4502 武田薬 2020-05-13 15:00:00
2020年3月期決算短信〔IFRS〕(連結) [pdf]

                         2020年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
                                  決算短信       連結)
                                                                                           2020年5月13日
上 場 会 社 名 武田薬品工業株式会社                                                     上場取引所                東・名・札・福
コ ー ド 番 号 4502                                                 URL http://www.takeda.com/jp
代   表   者
        (役職名) 代表取締役社長CEO                                     (氏名) クリストフ ウェバー
               グローバルファイナンス
問合せ先責任者 (役職名)               (氏名) 大久保 隆                                                             (TEL) (03)3278-2306
               IR グローバルヘッド
定時株主総会開催予定日     2020年6月24日 配当支払開始予定日                                                              2020年6月25日
有価証券報告書提出予定日 2020年6月24日
決算補足説明資料作成の有無      : 有
決算説明会開催の有無         : 有
 
                                                                                                      (百万円未満四捨五入)
1.2020年3月期の連結業績(2019年4月1日~2020年3月31日)
(1)連結経営成績                                                                                         (%表示は対前期増減率)
                                                                                            親会社の所有者に帰   当期包括利益
                  売上収益            営業利益              税引前利益                 当期利益               属する当期利益      合計額
                   百万円      %     百万円         %     百万円        %          百万円           %       百万円        %          百万円          %
    2020年3月期 3,291,188 56.9 100,408 △57.8 △60,754   -                  44,290 △67.2            44,241 △67.3 △199,419   -
    2019年3月期 2,097,224 18.5 237,685 △1.7 127,612 △41.2                135,080 △27.7           135,192 △27.7 121,595 △49.9
                  基本的           希薄化後          親会社所有者
                                                      資産合計                       売上収益                                  実質的な
                 1株当たり          1株当たり           帰属持分                                              Core営業利益
                                                     税引前利益率                     営業利益率                                  Core EPS
                 当期利益           当期利益           当期利益率
                      円 銭             円 銭                %                 %                  %       億円          %                円
  2020年3月期    28.41   28.25                            0.9    △0.5       3.1                       9,622 109.5                395
 
  2019年3月期   140.61  139.82                            3.8     1.4      11.3                       4,593 42.4                 n/a
(参考) 持分法による投資損益 2020年3月期                           △23,987百万円    2019年3月期                         △43,627百万円
(2)連結財政状態
                                                        親会社の所有者に                 親会社所有者               1株当たり親会社
                   資産合計               資本合計
                                                         帰属する持分                  帰属持分比率               所有者帰属持分
                         百万円                      百万円                百万円                          %                   円 銭
    2020年3月期         12,821,094           4,727,486            4,723,483                       36.8            3,032.22
    2019年3月期         13,792,773           5,185,991            5,181,985                       37.6            3,332.94

(3)連結キャッシュ・フローの状況
                  営業活動による                 投資活動による                    財務活動による                      現金及び現金同等物
                  キャッシュ・フロー               キャッシュ・フロー                  キャッシュ・フロー                       期末残高
                                百万円                         百万円                         百万円                       百万円
    2020年3月期                669,752                   292,119                   △1,005,213                      637,614
    2019年3月期                328,479                △2,835,698                    2,946,237                      702,093
2.配当の状況
                                              年間配当金                                                              親会社所有者
                                                                                        配当金総額         配当性向
                                                                                                                 帰属持分配当率
                    第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                      期末            合計           (合計)          (連結)
                                                                                                                   (連結)
                          円 銭           円 銭          円 銭          円 銭           円 銭           百万円              %        %
  2019年3月期                  -         90.00             -         90.00        180.00       212,344       128.0              6.1
  2020年3月期                  -         90.00             -         90.00        180.00       283,715       633.6              5.7
 
  2021年3月期(予想)              -         90.00             -         90.00        180.00                        -
3.2021年3月期の連結業績予想(2020年4月1日~2021年3月31日)
                                                                                        (%表示は、 通期は対前期増減率)
                                                                                    親会社の所有者に              基本的1株当
                  売上収益          Core営業利益            営業利益             税引前利益          帰属する当期利益              たり当期利益
                                                                                                                        Core EPS

                  百万円     %       百万円         %     百万円        %          百万円     %   百万円  %                   円 銭              円
    通      期 3,250,000 △1.3     984,000     2.3    355,000 253.6     200,000      -         60,000 35.6        38.52          420
     2020年度マネジメントガイダンス
      実質的な売上収益の成長                               一桁台前半
      実質的なCore営業利益の成長                           一桁台後半
      実質的なCore営業利益率                             30%台前半
      実質的なCore EPSの成長                           10%台前半
     (注) 「実質的な成長」については5ページをご参照ください。
          2019年度より、 「Core Earnings」の名称を「Core営業利益」に変更しました。その定義に変更はありません。
※ 注記事項
(1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動)                                                        : 無
 




(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更
  ① IFRSにより要求される会計方針の変更                                          : 有
     ②    ①以外の会計方針の変更                                            : 無
     ③    会計上の見積りの変更                                             : 無
 
     (注) 詳細は、 添付資料26ページ「4.連結財務諸表[IFRS]及び主な注記(6)連結財務諸表に関する注記事項(連結財務諸表作成のための
         基本となる重要な事項)」をご参照ください。
 
(3)発行済株式数(普通株式)
  ① 期末発行済株式数(自己株式を含む)                          2020年3月期        1,576,373,908株    2019年3月期     1,565,005,908株

     ②    期末自己株式数                              2020年3月期          18,608,312株     2019年3月期        10,225,845株

     ③    期中平均株式数                              2020年3月期        1,557,204,329株    2019年3月期       961,476,993株
 

 
(参考)      個別業績の概要

1.2020年3月期の個別業績(2019年4月1日~2020年3月31日)
(1)個別経営成績                                                                                (%表示は対前期増減率)
                         売上高               営業利益                     経常利益                    当期純利益
                         百万円        %       百万円           %          百万円            %        百万円            %
    2020年3月期           616,288   △5.4      89,153       20.7        72,252       312.5      130,626     48.0
    2019年3月期           651,347   △1.2      73,865        9.0        17,514      △86.1        88,231    △52.8

                       1株当たり              潜在株式調整後
                       当期純利益             1株当たり当期純利益
                                 円 銭                   円 銭
    2020年3月期                     83.88                 83.87
    2019年3月期                     91.76                 91.72

(2)個別財政状態
                         総資産                純資産                  自己資本比率                   1株当たり純資産
                                 百万円                   百万円                          %                    円 銭
  2020年3月期                10,289,304          4,549,000                           44.2                2,919.21
  2019年3月期                 9,534,645          4,647,171                           48.7                2,987.94
(参考) 自己資本
 
                   2020年3月期       4,547,699百万円       2019年3月期                   4,645,844百万円
 
 


 
    ※    決算短信は公認会計士又は監査法人の監査の対象外です
    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、 その他特記事項
        ・当社は、 国際会計基準(IFRS)を適用し、 IFRSに準拠して開示しております。
        ・本資料に記載の「業績予想」は、 現時点で入手可能な情報と前提条件に基づく見込みであり、 その実現を約
         束する趣旨ではございません。実際の業績は事業環境の変化や為替変動など様々な要因により変動し、 異な
         る結果を招きうる不確実性を含んでいます。業績予想を修正すべき重大な要因が発生した場合には、 速やか
         にご報告いたします。
        ・「業績予想」の内容については、 添付資料12ページの「1.経営成績等の概況 (5)今後の見通し」をご参
         照下さい。
        ・決算補足説明資料である決算カンファレンスコール(5/13(水)開催)におけるプレゼンテーション資料等、
         説明内容および質疑応答(音声)については、 速やかに当社のホームページに掲載致します。

        (当社ホームページ)
        https://www.takeda.com/jp/investors/reports/
                                          武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


○添付資料の目次

  1.経営成績等の概況 ……………………………………………………………………………………2
   (1)当期の経営成績の概況 …………………………………………………………………………2
   (2)当期の財政状態の概況 …………………………………………………………………………8
   (3)当期のキャッシュ・フローの概況 ……………………………………………………………9
   (4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響と当社の取り組み ……………10
   (5)今後の見通し ……………………………………………………………………………………12
   (6)資本配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 …………………………………………15
  2.経営方針 ………………………………………………………………………………………………16
   (1)会社の経営の基本方針 …………………………………………………………………………16
   (2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題 ……………………………16
  3.会計基準の選択に関する基本的な考え方 …………………………………………………………17
  4.連結財務諸表[IFRS]及び主な注記 …………………………………………………………………18
   (1)連結純損益計算書 ………………………………………………………………………………18
   (2)連結純損益及びその他の包括利益計算書 ……………………………………………………19
   (3)連結財政状態計算書 ……………………………………………………………………………20
   (4)連結持分変動計算書 ……………………………………………………………………………22
   (5)連結キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………………………24
   (6)連結財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………26
    (継続企業の前提に関する注記) …………………………………………………………………26
    (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) …………………………………………26
    (セグメント情報) …………………………………………………………………………………28
    (1株当たり情報) …………………………………………………………………………………28
    (企業結合関係) ……………………………………………………………………………………29
    (重要な後発事象) …………………………………………………………………………………31


  【補足資料】
    1    要約四半期連結純損益計算書(2019年度第1四半期)
    2    要約四半期連結純損益計算書(2019年度第2四半期)
    3    要約四半期連結純損益計算書(2019年度第3四半期)
    4    要約四半期連結純損益計算書(2019年度第4四半期)
    5    2019年度 財務ベース売上収益から実質的な売上収益の調整
    6    2019年度 旧Shire社の製品/疾患領域別の財務ベース売上と実質ベース成長率
    7    2019年度 財務ベースからCore/Underlying Coreへの調整表
    8    2019年度第1四半期 財務ベースからCore/Underlying Coreへの調整表
    9    2019年度第2四半期 財務ベースからCore/Underlying Coreへの調整表
    10   2019年度第3四半期 財務ベースからCore/Underlying Coreへの調整表
    11   2019年度第4四半期 財務ベースからCore/Underlying Coreへの調整表
    12   2018年度 財務ベースからCoreへの調整表
    13   プレゼンテーション: COVID-19に対する当社の取り組み




