4503 アステラス薬 2019-12-19 09:45:00
抗体‐薬物複合体 PADCEV 局所進行性または転移性尿路上皮がんの治療薬として米国で迅速承認プログラムに基づく承認取得 [pdf]

                                                                    2019 年 12 月 19 日

各位

                             者 代表取締役社長 CEO 安 川 健 司
                     会      社名 ア ス テ ラ ス 製 薬 株 式 会 社

                                (コード:4503、東証第一部)
                     代      表

                           (URL h t t p s : / / w w w. a s t e l l a s . c o m / j p / )
                     決    算     期 3月
                     問 い 合 わ せ 先 広報部長 緒方 スティグ
                                           (Tel:03-3244-3201)


 抗体‐薬物複合体 PADCEV™(エンホルツマブ ベドチン)
  局所進行性または転移性尿路上皮がんの治療薬として
       米国で迅速承認プログラムに基づく承認取得
  - 白金製剤および抗 PD-1/L1 抗体薬による治療歴のある局所進行性または
     転移性尿路上皮がんに対して FDA から承認を取得した初めての治療薬 -

 アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、Seattle Genetics, Inc.
(以下、「Seattle Genetics 社」)と共同で開発を進めている抗体-薬物複合体(Antibody-
Drug Conjugate: ADC)である PADCEV™(一般名:エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換
え))に関し、抗 PD-1 抗体薬または抗 PD-L1 抗体薬による治療歴があり、かつ、術前また
は術後の補助化学療法として、あるいは局所進行または転移した状態において白金製剤
による治療歴のある、局所進行性または転移性尿路上皮がんへの適応について、米国食
品医薬品局(FDA)から迅速承認プログラム(Accelerated Approval Program)に基づく承
認(以下、「迅速承認」)を取得しました。PADCEV™は、この適応に対して FDA が承認した
初めての治療薬となります。

 FDA の迅速承認は、重篤もしくは生命を脅かす疾患を対象に、臨床上の有用性を予測
できるサロゲート(代替)評価項目に基づいて医薬品を評価、承認する制度です。このたび
の PADCEV™の迅速承認は奏効率に基づいています。また、迅速承認後に実施する検証
試験において臨床的な有用性が確認されることが承認の条件となっています。現在、
PADCEV™の検証試験であり、グローバルでの承認申請を目的とした国際共同無作為化
第 III 相臨床試験(EV-301 試験)が進行中です。

 エンホルツマブ ベドチンは、ほぼ全ての尿路上皮がん細胞に発現し、細胞間の接着に
関連するタンパク質であるネクチン-4 を標的とするファーストインクラスの ADC です*1.2。尿




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路上皮がんは膀胱がん全体の 90%を占めており、腎盂、尿管および尿道にもみられます*3。
米国では毎年約 80,000 人が膀胱がんと診断されています*4。

 米 国 ニ ュ ー ヨ ー ク の Memorial Sloan Kettering Cancer Center の Jonathan E.
Rosenberg 医師は「転移性尿路上皮がんは治療選択肢が限られた深刻な疾患のひとつで
すが、PADCEV™の承認はその治療を大きく飛躍させるものです。PADCEV™の第Ⅱ相試
験では、肝臓へ転移した患者を含む、治療が困難な様々な転移性尿路上皮がん患者が組
入れられました」と述べています。

 Bladder Cancer Advocacy Network の Chief Executive Officer で あ る Andrea
Maddox-Smith は「近年、新しい尿路上皮がんの治療薬が承認されていますが、病気が進
行した尿路上皮がん患者は治療の選択肢がほとんどないという困難な状況に置かれてい
ます。FDA による PADCEV™承認は、このような尿路上皮がん患者にとって福音となるも
のです」と述べています。

