4503 アステラス薬 2019-12-03 08:00:00
AUDENTES社買収について [pdf]
AUDENTES社買収について
遺伝子治療分野でのリーディングポジション確立に向けて
2019年12月3日
アステラス製薬株式会社
代表取締役副社長 経営戦略・財務担当役員
岡村 直樹
将来見通しに関する注意事項:
本資料には、当社によるAudentes社の買収に関連する「将来予測に関する記述」が含まれています。かかる将来予測に関する記述には、合併契約に定められた本公開買付けの完了
のための条件およびその他の条件を充足する可能性を含む、Audentes社および当社が合併契約において企図された取引を完了する可能性、本取引の完了に関する日程の見通し、当
2
社によるAudentes社の買収において達成することを目指す利益に関する当社およびAudentes社の考え、予測または言及、当社およびAudentes社に対する本買収の潜在的効果、合
併契約の終了の可能性、ならびに、Audentes社の製品候補に関し予測された利益および成功、Audentes社の製品候補に関する規制当局への申請の時期および性質、Audentes社に
よる非臨床データの発表の時期、およびAudentes社の前臨床試験、臨床試験および製造活動の時期および性質が含まれますが、これらに限られません。場合によっては、将来予測に
関する記述は、「考えます」、「かもしれません」、「するでしょう」、「はずです」、「予想します」、「目標」、「戦略」、「潜在的に」、「予測します」、「継続します」、「予期します」、「意図します」、
「可能性があります」、「するであろう」、「見積もります」、「計画します」、「期待します」、「求めます」といった用語や類似の表現およびその変化形により特定される可能性があります。こう
した言葉は、将来予測に関する記述を特定することを意図するものです。当社およびAudentes社は、かかる将来予測に関する記述にあたり、当社およびAudentes社の財務状況、事業
運営の結果、事業戦略、短期および長期の事業運営、目標ならびに財務的な必要性に影響を与える可能性があると考える将来の出来事および傾向に関する現在の予測および見積り
を基礎としていますが、かかる予測および見積りが将来において正確である保証はありません。
過去の事実に関する記述以外のすべての記述は、将来予測に関する記述とみなされる可能性がある記述です。本公開買付けおよびその後の合併の時期に関する不確実性に起因する
リスク、どれだけのAudentes社の株主が本公開買付けに応募するかに関わる不確実性、競合する公開買付けまたは買収提案がなされるリスク、合併および本公開買付けの完了に関
する様々な条件が充足または放棄されない可能性、合併契約において企図された取引によるAudentes社の事業の混乱や、本取引が公表され、継続中であるという事実が従業員、サプ
ライヤーその他の取引先との関係性を確立し、または維持することをより困難にする可能性、ならびに、本公開買付けおよび合併に関する株主訴訟により、多額の防御費用、補償責任
および債務が生じるリスク等のため、実際の結果と現在の予測の間に重大な差異が生じる可能性があります。さらに、当社およびAudentes社は非常に競争が激しく、急速に変化してい
る環境において事業を営んでおり、随時新たなリスクが生じます。当社およびAudentes社は、かかる将来予測に関する記述における予測が合理的であると考えていますが、将来の出来
事、結果、行動、活動の水準、業績および成果、事業および市場の状況、バイオテクノロジーの進展および潜在的な規制当局の承認のタイミングおよび結果、ならびに本取引の完了の
条件が予測された日程において、またはそもそも充足されるか否かを保証することはできません。将来予測に関する記述は、SECに提出され、SECのウェブサイト(www.sec.gov)にお
いて入手可能なAudentes社の 2018 年 12 月 31 日に終了する年度の年次報告書Form 10-Kおよび2019年9月30日に終了した四半期に関する四半期報告書Form 10-Qにおける「リ
スクファクター」および「経営者による財務状況・経営成績の分析」の章に記載されたリスクおよび不確実性を含む、Audentes社の事業に関連するリスクおよび不確実性の影響も受けま
す。また、上記およびAudentes社の他のSECへの届出において記述されたリスクに加え、他の未知の、または予測ができない要因がAudentes社の業績に影響を与える可能性があり
ます。将来予測に関する記述は、保証されるものではなく、また、実際の結果はかかる記述と重大に異なる可能性があります。本資料に含まれる情報は、本日限りにおいて提供されるも