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                                            武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


1.経営成績等の概況
(1)当期の経営成績の概況
① 事業の概況
当社は、バリュー(価値観)、すなわち当社の経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考える、グローバルな研究
開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、革新的な医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、および販売
を主要な事業としており、グローバルに展開した事業基盤をもとに、世界各国で医療用医薬品を販売しています。
当社は、既存事業の自立的な伸長と企業買収を通じて成長してまいりました。これまで複数の企業買収を実施したこ
とにより、疾患領域、地理的拠点、パイプラインの拡大を推進してまいりました。特に2019年1月にShire社を買収し
たことにより、当社の消化器系疾患およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の領域が強化され、希少疾患と血漿
分画製剤の主導的地位を獲得しました。また、研究開発エンジンのさらなる強化と相互補完的で強固かつ多様なモダ
リティ(創薬手法)のパイプラインの構築を実現しました。さらに、販売においては、本買収は米国におけるプレゼ
ンスを飛躍的に向上させました。
当社は、Shire社買収の対価の現金部分の資金を調達するため、多額の負債を計上しましたが、営業活動から生じるキ
ャッシュ・フローを用いると共にノン・コア資産の処分を進めることにより、レバレッジの低下を引き続き速やかに
実現させる方針です。


② 当年度における業績の概要
当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
                                                               (単位:億円、 %以外)
                                   前年度(注)         当年度             対前年度

売上収益                                  20,972        32,912     11,940      56.9%
売上原価                                 △6,517       △10,898     △4,380       67.2%
販売費及び一般管理費                           △7,176        △9,647     △2,471       34.4%
研究開発費                                △3,683        △4,924     △1,241       33.7%
製品に係る無形資産償却費及び減損損失                   △1,786        △4,554     △2,768      155.0%
その他の営業収益                               1,599           602      △997     △62.3%
その他の営業費用                             △1,032        △2,487     △1,455      141.1%
営業利益                                   2,377         1,004    △1,373     △57.8%
金融収益                                        168       278        110       65.2%
金融費用                                      △833     △1,650      △817        98.1%
持分法による投資損益                                △436      △240         196      △45.0%
税引前当期利益(△は損失)                             1,276     △608      △1,884     △147.6%
法人所得税費用                                      75     1,050        976          -
当期利益                                      1,351         443     △908     △67.2%
(注) Shire社の買収に伴い、 前年度の業績には、 2019年1月8日から3月31日までの期間における同社の業績が含まれています。
    当年度において、 当社グループはShire 社買収により取得した資産および引き受けた負債について取得対価の配分を完了しました。この結果、 前
    年度の財務数値を遡及修正しております。



 〔売上収益〕
 売上収益は、 前年度から1兆1,940億円増収(+56.9%)の3兆2,912億円となりました。Shire社買収により獲得した製品
 の売上が年間を通じて計上された(1兆5,222億円)ことが主な要因であり、 これによる増収額は1兆2,130億円となりまし
 た。
 各疾患領域における売上収益の前年度からの増減は、 主に以下の製品によるものです。




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                                         武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


・ 消化器系疾患
消化器系疾患領域の売上収益は、 前年度から1,586億円増収(+29.4%)の6,979億円となりました。当社のトップ製品で
ある潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、 前年度から780億円
増収(+29.0%)の3,472億円となり、 売上成長を牽引しました。米国および欧州においては、 潰瘍性大腸炎とクローン病に
対する生物学的製剤の新規投与患者シェアがさらに拡大し、 同剤の全体の市場シェアも伸長しました。また、 日本において
は、 当第1四半期において、 クローン病の効能追加を取得しました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、 逆流性食道炎や
低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、 日本において新規処方が拡大
し、 売上は145億円増収(+24.8%)の727億円となりました。また、 Shire社買収により獲得した短腸症候群治療剤
「GATTEX / REVESTIVE」の当年度の売上は、 年間を通じて計上されたことから、 491億円増収の618億円となりました。


・ 希少疾患
Shire社買収により獲得した希少疾患領域の当年度の売上収益は、 年間を通じて計上されたことから、 5,055億円増収の
6,349億円となりました。売上収益に最も寄与した製品の売上は、 希少血液疾患領域では血友病A治療剤「アドベイト」の
1,579億円、 遺伝性血管浮腫領域では同疾患の発作予防剤「TAKHZYRO」の683億円、 希少代謝性疾患領域ではハンター症
候群治療剤「エラプレース」の679億円であり、 それぞれ1,258億円、 585億円および528億円の増収となりました。


・ 血漿由来の免疫疾患治療
血漿由来の免疫疾患治療領域の売上収益は、 主にShire社買収により獲得した製品が加わったことにより、 3,007億円増収
の3,942億円となりました。当売上収益は、 Shire社買収前から日本で血漿分画製剤事業を展開してきた当社連結子会社で
ある日本製薬株式会社の製品売上を含みます。免疫グロブリン製剤の売上合計は2,987億円となり、 最も寄与した製品は、
原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に主に用いられ、 これら疾患に対する米国における
標準治療剤である静注製剤「GAMMAGARD LIQUID」でした。また、 主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられる
「ALBUMIN GLASS」と「FLEXBUMIN」を含むアルブミン製剤の売上合計は672億円となり、 その他の血漿由来の免疫疾患治療剤
の売上合計は283億円となりました。


・ オンコロジー
オンコロジー(がん)領域の売上収益は、 前年度から215億円増収(+5.4%)の4,210億円となりました。多発性骨髄腫治
療剤「ニンラーロ」の売上は、 特に米国と中国での好調な業績が成長に寄与し、 前年度から154億円増収(+24.7%)の
776億円となりました。また、 悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」の売上は、 CD30陽性ホジキンリンパ腫に対する一次治療の効
能追加を取得した日本において特に伸長し、 98億円増収(+22.8%)の527億円となりました。非小細胞肺がん治療剤「ア
ルンブリグ」の売上は、 引き続き欧州諸国での上市があったことにより前年度から20億円増収(+39.2%)の72億円となりま
した。多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上は、 対前年度95億円減収(△7.5%)の1,183億円となり、 うち、 米国外の売
上にかかるロイヤルティ収益は、 対前年度127億円の大幅な減収(△57.0%)により96億円となりました。同剤はオンコロジ
ー領域の中でも売上が大きい製品ですが、 米国では、 競合品の追加参入による影響が想定を下回り、 31億円増収(+2.9
%)の1,088億円となりました。


・ ニューロサイエンス
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の売上収益は、 前年度から2,839億円増収(+183.5%)の4,385億円となりまし
た。増収の主な要因は、 2,247億円増収の2,741億円の売上となった注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤「バイバンス」
(国内製品名:「ビバンセ」)を含め、 Shire社買収により獲得したポートフォリオが、 年間を通じて売上計上されたことにより
ます。旧武田薬品の製品である大うつ病(MDD)治療剤「トリンテリックス」の売上は、 新規患者の増加と治療期間の拡大によ
り、 前年度から131億円増収(+22.8%)の707億円となりました。両製品は、 当第3四半期に日本においても上市されており
ます。


 (注) 売上収益の品目別情報の詳細につきましては、 決算補足説明資料であるDATABOOKをご参照ください。
     (当社ホームページ)
     https://www.takeda.com/jp/investors/reports/




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                                       武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


〔地域別売上収益〕
各地域の売上収益は以下のとおりです。
                                              (単位:億円、 %は構成比率を表示)
   売上収益:                        前年度                   当年度
      日本                      5,710       27.2%     5,928      18.0%
      米国                      8,290       39.5%    15,959      48.5%
      欧州およびカナダ                4,056       19.3%     6,455      19.6%
      ロシア/CIS                   597        2.8%       768       2.3%
      中南米                       881        4.2%     1,435       4.4%
      アジア                     1,054        5.0%     1,654       5.0%
      その他                       383        1.8%       713       2.2%
      合計                     20,972      100.0%    32,912     100.0%



 〔売上原価〕
 売上原価は、 対前年度4,380億円増加(+67.2%)の1兆898億円となりました。この増加は、 主にShire社の買収により取
 得した製品にかかる年間の売上原価およびShire社買収に伴い計上された棚卸資産の公正価値調整等にかかる非資金性の
 費用の増加1,257億円によるものです。これらの増加は、 主に製品構成の改善等による旧武田薬品の製品にかかる売上原価
 の減少と一部相殺されております。


 〔販売費及び一般管理費〕
 販売費及び一般管理費は、 主に買収したShire社の事業運営にかかる費用の影響により、 対前年度2,471億円増加(+
 34.4%)の9,647億円となりました。この増加は、 グローバル経費削減イニシアチブ(注1)による削減効果、 Shire社との統合に
 よるコストシナジーのほか、 前年度に発生したShire社買収関連費用238億円の影響により一部相殺されております。
 (注1)消費量の削減、購買価格低減による経費削減、および組織の最適化によって売上収益比率の向上を目指す当社グループのイニシア
 チブ


 〔研究開発費〕
 研究開発費は、主にShire社買収により取得した研究開発活動にかかる費用の影響により、対前年度1,241億円増加
 (+33.7%)の4,924億円となりました。


 〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕
 製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、 対前年度2,768億円増加(+155.0%)の4,554億円となりました。これは主
 にShire社買収に伴い取得した無形資産の償却費が2,506億円増加したことによります。減損損失は347億円増加の433億円
 となりました。この減損損失の増加は、 2019年5月の中間解析結果を受けTAK-616 AMRプログラムの開発中止を決定したこと
 に伴い計上した減損損失156億円、 およびTAK-607の治験デザイン変更に伴い計上した減損損失109億円を含む、 一部の上
 市後製品および開発中の製品に係る減損損失を計上したことによるものです。なお、 前年度は、 Mersana Therapeuticsとの
 共同研究開発の終了に伴う減損損失72億円を含む86億円の減損損失を計上しました。