 アステラス製薬は、患者さんに新たな治療選択肢を提供することで、尿路上皮がんの治
療に一層の貢献をしていきます。

 なお、日本において、エンホルツマブ ベドチンは承認申請に向けた開発段階にあります。

 本件については、米国において現地時間 12 月 18 日に対外発表しています。



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PADCEV™の迅速承認を支持するデータ
PADCEV™は、抗 PD-1 抗体薬または抗 PD-L1 抗体薬による治療歴および白金製剤による治療歴のある局
所進行性または転移性尿路上皮がん患者 125 例を対象とした第 II 相試験(EV-201 試験)のコホート 1 におい
て有効性と安全性が評価されました。本試験において、主要評価項目である独立画像判定機関により評価され
た全奏効率(ORR)は 44%(55/125 例)[95%信頼区間: 35.1‐53.2]でした。このうち、評価時点で腫瘍が検出
されなかった完全奏効率は 12%(15/125 例)、また、腫瘍の大きさまたは範囲が減少した部分奏功率は 32%
(40/125 例)でした。副次評価項目である奏効期間(DoR)の中央値は 7.6 ヵ月[95%信頼区間: 6.3‐NE]で
した。
 最も頻度の高い重篤な有害事象(患者の 3%以上に発現)は、尿路感染症(6%)、蜂巣炎(5%)、発熱性好
中球減少症(4%)、下痢(4%)、敗血症(3%)、急性腎障害(3 %)、呼吸困難(3%)、および発疹(3%)でし
た。中止に至った最も頻度の高い有害事象は末梢神経障害(6%)でした。グレードを問わず 20%以上の患者
に発現した最も頻度の高い有害事象は、疲労(56%)、末梢神経障害(56%)、食欲減退(52%)、発疹(52%)、
脱毛(50%)、悪心(45%)、味覚異常(42%)、下痢(42%)、ドライアイ(40%)、掻痒(26%)、および皮膚乾燥
(26%)でした。最も頻度の高いグレード 3 以上の副作用(患者の 5%以上に発現)は、発疹(13%)、下痢
(6%)、疲労(6%)でした。



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PADCEV™について
PADCEV™は、ほぼ全ての尿路上皮がん細胞に発現し、細胞間の接着に関連するタンパク質であるネクチン-4
を標的とするファーストインクラスの ADC です*1,2。非臨床試験データから、PADCEV™の抗腫瘍活性は、がん
細胞上で PADCEV™がネクチン-4 に結合して標的細胞内に取り込まれると細胞殺傷物質である MMAE が放
出され、細胞増殖抑制(細胞周期停止)および細胞死(アポトーシス)が生じることによることが示唆されていま
す 。 ア ス テ ラ ス 製 薬 と Seattle Genetics 社 は PADCEV™ の 共 同 開 発 を 行 っ て い ま す 。 詳 し い 情 報 は
PADCEV.com でご覧いただけます。


Seattle Genetics 社とのライセンス契約について
Seattle Genetics 社とアステラス製薬は、エンホルツマブ ベドチンの共同開発に関するライセンス契約を 2007
年に締結し、2009 年にライセンス範囲を拡大する修正契約を締結しました。この契約に基づき、全世界でのエ
ンホルツマブ ベドチンに関わる費用および利益を両社で折半します。


*1: Padcev [package insert]. Northbrook, IL: Astellas, Inc.
*2: Rosenberg JE, O’Donnell PH, Balar AV, et al. Pivotal Trial of Enfortumab Vedotin in Urothelial
Carcinoma After Platinum and Anti-Programmed Death 1/Programmed Death Ligand 1 Therapy. J Clin
Oncol 2019;37(29):2592-600.
*3: American Society of Clinical Oncology. Bladder cancer: introduction (10-2017).
https://www.cancer.net/cance r-types/bladdercancer/introduction. Accessed 05-09-2019.
*4: National Cancer Institute. Surveillance, Epidemiology, and End Results Program. Cancer stat facts:

bladder cancer. https://seer.cancer.gov/statfacts/html/urinb.html. Accessed 05-01-2019.


アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、東京に本社を置き、「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」ことを経営理念
に掲げる製薬企業です。アステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。


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