4502 武田薬 2021-05-11 15:00:00
2021年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) [pdf]

                     2021年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
                              決算短信       連結)
                                                             2021年5月11日
上 場 会 社 名   武田薬品工業株式会社                     上場取引所                東・名・札・福
コ ー ド 番 号   4502                 URL http://www.takeda.com/jp
代   表   者 (役職名) 代表取締役社長CEO     (氏名) クリストフ ウェバー
                 グローバルファイナンスIR       クリストファー
問合せ先責任者 (役職名)                  (氏名)                      (TEL) (03)3278-2306
                 グローバルヘッド            オライリー
定時株主総会開催予定日       2021年6月29日 配当支払開始予定日                2021年6月30日
有価証券報告書提出予定日 2021年6月29日
決算補足説明資料作成の有無        : 有
決算説明会開催の有無           : 有
                                                                                                   (百万円未満四捨五入)
1.2021年3月期の連結業績(2020年4月1日~2021年3月31日)
(1)連結経営成績                                                                                      (%表示は対前期増減率)
                                                                                         親会社の所有者に帰   当期包括利益
              売上収益             営業利益              税引前利益                  当期利益              属する当期利益      合計額
               百万円       %    百万円           %     百万円       %           百万円          %      百万円         %         百万円             %
2021年3月期 3,197,812 △2.8 509,269 407.2 366,235               -       376,171 749.3         376,005 749.9 697,416               -
2020年3月期 3,291,188 56.9 100,408 △57.8 △60,754               -        44,290 △67.2          44,241 △67.3 △199,419              -
              基本的            希薄化後           親会社所有者
                                                    資産合計                       売上収益
             1株当たり           1株当たり            帰属持分                                            Core営業利益               Core EPS
                                                   税引前利益率                     営業利益率
             当期利益            当期利益            当期利益率
                   円 銭              円 銭                %                %                 %        億円         %                   円
  2021年3月期   240.72  238.96                           7.6     2.8      15.9                    9,679   0.6                   420
 
  2020年3月期    28.41   28.25                           0.9    △0.5       3.1                    9,622 109.5                   387
(参考) 持分法による投資損益 2021年3月期                               76百万円    2020年3月期                      △23,987百万円
(2)連結財政状態
                                                      親会社の所有者に                親会社所有者               1株当たり親会社
               資産合計                 資本合計
                                                       帰属する持分                 帰属持分比率               所有者帰属持分
                      百万円                       百万円                百万円                        %                   円 銭
2021年3月期         12,912,293            5,177,177            5,173,037                      40.1              3,308.93
2020年3月期         12,821,094            4,727,486            4,723,483                      36.8              3,032.22
(3)連結キャッシュ・フローの状況
              営業活動による                  投資活動による                     財務活動による                    現金及び現金同等物
              キャッシュ・フロー                キャッシュ・フロー                   キャッシュ・フロー                     期末残高
                              百万円                         百万円                        百万円                       百万円
2021年3月期              1,010,931                       393,530               △1,088,354                        966,222
2020年3月期                669,752                       292,119               △1,005,213                        637,614
2.配当の状況
                                            年間配当金                                                             親会社所有者
                                                                                     配当金総額         配当性向
                                                                                                              帰属持分配当率
                 第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                       期末           合計           (合計)          (連結)
                                                                                                                (連結)
                      円 銭           円 銭           円 銭           円 銭           円 銭         百万円               %        %
  2020年3月期                -         90.00             -         90.00       180.00       283,715     633.6                 5.7
  2021年3月期                -         90.00             -         90.00       180.00       283,718      74.8                 5.7
 
  2022年3月期(予想)            -         90.00             -         90.00       180.00                      -
3.2022年3月期の連結業績予想(2021年4月1日~2022年3月31日)
                                                                                               (%表示は対前期増減率)
                                                                                     親会社の所有者に        基本的1株当
             売上収益            Core営業利益            営業利益             税引前利益              帰属する当期利益           たり当期利益
                                                                                                                       Core EPS

              百万円    %        百万円         %      百万円       %       百万円        %       百万円    %               円 銭               円
通       期 3,370,000 5.4      930,000 △3.9       488,000 △4.2 352,000 △3.9            250,000 △33.5          159.91           394
 2021年度マネジメントガイダンス
  実質的な売上収益の成長                                             一桁台半ば
  実質的なCore営業利益の成長                                         一桁台半ば
  実質的なCore営業利益率                                           約30%
  実質的なCore EPSの成長                                         一桁台半ば
 (注) 「実質的な成長」については6ページをご参照ください。
※ 注記事項
(1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動)                                                        : 無
 




(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更
  ① IFRSにより要求される会計方針の変更                                          : 無
     ②    ①以外の会計方針の変更                                            : 無
     ③    会計上の見積りの変更                                             : 無
 

 
(3)発行済株式数(普通株式)
  ① 期末発行済株式数(自己株式を含む)                           2021年3月期       1,576,387,908株    2020年3月期     1,576,373,908株

     ②    期末自己株式数                               2021年3月期         13,029,749株     2020年3月期        18,608,312株

     ③    期中平均株式数                               2021年3月期       1,562,005,754株    2020年3月期     1,557,204,329株
 

 
(参考)      個別業績の概要

1.2021年3月期の個別業績(2020年4月1日~2021年3月31日)
(1)個別経営成績                                                                                (%表示は対前期増減率)
                         売上高                営業利益                    経常利益                    当期純利益
                         百万円         %       百万円          %          百万円            %        百万円            %
    2021年3月期           602,557    △2.2      121,071     35.8        50,010      △30.8       247,513      89.5
    2020年3月期           616,288    △5.4       89,153     20.7        72,252       312.5      130,626      48.0

                       1株当たり               潜在株式調整後
                       当期純利益              1株当たり当期純利益
                                  円 銭                  円 銭
    2021年3月期                     158.45               158.44
    2020年3月期                      83.88                83.87

(2)個別財政状態
                         総資産                 純資産                 自己資本比率                   1株当たり純資産
                                 百万円                  百万円                           %                    円 銭
  2021年3月期                10,856,450          4,434,889                           40.8                2,835.81
  2020年3月期                10,289,304          4,549,000                           44.2                2,919.21
(参考) 自己資本
 
                   2021年3月期       4,433,632百万円       2020年3月期                   4,547,699百万円
 
 


 
    ※    決算短信は公認会計士又は監査法人の監査の対象外です
    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、 その他特記事項
        ・当社は、 国際会計基準(IFRS)を適用し、 IFRSに準拠して開示しております。
        ・本資料に記載の「業績予想」は、 現時点で入手可能な情報と前提条件に基づく見込みであり、 その実現を約
         束する趣旨ではございません。実際の業績は事業環境の変化や為替変動など様々な要因により変動し、 異な
         る結果を招きうる不確実性を含んでいます。業績予想を修正すべき重大な要因が発生した場合には、 速やか
         にご報告いたします。
        ・「業績予想」の内容については、 添付資料14ページの「1.経営成績等の概況 (5)今後の見通し」をご参
         照下さい。
        ・決算補足説明資料である決算カンファレンスコール(5/11(火)開催)におけるプレゼンテーション資料等、
         説明内容および質疑応答(音声)については、 速やかに当社のホームページに掲載致します。

        (当社ホームページ)
        https://www.takeda.com/jp/investors/financial-results/
                                         武田薬品工業(株)(4502) 2021年3月期 決算短信


○添付資料の目次

  1.経営成績等の概況 ……………………………………………………………………………………2
   (1)当期の経営成績の概況 …………………………………………………………………………2
   (2)当期の財政状態の概況 …………………………………………………………………………9
   (3)当期のキャッシュ・フローの概況 ……………………………………………………………10
   (4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響と当社の取り組み ……………11
   (5)今後の見通し ……………………………………………………………………………………14
   (6)資本配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 …………………………………………17
  2.経営方針 ………………………………………………………………………………………………18
   (1)経営の基本方針 …………………………………………………………………………………18
   (2)経営環境、中長期的な経営戦略および対処すべき課題 ……………………………………18
  3.会計基準の選択に関する基本的な考え方 …………………………………………………………20
  4.連結財務諸表[IFRS]及び主な注記 …………………………………………………………………21
   (1)連結純損益計算書 ………………………………………………………………………………21
   (2)連結包括利益計算書 ……………………………………………………………………………22
   (3)連結財政状態計算書 ……………………………………………………………………………23
   (4)連結持分変動計算書 ……………………………………………………………………………25
   (5)連結キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………………………27
   (6)連結財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………29
    (継続企業の前提に関する注記) …………………………………………………………………29
    (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) …………………………………………29
    (セグメント情報) …………………………………………………………………………………29
    (1株当たり情報) …………………………………………………………………………………30
    (重要な後発事象) …………………………………………………………………………………30


  【補足資料】
    1   2020年度 財務ベース売上収益から実質的な売上収益の調整
    2   2020年度 財務ベースからCore/Underlying Coreへの調整表
    3   2019年度 財務ベースからCore/Underlying Coreへの調整表




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1.経営成績等の概況
(1)当期の経営成績の概況
① 事業の概況
当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研
究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、革新的な医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグ
ローバルでの販売を主要な事業としております。当社は、サイエンスから革新的で患者さんの人生を一変させる医薬
品を創出し患者さんにお届けするため、4つの重点疾患領域にフォーカスした研究開発の原動力を構築しました。ま
た、バイオ医薬品や遺伝子治療など多様なモダリティ(創薬手法)へのアクセスを可能とするため、社内の研究能力
を活用するとともに、外部パートナーとも連携しております。当社は、グローバルに展開した事業基盤をもとに、世
界の主要各国で医療用医薬品を販売しております。

当社は、既存事業の自立的な伸長と企業買収を通じて成長してまいりました。これまで複数の企業買収を実施したこ
とにより、疾患領域、地理的拠点、パイプラインの拡大を推進してまいりました。特に2019年1月にShire plc.(以
下、「Shire社」)を買収したことにより、当社の消化器系疾患およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の領域が
強化され、希少疾患と血漿分画製剤の主導的地位を獲得しました。販売においては、本買収は米国、欧州および成長
新興国におけるプレゼンスを飛躍的に向上させました。また、本買収は、研究開発の原動力のさらなる強化を促進し
ました。当社は、本買収や投資、独自の研究開発提携モデルを通じて、相互補完的で強固かつ多様なモダリティ(創
薬手法)のパイプラインを構築しました。

