4503 アステラス薬 2020-08-04 12:00:00
2021年3月期 第1四半期決算説明会資料 [pdf]
2020年度第1四半期決算概況
2020年8月4日
アステラス製薬株式会社
代表取締役副社長 経営戦略・財務担当役員
岡村 直樹
注意事項 2
この資料に記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述および
その他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の
見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想
定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。
様々な要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性が
あります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関
係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品お
よび既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力
のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的
財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、こ
の資料に含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広
告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。
本日の内容 3
2020年度第1四半期 連結業績および
I
2020年度業績 修正予想
II 持続的な成長に向けた取り組み
III キャピタルアロケーション
2020年度第1四半期業績の概要 4
売上収益・コア営業利益は前同比較で減少
成長を支える主要製品の売上は順調に拡大
特にXTANDI、PADCEVが期待を上回る売上拡大
主要製品の成長が、独占販売期間満了や日本での販売契約終了による
売上の減少をカバー
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による業績へのマイナスの影響
2020年度第1四半期業績 5
為替の影響を
(億円) 19年度1Q 20年度1Q 増減額 増減率 除いた増減率
売上収益 3,341 3,070 -272 -8.1% -6.0%
売上原価 705 597 -109 -15.4%
売上収益比率 21.1% 19.4%
販売費及び一般管理費 1,175 1,208 +33 +2.8%
研究開発費 535 573 +38 +7.1%
無形資産償却費 72 59 -13 -18.4%
コア営業利益 847 634 -214 -25.2% -18.4%
<フルベース>
その他の収益 45 22 -23 -50.4%
その他の費用 122 48 -74 -60.6%
営業利益 771 608 -163 -21.1%
税引前四半期利益 765 602 -163 -21.3%
四半期利益 585 504 -81 -13.9%
2020年度第1四半期業績: 売上収益 6
主要製品の成長が、独占販売期間満了や日本での販売契約終了による
売上の減少をカバー
19年度1Q 20年度1Q 増減額
売上収益 3,341億円 3,070億円 -272億円
主要製品の増加
XTANDI、ゾスパタ、PADCEV、ミラベグロン、日本の新製品 +281億円
独占販売期間満了/日本での販売契約終了の影響
欧州ベシケア、タルセバ、セレコックス、米国マイカミン/ファンガード
シムビコート、KMバイオ製品、ミカルディス -288億円
COVID-19の影響: 約-230億円
• 前期末の流通在庫の積み増しの反動 (欧州XTANDI・プログラフなど)
• 受診抑制による需要減 (OAB製品、レキスキャン、イベニティなど)
日本の新製品:レパーサ、スーグラファミリー、リンゼス、ダフクリア、ビーリンサイト、イベニティ、スマイラフ
OAB(過活動膀胱)製品:ベシケア+ミラベグロン(製品名:ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ)
2020年度第1四半期業績: 主要製品売上 7
2020年度1Q実績
XTANDI 過去最高の四半期売上
米国では物量で30%増加
1,120億円 +160億円(+17%) 20年5月、日本で適応追加
ゾスパタ
日本、米国に加え、欧州での売上貢献(+10億円)
56億円 +32億円(+128%)
PADCEV
米国で19年12月に発売以降、順調な立ち上がり
30億円 +30億円
ミラベグロン 米国は継続して二桁成長
COVID-19の影響で需要が減少し、グローバル売上は
404億円 +5億円(+1%) 横ばいにとどまる
日本の新製品 イベニティ(+34億円)、スーグラファミリー(+11億円)が
182億円 +54億円(+42%) けん引
PADCEVはSeattle Genetics社からのコ・プロモーション収入
ミラベグロン(製品名:ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ)
日本の新製品:レパーサ、スーグラファミリー、リンゼス、ダフクリア、ビーリンサイト、イベニティ、スマイラフ
2020年度第1四半期: 費用項目 8
コアベース: 費用項目の増減
売上原価率 主に製品構成の変化により低下
1.7ppt低下 (未実現利益消去に係る為替の影響は原価率上昇方向(+ 1.1ppt))
販管費 米国での売上拡大に伴うXTANDI共同販促費の増加を除くと4.8%減少
2.8%増加 COVID-19の影響による販促費用、旅費などの減少
研究開発費 後期開発品の開発費用増加に加え、Audentes社の研究開発費が増加要因
7.1%増加 COVID-19の影響による開発費用の減少
無形資産償却費
タルセバ無形資産の米国の償却が前年度1Qに終了
18.4%減少
