4361 川口化 2020-04-27 16:00:00
当社の事業の現状及び今後の事業展開等について [pdf]

                                                           2020年4月27日
各 位


                                                    川口化学工業株式会社
                                                代表取締役社長 山 田 吉 隆
                                             (コード番号 4361   東証第 2 部)
                                         問合せ先 常務取締役 荻 野 幹 雄
                                                   (TEL 048-222-5171)


                当社の事業の現状及び今後の事業展開等について


 当社は、下記のとおり、事業の現状及び今後の事業展開等について、株式会社東京証券取引
所に対し、同社有価証券上場規程第601条第1項第4号a本文に定める書面を提出いたしましたの
で、お知らせいたします。
 本書面の提出により、2020年12月末日までのいずれかの月において、月間平均時価総額及び
月末時価総額が10憶円以上になったときは、上場廃止基準に該当しないこととなります。
 当社は、この度、時価総額基準に抵触いたしましたが、下記「2.今後の展開について」に記載い
たしました事業計画の推進により、業績の向上を図り、市場の信頼を回復することによって、今後も
東京証券取引所市場第二部上場を維持するよう努めて参る所存であります。


                                 記
1.事業の現状について
(1)経営の基本方針
 当社は、1937年1月に創業し、「有益な化学品の研究開発、製造、販売によって社会に貢献
し、事業の成長発展を通じて社員の生活向上を図り、利潤の適正な配分を以って株主の負
託に応えること」を経営の基本理念とし、その実行における基本方針を以下のように定めて
います。
・事業活動は新しい価値を生み出し、顧客満足に繋がるものとする。
・事業活動は人倫、法令その他の社会的規範に則った行動でなければならない。
・事業活動の情報を正確且つ速やかに公開し、社内外での共有に努める。
・事業活動が自然環境へ与える影響の極小化に努める。
・事業活動におけるリスク要因の排除に努め、効率的な経営活動を行う。
なお、当社情報の詳細につきましては、下記の当社ホームページをご参照ください。
当社ホームページアドレス(https://www. kawachem.co.jp/)




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(2)当社の事業の現状
 当社の2020年11月期第1四半期累計期間(2019年12月1日から2020年2月29日まで)の連結業
績は、売上高1,721百万円(前年同期比3.2%減)、営業利益52百万円(同80.1%増)、経常利
益55百万円(同64.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益40百万円(同83.1%増)と
なりました。
 当社に関係の深い自動車産業においては、自動車生産台数は日本国内だけでなく、中国
をはじめ東アジア地区においても昨年を大幅に下回る状況となりました。
 このような環境の中、急激に変化する国内外の市場における需要変動への安定供給を積
極的に進めるとともに、受託合成品ならびに品質・技術に優位性を持つ製品の製造販売に
注力しました。
 一方、生産においては、国内外市場からの原料の安定調達に注力し、生産と在庫の最適
化によるコストダウンと経営資源の効率化を進めました結果、前年同期比減収ながら、収
益面は前述の利益を確保することができました。
 なお、セグメント別の業績は次のとおりです。
① 化学工業薬品事業
 売上高は17億12百万円(前年同期比3.2%減)、セグメント利益(営業利益)は45百万円
(同108.0%増)となりました。
化学工業薬品事業の部門別概況は次のとおりです。
<ゴム薬品>
 国内向け主に自動車関連産業向け工業用品薬品は、前年同期並みの売上となりました。
タイヤ向け薬品は、海外品との競合や顧客の稼働減もあり、前年同期の売上を下回りまし
た。合成ゴム向け薬品は、国内生産が低調に推移したことから前年同期を下回りました。
 海外向けは、中国の生産活動において新型コロナウィルスの影響を受けたことや、東南
アジア諸国自動車生産が前年同期を下回ったことから、売上が前年同期を下回りました。
 この結果、国内・輸出合わせてのゴム薬品売上は10億3百万円(前年同期比9.6%減)と
なりました。
<樹脂薬品>
 国内向けは、主要顧客であるアクリル酸・アクリル酸エステルの生産が低調で推移しま
したが、当社の主要製品はやや販売が増加し、売上は前年同期を上回りました。海外向け
は、顧客の需要減や為替影響により受注が減少し、売上は前年同期を下回りました。
 この結果、樹脂薬品売上は1億70百万円(前年同期比18.9%減)となりました。
<中間体>
 界面活性剤中間体は、主要品目で販売増となり売上は前年同期を上回りました。染顔料
中間体は、新規需要が前年と比較し低調で推移し、売上は前年同期を下回りました。農薬
中間体は、主要品目において販売が復調した結果、売上は前年同期を上回りました。医薬
中間体は、一部品目で受注増となりましたが、受注が取れなかった品目もあり、全体では
売上は前年同期を下回りました。
 この結果、中間体売上は2億12百万円(前年同期比14.8%増)となりました。