当社は、Shire社買収の対価の現金部分の資金を調達するため、多額の負債を計上しましたが、主に営業活動から生じ
るキャッシュ・フローを用いて、負債の削減を進める方針です。営業活動から生じるキャッシュ・フローは、規模の
拡大や統合シナジーにより大幅に改善しているため、負債の返済に加えて、長期的な成長に向けた研究開発への投資、
配当をはじめとした株主還元にもコミットしてまいります。


② 当年度における業績の概要
当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
                                                   (単位:億円、%以外)
                            前年度         当年度          対前年度

売上収益                           32,912     31,978   △934     △2.8%
売上原価                         △10,898     △9,943      955    △8.8%
販売費及び一般管理費                    △9,647     △8,757      891    △9.2%
研究開発費                         △4,924     △4,558      365    △7.4%
製品に係る無形資産償却費及び減損損失            △4,554     △4,219      336    △7.4%
その他の営業収益                          602      3,180   2,578    428.2%
その他の営業費用                      △2,487     △2,589    △102       4.1%
営業利益                            1,004      5,093   4,089    407.2%
金融収益                             278      1,055      777    279.1%
金融費用                          △1,650     △2,486    △836      50.7%
持分法による投資損益                     △240           1      241        -
税引前当期利益(△は損失)                  △608       3,662    4,270        -
法人所得税費用                        1,050         99    △951     △90.5%
当期利益                              443      3,762   3,319    749.3%


 〔売上収益〕
 売上収益は、前年度から934億円減収(△2.8%)の3兆1,978億円となりました。前年度の実勢為替レートを当年度
 に適用することにより算出した為替影響を除くと、売上収益は0.5%の減収となりました。


 当社の主要な疾患領域のうち、消化器系疾患および血漿由来の免疫疾患治療は増収となりました。しかしながら、
 これら疾患領域における増収は、希少疾患における競争の激化や後発品の浸透による影響、および製品ポートフォ



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リオ全般に亘った為替変動による減収影響を受けて相殺されました。当年度における新型コロナウイルス感染症
(COVID-19)のグローバルな流行拡大に伴う売上収益に対する全体的な影響は、重要性のあるものではありません
でした。ニューロサイエンス(神経精神疾患)といった一部の疾患領域において、外出制限により患者さんの医療
機関訪問の頻度が減少する等のマイナス影響が継続して見られました。この動向は、当年度を通じて変動してきま
した。これらのマイナス影響は、服薬の利便性の高い特定の製品の需要拡大が流行拡大の初期に見られる等、処方
動向によるプラス影響により一部相殺されております。
当社の主要な疾患領域以外の売上収益は、複数の事業売却による減収影響、および高尿酸血症治療剤「ユーロリッ
ク」や痛風治療剤「コルクリス」等の特許満了製品の減収影響を受け、1,307億円の減収(△18.5%)となりまし
た。


各疾患領域における売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。
・ 消化器系疾患
消化器系疾患領域の売上収益は、前年度から799億円増収(+11.4%)の7,778億円となりました。当社のトップ製品
である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、前
年度から821億円増収(+23.6%)の4,293億円となり、売上成長を牽引しました。本剤は需要の増加により、米国内
の売上が、前年度から550億円増収(+23.0%)の2,943億円となり、欧州およびカナダにおける売上は、前年度から
210億円増収(+23.9%)の1,089億円となりました。日本においては、主に潰瘍性大腸炎に対する効能により売上が
伸長しました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十
二指腸潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、日本において新規処方が拡大し、売上は121億円増収(+16.7%)の
848億円となりました。慢性特発性便秘症治療剤「RESOLOR/MOTEGRITY」は、米国市場への浸透がさらに進んだこと
により、売上は47億円増収(+71.2%)の112億円となりました。短腸症候群治療剤「GATTEX/REVESTIVE」は、主に
成人患者の平均治療期間が伸長したことおよび小児患者数の増加により、売上は28億円増収(+4.5%)の646億円と
なりました。「エンティビオ」、「タケキャブ」、「RESOLOR/MOTEGRITY」および「GATTEX/REVESTIVE」の売上成長
により、特許満了製品である消化性潰瘍治療剤「PANTOLOC/CONTROLOC」(一般名:「パントプラゾール」)(63億
円の減収)や、逆流性食道炎治療剤「DEXILANT」(72億円の減収)および慢性便秘症治療剤「AMITIZA」(69億円の
減収)等、主に競争の激化および円高の影響を受けたその他製品の減収を吸収しました。


・ 希少疾患
希少疾患領域の売上収益は、前年度から431億円減収(△6.8%)の5,917億円となりました。希少血液疾患領域の売
上収益は、444億円減収(△13.3%)の2,898億円となりました。「アドベイト」は293億円減収(△18.6%)の
1,285億円となり、「アディノベイト」は、6億円減収(△1.0%)の581億円となりました。これは主に米国の血友病
Aのインヒビター非保有市場における競争の激化によるものです。「ファイバ」の売上は、主に欧州において、イ
ンヒビター保有市場の出血予防セグメントにおける競争圧力が高まったことにより、70億円減収(△13.6%)の445
億円となりました。また、希少代謝性疾患領域の売上収益は、82億円減収(△4.8%)の1,626億円となりました。
こ れ は 主 に、 副 甲 状 腺 機 能 低 下 症 治 療 剤 「 NATPARA 」 を 2019 年 9 月 に 米 国 に お い て 回 収 し た こ と に よ り、
「NATPARA/NATPAR」の売上が101億円減収(△74.0%)の36億円となったことに起因します。遺伝性血管性浮腫領域
の売上収益は、95億円増収(+7.3%)の1,393億円となりました。これは、「TAKHZYRO」の新規患者獲得により、同
剤の売上が184億円増収(+27.0%)の867億円となったことによります。なお、「フィラジル」は、後発品参入と
「TAKHZYRO」への切り替え影響により58億円減収(△17.9%)の268億円となり、「CINRYZE」は、主に「TAKHZYRO」
への切り替え影響により、25億円減収(△10.2%)の219億円となりました。


・ 血漿由来の免疫疾患治療
血漿由来の免疫疾患治療領域の売上収益は、前年度から262億円増収(+6.7%)の4,204億円となりました。免疫グ
ロブリン製剤の売上合計は、強い需要と供給能力の拡大により、362億円増収(+12.1%)の3,349億円となりまし
た。特に、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤「GAMMAGARD
LIQUID」は、これら疾患に対する米国における標準治療剤としてのポジションを引き続き強固なものにしました。
皮下注製剤である「CUVITRU」および「HYQVIA」も2桁台の増収率となりました。また、主に血液量減少症と低アル
ブミン血症の治療に用いられる「HUMAN ALBUMIN」と「FLEXBUMIN」を含むアルブミン製剤の売上合計は前年度から



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96億円減収(△14.3%)の576億円となりました。これは、前年度上期の中国において、さらにその前の年度からの
期ずれによる供給量の増加があり売上が大きくなったこと、および当年度下期において「HUMAN ALBUMIN」のバッチ
の一時的な出荷中断があったこと等によります。


・ オンコロジー
オンコロジー(がん)領域の売上収益は、前年度から44億円減収(△1.1%)の4,165億円となりました。多発性骨
髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上は、服薬の利便性が高い経口投与の製品特性もあり、特に米国と中国での好調な
業績が成長に寄与し、前年度から98億円増収(+12.7%)の874億円となりました。「ニンラーロ」は週一回経口投
与のカプセル剤であり、医療機関での点滴や注射を必要としないため、COVID-19拡大下において当年度の最初の数
ヶ月患者さんの通院負担を軽減することができました。また、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」の売上は、近
年、複数の効能追加を取得した日本において特に伸長し、前年度から68億円増収(+12.8%)の594億円となりまし
た。白血病治療剤「アイクルシグ」の売上は、米国における新たなオムニチャネル販促アプローチおよび米国外に
おける地理的拡大により、前年度から24億円増収(+7.5%)の342億円となりました。非小細胞肺がん治療剤「アル
ンブリグ」の売上は、引き続き欧州および新興諸国での上市があったことにより、前年度から16億円増収(+21.7
%)の88億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上は、前年度から172億円減収(△14.5%)の
1,011億円となり、うち、米国外の売上にかかるロイヤルティ収益は、2019年の欧州および中国における後発品の参
入により、前年度から47億円の大幅な減収(△49.4%)の48億円となりました。米国内の売上は、COVID-19に関連
する懸念から患者さんが受診を控え、第一選択薬としての新規処方患者数が減少したこと、および2020年5月初め
に競合他社の皮下注射製剤が米国において上市されたことから、前年度から125億円減収(△11.5%)の963億円と
なりました。子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられる特許満了製品の「リュープ
リン」(一般名:「リュープロレリン」)は、前年度から137億円減収(△12.5%)の954億円となりました。これ
は、当社の品質基準遵守の取り組みを拡大して実施した日本の製造拠点における生産停止に関連しております。


・ ニューロサイエンス
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の売上収益は、前年度から212億円減収(△4.8%)の4,173億円となりま
した。減収影響の一部は、アルツハイマー病治療剤「レミニール」の後発品が、2020年6月に日本において上市さ
れたことによるものであり、同剤の売上は前年度から101億円減収(△58.3%)の72億円となりました。また、不眠
症治療剤「ロゼレム」の売上も、2019年7月に米国における独占販売期間が満了したことによる減収影響を受け、25
億円減収(△17.0%)の120億円となりました。注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤「ADDERALL XR」の売上は、主
に後発品参入による競争の影響を受け、65億円減収(△26.9%)の178億円となりました。ADHD治療剤「バイバン
ス」(国内製品名:「ビバンセ」)の売上は、前年度から25億円減収(△0.9%)の2,715億円となりました。大う
つ病(MDD)治療剤「トリンテリックス」の売上は、前年度から18億円減収(△2.5%)の689億円になりました。
「バイバンス」および「トリンテリックス」の売上は、COVID-19に伴う外出制限期間中の外来患者数および診断数
の減少と、服薬の一時的な中断による減収影響を受けてきました。COVID-19の流行拡大前の水準に一時的に正常化
した時期もありましたが、直近の6ヶ月においては、両剤を販売する国々における感染拡大により再度影響を受け
ました。これらの減少は、ADHD治療剤「インチュニブ」の売上が、主に日本における需要の増加およびCOVID-19に
よるライセンシーの在庫積み増しの影響を受け、前年度から58億円増収(+39.5%)の204億円となったことにより、
一部相殺されております。




