Sustainability Index World」の構成銘柄に2020年初めて選定され、グローバル水準で持続可能
  性の高い企業として評価されました。

   このように、2021年を最終年度とする「IBI 21」は、定量面では開始当初の想定を大きく上回
  る収益拡大・利益成長を実現し、3年での利益目標をすでに2年時点で達成しました。定性面で
  も目標を上回る成果を実現し、イノベーション創出によるさらなる成長に向けた基盤が大きく整
  いました。これらを踏まえ、今回、「IBI 21」を1年前倒しで終了し、新たな戦略のもとでさら
  なる成長加速を目指した取り組みを開始することとしました。

(5)2030年に向けた新たな成長戦略「TOP I 2030」
   当社グループは、「IBI 21」を1年前倒しで終了するとともに、ミッションステートメントに
  掲げたEnvisioned Futureの実現を目指し、2030年に向けた新たな成長戦略「TOP I 2030」を策
  定しました。



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                                  中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


     「TOP I 2030」の二つの柱は、「世界最高水準の創薬の実現」と「先進的事業モデルの構築」
    です。
     独自のサイエンスと技術を駆使して数々の革新的新薬を生み出してきた当社は、今後10年間で
    さらに創薬力を大きく向上させ、世界のアンメット・メディカルニーズに応えるソリューション
    を継続的に世に送り出せる体制構築・強化を目指します。具体的には、現在のR&Dアウトプット
    を10年間で2倍に拡大し、革新的な自社開発グローバル品を毎年上市できる会社を目指します。
     そして、環境変化や技術進化を踏まえた先進的事業モデルの構築にも取り組んでまいります。
    特にデジタル化を核としたプロセスや価値創出モデルの抜本的な再構築によって、バリューチェ
    ーン全体にわたる生産性の飛躍的向上と、患者価値・製品価値の拡大を目指してまいります。

     そして、2030年の「到達像」を以下のように提示します。
    1)「世界の患者が期待する」
      世界最高水準の創薬力を有し、世界中の患者さんが「中外なら必ず新たな治療法を生み出し
      てくれる」と期待する会社
    2)「世界の人財とプレーヤーを惹きつける」
      世界中の情熱ある人財を惹きつけ、ヘルスケアにかかわる世界中のプレーヤーが「中外と組
      めば新しい何かを生み出せる」と想起する会社
    3)「世界のロールモデル」
      事業活動を通じたESGの取組みが評価され、社会課題解決をリードする企業として世界の
      ロールモデルである会社

     「TOP I 2030」では、戦略の二本柱を実現するための具体的な取組みとして、バリューチェー
    ンに沿った「5つの改革」、すなわち「創薬改革」「開発改革」「製薬改革」「Value Delivery
    改革」及び「成長基盤改革」を掲げております。

    ①創薬改革
     「TOP I 2030」では、たんぱく質エンジニアリング技術をはじめ、これまで積み上げてきた自
    社創薬の強みをベースにしながら、独創的な創薬アイデアを具現化する創薬技術基盤の一層の強
    化を目指します。そして、最大の価値創出源である創薬及び早期開発に全社資源を集中し、十分
    な投資によって成果を創出してまいります。特に、当社グループの今後の中長期的な成長を牽引
    する大黒柱として期待する中分子医薬では、早期の実用化に向けた技術開発・臨床プロジェクト
    に資源を優先的に投入します。また、AIを含むデジタル技術の効果的な活用と積極的な外部連携
    を通じて、創薬技術の多様化、スピードの加速を図ります。
 
    ②開発改革
     画期的なプロジェクトをより速く、より多くの患者さんに届けるため、数理モデルやデジタル
    技術を最大限活用した業界トップクラスの臨床開発モデルを構築します。生体反応を精緻に理解
    し、自社に蓄積されたあらゆる疾患・治療データやリアルワールドデータ(RWD)を徹底活用す
    ることで、用法用量・有効性・安全性の予測性を高めるとともに、デジタル・バイオマーカーや
    デジタル・デバイスで、患者さんのQOLを早期に実証していきます。また、後期臨床開発の業務
    効率化を目指したオペレーション・モデルの抜本的な改革にも取り組みます。
 
