4503 アステラス薬 2020-05-21 11:00:00
HIF-PH阻害薬ロキサデュスタット 欧州医薬品庁が販売承認申請を受理 [pdf]

                                                                            2020 年 5 月 21 日

各位
                      会        社        名   ア ス テ ラ ス 製 薬 株 式 会 社
                      代        表        者   代表取締役社長 CEO 安 川                               健 司
                                            (コード:4503、東証第一部)
                              (URL          h t t p s : / / w w w. as t e l l a s . c o m / j p / )
                      決    算    期           3月
                      問 い 合 わ せ 先           コーポレート・アドボカシー&リレーション部長
                                                                          藤井 郁乃
                                                                (Tel:03-3244-3201)


                HIF-PH 阻害薬ロキサデュスタット
              欧州医薬品庁が販売承認申請を受理
            - 成人の慢性腎臓病に伴う貧血の適応で開発 -

  アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、 FibroGen, Inc.
( NASDAQ : FGEN 、 本 社 : 米 国 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 サ ン フ ラ ン シ ス コ 、 CEO : Enrique
Conterno、以下「FibroGen 社」)と共同で開発を進めている低酸素誘導因子-プロリン水
酸化酵素( HIF-PH )阻害薬ロキサデュスタット(一般名)について、成人の慢性腎臓病
( Chronic Kidney Disease : CKD )に伴う貧血を対象として、欧州医薬品庁( European
Medicines Agency:EMA)から販売承認申請を受理した旨の通知を受領しました。

  このたびの承認申請は、全世界で 9,000 人以上の患者を対象とした複数の第 III 相試
験の良好な結果に基づいています*1-7。承認申請パッケージには、2020 年中に試験結果
を公表予定である DOLOMITES 試験も含まれております*8,9。これらの試験では、透析期
および保存期(透析導入前)の CKD に伴う貧血を有する成人患者におけるロキサデュス
タットの有効性として、目標ヘモグロビン値を達成かつ維持する一方、静注鉄剤の使用量
を減少させることが確認されました。また、CKD 患者におけるロキサデュスタットの良好な
心血管および全般的な安全性プロファイルも確認されました*1-7。

  アステラス製薬のメディカル担当役員である Bernhardt G. Zeiher, M.D.は、「このたび
の販売承認申請の受理は、ロキサデュスタットにとって重要な開発マイルストンです。CKD
は欧州で 8 人に 1 人が罹患しています。そのうち 5 人に 1 人は貧血を発症しながらも治
療を受けていない、あるいは治療対象となっていないことがあります。欧州において、ロキ
サデュスタットは、成人の CKD に伴う貧血に対する経口投与による新たな治療の選択肢
となると考えています。私たちは、この革新的な治療薬を欧州全域の患者さんに届けられ
るように、EMA と協力して取り組んでいきます」と述べています。


                                    1
  FibroGen 社の Chief Medical Officer である K. Peony Yu, M.D.は、「CKD に伴う貧血
は重大かつしばしば生命を脅かす疾患であり、大きなアンメット・メディカル・ニーズが存在
します。このたびの欧州申請および最近の FibroGen 社による米国での申請は、CKD に
伴う貧血患者を対象とした最大規模のグローバル第 III 相プログラムの良好な結果に基づ
いています。欧州における CKD の貧血患者に対する新しい治療選択肢としてのロキサ
デュスタットの可能性に期待しています」と述べてます。

  このたびの欧州における販売承認申請受理のマイルストンとして、アステラス製薬は
FibroGen 社に 1 億 3,000 万ドルを支払います。
                                                                                    以上

本販売承認申請に関する臨床試験について
受理された販売承認申請に関する臨床試験(1517-CL-0613(PYRENEES)*1, 1517-CL-0608(ALPS)*2,
FGCL-4592-060 ( ANDES ) *3, FGCL-4592-063 ( HIMALAYAS ) *4, FGCL-4592-064 ( SIERRAS ) *5,
D5740C00001(OLYMPUS)*6, D5740C00002(ROCKIES)*7, 1517-CL-0610(DOLOMITES)*8、9)の詳細に
ついては、(www.clinicaltrials.gov)をご覧ください。


慢性腎臓病(CKD)および貧血について
CKDは、腎機能が損なわれていく疾患で、高血圧、糖尿病、免疫異常による炎症等による腎臓の障害が原因
です*10。世界では、10人に1人がCKDに罹患しています*11。欧州では8人に1人がCKD患者であり*10、このうち
5人に1人が貧血に罹患しており、特に重症度の高いCKD患者(CKDステージ5)では2人に1人が貧血に罹患し
ている*12との報告があります。CKDは、2040年までに世界で若年死の最も一般的な原因の5番目になると予
測されています*13。CKDには、依然として大きなアンメット・メディカル・ニーズが存在し、世界的に重要な医療
上の課題となっています。