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〔地域別売上収益〕
各地域の売上収益は以下のとおりです。
                                            (単位:億円、%は構成比率を表示)
  売上収益:                        前年度                   当年度
     日本                      5,928       18.0%     5,597      17.5%
     米国                     15,959       48.5%    15,679      49.0%
     欧州およびカナダ                6,455       19.6%     6,662      20.8%
     ロシア/CIS                   768        2.3%       576       1.8%
     中南米                     1,435        4.4%     1,216       3.8%
     アジア                     1,654        5.0%     1,562       4.9%
          (注)
     その他                       713        2.2%       685       2.1%
     合計                     32,912      100.0%    31,978     100.0%
 (注) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。

 〔売上原価〕
 売上原価は、前年度から955億円減少(△8.8%)の9,943億円となり、売上原価率は+31.1%(△2.0pp)となりまし
 た。これは主に、Shire社買収に伴い計上された棚卸資産の公正価値調整等にかかる非資金性の費用の減少1,183億
 円によるものです。この減少は、「コルクリス」や「ベルケイド」等の特許満了品を含む利益率の高い製品の売上
 減少に伴う売上原価の増加により一部相殺されております。


 〔販売費及び一般管理費〕
 販売費及び一般管理費は、前年度から891億円減少(△9.2%)の8,757億円となりました。この減少は主に、Shire
 社との統合による経費効率化およびコストシナジーのほか、出張および営業活動の減少等、COVID-19の影響に伴う
 経費の減少によるものです。


 〔研究開発費〕
 研究開発費は、前臨床試験段階にある新規候補物質に関連する費用を含む一部の研究開発プログラムにかかる費用
 の増加がありましたが、主にパイプラインの重点化に関連する費用等の減少やCOVID-19の影響に伴う出張経費の減
 少により、対前年度365億円減少(△7.4%)の4,558億円となりました。


 〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕
 製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、前年度から336億円減少(△7.4%)の4,219億円となりました。この減
 少は主に、前年度において、2019年5月の中間解析を受け開発中止を決定したTAK-616 AMRプログラム、および治験
 デザイン変更を変更したTAK-607を含む、開発中の製品に係る減損損失を計上したことによるものです。


 〔その他の営業収益〕
 その他の営業収益は、前年度から2,578億円増加(+428.2%)の3,180億円となりました。この増加は主に、武田コ
 ンシューマーヘルスケア株式会社株式および関連資産の売却に伴う譲渡益1,395億円およびその他ノン・コア資産の
 譲渡に伴う益894億円により、2,289億円の譲渡益を当年度に計上したことによるものです。また、当年度において
 SHP647および関連する権利の売却に関する当社グループの義務を解除する2020年5月の欧州委員会の決定に伴い、
 当社グループがSHP647に関する臨床試験プログラムを中止する意思決定を行ったことを反映し、これまで計上して
 いた当該プログラムに関連する負債の再見積りを行った結果、602億円の再評価益を計上したことによるものです。
 この増加は主に、繰延事業譲渡益の実現額の減少127億円と一部相殺されております。これは、当社グループとTeva
 Pharmaceutical Industries Ltd.が設立した合弁会社である、武田テバ薬品株式会社に移管した長期収載品事業に
 関連する無形資産の減損に伴う繰延事業譲渡益の実現額を前年度に計上したことによるものです。


 〔その他の営業費用〕
 その他の営業費用は、前年度から102億円増加(+4.1%)の2,589億円となりました。この増加は主に、当社グルー
 プがNovartis社に譲渡したXIIDRAの欧州における販売許可申請を同社が取り下げたことを含む、XIIDRAの将来売上


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見込の算定にかかる前提条件を変更したことに伴う条件付対価契約に関連する資産の公正価値の変動により、729億
円の損失を当年度に計上したことによるものです。この増加は、主にShire社との統合費用を含む事業構造再編費用
が対前年度652億円減少したことにより一部相殺されております。


〔営業利益〕
営業利益は、上記の要因を反映し、前年度から4,089億円増益(+407.2%)の5,093億円となりました。


〔金融損益〕
金融収益と金融費用をあわせた金融損失は1,431億円の損失となり、前年度から損失が59億円増加しました。当年度
の金融損失の増加は主に、2019年10月に上場した企業のワラントにかかるデリバティブ評価益が前年度から110億円
減少したことによるものです。この増加は、利息費用(純額)の減少により一部相殺されております。


〔持分法による投資損益〕
当年度の持分法による投資損益は、主に武田テバファーマ株式会社で認識された減損損失に対する当社グループ持
分相当額の減少および武田ベンチャー投資 Inc.が保有する株式にかかる投資利益を計上したことにより、前年度の
持分法による投資損失240億円に対して1億円の利益となりました。なお、当年度認識された減損損失は、武田テバ
ファーマ株式会社においてジェネリック医薬品事業の一部および製造拠点の売却を決定したこと、および長期収載
品事業の将来予測を見直したことに伴う、関連資産の回収可能価額の再評価によるものです。


〔法人所得税費用〕
法人所得税費用は、前年度△1,050億円に対して、当年度は△99億円となりました。これは主に、税引前当期利益の
増加、前年度のスイスにおける税制改正に伴い計上された非資金性の繰延税金便益946億円、および事業等の売却の
税金影響によるものです。これら税金増加の影響は、在外子会社の適用税率との差異、未認識であった繰延税金資
産の認識による税務便益、および当年度の税務調査における有利な結果と一部相殺されております。


〔当期利益〕
当期利益は、上記の要因を反映し、前年度から3,319億円増益(+749.3%)の3,762億円となりました。


③ 当年度における実質的な成長の概要 

Coreと実質的な成長の定義
当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しており
ます。


「実質的な成長」は、当年度と前年度(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、マネジ
メントによる業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、年間計画レートを用いた為替
レートを一定として、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因し
ない(ノン・コア)事象による影響を控除し算定されます。当社は、この「実質的な成長」が、事業活動のパフォ
ーマンスを表す共通の基準を提供するため、投資家に有用であると考えています。なお、本指標は、国際会計基準
(IFRS)に準拠したものではありません。


当社は、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益の成長)、「Underlying Core Operating Profit
Growth」(実質的なCore営業利益の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPSの成長)を
重要な財務指標としています。


実質的な売上収益は、為替レートを一定として、財務ベースの売上収益に、報告期間における非定常的な事象に基
づく影響および事業等の売却影響を調整して計算します。


実質的なCore営業利益は、為替レートを一定として、Core営業利益(以下に定義)に、報告期間における事業等の


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売却影響を調整して計算します。


実質的なCore EPSは、為替レートを一定として、純利益から、事業等の売却影響、およびCore EPS(以下に定義)
の算出において控除された項目を調整した後、比較年度末の自己株式控除後の発行済株式総数で除して算定しま
す。


Core営業利益は、純利益から、法人所得税費用、持分法にかかる投資損益、金融損益、その他の営業収益およびそ
の他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、企業買収に係る会計処
理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整します。


Core EPSは、純利益から、Core営業利益の算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、重要性の
ある、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整しま
す。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、こ
れらの調整項目に係る税金影響を控除した後、報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算定しま
す。


実質的な業績
                                                                      当年度
            実質的な売上収益の成長                                              +2.2%
            実質的なCore営業利益の成長                                          +13.0%
            実質的なCore営業利益率                                            30.2%
            実質的なCore EPSの成長                                          +24.6%


〔実質的な売上収益の成長〕
実質的な売上収益の成長は、前年度から+2.2%となりました。タケダの14のグローバル製品(注)の実質的な売上収益
は、米国における「NATPARA」の回収や特許が満了した製品の減収影響があったものの、前年度から+16.0%成長し
ました。
(注)タケダの14のグローバル製品
    消化器系疾患:エンティビオ、GATTEX/REVESTIVE、ALOFISEL
    希少疾患:NATPARA/NATPAR、アディノベイト、TAKHZYRO、エラプレース、ビプリブ
    血漿由来の免疫疾患治療:GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、CUVITRU、HUMAN ALBUMIN/FLEXBUMIN
    オンコロジー:ニンラーロ、アルンブリグ


            疾患領域別の実質的な売上収益の成長(注)                                      当年度
            消化器系疾患                                                   +14.4%
            希少疾患                                                     △2.3%
              希少代謝性疾患                                                +1.5%
              希少血液疾患                                                 △9.0%
              遺伝性血管性浮腫                                               +10.1%
            血漿由来の免疫疾患治療                                              +9.8%
            オンコロジー                                                   +1.2%
            ニューロサイエンス                                                △1.8%
            その他                                                      △9.1%
            合計                                                       +2.2%

  (注)   実質的な売上収益は、 為替レートを一定として、 非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整します。本調
         整前の疾患領域別の売上収益や主要な製品売上については、「1.経営成績等の概況 (1)当期の経営成績の概況 ② 当年
         度における業績の概要 〔売上収益〕をご参照ください。


実質的な売上収益の計算において控除した主な非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響は次のとおり
です。
・2019年7月に売却が完了した「XIIDRA」(ドライアイ治療剤)の前年度の売上を控除して調整しております。
・2020年3月に売却が完了した中近東・アフリカ諸国における一部の一般用医薬品およびノン・コア資産に係る前



