4503 アステラス薬 2019-04-25 12:00:00
2018年度 決算短信 [IFRS](連結) [pdf]
2019年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
2019年4月25日
上 場 会 社 名 アステラス製薬株式会社 上場取引所 東
コ ー ド 番 号 4503 URL https://www.astellas.com/jp/
代 表 者 (役職名) 代表取締役社長CEO (氏名) 安川 健司
問合せ先責任者 (役職名) 広報部長 (氏名) 緒方 スティグ (TEL) 03(3244)3201
定時株主総会開催予定日 2019年6月18日 配当支払開始予定日 2019年6月19日
有価証券報告書提出予定日 2019年6月18日
決算補足説明資料作成の有無:有
決算説明会開催の有無 :有 (証券アナリスト・機関投資家・報道機関向け)
(百万円未満四捨五入)
1.2019年3月期の連結業績(2018年4月1日~2019年3月31日)
(1)連結経営成績 (%表示は対前期増減率)
親 会 社 の 所 有 者 に 当期包括利益
売 上 収 益 営 業 利 益 税 引 前 利 益 当 期 利 益
帰 属 す る 当 期 利 益 合 計 額
百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 %
2019年3月期 1,306,348 0.5 243,912 14.4 248,967 14.1 222,265 35.0 222,265 35.0 222,250 11.9
2018年3月期 1,300,316 △0.9 213,258 △18.2 218,113 △22.6 164,679 △24.7 164,679 △24.7 198,539 13.7
基本的1株当たり 希薄化後1株当たり 親会社所有者帰属持分 資 産 合 計 売 上 収 益
当 期 利 益 当 期 利 益 当 期 利 益 率 税 引 前 利 益 率 営 業 利 益 率
円 銭 円 銭 % % %
2019年3月期 115.05 114.94 17.6 13.3 18.7
2018年3月期 81.11 81.02 13.0 11.9 16.4
(参考)持分法による投資損益 2019年3月期 △1,627百万円 2018年3月期 △2,419百万円
(2)連結財政状態
親会社の所有者に 親 会 社 所 有 者 1株当たり親会社
資 産 合 計 資 本 合 計
帰 属 す る 持 分 帰 属 持 分 比 率 所有者帰属持分
百万円 百万円 百万円 % 円 銭
2019年3月期 1,897,648 1,258,396 1,258,396 66.3 667.29
2018年3月期 1,858,205 1,268,289 1,268,289 68.3 641.80
(3)連結キャッシュ・フローの状況
営 業 活 動 に よ る 投 資 活 動 に よ る 財 務 活 動 に よ る 現 金 及 び 現 金 同 等 物
キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 期 末 残 高
百万円 百万円 百万円 百万円
2019年3月期 258,630 △41,757 △233,681 311,074
2018年3月期 312,614 △121,799 △203,429 331,731
2.配当の状況
年 間 配 当 金 親会社所有者
配当金総額 配 当 性 向
第 1 四 半 第 2 四 半 第 3 四 半 帰属持分配当
期 末 合 計 ( 合 計 ) ( 連 結 )
期 末 期 末 期 末 率(連結)
円 銭 円 銭 円 銭 円 銭 円 銭 百万円 % %
2018年3月期 - 18.00 - 18.00 36.00 72,146 44.4 5.7
2019年3月期 - 19.00 - 19.00 38.00 72,377 33.0 5.8
2020年3月期(予想) - 20.00 - 20.00 40.00 41.4
3.2020年3月期の連結業績予想(2019年4月1日~2020年3月31日)
(%表示は対前期増減率)
親 会 社 の 所 有 者 に 基本的1株当たり
売 上 収 益 営 業 利 益 税 引 前 利 益 当 期 利 益
帰 属 す る 当 期 利 益 当 期 利 益
百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 % 円 銭
通 期 1,224,000 △6.3 229,000 △6.1 230,000 △7.6 182,000 △18.1 182,000 △18.1 96.51
コアベースでの連結業績予想は次の通りです。
(%表示は対前期増減率)
基 本 的 1 株 当 た り
売 上 収 益 コ ア 営 業 利 益 コ ア 当 期 利 益
コ ア 当 期 利 益
百万円 % 百万円 % 百万円 % 円 銭
通 期 1,224,000 △6.3 240,000 △13.8 194,000 △22.2 102.87
(注)当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。コアベースの業績の定義につきましては、添付資
料P.2に記載しています。
※ 注記事項
(1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動):無
(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更
① IFRSにより要求される会計方針の変更:有
② ①以外の会計方針の変更 :無
③ 会計上の見積りの変更 :無
(3)発行済株式数(普通株式)
① 期末発行済株式数(自己株式を含む) 2019年3月期 1,979,823,175株 2018年3月期 2,068,823,175株
② 期末自己株式数 2019年3月期 93,986,348株 2018年3月期 92,670,766株
③ 期中平均株式数 2019年3月期 1,931,882,225株 2018年3月期 2,030,203,902株
(参考)個別業績の概要
1.2019年3月期の個別業績(2018年4月1日~2019年3月31日)
(1)個別経営成績 (%表示は対前期増減率)
売 上 高 営 業 利 益 経 常 利 益 当 期 純 利 益
百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 %
2019年3月期 607,321 △1.0 72,685 - 209,721 △26.6 178,679 △39.8
2018年3月期 613,657 △2.6 △13,490 - 285,690 112.9 296,818 115.4
1 株 当 た り 潜 在 株 式 調 整 後
当 期 純 利 益 1株当たり当期純利益
円 銭 円 銭
2019年3月期 92.49 92.40
2018年3月期 146.20 146.04
(2)個別財政状態
総 資 産 純 資 産 自 己 資 本 比 率 1 株 当 た り 純 資 産
百万円 百万円 % 円 銭
2019年3月期 1,233,286 565,624 45.8 299.34
2018年3月期 1,183,646 612,379 51.6 309.14
(参考)自己資本 2019年3月期 564,497百万円 2018年3月期 610,903百万円
※ 決算短信は公認会計士又は監査法人の監査の対象外です
※ 業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
(将来に関する記述等についてのご注意)
上記の予想及び添付資料に含まれる将来に関する記述は、本資料発表日現在において入手可能な情報及び将来の業績に影響を与える不確
実な要因に係る本資料発表日現在における仮定を前提としており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。実際の業績
等は、今後様々な要因によって大きく異なる可能性があります。なお、業績予想に関する事項は、添付資料P.15をご覧ください。
(決算補足資料及び決算説明会内容の入手方法)
決算短信の開示とあわせて決算補足資料及び決算説明会資料を開示しています。
また、2019年4月25日(木)に証券アナリスト・機関投資家・報道機関向けに決算説明会を開催する予定です。この決算説明会の音声に
ついては、開催後速やかに当社ホームページに掲載する予定です。
アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
○添付資料の目次
1.経営成績等の概況 ……………………………………………………………………………………………………… 2
(1)当期の経営成績の概況 …………………………………………………………………………………………… 2
(2)財政状態に関する説明 …………………………………………………………………………………………… 13
(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明 ……………………………………………………………… 15
(4)キャピタルアロケーションに関する基本方針及び当期・次期の配当 ……………………………………… 19
(5)事業等のリスク …………………………………………………………………………………………………… 19
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方 …………………………………………………………………………… 21
3.連結財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………………………… 22
(1)連結純損益計算書 ………………………………………………………………………………………………… 22
(2)連結包括利益計算書 ……………………………………………………………………………………………… 23
(3)連結財政状態計算書 ……………………………………………………………………………………………… 24
(4)連結持分変動計算書 ……………………………………………………………………………………………… 26
(5)連結キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………………………………………… 28
