4390 ips 2020-05-07 18:45:00
固定資産の取得(国際海底ケーブルの使用権の取得)及び当該使用権の一部提供に伴う収益計上に関するお知らせ [pdf]

                                                              2020 年5月7日
各 位
                                              会 社 名 株式会社アイ・ピー・エス
                                              銘 柄 名 株式会社IPS
                                              代表者名 代表取締役 宮下 幸治
                                                   (コード番号:4390 東証マザーズ)
                                              問合せ先 取締役事業企画本部長 前田 知之
                                                        (TEL. 03-3549-7719)


           固定資産の取得(国際海底ケーブルの使用権の取得)及び
           当該使用権の一部提供に伴う収益計上に関するお知らせ



 当社は、本日、下記のとおり固定資産(国際海底ケーブルの破棄し得ない使用権(IRU:
Indefeasible Right of Use※))を取得することについて取締役会の決議を行い、契約を締結い
たしましたので、お知らせいたします。
 併せて、取得した国際海底ケーブルについては、その一部をフィリピンの CATV 事業者などに
IRU により提供することによる収益が計上されることをお知らせいたします。


                                          記


1.国際海底ケーブルの概況
 (1) 取得の理由
   有価証券報告書「事業等のリスク」などにおいて説明してまいりました海底ケーブルの光
   ファイバーの取得につきまして、C2C 海底ケーブルの廃棄しえない使用権を取得し、国際
   通信回線の安定的な調達を図り、海外通信事業を拡大してまいります。
   今回の国際海底ケーブルの取得による今後の事業の拡大などについては、
                                   (別紙)参考資料
   をご参照ください。


   ※IRU      通信回線などの貸借契約の一つで、設置者(所有者)と利用者の双方の合意がな
            い限り、一方から契約を破棄することができない契約。


 (2) 取得資産の内容
   ①取得海底ケーブル
      City-to-City Cable System, or C2C
             フィリピン-香港間
             フィリピン-シンガポール間
   ②期間等
      15 年の IRU 契約
(3) 取得先
   ①名称       Telstra International Limited
             (Telstra Corporation Limited の海外事業子会社)
   ②所在地      19F Telecom House, 3 Gloucester Road, Wan Chai, Hong Kong
   ③事業内容     親会社 である Telstra Corporation Limited は、オーストラリア内
             外で固定・携帯通信事業を営むオーストラリア最大手通信事業者。そ
             の子会社である Telstra International         Limited は、海外部門を担当。
   ④当社との関係 資本関係・人的関係として記載すべき事項はござません。
             取引関係としては、当社は同社より国際通信回線を調達しております。
             関連当事者への該当状況はございません。


 (4) 取得価額
   取得先による要請などにより具体的な金額の公表は控えさせていただきます。
   当社の直前連結会計年度の末日における連結純資産額の 30%を超過する取得価額になりま
   す。


 (5) 取得の日程
   ①契約締結日      2020 年5月7日
   ②物件引渡日      2020 年7月(予定)


2.国際海底ケーブルの提供
  取得した国際海底ケーブルの一部につきましては、フィリピンの CATV 事業者などに対し IRU
  による提供を行うことにより収益が発生いたします。なお、取引先による要請などにより具
  体的な提供先、金額などについての公表は控えさせていただきます。


3.その他
  当該回線を提供するために必要な通信回線・伝送装置等を取得いたします。
  また、取得資金につきましては、自己資金及び金融機関からの借入れにより資金調達を予定
  いたしております。


4.今後の見通し
  2020 年3月期の業績に与える影響はありません。
  2021 年3月期の業績に与える影響につきましては、2020 年5月 15 日公表予定の連結業績予
  想に織り込みます。
  本件に関し、開示すべき事象が生じた場合には速やかに開示いたします。


                                                                         以上
(別紙)




香港                     フィリピン陸揚局周辺               シンガポール
参考資料


1.概要
1)オーストラリア最大の通信事業者の海外部門子会社が保有する、海底ケーブルの一部
の使用権(香港-フィリピン間・フィリピン‐シンガポール間)を、当社が取得することで
両者が合意。
2)関係各国の通信事業者と提携して、2020 年7月中に、香港―フィリピン―シンガポー
ルの海底ケーブルを使って、フィリピンのケーブルテレビ事業者・通信事業者などに対し
て国際回線のリース、国際通信サービスを廉価で提供。
3)当社グループは、これにより、これまで PLDT 社、GlobeTelecom 社の2社のみが保有い
た海底ケーブルの権利を取得して、フィリピンと海外を結ぶ国際通信回線の運用に参入す
る計画。


2.合意内容
 当 社 は 、 オ ー ス ト ラ リ ア 最 大 手 電 気 通 信 事 業 者 Telstra 社 の 海 外 部 門 Telstra
International Limited 社(注1)との間で、同社が保有する香港-フィリピン間、シンガ
ポール-フィリピン間の海底ケーブルの一部の使用権の設定について、協議を行ってまいり
ました。
 2020 年5月7日、同社が保有する海底ケーブル(City-to-City Cable System or C2C)
のうち、使用していない光ファイバーに対して、同社が当社に対して使用権の設定すること
で 合 意 い た し ま し た 。