 〔その他の営業収益〕
 その他の営業収益は、 対前年度997億円減少(△62.3%)の602億円となりました。この減少は、 主に前年度において、 当
 社グループの旧東京本社ビルを含む有形固定資産の売却益503億円、 および不動産事業の譲渡に関連して連結子会社株
 式譲渡益382億円を計上したことによります。また、 前年度に広東テックプール・バイオファーマCo., Ltd.の株式売却益184
 億円を計上したことも減少要因となりました。




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〔その他の営業費用〕
その他の営業費用は、 対前年度1,455億円増加(+141.1%)の2,487億円となりました。このうち事業構造再編費用につい
ては、 対前年度981億円増加の1,810億円となりました。この増加は、 主にShire社との統合が進捗していることに伴い、 アイ
ルランドの製造拠点の合理化により計上した減損損失を含むShire社買収に関連する統合費用が対前年度757億円増加し
1,354億円となったことに加え、 湘南ヘルスイノベーションパーク(「湘南アイパーク」)のセール・アンド・リースバック契約に
伴い有形固定資産の減損損失等を計上したことによるものです。また、 当年度において承認前在庫にかかる評価損を304億
円計上した一方、 前年度は承認取得に伴い過去の承認前在庫にかかる評価損の戻入41億円を計上したことにより、 承認前
在庫にかかる評価損が345億円増加しました。



〔営業利益〕
営業利益は、 上記の要因を反映し、 前年度から1,373億円減少(△57.8%)の1,004億円となりました。


〔金融損益〕
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,372億円の損失となり、 前年度から707億円の損失増加となりました。これは、
主にShire社買収に伴い発行された社債及び借入金により利息費用が1,008億円増加したことによるものです。この利息費用
の増加は、 前年度に計上されたShire社買収のためのブリッジローン契約に伴うファシリティー・フィー161億円、 および当社
がワラントを保有する未上場企業の株式が上場されたことに伴い当年度計上した評価益213億円により一部相殺され
ております。


〔持分法による投資損益〕
持分法による投資損益は240億円の損失となり、前年度から196億円(△45.0%)の損失減少となりました。これは、
主に武田テバ薬品株式会社(注2)において認識された減損損失の減少によるものです。
(注2)武田テバ薬品株式会社は長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営んでおります。



〔法人所得税費用〕
法人所得税費用は、前年度△75億円に対して、当年度は△1,050億円となりました。これは主に、当年度のスイスに
おける税制改正に伴い計上された非資金性の繰延税金便益△946億円の計上、繰越欠損金に対する繰延税金資産の認
識、および主に償却費、棚卸資産の公正価値調整、統合費用等のShire社買収に関連する費用を計上したことに伴う
税引前利益の減少によるものです。これらの税金費用の減少影響は、不確実な税務ポジションによる税金負債の増
加および事業構造再編にかかる税金影響と一部相殺されております。


〔当期利益〕
当期利益は、上記の要因を反映し、前年度から908億円減益(△67.2%)の443億円となりました。


③ 当年度における実質的な成長の概要 

Coreと実質的な成長の定義
当社は、 事業の計画策定および業績評価において、 「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。


「実質的な成長」は、 当年度と前年度(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、 マネジメントによる
業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、 為替レートを一定として、 事業等の売却影響および
その他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、 本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を控除し算定されま
す。当社は、 この「実質的な成長」が、 事業活動のパフォーマンスを表す共通の基準を提供するため、 投資家に有用である
と考えています。なお、 本指標は、 国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。


当社は、 「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益の成長)、 「Underlying Core Operating Profit
Growth」(実質的なCore営業利益の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPSの成長)を重要な
財務指標としています。



                                      ― 5 ―
                                                    武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信



実質的な売上収益は、 為替レートを一定として、 財務ベースの売上収益に、 報告期間における非定常的な事象に基づく影
響および事業等の売却影響を調整して計算します。


実質的なCore営業利益は、 為替レートを一定として、 Core営業利益(以下に定義)に、 報告期間における事業等の売却
影響を調整して計算します。


Core営業利益*は、 当期利益から、 法人所得税費用、 持分法による投資損益、 金融損益、 その他の営業収益およびその
他の営業費用、 製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、 企業買収に係る会計処理の影
響や買収関連費用など、 本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整します。
* 2019年度より、 「Core Earnings」の名称を「Core営業利益」に変更しました。なお、 その定義に変更はありません。


実質的なCore EPSの算定にあたっては、 為替レートを一定として、 当期利益から、 事業等の売却影響、 およびCore営業利
益の算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、 重要性のある、 非定常的もしくは特別な事象に基づく影
響、 本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整します。これらには、 条件付対価に係る公正価値変動(時間的
価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、 これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、 比較年度末の自社
株式控除後の発行済株式総数で除して算定します。


実質的な業績
                                                                     当年度
                                (注1)
           実質的な売上収益の成長                                             +1.6%
           実質的なCore営業利益率                                            28.9%
           実質的なCore EPS                                             395円
(注1) 当年度の実質ベースの成長率は、 対前年度のpro-forma成長率。前年度 pro-formaは、 前年度(2018年4月-2019年3月)の武
     田薬品売上収益(事業売却等を調整)と、 前年度の年間平均レート(1米ドル111円)で円貨換算し米国会計基準(US GAAP)から
     国際会計基準(IFRS)に組み替えた(なお、 重要な差異は認められなかった)2018年4月から買収完了日(2019年1月8日)ま
     での旧Shire社売上収益(事業売却等を調整)の合計


〔実質的な売上収益の成長〕
実質的な売上収益の成長は、 タケダの14のグローバル製品(注2)の好調な業績(+21.2%)が牽引し、 対前年度+1.6%と
なりました。競争の激化や後発品の浸透により、 一部の製品、 特に希少血液疾患領域において影響を受けましたが、 当社の
主要な疾患領域である消化器系疾患、 血漿由来の免疫疾患治療、 オンコロジーおよびニューロサイエンスにおいて、 それ
ぞれ+11.5%、 +9.2%、 +8.4%、 +10.9%の成長となりました。
(注2)タケダの14のグローバル製品
    消化器系疾患:エンティビオ、GATTEX/REVESTIVE、ALOFISEL
    希少疾患:NATPARA、アディノベイト/ADYNOVI、TAKHZYRO、エラプレース、VPRIV
    血漿由来の免疫疾患治療:GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、CUVITRU、ALBUMIN/FLEXBUMIN
    オンコロジー:ニンラーロ、ALUNBRIG


・ 消化器系疾患
消化器系疾患領域の実質的な売上収益は、 前年度から+11.5%の成長となりました。後発品のさらなる浸透により、 「パント
プラゾール」(△15.3%)、 「ランソプラゾール」(△23.0%)、 「リアルダ」(△38.9%)などの特許満了製品の売上が減
少したものの、 「エンティビオ」(+32.9%)と「タケキャブ」(+24.9%)が、 これらの減収影響を上回る増収となりました。ま
た、 「GATTEX / REVESTIVE」は、 2019年5月、 米国において小児適応の効能追加を取得し、 成人患者の平均治療期間が
伸長したことなどにより+21.7%の増収となりました。

・ 希少疾患
希少疾患領域の実質的な売上収益は、 競争圧力の高まりと米国における「NATPARA」の回収の影響により△4.9%の減収とな
りました。特に、 希少血液疾患領域(△8.6%)では競合品による影響が顕著となり、 半減期延長型製剤「アディノベイト」
(+9.8%)の増収により一部相殺したものの、 血友病A治療剤である「アドベイト」(△12.3%)と「ファイバ」(△15.5%)
が大幅な減収となりました。希少代謝性疾患領域(△3.2%)では、 副甲状腺ホルモン製剤「NATPARA」(△49.7%)のカー
トリッジのゴム製隔壁に関連する問題が判明したため、 2019年9月、 米国において同剤を回収しました。また、 遺伝性血管


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                                            武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


浮腫領域(+3.4%)においては、 「フィラジル」(△50.2%)が後発品の参入により、 「CINRYZE」(△30.7%)が患者数
の減少により減収となりましたが、 米国および欧州における「TAKHZYRO」(+318.3%)の増収がこれらの影響を上回り、 増収
となりました。

・ 血漿由来の免疫疾患治療
血漿由来の免疫疾患治療領域の実質的な売上収益は、 +9.2%の成長となりました。免疫グロブリン製剤は、 静注製剤、 皮
下注製剤ともに伸長し+7.2%の増収となりました。また、 アルブミン製剤は、 中国における需要の増加による好調な売上伸
長や生産能力の拡大もあり、+20.3%の増収となりました。

・ オンコロジー
オンコロジー(がん)領域の実質的な売上収益は、 「ニンラーロ」(+28.5%)と「アドセトリス」(+33.1%)が牽引し、 前
年度から+8.4%の成長となりました。また、 「ALUNBRIG」も+43.1%の増収となりました。オンコロジー製品の中では、 唯一、
「ベルケイド」(△5.9%)が減収となりましたが、 これは、 欧州において2019年4月に後発品が参入したことにより、 米国外
の売上にかかるロイヤルティ収益が△56.3%減少したことによります。

・ ニューロサイエンス
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の実質的な売上収益は、 それぞれが注意欠陥/多動性障害(ADHD)と大うつ病
(MDD)治療の米国における主要製品である「バイバンス」(+13.7%)および「トリンテリックス」(+25.0%)の増収により、
+10.9%の成長となりました。「ADDERALL XR」は、 後発品との競合の影響が増大し、 △27.5%の減収となりました。

          疾患領域別の実質的な売上収益の成長(注3)                          当年度
          消化器系疾患                                        +11.5%
          希少疾患                                          △4.9%
           希少代謝性疾患                                      △3.2%
           希少血液疾患                                       △8.6%
           遺伝性血管浮腫                                      +3.4%
          血漿由来の免疫疾患治療                                   +9.2%
          オンコロジー                                        +8.4%
          ニューロサイエンス                                     +10.9%
          その他                                           △12.5%
          合計                                            +1.6%
 (注3)    当年度の実質ベースの成長率は、 対前年度のpro-forma成長率。前年度 pro-formaは、 前年度(2018年4月-2019年3月)の武
        田薬品売上収益(事業売却等を調整)と、 前年度の年間平均レート(1米ドル111円)で円貨換算し米国会計基準(US GAAP)から
        国際会計基準(IFRS)に組み替えた(なお、 重要な差異は認められなかった)2018年4月から買収完了日(2019年1月8日)ま
        での旧Shire社売上収益(事業売却等を調整)の合計