2020年度通期業績 修正予想 9
売上収益、コア営業利益を下方修正
最新のビジネス見通しを反映:
がん領域の主力品は力強い成長トレンドを継続しており、売上予想を上方修正
COVID-19の影響を反映: 売上予想と費用見込みを下方修正
コア営業利益率は20%を目指す
20年度 20年度
(億円) 差異
期初予想 修正予想
売上収益 12,820 12,565 -255
研究開発費 2,390 2,335 -55
コア営業利益
2,570 2,510
-60
20.0% 20.0%
2020年度通期業績 修正予想: 期初予想との差異 10
業績修正の要因
売上収益 コア営業利益
期初予想との差異 -255億円 -60億円
(内訳)
最新のビジネス +130億円 +85億円
見通し • 米国XTANDI、PADCEVの好調 • 売上の上方修正に伴う利益増
• 効率的な経費使用の推進
• グローバル調達のさらなる推進
COVID-19の影響 -350億円 -130億円
• 流通在庫積み増しの反動 • 粗利減: -270億円
欧州XTANDI・プログラフなど • 費用減: +140億円
• 受診抑制などに伴う売上の低下 活動の制限に伴う費用減
OAB製品、レキスキャン、イベニティなど 臨床試験の遅れ
• 欧州XTANDIの追加適応症(M1 CSPC)
取得見込みの遅れ
為替の影響 -35億円 -15億円
OAB(過活動膀胱)製品:ベシケア+ミラベグロン(製品名:ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ)
M1 CSPC:転移性去勢感受性前立腺がん
2020年度通期業績 修正予想: 期初予想との差異 11
第2四半期以降の見通し
売上収益の下方修正幅は縮小
がん領域の主力品の堅調な推移に加え、1Qに大きく出たCOVID-19の影響は
緩やかになる見込み
期初予想を上回るコア営業利益を確保
COVID-19の影響による費用減に加え、さらなるコスト効率化を推進することで
売上の減少による利益のマイナスを吸収
(億円)
1Q 2Q - 4Q 2020年度通期
期初予想と実績の差 期初予想と修正予想の差 期初予想と修正予想の差
売上収益 -195 -60 -255
コア営業利益 -85 +25 -60
本日の内容 12
2020年度第1四半期 連結業績および
I
2020年度業績 修正予想
II 持続的な成長に向けた取り組み
III キャピタルアロケーション
重点後期開発品: 最新状況 13
(下線:2020年5月の2019年度決算発表以降の更新)
エンザルタミド ギルテリチニブ エンホルツマブ ベドチン
M0 CRPC 再発または難治性の 転移性尿路上皮がん
• 第Ⅲ相試験のOSデータを 急性骨髄性白血病 • 治療歴なし(一次治療;ペムブロリズマブ
NEJMおよびASCO 2020で発表 • 中国: 2020年3月に申請 併用): 第Ⅲ相試験進行中
• 添付文書へのOSデータ追加について • 二次以降の治療:
米国(2020年5月)および欧州(2020年 早期ステージの急性骨髄性白血病 第Ⅱ相および第Ⅲ相試験進行中
6月)で申請 • 第Ⅲ相試験進行中
M1 CSPC その他の種類の固形がん
• 2020年5月に遠隔転移を有する • 第Ⅱ相試験進行中
前立腺癌の適応で日本で承認取得
• 2019年7月に欧州で申請
M0 CSPC
ロキサデュスタット fezolinetant
• 第Ⅲ相試験進行中 慢性腎臓病に伴う貧血 更年期に伴う血管運動神経症状
中国 • 欧州: 2020年4月に申請 • 米国・欧州: 第Ⅲ相試験進行中
• M0 CRPC: 2019年10月に申請 • 日本: 2020年1月に保存期の適応追加 • 日本: 開発計画を検討中
• M1 CSPC: 第Ⅲ相試験進行中 について申請 (日本ローカル開発を予定)
化学療法に伴う貧血 • アジア: アジア共同第Ⅲ相試験進行中
ゾルベツキシマブ • 第Ⅱ相試験進行中
胃腺がんおよび
食道胃接合部腺がん
• 第Ⅲ相試験進行中
AT132 (resamirigene bilparvovec) XLMTM
膵臓腺がん • 重篤な有害事象が最近認められたため、 遺伝子治療
• 第Ⅱ相試験進行中 FDAの指示により臨床試験を差し止め(clinical hold)
M0:非転移性、M1:転移性、CRPC:去勢抵抗性前立腺がん、CSPC:去勢感受性前立腺がん、OS:全生存期間、NEJM:New England Journal of Medicine、
ASCO:American Society of Clinical Oncology、XLMTM:X連鎖性ミオチュブラーミオパチー、FDA:米国食品医薬品局
エンザルタミド: 病期別第Ⅲ相試験データ 14
早期前立腺がんにおいても薬効を示す
一貫した生存期間の延長
より長い投与期間
早期 後期
病期 去勢感受性(CSPC) 去勢抵抗性(CRPC)
M0 M1 M0 M1 M1
(化学療法歴なし) (化学療法歴あり)
第Ⅲ相試験 EMBARK ARCHES ENZAMET PROSPER PREVAIL AFFIRM
従来の非ステロイド性
対照 プラセボ プラセボ 抗アンドロゲン剤 プラセボ プラセボ プラセボ
✔ rPFS
MFS ✔ rPFS ✔ OS ✔ MFS HR 0.19 ✔ OS
主要評価項目
(試験進行中) HR 0.39 HR 0.67 HR 0.29 ✔OS HR 0.63
HR 0.71*
全生存期間 ✔ ✔ ✔ ✔
(試験進行中) (未達)
(OS) HR 0.67 HR 0.73 HR 0.77 HR 0.63
投与期間 ✔ ✔ ✔ ✔
(試験進行中) (中央値未達)
(DoT) 29.5ヵ月 33.9ヵ月 17.5ヵ月 8.3ヵ月
✔: 結果入手済、 *: 事前に設定した中間解析、 黄色ハイライト: 2020年度第1四半期決算時の更新
M0:非転移性、M1:転移性、CSPC:去勢感受性前立腺がん、CRPC:去勢抵抗性前立腺がん、MFS:無転移生存期間、rPFS:画像診断上の無増悪生存期間、
HR:ハザード比
ロキサデュスタット: 欧州申請 15
計9,000例以上の患者における8つのグローバル第Ⅲ相試験の結果に基づき、
透析期および保存期の慢性腎臓病に伴う貧血の適応を対象に欧州で申請