(6)連結財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………………………… 29
(継続企業の前提に関する注記) ………………………………………………………………………………… 29
(会計方針の変更) ………………………………………………………………………………………………… 29
(企業結合) ………………………………………………………………………………………………………… 31
(事業セグメント) ………………………………………………………………………………………………… 36
(1株当たり当期利益) …………………………………………………………………………………………… 38
(重要な後発事象) ………………………………………………………………………………………………… 38
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
1.経営成績等の概況
(1) 当期の経営成績の概況
① 当期の連結業績の概況
<連結業績(コアベース(注))>
当期(2018年4月1日から2019年3月31日)の連結業績(コアベース)は下表
の通りです。売上収益、コア営業利益、コア当期利益はいずれも増加しました。
[連結業績(コアベース)] (単位:百万円)
前期 当期 増減額
(2018 年3月期) (2019 年3月期) (増減率)
+6,032
売 上 収 益 1,300,316 1,306,348
(+0.5%)
△2,200
売 上 原 価 294,250 292,050
(△0.7%)
販 売 費 及 び +11,933
478,330 490,263
一 般 管 理 費 (+2.5%)
△12,099
研 究 開 発 費 220,781 208,682
(△5.5%)
△626
無 形 資 産 償 却 費 35,838 35,212
(△1.7%)
+791
持分法による投資損益 △2,419 △1,627
( - )
+9,816
コ ア 営 業 利 益 268,698 278,514
(+3.7%)
+45,017
コ ア 当 期 利 益 204,326 249,343
(+22.0%)
基本的1株当たり +28.42
100.64 129.07
コア当期利益(円) (+28.2%)
(注)当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該
コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として
除外したものです。調整項目には、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリン
グ費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、会社が除外す
べきと判断する項目が含まれます。なお、フルベースの実績からコアベースの実績への調整
表は、決算補足資料の43ページに記載しています。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
【売上収益】
売上収益は1兆3,063億円(前期比0.5%増)となりました。
・ 前立腺がん治療剤 XTANDI/イクスタンジのほか、ベシケアとベタニス/ミラベトリック/ベッ
トミガを合わせた過活動膀胱(OAB)治療剤の売上が拡大しました。また、免疫抑制剤プ
ログラフの売上は減少しました。
【コア営業利益/コア当期利益】
・ 売上総利益は、1兆143億円(同0.8%増)となりました。売上原価率は、製品構成
の変化等により前年同期に比べ0.3ポイント低下し、22.4%となりました。
・ 販売費及び一般管理費は、4,903億円(同2.5%増)となりました。引き続き、経
費の効率的な使用やリソース配分の最適化を推進しましたが、XTANDI に係る米国での
共同販促費用が増加しました。
・ 研究開発費は、重点後期開発品や新たな領域・技術への投資拡充に伴う費用等が増加し
た一方、2018年3月までにアジェンシス社の研究活動を終了したことなどから、
2,087億円(同5.5%減)となりました。売上収益研究開発費比率は、前年同期に
比べ1.0ポイント減少し、16.0%となりました。
・ 無形資産償却費は、352億円(同1.7%減)となりました。
以上の結果、コア営業利益は2,785億円(同3.7%増) コア当期利益は2,493億
、
円(同22.0%増)となりました。
【為替の業績への影響】
当期の為替レートは、下表の通りです。これらの結果、前期の為替レートを適用した場合
と比べ、売上収益においては46億円の減少、コア営業利益においては3億円の減少の影
響がありました。
期中平均レート 前期 当期 変動
米ドル/円 111 111 0円安
ユーロ/円 130 128 1円高
期首・期末の変動 前期 当期
米ドル/円 6円高 5円安
ユーロ/円 11円安 6円高
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2019年3月期 決算短信
<連結業績(フルベース)>
当期の連結業績(フルベース)は下表の通りです。売上収益、営業利益、税引前利益、当
期利益はいずれも増加しました。
フルベースの業績には、コアベースの業績で除外される「その他の収益」「その他の費
、
用」(減損損失、為替差損等)等が含まれます。
「その他の収益」として、アジェンシス社に係る有形固定資産売却益に加え、ポテンザ社
の買収に伴い、買収前から保有していた同社株式を再評価した結果、評価益を計上しまし
た。また、
「その他の費用」として、国内事業再編等に伴うリストラクチャリング費用のほ
か、訴訟関係費用、開発プロジェクトの中止に伴う減損損失等を計上しました。
これらの結果、
「その他の収益」は142億円(前年同期:119億円)、
「その他の費用」
は488億円(前年同期:673億円)となりました。
[連結業績(フルベース)] (単位:百万円)
前期 当期 増減額
(2018 年3月期) (2019 年3月期) (増減率)
+6,032
売 上 収 益 1,300,316 1,306,348
(+0.5%)
+30,653
営 業 利 益 213,258 243,912
(+14.4%)
+30,854
税 引 前 利 益 218,113 248,967
(+14.1%)
+57,586
当 期 利 益 164,679 222,265
(+35.0%)
基本的1株当たり +33.94
81.11 115.05
当 期 利 益 ( 円 ) (+41.8%)
+23,710
包 括 利 益 198,539 222,250
(+11.9%)
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
【主要製品の売上】
(単位:億円)
前期 当期
増減率
(2018 年3月期) (2019 年3月期)
XTANDI/イクスタンジ 2,943 3,331 +13.2%
泌尿器 OAB 製品 2,281 2,422 +6.2%
ベシケア 1,023 950 △7.2%
ベタニス/ミラベトリック
1,257 1,472 +17.0%
/ベットミガ
プログラフ* 1,985 1,957 △1.4%
*プログラフ:アドバグラフ、グラセプター、アスタグラフ XL を含む
◇ XTANDI/イクスタンジ
・ 売上は3,331億円(前年同期比13.2%増)となりました。日本、米州、EMEA*及
びアジア・オセアニアの全ての地域で売上が拡大しました。
◇ 泌尿器 OAB 製品
・ ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの売上は1,472億円(同17.0%増)とな
りました。日本、米州、EMEA 及びアジア・オセアニアの全ての地域で売上が増加しま
した。また、ベシケアの売上は950億円(同7.2%減)となりました。
◇ プログラフ
・ 売上は1,957億円(同1.4%減)となりました。アジア・オセアニアで伸長した一
方で、それ以外の地域の売上は減少しました。
◇ その他の新製品・主要製品の状況
・ 日本では、2型糖尿病治療剤スーグラが2018年5月に発売したスージャヌ配合錠と
合わせて売上が増加したことに加え、高コレステロール血症治療剤レパーサ、慢性便秘
症治療剤リンゼスなどが引き続き伸長しました。
・ 米州では、アゾール系抗真菌剤クレセンバの売上が拡大しました。
・ 2018年12月に日本と米国において、再発又は難治性の FLT3 遺伝子変異陽性の急
性骨髄性白血病治療薬として FLT3 阻害剤ゾスパタを発売しました。また、2019年
3月に日本において、骨粗鬆症治療剤イベニティを発売しました。
*EMEA:欧州、中東及びアフリカ
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2019年3月期 決算短信
【地域別売上収益の状況】
地域別の売上収益は下表の通りです。米州、アジア・オセアニアは増加、日本、EMEA は
減少しました。
このうち日本は、2018年4月に実施された薬価改定の影響に加え、高血圧治療剤ミ
カルディス等の長期収載品が後発医薬品の影響を受けました。
(単位:億円)
前期 当期
増減率
(2018年3月期) (2019年3月期)
日本 4,212 3,966 △5.8%
米州 4,333 4,615 +6.5%
EMEA 3,438 3,403 △1.0%
アジア・オセアニア 1,020 1,079 +5.8%
※地域別売上収益については売上元会社の所在地に基づき集計しています。
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2019年3月期 決算短信
② その他
当社は、2018年5月に公表した「経営計画2018」において、
「製品価値の最大化と
Operational Excellence の更なる追求」 「Rx+TM プログラム
「Focus Area アプローチによる価値創造」
への挑戦」の3つを戦略目標として掲げ、中長期にわたる持続的な成長に向けた取り組みを進め
ています。
当期における主な取り組みは以下のとおりです。
◇製品価値の最大化と Operational Excellence の更なる追求
前立腺がん治療剤 XTANDI/イクスタンジや過活動膀胱(OAB)治療剤ベタニス/ミラベトリッ