実質的な売上収益の計算において控除した主な非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響は次の通りです。
・ 2019年3月期に連結子会社であった広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.(「テックプール社」)およびMultilab
 Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.(「マルチラブ社」)を売却したため、 前年度における両社
 の売上収益を連結の売上収益から控除しています。

・ 2019年5月に売却に合意した 「XIIDRA」(2019年7月に売却完了)および「TACHOSIL」の売上を、 当年度および前年度
 の売上収益から控除しています。

〔当年度の実質的なCore営業利益率〕
当年度の実質的なCore営業利益率は、グローバル経費削減イニシアチブおよびShire社との統合のコストシナジーを
反映し、28.9%となりました。

Shire社の統合費用や企業結合会計に伴う非資金性の費用など、 当社の本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を
控除した当年度のCore営業利益は9,622億円となりました。

〔当年度の実質的なCore EPS〕
当年度の実質的なCore EPSは、 395円となりました。



                                    ― 7 ―
                                         武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


(2)財政状態に関する説明

  前年度における連結財政状態計算書は、Shire社の買収に係る取得対価の配分が完了したことを反映し、遡及修正さ
  れております。


  〔資産〕
  当年度末における資産合計は、 前年度末から9,717億円減少し、 12兆8,211億円となりました。のれんおよび無形資産は、
  主に為替影響や無形資産の償却により、 それぞれ2,277億円および5,798億円減少しました。また、 主に「XIIDRA」の売却完
  了により売却目的で保有する資産が3,319億円減少し、 さらに棚卸資産が主に買収により取得した棚卸資産の公正価値調整
  の費用化に伴い1,601億円減少しました。これらの減少は、 主に「XIIDRA」の売却に伴い条件付対価契約に関する資産が認
  識されたことによるその他の金融資産(非流動)の増加704億円、 および主に新リース会計基準(IFRS第16号)(注1)を適
  用したことによる有形固定資産の増加544億円により一部相殺されております。
(注1) IFRS第16号では、 リースの評価額および関連する負債を連結財政状態計算書の非流動資産および非流動負債に計上することを規定しており
    ます。負債に関する説明は以下をご覧ください。



  〔負債〕
  当年度における負債合計は、 前年度末から5,132億円減少し、 8兆936億円となりました。この減少は、 主に社債の償還、
  借入金の返済および為替影響により社債及び借入金が6,576億円減少し5兆933億円(注2)となったことによるものです。な
  お、 2019年6月にハイブリッド社債(劣後特約付社債)5,000億円を発行した一方、 シンジケートローン5,000億円を返済し
  ております。さらに、 2019年8月には、 1,404.5百万米ドル(1,502億円)の米ドル建て無担保普通社債を繰上償還し、
  2019年9月には3,300百万米ドル(3,507億円)の米ドル建て無担保普通社債を償還しました。本年3月には700百万米ド
  ル(774億円)の米ドル建てシンジケートローンを繰上返済しました。また、 社債及び借入金の減少に加え、 主に「XIIDRA」
  の売却完了により売却目的で保有する負債が1,278億円減少しております。これらの減少は、 主に上述のIFRS第16号を適用
  したことによるその他の金融負債(非流動)の増加1,589億円により一部相殺されております。
(注2) 当年度における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ3兆2,050億円および1兆8,883億円です。なお、 社債及び借入金の内訳は以下の
     通りです。


  社債:
            銘柄
                              発行時期             償還期限           帳簿価額
         (外貨建発行額)
   15回 無担保社債                 2013年7月          2020年7月             600億円
   米ドル建無担保普通社債                                 2022年6月
                             2015年6月                             1,646億円
           (1,520百万米ドル)                       ~2045年6月
   米ドル建無担保普通社債                                 2021年9月
                             2016年9月                             9,103億円
             (8,800百万米ドル)                     ~2026年9月
   米ドル建無担保普通社債
                             2017年7月          2022年1月             541億円
               (500百万米ドル)
   ユーロ建無担保普通社債                                 2020年11月
                             2018年11月                            8,895億円
             (7,500百万ユーロ)                     ~2030年11月
   米ドル建無担保普通社債                                 2021年11月
                             2018年11月                            4,858億円
             (4,500百万米ドル)                     ~2028年11月
   ハイブリッド社債 (劣後特約付社債)         2019年6月          2079年6月           4,968億円
                              2020年2月          2020年4月
   コマーシャルペーパー                                                    1,440億円
                             ~2020年3月         ~2020年6月
   合計                                                         3兆2,050億円




                                 ― 8 ―
                                       武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信




 借入金:
         名称
                           借入時期               返済期限         帳簿価額
      (外貨建借入額)
  シンジケートローン               2013年7月             2020年7月           600億円
                                              2023年4月
  〃                       2016年4月                              2,000億円
                                             ~2026年4月
  〃                       2017年4月             2027年4月          1,135億円
  〃 
                          2017年4月            2027年4月           1,624億円
          (1,500百万米ドル)
  〃 
                          2019年1月            2024年1月           3,572億円
          (3,300百万米ドル)
  〃 
                          2019年1月            2024年1月           3,634億円
        (3,057百万ユーロ)
  株式会社国際協力銀行
                          2019年1月            2025年12月          4,015億円
        (3,700百万米ドル)
  その他                                                         2,304億円
  合計                                                        1兆8,883億円


  2019年9月に当社グループは、 7,000億円のコミットメントファシリティー契約を複数の日本および在外銀行と締結することに
  合意しました。本コミットメントファシリティーの期間は、 2019年10月から最低5年間です。なお、 本コミットメントファシリティー
  の契約締結にあたり、 2020年3月に満期を迎える既存の短期コミットメントファシリティー3,000億円は、 2019年9月に解約し
  ております。本コミットメントファシリティーは、 一般事業資金として使用することを目的としております。なお、 2020年3月末に
  おいて本コミットメントファシリティーの使用はありません。


  当年度において、 当社グループは取引金融機関からの協力を得て、 借入金に付されている複数の財務制限条項を改定し
  ました。この改定による主な変更は、 2020年8月以降に最終弁済期限を迎える一定の借入金を対象としております。当該変
  更は、 連続する2事業年度において税引前利益がマイナスになることを禁じる財務制限条項の削除、 並びにこれに替わる
  毎年3月末および9月末において連結純負債の過去12ヶ月間の連結EBITDA(連結EBITDAは契約書にて定義されたもの)
  に対する比率が一定水準を上回らないことを求める財務制限条項の導入が含まれます。


 〔資本〕
 当年度における資本合計は、 前年度末から4,585億円減少の4兆7,275億円となりました。この減少は、 主に2,827億円の配
 当金の支払により利益剰余金が2,255億円減少したことや、 円高の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本
 の構成要素が2,573億円減少したことによります。


(3)当期のキャッシュ・フローの概況

                                                            (単位:億円)
                                       前年度
                                                         当年度

  営業活動によるキャッシュ・フロー                             3,285              6,698
  投資活動によるキャッシュ・フロー                           △28,357              2,921
  財務活動によるキャッシュ・フロー                            29,462           △10,052
  現金及び現金同等物の増減額                                4,390              △433
  現金及び現金同等物の期首残高                               2,945              7,021
  現金及び現金同等物に係る換算差額                             △313               △218
  売却目的で保有する資産の純増減額                               △2                   6
  現金及び現金同等物の期末残高                               7,021              6,376

 営業活動によるキャッシュ・フローは、 前年度3,285億円から3,413億円増加の6,698億円となりました。これは、 主にShire社
 買収に伴い計上した製品に係る無形資産により減価償却費及び償却費が3,360億円増加したこと、 一部の上市後製品およ
 び開発中の製品、 アイルランドの製造拠点や湘南アイパーク等の拠点再編に関連して減損損失が918億円増加したこと、 ま



                               ― 9 ―
                                      武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


 た、 主にShire社買収日において公正価値評価された棚卸資産の費用化に伴い棚卸資産が868億円減少したこと等の非資
 金項目の調整によるものです。

 また、 Shire社買収のための資金調達にかかる利息費用を含む金融費用(純額)の増加707億円、 および賞与引当金等の
 資産負債の増減影響が営業活動によるキャッシュ・フローのプラスの調整項目として含まれています。

 これらの増加は、 当期利益の減少908億円、 および主に前年度に買収した旧Shire社における法人所得税の支払いによる法
 人所得税等の支払額の増加1,831億円により一部相殺されております。


 投資活動によるキャッシュ・フローは、 前年度の△2兆8,357億円から3兆1,278億円増加の2,921億円となりました。これは
 主に、 前年度においてShire社買収に伴い2兆8,919億円(取得した現預金控除後)を支出したことによるものです。加え
 て、 当年度において「XIIDRA」の売却による3,755億円の収入を計上したことに伴い、 事業売却による収入が3,764億円増加
 したことによるものです。


 財務活動によるキャッシュ・フローは、 前年度の2兆9,462億円から△1兆52億円となりました。この3兆9,515億円の減少は
 主に、 前年度にShire社買収のための社債の発行及び長期借入れによる収入2兆7,959億円を計上したこと、 また当年度に
 7,011億円の社債の償還及び長期借入金の返済による支出を計上したことによるものです。さらに、 短期借入金の減少7,185
 億円、 配当金の支払額の増加1,396億円、 および主にShire社買収のための資金調達に伴い利息の支払額の増加923億円
 等がありました。

 なお、 当年度において、 ハイブリッド社債の発行5,000億円を含む長期借入れ及び社債の発行による収入4,962億円があっ
 た一方、 主に短期シンジケートローンの返済5,000億円による短期借入金の純減少額3,512億円がありました。


