4503 アステラス薬 2021-02-04 12:00:00
FLT3阻害剤「XOSPATA」 再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病治療薬として中国NMPAから条件付き承認を取得 [pdf]

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各位
                  会          社           名
                               ア ス テ ラ ス 製 薬 株 式 会 社
                  代          表 代表取締役社長 CEO 安 川 健 司
                                         者
                               (コード:4503、東証第一部)
                          (URL h t t p s : / / w w w. a s t e l l a s . c o m / j p / )
                  決    算    期 3月
                  問 い 合 わ せ 先 コーポレート・アドボカシー&リレーション部長
                                                                       藤井 郁乃
                                                    (Tel:03-3244-3201)


                FLT3 阻害剤「XOSPATA®」
  再発または難治性の FLT3 遺伝子変異陽性急性骨髄性
 白血病治療薬として中国 NMPA から条件付き承認を取得

 アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、 FLT3(FMS-like
tyrosine kinase 3)阻害剤 gilteritinib(一般名、製品名:XOSPATA®、以下「ギルテリチニ
ブ」)について、中国の国家薬品監督管理局(National Medical Products Administration:
NMPA)から、十分検証された臨床検査により FLT3 遺伝子変異が確認された成人の再発
または難治性の急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia: AML)に対する治療薬とし
て、条件付き承認を取得しました。ギルテリチニブは、2020 年 7 月に NMPA から優先審査
の指定*1 を受け、さらに 2020 年 11 月に第 3 回「緊急臨床ニーズのある海外新薬リスト」
へ掲載*2 された後、迅速承認されました。ギルテリチニブは、成人の再発または難治性の
FLT3 遺伝子変異陽性 AML を適応症として NMPA が初めて承認した FLT3 阻害剤です。

 ギルテリチニブは、FLT3 遺伝子内縦列重複変異(Internal Tandem Duplication:ITD)、
およびチロシンキナーゼドメイン変異(Tyrosine Kinase Domain:TKD)の 2 種類の変異に
対する阻害活性を示します。AML 患者の約 30%に見られる FLT3-ITD 変異*3 は、野生型
の FLT3 に比べ、再発するリスクを高め、全生存期間を短縮させることに関連しています*4,5。
また、FLT3-TKD 変異は AML 患者の約 7%に見られます*3。FLT3 遺伝子変異の有無は、
AML 治療の過程、および再発後においても変化する可能性があります。再発時に AML 患
者の FLT3 遺伝子変異の有無を確認することは、最善の治療を行うために役立つ情報とな
ります*6。

 AML は血液と骨髄に影響を及ぼすがんであり*7、その罹患率は年齢とともに増加します*8。
AML は、成人の白血病の中で最もよく見られる分類の一つです*9 。中国では毎年約
80,000 人が白血病と診断されると言われています*10。

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 このたびの承認は、New England Journal of Medicine に掲載された第 III 相 ADMIRAL
試験の結果に基づいています。本試験における全生存期間(中央値)は、救援化学療法*11
群の 5.6 カ月に対し、ギルテリチニブ投与群は 9.3 カ月と有意な延長が認められました*12
(ハザード比=0.64(95%信頼区間 0.49, 0.83), P=0.0004)。また、現在進行中の第 III 相
COMMODORE 試験における中国人患者の薬物動態データも合わせて審査されました。

 ギルテリチニブの安全性評価は、ギルテリチニブ 120 mg /日の投与を一回以上受けた
再発または難治性の FLT3 遺伝子変異陽性 AML 患者 319 例を対象に行われました*12。
ギルテリチニブ投与群で、グレードを問わず 10%以上の患者に発生した有害事象は、アラ
ニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)増加(25.4%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
(AST)増加(24.5%)、貧血(20.1%)、血小板減少症(13.5%)、発熱性好中球減少症
(12.5%)、血小板数減少(12.2%)、下痢(12.2%)、悪心(11.3%)、血中アルカリホスファ
ターゼ増加(11%)、疲労(10.3%)、白血球数減少(10%)、および血中クレアチンホスホキ
ナーゼ増加(10%)でした。ギルテリチニブ投与群の 1 人に致死的な有害事象である分化
症候群がみられました。また発生頻度の高い(3%以上)重篤な有害事象は、発熱性好中
球減少症(7.5%)、ALT の増加(3.4%)、および AST の増加(3.1%)でした。その他の重篤
な有害事象には、心電図の QT 延長(0.9%)および可逆性後頭葉白質脳症(PRES)
(0.3%)が含まれています。

 アステラス製薬は、再発または難治性の AML 患者さんとその治療に携わる医療関係者
に、NMPA が迅速審査により承認した XOSPATA®を新たな治療選択肢として提供するこ
とにより、中国における AML 治療に一層の貢献をしていきます。

 なお、本件によるアステラス製薬の業績への影響は、通期(2021 年 3 月期)連結業績予
想に織り込み済みです。

                                                           以上




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ADMIRAL 試験について
第 III 相 ADMIRAL 試験(NCT02421939)は、AML に対する一次治療後に再発した、または一次治療抵抗性
の FLT3 遺伝子変異陽性の成人 AML 患者を対象に、ギルテリチニブと救援化学療法を比較する非盲検多施
設共同無作為化試験です。本試験の主要評価項目は全生存期間および完全寛解(CR)と部分的血液学的回
復を伴う完全寛解(CRh)の割合(CR/CRh 率)ですが、全生存期間を最終解析時における主要評価項目としま
した。本試験では骨髄あるいは全血において FLT3 遺伝子変異陽性と判定された患者 371 名が組み入れられ
ました。患者は 2:1 の割合でギルテリチニブ(120 mg)または救援化学療法のいずれかを投与する群に無作為
に割付けられました*13。