ク/ベットミガ等、当社の成長をけん引する製品の育成と製品価値の最大化に取り組みました。
・ XTANDI/イクスタンジについては、泌尿器科医への一層の浸透を図るとともに、発売後に蓄積
した臨床経験に基づく豊富なデータを活用し、第一選択薬としての地位の確立に取り組みまし
た。また、適応症の追加取得により、より早期の前立腺がん患者層への浸透を図りました。
・ 泌尿器 OAB 製品においては、2019年以降のベシケアの独占販売期間の満了による影響の軽
減を目指し、ベタニス/ミラベトリック/ベットミガのプロモーションに注力しました。ベタ
ニス/ミラベトリック/ベットミガの特徴である有効性と忍容性のバランスを訴求することに
より、マーケットシェアの拡大に取り組みました。また、米国においてはベシケアとの併用に
ついて、2018年5月に承認を取得しました。
これらの製品に加え、2020年度以降の成長を支える6つの重点後期開発品にも優先的に経営
資源を振り向け、着実に開発を進めました。
・ 前立腺がん治療剤 XTANDI/イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)に関し、追加剤形である
イクスタンジ錠を日本において2018年6月に発売しました。また、第3相 PROSPER 試験
のデータに基づき、米国において同年7月に非転移性去勢抵抗性前立腺がんへの追加適応の承
認を取得し、欧州において同年10月にハイリスクの非転移性去勢抵抗性前立腺がんへの追加
適応の承認を取得しました。このほか、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者を対象とした第
3相 ARCHES 試験において、画像診断による無増悪生存期間を有意に延長し、主要評価項目を
達成しました。
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2019年3月期 決算短信
・ 選択的 FLT3 阻害剤ゾスパタ(一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)に関し、
「再発又は難治性
の FLT3 遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」の適応症について、日本において2018年9月
に、米国において同年11月に、それぞれ承認を取得し、両国において同年12月に発売しま
した。また、同適応症について欧州において2019年2月に承認申請しました。
・ 経口投与が可能な低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬ロキサデュスタット(一般名、開
発コード:ASP1517/FG-4592)に関し、透析期の慢性腎臓病に伴う貧血の適応症について、日
本において2018年9月に承認申請を行いました。また、欧州での申請に向けた6つの第3
相試験の全てにおいて、主要評価項目を達成しました。
・ これらの進展に加え、選択的ニューロキニン 3(NK3)受容体拮抗薬 fezolinetant(一般名、開発
コード:ESN364)に関し、更年期に伴う血管運動神経症状患者を対象とした後期第2相試験に
おいて、4つの主要評価項目を全て達成したほか、抗体-薬物複合体エンホルツマブ ベドチン
(一般名、開発コード:ASG-22ME)に関し、局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象
とした第2相試験のうち、白金製剤による化学療法及び免疫チェックポイント阻害剤による治
療歴のある患者群において、良好な結果が得られました。また、抗 Claudin18.2 モノクローナル
抗体 zolbetuximab(一般名、開発コード:IMAB362)に関して、胃腺がん及び食道胃接合部腺が
ん患者を対象とした第3相試験を開始しました。
その他、日本において、以下の承認取得、新発売等がありました。
・ MSD 株式会社が製造販売する選択的 DPP-4 阻害剤ジャヌビア(一般名:シタグリプチンリン酸
塩水和物)と当社が製造販売する選択的 SGLT2 阻害剤スーグラ(一般名:イプラグリフロジン
L-プロリン)の配合剤である2型糖尿病治療剤スージャヌ配合錠を2018年5月に発売しま
した。
・ 高コレステロール血症治療剤レパーサ(一般名:エボロクマブ(遺伝子組換え)
)に関し、共同
開発会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が、高コレステロール血症
におけるスタチン不耐性患者を対象とした一部変更承認申請を2018年8月に行いました。
・ 便秘型過敏性腸症候群治療剤リンゼス(一般名:リナクロチド)に関し、
「慢性便秘症(器質的
疾患による便秘を除く)
」の追加適応症について、2018年8月に承認を取得しました。
・ 経口大環状抗菌剤ダフクリア(一般名:フィダキソマイシン)に関し、
「感染性大腸炎(偽膜性
大腸炎を含む) の適応症について、
」 2018年7月に承認を取得し、同年9月に発売しました。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
・ 抗悪性腫瘍剤/二重特異性抗体製剤ビーリンサイト(一般名 ブリナツモマブ
: (遺伝子組換え)
)
「再発又は難治性の B 細胞性急性リンパ性白血病」の適応症について、共同開発会社で
に関し、
あるアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が2018年9月に承認を取得したこ
とを受け、同年11月に発売しました。
・ 関節リウマチ治療剤シムジア(一般名:セルトリズマブ ペゴル(遺伝子組換え)
)の追加剤形
であるシムジア皮下注 200mg オートクリックスを2018年11月に発売しました。
・ 2 型糖尿病治療剤スーグラ(一般名:イプラグリフロジン L-プロリン)に関し、
「1型糖尿病」
の追加適応症及び用法・用量の追加について、2018年12月に承認を取得しました。
・ 前立腺がん治療剤ゴナックス(一般名:デガレリクス酢酸塩)に関し、維持用量を12週間間
隔で投与する用法・用量追加の一部変更承認及びその用法・用量で用いるゴナックス皮下注用
240 mg の承認(剤形追加)を2019年 1 月に取得しました。
・ 高血圧症治療剤ビソノテープ(一般名:ビソプロロール)に関し、
「頻脈性心房細動」の追加適
応症及び追加剤形であるビソノテープ 2mg について、
販売契約先のトーアエイヨー株式会社が、
2019年1月に承認を取得しました。
・ ヒト抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤イベニティ(一般名:ロモソズマブ(遺伝子組
換え))に関し、「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」の適応症について、共同開発会社であるアス
テラス アムジェン バイオファーマ株式会社が2019年1月に承認を取得したことを受け、
・ ・
同年3月に発売しました。
・ 経口 JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤スマイラフ(一般名:ペフィシチニブ臭化水素酸塩)に関
し、「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」の適応症につ
いて、2018年5月に承認申請を行い、2019年3月に承認を取得しました。
当期において、以下の販売移管等がありました。
・ 2009年に AstraZenecaAB(スウェーデン)と締結した、喘息・慢性閉塞性肺疾患治療配合
剤シムビコートタービュヘイラー(一般名:ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物)
の販売及び共同販促契約の終了に伴い、日本において当社が単独で行っている当該製品の流
通・販売をアストラゼネカ株式会社に移管し、同社と共同で行っている販促活動を2019年
7月30日をもって終了することになりました。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
・ KM バイオロジクス株式会社とのヒト用ワクチン等及び血漿分画製剤の販売提携に関する契約
の終了に伴い、当社が行ってきた当該製品に関する販売および医療機関への情報提供・収集活
動を2019年7月31日までに順次終了することになりました。
Operational Excellence の更なる追求では、多面的な視点から全ての活動を見直し、ビジネス基盤
の強化を図りました。当期における主な取り組みは以下のとおりです。
・ 組織ケイパビリティを見直し、オペレーションの質の一層の向上を図るため、当社及び国内グ
ループ会社を再編しました。また、これに伴い早期退職優遇制度を実施しました。
・ 2018年4月、当社の連結子会社であるアジェンシス社(米国)の保有施設および借地権等
を Kite 社(米国)に譲渡しました。
・ 2018年12月、当社の国内生産子会社であるアステラス ファーマ テック株式会社が、西
根工場の事業を分社化の上、その全株式をシミック CMO 株式会社に譲渡する株式譲渡契約を
締結しました。
・ 2019年1月、日本で製造販売しているベンゾジアゼピン受容体拮抗剤アネキセート注射液
0.5mg(一般名:フルマゼニル)について、アスペンジャパン株式会社へ製造販売承認の承継及
び販売移管しました。また、同月、催眠鎮静剤ドルミカム注射液 10mg(一般名:ミダゾラム)
の製造販売承認を2019年4月1日をもって丸石製薬株式会社に承継することに合意しまし
た。
◇Focus Area アプローチによる価値創造
当社は、最先端の科学に基づき、バイオロジーとモダリティ・テクノロジーの組み合わせをアン
メットメディカルニーズの高い疾患に応用することで、革新的な医薬品の創出を目指し、多面的な
視点から特定した分野に経営資源を投下しています。
また、遺伝子治療や細胞医療などの新しいモダリティを活用した複数の開発プログラムの今後の
進展と将来の商業化を見据え、設備投資も行っています。日本においては、抗体の原薬製造設備、
遺伝子治療や細胞医療の臨床初期治験薬の製造設備の建設に着工しました。米国においては、再生
医療・細胞医療分野での研究開発の加速と製造設備の増強に向けた設備投資を行っています。