のであり、いずれの当事者も、法律により要求される場合を除いては、本日以降の出来事や状況を反映するため将来予測に関する記述を修正し、または更新する義務を負いません。
重要な追加情報:
Audentes社の発行済普通株式の公開買付けは、まだ開始されておりません。本資料は、情報提供のみを目的としており、Audentes社株式の買付けの応募または売付けの募集を勧誘
するものではなく、当社または公開買付者が本公開買付開始にあたり、SECに届出る公開買付関連書類に代替するものではありません。本公開買付けが開始される際には、当社は
SECに対して Schedule TO により公開買付けの旨を届出し、その後、Audentes社は、本公開買付けに関するSchedule 14D-9 による意見表明書を届出る予定です。公開買付届出書
(買付提案、送達状、その他の関連公開買付文書を含む。)および本公開買付けに対する意見表明書は、Audentes社の株主が、本公開買付けに関するいかなる決定をされる前に注
意深く熟読し検討されるべき重要な情報を含んでおります。公開買付届出書と意見表明書の両方は、Audentes社の株主に無料で送付される予定です。Audentes社の全株主は、公開
買付届出書と意見表明書に関して、メール ir@audentestx.com、または電話 (415) 818-1033によりAudentes社へ問い合わせることで無料のコピーが入手可能です。加えて、公開買
付届出書、送達状、その他の関連公開買付け文書と意見表明書(およびSEC に届出されるその他すべての文書)は SEC のウェブサイト www.sec.govにおいて、届出され次第無料で
入手可能です。これらの書類に加えて、Audentes社は、年次報告書、四半期報告書、現状報告書、その他書類をSECに提出しています。これらのSECへの報告書は、SEC のウェブサ
イト www.sec.govにおいて、無料で入手可能です。さらに、意見表明書、その他のAudentes社によってSECに届出される書類はAudentes社の全株主が
http://investors.audentestx.com/sec-filingsにおいて無料で入手可能です。
Audentes社の株主は、Schedule TO および Schedule 14D-9 (それぞれ随時改定または補足される場合があります)、ならびに SEC に提出されたその他の関連文書を、これらの資
料には当該取引および当事者の重要な情報、ならびにAudentes社の普通株主が本公開買付けへの応募に関する決定をするに先立ち検討するべき重要な情報が含まれるので、閲覧
可能となった時点で、本公開買付けに関するいかなる決定をされる前に、注意深く熟読されることをお勧め致します。
アジェンダ 3
I 買収の概要
II Audentes社の概要
III 買収の戦略的意義
買収の概要 4
対象会社 • Audentes Therapeutics, Inc. (サンフランシスコ)
NASDAQ上場
買収価格 • 一株あたり60.00米ドル(現金)
• 2019年12月2日終値28.61 米ドルに対して110%のプレミアム
買収総額* • 約30億米ドル
買収の方法 • 米国持株子会社アステラス US ホールディング Inc.の100%子会社であ
るAsilomar Acquisition Corp.を通じて、Audentes社に対する株式公開
買付けを予定
買収資金の調達 • ブリッジファイナンスとして既存の融資枠を活用した資金調達を予定
その他 • 本件取引は、両社の取締役会の全会一致により承認済み
• 本公開買付けは、米国独占禁止法に基づく承認、およびAudentes社の
発行済普通株式の 50%超の株式が応募されること、その他同種の取引
に通常規定される各種条件を満たすことを前提に、2020年の第1暦四半
期に買収完了予定
*Audentes社の全発行済株式の買付け、オプション、Restricted Stock Unit等その他証券に関する支払いを行うために要する金額
アジェンダ 5
I 買収の概要
II Audentes社の概要
III 買収の戦略的意義
会社概要 6
Audentes社
本社:カリフォルニア州サンフランシスコ
2012年設立、2016年7月にNASDAQ上場
希少神経筋疾患を対象に、 AAV(アデノ随伴ウイルス)を用いた遺伝子治療薬
を開発するバイオテクノロジー企業
経験豊富な経営陣
従業員数 270名(うち220名が研究開発・製造に従事)
遺伝子治療における成功要因 7
卓越したAudentes 社のケイパビリティ
Audentes社のノウハウやプラッ
トフォームを裏付ける臨床での
有効性が確認された
リードプログラム