貧血は、CKDの初期に見られる一般的な合併症であり*14、腎機能の低下により、骨髄における赤血球の生成
を刺激するエリスロポエチンの産生が低下することで引き起こされます。貧血は、透析患者または保存期の患
者のいずれにおいても高い有病率と死亡リスクの増加が認められ、CKDの進行とともに発症率および重症度
のいずれも増加することが報告されています*15。さらに貧血は、心血管系合併症の発症リスクを高め、腎疾患
の転帰を悪化させるほか、患者さんのQOL(生活の質)にも影響を及ぼします*16-18。
現在、貧血の標準治療には、赤血球を生成する働きを促進させる赤血球造血刺激因子製剤や鉄剤が用いられ
ています。


ロキサデュスタットについて
ロキサデュスタットは、低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬であり、赤血球造血刺激因子
製剤とは異なる働きで、へモグロビン値を上昇させるファーストインクラスの経口投与による治療薬です。ロキ
サデュスタットは、HIF-PH 阻害薬として、本来、生体が低酸素状態におかれたときに持つ生理学的反応を誘導
します。すなわち、正常酸素状態においても、生体内で複数の経路を調節することで赤血球の生成を活性化し、
血液の酸素運搬能力を増強します。




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ロキサデュスタットは、日本において透析施行中の腎性貧血の治療薬として、中国において透析期および保存
期の CKD に伴う貧血の治療薬として、承認・販売されています。また、日本において保存期の CKD に伴う貧
血の適応追加が申請され、米国において透析期および保存期の CKD に伴う貧血の適応で申請されています。


アステラス製薬と FibroGen 社は、日本、欧州、独立国家共同体(CIS)、中東、南アフリカ等において上述の貧
血 患 者 を 対 象 と し た ロ キ サ デ ュ ス タ ッ ト の 開 発 ・ 商 業 化 を 共 同 で 行 っ て い ま す 。 ま た FibroGen 社 は
AstraZeneca 社と共同で、米国、中国を含む他の地域において、貧血の治療薬としてロキサデュスタットの開
発・商業化を行っています。


*1: Clinicaltrials.gov. Roxadustat in the Treatment of Anemia in End Stage Renal Disease (ESRD)
Patients on Stable Dialysis (Pyrenees) Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02278341
[Last accessed: April 2020].
*2: Clinicaltrials.gov. Roxadustat in the Treatment of Anemia in Chronic Kidney Disease Patients Not
Requiring Dialysis (ALPS). Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01887600 [Last
accessed: April 2020].
*3: Clinicaltrials.gov. A Study of FG-4592 for the Treatment of Anemia in Chronic Kidney Disease
Patients Not Receiving Dialysis. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01750190 [Last
accessed: April 2020].
*4: Clinicaltrials.gov. Safety and Efficacy Study for Treatment of Anemia in ESRD Newly Initiated
Dialysis Patients (Himalayas). Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02052310 [Last
accessed: April 2020].
*5: Clinicaltrials.gov. Evaluation of Efficacy and Safety of Roxadustat in the Treatment of Anemia in
Stable Dialysis Subjects. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02273726 [Last
accessed: April 2020].
*6: Clinicaltrials.gov. Safety and Efficacy Study of Roxadustat to Treat Anemia in Patients With Chronic
Kidney Disease (CKD), Not on Dialysis. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02174627
[Last accessed: April 2020].
*7: Clinicaltrials.gov. Safety and Efficacy Study of Roxadustat to Treat Anemia in Patients With Chronic
Kidney Disease, on Dialysis. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02174731 [Last
accessed: April 2020].
*8: Clinicaltrials.gov. Roxadustat in the Treatment of Anemia in Chronic Kidney Disease (CKD) Patients,
Not on Dialysis, in Comparison to Darbepoetin Alfa (Dolomites). Available from:
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02021318 [Last accessed: April 2020].
*9: Clinicaltrialsregister.eu. A Phase 3, Randomized, Open-Label, Active-Controlled Study to Evaluate
the Efficacy and Safety of Roxadustat in the Treatment of Anaemia in Chronic Kidney Disease Patients
Not on Dialysis. Available from: https://www.clinicaltrialsregister.eu/ctr-
search/search?query=eudract_number:2013-000951-42 [Last accessed: April 2020]
*10: Ojo A. Addressing the Global Burden of Chronic Kidney Disease Through Clinical and Translational
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                                                    3
*15: Stauffer M and Fan T. Prevalence of Anemia in Chronic Kidney Disease in the United States. PLoS
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*18: Eriksson D, Goldsmith D, Teitsson S, et al. Cross-sectional survey in CKD patients across Europe
describing the association between quality of life and anaemia. BMC Nephrol 2016;17:97.


アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、東京に本社を置き、「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」ことを経営理念
に掲げる製薬企業です。アステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。


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