4502 武田薬 2021-04-02 21:00:00
COVID-19治療薬候補の高度免疫グロブリン製剤を評価するための臨床試験の結果発表について [pdf]

                                         会社名 武田薬品工業株式会社
                               代表者 代表取締役社長 CEO クリストフ・ウェバー
                                          (コード番号 4502 東証第 1 部)
                            報道関係問合せ先 グローバル コーポレートアフェアーズ

News Release
                                                小林一三 03-3278-2095
                                     E-mail: kazumi.kobayashi@takeda.com
2021 年 4 月 2 日




  COVID-19 治療薬候補の高度免疫グロブリン製剤を評価するための臨床試験の結果発表について


当社は、このたび、CoVIg-19 アライアンスが、高度免疫グロブリン製剤の有用性を評価するための臨床第 3
相試験において、評価項目を達成しなかったことを公表しましたので、お知らせします。臨床試験において安
全性の重大な懸念は認められませんでした。当社は、CoVIg-19 アライアンスを創設した企業の 1 つです。詳
細は、添付のプレスリリースをご覧ください。



                                                                      以上
2021 年 4 月 2 日

    CoVIg-19 アライアンスにおける COVID-19 治療薬候補の高度免疫グロブリン製剤を
             評価するために NIH が実施した臨床試験の結果発表について

   •   米国国立衛生研究所(NIH)の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が出資し実施した
       臨床第 3 相試験「Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin(ITAC)」におい
       て、成人の COVID-19 入院患者に対する有効性の評価項目を達成せず


CoVIg-19 Plasma Alliance(以下「CoVIg-19 アライアンス」)は、このたび、米国国立衛生研究所(NIH)
の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が出資し実施した臨床第 3 相試験「Inpatient Treatment
with Anti-Coronavirus Immunoglobulin(ITAC)」において、評価項目を達成しなかったことをお知らせし
ます。臨床試験において安全性の重大な懸念は認められませんでした。

本試験は、重篤化リスクのある成人の COVID-19 入院患者さんに対して、抗コロナウイルス高度免疫グ
ロブリン製剤(H-Ig)(本アライアンスでは「CoVIg-19」)を、レムデシビルを含む標準治療に追加投与し
た際の、疾患進行のリスク低減を評価することを目的としていました。現在も解析は継続中であり、
NIAID および INSIGHT Network は試験の詳細結果を近く発表する予定です。

CSL Behring の Executive Vice President, Head of Research and Development and Chief Medical Officer
であり CoVIg-19 アライアンスの共同リーダーである Bill Mezzanotte は、「今回の試験結果は残念なも
のでしたが、この研究に業界として自発的に取り組み、協力して推進したこと、そしてこのプログラムが、
この難しいウイルスに対する理解や、患者さんの治療への理解を深めることに貢献できたことを誇りに思
います。この開発プログラムに着手して以来、そしてパンデミックを通じて、私たちは科学的研究から多く
のことを学びました。重要なことは、私たちは製薬企業として、人々の健康のために迅速に協力する不
屈の精神と能力を有していることを学びました」と述べています。

武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」)の Plasma-Derived Therapies Business Unit の President で
あり、CoVIg-19 アライアンスの共同リーダーである Julie Kim は、「公衆衛生に恩恵をもたらし、複雑な分
野での理解を深めることを目的に、各自がリソースを持ち寄り、各々の負担でインフラや血漿に関する専
門知識を結集させられたことを誇りに思います。この 1 年間、COVID-19 の解決策となりえる治療薬を開
発、製造するための困難な状況の中で、我々をサポートしてくださった製薬企業外の組織を含め、昼夜
を問わず取り組んでいただいた皆さんには、非常に感謝しています。また、我々の研究を可能にするた
めに血漿を進んで提供してくださった COVID-19 から回復された方々、快く試験に参加してくださった
患者さん、そして我々の取り組みに柔軟な姿勢で支援し協力してくださった規制当局や政府機関にも
心からの感謝を申し上げます」と述べています。

ITAC 試験の結果を受けて、CoVIg-19 アライアンスの取り組みは終了いたします。世界中の組織が参
加したこの 1 年間の協働の取り組みにより、製薬企業内外の関係を強化し、科学的根拠と必要性に基
づいた実用的な規制に向けて新たな視点が得られました。そして、緊急の公衆衛生上のニーズに対処
するための今後の協力の機会に向けて、明確に定義され、かつ、法的に準拠した枠組みが提供されま
した。
ITAC 試験について
臨床第 3 相試験「Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin(ITAC)」は、米国国立衛
生研究所(NIH)の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が実施する国際多施設共同二重盲検
プラセボ対照無作為化試験です。本試験は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する、抗ウイ
ルス剤であるレムデシビルと SARS-CoV-2 を中和する高濃度の抗体を含有する抗コロナウイルス高度
免疫グロブリン静注製剤(H-Ig)から成るレジメンの安全性、忍容性および有効性を評価します。H-Ig に
含まれる抗体は、COVID-19 から回復した健康な人々から提供された血液の液体成分である血漿から
採取されたものです。

NIH が設立した INSIGHT Network を通じて、米国および 5 大陸にわたる 10 ヵ国の 63 施設で、約 600
名の患者さんが試験に登録されました。発症後 12 日以内で、生命を脅かすような臓器障害や終末臓
器不全のない COVID-19 入院患者を対象としています。治験に使われる H-Ig は、CoVIg-19 アライア
ンスより CSL Behring および武田薬品のほか、Emergent Biosolutions および Grifols の 4 社から提供さ
れました。ITAC 試験の詳細については、ClinicalTrials.gov をご覧ください。試験の識別番号は
NCT04546581 です。

CoVIg-19 Plasma Alliance について
COVID-19 パンデミックとの闘いに対処するため、COVID-19 による重篤な合併症のリスクを有する人を
対象とした血漿分画製剤の開発を目的に、CoVIg-19 Plasma Alliance は 2020 年 4 月に結成されまし
た。CoVIg-19 アライアンスでは、血漿分画製剤で世界をリードする製薬会社が集まり、COVID-19 によ
る重篤な合併症のリスクを有する患者さんの治療を目的としたノーブランドの抗 SARS-CoV-2 ポリクロー
ナル高度免疫グロブリン製剤の開発に取り組みました。高度免疫グロブリン製剤(CoVIg-19)は、
COVID-19 から回復した方から提供された血漿から精製され、一定量かつ高濃度の抗体を含有する高
品質の医薬品です。

CSL Behring と武田薬品が共同で結成した CoVIg-19 アライアンスには、BioPharma Plasma、Biotest、
GC Pharma、LFB、National Bioproducts Institute、Octapharma および Sanquin も参加しました。 また、
ビル&メリンダ・ゲイツ財団がアドバイザーとして支援しており、Microsoft が CoVIg-19 アライアンスのウェ
ブサイトやドナー募集のための「Plasma Bot」などの技術を提供しました。Pall や Uber Health などの組
織も現物支援などで CoVIg-19 アライアンスに協力しました。

CoVIg-19 アライアンスは、米国において COVID-19 から回復した多くの方々から血漿を提供してもらう
ための協力体制である「The Fight Is In Us」キャンペーンにも参画しています。COVID-19 から回復した
方、もしくは回復した方をご存知の方は、TheFightIsInUs.org にアクセスのうえ、簡単な自己診断ツール
を使用して血漿の提供に適格かどうかを確認し、近隣の血液または血漿採取センターを確認することが
できます。


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