4503 アステラス薬 2020-09-23 08:30:00
抗体-薬物複合体 PADCEVが 治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がんを対象とした第III相試験において全生存期間を有意に延長 [pdf]

                                                                              2020 年 9 月 23 日

各位
                      会        社        名   ア ス テ ラ ス 製 薬 株 式 会 社
                      代        表        者   代表取締役社長 CEO 安 川 健 司
                                            (コード:4503、東証第一部)
                              (URL          h t t p s : / / w w w. a s t e l l a s . c o m / j p / )
                      決    算    期           3月
                      問 い 合 わ せ 先           コーポレート・アドボカシー&リレーション部長
                                                                           藤井 郁乃
                                                                 (Tel:03-3244-3201)


 抗体‐薬物複合体 PADCEV ®(エンホルツマブ ベドチン)が
  治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がんを
 対象とした第 III 相試験において全生存期間を有意に延長
         - 中間解析での良好な結果に基づき臨床試験を早期に終了 -
                  - グローバルにおける承認申請を支持し、
      米国での迅速承認を正規承認に変えうる、臨床的な有用性を確認 -

  アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、Seattle Genetics, Inc.
(以下、「 Seattle Genetics 社」)と共同で開発を進めている抗体- 薬物複合体( Antibody-
Drug Conjugate: ADC)である PADCEV®(一般名:エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換
え))の第 III 相試験(EV-301 試験)に関して、化学療法と比較して主要評価項目である全
生存期間(OS)が統計学的に有意な延長を示したことを発表しました。本試験の結果は、
中間解析を経て、独立データモニタリング委員会により評価され、試験を早期に終了してい
ます。本試験は、白金製剤を含む化学療法および抗 PD-1 抗体薬または抗 PD-L1 抗体薬
による治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がんの成人患者を対象とし、
PADCEV®投与群と化学療法群とを比較したものです。

  本試験において、PADCEV®は OS を有意に延長し、死亡リスクを 30%減少させました
(ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.56, 0.89、p=0.001)。また、PADCEV®は副次評価項
目である無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、疾患の進行または死亡のリスクを臨床
的 に 有 意 に 39% 減 少 さ せ ま し た ( ハ ザ ー ド 比 : 0.61 、 95% 信 頼 区 間 : 0.50, 0.75 、
p<0.00001)。

  PADCEV®投与群で認められた有害事象は米国での添付文書に記載されているものと
同等であり、最も頻度の高いグレード 3 以上の有害事象は発疹、高血糖、好中球数減少、
疲労、貧血、食欲減退でした。本試験の詳細なデータは、今後の学会で発表される予定で

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す。本試験における化学療法群の患者には、今後 PADCEV®を投与する機会が提供され
ます。

 EV-301 試験の結果は、米国での 2019 年の迅速承認後の検証試験として米国食品医
薬品局(FDA)に提出される予定であるほか、その他の地域での承認申請にも使用されま
す。

 2020 年には全世界で約 58 万人が膀胱がんと診断されると言われています*1。尿路上
皮がんは膀胱がん全体の 90%を占めており、腎盂、尿管および尿道にもみられます*2。初
期治療として白金製剤を含む化学療法が無効となった進行性尿路上皮がん患者の約 80%
で、抗 PD-1 抗体薬または抗 PD-L1 抗体薬は奏効しません*3。

 なお、日本において、エンホルツマブ べドチンは承認申請に向けた開発段階にあります。

 本件については、米国において現地時間 9 月 18 日に対外発表しています。

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EV-301 試験について
EV-301 試験(NCT03474107)は国際共同、多施設、非盲検、無作為化第 III 相試験です。本試験は、白金製
剤および抗 PD-1 抗体薬または抗 PD-L1 抗体薬による治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がん
患者約 600 名を対象に、PADCEV®投与群を、医師の選択する化学療法(ドセタキセル、パクリタキセルあるい
はビンフルニン)群と比較しています。主要評価項目は OS です。副次的評価項目には、PFS、奏功期間、全奏
効率のほか、安全性/忍容性、QOL(Quality-of-Life)パラメータの評価が含まれます。
エンホルツマブ ベドチンの臨床試験の詳細については http://www.clinicaltrials.gov をご覧ください。


エンホルツマブ ベドチン(PADCEV®)について
PADCEV®は、米国食品医薬品局(FDA)により 2019 年 12 月に承認され、抗 PD-1 抗体薬または抗 PD-L1
抗体薬による治療歴があり、かつ、術前または術後の補助化学療法として、あるいは局所進行または転移した
状態において白金製剤を含む化学療法による治療歴のある、局所進行性または転移性尿路上皮がんを適応と
しています。PADCEV®は、FDA から奏効率に基づいて迅速承認を取得しました。実施中の検証試験において
臨床的な有用性が確認されることが承認継続の条件となっています。
PADCEV®は、ほぼ全ての尿路上皮がん細胞に発現し、細胞間の接着に関連するタンパク質であるネクチン-4
を標的とするファーストインクラスの ADC です。非臨床試験データから、PADCEV®の抗腫瘍活性は、がん細
胞上で PADCEV®がネクチン-4 に結合して標的細胞内に取り込まれると細胞殺傷物質であるモノメチルアウリ
スタチン E(MMAE)が放出され、細胞増殖抑制(細胞周期停止)および細胞死(アポトーシス)が生じることによ
ることが示唆されています。アステラス製薬と Seattle Genetics 社は PADCEV®の共同開発を行っています。
なお、エンホルツマブ ベドチンは日本国内では未承認です。



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Seattle Genetics 社とのライセンス契約について
Seattle Genetics 社とアステラス製薬は、エンホルツマブ ベドチンの共同開発に関するライセンス契約を
2007 年に締結し、2009 年にライセンス範囲を拡大する修正契約を締結しました。この契約に基づき、全世界
でのエンホルツマブ ベドチンに関わる費用および利益を両社で折半します。


アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、世界 70 カ国以上で事業活動を展開している製薬企業です。最先端のバイオロジーやモダ
リティ/テクノロジーの組み合わせを駆使し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品
の創出に取り組んでいます(Focus Area アプローチ)。さらに、医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベース
に、最先端の医療技術と異分野のパートナーの技術を融合した製品やサービス(Rx+®)の創出にも挑戦してい
ます。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変えていきます。ア
ステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。


注意事項
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(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の
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を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定
されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情
報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。



*1 International Agency for Research on Cancer. Cancer Tomorrow: Bladder. http://gco.iarc.fr/tomorrow.
Accessed 07-31-2020.
*2 American Society of Clinical Oncology. Bladder cancer: introduction (10-2017).
*3 Shah, Manasee V., et al “Targeted Literature Review of the Burden of Illness in UC” (PCN108), Nov
2018.




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