4390 ips 2020-01-28 08:30:00
当社子会社のInfiniVAN, Inc.が、フィリピンにて、5Gに用いる周波数を追加して割り当てられたことのお知らせ [pdf]

                                                             2020 年1月 28 日
各 位
                                   会社名      株式会社アイ・ピー・エス
                                   銘柄名      株式会社IPS
                                   代表者名     代表取締役            宮下 幸治
                                            ( コード番号:4390 東証マザーズ)
                                   問合せ先     取締役事業企画本部長        前田 知之
                                                    ( TEL. 03-3549-7719)

      当社子会社の InfiniVAN, Inc.が、フィリピンにて、5G に用いる周波数を追加して
                        割り当てられたことのお知らせ

 当社子会社である InfiniVAN, Inc.がフィリピン共和国国家通信委員会(以下、「NTC」という。)に申請していた
5G に用いる周波数帯の割当に対して、2020 年1月 24 日に NTC が周波数の割当を行い、同 27 日に、NTC から、周波数
の割当を行う旨の通知書を受領いたしましたので、お知らせいたします。

                                  記
1.割当内容
  3.6-3.8GHz (うち 100MHz)

2.割当を受けた周波数の利用について
   2019 年 6 月、InfiniVAN,Inc.は、NTC より 24GHz 帯の周波数の割当を受けておりましたが、コスト面で優位とさ
  れるいわゆる 3.7GHz 帯(日本では 3.6-4.0GHz)は継続審議となり、割当を受けておりませんでした。
   その後も断続的に協議しておりましたが、本日、NTC より上記周波数の割当を行う旨の通知書を受領いたしまし
  た。この周波数は、同社が割当を受けている 24GHz 帯に比べると、壁を通さないといった電波の直進性からくる課
  題がなく、また電波が到達する距離が長く、基地局の建設が少なくて済むといったメリットがあります。そのため
  フィリピンでも、他社が商用サービスを開始した旨の報道があります。3.7GHz 帯の取得により、5G によるブロー
  ドバンドサービスの収益化が見込みやすくなるため、InfiniVAN, Inc.はこれを利用した5G によるブロードバンド
  サービスの実証実験を行い、実用化を推進します。

  (注)InfiniVAN, Inc.について
     2015 年に設立され、2016 年フィリピン共和国法 10898 号によりフィリピン国内で通信事業を営むことができ
     る特権(フランチャイズ)を持つ通信事業者。同法は、同社が、固定通信のほか無線通信サービスも提供する
     ことができる旨定めております。

3.今後の見通し
    同社は、この次世代無線通信技術を使ったネットワークを積極的に構築するとともに、基地局などの通信設備
   は、競合通信事業者と共用(シェアリング)することを進め、何よりコストを抑えた投資を行ってまいります。
    本件の投資額及び収益への影響につきましては、実証実験の結果により、今後検討してまいりますので、未定
   でございます。今後開示すべき事項が生じました場合には、速やかに開示いたします。
                                                                      以上
(別紙)
                     割当を受けた周波数の申請の背景と今後の構想


1. 申請の背景


(1)   当社グループ既存事業と5G との関係

 InfiniVAN, Inc.(以下、「InfiniVAN」という。)は、本⽇ NTC より、下記の周波数の割当の通知を受領いたしました。


 周波数帯域        3.6-3.8GHz(うち 100MHz)
 地域︓フィリピン全⼟


 周波数の特性は、4-3 表 2 に記載しておりますが、3.7GHz帯(⽇本では 3.6-4.0GHz)を含むいわゆるサブ 6GHz
帯は、⽇本では携帯通信に⽤いられるものとして、⼤⼿ 4 社に割当が⾏われております。なお⽇本では、同じ帯域(3.6
-3.8GHz)は、株式会社 NTT ドコモ殿及び KDDI 殿に割り当てられております。
 フィリピンでは、3.4GHz-3.6GHzが、下記の通り5G 向けに割り当てられておりますが、今回 InfiniVAN は、
3.6-3.8GHz が割当られました。