これに加え、外部パートナーとの提携機会も活用しながら、イノベーション創出のための投資を
行いました。当期における主な取り組みは以下のとおりです。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
・ 2018年8月、Quethera 社(英国)を買収し、同社を当社の完全子会社としました。本買収に
より、当社は緑内障患者の網膜に治療遺伝子を発現させる遺伝子組換えアデノ随伴ウイルスを
活用した遺伝子治療プログラムを獲得しました。
・ 2018年9月、株式会社遺伝子治療研究所と、全世界における独占交渉のオプション契約を
締結し、孤発性筋萎縮性側索硬化症を対象とした遺伝子治療プログラムである GT0001X の開
発及び商業化に関する権利を獲得しました。
・ 2018年11月、Juventas 社(米国)と、中国を除く全世界における独占的なオプション及び
ライセンス契約を締結し、便失禁を対象とした遺伝子治療プログラムである JVS-100 の開発及
び商業化に関する権利を獲得しました。
・ 2018年12月、がん免疫関連バイオテクノロジー企業である Potenza 社(米国)について、
2015年に締結した独占的共同研究開発契約に基づく同社を買収する独占的オプション権の
行使により、同社を当社の完全子会社としました。これにより、臨床段階にある複数の新規が
ん免疫プログラムを獲得しました。
◇Rx+TM プログラムへの挑戦
当社は、中長期にわたる持続的な成長を実現していくため、Rx+ TM プログラムに挑戦しています。
これまで医療用医薬品(Rx)事業で培ってきた強みと最先端の医療技術や異分野の技術・知見を融
合させることで新たなヘルスケアソリューションの創出を目指しています。
・ この取り組みの一環として、2018年10月、株式会社バンダイナムコエンターテインメン
トと、生活習慣病の発症や重症化の予防策として、継続的に運動する必要がある方を支援する
スマートフォンなど向けアプリに関する共同開発契約を締結しました。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
[コーポレートガバナンス体制の充実・強化]
当社は、2018年6月開催の定時株主総会を経て、監査役会設置会社から監査等委員会設置会
社へ移行しました。
経営環境のグローバル化・複雑化が進展する中、取締役会の業務執行権限の相当な部分を業務執
行取締役に委譲することが可能となる監査等委員会設置会社に移行することにより、取締役会にお
ける経営戦略等の議論を一層充実させるとともに、取締役会のさらなる強化を図ります。さらに、
業務執行における意思決定のスピードを向上させ、経営の機動性を高めています。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
(2)財政状態に関する説明
①資産、資本及び負債の状況
当期末(2019年3月31日時点)の連結財政状態計算書の概要及び前期末からの主
な変動は以下の通りです。
【資産】
総資産は1兆8,976億円(前期末比394億円増)となりました。
<非流動資産>1兆405億円(同279億円増)
・のれんは2,259億円(同129億円増) 無形資産は4,297億円
、 (同128億円増)
となりました。ポテンザ社の買収等に伴い、のれんと無形資産が増加しました。
<流動資産>8,572億円(同115億円増)
・現金及び現金同等物は3,111億円(同207億円減)となりました。
【資本】
資本合計は、1兆2,584億円(同99億円減)となり、親会社所有者帰属持分比率は
66.3%となりました。
・当期利益2,223億円を計上した一方で、剰余金の配当721億円に加え、自己株式の
取得1,604億円を実施しました。
・なお、2018年5月31日に自己株式の消却1,304億円(8,900万株)を実施し
ました。
【負債】
負債の合計は、6,393億円(同493億円増)となりました。
<非流動負債>1,416億円(同267億円減)
<流動負債>4,977億円(同760億円増)
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2019年3月期 決算短信
②キャッシュ・フローの状況
【営業活動によるキャッシュ・フロー】
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,586億円(前年同期比540億円減)
となりました。
・ 法人所得税の支払額が699億円となりました。
【投資活動によるキャッシュ・フロー】
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、△418億円(同800億円支出減)とな
りました。
・ 有形固定資産や無形資産の取得による支出に加え、ポテンザ社買収に伴う子会社の取得
による支出等があった一方で、アジェンシス社保有資産の譲渡等に伴い、有形固定資産
の売却による収入等がありました。
【財務活動によるキャッシュ・フロー】
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、△2,337億円(同303億円支出増)
となりました。
・ 配当金の支払額は721億円(同4億円増)となりました。また、自己株式の取得によ
る支出1,604億円(同297億円増)等がありました。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、3,111億円(前期末比
207億円減)となりました。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
2017 年3月期 2018 年3月期 2019 年3月期
親会社所有者帰属持分比率 70.1% 68.3% 66.3%
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率 166.9% 171.6% 164.8%
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 0.0% 0.0% 0.0%
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) - - -
・ 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/総資産
・ 時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産
・ キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
・ インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに算出しています。
(注3)キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しています。
(注4)有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべて
の負債を対象としています。
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2019年3月期 決算短信
(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
当社は、次期の連結業績予想について、コアベース及びフルベースでの業績予想を開示
しています。
通期連結業績予想(コアベース)は以下のとおりです。
[通期連結業績予想(コアベース)] (単位:百万円)
当期実績 次期予想 増減額
(2019 年3月期) (2020 年3月期) (増減率)
△82,348
売 上 収 益 1,306,348 1,224,000
(△6.3%)
+2,318
研 究 開 発 費 208,682 211,000
(+1.1%)
△38,514
コ ア 営 業 利 益 278,514 240,000
(△13.8%)
△55,343
コ ア 当 期 利 益 249,343 194,000
(△22.2%)
基本的1株当たり △26.20
129.07 102.87
コア当期利益(円) (△20.3%)
(注)基本的1株当たりコア当期利益の予想は、2019年3月末発行済株式数(自己株式
を除く)により算定しています。
[通期の想定為替レート]
2020年3月期(想定):110円/米ドル、125円/ユーロ
2019年3月期(実績):111円/米ドル、128円/ユーロ
売上収益、コア営業利益、コア当期利益は減少を予想しています。
次期においては、主要製品の独占販売期間の満了や、日本における提携製品の契約終了
等が減収、減益要因となる見込みです。
なお、次期の為替レートを、当期実績に比べドル、ユーロともに若干の円高で想定してい
ることから、当期の為替レートを適用した場合と比べ、売上収益においては127億円の
減少、コア営業利益においては47億円の減少の影響を見込んでいます。
【売上収益】
売上収益は1兆2,240億円(当期比6.3%減)を予想しています。
主力品であるXTANDI/イクスタンジ及びベタニス/ミラベトリック/ベットミガが引
き続き成長するほか、2018年12月に日本と米国で発売したゾスパタの売上が通年で
業績に貢献する見通しです。また、日本の新製品群の伸長を見込んでいます。しかしなが
ら、米国、欧州におけるベシケア、米国における抗がん剤タルセバの独占販売期間の満了に
よる売上への影響や、日本におけるシムビコート、KMバイオロジクス社のヒト用ワクチン
等の契約終了等の影響により売上収益は減少する見込みです。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
【コア営業利益/コア当期利益】
売上収益の減少に伴い売上総利益が減少する見通しです。
販売費及び一般管理費は、XTANDI の米国での売上拡大に伴う共同販促費用や新製品の
価値最大化に向けた費用の増加を見込んでいますが、引き続き経費の効率的使用を推進す
ること等により、金額ベースではほぼ横ばいとなる見通しです。売上収益の減少もあり、売
上収益比率は上昇する見通しです。
研究開発費は、重点後期開発品の着実な進展や再生医療、細胞医療などの新たな技術に
対する投資により2,110億円(同1.1%増)、売上収益比率は17.2%(当期は16.