(4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響と当社の取り組み

 ① 当社の経営成績および財政状態に対するCOVID-19影響

 当社の事業活動は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大により、様々に影響を受けており、また、
 今後影響を受ける可能性があります。

 当社は、当社製品の需要動向について注視しておりますが、当社の医薬品は病院での待機手術を要しない重篤な慢
 性疾患や生命を脅かす恐れのある疾患に対するものが多く、これまでのところ影響は限定的です。なお、ドナーか
 らの血漿採取量に幾らかの減少が見られていますが、今後数カ月のうちに、一部あるいは完全に補えるほどに採取
 量が回復し得る複数の要素があるため、総採取量についての長期的な影響を現時点で予測することは時期尚早で
 す。グローバルなサプライチェーンにおいては、COVID-19の大流行による製品供給の重大な混乱は発生しておらず、
 また、発生の可能性を現時点で予測しておりません。

 事業運営においては、渡航制限や業界関連団体の集会への参加自粛、当社主催の集会の休止等、特定の事業活動を
 自主的に制限しております。

 新たな臨床試験については、COVID-19の治療薬候補である血漿分画製剤(CoVIg-19)を除き、臨床試験の開始を一
 時的に休止しております。また、すでに進行中の臨床試験については、一部の例外を除き、新たな試験実施施設の
 組み入れならびに新規患者さんの登録を一時的に休止しておりますが、これら臨床試験のスケジュールや申請計画
 に対する影響を現時点で予測することは時期尚早です。

 金融市場の動向は注視を続けており、流動性や資金調達に係る問題は現在見込んでおりません。

 ② COVID-19影響軽減のための当社の取り組み

 当社は、COVID-19の大流行に対して、3つの優先事項を中心に取り組んでおります。
 1.従業員とその家族の安全確保とヘルスケアシステムに対する影響の低減
 2.事業の継続性の維持、特に当社医薬品の患者さんへの提供
 3.COVID-19を治療もしくは予防し得る医薬品の開発

 当社は、COVID-19の流行拡大に伴う様々な問題に対処するため、2020年1月に、グローバル危機管理委員会を始動
 させ、社内外の専門家の支援のもと、様々な対策を講じております。本委員会は、チーフ グローバル コーポレー



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ト アフェアーズ オフィサーとグローバル ワクチン ビジネス ユニット プレジデントのリードのもと、機能横断
のチームによって組織されています。

当社は、従業員の安全を確保する措置として、在宅勤務ポリシーの適用を開始し、これを支援するIT技術を拡充し
ました。テレワークのガイダンスは、医療従事者と関わる外勤の従業員も可能な限り対象として、世界中の従業員
に広範囲で適用しております。また、すべての不要不急の移動を休止し、大人数での従業員の集まりを制限してい
ます。製造施設や研究所、血漿収集センターにおいて引き続き勤務する必要のある従業員については、ウイルス感
染の安全・軽減措置を強化しました。

事業の継続性の維持の側面では、当社医薬品の製造代替業者の選定を含め、適正な在庫水準を管理し、当社医薬品
を患者さんに継続的に提供できる施策を整備しています。当施策は、主要な出発物質、添加剤、医薬品原料、医薬
品原薬(API)ならびに製品のグローバルなサプライチェーン全体に対して適用しております。当社は、当社の医薬
品を必要とされる方々に確実にお届けできるよう、引き続き状況を注視し、あらゆる必要な措置を講じて製品供給
の継続性を確保してまいります。

研究開発においては、進行中の臨床試験に対する影響を最小限に抑えるため、CRO(医薬品開発業務受託機関)と連
携しながら、患者さんへの治験薬の直接配送や遠隔モニタリングの方法を検証する等、様々に取り組んでおりま
す。一方、COVID-19による重篤な合併症患者さんの治療薬候補である抗SARS-CoV-2ポリクローナル高度免疫グロブ
リン製剤(CoVIg-19)を除き、新たな臨床試験の開始は一時的に休止しております。

CoVIg-19のプログラムは、COVID-19に対抗する治療法を開発するという当社の取り組みの一つです。当社は、2020
年4月に血漿分画製剤事業を営む複数社と結成したグローバルな提携体制であるCoVIg-19 Plasma Allianceに参画
し、患者さん中心の価値観の下、一企業としての利益を顧みることなく、あらゆるパートナーと協働することを通
じてCOVID-19の治療法開発を促進することに注力しております。また、当社は、社内の既存のアセットがCOVID-19
の治療薬となり得るかを評価しているとともに、新たなアプローチでの治療研究を進めております。

さらに、当社は赤十字社や国連主導の組織を含む非営利団体に対する約25百万米ドルの寄付金や現物寄付を通じて、
COVID-19対策を支援しております。



③ COVID-19の世界的な拡大に伴う事業等のリスク

当社の取り組みに関わらず、COVID-19による影響が深刻化、長期化した場合には、製品供給の滞りや、臨床試験の
遅延の拡大等、これらに限定されず、当社事業に更なる影響が及ぶ可能性があり、もしくは、適時の財務諸表の作
成や情報開示その他の規制遵守が困難になる可能性があります。現時点では、COVID-19の流行拡大がどの程度続く
か明らかではありませんが、COVID-19の流行拡大が減速または収束した場合であっても、当社の事業、財政状態お
よび経営成績に対して、一定期間継続して影響が及ぶ可能性があります。中期的な業績影響も明らかではありませ
んが、失業者数の増加や保険支払構造の変化、政府による医療費削減施策の導入の可能性等が影響を及ぼすことが
考えられます。

将来の事業等にかかるリスクを最小化するため、当社は引き続き状況を注視し、必要な対策を講じてまいります。


④ 2019年度実績におけるCOVID-19影響

COVID-19の世界的な流行拡大に伴う、当年度業績への影響は軽微でありました。影響を受けた各国の医薬品市場の
停滞により、売上収益は幾らかのマイナス影響を受けましたが、同時に、渡航制限や集会の自粛等、特定の事業活
動を自主的に制限したことにより経費使用が減少したため、利益に対する影響は限定的でした。


⑤ 2020年度業績予想におけるCOVID-19影響見込と前提条件

詳細につきましては、「1.経営成績等の概況(5)今後の見通し」をご参照ください。




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(5)今後の見通し

翌年度(2020年度)の連結業績予想は以下のとおりです。


2020年度の業績予想
                            2019年度            2020年度          対前年度
 売上収益                       3兆2,912億円         3兆2,500億円   △412億円     △1.3%
 営業利益                          1,004億円          3,550億円   +2,546億円   +253.6%
 税引前当期利益                       △608億円           2,000億円   +2,608億円         -
 当期利益
                                 442億円            600億円    +158億円    +35.6%
 (親会社の所有者帰属分)
 EPS                            28円41銭           38円52銭   +10円11銭     +35.6%
               (注)
 Core営業利益                      9,622億円          9,840億円    +218億円     +2.3%

 Core EPS(注)                      387円             420円       +33円    +8.6%

(注)   2019年度に「Core Earnings」の名称を「Core営業利益」に変更しました。なお、 1.(1)③当年度における実質的な成長の概要の
「Coreと実質的な成長の定義」に記載しましたように、 その定義に変更はありません。

 [売上収益]

 売上収益は、 タケダの14のグローバル製品のモメンタムが、 為替影響、 事業等の売却影響ならびに独占販売期間満了に伴
 う影響を相殺し切れずに、 当年度から412億円減収(△1.3%)の3兆2,500億円を見込んでいます。5つの主要ビジネスエ
 リアのうち、 消化器系疾患では「エンティビオ」や「タケキャブ」、 オンコロジーでは「ニンラーロ」、 「アドセトリス」および
 「ALUNBRIG」、 ニューロサイエンスでは「バイバンス」や「トリンテリックス」などの主力製品が引き続き伸長することを見込んでいま
 す。希少疾患では、 遺伝性血管浮腫の発作予防剤「TAKHZYRO」が米国および欧州においてさらに市場浸透するとともに、 血
 漿由来の免疫疾患治療の領域では、 免疫グロブリン製剤やアルブミン製剤が2桁台の成長率で貢献することを見込んでいま
 す。

 [営業利益およびCore営業利益]

 Core営業利益は、 ビジネスモメンタムとともに、 コストの効率化とShire社との統合のコストシナジーが継続し、 当年度から218
 億円の増益(+2.3%)となる9,840億円を見込んでいます。

 営業利益は、 主としてShire社買収の企業結合会計に係る費用と統合費用が大幅に減少することから、 当年度から2,546億
 円増益の3,550億円を見込んでいます。当年度1,910億円となった棚卸資産の公正価値調整の費用(売上原価)は、 2020
 年度は1,053億円の大幅な減少となる857億円を見込んでいます。また、 Shire社統合費用については、 当年度から454億円
 減少の900億円を見込んでいます。

[当期利益(親会社の所有者帰属分)]
当期利益(親会社の所有者帰属分)は、 当年度から158億円増益(+35.6%)の600億円を見込んでいます。実効税率は、
当年度173%(税金費用のマイナス)であったものが、 税引前当期利益が大幅に増加(+2,608億円)することに加え、 スイ
スの税制改正に伴い計上した繰延税金便益や事業構造再編費用の計上に伴う便益の一時的・一過性影響がなくなることなどに
より、 2020年度は約70%(税金費用)に低下する見込みです。