                             図1 City-to-City Cable System(C2C)のネッ
                                  トワーク図(太線が、今回当社が回線使用
                                  権を取得した区間)
3.開始する事業内容
 当社グループでは、香港・シンガポール・フィリピン相互間の通信サービスを提供するの
に必要な国内通信回線(各陸揚局から各都市の陸上区間の光ファイバー)の使用権も、各国
の通信事業者から取得いたします。
               (図2)
 特にマニラから陸揚局までの回線は、PLDT 社、Globe   Telecom のみが運用・保有してお
り、国際データ通信サービス市場に自社設備での参入は困難とされてきましたが、今回大手
通信事業者より国内通信回線の一部を取得することで、当社グループも、上記 2 社につい
で、国際データ通信サービスを自社設備で提供することになります。
 これにより海底ケーブルを所有する場合と同様に、伝送機器の追加・更新を通じて通信容
量を自社でコントロールできるようになります。需要の変化や他の海底ケーブルの供給能
力の動向、市況などを見ながら、今後通信容量を調整していくことが可能になります。
 フィリピンのインターネット環境が、これまで政治問題としても取り上げられてきた理
由は、コンテンツの多くが海外にあるため、フィリピンと海外を結ぶ回線の料金や品質が重
要であるものの、上記 2 社の回線を使わずに、海外とつなぐことができなかったため、構造
的に、十分な競争が生じませんでした。
 当社グループでは、大手のケーブルテレビ事業者、通信事業者などの大口の需要家に向け
て、香港、シンガポールまでのデータ通信サービスを、長期の条件で提供することで、安定
した収益を確保するとともに、その上で、ケーブルテレビ事業者向けの通信回線の卸提供、
法人向けインターネット接続サービスなどにも利用してまいります。


図2 当社が提供する国際データ通信サービスの構成図
4.開通させた国際海底ケーブルの用途
 この国際海底ケーブルの用途・対象顧客は、以下の通りです。


1) 大口需要家に対する IRU 条件での通信回線のリース
当社グループは、フィリピン国内の通信事業者等の大口需要家に対して、IRU 条件(15 年
間)で通信回線のリースを行います。
使用権料をいただくとともに、年額での保守料をいただくことになります。


2)法人向けインターネット接続サービスの提供に必要な回線の切替
現地子会社 InfiniVAN,Inc.の法人向けブロードバンドサービスで利用している、国際通信
回線をこの回線に切替ます。


他社より供給されているマニラ―香港間の回線の大部分を、この新しい回線に切替ます。
1)のリースにより、すでに多くの通信容量を他社に IRU で提供しておりますが(表1参
照) なお十分な通信容量があり、
 、              法人ユーザーには、さらに高速な通信環境を提供しつつ、
他の通信事業者からの仕入れがなくなり、原価の削減も見込んでおります。


3)ケーブルテレビ事業者(CATV 事業者)向け国際通信回線の切替
当社が CATV 事業者向けに提供していた国際通信回線を、この回線に切り替えます。


仕入れ・提供ともに短期間のリースで行っている案件を中心に、この回線に切り替えます。
これを機会に、CATV 事業者向けの通信容量のサイズアップを図ることで、CATV が提供する
ブロードバンドサービスの品質の向上・競争力アップを図ります。
当社では、1)による収益で、今回海底ケーブルの利用権を取得し開通させるのに必要な投
資の回収を見込んでおります。




5.開通時期
 昨今の新型コロナウイルス感染症の影響などにより、伝送機器の納品時期がずれ込んだ
場合、開通時期が遅延する可能性があります。現時点では、2020 年6月に伝送機器が設置
され、7月中に、通信設備のリース・通信サービスの提供を見込んでおります。
6.取得した海底ケーブルの使用権の概要
下記表1の通りとなります。


表1
取得する海底ケーブル名称    City-to-City Cable System(C2C)
開通時期            2001 年(旧 C2C)
海底ケーブルの所有者      Telstra International Limited(香港)
                オーストラリア最大の通信事業者である Telstra Corporation
                の海外部門子会社。
                2015 年、Telstra Corporation 社は、アジア各地の海底ケーブ
                ルを取得していた Pacnet 社)を買収。単独のオーナーで保有さ
                れている海底ケーブルでは、アジア最大の海底ケーブル網を保
                有する事業者である。
                         (他国の事業者と共同で建設・運用するコ
                ンソーシアムケーブルが、日本では一般的)
区間              フィリピン-香港間
                起点:Nasugbu 陸揚局‐
                終点:Chung Hom Kok 陸揚局(香港)
                シンガポール-フィリピン間
                起点:Nasugbu 陸揚局(フィリピン‐
                終点:Changi 陸揚局(シンガポール)
回線使用権期限         2035 年(開通日から 15 年)
事業開始時期          2020 年第2四半期
回線の特徴           他国を経由しないため、同一区間で比較した場合、他の海底ケ
                ーブルに比べて、レイテンシー(遅延)が低く(low latency)、
                品質が高いことで知られている。




                                                    以上