0%)を予想しています。
これらの結果、コア営業利益は2,400億円(同13.8%減)を予想しています。
また、コア当期利益は1,940億円(同22.2%減)、基本的1株当たりコア当期利益
は102.87円(同20.3%減)を予想しています。
【主要製品の売上】 (単位:億円)
当期実績 次期予想 増減率
(2019 年3月期) (2020 年3月期)
XTANDI/イクスタンジ 3,331 3,642 +9.3%
ゾスパタ 25 151 -
泌尿器 OAB 製品 2,422 2,024 △16.4%
ベシケア 950 418 △56.0%
ベタニス/ミラベトリック
1,472 1,606 +9.1%
/ベットミガ
プログラフ 1,957 1,877 △4.1%
◇ XTANDI/イクスタンジ
・ 売上は3,642億円(当期比9.3%増)となる見込みです。日本、米国、エスタブリッ
シュドマーケット、グレーターチャイナ、インターナショナルの全て地域で売上が拡大
する見通しです。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
◇ ゾスパタ
・ 日本、米国で売上が拡大し、151億円となる見込みです。
◇ 泌尿器OAB製品
・ ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの売上は1,606億円(同9.1%増)となる
見込みです。全ての地域での売上が増加する見通しです。一方、ベシケアの売上は、米
国、欧州での独占販売期間の満了による影響から418億円(同56.0%減)となる
見込みです。
◇ プログラフ
・ プログラフの売上は1,877億円(同4.1%減)となる見込みです。グレーターチャ
イナとインターナショナルでは引き続き伸長する見通しです。
◇ その他の新製品・主要製品の状況
・ 日本では、スーグラ、スージャヌ、リンゼス、レパーサ等が引き続き成長するほか、新
製品であるイベニティの売上が拡大する見通しです。
・ 米国では、クレセンバの売上が引き続き拡大する見通しです。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
[通期連結業績予想(フルベース)] (単位:百万円)
当期実績 次期予想 増減額
(2019 年3月期) (2020 年3月期) (増減率)
△82,348
売 上 収 益 1,306,348 1,224,000
(△6.3%)
△14,912
営 業 利 益 243,912 229,000
(△6.1%)
△18,967
税 引 前 利 益 248,967 230,000
(△7.6%)
△40,265
当 期 利 益 222,265 182,000
(△18.1%)
基本的1株当たり △18.54
115.05 96.51
当 期 利 益 ( 円 ) (△16.1%)
(注)基本的1株当たり当期利益の予想は、2019年3月末発行済株式数(自己株式を除
く)により算定しています。
[通期の想定為替レート]
2020年3月期(想定):110円/米ドル、125円/ユーロ
2019年3月期(実績):111円/米ドル、128円/ユーロ
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
(4)キャピタルアロケーションに関する基本方針及び当期・次期の配当
当社は、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでい
ます。成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中
長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。また、自己株式の取得を
必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。
当期の年間配当金については、1株当たり38円(うち期末配当金として19円)を予定
しています。
また、当期において、9,084万株(金額として1,600億円)の市場買付けによる自
己株式取得を実施しました。
次期の年間配当金については、1株当たり40円(うち中間配当金として20円、期末配
当金として20円)を予定しています。
(5)事業等のリスク
当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある事項には、主として
以下のようなものがあります。
【研究開発に関するリスク】
一般に、医薬品の創薬研究において有用な化合物を発見できる可能性は決して高くはあ
りません。また、創薬研究により発見された新規化合物を開発し、成功裏に上市させるため
には多額の投資と長い期間を必要としますが、開発の過程で期待した有効性が証明できな
い場合や安全性などの理由により、開発の継続を断念しなければならない可能性がありま
す。加えて、医薬品は各国の法規制のもとで承認を取得しなければ販売できず、承認取得の
可否及び時期についても正確な予測は困難です。
当社グループにおける研究開発活動は、このような医薬品の研究開発に内在するリスク
を伴っています。
【販売に関するリスク】
製薬業界は技術の進歩が急速で、競争が激しいという特徴を有しています。当社グルー
プの製品に対して強力な競合品が発売された場合、当社グループの経営成績は大きな影響
を受ける可能性があります。
【知的財産権に関するリスク】
当社グループの事業は多くの特許によって保護されています。当社グループでは、知的財
産権を適切に管理し、第三者からの侵害に注意を払っていますが、第三者から侵害を受け
た場合には、当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。また、その
保護のために、訴訟を提起する場合もありますが、その動向によっては当社グループの経
営成績は大きな影響を受ける可能性があります。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
なお、当社グループの事業が第三者の知的財産権を侵害することのないように注意を
払っていますが、万が一侵害があった場合は訴訟を提起されるリスクがあり、当社グルー
プの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。
【副作用・安全性に関するリスク】
製品に重大な副作用その他の安全性の問題が発生した場合、当社グループの経営成績は
大きな影響を受ける可能性があります。
【薬事行政の影響】
医薬品事業は、事業を行っている各国の薬事行政により様々な規制を受けています。例
えば、日本において実施される薬価改定など、先進国を中心とした医療費抑制策、開発、
製造及び流通に関わる諸規制の厳格化などは経営成績に影響を与える要因となります。
【環境問題に関するリスク】
当社グループは、環境・安全衛生に関して、関係法令等の遵守はもとより、さらに高い自
主基準を設定してその達成に努めていますが、万が一事業活動を行う過程において事故等
により関係法令等の違反が生じた場合、関連費用等のため当社グループの経営成績は大き
な影響を受ける可能性があります。
【為替レートの変動】
当社グループの事業は多くの国及び地域で営まれているため、当社グループの経営成績
及び財政状態は為替レート変動の影響を受けます。
これらのほか、当社グループが事業活動を行う過程において訴訟を提起されるリスクや、
災害などにより製造が遅滞又は休止するリスク、他社が開発した医薬品のライセンス及び
販売に一部依存するリスクなど、さまざまなリスクが存在しており、ここに記載されたも
のが当社グループのすべてのリスクではありません。
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2019年3月期 決算短信
2. 会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社グループは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を目指し、
2014年3月期決算から国際会計基準(IFRS)を適用しています。
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2019年3月期 決算短信
3.連結財務諸表及び主な注記
(1)連結純損益計算書
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2017年4月1日 (自 2018年4月1日
至 2018年3月31日) 至 2019年3月31日)
売上収益 1,300,316 1,306,348
売上原価 △294,250 △292,050
売上総利益 1,006,066 1,014,299
販売費及び一般管理費 △478,330 △490,263
研究開発費 △220,781 △208,682
無形資産償却費 △35,838 △35,212
持分法による投資損益 △2,419 △1,627
その他の収益 11,872 14,152
その他の費用 △67,311 △48,755
営業利益 213,258 243,912
金融収益 6,637 6,358
金融費用 △1,782 △1,302
税引前利益 218,113 248,967
法人所得税費用 △53,434 △26,702
当期利益 164,679 222,265
当期利益の帰属
親会社の所有者 164,679 222,265
1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益(円) 81.11 115.05
希薄化後1株当たり当期利益(円) 81.02 114.94
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2019年3月期 決算短信
(2)連結包括利益計算書
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2017年4月1日 (自 2018年4月1日
至 2018年3月31日) 至 2019年3月31日)
当期利益 164,679 222,265
その他の包括利益
純損益に振り替えられることのない項目
その他の包括利益を通じて公正価値で測
- 5,060
定する金融資産
確定給付制度の再測定 1,611 △2,553
小計 1,611 2,508
純損益に振り替えられる可能性のある項目
在外営業活動体の外貨換算差額 28,590 △2,523
売却可能金融資産の公正価値の変動 3,660 -
小計 32,250 △2,523
その他の包括利益合計 33,860 △15
当期包括利益合計 198,539 222,250
当期包括利益の帰属
親会社の所有者 198,539 222,250
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(3)連結財政状態計算書
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(2018年3月31日) (2019年3月31日)
資産
非流動資産
有形固定資産 181,295 173,483
のれん 212,976 225,864
無形資産 416,912 429,707
売上債権及びその他の債権 25,282 25,248
持分法で会計処理されている投資 3,138 3,653
繰延税金資産 97,237 92,958
その他の金融資産 67,375 81,457
その他の非流動資産 8,372 8,121
非流動資産合計 1,012,587 1,040,489
流動資産
棚卸資産 147,626 151,511
売上債権及びその他の債権 319,512 342,628
未収法人所得税 8,412 20,113
その他の金融資産 13,517 2,607
その他の流動資産 14,448 25,080
現金及び現金同等物 331,731 311,074
小計 835,245 853,012
売却目的で保有する資産 10,374 4,147
流動資産合計 845,619 857,159