    ③製薬改革
     R&Dアウトプットの大幅な拡充を目指す一方で、革新的創薬を確実に製品化する世界水準の製
    薬技術の追求も重要な課題となります。創薬・開発~製薬の機能間の連携を一層強化し、最先端
    技術を駆使して中分子などの高難度の薬物に対応した製薬技術開発を進めてまいります。引き続
    きコア技術として進化が期待される抗体医薬についても、さらなる技術開発の推進と開発スピー
    ドの向上に努めます。
     一方で、デジタル・ロボティクスの活用により生産性を飛躍的に向上させる次世代工場の構築
    や、内製・外製の最適化などによって、世界水準でのコスト競争力と原価の低減を追求します。
 




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                                        中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


   ④Value Delivery改革
    デジタルツールの発達や、新型コロナウイルス感染拡大の影響を背景に、製薬企業の顧客タッ
   チポイントのあり方も大きく変容しつつあります。そのような変化も踏まえながら、医療従事者
   や患者さんが求める情報を、高い専門性を担保しながら的確かつ迅速に届けるため、革新的な顧
   客エンゲージメントモデルの構築を目指します。具体的には、リアル(対面)・リモート・デジ
   タルの最適活用と、営業・安全性・メディカルの各専門機能の適切な連携によって、顧客に対し
   て価値ある情報を、迅速かつ最適な形で提供できる体制を構築します。
    また、創薬や開発を通じて蓄積された各種データベースや、リアルワールドデータを統合的に
   解析・活用することで、個別化医療を促進するエビデンス創出を高度化し、患者さんごとに有効
   性・安全性を的確に予測するバイオマーカーの開発も加速します。

   ⑤成長基盤改革
    各バリューチェーンにおける改革と並行して、イノベーションの創出と成長戦略の実現を支え
   る全社基盤の強化にも、特に下記5つのテーマを重点分野として掲げて取り組んでまいります。

   「人財・組織」:2020年より開始した新人事制度の運用を通じて、タレントマネジメントの高度
   化、適所適財の徹底、そして果敢なチャレンジを推奨する組織風土の強化を図ります。また、デ
   ータサイエンティストをはじめとするデジタル人財やサイエンス人財など、戦略遂行上の要とな
   る高度専門人財の獲得・育成・充足に注力します。
   「デジタル」:各バリューチェーンにおけるデジタル化を推進するとともに、ソフト・ハード両
   面のデジタル基盤の構築に取り組みます。ロシュ・グループとも連携しながら、社内の各種デー
   タの統合や解析基盤構築を通じてグローバル水準のIT基盤の確立を目指します。
   「ESG」:「IBI 21」に引き続いて、当社グループのMissionと、事業の経済・社会・環境に及ぼ
   す影響を踏まえて特定した重要課題(マテリアリティ)に取り組みます。また、「Dow Jones
   Sustainability Index World(DJSI-World)」選定でも評価されたESG課題へのグループ全体で
   の対応について、引き続きその高度化を図ってまいります。
   「クオリティ」:当社グループでは、製品品質はもちろん、薬事対応やビジネスプロセス全体に
   わたるクオリティ・マネジメントの高度化に努めてきましたが、今後、多様な技術進化やモダリ
   ティへの挑戦に伴う新たな規制への対応、デジタル・コンプライアンスの強化、外部との協業拡
   大を見据えた品質保証体制の整備など、変化するビジネスプロセスを見据えたクオリティ・マネ
   ジメント手法の整備・運用を強化します。
   「Insight Business」:創薬、開発、製薬、Value Deliveryの各段階で得られるデータや、リア
   ルワールドデータを含む外部データを集積し、高度な解析を加えることにより、自社の創薬・開
   発や医薬品の価値最大化に資する様々なインサイトを抽出し活用する取組みを加速します。
   Flatiron HealthやFoundation Medicine、Roche Diagnostics等、ロシュ・グループ各社とも協
   働しながらこれを推進します。