AT132: XLMTMを対象に
第Ⅰ/Ⅱ相試験進行中
大規模製造能力
AAV技術プラットフォーム
複雑な製造工程をシームレスに
つなぐGMPに準拠した製造施設が 遺伝子治療薬の効率的な開発を
可能にする独自の薬物デザイン、
機動的な研究開発活動に不可欠
製造および開発能力
AT132の商業用製造に向け
準備進行中
XLMTM: X染色体連鎖性ミオチュブラー・ミオパチー, AAV: アデノ随伴ウイルス
GMP: 医薬品等の製造管理および品質管理に関する基準
AT132の概要 8
AAV8キャプシドおよびデスミンプロモーターを使用
製品概要 単回・全身投与
ミオチュブラリン酵素をコードするMTM1遺伝子を筋細胞へ導入
X染色体連鎖性の疾患で、MTM1遺伝子の機能欠損変異が原因
希少疾患に該当し、生後18ヶ月時点の推定生存率は約50%
XLMTM 80%以上の患者が人工呼吸器による補助を要する
運動機能の発達が大幅に遅滞
現在、治療法は存在せず、支持療法のみ行われている
米国食品医薬品局(FDA)からRMAT指定、希少小児疾患
指定、ファストトラック指定、およびオーファンドラッグ指定を獲得
薬事関連 欧州医薬品庁(EMA)からPRIME指定及びオーファンドラッグ
指定を獲得
最速でBLA申請を2020年中頃、 MAA申請を2020年後半に予定
XLMTM : X染色体連鎖性ミオチュブラー・ミオパチー
RMAT: 再生医療先進治療指定、 BLA: 生物学的製剤承認申請(米国)、MAA: 医薬品販売承認申請(欧州)
AT132 第Ⅰ/Ⅱ相 ASPIRO試験概要 9
男性被験者(5歳未満)
組入基準 遺伝子検査により確定診断されたXLMTM患者
人工呼吸器による呼吸補助が必要な患者
安全性及び忍容性
評価項目 神経筋機能: CHOP INTENDスコア、発達マイルストンにより評価
呼吸器機能: 最大吸気圧と補助人工呼吸器依存時間により評価
コホート 1: 1 x 1014 vg/kg(AT132投与群 6例/遅延コントロール群1例)
投与量
コホート 2: 3 x 1014 vg/kg (AT132投与群 6例/遅延コントロール群1例)
XLMTM : X染色体連鎖性ミオチュブラー・ミオパチー
CHOP INTEND:フィラデルフィア小児病院乳児神経筋疾患検査
AT132 第Ⅰ/Ⅱ相 ASPIRO試験 10
AT132投与患者は、「自力で立つ」「補助ありで歩く」もしくは「自力で歩く」の
いずれかの発達マイルストンを達成
患者
矢印の長さは試験への
参加期間を示す
AT132投与後に達成された
発達マイルストン
30秒間補助なしで座る
寝返りを打つ
自力で立つ
補助ありで歩く
自力で歩く
ベースラインでのマイルストン
達成状況
30秒間補助なしで座ることが
できる
いずれのマイルストンも達成で
きていない
患者年齢 (年)
No.2の患者のみベースライン時点で30秒間補助なしで座ることが可能
No.3の患者はハロー牽引装具を装着しているため評価不能 2019年8月7日時点での中間データ
10月1日-5日に開催された第24回世界筋学会年次大会で
発表されたデータを参照
AT132 第Ⅰ/Ⅱ相 ASPIRO試験 11
AT132投与患者において、早期かつ持続的なCHOP INTENDスコアの改善を確認
神経筋機能(CHOP-INTENDスコア)
CHOP INTENDスコアのベースラインから
AT132投与群(N=10)
コントロール群(N=2)
の変化(LS平均)
ベースラインにおける平均(標準偏差)CHOP INTENDスコア:37.3(7.0)
投与48週時点における平均(標準偏差)CHOP INTENDスコア:55.1(9.6)
ベースラインにおける患者年齢の中央値(最小値、最大値):2.48(0.8、6.8)
ASPIRO試験のベースラインからの経過週数
2019年8月7日時点での中間データ
CHOP INTEND:フィラデルフィア小児病院乳児神経筋疾患検査 10月1日-5日に開催された第24回世界筋学会年次大会で
LS:反復測定分散分析に基づく最小二乗平均、縦線は標準誤差を示す 発表されたデータを参照
AT132 第Ⅰ/Ⅱ相 ASPIRO試験 12
AT132投与患者において、補助人工呼吸器の平均依存時間で、1日当たり20時間
程度の大幅な削減を達成
ベースライン:
12時間超の 補助人工呼吸器への依存
補助人工
呼吸器依存
1日における補助人工呼吸器依存
AT132投与群(N=10)
時間の減少(時間) (LS平均)
コントロール(患者4)
コントロール(患者11)
ASPIRO試験のベースラインからの経過週数
2019年8月7日時点での中間データ
10月1日-5日に開催された第24回世界筋学会年次大会で