資産合計 1,858,205 1,897,648
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2019年3月期 決算短信
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(2018年3月31日) (2019年3月31日)
資本及び負債
資本
資本金 103,001 103,001
資本剰余金 177,219 177,301
自己株式 △135,951 △164,629
利益剰余金 976,076 991,957
その他の資本の構成要素 147,945 150,767
親会社の所有者に帰属する持分合計 1,268,289 1,258,396
資本合計 1,268,289 1,258,396
負債
非流動負債
仕入債務及びその他の債務 3,515 1,572
繰延税金負債 26,426 5,175
退職給付に係る負債 36,673 40,163
引当金 4,891 5,416
その他の金融負債 49,422 52,882
その他の非流動負債 47,370 36,379
非流動負債合計 168,296 141,587
流動負債
仕入債務及びその他の債務 140,909 185,280
未払法人所得税 25,184 17,587
引当金 126,231 22,843
その他の金融負債 7,559 14,136
その他の流動負債 121,737 255,913
小計 421,620 495,759
売却目的で保有する資産に直接関連する負債 - 1,906
流動負債合計 421,620 497,665
負債合計 589,916 639,252
資本及び負債合計 1,858,205 1,897,648
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
(4)連結持分変動計算書
(単位:百万円)
親会社の所有者に帰属する持分
その他の資本の構成要素
資本金 資本剰余金 自己株式 利益剰余金 在外営業
新株予約権 活動体の
外貨換算差額
2017年4月1日残高 103,001 177,091 △138,207 1,013,923 1,784 99,590
当期包括利益
当期利益 - - - 164,679 - -
その他の包括利益 - - - - - 28,590
当期包括利益合計 - - - 164,679 - 28,590
所有者との取引額
自己株式の取得 - - △130,712 - - -
自己株式の処分 - △159 819 △353 △307 -
自己株式の消却 - - 132,150 △132,150 - -
配当金 - - - △71,634 - -
株式報酬取引 - 286 - - - -
振替 - - - 1,611 - -
所有者との取引額合計 - 127 2,257 △202,526 △307 -
2018年3月31日残高 103,001 177,219 △135,951 976,076 1,477 128,179
会計方針の変更による累積的影響額 - - - - - -
会計方針の変更を反映した
103,001 177,219 △135,951 976,076 1,477 128,179
2018年4月1日残高
当期包括利益
当期利益 - - - 222,265 - -
その他の包括利益 - - - - - △2,523
当期包括利益合計 - - - 222,265 - △2,523
所有者との取引額
自己株式の取得 - - △160,442 - - -
自己株式の処分 - △281 1,345 △713 △350 -
自己株式の消却 - - 130,419 △130,419 - -
配当金 - - - △72,066 - -
株式報酬取引 - 364 - - - -
振替 - - - △3,187 - -
所有者との取引額合計 - 82 △28,678 △206,384 △350 -
2019年3月31日残高 103,001 177,301 △164,629 991,957 1,127 125,656
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
(単位:百万円)
親会社の所有者に帰属する持分
その他の資本の構成要素
その他の包括 資本合計
売却可能
利益を通じて 合計
金融資産の 確定給付制度
公正価値で 合計
公正価値の の再測定
測定する
変動
金融資産
2017年4月1日残高 14,629 - - 116,002 1,271,810 1,271,810
当期包括利益
当期利益 - - - - 164,679 164,679
その他の包括利益 3,660 - 1,611 33,860 33,860 33,860
当期包括利益合計 3,660 - 1,611 33,860 198,539 198,539
所有者との取引額
自己株式の取得 - - - - △130,712 △130,712
自己株式の処分 - - - △307 1 1
自己株式の消却 - - - - - -
配当金 - - - - △71,634 △71,634
株式報酬取引 - - - - 286 286
振替 - - △1,611 △1,611 - -
所有者との取引額合計 - - △1,611 △1,918 △202,060 △202,060
2018年3月31日残高 18,289 - - 147,945 1,268,289 1,268,289
会計方針の変更による累積的影響額 △18,289 18,289 - - - -
会計方針の変更を反映した
- 18,289 - 147,945 1,268,289 1,268,289
2018年4月1日残高
当期包括利益
当期利益 - - - - 222,265 222,265
その他の包括利益 - 5,060 △2,553 △15 △15 △15
当期包括利益合計 - 5,060 △2,553 △15 222,250 222,250
所有者との取引額
自己株式の取得 - - - - △160,442 △160,442
自己株式の処分 - - - △350 1 1
自己株式の消却 - - - - - -
配当金 - - - - △72,066 △72,066
株式報酬取引 - - - - 364 364
振替 - 635 2,553 3,187 - -
所有者との取引額合計 - 635 2,553 2,837 △232,143 △232,143
2019年3月31日残高 - 23,984 - 150,767 1,258,396 1,258,396
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
(5)連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2017年4月1日 (自 2018年4月1日
至 2018年3月31日) 至 2019年3月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前利益 218,113 248,967
減価償却費及び無形資産償却費 64,863 63,458
減損損失(又は戻入れ) 42,398 11,446
金融収益及び金融費用 △4,854 △5,055
棚卸資産の増減額 37,830 △5,480
売上債権及びその他の債権の増減額 △6,634 △25,640
仕入債務及びその他の債務の増減額 △43,804 40,828
その他 69,723 20
小計 377,635 328,543
法人所得税の支払額 △65,021 △69,913
営業活動によるキャッシュ・フロー 312,614 258,630
投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得による支出 △25,077 △25,190
有形固定資産の売却による収入 1,209 20,949
無形資産の取得による支出 △15,208 △26,938
売却可能金融資産の売却による収入 6,970 -
子会社の取得による支出 △83,723 △19,292
利息及び配当金の受取額 1,849 2,798
その他 △7,818 5,916
投資活動によるキャッシュ・フロー △121,799 △41,757
財務活動によるキャッシュ・フロー
自己株式の取得による支出 △130,712 △160,442
親会社の所有者への配当金の支払額 △71,634 △72,066
その他 △1,083 △1,173
財務活動によるキャッシュ・フロー △203,429 △233,681
現金及び現金同等物の為替変動による影響 3,421 △2,118
売却目的で保有する資産への振替に伴う減少額 - △1,732
現金及び現金同等物の増減額 △9,192 △20,657
現金及び現金同等物の期首残高 340,923 331,731
現金及び現金同等物の期末残高 331,731 311,074
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2019年3月期 決算短信
(6)連結財務諸表に関する注記事項
(継続企業の前提に関する注記)
該当事項はありません。
(会計方針の変更)
当社グループは、当連結会計年度より、以下の基準を適用しています。
IFRS 新設・改訂の概要
IFRS第9号 金融商品 金融資産及び金融負債の分類及び測定、減損並びにヘッジ会計に関する改訂
IFRS第15号 顧客との契約から 収益認識に関する包括的なフレームワーク
生じる収益
当社グループの連結財務諸表への重要な会計方針の変更の内容や影響は以下のとおりです。なお、IFRS第9号及び
IFRS第15号の適用にあたり、経過措置として認められている累積的影響を適用開始日に認識する方法を採用しています
が、当連結会計年度の利益剰余金期首残高への影響はありません。
(IFRS第9号「金融商品」)
① 当初認識及び測定
金融資産及び金融負債は、当社グループが金融商品の契約上の当事者となった取引日に認識しています。
金融資産及び金融負債は、重大な金融要素を含んでいない営業債権を除き、当初認識時に公正価値で測定していま
す。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産(以下「FVTPLの金融資産」)及び純損益を通じて公正価値で測定
する金融負債(以下「FVTPLの金融負債」)を除き、金融資産の取得及び金融負債の発行に直接起因する取引コスト
は、当初認識時において、金融資産の公正価値に加算又は金融負債の公正価値から減算しています。FVTPLの金融資
産及びFVTPLの金融負債の取得に直接起因する取引コストは純損益で認識しています。
② 金融資産
当社グループはすべての金融資産を当初認識時に、「償却原価で測定する金融資産」、「その他の包括利益を通じ
て公正価値で測定する金融資産(以下「FVTOCIの金融資産」)」又は「FVTPLの金融資産」に分類しています。
(a) 償却原価で測定する金融資産
以下の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有さ
れている。
・契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
当初認識後、実効金利法による償却原価から減損損失を控除した金額で測定し、実効金利法による利息収益は純
損益で認識しています。
(b) FVTOCIの金融資産(負債性金融資産)
以下の条件がともに満たされる場合には、FVTOCIの金融資産(負債性金融資産)に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている。
・契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
当初認識後、公正価値で測定し、減損利得又は減損損失及び為替差損益を除き、公正価値の変動から生じる評価
損益はその他の包括利益で認識しています。当該金融資産の認識を中止する場合、その他の資本の構成要素に計上
されている累積損益を、純損益に組替調整額として振り替えています。
(c) FVTOCIの金融資産(資本性金融資産)
