4503 アステラス薬 2021-09-01 15:00:00
X連鎖性ミオチュブラーミオパチー患者を対象としたAT132の臨床試験(ASPIRO 試験)に関する最新報告 [pdf]

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各位
                  会          社           名
                               ア ス テ ラ ス 製 薬 株 式 会 社
                  代          表 代表取締役社長 CEO 安 川 健 司
                                         者
                               (コード:4503、東証第一部)
                          (URL h t t p s : / / w w w. a s t e l l a s . c o m / j p / )
                  決    算    期 3月
                  問 い 合 わ せ 先 コーポレート・アドボカシー&リレーション部長
                                                                       藤井 郁乃
                                                    (Tel:03-3244-3201)


     X 連鎖性ミオチュブラーミオパチー患者を対象とした
     AT132 の臨床試験(ASPIRO 試験)に関する最新報告

 アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:安川 健司、以下「アステ
ラス製薬」)は、X 連鎖性ミオチュブラーミオパチー(XLMTM)患者を対象とした遺伝子治療
薬 AT132 の臨床試験(ASPIRO 試験)について、自主的にスクリーニングと投薬を一時停
止しました。

 この決定は、ASPIRO 試験に参加した患者さんにおいて AT132 投与の数週間後に観察
された、肝機能検査値の異常という重篤な有害事象(Serious Adverse Event: SAE)の報
告に基づいています。アステラス製薬は自主的にスクリーニングと投薬を一時停止し、この
SAE について米国食品医薬品局(FDA)に報告し、協議を行っています。現時点では、臨
床試験の差し止めに関する FDA からの通知は発出されていません。

 この患者さんには、一部の XLMTM 患者さんでも報告されている間欠的胆汁うっ滞の病
歴がありましたが、投薬前の肝超音波検査において正常であり、また肝機能検査において
は適格基準の範囲内であることを確認していました。アステラス製薬は、引き続きこの患者
さんの状態を注視していきます。

 ASPIRO 試験では、これまでに 24 人の患者さんが AT132 を投与されています
(1.3x1014 vg/kg の低用量で 7 人、3.5x1014 vg/kg の高用量で 17 人)。高用量を投与され
た患者さんのうち 3 人が、進行性胆汁うっ滞性肝炎、その後に非代償性肝不全を発症し、
この肝不全を起因とする敗血症(2 人)または消化管出血(1 人)で亡くなられました。

 2020 年 12 月に、低用量への変更を含む ASPIRO 試験プロトコルの変更が FDA によっ
て確認され、臨床試験の差し止めが解除されました。解除後の 2021 年夏に低用量の
AT132 を投与された患者さんにおいて、今回の SAE が観察されました。肝機能検査値の


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上昇は、投与後 1 カ月以内に最初に認められました。アステラス製薬は、治験責任医師と
もに、本試験に登録されたすべての患者さんの状態をこれまで通り注意深く観察していき
ます。

 XLMTM は、重度の筋力低下と呼吸障害により若くして死に至る、重篤で致死的な神経
筋疾患です。アステラス製薬は、現在治療法のない XLMTM と共に生きる患者さんとその
ご家族のために AT132 を安全に開発することにコミットしています。今後、適切な時期に追
加情報をお知らせします。

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XLMTM について
XLMTM は、重度の筋力低下と呼吸障害により若くして死に至る、重篤で致死的な神経筋疾患です。生後 18 カ
月時点の推定生存率は 50%とされており、乳児期を過ぎて生存した患者さんの場合、10 歳までの推定生存率
はさらに 25%とされています。XLMTM は、骨格筋細胞の正常な発達、成熟および機能に必要なタンパク質で
あるミオチュブラリンの欠損または機能不全をもたらす MTM1 遺伝子変異によって引き起こされ、およそ
40,000~50,000 人の新生児男子に 1 人の割合で発症する疾患です。
XLMTM は度重なる入院および外科的介入などにより、患者さんやご家族および医療システムに大きな負担が
かかります。XLMTM 患者さんの 80%以上が人工呼吸器による補助を必要とし、多くの場合、栄養補給のため
の胃瘻カテーテルを必要とします。また、ほとんどの患者さんにおいて、正常な運動発達マイルストーンの遅延
や未達がみられます。現在治療法はなく、補助人工呼吸器や栄養チューブなどの支持療法の選択肢しかあり
ません。


XLMTM の治療薬 AT132 について
AT132 は、XLMTM の治療のための、MTM1 遺伝子の機能コピーを有する AAV8 ベクターです。一度の静脈
内投与により標的とする骨格筋に AAV8 を送り込み、その標的組織においてミオチュブラリン発現を増加させる
ことにより、患者さんの転帰を有意に改善させることが期待されています。AT132 の前臨床開発は、Genethon
(www.genethon.fr)と共同で実施されました。
AT132 は、FDA から「再生医療・先端治療(RMAT)」、「希少小児疾病(Rare Pediatric Disease)」、「ファストト
ラック(Fast Track)」、「希少疾病用医薬品(Orphan Drug)」の指定、および欧州医薬品庁(EMA)から「優先医
薬品(Priority Medicines:PRIME)」、「希少疾病用医薬品(Orphan Drug)」の指定を受けています。


ASPIRO 試験について
ASPIRO 試験(NCT03199469)は、5 歳未満の XLMTM 患者を対象に、AT132 の安全性および予備的有効

性を評価する国際共同無作為化非盲検漸増投与試験です。主要評価項目には、安全性(有害事象および一定
の臨床検査値)および有効性(神経筋機能および呼吸機能の評価)が含まれます。副次評価項目には、疾患の
負担や健康に関連する生活の質(Quality of Life)、ならびに筋組織学的およびバイオマーカーによる評価が含
まれます。




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Astellas Gene Therapies について
アステラス製薬は、2021 年 4 月 1 日付で子会社の Audentes Therapeutics, Inc.(米国カリフォルニア州)を社
内に統合し、Astellas Gene Therapies を設置し、遺伝子治療の Center of Excellence と位置付けました。最
先端の科学技術と業界をリードする製造のケイパビリティを有し、主に、遺伝子置換、エクソンスキッピング、
RNA ノックダウンの 3 つの作用機序を対象に取り組みを進めています。サンフランシスコ(米国カリフォルニア
州)を拠点とし、サウスサンフランシスコ(米国カリフォルニア州)およびサンフォード(米国ノースカロライナ州)に
製造および研究施設を設けています。


アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、世界 70 カ国以上で事業活動を展開している製薬企業です。最先端のバイオロジーやモダ
リティ/テクノロジーの組み合わせを駆使し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品
の創出に取り組んでいます(Focus Area アプローチ)。さらに、医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベース
に、最先端の医療技術と異分野のパートナーの技術を融合した製品やサービス(Rx+®)の創出にも挑戦してい
ます。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変えていきます。ア
ステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。


注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実
ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可
能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さ
まざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、
(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の
遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬
を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定
されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情
報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。




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