4390 ips 2019-06-21 08:30:00
当社子会社のInfiniVAN, Inc.がフィリピンにて、5Gに用いる周波数の割当の通知の受領に関するお知らせ [pdf]

                                                                 2019 年6月 21 日
各 位
                                   会社名    株式会社アイ・ピー・エス
                                   銘柄名    株式会社IPS
                                   代表者名   代表取締役         宮下 幸治
                                          ( コード番号:4390 東証マザーズ)
                                   問合せ先   取締役管理本部長      林田 宣之
                                                  ( TEL. 03-3549-7719)

         当社子会社の InfiniVAN, Inc.がフィリピンにて、5Gに用いる
             周波数の割当の通知の受領に関するお知らせ

 当社子会社である InfiniVAN, Inc.は、2019 年6月 20 日、フィリピン共和国国家通信委員会(以下、「NTC」
という。)に対して、将来のサービスの多様化に向けた無線通信の周波数の割当の申請について、NTC より、以下
の周波数の割当を行う旨の通知書を受領いたしましたので、お知らせいたします。

                                      記

1.割当内容

  24.250GHz-24.450GHz 200MHz×1 枠

2.割当を受けた周波数の利用について
    InfiniVAN,Inc.は、無線通信サービスの提供を計画し、 に周波数の割当を申請しておりました。 は、
                                    NTC                NTC
  慎重に申請内容を審査した結果、今回 InfiniVAN,Inc.に対して当該帯域の割当を行うことを通知しました。
   InfiniVAN, Inc.は、今回周波数の割当を受けましたので、別紙「割当を受けた周波数の申請の背景と今
  後の構想」に記載した内容を目的とした通信サービスができるかにつき、        割当を受けた周波数を用いて、  次世
  代無線通信システム(5G)の実証実験を行います。
   その上で、時機をみて商用化できるように準備を進めてまいります。

  (注)InfiniVAN, Inc.について
     2015 年に設立され、2016 年に制定されたフィリピン共和国法第 10898 号によりフィリピン国内で通信
     事業を営むことができる特権(フランチャイズ)を持つ通信事業者。同法は、同社が固定通信のほか、無
     線通信サービスも提供することができる旨定められております。

3.今後の見通し
   当社は、今後の次世代無線通信システムなどに積極的に投資を行ってまいる所存です。本件の投資額及び収
  益への影響につきましては、実証実験の結果となりますので、未定でございます。
   今後開示すべき事項が生じました場合には、速やかに開示いたします。
                                                以 上
(別紙)
              割当を受けた周波数の申請の背景と今後の構想


1.申請の背景
 InfiniVAN,Inc は、2017 年よりマニラ首都圏地域の都心部で、法人向けに特化した、光ファイバーを利用した
ブロードバンドサービスを提供しております。
 しかしインターネット利用者のもつ様々なニーズに対応するには、光ファイバーを使ってお客様端末機器に接
続する方法だけでは不十分で、当初より Wi-Fi など積極的に無線通信も用いて、お客様端末機器と接続できるよ
うにする必要があると考えてまいりました。
 特に5G 通信は、商用レベルでは、有線通信サービスよりも、高速通信サービスを提供することが可能という
見解が多く出ておりますので、事業開始当初より5G 通信によるサービス提供の機会を模索しており、今年に入
ってから、所管官庁との折衝をおこなってまいりました。
 結果、下記の「2.今後の構想」を実現するために必要として割当を申請しておりました、24-29GHz帯の
周波数について、24GHz帯で、200MHzの周波数の割当を受けました。この 24GHz帯は、日本では5G 用に割
当をされておりませんが、他国では既に割当が行われております。「3.24GHz帯について」ご覧ください。
 なおフィリピンは、電波の割当に、入札制を採用していません。日本と同様、審査を経る形で割当を受ける、
電波使用料を支払えば足りる形となっております。従って多額な権利金を払う必要はありません。
 InfiniVAN,Inc.は、特に顧客開拓が進んでいるマニラ首都圏地域の都心部で、法人市場に特化した5G のサービ
スをまず優先して実現する計画を立てております。また地方で、CATV 事業者と共同して個人向けブロードバン
ドサービスを提供することを構想しております。
 ただ近時になって、この帯域に適した通信機器が開発されたところでもあり、実証実験を重ね、慎重に事業化
を検討してまいります。