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 年度の売上収益を控除して調整しております。
・2020年3月に売却が完了したロシア、ジョージアなどの独立国家共同体の国々における一部の一般用医薬品およ
 びノン・コア資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。
・2020年11月に売却が完了したアジア太平洋における一部の一般用医薬品およびノン・コア資産に係る当年度と前
 年度の売上収益を控除して調整しております。
・2020年12月に売却が完了した主に欧州における一部のノン・コア資産に係る当年度と前年度の売上収益を控除し
 て調整しております。
・2021年1月に売却が完了した中南米における一部の一般用医薬品およびノン・コア資産に係る当年度と前年度の
 売上収益を控除して調整しております。
・2021年1月に売却が完了した「TACHOSIL」(手術用パッチ剤)の当年度と前年度の売上を控除して調整しており
 ます。


〔実質的なCore営業利益の成長〕
実質的なCore営業利益の成長は、 特許満了品を含む利益率の高い製品の売上減少に伴う売上総利益の減少があった
ものの、COVID-19の影響による経費減少およびコストシナジー等を反映し、前年度から+13.0%となりました。


Shire社の統合費用や企業結合会計に伴う非資金性の費用など、 当社の本業に起因しない(ノン・コア)事象によ
る影響を控除した当年度のCore営業利益は9,679億円となりました。


〔当年度の実質的なCore営業利益率〕
当年度の実質的なCore営業利益率は、前年度から2.9pp増加の30.2%となりました。


〔実質的なCore EPSの成長〕
実質的なCore EPSの成長は、前年度から+24.6%となりました。




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(2)当期の財政状態の概況
 〔資産〕
 当年度末における資産合計は、前年度末から912億円増加し、12兆9,123億円となりました。現金および現金同等物
 ならびに有形固定資産はそれぞれ3,286億円および675億円増加しました。これらの増加は、 主に償却による無形資産の減
 少2,623億円、 および当年度における事業等の売却完了に伴う売却目的で保有する資産の減少1,366億円と一部相殺され
 ております。


 〔負債〕
 当年度末における負債合計は、前年度末から3,585億円減少し、7兆7,351億円となりました。社債及び借入金は、
 借入金の返済、社債の償還およびコマーシャルペーパー発行額減少の結果、前年度末から4,579億円減少の4兆
 6,354億円(注)となりました。この減少は、その他の金融負債(流動)の増加1,523億円と一部相殺されております。

 (注)当年度における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ3兆5,322億円および1兆1,032億円です。なお、社債及
      び借入金の内訳は以下の通りです。

 社債:
         銘柄
                           発行時期             償還期限           帳簿価額
      (外貨建発行額)
  米ドル建無担保普通社債                               2022年6月
                          2015年6月                             1,680億円
        (1,520百万米ドル)                       ~2045年6月
  米ドル建無担保普通社債                               2023年9月
                          2016年9月                             5,774億円
         (5,500百万米ドル)                      ~2026年9月
  米ドル建無担保普通社債
                          2017年7月          2022年1月              221億円
           (200百万米ドル)
  ユーロ建無担保普通社債                               2022年11月
                          2018年11月                            6,780億円
         (5,250百万ユーロ)                      ~2030年11月
  米ドル建無担保普通社債                               2023年11月
                          2018年11月                            3,573億円
         (3,250百万米ドル)                      ~2028年11月
  ハイブリッド社債
                          2019年6月          2079年6月            4,975億円
          (劣後特約付社債)
  米ドル建無担保普通社債                               2030年3月
                          2020年7月                             7,681億円
         (7,000百万米ドル)                      ~2060年7月
  ユーロ建無担保普通社債                               2027年7月
                          2020年7月                             4,638億円
         (3,600百万ユーロ)                      ~2040年7月
  合計                                                       3兆5,322億円


 借入金:
           名称
                          借入時期             返済期限           帳簿価額
        (外貨建借入額)
                                           2023年4月
  シンジケートローン              2016年4月                             2,000億円
                                          ~2026年4月
  〃                      2017年4月          2027年4月            1,135億円
  〃
                         2017年4月          2027年4月            1,655億円
        (1,500百万米ドル)
  株式会社国際協力銀行
                         2019年1月          2025年12月           4,090億円
        (3,700百万米ドル)
                          2016年3月          2023年3月
  その他のバイラテラルローン                                              2,100億円
                         ~2017年4月         ~2026年3月
  その他                                                          52億円

  合計                                                       1兆1,032億円




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                                      武田薬品工業(株)(4502) 2021年3月期 決算短信


  2020年4月、米ドル建およびユーロ建のシンジケートローンの借入契約に基づく返済100億円がありました。2020
  年7月9日、当社グループは元本合計7,000百万米ドルの米ドル建無担保普通社債および元本合計3,600百万ユーロ
  のユーロ建無担保普通社債を発行しました。これらの社債の募集により調達した資金は、2020年7月10日に実施し
  た3,250百万米ドルおよび3,019百万ユーロのシンジケートローンの繰上返済、ならびに2020年8月3日に実施した
  額面金額2,400百万米ドル(償還期限:2021年9月)および1,250百万ユーロ(償還期限:2020年11月)の無担保普
  通社債の繰上償還に充てられました。また、2020年7月には、2013年7月に発行された債務の返済1,300億円(借
  入金700億円、無担保普通社債600億円)がありました。2020年11月には、Shire社買収に伴い発行された変動利付
  の無担保普通社債の満期償還1,000百万ユーロがありました。さらに、当社グループは、2021年2月26日に実施し
  た1,250百万米ドル(償還期限:2021年11月)、2021年1月22日に実施した900百万米ドル(償還期限:2021年9
  月)、2021年2月25日に実施した300百万米ドル(償還期限:2022年1月)の繰上償還を含む、額面金額2,450百万
  米ドルの無担保普通社債の繰上償還を行いました。なお、コマーシャルペーパーの発行残高は1,440億円減少して
  おります。


 〔資本〕
 当年度末における資本合計は、前年度末から4,497億円増加の5兆1,772億円となりました。この増加は、主に円安
 の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本の構成要素が2,736億円増加したこと、および2,837億円
 の配当金の支払があったものの、当期利益の計上により利益剰余金が1,399億円増加したことによるものです。


(3)当期のキャッシュ・フローの概況

                                                            (単位:億円)

                                      前年度                当年度

  営業活動によるキャッシュ・フロー                            6,698             10,109
  投資活動によるキャッシュ・フロー                            2,921              3,935
  財務活動によるキャッシュ・フロー                          △10,052            △10,884
  現金及び現金同等物の増減額                               △433               3,161
  現金及び現金同等物の期首残高                              7,021              6,376
  現金及び現金同等物に係る換算差額                            △218                 125
  売却目的で保有する資産との振替額(純額)                            6                   ―
  現金及び現金同等物の期末残高                              6,376              9,662


 営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度の6,698億円から3,412億円増加の1兆109億円となりました。この増
 加は主に当期利益が3,319億円増加したことによるものです。さらに、主にワクチン運営のための制限付き預り金の
 増加に伴うその他の金融負債の増加1,662億円、および主として非資金性費用である繰延税金の増加に伴う法人所得
 税費用の増加951億円等のその他のプラスの調整額がありました。これらの増加は、事業売却益及び子会社株式売却
 益の増加2,132億円によるマイナスの調整額の増加に加え、Shire社買収日において公正価値評価された棚卸資産の
 費用化の減少に伴い、棚卸資産の減少額において1,115億円の減少影響があったことにより一部相殺されておりま
 す。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度の2,921億円から1,014億円増加の3,935億円となりました。これは主
 に、前年度に「XIIDRA」の売却があったものの、当年度に武田コンシューマーヘルスケア株式会社株式およびその
 他ノン・コア資産の売却があったことに伴い、事業売却による収入が688億円増加したことによるものです。また、
 投資の売却、償還による収入および有形固定資産の売却による収入はそれぞれ252億円および339億円増加しており
 ます。これらの増加は、無形資産の取得による支出の増加346億円を含むその他の減少と一部相殺されております。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度の△1兆52億円から831億円減少の△1兆884億円となりました。こ
 の減少は、主に当年度における早期償還および早期返済に伴う、社債の償還及び長期借入金の返済による支出の増
 加9,506億円によるものです。この減少は、前年度にハイブリッド社債5,000億円を発行した一方、当年度に米ドル



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                                      武田薬品工業(株)(4502) 2021年3月期 決算短信


 建社債7,000百万米ドルおよびユーロ建社債3,600百万ユーロを発行したことに伴う、社債の発行及び長期借入れに
 よる収入の増加6,833億円と一部相殺されております。さらに、コマーシャルペーパー発行残高の減少があったもの
 の、主に2019年6月に短期借入金5,000億円を返済したことにより、短期借入金及びコマーシャルペーパーにおける
 増加影響2,022億円がありました。



(4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響と当社の取り組み

 ① 当社の経営成績および財政状態に対するCOVID-19影響

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大が起きてから一年以上が経過しましたが、当社は、引き続きあ
 らゆる取り組みを行っており、業界としても様々な支援を行っております。COVID-19に対するワクチンが広く普及
 しつつありますが、当社は、過去一年間実施してきた既存の当社プロトコールに加えて、各国・地域の公衆衛生関
 連規制を引き続き遵守し、COVID-19が当社の事業活動に及ぼす潜在的な影響を注視してまいります。

 当社は、当社製品の需要動向について注視しておりますが、当社の医薬品は病院での待機手術を要しない重篤な慢
 性疾患や生命を脅かす恐れのある疾患に対するものが多く、これまでのところ影響は限定的です。グローバルなサ
 プライチェーンにおいては、COVID-19の大流行による製品供給の重大な問題は発生しておらず、また、発生の可能
 性を予測しておりません。

 この一年、当社は渡航制限や業界関連団体の集会への参加自粛、当社主催の集会の休止等、特定の事業活動を継続
 して自主的に制限しました。

 新たな臨床試験については、COVID-19の流行拡大の初期に、治療薬候補である血漿分画製剤(CoVIg-19)を除き、
 臨床試験の開始を一時的に休止しました。同時に、すでに進行中の臨床試験についても、一部の例外を除き、新た
 な試験実施施設の組み入れならびに新規患者さんの登録を一時的に休止しましたが、これは一時的な措置であり、
 現在大部分の臨床試験は再開しております。