有効性: 目標ヘモグロビン値を達成かつ維持、静注鉄剤の使用量を減少
安全性: 心血管および全般的な安全性プロファイルは、慢性腎臓病患者で
認められるものと同様
- 併合解析において、透析期ではESA群に対して、保存期ではプラセボ群に対して、
MACEおよびMACE+いずれも非劣性を示した
ロキサデュスタットのグローバル第Ⅲ相プログラム
保存期 透析期 - 透析導入期 * 透析期 - 安定期 †
ALPS (n=594)
DOLOMITES ‡ (n=614) HIMALAYAS § (n=1,043)
ESA
治療歴なし ANDES (n=922)
OLYMPUS (n=2,781)
ROCKIES § (n=2,133)
ESA PYRENEES ‡§ (n=836)
治療歴あり SIERRAS § (n=741)
プラセボ対照試験 ESA対照試験
* 無作為化時に透析開始後2週以上4ヵ月以下の患者
† 無作為化時に透析開始後4ヵ月を越えている患者
‡ 実薬対照としてダルベポエチン アルファを使用、 § 実薬対照としてエポエチン アルファを使用
ESA:赤血球造血刺激因子製剤、MACE:主要心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中から成る複合評価項目)、
MACE+:MACEに入院を要した不安定狭心症とうっ血性心不全を加えたもの
AT132 (RESAMIRIGENE BILPARVOVEC): 遺伝子治療 16
最新状況
重篤な有害事象が最近認められたため、
FDAの指示によりXLMTM患者を対象とした臨床試験を差し止め(clinical hold)
組み入れ症例数(全26例)
試験コホート AT132用量
投与済 投与未了
1 x 1014 vg/kg 6 -
用量漸増
3 x 1014 vg/kg 10 -
ピボタル用量拡大 3 x 1014 vg/kg 7 3
AT132を3 x 1014 vg/kg投与された17例中3例で重篤な有害事象として進行性の肝機能障害を
発症した。そのうち2例が死亡し、予備的な調査結果ではいずれも直接の死因は敗血症であった。
これら3例の特徴は以下の通り:
比較的高年齢
比較的体重が重い
肝胆道系疾患の既往歴あり
AT132を1 x 1014 vg/kg投与された6例(肝胆道系疾患の既往歴を有する4例を含む)では、
投与から数年経過しているものの重篤な有害事象の発現は見られていない
現況ならびに今後の予定:
これらの症例に関する徹底的な調査ならびに規制当局との協議が進行中
今後の方針を決定し、申請タイムラインを再調整する予定
AT132の開発およびXLMTM患者コミュニティに対し、引き続きコミットする
FDA:米国食品医薬品局、XLMTM:X連鎖性ミオチュブラーミオパチー、vg:ベクターゲノム
臨床開発に対する 17
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響(1/2)
COVID-19拡大により臨床試験を一時中断していた米国、欧州および日本などの
国々において、試験ごとにベネフィット/リスクを評価した上で再開している。
なお、一時中断により、遅延が生じている試験もある
遠隔診療、在宅での血液採取や検査の実施、近隣の医療機関の利用、自宅への
治験薬の配送などの措置を講じ、患者さんの安全性と医療機関への負担軽減を
確保した上で、臨床試験にすでに組み入れられた症例の維持に努めている
いまだ続いている感染拡大に伴う変化に応じて、治験実施計画書の改訂などで
フレキシブルに対応できるしくみを構築している
臨床開発に対する 18
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響(2/2)
主要プロジェクトにおける影響
プロジェクト 試験/マイルストン COVID-19の影響
エンザルタミド M1 CSPCに関する • COVID-19拡大の影響でEMAによるGCP査察が延期されたため、当局の判断時期が遅延;
欧州当局の判断 当初予定は2020年度前半 ⇒ 現時点の見込みは最速で2020年度後半
ギルテリチニブ 第Ⅲ相試験 • 特に、第Ⅲ相試験LACEWING(未治療、強力な化学療法不適応)およびアジア第Ⅲ相試験
(再発または難治性)における症例組み入れに影響あり
• 第Ⅲ相試験PASHA(未治療、強力な化学療法適応)などパートナーが実施している試験では
症例組み入れ中断はなかったが、若干の減速あり
エンホルツマブ 第Ⅲ相および • 第Ⅲ相試験EV-301(白金製剤およびPD-1/L1阻害剤の治療歴がある転移性尿路上皮がん)
ベドチン 第Ⅱ相試験 では症例組み入れを完了。グローバル承認申請に向け、患者の安全性の確保、継続的な
治療の提供ならびにデータの品質の担保を目的とした新たな取り組みを実施中
• 第Ⅱ相試験EV-202(その他の種類の固形がん)では症例組み入れに影響があるものの、
長期の遅れは想定されていない
ゾルベツキシマブ 第Ⅲ相試験 • 第Ⅲ相試験SPOTLIGHTおよびGLOWにおける症例組み入れに影響あり。COVID-19拡大前
のレベルまで回復するには3-6ヵ月を要するとみている
ロキサデュスタット 当局レビュー • 特に影響なし
fezolinetant 第Ⅲ相試験 • 第Ⅲ相ピボタル試験SKYLIGHT 1および長期投与試験SKYLIGHT 4において症例組み入れを
一時中断していたが、再開後の組み入れは良好で、多くの施設で問題なく継続できている
• SKYLIGHT 4試験の症例数の増加は、主要評価項目に関するFDA見解への対応の結果だが、
今後、COVID-19が試験終了時の生検完了率に対して影響を与える可能性も併せて考慮
流動的なCOVID-19状況に応じ、全ての臨床試験についてタイムラインを継続的に精査
必要に応じてClinicalTrials.govや決算報告を介して提示する予定
M1 CSPC:転移性去勢感受性前立腺がん、EMA:欧州医薬品庁、GCP:医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令、FDA:米国食品医薬品局
2020年度に期待される主なイベント 19
当局の判断 エンザルタミド M1 CSPC(欧州)
M0 CRPC(中国)
M0 CRPC;OSデータ追加のための添付文書改訂(米国、欧州)