2.今後の構想

 1)商業地域でのブロードバンドサービスへの展開
 InfiniVAN,Inc.は、マカティ・オルティガスなど人口密度の高い都心の商業地域で、光ファイバーを敷設または
他社から調達し、法人向けにブロードバンドサービスを提供しております。
 そういう場所では利用者が密集し、トラフィックのボリュームも集まることから、中心地に多数の基地局を設
置することで、速度に特色ある5G ブロードバンドのサービス提供が可能となります。光ファイバーを介さない
ので、ユーザーは、ビルの外でもサービスを受けたりすることができます。
 また都心部ですので、多数のユーザーが同時にアクセスができるという5G の特性を活かすことができます。
(図1)
図1   無線による都心部での5G サービス提供のイメージ




そこで、InfiniVAN,Inc.は、マカティ・ボニファシオグローバルシティ・オルティガスというマニラ首都圏地域
でも有数の規模の都心部に、基地局を高密度に設置する計画を立てております。これにより、高い収益性の見込
める法人顧客に対して、効率よく高速ブロードバンドサービスを提供することが可能と考えております。
 また図2の通り、基地局を集中的に設置することで、電波がメッシュ状になり、他の電波で、障害時もサービ
スがバックアップされるようになります。これにより高速の無線ブロードバンドのサービスを、より確実に供給
することができるようになると考えております。


図2   電波がメッシュ状になるイメージ
 2)地方の CATV 事業者向けネットワーク卸サービス(家庭用ブロードバンドサービス)への展開
 5G の出現により、商用において、光ファイバーを使ったブロードバンドサービスよりも、無線の方が高速の
商用ブロードバンドサービスを提供できるようになると言われております。そのため米国では、ブロードバンド
サービスの顧客獲得で長年優位に立っていた CATV 事業者のユーザーに対して、通信事業者が、積極的に5G を
使ったブロードバンド(さらに加えて TV 放送コンテンツの配信を組み合わせる)を提案して、CATV 事業者の顧
客のリプレイスを図っているケースが出ているという報道やレポートがでております。従って CATV 事業者にと
っては、地域を問わず、ブロードバンドサービスが収入源になっている以上、5G を使ったブロードバンドサー
ビスへの進出も必要になってくると考えております。
 またケーブルテレビを提供するに際しても、物理的な回線を各家庭に引き込まず、放送コンテンツをそのまま
電波を使って配信した方が効率的と考えられており、これまで有線放送をみてこなかったユーザーに対して、5G
を使ってアクセスするということが各地で検討されています。(図3)テレビ離れが進む中で、地方の CATV 事
業者の事業環境は厳しくなっており、このような5G を使ったブロードバンドサービス(通信・放送用)を卸す
事業は、有望であると考えております。

図3   CATV 事業者向け活用例




 3)マニラ首都圏地域での自社バックボーン回線を使ったリテール向け(家庭用ブロードバンドサービス)へ
の展開
 現在 InfiniVAN,Inc.は、他の通信事業者と共同で、EDSA・C5 といった有名な道路を含むマニラ首都圏地域の
幹線道路を掘削し、光ファイバー回線の敷設を行っております。これが完成すると、今月鉄道会社との契約を開
示した MRT-3、既に敷設した鉄道回線と合わせると、大きな 8 文字上の環状のバックボーン(基幹)回線となり
ます。この回線のラストワンマイルを整備するとカバーできるのは、マニラ首都圏地域の 60%以上の世帯を超え
ます。(2019 年完成予定のプロジェクト)
 また今年 11 月以降開始することになっているより広範なエリア、一般道路を対象とした敷設工事と鉄道路線へ
の敷設が進むことで、80%程度の世帯をカバーする計画です。
 この光回線(バックボーン)網に、ラストワンマイルとしての5G が加わることで、人口の 8 割程度をカバー
するリテール向けの5G のブロードバンドサービスを提供することが可能になる予定です。
 ただこうした家庭向けのブロードバンドサービスについては、小口の料金を回収するという問題があります。
 また当社グループの方針は、法人は InfiniVAN,Inc.がサービスを直接提供し、個人のマーケットは、CATV 事
業者がサービスを直接提供するというものです。5G を個人向けに提供するにあたっても、CATV 事業者等が5G
ネットワークへの投資を行い、InfiniVAN 及び当社が運営する形を取りることを計画しております。個人マーケッ
トは、事業は共同して行う(当社グループは卸の立場)ことで現地資本と適切な棲み分けをしつつ、初期投資は
現地資本に負担いただくようなモデルを志向しております。そうすることで、大きな投資を当社グループで負担
することなく、早期に個人向けの5G サービスが立ち上がると考えております。個人の市場は、大手通信事業者
のホームブロードバンドサービスの規模が急拡大しているところから有力と考えておりますが、CBD にフォーカ
スしたサービスと比べると、規模も大きく投資もかさむことから、慎重にパートナー探しなどを行う計画です。