    世の中には、未だ治療法が存在しない、或いは治療満足度が低いアンメット・メディカルニー
   ズが数多く存在し、世界中の患者さんが有効な治療の登場を待ち望んでいます。これらアンメッ
   ト・メディカルニーズを一つ一つ解決することこそが社会のニーズであり、私たち中外製薬グル
   ープの使命であり、そして企業としての成長機会でもあります。ミッションステートメントに掲
   げた「ヘルスケア産業のトップイノベーター」を目指し、新たな成長戦略「TOP I 2030」で策定
   した5つの改革を着実に実行することで、引き続き当社グループはイノベーションによる社会の
   発展と自社の成長を追求してまいります。

3.会計基準の選択に関する基本的な考え方
  当社グループは国内外において革新的な新薬を提供することを目指し、国外においても医薬品の販
 売や研究開発活動を実施し、国際的な事業活動を行っております。こうした状況を鑑み、投資家の皆
 様の利便性の観点から財務情報の国際的な比較可能性の向上を図るべく、2013年12月期第1四半期連
 結会計期間から国際会計基準(IFRS)を適用しております。




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                                 中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


4.連結財務諸表及び主な注記
    (1)連結損益計算書及び連結包括利益計算書
     連結損益計算書
                                                    (単位:百万円)
                          当連結会計年度                 前連結会計年度
                        (自 2020年1月1日            (自 2019年1月1日
                         至 2020年12月31日)          至 2019年12月31日)
売上収益
売上収益                              786,946                  686,184
 製商品売上高                           633,314                  588,896
 ロイヤルティ等収入
                                      153,631               97,288
 及びその他の営業収入
売上原価                                 △273,465             △266,071
 売上総利益
 売上総利益                                513,481              420,113

販売費                                   △72,585              △77,183
研究開発費                                △117,850             △107,942
一般管理費等                                △21,816              △24,391
 営業利益
 営業利益                                 301,230              210,597

金融費用                                     △62                 △125
その他の金融収入(支出)                          △1,477                   545
その他の費用                                △1,504               △3,124
 税引前当期利益
 税引前当期利益                              298,188              207,893

法人所得税                                △83,455               △50,333
 当期利益
 当期利益                                214,733               157,560

当期利益の帰属:
 当社の株主持分                              214,733              157,560

1株当たり当期利益
 基本的1株当たり当期利益(円)                       130.66                95.95
 希薄化後1株当たり当期利益(円)                      130.53                95.81
 




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                                中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


    連結包括利益計算書
                                                   (単位:百万円)
                           当連結会計年度                前連結会計年度
                         (自 2020年1月1日           (自 2019年1月1日
                          至 2020年12月31日)         至 2019年12月31日)
当期利益
当期利益                               214,733                157,560

その他の包括利益

    確定給付制度の再測定                          3,630                  329
    その他の包括利益を通じて公正価値
                                         △22                 △255
    で測定する金融資産
    純損益に振り替えられない項目合計
    純損益に振り替えられない項目合
               い項目合計                   3,608                    74

    その他の包括利益を通じて公正価値
                                           12                 △17
    で測定する金融資産
    キャッシュ・フロー・ヘッジ                     △3,072               △1,317
    在外子会社等の為替換算差額                      1,467               △1,172
    のちに純損益に振り替えられる
    のちに純損益に振り替えられ
               られる
                                      △1,593               △2,506
    可能性のある項目合計
    可能性のある項目合計

その他の包括利益合計
その他の包括利益合計                              2,015              △2,433
当期包括利益
当期包括利益                                216,748              155,127

当期包括利益の帰属:
 当社の株主持分                              216,748              155,127
 




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                         中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


(2)連結財政状態計算書
                                            (単位:百万円)
                     当連結会計年度              前連結会計年度
                    (2020年12月31日)        (2019年12月31日)
資産
非流動資産:
 有形固定資産                        289,218            255,559
 使用権資産                           8,272              9,749
 無形資産                           23,880             23,540
 長期金融資産                          2,841              2,958
 繰延税金資産                         47,934             42,680
 退職後給付資産                           492                 -
 その他の非流動資産                      27,954             24,750
  非流動資産合計
   非流動資産合計                     400,592            359,235