表1    周波数の割当状況

                     社名               周波数                   帯域

       InfiniVAN                      3600-3800MHz               100MHz

       Dito                            3300-3400MHz               100MHz

       PLDT Group                      3400-3460MHz                60Mhz

       Be                             3460-3480MHz                20MHz

       Dito                           3480-3520MHz                40MHz

       Now                            3520-3540MHz                20MHz

       Globe Group                     3540-3600MHz               60MHz



 InfiniVAN は、この周波数帯を⽤いて、今後は、FTTH(Fiber    To The   Home   光ファイバーを使った家庭向け
インターネット接続サービスで、NTT 地域会社のフレッツ光にあたるサービス)や DSL(ADSL などメタルケーブル
を使ったインターネット接続サービス)に代わる、フィックスドワイヤレスアクセス(Fixed Wireless Access)による
ブロードバンドサービスの展開を⽬指します。
 フィックスドワイヤレスアクセス(Fixed Wireless Access)とは、狭義では、基地局・端末等はそれぞれ 1 箇所に
固定して利⽤される無線通信のことですが、フィリピンではポケット Wifi などを含めて、移動体端末以外での無線通
信を含めております。ここでも、移動体端末ではない無線通信のことを広く含めております。
 InfiniVAN は、2017 年よりマニラ⾸都圏地域の都⼼部で、法⼈向けに特化した、光ファイバーを利⽤したブロード
バンドサービスを提供しております。
 しかしインターネット利⽤者のもつ様々なニーズに対応するには、光ファイバーを使ってお客様端末機器に接続す
る⽅法だけでは不⼗分で、当初より Wifi など積極的に無線通信も⽤いて、お客様端末機器と接続できるようにする必
要があると考えてまいりました。
 また当社の主要顧客である CATV 事業者が、ブロードバンドサービスを提供するために使っている回線は、まだま
だメタル回線が主で、光ファイバーの敷設が遅れているため、通信速度に限界があります。そうした中、最近になっ
て、⼤⼿通信事業者が、光ファイバーによるブロードバンドサービス(FTTH)の提供を郊外でも本格的に開始してい
ることや、ポケット Wifi などのフィックスドワイヤレスアクセスも普及しつつあり、従来の CATV 事業者の放送イン
フラを活⽤したブロードバンドサービスは、通信速度の点で優位性が失われつつあります。さらに CATV 事業者には、
⽶国や中国で8K が商業化する流れもあり、富裕層に向けた、4K・8K といった超精細な映像伝送を⾏う基盤を構築
する必要性も認識されつつあります。そのため、既に⼀部の CATV 事業者は、FTTH の導⼊を進めております。


 フィリピンは、表1のとおり、⽇本と⼈⼝はそれほど変わらないものの、FTTH の契約数は⽇本の 1 割程度しかなく、
今後所得⽔準の向上により、FTTH の成⻑余地が⼤きいと考えられております。
 しかし5G による無線通信は、規格の⽐較ではありますが、光ファイバーによる通信サービス(10Gps)よりも、
⾼速な通信サービスを提供することが可能と⾔われております。(20Gps)
 またポケット Wifi や Wimax といった無線通信の広がり、また競合通信事業者である Globe Telecom 社の5G サー
ビスの展開もあり、これからの⾼速インターネットサービスの基盤は、⽇本とは異なり FTTH ではなく、無線通信で
あることが認識されつつあります。そのため5G による無線ブロードバンドサービスの参⼊が、今後の当社グループの
フィリピンでの通信事業の発達に不可⽋となると考えております。