資本性金融資産は、一部を除いて公正価値の事後の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択を
行っており、FVTOCIの金融資産に分類しています。
当初認識後、公正価値で測定し、公正価値の変動から生じる評価損益はその他の包括利益で認識しています。当
該金融資産の認識を中止する場合、又は公正価値が著しく下落した場合には、その他の資本の構成要素に計上され
ている累積損益を利益剰余金に振り替えています。当該金融資産に係る受取配当金は、投資金額の一部回収である
場合を除き、純損益として認識しています。
29
アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
(d) FVTPLの金融資産
償却原価で測定する金融資産及びFVTOCIの金融資産に分類されない金融資産をFVTPLの金融資産として分類してい
ます。
当初認識後、公正価値で測定し、事後的な変動を純損益として認識しています。
③ 金融資産の減損
当社グループは、償却原価で測定する金融資産又は負債性金融資産のうちFVTOCIの金融資産に分類された金融資産
に係る予想信用損失に対する損失評価引当金を認識しています。
損失評価引当金の測定は、各四半期末日において、当該金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大し
ている場合は、当該金融資産に係る全期間の予想信用損失に等しい金額とし、当該金融資産に係る信用リスクが当初
認識以降に著しく増大していない場合は、当該金融資産に係る12か月の予想信用損失に等しい金額としています。
ただし、営業債権や契約資産に係る損失評価引当金については、常に全期間の予想信用損失と同額で測定していま
す。
④ 金融負債
当社グループはすべての金融負債を当初認識時に、「FVTPLの金融負債」又は「償却原価で測定する金融負債」に
分類しています。
(a) FVTPLの金融負債
デリバティブによって認識した金融負債、FVTPLの金融負債として指定した金融負債及び企業結合において認識し
た条件付対価のうち金融負債の定義を満たすものをFVTPLの金融負債に分類しています。
当初認識後、公正価値で測定し、事後的な変動を純損益として認識しています。
(b) 償却原価で測定する金融負債
FVTPLの金融負債として分類されない金融負債を償却原価で測定する金融負債に分類しています。
当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しています。
⑤ 認識の中止
金融資産については、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、金融資産の
キャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべ
てを移転した場合、又は金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡したが、当該金融資産の所有
に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転したわけでも、ほとんどすべてを保持しているわけでもなく、かつ、
当該金融資産に対する支配を保持していない場合に、当該金融資産の認識を中止しています。
金融負債については、金融負債が消滅した時、すなわち契約中に特定された債務が免責、取消し又は失効となった
場合に、当該金融負債の認識を中止しています。
IFRS第9号の適用による、当社グループの連結財務諸表への重要な影響はありません。なお、IFRS第9号の適用に
伴い、当連結会計年度より、従来、売却可能金融資産に分類していた金融資産を、FVTOCIの金融資産として分類して
います。
(IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」)
当社グループは、以下の5ステップに基づき、収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における履行義務へ配分する。
ステップ5:履行義務の充足時点に(又は充足するにつれて)収益を認識する。
① 医薬品の販売
医薬品の販売による収益は、当社グループが移転を約束した医薬品に対する支配を顧客が獲得した時点で認識して
います。医薬品に対する支配は、通常、医薬品が顧客へ引き渡された時点で顧客に移転すると判断しています。取引
価格に割戻、値引及びその他顧客に支払われる対価等の変動性のある金額が含まれている契約については、これらの
変動対価を期待値又は最頻値により見積り、顧客から受領する対価から控除しています。
30
アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
② ロイヤルティ収入
当社グループは、第三者に製品の製造や販売、技術の使用等を認めた契約によるロイヤルティ収入を得ています。
ロイヤルティ収入には、契約一時金、受取マイルストン及びランニング・ロイヤルティが含まれます。関連する履行
義務の内容に応じて、履行義務が充足された時点において一時に、又は、履行義務が充足されるにつれて、一定期間
にわたり、収益を認識しています。
IFRS第15号の適用による、当社グループの連結財務諸表への重要な影響はありません。なお、IFRS第15号の適用に
伴い、当連結会計年度より、従来、「引当金」として表示していた販売関連引当金の一部を、返金負債として「その
他の非流動負債」及び「その他の流動負債」に含めて表示しています。
(企業結合)
前連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
オジェダ SAの取得
(1)企業結合の概要
① 被取得企業の名称及びその事業の内容
被取得企業の名称:オジェダ SA
事業の内容:Gタンパク質共役受容体(GPCR)を標的とする低分子薬の開発
② 取得日
中央ヨーロッパ時間 2017年5月16日
③ 取得した議決権付資本持分の割合
100%
④ 被取得企業の支配の獲得方法
契約一時金及びマイルストンを支払対価とする株式取得
⑤ 企業結合を行った主な理由
オジェダ SAは、1994年に設立された医薬品企業であり、低分子のGPCR創薬の研究開発に注力しています。同
社は、臨床開発段階にあるfezolinetantのほか、前臨床段階に、炎症、自己免疫疾患を含む複数の疾患を対象と
した低分子化合物を複数有しています。本買収により、臨床開発段階のパイプラインを拡充し、中長期の成長を
より盤石なものとしていきます。
(2)取得日現在における取得資産、引受負債及び支払対価の公正価値
金額(単位:百万円)
有形固定資産 560
無形資産 74,415
現金及び現金同等物 519
その他の資産 513
繰延税金負債 △25,256
その他の負債 △1,883
取得資産及び引受負債の公正価値(純額) 48,868
のれん 26,145
合計 75,014
現金 62,086
条件付対価 12,928
支払対価の公正価値の合計 75,014
前連結会計年度では一部の金額については暫定的な公正価値となっていましたが、当連結会計年度においては
支払対価の配分が完了しています。
のれんの主な内容は、個別に認識要件を満たさない、取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー
効果及び超過収益力です。
(3)条件付対価
条件付対価は、オジェダ SAが保有している臨床開発プログラムfezolinetantの開発の進捗に応じて支払うマ
イルストンであり、最大で300百万ユーロ(39,156百万円)を支払う可能性があります。条件付対価の公正価値
は、当該プログラムが成功する可能性や貨幣の時間価値を考慮して計算しています。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
(4)キャッシュ・フロー情報
金額(単位:百万円)
支払対価の公正価値の合計 75,014
支払対価に含まれる条件付対価の公正価値 △12,928
被取得企業が保有する現金及び現金同等物 △519
子会社の取得による支出 61,567
(5)取得関連費用
金額:60百万円
取得関連費用が認識されている連結純損益計算書の表示科目:販売費及び一般管理費
(6)連結純損益計算書に与える影響
① 前連結会計年度の連結純損益計算書で認識されている取得日以降の被取得企業の税引前利益
金額的重要性が低いため、記載を省略しています。
② 企業結合が期首に実施されたと仮定した場合の前連結会計年度の連結純損益計算書の税引前利益に与える影響額
金額的重要性が低いため、記載を省略しています。
マイトブリッジ Inc.の取得
(1)企業結合の概要
① 被取得企業の名称及びその事業の内容
被取得企業の名称:マイトブリッジ Inc.
事業の内容:ミトコンドリア関連疾患領域における研究開発
② 取得日
米国時間 2018年1月23日
③ 議決権付資本持分の割合
買収前に当社が保有していた議決権付資本持分の割合は26.4%でしたが、本買収により100%となります。
④ 被取得企業の支配の獲得方法
契約一時金及びマイルストンを支払対価とする株式取得
⑤ 企業結合を行った主な理由
マイトブリッジ Inc.は、2011年に設立されたバイオテクノロジー企業であり、ミトコンドリア関連疾患領域
において、中枢および末梢神経系障害、骨格筋・心筋障害、視覚・聴覚障害、代謝障害などの治療薬の創出を目
指し研究開発を進めています。本買収により、ミトコンドリア関連疾患における研究開発をさらに加速し、一日
も早く患者さんのもとへ革新的な新薬を届けていくために取り組んでいきます。
(2)取得日現在における取得資産、引受負債及び支払対価の公正価値
金額(単位:百万円)
有形固定資産 71
繰延税金資産 1,594
現金及び現金同等物 27
その他の資産 27
その他の負債 △339
取得資産及び引受負債の公正価値(純額) 1,380
のれん 29,329
合計 30,708
現金 17,951
条件付対価 7,048
既存持分の公正価値 5,709
支払対価の公正価値の合計 30,708
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
前連結会計年度では一部の金額については暫定的な公正価値となっていましたが、当連結会計年度においては
支払対価の配分が完了しています。
のれんの主な内容は、個別に認識要件を満たさない、取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー
効果及び超過収益力です。
当社が支配獲得日の直前に保有していたマイトブリッジ Inc.の資本持分を支配獲得日の公正価値で再測定し
た結果、企業結合に伴う再測定益として5,877百万円を認識し、連結純損益計算書の「その他の収益」に計上し
ています。
(3)条件付対価
条件付対価は、マイトブリッジ Inc.が保有している複数の開発プログラムの進捗に応じて支払うマイルスト
ンであり、最大165百万米ドル(17,582百万円)を支払う可能性があります。条件付対価の公正価値は、当該プ
ログラムが成功する可能性や貨幣の時間価値を考慮して計算しています。
(4)キャッシュ・フロー情報
金額(単位:百万円)
支払対価の公正価値の合計 30,708
支払対価に含まれる条件付対価の公正価値 △7,048
支払対価に含まれる既存持分の公正価値 △5,709
被取得企業が保有する現金及び現金同等物 △27
子会社の取得による支出 17,924
(5)取得関連費用
金額的重要性が低いため、記載を省略しています。
(6)連結純損益計算書に与える影響
① 前連結会計年度の連結純損益計算書で認識されている取得日以降の被取得企業の税引前利益
金額的重要性が低いため、記載を省略しています。
② 企業結合が期首に実施されたと仮定した場合の前連結会計年度の連結純損益計算書の税引前利益に与える影響額
金額的重要性が低いため、記載を省略しています。
ユニバーサル セルズ Inc.の取得
(1)企業結合の概要
① 被取得企業の名称及びその事業の内容
被取得企業の名称:ユニバーサル セルズ Inc.