流動資産:
 棚卸資産                          183,893            168,122
 営業債権及びその他の債権                  253,342            181,641
 未収法人所得税                            12                  0
 有価証券                          166,287            129,117
 現金及び現金同等物                     212,333            203,941
 その他の流動資産                       19,039             16,858
  流動資産合計
  流動資産合計                       834,906            699,680

 資産合計
 資産合計                        1,235,498          1,058,915

負債
非流動負債:
 繰延税金負債                        △9,166             △9,304
 退職後給付負債                       △2,282             △7,094
 長期引当金                         △2,142             △2,348
 その他の非流動負債                     △5,835             △6,914
  非流動負債合計
   非流動負債合計                    △19,425            △25,662

流動負債:
 未払法人所得税                      △63,171            △41,047
 短期引当金                          △358                 △4
 営業債務及びその他の債務                △100,396            △77,635
 その他の流動負債                     △72,146            △60,582
  流動負債合計
  流動負債合計                     △236,070           △179,268

 負債合計
 負債合計                        △255,495           △204,930

 純資産合計
 純資産合計                         980,003            853,985

資本の帰属:
 当社の株主持分                       980,003            853,985
  資本合計
  資本合計                         980,003            853,985

 負債及び資本合計
 負債及び資本合計                    1,235,498          1,058,915




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                              中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


(3)連結キャッシュ・フロー計算書
                                                 (単位:百万円)
                         当連結会計年度                前連結会計年度
                       (自 2020年1月1日           (自 2019年1月1日
                        至 2020年12月31日)         至 2019年12月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー
 営業活動による現金創出                        340,228             249,500
 運転資本の減少(△は増加)                     △64,421                6,205
 確定給付制度に係る拠出                        △4,656             △11,540
 引当金の支払                                △26                  △2
 その他の営業活動                               694             △2,741
  小計                               271,820             241,423
 法人所得税の支払                          △66,785             △34,782
  営業活動によるキャッシュ・フロー
  営業活動によるキャッシュ フロー                 205,035             206,641

投資活動によるキャッシュ・フロー
 有形固定資産の取得                         △57,040             △53,009
 無形資産の取得                            △4,349              △8,168
 有形固定資産の処分                             △22                  119
 利息及び配当金の受取                             100                 197
 有価証券の取得                          △248,143            △256,768
 有価証券の売却                            211,000             230,158
 投資有価証券の取得                            △177              △1,013
 投資有価証券の売却                              319               6,743
 その他の投資活動                                -                    0
  投資活動によるキャッシュ・フロー
  投資活動によるキャッシュ フロー                △98,312             △81,741

財務活動によるキャッシュ・フロー
 非支配持分の取得                               -               △2,307
 利息の支払                                △34                 △27
 リース負債の支払                           △8,432              △8,861
 配当の支払―当社株主持分                      △91,442             △56,370
 ストック・オプションの行使                         440                 735
 自己株式の減少(△は増加)                        △30                 △25
 その他の財務活動                               -                 △16
  財務活動によるキャッシュ・フロー
  財務活動によるキャッシュ フロー                 △99,497             △66,872

 現金及び現金同等物に係る換算差額                    1,166               △947
現金及び現金同等物の増減額
現金及び現金同等物の増減                         8,393              57,081

現金及び現金同等物の期首残高                      203,941            146,860
現金及び現金同等物の期末残高
現金及び現金同等物の期末残
           末残高                      212,333            203,941




                     ― 19 ―
                                      中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


(4)連結持分変動計算書
                                                              (単位:百万円)
                            当社の株主持分
                                  その他の
                         資本    利益                             非支配     資本
               資本金                資本構成               合計
                        剰余金   剰余金                              持分     合計
                                    要素
前連結会計年度
前連結会計年度
2019年1月1日      73,000   66,043   618,091   △1,270   755,864    664   756,529
  当期利益             -        -    157,560       -    157,560     -    157,560
  その他の包括利益
  を通じて公正価値         -       -          -     △272      △272      -      △272
  で測定する金融資産
  キャッシュ・
                   -       -          -    △1,317   △1,317      -    △1,317
  フロー・ヘッジ
  在外子会社等の
                   -       -          -    △1,172   △1,172      -    △1,172
  為替換算差額
  確定給付制度の
                   -       -         329       -        329     -        329
  再測定
当期包括利益合計
当期包括利益合計          -        -     157,889   △2,761   155,127     -    155,127