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2020年度の業績予想の主な前提条件
                                      2019年度              2020年度
為替レート                               1米ドル=109円               1米ドル=109円
                                    1ユーロ=121円               1ユーロ=120円
                               1ロシアルーブル=1.7円           1ロシアルーブル=1.6円
                               1ブラジルレアル=26.9円          1ブラジルレアル=23.3円
                                   1中国元=15.7円              1中国元=15.5円
研究開発費                                    △4,924億円              △4,470億円
Shire社統合費用
    販売及び一般管理費・研究開発費
                                          △158億円                      -
    (R&Dプログラム中止費用等)
    その他の営業費用(事業構造再編費用)                   △1,354億円               △900億円
Shire社に係る企業結合会計影響
  売上原価
                                         △1,910億円               △857億円
  (棚卸資産の公正価値調整の売上原価処理)
  売上原価
                                           △85億円                   △20億円
  (有形固定資産の公正価値調整の償却)
    販売費及び一般管理費・研究開発費                       △25億円                    7億円
    製品に係る無形資産償却費
                                         △3,251億円              △3,240億円
    (Shire社買収関連)
その他の非資金性の費用
    製品に係る無形資産償却費
                                          △870億円                △830億円
    (旧武田薬品)
    製品に係る無形資産減損損失                         △433億円                △500億円
その他の営業収益/営業費用
    その他の営業収益                                   602億円               580億円
    その他の営業費用
                                         △1,133億円               △530億円
    (Shire社統合費用を除く)
金融費用
    支払利息                                 △1,490億円              △1,330億円
    その他                                   △160億円                △200億円
フリー・キャッシュ・フロー
                                          9,680億円          6,000~7,000億円
(公表済みの事業売却を含む)
資本的支出(キャッシュ・フロー・ベース)                     △2,177億円       △1,800~△2,300億円
有形固定資産の減価償却費及び無形資産償却費
                                         △1,716億円              △1,500億円
(製品に係る無形資産償却費を除く)
調整後EBITDAに対する現金税金の税率
                                               17.8%   10%台後半~20%台前半
(事業売却を除く)


重要な財務指標(マネジメントガイダンス*)

2020年度もビジネスモメンタムが継続し、実質ベースで好調な利益成長を見込んでいます。

                                2020年度

          実質的な売上収益の成長          一桁台前半

      実質的なCore営業利益の成長          一桁台後半

          実質的なCore営業利益率        30%台前半

          実質的なCore EPSの成長      10%台前半
*
1.(1)③当年度における実質的な成長の概要の「Coreと実質的な成長の定義」をご参照ください。




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2020年度の業績予想およびマネジメントガイダンスのその他の前提条件

・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行拡大に伴い、当社の事業活動は前述の通り様々に影響を
受けているものの、現時点までに業績に対する重大な影響は生じておりません。当社は、COVID-19は2020年度の当
社業績に対して重大な影響を及ぼすことはないと現時点で入手可能な情報に基づき考えており、当社の2020年度業
績予想はこの考え方を反映しています。しかしながら、COVID-19を取り巻く状況は引き続き非常に流動的であり、
新規または追加的な流行拡大や、主要市場におけるロックダウンや屋内退避命令の新規の措置や延長、その他政府
による対策など、2020年度中の進展によっては、当社製品の需要減少やサプライチェーンに関連する問題の発生、
または臨床試験の大幅な遅延など当社事業に深刻な影響を与える可能性があります。このような事態が生じた場合、
当社事業や経営成績、財政状態に追加的な影響が及び、また、当社の2020年度業績は予想から大きく乖離する可能
性があります。
・「ベルケイド」については、2020年度において、505(b)2申請に基づく皮下投与の新たな競合品の米国上市を想定
しておりません。
・事業等の売却については、公表済みの案件以外の将来の売却可能性の影響を考慮しておりません。


見通しに関する注意事項
本資料に記載の「業績予想」は、現時点で入手可能な情報と前提条件に基づく見込みであり、その実現を約束する趣
旨ではございません。実際の業績は事業環境の変化や為替変動など様々な要因により変動し、異なる結果を招きうる
不確実性を含んでいます。業績予想を修正すべき重大な要因が発生した場合には、速やかにご報告いたします。




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(6)資本配分に関する基本方針及び当期・次期の配当

① 資本配分に関する基本方針
 当社は、 財務的なコミットメントを果たし、 ビジネスモメンタム、 コストシナジー、 ノン・コア資産の売却から潤沢なキャッシュ・フ
 ローを得る見通しの下に、 患者さんと株主価値を最大化するよう資本を配分してまいります。

 当社の資本配分に関する基本方針は次の通りです。
 ・   レバレッジの速やかな低下
 ・   成長ドライバーへの投資
 ・   株主還元

 「レバレッジの速やかな低下」につきましては、 純有利子負債/調整後EBITDA倍率を2021年度から2023年度の間に2倍にす
 ることを目標とし、 投資適格格付の維持にコミットしております。「成長ドライバーへの投資」では、 研究開発、 中国市場にお
 けるグローバル製品の上市、 また、 拡大する血漿分画製剤事業など、 価値を創造する事業機会に対して規律をもって集中
 的な投資を行ってまいります。また、 「株主還元」においては、 1株当たり年間配当金180円の確立された配当方針を維持して
 おります。当社は、 成長のモメンタムは2020年度も継続し、 中期に亘り加速していくことを見込んでおります。


②当期・次期の配当
 当社は株主還元を重視し、 配当を重要な還元策として位置付けております。

 〔2019年度〕1株当たり年間配当金:180円
 当期の期末配当金は、 1株当たり90円を予定しております。
 この結果、 当期の年間配当金は中間配当金 (1株当たり90円) と合わせ、 180円となる予定です。

 〔2020年度(予定)〕1株当たり年間配当金:180円




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2.経営方針
 本項に記載の内容は、2020年3月31日現在の前提に基づく将来見通し情報を含みます。


(1)経営の基本方針
当社は、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」というミッションを追求しています。
また、当社は、「誠実:公正・正直・不屈」を企業活動の根幹に据え、「Patient(常に患者さんを中心に) 」、
「Trust(社会との深い信頼関係を築く)」、「Reputation(当社の評価をさらに高める)」、「Business(ビジネス
を成長させる)」を優先順位とする価値観に従います。


(2)経営環境、中長期的な経営戦略及び対処すべき課題等
世界の製薬産業においては、がん免疫療法や細胞療法、遺伝子治療等の新たな医療技術が登場しており、イノベーシ
ョンのスピードはかつてよりも速くなっています。このような革新的な医療による成果が現れてきている一方、画期
的なバイオ医薬品の研究開発費は高騰し、高齢化社会の進展等も相まって各国の医療制度は財政的課題に直面してお
ります。このため、保険者は保険償還対象となる医薬品をより厳格に選定するようになっており、各国政府は後発品
やバイオシミラーの使用を促進し、薬価引き下げの圧力を強めています。しかしながら、未だ満たされていない医療
ニーズは多く存在しており、患者さんの医薬品アクセスを高め、持続可能なヘルスケアシステムを維持していくこと
を含め、研究開発型の製薬企業に期待される役割は大きくなっています。

このような経営環境の下、 当社は、 世界中の患者さんに画期的な医薬品と革新的な治療法をお届けし得る、 バリュー(価値
観)、 すなわち当社の経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考える、 機動的でグローバルな研究開発型のバイオ医薬品
企業の実現に注力し、 変革を続けています。2019年1月のShire社の買収は、 この変革の大きな一歩となりました。本買収は、
事業展開の地域バランスの改善と米国をはじめとする主要な市場における競争力の源泉となる規模をもたらし、 当社は、 世界
の大手製薬企業と伍していける力を得ました。連結売上収益に占める米国の割合は約半数にまで高まっております。また、 本買
収により、 消化器系疾患およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の領域が強化され、 希少疾患および血漿分画製剤の領
域における主導的地位がもたらされました。さらに、 本買収は、 強固かつモダリティ(創薬手法)の多様な、 高度に補完的な
パイプラインを創出し、 イノベーションにフォーカスしたR&Dエンジンを強化することにつながっています。財務面においては、
キャッシュフロープロファイルの拡大により、 飛躍的な進歩が見込まれる医療技術への投資力が向上しており、 株主に対する利
益の還元についてもコミットしております。

Shire社の統合は、経験豊富で多様性に富んだ当社経営陣の指揮の下、当社の価値観を尊重しながら引き続き着実に実
行してまいりますが、患者さんや社会、株主の皆様に長期的な価値をお届けできるよう、当社は既にOne Takedaとし
て事業運営を行っております。

当社は、地域戦略を着実に実行するため、「米国」、「日本」、「ヨーロッパ及びカナダ」、並びに中国、中南米、
中東およびアフリカ、アジア太平洋、ロシア及びCIS(独立国家共同体)から構成される「成長新興国」の4つの地域
ビジネスユニットを編成しています。このようにローカル中心のグローバル組織を構築することで、当社医薬品への
アクセス向上や患者さんが入手可能な価格設定といった各地域のニーズに迅速に対応することが可能となります。こ
れら4つの地域ビジネスユニットに加え、専門性の高い領域であるオンコロジー(がん)、ワクチン、血漿分画製剤
については、スペシャルティビジネスユニットを編成し、エンド・ツー・エンドの事業運営を行っております。

当社は、持続可能で中長期的な成長を促進するため、引き続き、以下の3つの戦略的優先事項に取り組んでまいりま
す。
     1) ビジネスエリアのフォーカス
     消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の5
     つの主要ビジネスエリアにフォーカスします。


     2) R&Dエンジン
     当社は、患者さんを中心に考えるサイエンス主導の企業として、サイエンスから人生を変え得るような高度に
     革新的な医薬品を創出する取り組みを進めております。疾患領域の絞り込み、先進的なパートナーシップモデ
     ルの推進、新規メカニズムや新たな専門性への投資を通じて、R&Dエンジンを構築しております。バイオ医


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    薬品の中でも、オンコロジー(がん)、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および消化器系疾患
    の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにもターゲットを絞った研究開発
    投資を行ってまいります。

    当社は、今後数年にわたり、当社のパイプラインより、患者さんの標準治療の向上につながるベスト・イン・
    クラスもしくはファースト・イン・クラスの治療薬となり得る12の新規候補物質(14の効能)の世界での承認
    取得を見込んでいます。


    3) 強固な財務プロファイル

    当社は、利益率の中長期的な向上にフォーカスし、事業投資や負債の早期返済、株主へのキャッシュの還元の
    ため、キャッシュフローを創出します。

    当社では、純有利子負債/調整後EBITDA倍率を2021年度から2023年度の間に2倍にすることを目標としており
    ます。この取り組みを加速させるため、約100億米ドルを目標にノン・コア資産の売却を進めています。