ロキサデュスタット 保存期の慢性腎臓病に伴う貧血(日本)
データ判明 エンホルツマブ 第Ⅱ相試験EV-201コホート2
ベドチン 転移性尿路上皮がん(PD-1/L1阻害剤の治療歴あり、
白金製剤の治療歴なしおよびシスプラチン不適応)
適応症等の詳細は「新薬開発状況」を参照
M1 CSPC:転移性去勢感受性前立腺がん、M0 CRPC:非転移性去勢抵抗性前立腺がん、OS:全生存期間
ASP8062:オピオイド使用障害(OUD)における開発 20
オピオイド危機の社会課題解決に向けた治療薬の研究開発を推進
- ASP8062(GABAB PAM)の初期臨床試験に対してNIHから助成金を獲得
米国におけるオピオイド危機 GABAB PAM
オピオイドの過剰摂取により多くの人命が 様々な物質使用障害における自己摂取および
失われていることをふまえ、2017年10月に 薬物摂取行動の抑制にGABAB受容体が関与
米国連邦政府は連邦法に基づきオピオイド危機 ⇒ NIH傘下部門のNIDAは、GABAB PAMを
を公衆衛生上の非常事態にあると宣言4 「オピオイド危機に対処するための最も望ましい
オピオイド危機を科学的に解決するため、 10種の薬理作用機序5」のひとつに選択
NIH Helping to End Addiction Long-Term 今回の助成金獲得は、オピオイドを含む
Initiativeでは、オピオイド使用障害を治療する 各種依存症モデル動物におけるASP8062の
新たな医薬品・医療機器の開発加速化を推進 有用性を示唆したデータに基づく
数字で見るオピオイドの疫学 (米国保健福祉省のサイトから抜粋;日本語は参考訳)
http://www.hhs.gov/opioids/
NIHからの助成金で実施する
ASP8062の臨床試験
2つの第Ⅰ相試験(薬物相互作用・安全性の検討):
モルヒネとの併用、サボキソン(ブプレノルフィンと
オピオイド関連薬物の過剰
摂取による1日の死者数(推定)
オピオイド処方の
誤用者数(2018年)
ナロキソンの配合剤)との併用 [両試験進行中]
OUD患者を対象とした第Ⅱ相PoC試験
[第Ⅰ相試験終了後に実施予定]
オピオイドの過剰摂取 オピオイド使用障害の
による死者数 罹患者数(2018年)
1:2019 National Survey on Drug Use and Health. Mortality in the United States, 2018. 2:NCHS Data Brief No. 329, Nov 2018. 3:NCHS, National Vital Statistics
System. Estimates for 2018 and 2019 are based on provisional data. 4:The White House. The Opioid Crisis. 2017. 5:Rasmussen K, et al., 2019.
PAM:陽性アロステリック修飾物質、NIH:米国国立衛生試験研究所、NIDA:米国国立薬物乱用研究所、PoC:Proof of concept(臨床での有効性の確認)
Rx+プログラムの進展: 慢性疾患の
重症化予防 21
新たなフィットネスサービス Fit-eNce*1
科学的根拠に基づいた運動支援サービス、
Rx+事業最初のプログラムとして地域限定で発売予定
横浜市および横浜市立大学との産官学連携により、科学的根拠のある運動プログラムを開発
2020年中に、当運動プログラムを活用したフィッネスサービスを、フィットネスクラブを通じ、
地域限定発売予定
アステラスが提供する 第13週におけるHbA1cの変化量
科学的エビデンスに基づいた運動メニューと (医学系研究結果)
運動実行を支援するサービス (%)
ベ 0.2
ー
利用者 ス 最小二乗平均値
ラ 0.13
イ
ン 0.0
入館/運動記録を参考に 医学系研究で用いた か
運動療法指導 ら
ロジックで運動設計 の
外来
入館/運動記録
パーソナル 変 −0.2
トレーニング 化 −0.31
量
入館/運動 −0.4
入館記録 -0.44 (p<0.001*2)
記録
運動実施群(n=97)
運動不実施群(n=108)
医師 データベース パーソナルトレーナー
*1 Fit-eNce:フィットエンス
*2 解析対象症例:最大解析対象集団 反復測定混合効果モデル(説明変数は試験群、評価時点、第0週の値、評価時点と試験群の交互作用、評価時点と第0週
の値の交互作用)
本日の内容 22
2020年度第1四半期 連結業績および
I
2020年度業績 修正予想
II 持続的な成長に向けた取り組み
III キャピタルアロケーション
キャピタルアロケーション 23
成長を実現するための
事業投資を最優先 FY15 FY16 FY17 FY18 FY19 FY20
戦略に沿った事業開発機会の追求
中長期的な利益成長に (円)
40
一株当たり配当
基づき、配当は安定的 30
42
かつ持続的に向上 20
10
32 34 36 38 40
0
FY15 FY16 FY17 FY18 FY19 FY20 (予想)
安定的な増配を継続
(億円)
自己株式取得は 4,500
現金及び現金同等物
機動的に実施 3,000
自己株式取得実施額
1,500
0
FY15 FY16 FY17 FY18 FY19
資金残高も考慮した機動的な実施
参考資料
AUDENTES社買収の企業結合会計 25
Audentes社の開始貸借対照表(20年1月15日)の公正価値評価を修正。
20年3月期の連結B/Sを遡及修正した
<20年3月末時点> <20年6月末時点*>
(単位:百万ドル) (単位:百万ドル)
諸資産 諸負債 諸資産 諸負債
389 116 389 116
繰延税金負債 繰延税金負債
無形資産 382 無形資産 354 (-27)
2,620 2,494 (-126)
取得対価 取得対価
のれん 2,902 のれん 2,902
391 490 (+99)
無形資産$2,494Mの内訳
• IPR&D(仕掛研究開発): $1,839M
• 特許および技術:$656M
特許および技術に係る無形資産の償却額:
20年度予想(12ヵ月分) $42M
* 現時点での暫定的な会計処理であり変更の可能性あり