  剰余金の配当           -        - △56,373          - △56,373        - △56,373
  株式報酬取引           16       52     -           -      68        -      68
  自己株式             -       941     -           -     941        -     941
  非支配持分の変動         -        - △1,662           19 △1,643      △664 △2,307
  その他の資本構成
  要素から利益剰余         -       -       4,131   △4,131        -      -         -
  金への振替
2019年12月31日
    年12月31日    73,016   67,037   722,076   △8,143   853,985     -    853,985

当連結会計年度
当連結会計年度
2020年1月1日      73,016   67,037   722,076   △8,143   853,985     -    853,985
  当期利益             -        -    214,733       -    214,733     -    214,733
  その他の包括利益
  を通じて公正価値         -       -          -       △9        △9      -        △9
  で測定する金融資産
  キャッシュ・
                   -       -          -    △3,072   △3,072      -    △3,072
  フロー・ヘッジ
  在外子会社等の
                   -       -          -     1,467     1,467     -      1,467
  為替換算差額
  確定給付制度の
                   -       -       3,630       -      3,630     -      3,630
  再測定
当期包括利益合計
当期包括利益合計          -        -     218,363   △1,615   216,748     -    216,748

  剰余金の配当           -        - △91,467          - △91,467        - △91,467
  株式報酬取引          186    △774      -           -   △588         -   △588
  自己株式             -     1,324     -           -   1,324        -   1,324
  その他の資本構成
  要素から利益剰余         -       -         121    △121         -      -         -
  金への振替
2020年12月31日
    年12月31日    73,202   67,586   849,093   △9,879   980,003     -    980,003




                            ― 20 ―
                               中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


(5)継続企業の前提に関する注記
   該当事項はありません。

(6)連結財務諸表に関する注記事項
 ①重要な会計方針等
  a. 作成の基礎
     作成の基礎
     この連結財務諸表は、日本(東京)に所在し、東京証券取引所に上場(証券コード:4519)し
   ている中外製薬株式会社及びその子会社の連結財務諸表です。この連結財務諸表は、2021年2
   月4日に取締役会によって承認されております。
     ロシュ・ホールディング・リミテッドはスイス証券取引所に上場し、国際会計基準(以下、
   「IFRS」という)に準拠し業績を開示しているロシュ・グループの親会社です。当社グループ
   はロシュとの戦略的アライアンスの締結により2002年10月よりロシュ・グループの主要なメン
   バーになっております。ロシュ・ホールディング・リミテッドは、当社株式の発行済株式総数
   のうち59.89%(発行済株式総数から自己株式を控除したベースでは61.17%)を所有しており
   ます。
     当社グループは、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵
   省令第28号。以下、連結財務諸表規則)第1条の2に定める指定国際会計基準特定会社の要件
   を満たすことから、同第93条の規定によりIFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。

   連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円で表示し、百万円未満を四捨五入しておりま
  す。公正価値による測定が要求されている一部の項目を除き、測定は取得原価に基づいており
  ます。

  b. 重要な会計上の判断、見積り及び前提
     重要な会計上の判断 見積り及び前提
     連結財務諸表の作成にあたっては、収益、費用、資産、負債及び偶発事象に係る報告金額に
   影響を与える判断、見積り及び前提の設定を行うことを経営者に求めております。これらの見
   積りは実際の結果と異なる可能性があります。見積りやその基礎をなす前提は、過去の経験や
   多くの要因に基づいて設定しており、継続的に見直しを行っております。見積りの変更による
   影響は、見積りの変更が行われた会計期間に認識しております。
     「1.経営成績等の概況 (1)当期の経営成績の概況」のとおり、新型コロナウイルス感
   染症の当連結会計年度に与える影響は限定的であったことから、当連結会計年度の業績に対す
   る影響も限定的であると仮定しており、使用した会計上の見積りに与える重要な影響はありま
   せん。
     なお、新型コロナウイルス感染症の今後の流行等の状況の変化は、翌連結会計年度以降にお
   いて、資産や負債の帳簿価額に重要な修正を生じる要因となる重要なリスクとなる可能性があ
   ります。