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<その他>
 環境用薬剤は、需要が低調で推移したことから、売上は前年同期を下回りました。潤滑
油向けは、主要顧客の生産が低調で継続し、売上が前年同期を下回りました。新規用途向
けは、一部商品は前年同期を下回ったものの、主要製品の需要増により売上が前年同期を
上回りました。
 この結果、その他部門の売上は3億24百万円(前年同期比23.7%増)となりました。


② 不動産賃貸事業
 不動産賃貸事業は、埼玉県川口市に所有する土地をレンタル機器事業会社及び運送会社
へ貸出しをしております。
 売上高は9百万円(前年同期比0.2%減)、セグメント利益(営業利益)は7百万円(同
0.3%減)となりました。


連結業績実績                                                                        単位:百万円
                                                                              2020年11月期
決算期        2015年11月期       2016年11月期   2017年11月期      2018年11月期   2019年11月期
                                                                              第1四半期累計


売上高              6,603         6,434          7,003       7,605       7,488       1,721

営業利益                   1          94           265          243         190          52

経常利益                   3          85           258          239         187          55
当期純利益又は
                  △41             34           179          167         146          40
当期純損失(△)

純資産額             1,502         1,527          1,731       1,847       1,948       1,948

総資産額             5,722         5,723          6,299       6,780       7,285       7,285


2.今後の展開について
 当社は、現在 2019 年 11 月期を初年度とする3ヶ年経営計画である「PTR2021」に取り組んでおり
ます。
その概要と進捗状況は以下のとおりです。
3 ヶ年経営計画スローガン PTR2021 (Possibility To Reality 2021)(可能性を現実にする)


(1)    基本方針
   自社製品開発研究の進展に伴い、実験室から工場生産へのステップとなる実験工場及
 び中間生産工場の能力が不足し、本格的な生産開始・上市までの時間が延びる恐れが生
 じてきたことが、現在喫緊解決すべき課題となっている。
   これを解消すべく 2020 年 11 月には研究開発の長期戦略を踏まえ、新規製品対応の新
 工場群の建設を目指す。


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  また、過去概念にこだわらず、製造業としての会社将来のための基盤づくりとして、
 新たな技術に着手し、その技術基盤の確立に向け、より効率的な生産方法について検討
 していく。具体的な検討内容は、社内外の情報を取り入れて、アイデアを組み合わせる
 ことで、現有製品の製法転換・設備変更による作業の効率化・オペレーター省力化のた
 めの設備導入について行う。


(2)    数値目標
  第一年度      2019 年 11 月期   連結売上高 7,463 百万円   連結経常利益 113 百万円
  第二年度      2020 年 11 月期   連結売上高 7,820 百万円   連結経常利益 108 百万円
  最終年度      2021 年 11 月期   連結売上高 8,019 百万円   連結経常利益 279 百万円
  本計画では利益重視の数値目標とする。連結経常利益に関しては、合理化目標値とし
 て原料購入・原料原単位・ユーティリティー原単位向上による利益の積み増しを行い、
 更なる利益の積み増しができるような KGI(重要目標達成指標)を各部門で掲げ、KGI
 を達成できるような行動指標を挙げて、今 3 ヶ年計画の中で活動していくこととする。