(2)フィックスドワイヤレスの増加と活⽤について
 ⽇本では、5G は、携帯通信事業者のサービスの⼀環として実現するものというのが⼀般的、InfiniVAN のような
Mobility の端末(携帯端末)を使った通信を提供していない事業者が、5G による通信サービスを⾏うことはあまり議
論されていません。⼀部ローカル5G(図 6     ⽇本のローカル5G の概要参照)として、地域を限定した通信を⾏う事
業者(例えば CATV 事業者)に、ミリ波(表 2   ミリ波参照)の周波数を割り当てることになっております。携帯電話
端末を使⽤した5G の通信サービスは、多くの国では、3.7GHz 帯が中⼼であり(表 2      サブ6GHz 参照) 総務省は、
                                                            、
今のところこのサブ6GHzを、携帯電話事業者⼤⼿ 4 社しか割当を⾏っておりません。
 そして国によっては、⽇本のように固定通信のネットワークが充実しているとは限らず、FTTH のような有線ブロー
ドバンドサービスよりも、ポケット Wifi など無線端末を介してブロードバンドサービスを提供するフィックスドワイ
ヤレスアクセスが普及しているところもあります。
 フィリピンでは、所得⽔準の向上により、⾼速ブロードバンドサービスのニーズが⾼まっており、それが FTTH(光
ファイバーを使った通信)の需要を拡⼤すると⾔われていました。表1のとおり、⽇本の 1 割強しか契約数がないこ
とからも、潜在的な市場規模は⼤きいとされております。しかしこの数年間のフィックスドワイヤレスの契約数の伸
びはそれ以上で、2019 年は半年で約 24%伸びており、無線ブロードバンドサービスが広く提供されております。
 競合であるフィリピンの⼤⼿通信事業者 Globe   Telecom 社も、東南アジアで初めての取り組みとして、昨年 7 ⽉
より FTTH による提供の準備が整っていないエリアを中⼼に5G によるフィックスドワイヤレスサービスの提供を開
始している旨の報道があります。
 これは光ファイバーをお客様宅まで敷設しなくても、室内に無線の端末を置くことで、5G を使ってブロードバンド
サービスを実現できるというもので、画期的なサービスと⾔えます。FTTH の設備(ケーブル)を敷設する必要がない
こと、開通作業が簡単であることから、FTTH にかわって⼤きく普及する可能性があります。InfiniVAN も、マニラ⾸
都圏地域の法⼈に、こうした無線端末を置いて、ブロードバンドサービスを提供する計画です。(図 4 参照)
 既存の有線のネットワークでブロードバンドサービスを提供してきた CATV 事業者も、⼤⼿通信事業者との競争
のため、このフィックスドワイヤレスを導⼊を検討する可能性があります。
 なぜなら CATV 事業者の有線とは、同軸ケーブルと呼ばれるメタルケーブルであり、メタルと光ファイバーでは、
光ファイバーの⽅が⼀般に速度が出るからです。⼤⼿通信事業者が進めている FTTH の提供地域が拡⼤すると、CATV
事業者のブロードバンドは速度で⾒劣りし、それが⾼単価を期待できる既存の優良顧客の CATV 離れを招きかねない
といえるからです。
 しかし CATV 事業者は、InfiniVAN と提携することで、5G のフィックスドワイヤレスアクセスを使って⾼精度な放
送コンテンツの配信・ブロードバンドサービスを提供することが可能になり、品質の点で、⼤⼿通信事業者のサービ
スと⼗分に競争できるようになります。
 また当社グループでは、すでにミンダナオ島での光ファイバー網の整備を進めておりますが、今後の当社グループ
のフィリピン全⼟での展開するには、通信需要を確実に集める必要があり、都市間の幹線だけでなく、市町村内での
きめ細かいネットワーク(ラストワンマイル)を持つ必要があると考えております。
 しかしマニラ⾸都圏地域を除けば、⼈⼝密度を考えると、効率的に通信需要を拾い上げるには、光ファイバーをお
客様宅内に引き込む必要がない無線のサービスを導⼊していくほうが効果的です。以上により、InfiniVAN は、基地局
を各地に設置して5G を使ったフィックスドワイヤレスアクセスのブロードバンドサービスの提供を開始し、その範囲
を、都市・地⽅それぞれ拡張する計画です。そして将来はこのフィックスドワイヤレスアクセスのために設置した基
地局を⽤いて、Mobility(携帯通信)の展開の準備をしてまいります。(図 3 参照)