2020年度1Q実績: 地域別売上収益 26
(億円) 19年度1Q 20年度1Q 増減率
日本 985 778 -21.0%
米国 1,053 1,172 +11.3%
エスタブリッシュドマーケット 758 640 -15.5%
グレーターチャイナ 147 142 -3.4%
インターナショナル 342 302 -11.8%
エスタブリッシュドマーケット: 欧州、カナダ、オーストラリア
グレーターチャイナ: 中国、香港、台湾
インターナショナル: ロシア、中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、韓国、輸出売上等
2020年度1Q実績: 主要製品の売上 27
19年度 20年度 為替の影響を 20年度 20年度
(億円) 増減率 除いた増減率
1Q 1Q 期初予想* 修正予想**
XTANDI 960 1,120 +16.6% +19.7% 4,593 4,646
ゾスパタ 25 56 +128.3% +133.1% 232 231
PADCEV - 30 - - 130
OAB製品 535 481 -10.0% -8.2% 2,049 1,979
ミラベグロン 399 404 +1.2% +3.3% 1,725 1,679
ベシケア 136 77 -43.0% -42.1% 324 300
プログラフ 504 453 -10.2% -7.4% 1,863 1,820
PADCEVはSeattle Genetics社からのコ・プロモーション収入 * 2020年5月公表
OAB(過活動膀胱)製品:ベシケア+ミラベグロン(製品名:ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ) ** 2020年8月公表
プログラフ(アドバグラフ/グラセプター/アスタグラフXLを含む)
2020年度通期業績 修正予想 28
20年度 20年度
(億円) 差異
期初予想 修正予想
売上収益 12,820 12,565 -255
研究開発費 2,390 2,335 -55
コア営業利益 2,570 2,510 -60
コア当期利益 2,060 2,005 -55
<フルベース>
営業利益 2,520 2,465 -55
当期利益 2,020 1,975 -45
為替レート(実績) 29
期中平均レート
通貨 19年度1Q 20年度1Q 変動
ドル 110円 108円 2円高
ユーロ 123円 118円 5円高
期首‐期末レートの変動
通貨 19年度1Q 20年度1Q
ドル 3円高 1円高
ユーロ 2円高 2円安
【為替の業績への影響】
売上収益: 71億円の減少、コア営業利益: 58億円の減少
未実現利益消去に係る為替の影響: 売上原価率 +1.1ppt
2020年度通期業績修正予想: 30
為替レート、為替感応度
為替レートの前提 (期中平均) 20年度期初予想 20年度修正予想
ドル 110円 109円
ユーロ 120円 120円
2020年度2Q以降の為替レートの想定:1ドル110円、1ユーロ120円
2020年度修正予想の為替感応度(2Q以降)の概算値*
期中平均レート 期末日レート
予想前提より1円高 予想前提より1円高
通貨
売上収益 コア営業利益 コア営業利益
ドル 約43億円減少 約8億円減少 約5億円増加
ユーロ 約20億円減少 約8億円減少 約2億円増加
* 海外グループ会社の業績連結時の換算レートが、 2020年7月以降、 2020年度2Q以降の想定為替レートから変動した場合の影響額を試算したもの
バランスシートおよびキャッシュ・フローのハイライト 31
(億円) 20年3月末 20年6月末
総資産 23,152 22,560
現金及び現金同等物 3,184 2,399
親会社所有者帰属持分 12,892 13,067
親会社所有者帰属持分比率(%) 55.7% 57.9%
(億円) 19年度1Q 20年度1Q 19年度
営業CF 74 216 2,220
投資CF -140 -283 -3,898
フリーCF -66 -67 -1,678
財務CF -404 -730 1,811
社債及び短期借入金 - -1,100 3,260
長期借入による収入 - 800 -
自己株式取得 -0 -9 -529
配当金支払額 -358 -372 -735
株主還元の推移 32
(円) (億円)
2,500
40 一株配当*(左軸) 当期利益**(右軸)
2,000
30
1,500
42
20 40
38
1,000
10
500
0 0
(億円)
FY05 FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11 FY12 FY13 FY14 FY15 FY16 FY17 FY18 FY19 FY20
(予想)
配当総額 393 423 552 569 582 577 577 594 606 660 685 713 721 724 750 780
自己株式取得 462 2,199 818 1,234 270 - - 494 300 582 1,193 914 1,300 1,600 500
総還元性向(%) 82 200 77 106 70 85 74 118 100 92 97 74 123 105 64
* 2014年4月1日を効力発生日として5分割の株式分割を実施(2005年度の期首に株式分割が実施されたものとして調整した数値を表示)
** 2013年度(2014年3月期)以降の会計年度は国際会計基準(IFRS)
経営計画 2018 で紹介した今後の申請予定 33
2020年8月現在
エンザルタミド
✓✓✓: 承認 非転移性去勢感受性前立腺がん
✓✓: 申請
エンザルタミド ゾルベツキシマブ
✓: 結果入手 転移性去勢感受性前立腺がん 胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん
申請準備中 (米国・日本) ✓✓✓
(欧州) ✓✓ ギルテリチニブ
AML(造血幹細胞移植後の維持療法)
エンホルツマブ ベドチン
エンザルタミド 白金製剤およびPD-1/PD-L1阻害剤 ギルテリチニブ
非転移性去勢抵抗性 による治療歴のある転移性 AML(寛解導入化学療法後の維持療法)
前立腺がん ✓✓✓ 尿路上皮がん(米国) ✓✓✓
ギルテリチニブ