    当社では、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用し
    ております。当年度と前年度の業績について、為替レートを一定として、事業等の売却影響や本業に起因しな
    い(ノン・コア)事象による影響等を控除し算定される「実質的な成長」は、事業活動のパフォーマンスを共
    通の基準で比較するものであり、投資家に追加的な情報を提供できるものと考えています。

なお、上記の戦略的優先事項に加え、当社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行する中での最優先事項
として、従業員ならびに従業員とともに業務に従事して頂いている方々、従業員の家族、また地域社会の健康を守る
ため、あらゆる方策を講じるとともに、患者さんが必要とされる医薬品を確実にお届けできるように取り組んでおり
ます。当社は、2020年4月に血漿分画製剤事業を営む複数社と結成したグローバルな提携体制であるCoVIg-19 Plasma
Allianceに参画し、患者さん中心の価値観の下、一企業としての利益を顧みることなく、あらゆるパートナーと協働
することを通じてCOVID-19の治療法開発を促進することに注力しております。

また、当社は、ESGへの取り組みを一層強化してまいります。当社は、患者さんに貢献するには、より広範なグローバ
ルコミュニティへの貢献に努めなければならないと認識しております。当社は、地球温暖化に伴う気候変動の影響を、
人々の健康に大きな影響を及ぼす重要な環境課題として認識しており、2040年にバリューチェーン全体でカーボンニ
ュートラルを達成するという目標を掲げ、取り組みを加速しております。さらに、医薬品アクセス戦略やグローバル
CSRプログラムを含む社会貢献プログラムに取り組み、強固なコーポレート・ガバナンスを推進してまいります。


3.会計基準の選択に関する基本的な考え方

当社は、 グローバル製薬企業との財務情報の比較可能性の向上、 資金調達の選択肢の拡大、 およびグループ内での会計処
理の統一等を目的とし、 2014年3月期末より国際会計基準(IFRS)を適用しております。




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                                     武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


4.連結財務諸表[IFRS]及び主な注記
(1)連結純損益計算書
                                                                (単位:百万円)
                                        前年度                   当年度
                                (自    2018年4月1日        (自   2019年4月1日
                                 至    2019年3月31日)       至   2020年3月31日)
    売上収益                                   2,097,224             3,291,188
    売上原価                                   △651,729             △1,089,764
    販売費及び一般管理費                             △717,599              △964,737
    研究開発費                                  △368,298              △492,381
    製品に係る無形資産償却費及び減損損失                     △178,617              △455,420
    その他の営業収益                                 159,863                60,213
    その他の営業費用                               △103,159              △248,691
    営業利益                                     237,685               100,408


    金融収益                                      16,843                27,831
    金融費用                                    △83,289              △165,006
    持分法による投資損益                              △43,627               △23,987
    税引前当期利益(△は損失)                            127,612              △60,754
    法人所得税費用                                    7,468               105,044
    当期利益                                     135,080                44,290


当期利益の帰属
    親会社の所有者持分                                135,192                44,241
    非支配持分                                      △112                     49
    合計                                       135,080                44,290


1株当たり当期利益(円)
    基本的1株当たり当期利益                              140.61                 28.41
    希薄化後1株当たり当期利益                             139.82                 28.25


※   当年度において当社グループはShire社買収により取得した資産および引き受けた負債について取得対価の配分を完
    了しました。この結果、前年度の連結純損益計算書を遡及修正しております。完了した取得対価の配分の詳細につ
    いては、(6)連結財務諸表に関する注記事項 (企業結合関係)をご参照ください。




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                                    武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


(2)連結純損益及びその他の包括利益計算書
                                                              (単位:百万円)
                                    前年度                     当年度
                             (自   2018年4月1日          (自   2019年4月1日
                              至   2019年3月31日)         至   2020年3月31日)
 当期利益                                     135,080                  44,290
その他の包括利益
    純損益に振り替えられることのない項目
     その他の包括利益を通じて公正価値で測
                                             6,000                △3,512
     定される金融資産の公正価値の変動
     確定給付制度の再測定                           △11,665                 △6,398
                                           △5,665                 △9,910
    純損益にその後に振り替えられる可能性の
    ある項目
     在外営業活動体の換算差額                           30,976               △207,072
     キャッシュ・フロー・ヘッジ                        △33,793                 △25,689
     ヘッジコスト                                △4,909                   △857
     持分法適用会社におけるその他の包括利
                                              △94                   △181
     益に対する持分
                                           △7,820                △233,799
    その他の包括利益合計                            △13,485                △243,709
    当期包括利益合計                               121,595               △199,419


当期包括利益の帰属
    親会社の所有者持分                              121,859               △199,569
    非支配持分                                    △264                     150
    当期包括利益                                 121,595               △199,419


※   当年度において当社グループはShire社買収により取得した資産および引き受けた負債について取得対価の配分を完
    了しました。この結果、前年度の連結純損益及びその他の包括利益計算書を遡及修正しております。完了した取得
    対価の配分の詳細については、(6)連結財務諸表に関する注記事項 (企業結合関係)をご参照ください。




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                            武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


(3)連結財政状態計算書
                                                 (単位:百万円)
                           前年度                   当年度
                      (2019年3月31日)          (2020年3月31日)
資産
非流動資産
 有形固定資産                         1,331,931            1,386,370
 のれん                            4,240,251            4,012,528
 無形資産                           4,751,169            4,171,361
 持分法で会計処理されている投資                  108,185             107,334
 その他の金融資産                         191,737             262,121
 その他の非流動資産                         87,472             103,846
 繰延税金資産                            88,991             308,102
 非流動資産合計                       10,799,736           10,351,662


流動資産
 棚卸資産                             919,670             759,599
 売上債権及びその他の債権                     741,907             757,005
 その他の金融資産                          23,276              15,822
 未収法人所得税等                           7,212              27,916
 その他の流動資産                         109,666             114,196
 現金及び現金同等物                        702,093             637,614
 売却目的で保有する資産                      489,213             157,280
 流動資産合計                         2,993,037            2,469,432


 資産合計                          13,792,773           12,821,094




                   ― 20 ―
                                    武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


                                                         (単位:百万円)
                                   前年度                   当年度
                              (2019年3月31日)          (2020年3月31日)
負債及び資本
負債
非流動負債
    社債及び借入金                             4,766,005            4,506,487
    その他の金融負債                              240,215             399,129
    退職給付に係る負債                             156,513             156,617
    未払法人所得税                                61,900              54,932
    引当金                                    33,762              37,605
    その他の非流動負債                              73,882              52,793
    繰延税金負債                                721,456             710,147
    非流動負債合計                             6,053,733            5,917,710


流動負債
    社債及び借入金                               984,946             586,817
    仕入債務及びその他の債務                          327,394             318,816
    その他の金融負債                               47,200              95,706
    未払法人所得税                               150,698             182,738
    引当金                                   388,722             405,245
    その他の流動負債                              439,055             499,386
    売却目的で保有する資産に直接関連する負
                                          215,034              87,190
    債
    流動負債合計                              2,553,049            2,175,898
    負債合計                                8,606,782            8,093,608


資本
    資本金                                 1,643,585            1,668,123
    資本剰余金                               1,650,232            1,680,287
    自己株式                                 △57,142             △87,463
    利益剰余金                               1,595,431            1,369,972
    その他の資本の構成要素                           349,879              92,564
     親会社の所有者に帰属する持分                     5,181,985            4,723,483
    非支配持分                                   4,006               4,003
     資本合計                               5,185,991            4,727,486


    負債及び資本合計                           13,792,773           12,821,094

※   当年度において当社グループはShire社買収により取得した資産および引き受けた負債について取得対価の配分を
    完了しました。この結果、前年度の連結財政状態計算書を遡及修正しております。完了した取得対価の配分の詳細
    については、(6)連結財務諸表に関する注記事項 (企業結合関係)をご参照ください。




                           ― 21 ―
                                                          武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


(4)連結持分変動計算書
前年度(自2018年4月1日   至2019年3月31日)
                                                                                              (単位:百万円)
                                          親会社の所有者に帰属する持分
                                                                その他の資本の構成要素
                                                                    その他の包括
                                 資本                                 利益を通じて 売却可能
                   資本金                   自己株式 利益剰余金 在外営業 公正価値で測 金融資産の
                                剰余金                        活動体の
                                                                    定される金融 公正価値の
                                                           換算差額
                                                                    資産の公正価   変動
                                                                     値の変動
2018年4月1日残高          77,914       90,740 △74,373 1,557,307  272,597       -   73,037
会計方針の変更による累
                                                           15,401                          84,672     △73,037
積的影響額
会計方針の変更を反映し
                     77,914       90,740     △74,373 1,572,708        272,597              84,672          -
た期首残高
当期利益                                                      135,192
その他の包括利益                                                               26,301               5,938
  当期包括利益                 -            -              -    135,192      26,301               5,938          -
新株の発行             1,565,671    1,565,671
自己株式の取得                                       △1,172
自己株式の処分                                △0          3
配当                                                       △142,697
持分変動に伴う増減額                                                △2,337            230
その他の資本の構成要素
                                                           32,565                      △44,230
からの振替
株式報酬取引による増加                       20,102
株式報酬取引による減少
                                △26,281        18,400
(権利行使)
非金融資産への振替
  所有者との取引額合計      1,565,671    1,559,492      17,231 △112,469             230          △44,230             -
2019年3月31日残高      1,643,585    1,650,232     △57,142 1,595,431        299,128           46,380             -