(3) 他の⼤⼿通信事業者とのシェアリング
 5G では、周波数の帯域が⾼くなる関係で、4G に⽐べて基地局の数が 2-3 倍必要になるとされ、基地局の投資が
⼤きくなることが各国の携帯電話事業者にとって課題になっております。(表 2 参照)そのため中国では、⼤⼿通信
事業者 2 社が、5G の導⼊の際、基地局のシェアリングを、初めて⾏ったことが話題となっております。基地局のシ
ェアリングによるコストの削減は、中国だけの課題ではないため、今後は、基地局設置場所(タワー)のシェアリン
グだけでなく、5G 基地局のシェアリングに、ビジネスチャンスが出てくるものと考えております。
 昨年 6 ⽉マニラ⾸都圏地域ケソン市のアラネタセンターとの間で、携帯電話事業者向けに基地局設置場所の提供に
ついて提携の合意をしておりますが、これは、携帯通信の基地局の設置場所だけでなく、基地局のシェアリングの可
能性を探ることも狙いとなっております。


(4) 3.7GHz帯の割当を受ける意義
 InfiniVAN は、昨年 6 ⽉に、24GHz 帯で、200MHz 分の周波数の割当を受けております。しかし申請していたサブ
6GHz 帯(3.6-4.2GHz)については結論がでず、継続審議とされておりました。
 InfiniVAN が割当てられた 3.6-3.8GHz は、⽇本を含めて他国でも広く5G に⽤いられており(表 2 参照)、この
帯域は実⽤化が早期に進むとして、多くの通信機器ベンダーが参⼊しております。また電波が届く距離が⻑いため、
24GHz 帯に⽐べて基地局が少なくなることが期待されます。(図 2 参照)またミリ波は、電波の直進性といった性質
上の課題があり、商⽤化には技術的課題も多いのが現状です。
 そのため技術的な課題が少なく、ブロードバンドサービスの提供に実績がありコストも抑えることができる、この
周波数も割り当てるよう、24GHz帯取得後も、NTC と折衝してまいりました。
 こうした中、NTC は、InfiniVAN に対して上記の周波数の割当をし、InfiniVAN は本⽇通知書を受領いたしました。


表1   通信回線契約数の推移(単位︓千契約数)

                                     ⽇本                            フィリピン
           集計年
                                                                            フィックスド
                              フレッツ光+ADSL                  光+DSL
                                                                          ワイヤレスアクセス
           2016                             20,972                2,061            7,903

           2017                             21,312                2,359            8,928

           2018                             21,679                2,443           11,978

        2019 年 9 ⽉末                         21,958                2,520           14,820

引⽤データ
⽇本︓NTT 東⽇本と NTT ⻄⽇本各社 HP「サービスの概況等」の数字を合算したもの。電⼒系などの回線は含まない。
フィリピン︓PLDT 社と Globe   Telecom 社の Wired と Fixed   wireless の Subscribers の数字を合算したもの。両社の開⽰書類から集計。