 いくつかの臨床試験については、一定の遅延が見込まれており、再度、一時的に休止する可能性もありますが、臨
 床試験ごとに状況を注視するとともに、各国および各試験実施施設での状況も把握してまいります。

 金融市場の動向は注視を続けており、流動性や資金調達に係る重要な問題は現在見込んでおりません。

 ② COVID-19影響軽減のための当社の取り組み

 当社は、バリュー(価値観)に基づき、従業員の健康・安全確保、当社医薬品を必要とされている患者さんへの提
 供、当社従業員が就業・居住するコミュニティでの感染の軽減およびサポートを中心に引き続き取り組んでおりま
 す。

 当社は、COVID-19の流行拡大に伴う様々な問題に対処するため、2020年1月に、グローバル危機管理委員会を始動
 させ、社内外の専門家の支援のもと、様々な対策を講じております。具体的には、COVID-19流行拡大に対する従業
 員向けガイダンスの策定、関連情報の提供、必須業務における感染対策の強化および職場毎の事例対応プロトコー
 ルの導入などが含まれます。また、本委員会では、職場復帰が可能と判断できた時点で、安全かつ段階的な復帰を
 支援するための包括的なチェックリストも作成しました。

 当社は、従業員の安全を確保する措置として、在宅勤務ポリシーの適用を継続し拡充したIT技術によりこれを支援
 しています。テレワークのガイダンスは、医療従事者と関わる外勤の従業員も可能な限り対象として、世界中の従
 業員に広範囲で適用しております。また、製造施設や研究所、血漿収集センターであるBioLifeにおいて引き続き勤
 務する必要のある従業員については、ウイルス感染を軽減するための安全措置を強化しました。

 グローバル危機管理委員会ならびにReturn to the Workplace(職場復帰対策)チームは、新型コロナウイルスの侵
 入と感染を抑制しながらも、事業を継続および強化していくために「新しい職場環境」をどのように作るべきかに
 ついて、ガイダンスを作成しました。新しい職場プランは、科学、疫学、地域の公衆衛生事情に基づき、各国の状
 況に合わせて調整しておりますが、地方自治体の方針および公衆衛生関連規制の遵守、フェイスカバーの使用や物
 理的な距離を保つことなどの感染予防対策を含めた職場の準備、当社の拠点における人口密度の低減、感染対策プ
 ロトコールの強化、個々の従業員の状況の考慮、慎重かつ段階的な実施など、共通原則・要件にも従っておりま


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す。

また、当社のCOVID-19収束後の職場戦略においては、単一の戦略あるいは方針ではなく、基本方針、新しい職場の
デザインに関するガイダンスおよびツールを策定・提供することで、各職場あるいは各機能のリーダーが、最適な
職場環境を決定および導入できるようにしました。

今後の状況については常に注視していくものの、移動および大規模な集会に関する制限については継続し、不要不
急の移動、大規模な集会の開催や参加については今後新たな方針が示されるまで引き続き休止してまいります。

外勤の従業員については、医療従事者との対面の訪問業務を一部再開したものの、現在も大部分はバーチャルで実
施しております。対面の訪問業務は、医療従事者の合意の下でのみ、当社が定める厳格な感染予防対策に加え、公
衆衛生上求められる対策および医療機関から求められる追加の対策も行った上で実施しております。

当社は赤十字社や国連主導の組織を含む非営利団体(国連世界食糧計画(国連WFP)、国連人口基金(UNFPA)、国
際原子力機関(IAEA))に対する約25百万米ドルの寄付金や現物寄付、社員によるマッチング寄付を通じて、
COVID-19対策を支援しております。

事業の継続性の維持の側面では、当社医薬品の製造代替業者の選定を含め、適正な在庫水準を管理し、当社医薬品
を患者さんに継続的に提供できる施策を整備しています。当施策は、主要な出発物質、添加剤、医薬品原料、医薬
品原薬(API)ならびに製品のグローバルなサプライチェーン全体に対して適用しております。当社は、当社の医薬
品を必要とされる方々に確実にお届けできるよう、引き続き状況を注視し、あらゆる必要な措置を講じて製品供給
の継続性を確保してまいります。

研究開発においては、患者さんへの治験薬の直接配送や潜在的な中断の可能性も勘案した臨床試験デザインの再検
討を可能な限り実施しています。また、臨床試験に参加されている患者さんの遠隔モニタリングが可能となるデジ
タル技術についても、引き続き検証および構築を進めてまいります。

CoVIg-19 Plasma Allianceは、COVID-19に対抗する治療法を開発するという当社の取り組みの一つです。当社は、
2020年4月にCSL Behring社や血漿分画製剤事業を営む複数社と結成したグローバルな提携体制であるCoVIg-19
Plasma Allianceに参画し、提携メンバーとともにCOVID-19による重篤な合併症のリスクを有する患者さんを治療で
きる可能性のある、抗コロナウイルス高度免疫グロブリン製剤(H-Ig)の開発・製造に取り組んでまいりました。
H-Igは、米国国立衛生研究所(NIH)の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が実施する国際臨床第3相試
験において評価され、2021年3月に終了しました。臨床試験結果は評価項目を達成しませんでしたが、この難しい
ウイルスや、患者さんケアの方法について理解を深めることに当プログラムの結果が貢献することが期待されま
す。本試験の結果を受けて、CoVIg-19 Plasma Allianceの取り組みは終了します。

また、当社は、CoVIg-19 Plasma Allianceの他に、COVID-19に対処するため様々な取り組みを進め、複数の既存製
品およびパイプラインについて新型コロナウイルスに対する有効性を検証するとともに、グローバルな共同研究に
も参画してまいりました。

さらに、当社は、日本におけるCOVID-19ワクチンの供給に係る2つの提携について公表しました。一つ目は、
Novavax社のCOVID-19ワクチン候補であるNVX-CoV2373(日本での開発コード:TAK-019)の日本における開発、製
造、流通に関する提携です。二つ目は、Moderna社のCOVID-19ワクチン候補であるmRNA-1273(日本での開発コー
ド:TAK-919)の日本への輸入および供給に関するModerna社および厚生労働省との提携です。2021年5月、当社は日
本におけるTAK-919の安全性および免疫原性を評価する国内臨床第1/2相試験において、良好な結果を医薬品医療機
器総合機構(PMDA)に提出したことを公表しました。また、当社は、IDT Biologika GmbH社(IDT社)と、Johnson
& Johnson社グループのJanssen Pharmaceutical Companies社が開発した1回投与のCOVID-19ワクチンを製造するた
めに、当社のデング熱ワクチン候補の製造用に確保していたIDT社の生産施設を活用することについて合意したこと
を公表しました。



③ COVID-19の世界的な拡大に伴う事業等のリスク

当社は、COVID-19の拡大に関連して、さまざまな取り組みを行っていますが、COVID-19による影響が深刻化または
長期化した場合には、原材料の調達や製品供給の滞り、臨床試験の遅延の拡大等、これらに限定されず、当社事業



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に更なる影響が及ぶ可能性があり、もしくは、当社に適用のある規制の遵守が困難になる可能性があります。世界
の多くの地域では、COVID-19の流行拡大の波に未だ見舞われており、この流行拡大と減速または収束に向けた対策
がどの程度続くか未だに明らかではありません。また、ワクチンについては、世界中で段階的な供給が行われてい
る状況です。COVID-19の流行拡大が減速または収束した場合であっても、当社の事業、財政状態および経営成績に
対して、長期間継続して影響が及ぶ可能性があります。中期的な業績影響も明らかではありませんが、失業者数の
増加や保険支払構造の変化、政府による医療費削減施策の導入の可能性等が影響を及ぼすことが考えられます。

将来の事業等にかかるリスクを最小化するため、当社は引き続き状況を注視し、必要な対策を講じてまいります。


④ 2020年度実績におけるCOVID-19影響

COVID-19の世界的な流行拡大に伴う、2020年度通期の連結業績への影響は軽微でありました。売上収益については、
ニューロサイエンス(神経精神疾患)といった一部の疾患領域において、外出制限期間中に患者さんの医療機関訪
問の頻度が減少する等のマイナス影響が見られました。この動向は、当期を通じて変動してきました。これらのマ
イナス影響は、服薬の利便性の高い特定の製品の需要拡大が流行拡大の初期に見られる等、処方動向によるプラス
影響により一部相殺されております。営業経費については、渡航制限や集会の自粛等、特定の事業活動を自主的に
制限したことにより経費使用が減少しました。これらの結果、COVID-19の世界的な流行拡大による利益に対する影
響は軽微でした。


⑤ 2021年度業績予想におけるCOVID-19影響見込と前提条件

詳細につきましては、「1.経営成績等の概況(5)今後の見通し」をご参照ください。




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(5)今後の見通し

翌年度(2021年度)の連結業績予想は以下のとおりです。


2021年度の業績予想
                       2020年度            2021年度           対前年度
 売上収益                  3兆1,978億円         3兆3,700億円   +1,722億円     +5.4%
 営業利益                    5,093億円           4,880億円    △213億円     △4.2%
 税引前当期利益                 3,662億円           3,520億円    △142億円     △3.9%
 当期利益
                         3,760億円           2,500億円   △1,260億円   △33.5%
 (親会社の所有者帰属分)
 EPS                     240円72銭           159円91銭   △80円81銭     △33.6%
 Core営業利益                9,679億円           9,300億円    △379億円     △3.9%

 Core EPS                    420円             394円      △26円     △6.2%

[売上収益]

  売上収益は、タケダの14のグローバル製品のモメンタムと、日本の糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡(注)による一
  時的な収益の計上によって、事業等の売却影響を吸収し、当年度から1,722億円増収(+5.4%)の3兆3,700億円を
  見込んでいます。5つの主要ビジネスエリアのうち、消化器系疾患では「エンティビオ」や「GATTEX/REVESTIVE」、
  オンコロジーでは「ニンラーロ」、「アドセトリス」および「アルンブリグ」、ニューロサイエンスでは「バイバ
  ンス」や「トリンテリックス」などの主力製品が引き続き伸長することを見込んでいます。希少疾患では、遺伝性
  血管性浮腫の発作予防剤「TAKHZYRO」がさらに市場浸透するとともに、血漿由来の免疫疾患治療の領域では、免疫
  グロブリン製剤やアルブミン製剤が好調に推移することを見込んでいます。
 (注)
    2021年4月、当社は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの1,330億円での帝人ファーマ株式会社への譲渡
   を完了しました。この一時的な収益は売上収益に計上されますが、本件はノン・コア資産の譲渡に係るものである
   ため、Core営業利益やCore EPSに対する影響はありません。