3.スケジュール
 フィリピンでも一部の事業者に対して、既に周波数の割当が行われており、中国や欧州のベンダーと提携して
5G によるサービスの実証実験が行われております。
 InfiniVAN,Inc.は、既にマニラ首都圏地域内の2つの地方自治体と、無線機器設置及び光ファイバーの設置の合
意をしており、機器ベンダー選定後、商用化できるかの実証実験を行う予定です。
 当社が割当を受ける 24GHz帯につきましては、表1のとおり、米国で 5 月に入札手続きが終了しており、米
国や欧州ベンダーから実証実験向けの機器の供給を受けることが可能であります。


4.24GHzについて
 日本は、28GHz 帯を5G 用に割り当てておりますが、フィリピンでは米国同様、28GHz だけでなく 24GHz 帯
も割り当てる予定です。
 24GHz、26GHz、28GHz は、他の周波数帯と比べると、割当が遅れておりましたが、先行する各国では、相
当高い価格で、周波数が落札されております。またフランス・シンガポールなどでも 2019 年・2020 年に入札な
どが行われる予定です。米国では、特に InfiniVAN,Inc.が取得した 24GHzは、先行した 28GHzと同様に、地
域と帯域幅を細分化して入札が行われたこともあり、落札額の合計額は高くなっております。(表1参照)
 これらの各国の割当・入札動向は、先進国の通信事業者が、この帯域の商用化ができる可能性は高いと見てい
ることの表れといえます。米国では、これらの帯域の割当を行っているところであり、落札した事業者向けにベ
ンダーが、機器を提供をしようとしているところです。従って、InfiniVAN,Inc.も、米国などの実績ある機器ベン
ダーと組むことで、法人向けブロードバンドサービスを商用化させることは可能と見ております。
 表1   各国の 24-28GHz帯の割当状況

            決定時期            周波数帯                帯域幅          落札額(参考)
     米国                                      425MHz×3072     $702,572,410
           2019年1月    27.500 –28.350 GHz
     入札制                                    (地域ごとに分割)        (約772億円)

                      24.250 – 24.450 GHz    100GHz×2909     $2,022,676,752
           2019年5月
                      24.750 – 25.250 GHz   (地域ごとに分割)        (約2,225億円)
     韓国                                                      $558,000,000
           2018年6月    26.500-28.900GHz      800MHz×3(全国)
     入札制                                                     (約614億円)
  イタリア                                                       € 163,700,000
           2018年10月    26.500-27.500GHz     200MHz×5(全国)
     入札制                                                     (約203億円)
     日本
           2019年4月     27.000 -29.500GHz    400MHz×4(全国)          なし
     審査制
 フィリピン
           2019年6月     24.250-24.450GHz     200MHz×1(全国)          なし
     審査制

 1€=124 円 1USD=110 円で計算 米国連邦通信委員会サイト、
 通信業界情報サイト Telegeography.com,lightreading.com の記事を参考にして作成。


5.参考

1)5G について
図4にある通り、5G とは、第 5 世代目の無線通信の方式です。現在 4 世代目にあるということで、次世代無線
方式といわれております。速度だけでなく、より多くの端末との接続が容易なことから IoT や、遅延が低いこと
から自動運転などに活用できるとされております。ただどの世代にも初期にはあった解決すべき問題も残ってお
り、今後の技術の革新により、商用化できるサービスも拡大していくものと見られています。



図4   5G について
2)5G の活用について

光ファイバー並みの高速な伝送、高速ブロードバンドを実現できるだけでなく、図 5 にある通り、遅延が低い(自
動運転や遠隔医療などのビジネスが広がる可能性がある)ことや同時に多くのアクセス(多数の機械をインター
ネットでコントロールするといった IoT に向く)に対応できることで、多くのビジネスチャンスが生まれると期
待されております。5G は、そういう特徴から、これまでの無線通信とは異なる無線通信システムであると期待
されております。

図5   5G 活用の例




社名:株式会社アイ・ピー・エス
証券コード:4390
所在地:東京都中央区築地 4 丁目 1 番 1 号 東劇ビル 8 階
代表者:代表取締役      宮下   幸治

本件に関する問い合わせ窓口:IR 室       03-3549-7719   ir@ipsism.co.jp