図1   フィックスドワイヤレスサービスイメージ図
図2   必要とする基地局の数のイメージ図




2.今後の構想

(1) フィックスドワイヤレスサービスによる商業地域でのブロードバンドサービス(図 4 参照)
 InfiniVAN は、2017 年より、マニラ⾸都圏地域にあるマカティ・オルティガスなど⼈⼝密度の⾼い都⼼の商業地域
で、光ファイバーを⾃社で敷設または他社から調達し、法⼈向けにブロードバンドサービスを提供しております。
 ただ光ファイバーを敷設して、お客様にサービスを提供する場合、各ビルのオーナーとの間で、光ファイバーの引
込と機器の設置の許可を取る必要がありこの許可の⼿続きに⼿間がかかることや、各テナントに引き込むための⼯事
の⼿配などで、接続まで時間を要するという問題があります。
 そこで光ファイバーを既に引き込んでいる⾼層ビルの屋上などに、5G の無線基地局を設置し、周辺にあるほかのビ
ルに⼊居する顧客に対して、無線を通してブロードバンドサービスを提供することを計画しております。顧客は、当
社が⽤意する無線端末(図 3 にあるルーター端末)を設置し、顧客宅内は、Wifi を使って各ユーザーがインターネッ
トを接続できるというものです。
 このサービスは、当初 24GHz 帯での提供を検討しておりましたが、以下の理由で、今回取得した 3.7GHz 帯で実現
することを計画しております。


 ① 電波が到達できる距離は、周波数の 2 乗に反⽐例しますので、3.7GHz 帯のほうが 24GHz に⽐べて到達距離が
     ⻑くなります。したがって地形やユーザー数などの影響はあるものの、必要な基地局は少なくて済みます。(図
     2 参照)基地局の数が少なくて済むので、コストを抑えることができるほか、基地局設置の確保の問題(圏外に
     なるエリアが多い)に直⾯する可能性が下がります。
 ② ⽇本をはじめとして(表 2 参照)、各国で⼤規模な 3.7GHz 帯の基地局の投資が続いており、グローバルベン
     ダーを中⼼に、多くの通信機器ベンダーが、基地局などの通信機器の市場に参⼊しております。通信機器の選択
     肢が広がっているといえます。
     中国や韓国では、既にこの帯域を使った携帯電話端末が販売されており、5G サービスが開始しております。他
     ⽅ 24GHz 等、⽇本でローカル5G が使うことになっている周波数帯も含めたミリ波は、技術的課題がまだあり、
     携帯電話のような使い勝⼿になるには時間がかかることが予想されております。ミリ波の実⽤化で先⾏するアメ
   リカでも、3.7GHz帯の⼊札が⾏われることが予定されており、ブロードバンドサービスは、この周波数帯によ
   る普及が世界的に想定されております。


(2) マニラ⾸都圏の CATV 事業者への回線提供について(図 5 参照)
 当社の海外通信事業の主要顧客である CATV 事業者は、放送コンテンツをメタルのケーブルを使って配信しており、
そのケーブルを利⽤して、これまでインターネット接続サービスを提供しておりました。
 しかし前述のとおりメタルケーブルを使う場合、その距離に応じて通信速度が落ちるという性質をもっており、⼀
般に速度が落ちない光ファイバーを使った FTTH が普及すると、⾼収益が⾒込める富裕層の顧客が、⼤⼿通信事業者
のサービスに切り替える可能性があります。
 ⽇本でも、当初 ADSL によりブロードバンドサービスが普及したものの、最終的には FTTH に置き換わった歴史、
Netfilix などの OTT が普及していることは、メタルケーブルを使う CATV 事業者の、既存の事業モデルが通⽤しなく
なってきているといえます。放送離れの流れも加わり、CATV 事業者は⼤⼿通信事業者に対抗できる、より⾼速なブロ
ードバンドサービスを提供するため、FTTH に置き換えることが急務であると⾔えます。
 実際 InfiniVAN は、最⼤⼿ CATV 事業者に対して LRT-2 号線の光ファイバーを⻑期リースしておりますが、その
CATV 事業者は、この光ファイバーを駅ごとで分岐して、沿線地域の顧客宅に対して光ファイバーを引き込み、光を使
ったブロードバンドサービスの提供を⾏い、⼤⼿通信事業者の FTTH に対抗することを⽬的としておりました。