ギルテリチニブ ロキサデュスタット AML(未治療、強力な化学療法不適応)
再発または難治性AML ✓✓✓ 慢性腎臓病に伴う貧血
保存期(日本) ✓✓ ギルテリチニブ
AML(未治療、強力な化学療法適応)
ロキサデュスタット ロキサデュスタット
慢性腎臓病に伴う貧血 慢性腎臓病に伴う貧血 fezolinetant
透析期(日本) ✓✓✓ 透析期・保存期(欧州) ✓✓ 更年期に伴う血管運動神経症状
2018年度 2019年度-2020年度 2021年度以降
疾患領域: がん 泌尿器、腎疾患 その他
注)社内での評価・決定、必要に応じ当局との相談後に申請。最初の国・地域(米国・欧州・日本のいずれか)での申請予定
AML:急性骨髄性白血病
成長の基盤となる開発パイプライン 34
第Ⅰ相 第Ⅱ相 第Ⅲ相 申請
ASP1235/AGS62P1 ゾルベツキシマブ (膵臓腺がん) エンザルタミド エンザルタミド
(M0 CSPC、M1 CSPC:中国) (M1 CSPC:欧州)
ASP8374/PTZ-201 ASP1650 (精巣がん)
ギルテリチニブ エンザルタミド
(より早期ステージのAML、小児) (M0 CRPC:中国)
ASP1948/PTZ-329 エンホルツマブ ベドチン
(その他の種類の固形がん) エンホルツマブ ベドチン ギルテリチニブ
ASP1951/PTZ-522 (転移性尿路上皮がん) (R/R AML:中国)
ASP7317 (萎縮型加齢黄斑変性等)
ゾルベツキシマブ ロキサデュスタット
ASP9801 (保存期の慢性腎臓病に伴う貧血:日本)
(急性腎障害) (胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん)
ASP1128/MA-0217
ASP7517 ペフィシチニブ ロキサデュスタット
ASP3772 (肺炎球菌感染症の予防) (関節リウマチ:中国) (慢性腎臓病に伴う貧血:欧州)
ASP0892
FX-322 (感音難聴) ミラベグロン
(小児)
ASP0367/MA-0211
resamirigene bilparvovec fezolinetant
ASP2390 /AT132 (XLMTM) (更年期に伴う血管運動神経症状)
ASP0598 bleselumab (rFSGS)
AT845 ASP8302 (低活動膀胱)
ASP8062 ロキサデュスタット (CIA)
ASP1617 isavuconazole (小児:米国)
がん Focus Areaアプローチ(がん免疫を除く) その他
詳細は「新薬開発状況」を参照
XLMTM:X連鎖性ミオチュブラーミオパチー、rFSGS:再発性巣状糸球体硬化症、CIA:化学療法に伴う貧血、M0:非転移性、M1:転移性、
CSPC:去勢感受性前立腺がん、CRPC:去勢抵抗性前立腺がん、R/R:再発または難治性、AML:急性骨髄性白血病
開発の進展 35
臨床入りから承認まで: 2019年度決算発表(2020年5月)以降の進捗
第Ⅰ相入り 第Ⅱ相入り 第Ⅲ相入り 申請 承認
ロキサデュスタット ソリフェナシン
成人の慢性腎臓病に 2歳以上の小児に
伴う貧血: おける神経因性膀胱:
欧州 米国
エンザルタミド
遠隔転移を有する
前立腺癌:
日本
注) 開発段階の進展の定義
第Ⅰ相入り:治験許可申請(IND)/治験届の承認、次相への進展:社内の意思決定機関における決定、
申請:当局への申請書類の提出、開発中止:社内の意思決定機関における決定
エンザルタミド: アンドロゲン受容体阻害剤 36
米国・欧州・日本 根治治療 去勢感受性 去勢抵抗性
ARCHES
M1 CSPC AFFIRM
新規診断 PREVAIL
診断 M1 CRPC
手術 M1 CRPC
M1 CSPC再発 (二次治療
(一次治療) 以降)
米国・日本上市
救済療法 欧州申請 上市 上市
監視療法
PROSPER
放射線
EMBARK
EMBARK M0 CRPC
M0 CSPC 上市
第Ⅲ相: 2019年12月に米国で、2020年5月に日本で承認取得
M1 CSPC プラセボ対照、ADT併用 n=1,150
ARCHES 2019年7月に欧州で申請
第Ⅲ相: 症例組み入れ終了
M0 CSPC プラセボ対照、ADT併用 n=1,068
EMBARK
中国 • M1 CRPC: 2019年11月に承認取得、2020年3月に上市
• M0 CRPC: グローバル第Ⅲ相PROSPER試験結果に基づき2019年10月に申請
• M1 CSPC: 2019年9月に第Ⅲ相China-ARCHES試験のFSFTを達成
下線:前回の決算発表時(2019年度決算;2020年5月)からの進捗
M1:転移性、M0:非転移性、CSPC:去勢感受性前立腺がん、CRPC:去勢抵抗性前立腺がん、ADT:アンドロゲン除去療法、FSFT:最初の症例への投与
ギルテリチニブ: FLT3阻害剤 37
PASHA (HOVON)
PrE0905 (PrECOG)
維持療法
地固め療法
GOSSAMER 救援療法
寛解導入療法
維持療法 ADMIRAL
移植
MORPHO
FLT3 mut+ 上市
AML
低強度
化学療法
LACEWING
単独療法と救援療法との比較 米国・日本・欧州で上市
再発または難治性 第Ⅲ相: ADMIRAL n=371
(2:1) 2020年3月に中国で申請
第Ⅲ相: PASHA (HOVON) 強力な化学療法との併用、 n=768 FSFT: 2019年12月(治験依頼者:HOVON)
未治療
ギルテリチニブとミドスタウリン
(強力な化学療法適応)
第Ⅱ相: PrE0905 (PrECOG) の比較 (1:1) n=179 FSFT: 2019年12月(治験依頼者:PrECOG, LLC)
アザシチジン併用療法と
未治療
第Ⅲ相: LACEWING アザシチジン単独療法の比較 n=250 FSFT: 2016年11月
(強力な化学療法不適応)
(2:1)
造血幹細胞移植後の 単独療法とプラセボとの比較
第Ⅲ相: MORPHO n=346 症例組み入れ終了、BMT-CTNと共同
維持療法 (1:1)
単独療法とプラセボとの比較
化学療法後の維持療法 第Ⅱ相: GOSSAMER n=98 症例組み入れ終了
(2:1)
下線:前回の決算発表時(2019年度決算;2020年5月)からの進捗