事業の内容:免疫拒絶反応をおさえた多能性細胞を創製する技術を用いた研究開発
② 取得日
米国時間 2018年2月9日
③ 取得した議決権付資本持分の割合
100%
④ 被取得企業の支配の獲得方法
契約一時金及びマイルストンを支払対価とする株式取得
⑤ 企業結合を行った主な理由
ユニバーサル セルズ Inc.は、2013年に設立されたバイオテクノロジー企業であり、白血球型抗原(HLA)不適
合による拒絶という細胞医療の課題を解決し、全ての患者の治療に用いることが可能な細胞医療製品を創製でき
る独自技術であるユニバーサルドナー細胞技術を有しています。本買収により、当社が既に有する多能性幹細胞
から分化した機能細胞を取得する基盤技術と免疫拒絶を抑えた多能性幹細胞を創製するユニバーサルドナー細胞
技術とを組み合わせることで、現在治療法が殆どない様々な疾患に対する革新的な細胞医療の研究が加速してい
くことを期待しています。
33
アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
(2)取得日現在における取得資産、引受負債及び支払対価の公正価値
金額(単位:百万円)
無形資産 6,485
現金及び現金同等物 915
その他の資産 82
繰延税金負債 △1,354
その他の負債 △812
取得資産及び引受負債の公正価値(純額) 5,315
のれん 2,814
合計 8,130
現金 5,148
条件付対価 2,982
支払対価の公正価値の合計 8,130
前連結会計年度では一部の金額については暫定的な公正価値となっていましたが、当連結会計年度においては
支払対価の配分が完了しています。
のれんの主な内容は、個別に認識要件を満たさない、取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー
効果及び超過収益力です。
(3)条件付対価
条件付対価は、予め決められた臨床開発マイルストンであり、最大で38百万米ドル(3,984百万円)を支払う
可能性があります。条件付対価の公正価値は、開発プログラムが成功する可能性や貨幣の時間価値を考慮して計
算しています。
(4)キャッシュ・フロー情報
金額(単位:百万円)
支払対価の公正価値の合計 8,130
支払対価に含まれる条件付対価の公正価値 △2,982
被取得企業が保有する現金及び現金同等物 △915
子会社の取得による支出 4,233
(5)取得関連費用
金額:64百万円
取得関連費用が認識されている連結純損益計算書の表示科目:販売費及び一般管理費
(6)連結純損益計算書に与える影響
① 当連結会計年度の連結純損益計算書で認識されている取得日以降の被取得企業の税引前利益
金額的重要性が低いため、記載を省略しています。
② 企業結合が期首に実施されたと仮定した場合の当連結会計年度の連結純損益計算書の税引前利益に与える影響額
金額的重要性が低いため、記載を省略しています。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
ポテンザ セラピューティクス Inc.の取得
(1)企業結合の概要
① 被取得企業の名称及びその事業の内容
被取得企業の名称:ポテンザ セラピューティクス Inc.
事業の内容:免疫系を活性化する種々の新規がん治療薬の研究・開発
② 取得日
米国時間 2018年12月13日
③ 議決権付資本持分の割合
買収前に当社グループが保有していた議決権付資本持分の割合は24%でしたが、本買収により100%となります。
④ 被取得企業の支配の獲得方法
契約一時金及びマイルストンを支払対価とする株式取得
⑤ 企業結合を行った主な理由
ポテンザ セラピューティクス Inc.は、2014年に設立されたバイオテクノロジー企業であり、過去3年半にわた
る共同研究開発提携により、臨床段階にある複数の新規がん免疫療法プログラムを創出しています。本買収により、
当社グループは競争力のある自社のがん免疫療法プログラムを獲得し、当社グループが保有する既存のがんプログ
ラムとの併用療法や新たな免疫療法プログラムとの併用療法の開発につながる可能性があります。
(2)取得日現在における取得資産、引受負債及び支払対価の公正価値
(単位:百万円)
当初の暫定的な
その後の修正 修正後の公正価値
公正価値
有形固定資産 36 - 36
無形資産 31,609 - 31,609
現金及び現金同等物 802 - 802
その他の資産 191 - 191
繰延税金負債 △5,232 - △5,232
その他の負債 △1,580 - △1,580
取得資産及び引受負債の公正価
25,827 - 25,827
値(純額)
のれん 5,762 △244 5,518
合計 31,589 △244 31,345
現金 18,668 - 18,668
条件付対価 7,065 △200 6,865
既存持分の公正価値 5,856 △44 5,812
支払対価の公正価値の合計 31,589 △244 31,345
当連結会計年度において、当該企業結合における取得日現在の支払対価の公正価値の測定に関して、新たな事
実が判明し追加的な分析を行ったため、上記のとおり、支払対価の暫定的な公正価値を修正しています。また、
当該公正価値の測定は継続中であるため、企業結合当初の会計処理は完了していません。
のれんの主な内容は、個別に認識要件を満たさない、取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー
効果及び超過収益力です。
当社グループが支配獲得日の直前に保有していたポテンザ セラピューティクス Inc.の資本持分を支配獲得日
の公正価値で再測定した結果、企業結合に伴う再測定益として5,812百万円を認識し、連結純損益計算書の「そ
の他の収益」に計上しています。
(3)条件付対価
条件付対価は、ポテンザ セラピューティクス Inc.が保有している複数の開発プログラムの進捗に応じて支払
うマイルストンであり、最大240百万米ドル(26,651百万円)を支払う可能性があります。条件付対価の公正価
値は、当該プログラムが成功する可能性や貨幣の時間価値を考慮して計算しています。
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
(4)キャッシュ・フロー情報
金額(単位:百万円)
支払対価の公正価値の合計 31,345
支払対価に含まれる条件付対価の公正価値 △6,865
支払対価に含まれる既存持分の公正価値 △5,812
被取得企業が保有する現金及び現金同等物 △802
子会社株式の取得による支出 17,866
(5)取得関連費用
金額的重要性が低いため、記載を省略しています。
(6)連結純損益計算書に与える影響
① 当連結会計年度の連結純損益計算書で認識されている取得日以降の被取得企業の税引前利益
金額的重要性が低いため、記載を省略しています。
② 企業結合が期首に実施されたと仮定した場合の当連結会計年度の連結純損益計算書の税引前利益に与える影響額
金額的重要性が低いため、記載を省略しています。
(事業セグメント)
当社グループの事業内容は医薬品の製造とその販売であり、区分すべき事業セグメントが存在しないため、報告セ
グメントは医薬品事業単一となっています。
製品及びサービスに関する情報
製品及びサービスごとの外部顧客への売上収益は次のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2017年4月1日 (自 2018年4月1日
至 2018年3月31日) 至 2019年3月31日)
XTANDI/イクスタンジ 294,302 333,050
プログラフ 198,471 195,706
ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ 125,745 147,178
ベシケア 102,306 94,974
その他 579,492 535,439
合計 1,300,316 1,306,348
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アステラス製薬株式会社(4503)
2019年3月期 決算短信
地域に関する情報
売上収益及び非流動資産の地域別内訳は次のとおりです。
地域別売上収益
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2017年4月1日 (自 2018年4月1日
至 2018年3月31日) 至 2019年3月31日)
日本 406,414 376,157
米州 435,108 459,646
うち、米国 404,409 428,776
EMEA 351,280 357,013
アジア・オセアニア 107,513 113,532
合計 1,300,316 1,306,348
(注)地域別売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しています。
地域別非流動資産(有形固定資産・のれん及び無形資産)
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(2018年3月31日) (2019年3月31日)
日本 424,603 408,922
米州 240,566 325,312
うち、米国 240,313 325,023
EMEA 141,952 91,036
アジア・オセアニア 4,061 3,783
合計 811,183 829,053