COMMODORE 試験について
第 III 相 COMMODORE 試験(NCT03182244)は、再発または難治性で FLT3 遺伝子変異陽性の成人 AML
患者を対象に、ギルテリチニブと救援化学療法を比較する非盲検多施設共同無作為化試験であり、中国およ
び他の国々で実施しています。本試験の主要評価項目は全生存期間です。本試験では、安全性評価と共に、
無イベント生存期間(EFS)および CR 率により全般的な有効性も評価し、ギルテリチニブと救援化学療法を比
較します。患者は 1:1 の割合でギルテリチニブ(120 mg)または救援化学療法のいずれかを投与する群に無作
為に割付けられます*14。


ギルテリチニブについて
ギルテリチニブは、アステラス製薬と寿製薬株式会社の共同研究により見いだされました。アステラス製薬はギ
ルテリチニブについて、全世界での開発、製造、ならびに商業化に関する独占的な権利を有します。現在までに
「再発又は難治性の FLT3 遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」を効能・効果として、米国、日本、および欧
州の一部の国で、アステラス製薬が発売しています*15。ギルテリチニブは、FLT3(FMS-like tyrosine kinase 3)
の遺伝子内縦列重複変異体 [FLT3-ITD (Internal Tandem Duplication)]、およびチロシンキナーゼドメイン変
異体 [FLT3-TKD (Tyrosine Kinase Domain)] に対する阻害活性を有する FLT3 阻害剤です。FLT3-ITD は、
病態の進行や予後不良に関連する遺伝子変異として知られています*16。


*1: Center for Drug Evaluation, NMPA. List of priority review varieties. Available at:
http://www.cde.org.cn/news.do?method=changePage&pageName=service&frameStr=21. Last
accessed December 2020.
*2: Center for Drug Evaluation, NMPA. Notice on the release of the third batch of clinically urgently
needed overseas new drugs. Available at:
http://www.cde.org.cn/news.do?method=viewInfoCommon&id=5ed6430be031fc66. Last accessed
December 2020.
*3: Patel JP, Gönen M, Figueroa ME, et al. Prognostic relevance of integrated genetic profiling in acute
myeloid leukemia. N Engl J Med. 2012;366(12):1079-89.
*4: Whitman SP, Archer KJ, Feng L, et al. Absence of the wild-type allele predicts poor prognosis in
adult de novo acute myeloid leukemia with normal cytogenetics and the internal tandem duplication of
FLT3: a Cancer and Leukemia Group B study. Cancer Res. 2001;61(19):7233-7239.
*5: Whitman SP, Maharry K, Radmacher MD, et al. FLT3 internal tandem duplication associates with
adverse outcome and gene- and microRNA-expression signatures in patients 60 years of age or older
with primary cytogenetically normal acute myeloid leukemia: a Cancer and Leukemia Group B study.
Blood. 2010;116(18):3622-3626.
*6: Warren M, et al. Clinical impact of change of FLT3 mutation status in acute myeloid leukemia
patients. Mod Pathol. 2012;25(10):1405-12.




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*7: American Cancer Society. What is Acute Myeloid Leukemia (AML)? Available at
https://www.cancer.org/cancer/acute-myeloid-leukemia/about/what-is-aml.html. Last accessed
December 2020.
*8: American Cancer Society. Risk Factors for Acute Myeloid Leukemia (AML). Available at:
https://www.cancer.org/cancer/acute-myeloid-leukemia/causes-risks-prevention/risk-factors.html. Last
accessed December 2020.
*9: American Cancer Society. Key Statistics for Acute Myeloid Leukemia (AML). Available at
https://www.cancer.org/cancer/acute-myeloid-leukemia/about/key-statistics.html. Last accessed
December 2020.
*10: GLOBOCAN Cancer Today Database, International Agency for Research on Cancer, World
Health Organisation. Population Fact Sheets in 2018. Available at:
http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/160-china-fact-sheets.pdf. Last accessed December
2020.
*11: 救援化学療法:主に血液がんにおいて、一次治療の効果が得られない場合(治療抵抗性)、または一次
治療後に再発・再燃した場合に用いる治療法のこと。サルベージ療法と呼ばれることもあります。
*12: Perl A, et al. Gilteritinib or Chemotherapy for Relapsed or Refractory FLT3-mutated AML. N Engl J
Med 2019; 381:1728-40.
*13: ClinicalTrials.gov. A Study of ASP2215 Versus Salvage Chemotherapy in Patients with Relapsed or
Refractory Acute Myeloid Leukemia (AML) With FMS-like Tyrosine Kinase (FLT3) Mutation. Available at:
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02421939. Last accessed December 2020.
*14: ClinicalTrials.gov. A Study of ASP2215 Versus Salvage Chemotherapy in Patients with Relapsed
or Refractory Acute Myeloid Leukemia (AML) With FLT3 Mutation. Available at: I think it is better to
change the link destination address to https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03182244. Last accessed
December 2020.
*15: Data on file. Northbrook, IL. Astellas Pharma Inc.
*16: Daver N, Schlenk RF, Russel NH, Levis MJ. (2019). Targeting FLT3 mutations in AML: review of
current knowledge and evidence. Leukemia 33: 299-312.


アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、世界 70 カ国以上で事業活動を展開している製薬企業です。最先端のバイオロジーやモダ
リティ/テクノロジーの組み合わせを駆使し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品
の創出に取り組んでいます(Focus Area アプローチ)。さらに、医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベース
に、最先端の医療技術と異分野のパートナーの技術を融合した製品やサービス(Rx+®)の創出にも挑戦してい
ます。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変えていきます。ア
ステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。


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