FLT3 mut+:FLT3遺伝子変異陽性、AML:急性骨髄性白血病、FSFT:最初の症例への投与、
HOVON:The Haemato Oncology Foundation for Adults in the Netherlands、BMT-CTN: Blood and Marrow Transplant - Clinical Trial Network
エンホルツマブ ベドチン(EV):ネクチン-4を標的とするADC(1/3) 38
転移性尿路上皮がんの治療状況およびEVの臨床試験
転移性 白金製剤または 白金製剤および
治療歴なし
尿路上皮がん PD-1/L1阻害剤の PD-1/L1阻害剤の
(一次治療)
治療歴 治療歴あり 治療歴あり
シスプラチン適応: 白金製剤の治療歴あり: • 単剤化学療法
• Gem-Cis • PD-1/L1阻害剤 • 臨床試験
シスプラチン不適応: • 緩和ケア
標準療法* PD-1/L1阻害剤の治療歴あり:
• EV単剤(米国のみ)
• Gem-Carbo • Gem-Carbo
• PD-1/L1 阻害剤
(PD-L1高発現の患者)
第Ⅲ相: EV-302 第Ⅱ相: EV-201(コホート2) 第Ⅱ相: EV-201
EVの 白金製剤適応 PD-1/L1阻害剤の治療歴あり (コホート1) 米国上市
臨床試験 EV + Pembro +/- 白金製剤 白金製剤の治療歴なし、 白金製剤および
(Carbo/Cis) シスプラチン不適応 PD-1/L1阻害剤の治療歴あり
第Ⅲ相
第Ⅲ相: EV-301
第Ⅱ相 第Ⅰb /Ⅱ相: EV-103 白金製剤および
Pembro併用、他の化学療法併用 PD-1/L1阻害剤の治療歴あり
化学療法との比較
* 標準治療・承認されている薬剤は地域・国ごとに違う点もあるが、基本的な治療の流れは同じ
ADC:抗体-薬物複合体、Gem:ゲムシタビン、Cis:シスプラチン、Carbo:カルボプラチン、Pembro:ペムブロリズマブ
エンホルツマブ ベドチン(EV)(2/3): 臨床試験概要 39
尿路上皮がん
第Ⅲ相: 白金製剤およびPD-1/L1阻害剤の治療歴がある転移性尿路上皮がん;
n=608 症例組み入れ終了
EV-301 化学療法との比較
第Ⅲ相: 治療歴がなく白金製剤適応の局所進行性または転移性尿路上皮がん;
n=1,095 FSFT: 2020年4月
EV-302 EV + ペムブロリズマブ +/- 白金製剤(カルボプラチン/シスプラチン)
PD-1/L1阻害剤の治療歴がある転移性尿路上皮がん コホート1: 2019年12月に米国で承認取得
第Ⅱ相:
コホート1: 白金製剤治療歴あり n=219 (迅速承認プログラムに基づく)・上市
EV-201
コホート2: 白金製剤治療歴なしおよびシスプラチン不適応 コホート2: 症例組み入れ終了
FSFT: 2017年11月
コホートA - GおよびK(局所進行性あるいは転移性尿路上皮がん): • ペムブロリズマブ併用コホートの
A-G: EVとペムブロリズマブの併用、EVと他の化学療法の併用 最新結果をASCO GU 2020で発表
第Ⅰb/Ⅱ相: K: EV単剤 vs. EVとペムブロリズマブの併用 • ペムブロリズマブ併用コホートの初回解析
n=407
EV-103 結果に基づき、シスプラチン不適応の
コホートH & J(シスプラチン不適応の筋層浸潤性尿路上皮がん): 転移性尿路上皮がんにおける一次治療を
H: EV単剤、J: EVとペムブロリズマブの併用 対象に、2020年2月にFDAより
ブレークスルーセラピー指定を受領
パートA: 転移性尿路上皮がん
第Ⅰ相:
パートB: 腎不全患者、転移性非小細胞肺がん、転移性卵巣がん n=213 症例組み入れ終了
EV-101
パートC: 転移性尿路上皮がん(PD-1/L1阻害剤の治療歴あり)
その他の種類の固形がん
ホルモン受容体陽性/HER2陰性 乳がん、トリプルネガティブ乳がん、
第Ⅱ相:
扁平上皮非小細胞肺がん、非扁平上皮非小細胞肺がん、 n=240 FSFT: 2020年3月
EV-202
頭頸部がん、胃がん・胃食道接合部がんまたは食道がん
FSFT:最初の症例への投与、ASCO GU:Genitourinary Cancers Symposium of the American Society of Clinical Oncology、FDA:米国食品医薬品局
エンホルツマブ ベドチン(EV)(3/3): EV-103試験デザイン 40
用量漸増コホート 用量拡大コホート
コホートA コホートD コホートG
EV + Pembro
EV EV + Pembro EV + Cis, 1L EV + Cis/Carbo
シスプラチン不適応
局所進行性 推奨用量 シスプラチン不適応 + Pembro
1L or 2L
または 1L コホートE 1L
転移性 EV + Carbo, 1L
尿路上皮 コホートK コホートF
がん EV単剤 vs. EV+Pembro コホートB (オプション)
(1:1, n=150 in total) (オプション) EV + ゲムシタビン
シスプラチン不適応, 1L EV + Pembro, 2L 1L or 2L
筋層浸潤性 コホートH コホートJ
尿路上皮 EV単剤 EV + Pembro
がん シスプラチン不適応 シスプラチン不適応
ESMO 2019およびASCO GU 2020で発表したデータの対象コホート(シスプラチン不適応、一次治療)
新規に追加されたコホート
エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用による一次治療を
シスプラチン不適応患者で評価した、EV-103試験コホートKおよび他コホートの
データが、米国での迅速申請プログラムに基づく申請をサポートする可能性あり
Pembro:ペムブロリズマブ、1L:一次治療、2L:二次治療、Cis:シスプラチン、Carbo:カルボプラチン、ESMO:European Society for Medical Oncology,
ASCO GU:Genitourinary Cancers Symposium of the American Society of Clinical Oncology
ゾルベツキシマブ: 抗CLAUDIN 18.2モノクローナル抗体 41