  c. 重要な会計方針
     重要な会計方針
     当社グループは、前連結会計年度の連結財務諸表において適用した会計方針と同一のものを
   適用しております。
     なお、一部の基準書において軽微な変更がありましたが、当社グループの業績及び財政状態
   に重要な影響はありません。

  d. 未適用の新たな基準書
     未適用の新たな基準書
     当社グループは2021年度以降に適用となる新たな基準書による影響を調査中ですが、2021年
   度において当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼすものはないと判断しており
   ます。




                      ― 21 ―
                                        中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


    ②セグメント情報
 
     当社グループは、単一の医薬品事業に従事し、複数の事業セグメントを有しておりません。当社
    グループの医薬品事業は、新規の医療用医薬品の研究、開発、製造、販売活動から成り立っており
    ます。これらの機能的な活動は事業として統合した運営管理を行っております。
 
    売上収益
    売上収益                                                (単位:百万円)
                   当連結会計年度                       前連結会計年度
                  (自 2020年1月1日                 (自 2019年1月1日
                   至 2020年12月31日)               至 2019年12月31日)
                           ロイヤルティ等                       ロイヤルティ等
               製商品売上高        収入及び            製商品売上高        収入及び
                          その他の営業収入                      その他の営業収入
    日本            409,106          9,852        437,561         6,404
    海外            224,209        143,779        151,335        90,884
     うちスイス        205,180        142,403        134,330        87,731
        合計        633,314        153,631        588,896        97,288
 
    主要顧客に関する情報
    主要顧客に関する情報                                             (単位:百万円)
                                当連結会計年度                 前連結会計年度
                              (自 2020年1月1日            (自 2019年1月1日
                               至 2020年12月31日)          至 2019年12月31日)
    エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・
                                            347,583              217,265
    リミテッド
    アルフレッサ株式会社                              105,066              114,202
 




                               ― 22 ―
                                    中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


     ③その他の費用
 
      当社は、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドとの取引において、日本及びスイス両税務当
     局に対し、独立企業間価格の算定方法等に関する事前確認を申請しておりましたが、2017年第1四
     半期に、2016年から2020年の各事業年度において、当社の課税所得を一定額減額して、ロシュの課
     税所得を同等額増額すること、必要な場合には2021年に追加的調整を行うこと、とする旨などの合
     意通知書を受領いたしました。
      これにより、両社間でのライセンス契約の取決めに基づき、当社で減額される法人税等の一部
     を、ロシュにおいて納付すると見込まれる税額等としてロシュへ支払うこととし、移転価格税制調
     整金1,504百万円を計上しております。
 
     ④1株当たり利益
 
    基本的1株当たり利益
    基本的 株当たり利益
                             当連結会計年度                  前連結会計年度
                          (自  2020年1月1日             (自 2019年1月1日
                           至  2020年12月31日)           至 2019年12月31日)
    当社株主に帰属する当期利益
    当社株主に帰属する当期利
                                         214,733               157,560
    (百万円)
     百万円

    加重平均普通株式数(株)                    1,679,057,667         1,679,057,667
    加重平均自己株式数(株)                     △35,612,258           △36,917,512
     基本的加重平均普通株式数(株)
     基本的加重平均普通株式数                   1,643,445,409         1,642,140,155

     基本的1株当たり当期利益(円)
     基本的 株当たり当期利益                  130.66          95.95
    (注)当社は、2020年1月21日開催の取締役会決議に基づき、2020年7月1日を効力発生日として、
       普通株式を1株につき3株の割合をもって分割しております。前連結会計年度の期首に当該株
       式分割が行われたと仮定して基本的1株当たり当期利益を算定しております。
 
    希薄化後1株当たり利益
    希薄化後 株当たり利益
                             当連結会計年度                  前連結会計年度
                          (自  2020年1月1日             (自 2019年1月1日
                           至  2020年12月31日)           至 2019年12月31日)
    当社株主に帰属する当期利益
    当社株主に帰属する当期利
                                         214,733               157,560
    (百万円)
     百万円

