4409 東邦化 2019-05-14 14:00:00
新三ヵ年中期経営計画 [pdf]

                                               2019 年5月 14 日
  各   位
                               会 社 名 東邦化学工業株式会社
                               代表者名 代表取締役社長 中崎 龍雄
                                    (コード番号   4409 東証2部)
                               問合せ先 経営企画部長      松村 賢治
                                           (℡.03-5550-3734)


                新三ヵ年中期経営計画

 当社グループは、この度、2019 年度(2020 年3月期)を初年度とする「新三ヵ年中期経営計画」
を策定しました。


1.第7次中期経営計画を振り返って
   当社グループは、2018 年度(2019 年3月期)を最終年度とした、第7次中期経営計画(以
  下「7次中計」という)を終了しました。
   最重要課題としまして「東邦化学(上海)有限公司の黒字化と事業を軌道に乗せること」、
  数値目標として「連結売上高:480 億円」、
                       「連結経常利益:25 億円」 その他重点課題として、
                                     、
  ① 海外市場、特に中国市場の開拓
  ② 既存製品の製造方法の見直し、合理化による生産性の改善とコストダウン
  ③ 高機能・高付加価値製品の開発テーマの実績化
  ④ 国内外生産拠点間の最適生産体制の構築
  ⑤ 世代交代と全社を挙げての意識改革
   を掲げました。


   最重要課題として掲げた「東邦化学(上海)有限公司の黒字化と事業を軌道に乗せること」
  につきましては、7次中計初年度の 2016 年度(海外現地子会社は1~12 月期)以降の3年
  間に年率 約 50%の増収を続け、売上高が大幅に伸長する中で、2018 年度下期(2018 年7~
  12 月)には、営業損益の黒字化は実現できたものの、通期での黒字化は実現できませんでし
  た。また、2018 年度通期では為替評価損の発生も加わり、経常損益の黒字化も実現できませ
  んでした。
   数値目標として掲げた「連結売上高:480 億円」につきましては、第6次中期経営計画最
  終年度(2016 年3月期)の売上高 391 億円に対し、香粧(化粧品・トイレタリー)原料分野、
  電子情報産業用薬剤分野、溶剤分野などを中心に大半の分野で販売が増加し、7次中計最終
  年度(2019 年3月期)の連結売上高は、452 億円と大幅増収となりましたが、目標の 480 億
  円に対しては、大幅な未達となりました。また、数値目標として 25 億円を掲げた連結経常利

                       - 1 -
  益につきましては、2017 年度(2018 年3月期)に大幅な原料安に支えられ、過去最高益であ
  る 24.3 億円を計上し、7次中計の目標値をほぼ達成する水準となりましたが、7次中計最終
  年度の 2018 年度は、前期比原料高の影響に加え、創立 80 周年を機に実施した社員の待遇改
  善に伴う固定費の増加、更に東邦化学(上海)有限公司の赤字などの結果、18.9 億円にとど
  まりました。遺憾ながら計画を達成することはできませんでしたが、この 2018 年度の連結経
  常利益額は、2017 年度の過去最高値に次ぐ利益水準となりました。
   その他重点課題の内「① 海外市場、特に中国市場の開拓」につきましては、顧客との関係
  構築面で進捗したものの、実績としては不十分な結果となりました。
   「② 既存製品の製造方法の見直し、合理化による生産性の改善とコストダウン」につきま
  しては、取り組んだ大型合理化テーマの一部で実績化し、成果がありましたが、過半のテー
  マで進捗が遅れ、実現の目途はつきつつあるものの実績化には至りませんでした。
   「③ 高機能・高付加価値製品の開発テーマの実績化」につきましては、電子情報産業用薬
  剤分野で微細加工用樹脂の大型テーマが実績化した他、香粧原料分野でスキンケアポリマー
  などの化粧品用原料の実績化、土木建築用薬剤分野で低炭素、低環境負荷型建設材料向けコ
  ンクリート混和剤原料の実績化など、成果を上げることができました。
   「④ 国内外生産拠点間の最適生産体制の構築」につきましては、東邦化学(上海)有限公
  司と国内工場との連携が進み、国内外生産拠点間の最適生産体制つくりに向け、着実に前進
  しました。
   「⑤ 世代交代」につきましては、7次中計初年度の 2016 年に執行役員制度を導入し、40
  代後半から 50 代前半の新役員(取締役、執行役員)が誕生しました。また、組織の簡素化、
  スリム化のための組織改編を実施しました。しかしながら全社を挙げての意識改革につきま
  しては、徐々に浸透しつつありますが、まだまだ進捗が遅れている面もあり、今後に課題を
  残しました。


2.新三ヵ年 中期経営計画作成にあたって
   1998 年度を初年度として、第1次から第7次までの中期経営計画を行って参りました。そ
  の間、収益力の強化、財務体質の改善、研究開発力・技術力の強化、戦える工場つくりの推
  進、新事業への投資・育成の面などで改革は大きく前進いたしました。その一方で、意識改
  革の面では進捗が遅れており、ここ数次の中期経営計画で掲げた「スピード重視の経営」の
  実現の面で計画どおり進んでいないのも、こうした意識改革の遅れに起因するものと考えて
  おります。当社を取り巻く事業環境は厳しさを増しつつあり、その変化のスピードは、ます
  ます加速しております。原料価格の乱高下は言うまでもなく、中国企業を中心とする新興国
  企業の急台頭による影響が遠からず当社にも及んでくるものと予想されます。そうした中で
  生き残り発展する企業となるには、従来にも増して経営のスピードアップが不可欠な状況と
  なっております。
   こうした中で、向こう3年間を対象期間とする新たな中期経営計画につきましては、7次
  中計までとは視点を変えて策定し、これまでとは異なる手法で実現を目指すことといたしま
  す。従来と比べ、より多くの数値目標と具体的な計画を掲げ、具体的方策・工程・スケジュ
  ールなど、早期に考え、内容を固め、その実現に全力を挙げて参ります。