[営業利益およびCore営業利益]

  Core営業利益は、革新的なパイプラインに投下する研究開発費を大幅に増加させるため、当年度から379億円減益
  (△3.9%)の9,300億円を見込んでいます。

  営業利益についても、Core営業利益の減益と概ね同じ理由であり、研究開発費を増額させることから、当年度から
  213億円減益(△4.2%)の4,880億円を見込んでいます。当年度に計上した合計2,289億円の事業等の売却に係る一
  時的な収益がなくなることによる減益影響は、翌年度における企業結合会計に関連する費用や統合費用の減少、お
  よび事業等の売却に係る一時的な収益の計上によって相殺することを見込んでいます。

[当期利益(親会社の所有者帰属分)]

  当期利益(親会社の所有者帰属分)は、当年度から1,260億円減益(△33.5%)の2,500億円を見込んでいます。当
  年度は、日本における事業構造再編費用の計上に伴う便益がありましたが、翌年度はこれを見込んでいないことな
  どから、実効税率は、当年度から約32%上昇する見込みです。




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2021年度の業績予想の主な前提条件
                                       2020年度              2021年度
為替レート                                 1米ドル=106円              1米ドル=108円
                                      1ユーロ=123円              1ユーロ=131円
                                 1ロシアルーブル=1.4円          1ロシアルーブル=1.4円
                                1ブラジルレアル=19.6円         1ブラジルレアル=19.9円
                                     1中国元=15.5円             1中国元=16.8円
研究開発費                                      △4,558億円             △5,220億円
製品に係る無形資産償却費                               △4,053億円             △4,060億円
    うち、Shire社買収に関連する無形資産償却費                △3,195億円             △3,280億円
製品に係る無形資産減損損失                               △166億円               △500億円
その他の営業収益                                    3,180億円                 230億円
その他の営業費用                                   △2,589億円             △1,000億円
日本の糖尿病治療剤の譲渡益                                     -              1,300億円
その他のCore営業利益の調整                             △959億円               △390億円
    うち、Shire社買収による棚卸資産の公正価値
                                            △794億円               △311億円
    調整の売上原価処理
金融収益/費用                                    △1,431億円             △1,300億円
フリー・キャッシュ・フロー
                                            12,378億円        6,000~7,000億円
(公表済みの事業売却を含む)
資本的支出(キャッシュ・フロー・ベース)                       △2,365億円      △2,100~△2,600億円
有形固定資産の減価償却費及び無形資産償却費
                                           △1,526億円             △1,500億円
(製品に係る無形資産償却費を除く)
調整後EBITDAに対する現金税金の税率
                                                約16%            10%台半ば
(事業売却を除く)


重要な財務指標(マネジメントガイダンス*)

2021年度もビジネスモメンタムが継続し、実質ベースで好調な成長を見込んでいます。

                                 2021年度

       実質的な売上収益の成長              一桁台半ば

      実質的なCore営業利益の成長           一桁台半ば

       実質的なCore営業利益率              約30%

       実質的なCore EPSの成長          一桁台半ば
*
 1.(1)③当年度における実質的な成長の概要の「Coreと実質的な成長の定義」をご参照ください。

    2021年度の業績予想およびマネジメントガイダンスのその他の前提条件

・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行拡大に伴う、業績に対する重大な影響は現時点までに生じ
    ておりません。当社は、COVID-19は2021年度の当社業績に対して重大な影響を及ぼすことはないと現時点で入手可
    能な情報に基づき考えており、当社の2021年度業績予想はこの考え方を反映しています。しかしながら、COVID-19
    を取り巻く状況は引き続き非常に流動的であり、新規または追加的な流行拡大や、主要市場におけるロックダウン
    や屋内退避命令の新規の措置や延長、その他政府による対策など、2021年度中の進展によっては、当社製品の需要
    減少やサプライチェーンに関連する問題の発生、または臨床試験の大幅な遅延など当社事業に深刻な影響を与える
    可能性があります。このような事態が生じた場合、当社事業や経営成績、財政状態に追加的な影響が及び、また、
    当社の2021年度業績は予想から大きく乖離する可能性があります。
・「ベルケイド」については、2021年度の半ば頃には、505(b)2申請に基づく皮下投与の競合品が少なくとも1つ米国
    において上市されることを見込んでおります。
・米国の「NATPARA」については、2021年度中に再販売することを見込んでおりません。


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・事業等の売却については、公表済みの案件以外の将来の売却可能性の影響を考慮しておりません。


 見通しに関する注意事項
 本資料に記載の「業績予想」は、現時点で入手可能な情報と前提条件に基づく見込みであり、その実現を約束する
 趣旨ではございません。実際の業績は事業環境の変化や為替変動など様々な要因により変動し、異なる結果を招き
 うる不確実性を含んでいます。業績予想を修正すべき重大な要因が発生した場合には、速やかにご報告いたしま
 す。




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(6)資本配分に関する基本方針及び当期・次期の配当

① 資本配分に関する基本方針
 当社は、財務的なコミットメントを果たし、ビジネスモメンタム、コストシナジー、ノン・コア資産の売却から潤
 沢なキャッシュ・フローを得る見通しの下に、また、「私たちの価値観」(バリュー)と「私たちが目指す未来」
 (ビジョン)に基づき、患者さんと株主価値を最大化するよう資本を配分してまいります。

 当社の資本配分に関する基本方針は次の通りです。
 ・   成長ドライバーへの投資
 ・   レバレッジの速やかな低下
 ・   株主還元

 「成長ドライバーへの投資」では、研究開発、新製品の中国市場を含めた上市、血漿分画製剤事業など、価値を創
 造する事業機会に対して規律をもって集中的な投資を行ってまいります。「レバレッジの速やかな低下」につきま
 しては、純有利子負債/調整後EBITDA倍率を2021年度から2023年度の間に2倍(2倍台前半)にすることを目標と
 し、投資適格格付の維持にコミットしております。また、「株主還元」においては、1株当たり年間配当金180円の
 確立された配当方針を維持しております。当社は、実質的な成長のモメンタムは、中期に亘り継続していくことを
 見込んでおります。


②当期・次期の配当
 当社は株主還元を重視し、配当を重要な還元策として位置付けております。

 〔2020年度〕1株当たり年間配当金:180円
 当期の期末配当金は、1株当たり90円を予定しております。
 この結果、当期の年間配当金は中間配当金 (1株当たり90円) と合わせ、180円となる予定です。

 〔2021年度(予定)〕1株当たり年間配当金:180円




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2.経営方針
 本項に記載の内容は、2021年3月31日現在の前提に基づく将来見通し情報を含みます。


(1)経営の基本方針
私たちの存在意義(パーパス)
  当社は、「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」ために存在しています。

私たちの価値観(バリュー)
  当社は、「誠実:公正・正直・不屈」の精神で支えられた価値観に従います。当社は、これを道しるべとしながら
  「 1. 患 者 さ ん に 寄 り 添 い (Patient)、2. 人 々 と 信 頼 関 係 を 築 き (Trust)、3. 社 会 的 評 価 を 向 上 さ せ
  (Reputation)、4.事業を発展させる(Business)」を日々の行動指針とします。

私たちが目指す未来(ビジョン)
  当社のビジョンは、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために。私たち
  はこの約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける」ことです。

私たちの約束(インペラティブ)
  当社には、患者さん、ともに働く仲間、そして地域社会に対して果たすべき責任があります。この「私たちの約
  束」は「私たちの存在意義」と「私たちが目指す未来」を実現するために欠かせない要素です。

   すべての患者さんのために
   ・私たちは、倫理観をもってサイエンスの革新性を追求します。そして、人々の暮らしを豊かにする医薬品の創
     出に取り組みます。また、私たちの医薬品を、より多くの人々に迅速にお届けします。

   ともに働く仲間のために
   ・私たちは、理想的な働き方を実現します。

   いのちを育む地球のために
   ・私たちは、自然環境の保全に寄与します。

   データとデジタル
   ・データとデジタルの力で、イノベーションを起こします。



(2)経営環境、中長期的な経営戦略及び対処すべき課題等
世界の製薬産業においては、がん免疫療法や細胞療法、遺伝子治療等の新たな医療技術が登場しており、イノベーシ
ョンのスピードはかつてよりも速くなっています。このような革新的な医療による成果が現れてきている一方、画期
的なバイオ医薬品の研究開発費は高騰し、高齢化社会の進展等も相まって各国の医療制度は財政的課題に直面してお
ります。このため、保険者は保険償還対象となる医薬品をより厳格に選定するようになっており、各国政府は後発品
やバイオシミラーの使用を促進し、薬価引き下げの圧力を強めています。しかしながら、未だ満たされていない医療
ニーズは多く存在しており、患者さんの医薬品アクセスを高め、持続可能なヘルスケアシステムを維持していくこと
を含め、研究開発型の製薬企業に期待される役割は大きくなっています。

このような経営環境の下、当社は、世界中の患者さんに画期的な医薬品と革新的な治療法をお届けし得る、自らの企
業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、機動的でグローバルな研究開発型
のバイオ医薬品企業の実現に注力し、変革を続けています。2019年1月のShire社の買収は、この変革の大きな一歩と
なりました。本買収は、事業展開の地域バランスの改善と米国をはじめとする主要な市場における競争力の源泉とな
る規模をもたらし、当社は、世界の大手製薬企業と伍していける力を得ました。連結売上収益に占める米国の割合は
約半数にまで高まっております。また、本買収により、消化器系疾患およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の
領域が強化され、希少疾患および血漿分画製剤の領域における主導的地位がもたらされました。さらに、本買収は、
強固かつモダリティ(創薬手法)の多様な、高度に補完的なパイプラインを創出し、イノベーションにフォーカスし
た研究開発の原動力を強化することにつながっています。財務面においては、キャッシュ・フロー・プロファイルの