 ただ5G を使うことで、光回線を顧客宅内に引き込むことなくブロードバンドサービスを提供できるのであれば、
CATV 事業者が、⼤⼿通信事業者の FTTH に匹敵するブロードバンドサービスを提供することが容易になります。
 実際⽇本では既に4G で、こうした CATV 事業者のニーズを拾っており、今後はローカル5G がこうしたニーズを
対応することになります。
 しかしフィリピンでは、ローカル5G(図6参照)の考えはなく、5G は通信事業者が⾏うものとされております。
そのため顧客が競合する CATV 事業者に対して積極的に5G を使った通信・放送ネットワークの課題解決を⾏うこと
は期待できないといえます。
 当社グループは、他の携帯通信事業者とは異なり、引き続き、各地で⻑期に渡って構築された顧客基盤を有してお
り、独⽴性の維持を望む CATV 事業者に寄り添う⽴ち位置で、通信事業者だからこそ提供できる5G を使ったサービ
スを卸提供いたします。こうした CATV 事業者との協業を通じた基地局の展開を通じて、将来の移動体通信の提供に
向けた基盤づくりを計画しております。
 これにより、CATV 事業者に対して、当社は国際通信回線などを含めたインターネットの卸提供、InfiniVAN は、基
地局までの光回線ファイバーと基地局を設置し、CATV 事業者に対して、地域の通信・放送ネットワークを包括的に提
供していく予定です。
 通信は、⼀般に都市間の通信を⾏うバックボーンと、電話局と顧客宅内を結ぶラストワンマイルで成り⽴っており
ますが、コストで⾒るとラストワンマイルのほうが⼤きく、その⽐率は、ラストワンマイル︓バックボーンでは、4:1
と⾔われております。
 今後 CATV 事業者のネットワークを構築(ラストワンマイルを提供)する事で、InfiniVAN は、ラストワンマイルか
らの収益も取り込むことになり、それが⼀つの事業の柱になる可能性を有しております。
(3) マニラ⾸都圏地域外での CATV 事業者への回線提供について(図 5 参照)
 InfiniVAN は、現在ミンダナオ島への回線敷設を進め、CATV 事業者のブロードバンドサービスを⽀援することを計
画しておりますが、敷設される通信回線の容量にはまだ余裕があります。
 そこで、InfiniVAN は、マニラ⾸都圏地域と同様に、CATV 事業者の拠点まで光ファイバーを敷設するとともに5G
の基地局を設置して、インターネット接続接続サービスと放送コンテンツの配信を⾏うための基盤を提供することを
計画しております。当⾯はミンダナオ島が中⼼となりますが、InfiniVAN の地域ネットワークが CATV 事業者と共同し
て広がることで、カバーする範囲が広がる予定です。このように、マニラ⾸都圏地域だけでなく、地⽅での基地局の
整備が進むことで、将来、他の⼤⼿通信事業者との設備の共⽤の可能性が⾼まります。InfiniVAN は、地⽅の CATV 事
業者との提携を通じてカバレッジ範囲を広げるとともに、設備の共⽤を進めて投資回収を早めるモデルを推進する計
画です。⾃社網だけでなく、他社網を⽤いる形でコストを抑制した形で5G ビジネスを展開し、フィックスドワイヤレ
スや基地局シェアリング事業から、携帯通信事業に展開していくことを構想しております。


図3   ⽬的とエリア・将来構想イメージ図




図4   商業地域でのフィックスドワイヤレスサービスの利⽤イメージ図
図5   CATV 事業者のフィックスドワイヤレスサービス利⽤イメージ図




図6   ⽇本のローカル5G の概要




引⽤︓2019 年 5 ⽉
総務省「第 5 世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」
3.スケジュール
新興国向けに基地局などの通信機器を提供しているベンダーと協業し、実証実験を⾏ない、事業化の検討を進めます。



4.   参考
1)5G について
図 7 にある通り、5G とは、第 5 世代⽬の無線通信の⽅式です。現在 4 世代⽬にあるということで、次世代無線⽅式
といわれております。速度だけでなく、より多くの端末との接続が容易なことから IoT や、遅延が低いことから⾃動
運転などに活⽤できるとされております。ただどの世代にも初期にはあった解決すべき問題も残っており、今後の技
術の⾰新により、商⽤化できるサービスも拡⼤していくものと⾒られています。