    基本的加重平均普通株式数(株)                 1,643,445,409         1,642,140,155
    希薄化効果の影響調整:
                                        1,637,632             2,369,447
     ストック・オプション(株)
     希薄化効果後
     希薄化効果後
                                    1,645,083,041         1,644,509,602
     加重平均普通株式数(株)
     加重平均普通株式数

     希薄化後1株当たり当期利益(円)
     希薄化後 株当たり当期利益                 130.53          95.81
    (注)当社は、2020年1月21日開催の取締役会決議に基づき、2020年7月1日を効力発生日として、
       普通株式を1株につき3株の割合をもって分割しております。前連結会計年度の期首に当該株
       式分割が行われたと仮定して希薄化後1株当たり当期利益を算定しております。
 
      希薄化効果を有さないとして、希薄化後加重平均普通株式数の算定から除外されているストッ
     ク・オプションはございません。
 




                           ― 23 ―
                                 中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


    ⑤キャッシュ・フロー計算書
 
    営業活動によるキャッシュ・フロー
    営業活動によるキャッシュ フロー
     営業活動によるキャッシュ・フローは、当社グループの主要な事業活動である医薬品の研究開
    発・製造・販売活動から生じます。営業活動による現金創出額は、営業利益に有形固定資産の減価
    償却費、無形資産の償却費や減損損失等の非資金損益項目の調整を行う間接法によって計算してお
    ります。営業キャッシュ・フローには、当社グループのすべての活動によって生じる法人所得税の
    支払を含んでおります。
 
    営業活動による現金創出額
    営業活動による現金創出額                                    (単位:百万円)
                         当連結会計年度                 前連結会計年度
                       (自 2020年1月1日            (自 2019年1月1日
                        至 2020年12月31日)          至 2019年12月31日)
    当期利益                          214,733                 157,560
    金融費用                               62                     125
    その他の金融収入(支出)                    1,477                   △545
    その他の費用                          1,504                   3,124
    法人所得税                          83,455                  50,333
     営業利益
     営業利益                         301,230                 210,597

    有形固定資産の減価償却費                      21,966                17,778
    使用権資産の減価償却費                        5,509                 6,031
    無形資産の償却費                           2,901                 2,592
    有形固定資産の減損損失                          296                 1,252
    無形資産の減損損失                            657                 2,664
    確定給付制度に係る営業費用                      4,701                 4,369
    持分決済型株式報酬に係る営業費用                     325                   300
    引当金に係る費用(戻入)の純額                      171                   287
    棚卸資産損失                                19                 1,053
    その他の調整                             2,454                 2,577
     合計                              340,228               249,500
 
    投資活動によるキャッシュ・フロー
    投資活動によるキャッシュ フロー
     投資活動によるキャッシュ・フローは主に有形固定資産及び無形資産への投資です。また、有価
    証券等への投資、投資から得られる受取利息及び受取配当金を含んでおります。
 
    利息及び配当金の受取
    利息及び配当金の受取                                      (単位:百万円)
                         当連結会計年度                 前連結会計年度
                       (自 2020年1月1日            (自 2019年1月1日
                        至 2020年12月31日)          至 2019年12月31日)
    受取利息                              97                     106
    受取配当金                              3                      91
     合計                              100                     197
 
    財務活動によるキャッシュ・フロー
    財務活動によるキャッシュ フロー
     財務活動によるキャッシュ・フローは主に配当及びリース負債の支払です。
 
    重要な非資金取引
    重要な非資金取引
     当連結会計年度及び前連結会計年度において、重要な非資金取引はありません。
 




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                                          中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


⑥関連当事者
a. 支配株主
   支配株主
  研究基盤を強化した日本のトップ製薬企業となるべく、当社はロシュと戦略的アライアンスの契
約を締結しております。この契約に基づき、当社は2002年10月、ロシュの日本における医薬品事業
の子会社であった日本ロシュと合併し、合併後は中外製薬としてロシュ・グループの一員となりま
した。
  当社はロシュと以下を合意しております。