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拡大により、飛躍的な進歩が見込まれる医療技術への投資力が向上しており、株主に対する利益の還元についてもコ
ミットしております。

Shire社の統合は、経験豊富で多様性に富んだ当社経営陣の指揮の下、当社の価値観を尊重しながら実行し基本的に完
了しました。当社は、患者さんや社会、株主の皆様に長期的な価値をお届けできるよう、One Takedaとして事業運営
を行っております。

当社は、地域戦略を着実に実行するため、「米国」、「日本」、「ヨーロッパおよびカナダ」、ならびに中国、中南
米、中東およびアフリカ、アジア太平洋、ロシアおよびCIS(独立国家共同体)から構成される「成長新興国」の4つ
の地域ビジネスユニットを編成しています。このようにローカル中心のグローバル組織を構築することで、当社医薬
品へのアクセス向上や患者さんが入手可能な価格設定といった各地域のニーズに迅速に対応することが可能となりま
す。これら4つの地域ビジネスユニットに加え、専門性の高い領域であるオンコロジー(がん)、ワクチン、血漿分
画製剤については、スペシャルティビジネスユニットを編成し、エンド・ツー・エンドの事業運営を行っておりま
す。

当社は、持続可能で中長期的な成長を促進するため、引き続き、以下の3つの戦略的優先事項に取り組んでまいりま
す。

1) ビジネスエリアのフォーカス

消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の5つの主
要ビジネスエリアにフォーカスします。

2) 研究開発の原動力

当社は、患者さんを中心に考えるサイエンス主導の企業として、サイエンスから人生を変えうるような高度に革新的
な医薬品を創出する取り組みを進めております。疾患領域の絞り込み、先進的なパートナーシップモデルの推進、新
規メカニズムや新たな専門性への投資を通じて、研究開発の原動力を構築しております。バイオ医薬品の中でも、オ
ンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患・血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および消化器系疾患の4つ
の疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにもターゲットを絞った研究開発投資を行っ
てまいります。

2021年度は、研究開発体制の変革の取り組みの成果が現れ始める年であり、当社のパイプラインにとって転換期とな
ります。当社は、2021年度末までに、6つの新規候補物質の承認申請と、うち4つについては承認取得できることを
見込んでおります。また、7つの新規候補物質については、合計10の適応症を対象としたピボタル試験を2021年度末
までに実施している見込みです。近年、当社はパイプラインの変革を強力に推進してきました。これらパイプライン
の価値を最大化するため、2021年度は研究開発投資を増額します。

3) 強固な財務プロファイル

当社は、利益率の中長期的な向上にフォーカスし、事業投資や負債の早期返済、株主へのキャッシュの還元のため、
キャッシュ・フローを創出します。

当社では、純有利子負債/調整後EBITDA倍率を2021年度から2023年度の間に2倍台前半にすることを目標としており
ます。この取り組みを加速させるため、約100億米ドルを目標にノン・コア資産の売却を進めてまいりましたが、2019
年1月以降公表した12案件の殆どの売却は完了し、目標額を達成しました。

当社では、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しており
ます。当年度と前年度の業績について、為替レートを一定として、事業等の売却影響や本業に起因しない(ノン・コ
ア)事象による影響等を控除し算定される「実質的な成長」は、事業活動のパフォーマンスを共通の基準で比較する
ものであり、投資家に追加的な情報を提供できるものと考えています。

その他の優先事項

なお、上記の戦略的優先事項に加え、当社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行する中での最優先事項
として、従業員ならびに従業員とともに業務に従事して頂いている方々、従業員の家族、また地域社会の健康を守る
ため、あらゆる方策を講じるとともに、患者さんが必要とされる医薬品を確実にお届けできるように取り組んでおり


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                                                 武田薬品工業(株)(4502) 2021年3月期 決算短信


ま す 。 当 社 の 取 り 組 み の 詳 細 に つ き ま し て は、「 1. 経 営 成 績 等 の 概 況 ( 4) 新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス 感 染 症
(COVID-19)拡大による影響と当社の取り組み」をご参照ください。

また、当社は、目的主導型のサステナビリティに取り組んでおります。私たちは、グローバルバイオ医薬品企業とし
て、患者さん、ともに働く仲間、株主の皆さん、保険者の方々、規制当局、政府、そして地域社会、それぞれに対し
タケダが果たすべき責任を十分に理解しています。また、これらの環境・社会・ガバナンス(ESG)の責任を真摯に受
けとめることで社会から受け入れられ、尊敬され、信頼を得ることができると考えています。

当社は、どのような非財務的課題が当社とステークホルダーにとって戦略的に重要かについての理解を深めるため、
包括的な重要課題(マテリアリティ)の評価を2019年度に実施しました。この評価は当社の企業理念を策定するにあ
たり重要な資料となりました。重要なトピックを事業運営と戦略全体に組み込むことで、グローバルな課題解決に貢
献するための資源配分と判断ができるようになります。

例えば、当社では、環境スチュワートシップへの取り組みの一環として、事業活動における温室効果ガス(GHG)の排
出をゼロにし(スコープ1および2)、サプライヤーと協働して排出量を大幅に削減し(スコープ3)、スコープ3の残り
の排出量を実証済みのカーボンオフセットで相殺することにより、2040年にバリューチェーン全体でカーボンニュー
トラルを達成することを公表しております。2019年度には、当社内の省エネルギー対策、グリーンエネルギーの
調達、ならびに再生可能エネルギー証書(REC)および高品質の検証済みカーボンオフセットへの投資に継続的かつ重
点的に取り組んだ結果、当社のバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成しました。

コミュニティや患者さんが多様であるように、当社でも多様な人材を確保しております。ダイバーシティ(多様性)、
エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)は、当社社内に限らず、当社が事業を運営し、患者さんに寄り
添う地域社会においても、普遍的な価値観であると捉えており、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンを
積極的に促進・改善することで偏見をなくし、良い変化を起こすことを目指しています。当社では、タケダ・エグゼ
クティブチームのメンバーが参画するダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン カウンシルを初めてグローバ
ルに設置し、無意識の偏見や、より多様で公平でインクルーシブな職場を確保するための機会について、当社リーダ
ーへのインタビューも実施しています。

医薬品アクセス戦略やグローバルCSRプログラムなど当社のESGへの取り組みは、複数のESG評価機関から高い評価を受
けています。例えば、当社は、2021年1月に公表された2021年のAccess to Medicine Indexにおいて業界をリードす
る順位を獲得しました。当社は、「医薬品アクセスに対するガバナンス(Governance of Access)」のカテゴリーで
首位になるなど、Access to Medicine Indexの評価対象である3つのカテゴリーすべてで高いスコアを獲得しました。
また、医療制度の強化、コンプライアンス、研究開発の能力構築の領域でも優れた評価を得ました。

さらに、当社は、医薬品アクセス戦略やグローバルCSRプログラムを含む社会貢献プログラムに取り組み、強固なコー
ポレート・ガバナンスを推進してまいります。

当社は、当社社内に限らず、当社が事業を運営し、患者さんに奉仕する地域社会においても、ダイバーシティ(多様
性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)が普遍的な価値観であると捉えています。当社は、ダイ
バーシティ、エクイティ、インクルージョンを積極的に促進・改善することで偏見をなくし、良い変化を起こすこと
を目指しています。



3.会計基準の選択に関する基本的な考え方

当社は、グローバル製薬企業との財務情報の比較可能性の向上、資金調達の選択肢の拡大、およびグループ内での会計
処理の統一等を目的とし、2014年3月期末より国際会計基準(IFRS)を適用しております。




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4.連結財務諸表[IFRS]及び主な注記
(1)連結純損益計算書
                                                            (単位:百万円)
                                    前年度                   当年度
                            (自    2019年4月1日        (自   2020年4月1日
                             至    2020年3月31日)       至   2021年3月31日)
 売上収益                                  3,291,188             3,197,812
 売上原価                                 △1,089,764             △994,308
 販売費及び一般管理費                            △964,737              △875,663
 研究開発費                                 △492,381              △455,833
 製品に係る無形資産償却費及び減損損失                    △455,420              △421,864
 その他の営業収益                                 60,213              318,020
 その他の営業費用                              △248,691              △258,895
 営業利益                                    100,408              509,269


 金融収益                                     27,831              105,521
 金融費用                                  △165,006              △248,631
 持分法による投資損益                             △23,987                     76
 税引前当期利益(△は損失)                          △60,754               366,235
 法人所得税費用                                 105,044                9,936
 当期利益                                     44,290              376,171


当期利益の帰属
 親会社の所有者持分                                44,241              376,005
 非支配持分                                        49                   166
 合計                                       44,290              376,171


1株当たり当期利益(円)
 基本的1株当たり当期利益                              28.41               240.72
 希薄化後1株当たり当期利益                             28.25               238.96




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                                武田薬品工業(株)(4502) 2021年3月期 決算短信


(2)連結包括利益計算書
                                                         (単位:百万円)
                                前年度                    当年度
                         (自   2019年4月1日         (自   2020年4月1日
                          至   2020年3月31日)        至   2021年3月31日)
 当期利益                                  44,290                376,171
その他の包括利益
 純損益に振り替えられることのない項目
  その他の包括利益を通じて公正価値で測
                                       △3,512                 61,866
  定される金融資産の公正価値の変動
  確定給付制度の再測定                           △6,398                  4,866
                                       △9,910                 66,732
 純損益にその後に振り替えられる可能性の
 ある項目
  在外営業活動体の換算差額                       △207,072                309,304
  キャッシュ・フロー・ヘッジ                       △25,689                △45,345
  ヘッジコスト                                △857                 △9,147
  持分法適用会社におけるその他の包括利
                                        △181                   △299
  益に対する持分
                                     △233,799                254,513
 その他の包括利益合計                          △243,709                321,245
 当期包括利益合計                            △199,419                697,416