ターゲット:Claudin18.2 胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん
• タイトジャンクションの主要な構成因子で、 • 対象となる患者層:
上皮細胞層の細胞間の隙間をふさぐ Claudin18.2高発現の局所進行性または
転移性胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん
• 様々ながん種において広範囲に発現
- 胃がん患者の約70%で発現、そのうち約30%が • 胃がんは、世界でがんによる死因の3番目を
進行中の第Ⅲ相試験の組み入れ基準に合致 占める 1
- 原発性膵臓腺がん患者の約60%で発現、 • 転移性胃腺がんおよび食道胃接合部腺がんの
そのうち約20%が進行中の第Ⅱ相試験の 5年生存率は20%未満 2,3
組入れ基準に合致すると推定
• ステージ4の胃がんの全生存期間の中央値は
10-15ヵ月 4,5
第Ⅲ相: SPOTLIGHT 一次治療、mFOLFOX6との併用、プラセボ対照 n=550 FSFT: 2018年10月
第Ⅲ相: GLOW 一次治療、CAPOXとの併用、プラセボ対照 n=500 FSFT: 2019年1月
胃腺がんおよび
食道胃接合部腺がん コホート1: 三次以降の治療、ゾルベツキシマブ単剤
第Ⅱ相: ILUSTRO コホート2: 一次治療、mFOLFOX6との併用 n=112 FSFT: 2018年9月
コホート3: 三次以降の治療、ペムブロリズマブとの併用
nab-パクリタキセルとゲムシタビンとの併用、
膵臓腺がん 第Ⅱ相 n=141 FSFT: 2019年5月
プラセボ対照
1: WHO Cancer Fact Sheet - Globocan 2018, 2: Pennathur A, et al., 2013, 3: Sahin U, et al., 2008, 4: 2017 RDPAC survey, 5: Iizumi S, et al. 2018
mFOLFOX6:5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチン、CAPOX:カペシタビン+オキサリプラチン、FSFT:最初の症例への投与
FEZOLINETANT: NK3受容体拮抗剤 42
血管運動神経症状(VMS)は Women’s Health Initiative(WHI)の臨床研究 2
QOL(生活の質)に大きな影響を及ぼす • 初期のデータ分析では、慢性的なホルモン補充療法
• 身体症状として、ほてりや発汗・寝汗などがあり、 (HRT)の使用と心血管疾患およびがんのリスクの
睡眠に影響を与える可能性がある 増加との関連が示された
• 身体症状が恥ずかしさ、いらだち、不安、悲しみと • WHIの報告以降、HRTと同等の有効性を有し、
いった精神症状につながる。 重要な安全性の懸念がない、HRTの代替薬となる
ようなものはなく、大きなアンメット・メディカルニーズ
• 日常生活の様々な場面でネガティブに影響する 1
が生じている
米国および欧州
第Ⅲ相: SKYLIGHT 1 中等度から重度のVMSを有する閉経後の更年期女性 n=527 症例組み入れ完了
12週: 二重盲検、30 mg vs. 45 mg vs. プラセボ(1:1:1)
第Ⅲ相: SKYLIGHT 2 40週: 非対照、30 mg または 45 mg n=501 症例組み入れ完了
閉経後の更年期女性
第Ⅲ相: SKYLIGHT 4 n=1,740 FSFT: 2019年8月
52週: 二重盲検、30 mg vs. 45 mg vs.プラセボ(1:1:1)
アジア(日本を除く)
中等度から重度のVMSを有する閉経後の更年期女性
第Ⅲ相: MOONLIGHT 1 12週: 二重盲検、30 mg vs. プラセボ(1:1) n=300 FSFT: 2020年4月
12週: 非対照、30 mg
第Ⅲ相: MOONLIGHT 3 閉経後の更年期女性、非盲検、30 mg を52週投与 n=150 症例組み入れ中
下線:前回の決算発表時(2019年度決算;2020年5月)からの進捗
1: DelveInsight, Epidemiology Forecast, June 2018, 2: Data Source - IMS NPA (2000-2016), IMS NSP (2000-2016). (3 HTs and SSRI) NAMS 2015
Position Statement. FSFT:最初の症例への投与
AT132 / RESAMIRIGENE BILPARVOVEC: 遺伝子治療 43
rAAV8-Des-hMTM1
AT132の特徴 X連鎖性ミオチュブラーミオパチー(XLMTM)
• 2020年1月に買収したAudentes Therapeutics社の • X染色体連鎖性の希少神経筋疾患であり、
遺伝子治療パイプラインにおけるリードプログラム MTM1遺伝子の機能欠損変異が原因
• AAV8によりヒトMTM1遺伝子を骨格筋細胞に 新生児男子4-5万人におよそ1人の割合で発生
送達してミオチュブラリン酵素を発現するように設計 生後18ヵ月時点の推定生存率は約50%
• 薬事関連認定: • 80%を超える患者で人工呼吸器による補助が必要
<米国>RMAT(再生医療先進治療)指定、 • 運動機能の発達が大幅に遅滞
希少小児疾患指定、ファストトラック指定、
• 治療法は存在せず、支持療法のみ
オーファンドラッグ指定
<欧州>PRIME指定、オーファンドラッグ指定
vs. 遅延コントロール群
ASPIRO
パート1: 用量漸増
重篤な有害事象が最近認められたため、
コホート1: 1 x 1014 vg/kg n=26
(XLMTM患者対象の 臨床試験を差し止め(clinical hold)
コホート2: 3 x 1014 vg/kg
申請用臨床試験)
パート2: ピボタル用量拡大コホート(3 x 1014 vg/kg)
下線:前回の決算発表時(2019年度決算;2020年5月)からの進捗
(r)AAV:(遺伝子組み換え)アデノ随伴ウイルス、hMTM1:ヒトミオチュブラリン遺伝子、Des:デスミンプロモーター、PRIME: PRIority Medicines、vg:ベクターゲノム
変化する医療の最先端へ