アライアンス基本契約(Basic Alliance Agreement)
アライアンス基本契約
  当社とロシュは、2001年12月にアライアンスに関する基本契約を締結し、戦略的アライアンスに
基づく事業活動を開始いたしました。本基本契約では、以下の各項目を含む、当社のガバナンス及
び業務運営に関する合意事項を定めております。
  ・アライアンスのストラクチャー
  ・ロシュの株主権
  ・ロシュによる当社取締役推薦権
  ・ロシュによる当社普通株式売買の制限事項
  当社は、新株予約権付社債及びストック・オプションの行使並びにその他の目的により、普通株
式を追加で発行することがあります。この場合、ロシュが保有する当社株式の割合が変動すること
になりますが、当基本契約では、その割合が50.1%を下回らないとするロシュの権利を保障してお
ります。
     
ライセンス契約
ライセンス契約
  2001年12月に調印した日本包括的権利契約(Japan Umbrella Rights Agreement)により、当社
は、ロシュの日本市場における唯一の医薬品事業会社となり、ロシュが有する開発候補品の日本に
おける開発・販売について第一選択権を保有しております。
  また、2002年5月に調印した(日本、韓国を除く)世界包括的権利契約(Rest of the World
Umbrella Rights Agreement)を修正し、2014年8月に(日本、韓国、台湾を除く)改訂世界包括
的権利契約(Amended and Restated Rest of the World Umbrella Rights Agreement)を締結しま
した。これにより、ロシュは当社が有する開発候補品の海外(韓国、台湾を除く)における開発・
販売について第一選択権を保有しております。
  これらの包括契約に加え、当社とロシュは個別の製品ごとに契約を締結しております。この契約
条項及び個別の事情に基づき、第三者間取引価格の原則に沿って、以下の項目の支払が行われるこ
とがあります。
  ・第一選択権行使による製品導入時の契約一時金
  ・開発目標達成によるマイルストン
  ・売上に対するロイヤルティ
  これらの個別契約は、第三者間取引価格の原則に基づき生産・供給等についても包含する場合が
あります。
     
研究協力契約
研究協力契約
  当社とロシュは、バイオ医薬品探索及び低分子合成医薬品研究における研究協力契約を締結して
おります。

配当
 当社のロシュに対する配当は55,982百万円(前連結会計年度34,528百万円)です。




                                 ― 25 ―
                             中外製薬株式会社(4519) 2020年12月期 決算短信


b. 関連当事者との重要な取引及び債権債務
   関連当事者との重要な取引及び債権債
              引及び債権債務

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド                               (単位:百万円)
に対する取引高
に対する取引高
                          当連結会計年度               前連結会計年度
                        (自 2020年1月1日         (自  2019年1月1日
                         至 2020年12月31日)       至  2019年12月31日)
売上収益                               347,583               217,265
仕入高                                137,155               145,336

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド                               (単位:百万円)
に対する債権・債務
に対する債権・
                          当連結会計年度末             前連結会計年度末
                         (2020年12月31日)        (2019年12月31日)
営業債権及びその他の債権                       127,475               69,152
営業債務                                47,201               38,006

ジェネンテック・インコーポレーテッドに                               (単位:百万円)
対する取引高及び債務
対する取引高及び債務
                          当連結会計年度末             前連結会計年度末
                         (2020年12月31日)        (2019年12月31日)
仕入高                                 50,435               25,715
営業債務                                 2,756                2,317

 当連結会計年度より、ジェネンテック・インコーポレーテッドとの仕入取引の重要性が高まった
ため金額を記載しております。

c. 経営幹部の報酬
   経営幹部の報酬

役員報酬
役員報酬                                             (単位:百万円)
                      当連結会計年度                  前連結会計年度
                    (自 2020年1月1日             (自 2019年1月1日
                     至 2020年12月31日)           至 2019年12月31日)
取締役
 定例報酬                                 258                    298
 賞与                                   120                    120
 勤務継続型譲渡制限付株式報酬                        55                     86
 業績連動型譲渡制限付株式報酬                        84                     76
  合計                                  516                    580

監査役
 定例報酬                                  99                     96
  合計                                   99                     96

⑦後発事象
 当連結会計年度において、該当事項はありません。




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