                     親会社の所有者に帰属する持分
                       その他の資本の構成要素          売却目的で
                                            保有する資                                           非支配
                  キャッシ                                                                                 資本合計
                          ヘッジ 確定給付制         産に関連す      合計                                    持分
                  ュ・フロ               合計     るその他の
                          コスト 度の再測定
                 ー・ヘッジ                       包括利益
2018年4月1日残高         3,391  1,606  - 350,631   △4,795 1,997,424                               19,985    2,017,409
会計方針の変更による累
                   △1,378                             10,257                      25,658       △10        25,648
積的影響額
会計方針の変更を反映し
                     2,013     1,606            -    360,888    △4,795 2,023,082             19,975    2,043,057
た期首残高
当期利益                                                 -                        135,192         △112       135,080
その他の包括利益          △33,793     △4,909    △11,665 △18,128             4,795    △13,333          △152      △13,485
  当期包括利益          △33,793     △4,909    △11,665 △18,128             4,795     121,859         △264       121,595
新株の発行                                                -                      3,131,342                  3,131,342
自己株式の取得                                              -                        △1,172                     △1,172
自己株式の処分                                              -                              3                          3
配当                                                   -                      △142,697         △169      △142,866
持分変動に伴う増減額                                          230                       △2,107       △15,536      △17,643
その他の資本の構成要素
                                            11,665 △32,565                            -                         -
からの振替
株式報酬取引による増加                                                -                      20,102                  20,102
株式報酬取引による減少
                                                           -                  △7,881                     △7,881
(権利行使)
非金融資産への振替           34,739     4,715                  39,454                39,454                        39,454
  所有者との取引額合計        34,739     4,715        11,665     7,119           - 3,037,044         △15,705     3,021,339
2019年3月31日残高         2,959     1,412            -    349,879           - 5,181,985           4,006     5,185,991


                                              ― 22 ―
                                                     武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


当年度(自2019年4月1日   至2020年3月31日)
                                                                                         (単位:百万円)
                                            親会社の所有者に帰属する持分
                                                                          その他の資本の構成要素
                                                                                     その他の包括
                                資本                                                   利益を通じて
                   資本金                        自己株式        利益剰余金           在外営業
                               剰余金                                                    公正価値で
                                                                          活動体の
                                                                                      測定される
                                                                          換算差額
                                                                                      金融資産の
                                                                                    公正価値の変動
2019年4月1日残高        1,643,585   1,650,232       △57,142      1,595,431       299,128      46,380
会計方針の変更による累
                                                                  △512
積的影響額
会計方針の変更を反映し
                   1,643,585   1,650,232       △57,142      1,594,919          299,128        46,380
た期首残高
当期利益                                                             44,241
その他の包括利益                                                                      △207,280       △3,586
  当期包括利益                  -          -                -          44,241       △207,280       △3,586
新株の発行                 24,538     24,538
自己株式の取得                                        △52,750
自己株式の処分                                △0            1
配当                                                          △282,693
その他の資本の構成要素
                                                                 13,505                     △19,903
からの振替
株式報酬取引による増加                      29,122
株式報酬取引による減少
                                △23,605          22,428
(権利行使)
  所有者との取引額合計          24,538      30,055       △30,321      △269,188                -       △19,903
2020年3月31日残高       1,668,123   1,680,287       △87,463      1,369,972           91,848       22,891


                       親会社の所有者に帰属する持分
                          その他の資本の構成要素                                            非支配
                  キャッシ                                                                     資本合計
                           ヘッジ     確定給付制                            合計            持分
                  ュ・フロ                   合計
                           コスト     度の再測定
                 ー・ヘッジ
2019年4月1日残高         2,959    1,412     - 349,879                  5,181,985        4,006    5,185,991
会計方針の変更による累
                                                            -         △512                      △512
積的影響額
会計方針の変更を反映し
                     2,959     1,412            -      349,879    5,181,473        4,006    5,185,479
た期首残高
当期利益                                                       -        44,241            49      44,290
その他の包括利益          △25,689      △857         △6,398   △243,810     △243,810           101    △243,709
  当期包括利益          △25,689      △857         △6,398   △243,810     △199,569           150    △199,419
新株の発行                                                      -        49,076                    49,076
自己株式の取得                                                    -       △52,750                   △52,750
自己株式の処分                                                    -             1                         1
配当                                                         -      △282,693         △153     △282,846
その他の資本の構成要素
                                             6,398    △13,505             -                        -
からの振替
株式報酬取引による増加                                                 -        29,122                   29,122
株式報酬取引による減少
                                                            -       △1,177                   △1,177
(権利行使)
  所有者との取引額合計           -          -          6,398    △13,505     △258,421         △153     △258,574
2020年3月31日残高      △22,730        555            -      92,564     4,723,483        4,003    4,727,486

※   当年度において当社グループはShire社買収により取得した資産および引き受けた負債について取得対価の配分を完
    了しました。この結果、前年度の連結持分変動計算書を遡及修正しております。完了した取得対価の配分の詳細に
    ついては、(6)連結財務諸表に関する注記事項 (企業結合関係)をご参照ください。




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                                 武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


(5)連結キャッシュ・フロー計算書
                                                             (単位:百万円)
                                        前年度                  当年度
                                 (自   2018年4月1日       (自   2019年4月1日
                                  至   2019年3月31日)      至   2020年3月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー
 当期利益                                       135,080               44,290
 減価償却費及び償却費                                 247,691              583,649
 減損損失                                        10,120              101,882
 持分決済型株式報酬                                   20,084               29,122
 有形固定資産の処分及び売却に係る利益                        △45,220                 △990
 事業譲渡及び子会社株式売却益                            △82,975              △16,755
 在外営業活動体の清算損益(△は益)                          △2,669                   399
 条件付対価に係る公正価値変動額                            △5,966              △18,387
 金融収益及び費用(純額)                                66,446              137,175
 持分法による投資損益                                  43,627               23,987
 法人所得税費用                                    △7,468             △105,044
 資産及び負債の増減額
  売上債権及びその他の債権の増加額                         △13,382             △34,826
  棚卸資産の減少額                                  50,717              137,492
  仕入債務及びその他の債務の減少額                         △16,413             △29,932
   引当金の増加額                                   47,063              21,938
 その他(純額)                                   △73,347               22,520
  営業活動による現金生成額                              373,388             896,520
 法人所得税等の支払額                                △51,536             △234,612
 法人所得税等の還付及び還付加算金の受取額                         6,627               7,844
営業活動によるキャッシュ・フロー                            328,479             669,752
投資活動によるキャッシュ・フロー
 利息の受取額                                      6,305                11,487
 配当金の受取額                                     2,739                 1,382
 有形固定資産の取得による支出                            △77,677             △127,082
 有形固定資産の売却による収入                             50,717                12,578
 無形資産の取得による支出                              △56,437              △90,628
 投資の取得による支出                                △17,099               △7,551
 投資の売却、償還による収入                              65,035                49,402
 事業取得による支出
                                         △2,958,686             △4,890
 (取得した現金及び現金同等物控除後)
 事業売却による収入
                                             85,131             461,546
 (処分した現金及び現金同等物控除後)
 拘束性預金の払戻による収入                               71,844                  -
 その他(純額)                                    △7,570             △14,125
投資活動によるキャッシュ・フロー                         △2,835,698             292,119




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                                    武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


                                                                (単位:百万円)
                                           前年度                  当年度
                                    (自   2018年4月1日       (自   2019年4月1日
                                     至   2019年3月31日)      至   2020年3月31日)
財務活動によるキャッシュ・フロー
 短期借入金の純増減額(△は減少)                              367,319            △351,223
 社債の発行及び長期借入れによる収入                           2,795,926             496,190
 社債の償還及び長期借入金の返済による支出                               -             △701,057
 自己株式の取得による支出                                  △1,172              △3,737
 利息の支払額                                       △34,914             △127,211
 配当金の支払額                                     △142,952             △282,582
 連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による
                                               △2,392              △1,700
 支出
 リース負債の支払額(前年度:ファイナンス・リース
                                               △1,741             △30,000
 債務の返済による支出)
 借入契約に係るファシリティー・フィー                           △19,507                   -
 その他(純額)                                      △14,330              △3,893
財務活動によるキャッシュ・フロー                             2,946,237          △1,005,213
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)                            439,018            △43,342

 現金及び現金同等物の期首残高
                                               294,522             702,093
(連結財政状態計算書計上額)
 売却目的で保有する資産からの振戻額                                 451                 629
現金及び現金同等物の期首残高                                 294,973             702,722


現金及び現金同等物に係る換算差額                              △31,269             △21,766
現金及び現金同等物の期末残高                                 702,722             637,614
売却目的で保有する資産への振替額                                 △629                   -
現金及び現金同等物の期末残高
                                               702,093             637,614
(連結財政状態計算書計上額)
※   当年度において当社グループはShire社買収により取得した資産および引き受けた負債について取得対価の配分を完
    了しました。この結果、前年度の連結キャッシュ・フロー計算書を遡及修正しております。完了した取得対価の配
    分の詳細については、(6)連結財務諸表に関する注記事項 (企業結合関係)をご参照ください。




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                                     武田薬品工業(株)(4502) 2020年3月期 決算短信


(6)連結財務諸表に関する注記事項

(継続企業の前提に関する注記)
  該当事項はありません。


(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)

 1.作成の基礎

 (1)準拠する会計基準
   当社グループの連結財務諸表は「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令
   第 28号。以下、「連結財務諸表規則」)第1条の2に規定する「特定会社」の要件をすべて満たすことから、
   連結財務諸表規則第93条の規定により、国際会計基準(以下、“IFRS”)に準拠して作成しております。

 (2)測定の基礎
   連結財務諸表は、投資、デリバティブおよび条件付対価等の公正価値で測定される特定の資産および負債を
   除き、取得原価を基礎として作成しております。

 (3)機能通貨および表示通貨

   当社グループの連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、特に記載のない限り、百万
   円未満を四捨五入して表示しております。


 2.重要な会計方針

  当社グループが連結財務諸表において適用する重要な会計方針は、IFRS第16号「リース」による変更を除き、前年
  度に係る連結財務諸表において適用した会計方針と同一であります。


 (会計方針の変更)
  IFRS第16号「リース」

  当社グループはIFRS第16号を2019年4月1日より適用しております。IFRS第16号はIAS第17号「リース」(以下、
  「IAS第17号」)および、IFRIC第4号「契約にリースが含まれるか否かの判断」(以下、「IFRIC第4号」)に代
  わる単一のリース会計モデルであり、ほとんどすべてのリース取引についてリース負債および使用権資産を認識す
  ることを借手に要求し