(3)    3 ヶ年計画の経営方針
 ①    供給能力の充実:製品を顧客へ安全かつタイムリーに供給していく。今後、新設備
      の建設を考えた場合、現行設備の供給力を上回る設備を提案する。
 ②    高付加価値製品の創出:顧客が要求していること、顧客が何を実現したいと考えて
      いるかを訴求することにより、マーケティング力を強化していく。
      顧客の要望を製品開発に活かす仕組みづくりを行う。
 ③    成長する海外市場への販売拡充 中国現法をフル活用できるように資源配分を行う。
                    :
      東南アジアへの販売拡充対策として、中長期的な販売体制の見直しを行う。
 ④    研究開発の総合力強化:新規製品生産対応工場を建設することにより、新規開発品
      の継続的開発上市を推進していく。研究開発部員が基礎研究に注力する体制整備を
      行う。
 ⑤    業務改革の推進:経営管理・業績向上に活用できる情報処理を迅速化することを目
      的として、基幹システムの最適化を行う。
 ⑥    事業戦略に応じた人材育成:顧客ニーズを的確に把握し、顧客へ製品の提案ができ
      るような知識を持つために、社内教育及び外部講習への参加を行っていく。また、
      重要生産品目の生産効率化について継続的に検討を進め、研究開発部員をはじめと
      して、新規技術を得るために社外講習への参加を行っていく。


 以上の 6 項目経営方針に基づき、各部門で 3 年間の KGI を掲げて、目標達成に向けて重
要成功要因を各部門で抽出し、目標に対して各部門の進捗見える化、事業年度毎の部門業
務計画に落とし込み、その進捗を経営として精査しております。部門間の連携により経営
陣以下、全社員で最終年度の数値目標を達成できるように全力を注いでいくこととしてお
ります。
 初年度である 2019 年 11 月期の業績は、上記連結業績実績に記載のとおり、3 ヶ年経営

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計画目標値を売上高、経常利益において上回る結果となりました。当社に関係の深い自動
車産業においては、日本国内の自動車生産台数は前年並みで推移し、中国をはじめ東アジ
ア地区での生産台数は昨年を下回る状況の中、当社の持つ独自の合成技術を基盤として、
新製品の開発と市場提案並びに受託合成を積極的に進めるとともに、技術的に優位性を持
つ製品の内外市場への拡販に注力しました。生産においては、既存の商品の合理化をより
一層進め、コストダウンと経営資源の集中と効率化を販売・開発・製造のそれぞれの部門
で進めたところによるものです。第二年度、最終年度におきましても、3 ヶ年経営計画の経
営方針に則り活動を行って参ります。


3.今後の見通し及び上場維持について
 当社は、2020 年 11 月期連結業績予想につきましては、2020 年 4 月 3 日付で公表し、売
上高 7,600 百万円(前年比 1.5%増)営業利益 180 百万円(同 5.6%減)経常利益 180 百万
円(同 3.9%減)親会社株式に帰属する当期純利益 130 百万円(同 11.4%減)としています。
 3 ヶ年経営計画第二年度である当期においては、新規開発品のビスマレイミド類・トリア
ジン類・ポリチオール類などの展示会等を活用した顧客への営業活動の継続、医薬向け機
能性化学品 EDC や新規用途であるフラットパネルディスプレイ等の電子材料向け製品の生
産・供給体制の強化、市場動向に対応した界面活性剤中間体や環境用薬剤である重金属捕
集剤の拡販、また、当社主力製品であるゴム薬品において、拡大する医療用ゴム栓向け需
要に対する供給に対応して参ります。
 なお、コロナウィルス感染症の業績への影響は、第 1 四半期では大きな影響は受けてお
りませんが、今後につきましては不透明な状況です。今後、業績予想の修正が生じた場合
は、速やかにお知らせいたします。
 当社の強みである技術力を活かし、目標利益の達成に向けた諸施策を着実に実行するこ
とにより、市場からの信頼回復と企業価値の向上に向けて取り組んで参ります。これによ
り、当社株式の月間平均時価総額および月末時価総額について、株式会社東京証券取引所
の定める基準を上回ることにより、今後も東京証券取引所市場第二部上場を維持するよう
努力してまいる所存であります。
                                                    以上




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