                       - 2 -
   今次中期経営計画の呼称は、8次中計ではなく「新三ヵ年 中期経営計画」
                                    (以下「本中計」
  という)といたします。


3.新三ヵ年中期経営計画(2019 年度~2021 年度)
 (1)新三ヵ年中期経営計画 最終年度(2022 年3月期)の数値目標(連結ベース)
                     2022 年3月期          2019 年3月期
                       計    画             実    績
       売上高                 510 億円            452 億円
       営業利益                 30 億円            22 億円
       売上高営業利益率              5.9%              4.9%
       純資産額                170 億円            130 億円
       自己資本比率               27.0%             24.8%
       ROE                10%以上               15.5%
       1株当たり配当額                  20 円          12 円
 (2)最重要課題
  ① 東邦化学(上海)有限公司の黒字化と第2期増設工事稼働後の事業を軌道に乗せる
   ・2019 年度(2019 年 12 月期)の経常損益黒字化を目指します。
   ・第2期増設工事は計画どおり、2020 年春の営業生産開始を目指します。
   ・営業生産開始に伴う固定費増で経常損益は、2020 年度(2020 年 12 月期)に赤字となる
    見通しですが、2021 年度(2021 年 12 月期)での黒字化を目指します。
   ・中国を中心に海外市場開拓に注力すると共に、日本国内需要を取り込み、同社へ生産移
    管し、同社の設備稼働率アップに全力を挙げます。
  ② 生産性の改善
   ・売上が堅調に推移する中で、工場での人員不足問題が顕在化しつつあり、今後事態の深
    刻化が懸念されます。このような状況下、「自動化」「省人化」を進めると共に 50%増
                           、
    或いは倍増といった大幅な生産性改善を図る合理化テーマ(既にリストアップ済み)の
    実績化・実現に向け、全力を挙げます。特に原料仕込、充填工程などの合理化に注力し、
    貯槽他の必要な設備投資を実施します。
  ③ 人材育成と全社の意識改革
   ・風通しの良い組織作りに向け、社長以下経営幹部が現場の状況を的確に把握する仕組み、
    体制を整えます。
   ・採用活動を強化し、新卒・中途採用両面で必要な要員の確保に全力を挙げます。
   ・社内教育プログラムを見直し、強化を図ります。
   ・
   「適材・適所」を徹底、人材育成の見地で人事ローテーションを活発化し、組織の活性化
    を図ります。
   ・経営幹部の率先垂範で、重要課題に取り組み成果を上げ、成功体験を通じ、関係者の意
    識改革につなげます。意識改革により、スピーディーに思考し、実行することができる
    人材育成に全力を挙げます。


                         - 3 -
  ・5年以内に実施予定の人事制度(人事評価・処遇・給与体系)の改定に向け準備を進め
    ます。
(3)その他重要課題
 ① 電子情報産業向け需要増への増産体制の構築
  ・微細加工用樹脂での新プラント建設(検討中)を含め増産体制を構築し、需要増に応え
    つつ、同事業を当社収益面で最大の柱の事業に育てます。
  ・生産要員の確保と育成に全力を挙げます。
 ② 最適生産体制の構築
  ・最重要課題として掲げている「生産性改善・合理化」の結果を踏まえ、国内外の最適生
    産体制の見直しを実施し、更なる体制強化を図ります。国内外グループ会社の工場を含
    めBCP対策を進めます。
 ③ 海外市場開発
  ・中国並びにアジア市場での仕掛中の開発案件の実績化に全力を挙げます。
   ・海外事業部、各事業部、各支店及び東邦化貿易(上海)有限公司間の連携強化、並びに
    海外市場開拓スタッフの増員を図るなど、海外市場開拓体制を強化します。更に研究ス
    タッフを動員し、顧客のニーズに迅速、的確に対応しつつ製品開発活動を進めます。
 ④ 高機能・高付加価値製品の開発テーマの実績化
  ・7次中計の路線を継続しつつ更にスピードアップを図ります。
   ・電子情報産業用薬剤分野では、既存技術を用いた大型テーマの実績化に注力する一方、
    更なる高機能・高付加価値製品、特に先端微細加工用樹脂での開発製品の実績化に注力
    します。
  ・香粧原料分野では、スキンケアポリマーなどの化粧品用原料での製品群の更なる拡充に
    注力します。
  ・土木建築用薬剤分野では、引き続き低炭素、低環境負荷型建設材料向けコンクリート混
    和剤原料の拡充に注力します。
  ・ポリマー型のプラスチック添加剤の開発製品実績化を目指します。
 ⑤ 次期基幹システム(ERP)導入と業務改革
  ・2020 年春稼働予定で計画を進めている次期基幹システムの導入計画を成功させます。
  ・新システム導入を機に、全社の業務内容を見直し、業務標準化を進めるなど、業務改革
    を図ります。


4.おわりに
  第1次中期経営計画以来、目指すべき企業像として、
                         「技術力を有し、小粒でも光る、ファ
 インケミカル中心の中堅優良化学企業」を掲げてきましたが、遺憾ながら未だ道半ばであり、
 今後創業 90 周年、100 周年での実現を目指して参ります。その実現には、新たな「飛翔期」、
 「飛躍期」を築く必要があり、向こう3ヵ年は、その土台を固める極めて重要な3年間とな
 ります。
  経営幹部以下、全社一丸となり本中計達成に向け、全力を挙げて参ります。
                                            以   上

                     - 4 -