図7   無線通信の速度の推移




2)5G の活⽤について

光ファイバー並みの⾼速な伝送、⾼速ブロードバンドを実現できるだけでなく、表 2 の特性にある通り、遅延が低い
(⾃動運転や遠隔医療などのビジネスが広がる可能性がある)ことや同時に多くのアクセス(多数の機械をインター
ネットでコントロールするといった IoT に向く)に対応できることで、多くのビジネスチャンスが⽣まれると期待さ
れております。5G は、そういう特徴から、これまでの無線通信とは異なる無線通信システムであると期待されており
ます。まずは、サブ6GHzと呼ばれる LTE の延⻑と位置付けられる周波数帯で5G の実⽤化が進み、その後ミリ波の
特性を⽣かしたサービスが⽴ち上がることが予想されております。

3)5G の周波数
5G の周波数は、⼤きくサブ6GHz と呼ばれる周波数帯とミリ波と呼ばれる周波数帯があり、周波数が⽐較的低いサ
ブ6GHz は普及にかかるコストが抑えられる⼀⽅、ミリ波はコストはかかるもののより⾼速な通信、多様な⽤途(IoT
など)に⽤いられる可能性があるといった特性があります。ブロードバンドサービスの利⽤に限れば、サブ 6GHzの
ほうが商⽤化しやすいといえます。
表2    周波数の種類について

 種類          サブ 6 GHz                             ミリ波

             ●電波が届く距離が⻑い。                         ●電波が届く距離が短い。
             ●LTE の延⻑といえ、実⽤化が進んでいる。⾼              ●新たな技術で、⼤容量・同時接続数数・低遅延など
              速インターネットサービスに⽤いられてい                   の特性を持ち、IoT や遠隔医療など新たな領域への
              る。                                    活⽤が期待されている。
             ●中国や韓国で既に、この帯域の5G の携帯端               ●⽶国でブロードバンドサービスとして商⽤化してい
              末の普及が進んでいる。                           るものの、コスト⾯、技術⾯の課題が多い。電波が
 特性          ●⽶国はミリ波が先⾏したが、今年 3.7GHz 帯              直進するので、障害に対する対応が必要。
              の⼊札が開かれることになっている。                   ●⽇本では、携帯通信事業のほか、ローカル5G に⽤
             ●⽇本では、携帯通信に⽤いられる。                      いられる。
             ●通信機器メーカーの経験値が⾼くなり、通信                ●⽇本国内の基地局の投資額(2025 年 3 ⽉まで)は
              事業者の投資も進んでいる。                         ⼤⼿ 3 社で、1,932 億円
             ●⽇本国内の基地局の投資額(2025 年 3 ⽉ま
              で)は⼤⼿ 3 社で、9,617 億円

 フィリピン       3.4-3.7 GHz                          24.25-24.45 GHz(InfiniVAN のみ)
 InfiniVAN   3.6-3.7 GHz(各国の割当の範囲内)               24.25-24.45GHz
                                                               (⽶国 EU の割当の範囲内)
                                                                  ・
             3.6-4.2 GHz
 ⽇本                                               27.0-29.5 GHz
             4.4-4.9 GHz

                                                  24.25-24.45 GHz 24.75-25.25 GHz
 アメリカ        3.55-3.7 GHz
                                                  27.50-28.35 GHz

 EU          3.4-3.8 GHz                          24.25-27.5 GHz

             3.3-3.6 GHz
 中国                                               24.75-27.5 GHz
             4.8-5.0 GHz




社名︓株式会社アイ・ピー・エス
証券コード︓4390
所在地︓東京都中央区築地 4 丁⽬ 1 番 1 号         東劇ビル 8 階
代表者︓代表取締役       宮下      幸治


本件に関する問い合わせ窓⼝︓IR 室           03-3549-7719    ir@ipsism.co.jp