当期包括利益の帰属
 親会社の所有者持分                           △199,569                697,202
 非支配持分                                    150                    214
 合計                                  △199,419                697,416




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                            武田薬品工業(株)(4502) 2021年3月期 決算短信


(3)連結財政状態計算書
                                                 (単位:百万円)
                           前年度                   当年度
                      (2020年3月31日)          (2021年3月31日)
資産
非流動資産
 有形固定資産                         1,386,370            1,453,917
 のれん                            4,012,528            4,033,917
 無形資産                           4,171,361            3,909,106
 持分法で会計処理されている投資                  107,334             112,468
 その他の金融資産                         262,121             235,882
 その他の非流動資産                        103,846             100,341
 繰延税金資産                           308,102             353,769
 非流動資産合計                       10,351,662           10,199,400


流動資産
 棚卸資産                             759,599             753,881
 売上債権及びその他の債権                     757,005             783,091
 その他の金融資産                          15,822              36,598
 未収法人所得税等                          27,916              29,623
 その他の流動資産                         114,196             122,789
 現金及び現金同等物                        637,614             966,222
 売却目的で保有する資産                      157,280              20,689
 流動資産合計                         2,469,432            2,712,893


 資産合計                          12,821,094           12,912,293




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                                武田薬品工業(株)(4502) 2021年3月期 決算短信


                                                     (単位:百万円)
                               前年度                   当年度
                          (2020年3月31日)          (2021年3月31日)
負債及び資本
負債
非流動負債
 社債及び借入金                            4,506,487            4,613,218
 その他の金融負債                             399,129             517,677
 退職給付に係る負債                            156,617             158,857
 未払法人所得税                               54,932              33,690
 引当金                                   37,605              38,748
 その他の非流動負債                             52,793              56,898
 繰延税金負債                               710,147             542,852
 非流動負債合計                            5,917,710            5,961,940


流動負債
 社債及び借入金                              586,817              22,153
 仕入債務及びその他の債務                         318,816             343,838
 その他の金融負債                              95,706             248,053
 未払法人所得税                              182,738             145,203
 引当金                                  405,245             471,278
 その他の流動負債                             499,386             542,651
 売却目的で保有する資産に直接関連する負
                                       87,190                  -
 債
 流動負債合計                             2,175,898            1,773,176
 負債合計                               8,093,608            7,735,116


資本
 資本金                                1,668,123            1,668,145
 資本剰余金                              1,680,287            1,688,424
 自己株式                                △87,463             △59,552
 利益剰余金                              1,369,972            1,509,906
 その他の資本の構成要素                           92,564             366,114
     親会社の所有者に帰属する持分                 4,723,483            5,173,037
 非支配持分                                  4,003               4,140
     資本合計                           4,727,486            5,177,177


 負債及び資本合計                          12,821,094           12,912,293




                       ― 24 ―
                                                     武田薬品工業(株)(4502) 2021年3月期 決算短信


(4)連結持分変動計算書
前年度(自2019年4月1日   至2020年3月31日)
                                                                                         (単位:百万円)
                                            親会社の所有者に帰属する持分
                                                                          その他の資本の構成要素
                                                                                     その他の包括
                                資本                                                   利益を通じて
                   資本金                        自己株式        利益剰余金           在外営業
                               剰余金                                                    公正価値で
                                                                          活動体の
                                                                                      測定される
                                                                          換算差額
                                                                                      金融資産の
                                                                                    公正価値の変動
2019年4月1日残高        1,643,585   1,650,232       △57,142      1,595,431       299,128      46,380
会計方針の変更による累
                                                                  △512
積的影響額
会計方針の変更を反映し
                   1,643,585   1,650,232       △57,142      1,594,919          299,128        46,380
た期首残高
当期利益                                                             44,241
その他の包括利益                                                                      △207,280       △3,586
  当期包括利益                  -          -                -          44,241       △207,280       △3,586
新株の発行                 24,538     24,538
自己株式の取得                                        △52,750
自己株式の処分                                △0            1
配当                                                          △282,693
その他の資本の構成要素
                                                                 13,505                     △19,903
からの振替
株式報酬取引による増加                      29,122
株式報酬取引による減少
                                △23,605          22,428
(権利行使)
  所有者との取引額合計          24,538      30,055       △30,321      △269,188                -       △19,903
2020年3月31日残高       1,668,123   1,680,287       △87,463      1,369,972           91,848       22,891


                       親会社の所有者に帰属する持分
                          その他の資本の構成要素                                            非支配
                  キャッシ                                                                     資本合計
                           ヘッジ     確定給付制                            合計            持分
                  ュ・フロ                   合計
                           コスト     度の再測定
                 ー・ヘッジ
2019年4月1日残高         2,959    1,412     - 349,879                  5,181,985        4,006    5,185,991
会計方針の変更による累
                                                            -         △512                      △512
積的影響額
会計方針の変更を反映し
                     2,959     1,412            -      349,879    5,181,473        4,006    5,185,479
た期首残高
当期利益                                                       -        44,241            49      44,290
その他の包括利益          △25,689      △857         △6,398   △243,810     △243,810           101    △243,709
  当期包括利益          △25,689      △857         △6,398   △243,810     △199,569           150    △199,419
新株の発行                                                      -        49,076                    49,076
自己株式の取得                                                    -       △52,750                   △52,750
自己株式の処分                                                    -             1                         1
配当                                                         -      △282,693         △153     △282,846
その他の資本の構成要素
                                             6,398    △13,505             -                        -
からの振替
株式報酬取引による増加                                                 -        29,122                   29,122
株式報酬取引による減少
                                                            -       △1,177                   △1,177
(権利行使)
  所有者との取引額合計           -          -          6,398    △13,505     △258,421         △153     △258,574
2020年3月31日残高      △22,730        555            -      92,564     4,723,483        4,003    4,727,486




                                        ― 25 ―
                                                      武田薬品工業(株)(4502) 2021年3月期 決算短信


当年度(自2020年4月1日   至2021年3月31日)
                                                                                            (単位:百万円)
                                             親会社の所有者に帰属する持分
                                                                              その他の資本の構成要素
                                                                                        その他の包括
                                 資本                                                     利益を通じて
                   資本金                         自己株式        利益剰余金              在外営業
                                剰余金                                                      公正価値で
                                                                              活動体の
                                                                                         測定される
                                                                              換算差額
                                                                                         金融資産の
                                                                                       公正価値の変動
2020年4月1日残高        1,668,123    1,680,287       △87,463      1,369,972          91,848      22,891
当期利益                                                           376,005
その他の包括利益                                                                          308,950        61,873
  当期包括利益                  -             -              -          376,005         308,950        61,873
新株の発行                     22            22
自己株式の取得                                          △2,141
自己株式の処分                                 △0            2
配当                                                           △283,718
その他の資本の構成要素
                                                                   47,647                      △42,781
からの振替
株式報酬取引による増加                        37,663
株式報酬取引による減少
                                 △29,548          30,050
(権利行使)
  所有者との取引額合計              22        8,137        27,911      △236,071                  -       △42,781
2021年3月31日残高       1,668,145    1,688,424       △59,552      1,509,906            400,798       41,983


                        親会社の所有者に帰属する持分
                           その他の資本の構成要素                                             非支配
                  キャッシ                                                                        資本合計
                            ヘッジ     確定給付制                             合計            持分
                  ュ・フロ                       合計
                            コスト     度の再測定
                 ー・ヘッジ
2020年4月1日残高        △22,730      555       -   92,564                4,723,483         4,003    4,727,486
当期利益                                              -                   376,005           166      376,171
その他の包括利益           △45,345   △9,147    4,866 321,197                  321,197            48      321,245
  当期包括利益           △45,345   △9,147    4,866 321,197                  697,202           214      697,416
新株の発行                                             -                        44                         44
自己株式の取得                                           -                   △2,141                     △2,141
自己株式の処分                                           -                         2                          2
配当                                                -                 △283,718           △77     △283,795
その他の資本の構成要素
                                             △4,866    △47,647               -                        -
からの振替
株式報酬取引による増加                                                  -         37,663                    37,663
株式報酬取引による減少
                                                             -              502                      502
(権利行使)
  所有者との取引額合計           -           -         △4,866    △47,647      △247,648           △77     △247,725
2021年3月31日残高      △68,075      △8,592            -      366,114     5,173,037         4,140    5,177,177




                                         ― 26 ―
                                     武田薬品工業(株)(4502) 2021年3月期 決算短信


(5)連結キャッシュ・フロー計算書
                                                                 (単位:百万円)
                                            前年度                  当年度
                                     (自   2019年4月1日       (自   2020年4月1日
                                      至   2020年3月31日)      至   2021年3月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー
 当期利益                                            44,290              376,171
 減価償却費及び償却費                                     583,649              559,671
 減損損失                                           101,882               25,452
 持分決済型株式報酬                                       29,122               37,663
 SHP647に関連する負債の取崩益                                   -              △60,179
 有形固定資産の処分及び売却に係る利益                               △990               △2,109
 事業譲渡及び子会社株式売却益                                △16,755             △229,993
 在外営業活動体の清算損                                        399                   -
 条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正
                                               △18,387               59,277
 価値変動額(純額)
 金融収益及び費用(純額)                                  137,175              143,110
 持分法による投資損益                                     23,987                 △76
 法人所得税費用                                      △105,044              △9,936
 資産及び負債の増減額
   売上債権及びその他の債権の増加額                            △34,826              △9,316
   棚卸資産の減少額                                     137,492               25,978
   仕入債務及びその他の債務の増減額(△は減少)                      △29,932                36,620
   引当金の増加額                                       21,938               49,099
   その他の金融負債の増加額                                   7,158              173,400
 その他(純額)                                         15,362               37,786
  営業活動による現金生成額                                  896,520            1,212,618
 法人所得税等の支払額                                   △234,612             △235,801
 法人所得税等の還付及び還付加算金の受取額                             7,844               34,114
営業活動によるキャッシュ・フロー                                669,752            1,010,931
投資活動によるキャッシュ・フロー
 利息の受取額                                          11,487               1,105
 配当金の受取額