LS:反復測定分散分析に基づく最小二乗平均、縦線は標準誤差を示す 発表されたデータを参照
AT132 第Ⅰ/Ⅱ相 ASPIRO試験 13
AT132投与患者において、投与4週時点で最大吸気圧(MIP)の増加を確認
呼吸器機能(MIP)
AT132投与群(N=10)
コントロール(N=2)
MIPのベースラインからの変化
(cm H2O)(LS平均)
ベースラインにおける平均(標準偏差)MIP:29.4 cmH2O(13.7)
投与48週時点における平均(標準偏差)MIP:67.7 cmH2O(23.2)
ASPIRO試験のベースラインからの経過週数
2019年8月7日時点での中間データ
10月1日-5日に開催された第24回世界筋学会年次大会で
LS:反復測定分散分析に基づく最小二乗平均、縦線は標準誤差を示す 発表されたデータを参照
筋肉は眼の10,000倍の投与量が必要 14
商業用の大規模製造能力を確立することで、
高投与量が必要になる神経筋疾患を対象とする治療薬開発が可能となる
標的組織
遺伝子治療薬の用量(vg)
眼 (部分標的)
1x1011 vg
脳 (部分標的)
眼の10倍の投与量
肝臓 (全身投与)
眼の1,000倍の投与量
筋肉 (全身投与)
眼の10,000倍の投与量
Adapted from https://www.nature.com/articles/d42473-018-00307-6
多品目開発を可能とする一貫した製造施設 15
治験薬の供給: AT132の商業用製造:
治験薬をシームレスに提供できる Audentes社独自のノウハウにより
自社製造能力 大規模製造が可能
プロセス開発
プラスミド 治験薬
& 商業用製造
製造 製造
分析法開発
AAVに基づく遺伝子治療 16
AAV外殻
(キャプシド)
導入遺伝子を
標的細胞に送達
導入遺伝子
患者の標的細胞に
おいて特異的に機能
する治療遺伝子
アデノ随伴ウイルス(AAV)
AAVプラットフォーム + 導入遺伝子
AAV8は、導入遺伝子を標的細胞へと送達するAudentes社の指向するAAVセロタイプ
Audentes社の遺伝子治療に関する独自のノウハウを活かし、神経筋疾患を
対象とする革新的な新規プログラムの迅速な開発が可能
AUDENTES社のパイプライン 17
希少神経筋疾患を対象にAAVに基づく遺伝子治療薬を開発
コード 疾患 導入遺伝子 MOA 開発段階
AT132 XLMTM MTM1 • 第Ⅰ/Ⅱ相試験実施中
AT845 ポンぺ病 GAA • 前臨床段階
AT702 DMD Exons 2, 1-5 調節因子 • 前臨床段階
AT751 DMD Exon 51 調節因子 • 前臨床段階
AT753 DMD Exon 53 調節因子 • 前臨床段階
AT466 DM1 DMPK 調節因子 • 前臨床段階
遺伝子置換 ベクターを用いたエクソンスキッピング療法 ベクターを用いたRNAノックダウン
XLMTM: X染色体連鎖性ミオチュブラー・ミオパチー DM1: 筋強直性ジストロフィー タイプ1
DMD: Duchenne型筋ジストロフィー
アジェンダ 18
I 買収の概要
II Audentes社の概要
III 買収の戦略的意義
遺伝子治療: 第5のPRIMARY FOCUS 19
遺伝子治療を新たなPrimary Focusとして位置付ける
Primary Focus
+ 遺伝子治療 がん免疫
ミトコンドリア
バイオロジー
自社研究開発 再生と ASIM
視力の維持・回復 バイオロジー
外部アセットの獲得
Harvard
Medical
School
ASIM: 抗原特異的免疫調節
両社の強みを融合させることで、多様な疾患への 20
応用が可能
モダリティ (Audentes社)
バイオロジー ライセンス、 最終製品の
プロセス開発、製造 患者
エンジニアリング 最適化
(Audentes社+アステラス)
希少神経筋疾患
遺伝子置換
Gene Replacement
Audentes社
AAV
遺伝子調節
コア
プラットフォーム
自社プログラム
一般的な疾患
アステラス
外部提携で獲得した次世代技術
キャプシド改変
への応用
+ 非公開の提携パートナー
https://www.nature.com/articles/d42473-018-00307-6
AUDENTES社買収:サマリー 21
Audentes社の買収は、遺伝子治療分野でのリーディングポジション確立に向けた重要なステップ
+
遺伝子治療薬を迅速に患者さんのもとに届けるための補完的な技術
プラットフォームとケイパビリティを構築し、遺伝子治療のPrimary Focusを
新たな成長領域へと進化させる
遺伝子治療のアプローチにより、アンメットメディカルニーズに応える革新的な
遺伝子治療薬を創出する
変化する医療の最先端へ