4206 アイカ工 2021-04-01 15:00:00
中期経営計画「Change & Grow 2400」(2021~2023年度)について [pdf]
2021 年 4 月 1 日
各 位
会社名 アイカ工業株式会社
代表者名 代表取締役 社長執行役員 小野 勇治
(コード番号:4206 東証・名証各第 1 部)
問合せ先 執行役員 経営企画部長 酒井 信禎
(TEL 052-533-3137)
中期経営計画「Change & Grow 2400」(2021~2023 年度)について
当社は、本日開催された取締役会において、2023 年度(2024 年 3 月期)を最終年度とする
3 ヵ年の新中期経営計画「Change & Grow 2400」を決議いたしましたので、その概要をお知
らせいたします。
記
1.策定の趣旨
アイカグループは、「挑戦と創造(Challenge & Creation=C&C)」を社是とし、共生の理念
のもと、たえざる革新により新しい価値を創造し、社会に貢献していくことを経営理念に掲
げています。
2017 年 4 月には、創立 90 周年(2027 年 3 月期)に目指すべき姿「アイカ 10 年ビジョン」
を描き、その実現へのロードマップである最初の 4 年間(2018 年 3 月期~2021 年 3 月期)に
達成すべき財務目標と基本方針を中期経営計画 「C&C 2000」として定めました。この間、
国内事業における AS 商品(社会課題解決商品)の成長や、アイカ・アジア・パシフィック・
ホールディング社とその子会社を中心とした海外化成品事業の伸長、アイカ・アジア・ラミ
ネーツ・ホールディング社を中心とした建装建材事業の海外基盤の獲得、エバモア・ケミカ
ル社の M&A をはじめとした非建設分野への取組み強化等、新たな市場・事業領域の拡大を
行ってまいりました。
そして今般、「アイカ 10 年ビジョン」実現へのセカンドステップとして次の 3 年間に達成
すべき財務目標と基本方針を、新中期経営計画 「Change & Grow 2400」 として策定しまし
た。
本計画では、人口減少・少子化・高齢化に伴う住宅需要の変化や、インフラや建物の老朽
化、気候変動問題に関連した社会構造の変革、アフターコロナ時代のライフスタイルの変化、
DX(デジタル トランスフォーメーション)の進行など、経営環境が大きく変化すると捉え、
当グループの強みである「化学」と「デザイン」の力を活用し、豊かな社会の実現に貢献する
独創性のある商品をつくり出すことで持続的に成長することを目指しています。そして、そ
れら変化のスピードが急速に加速していく社会においても持続可能な企業グループである
為に、更に利益基盤の強化に注力してまいります。また、社会のサステナビリティに注目が
集まる中、企業の社会的責任がより重視される事業環境に鑑み、財務と非財務を統合した経
営計画とすべく、マテリアリティ(重要課題)を更新し、それを中期経営計画に組み込むこと
で経営基盤を強化してまいります。これらの方策を確実に実行し、変化に強い企業体質を整
え、より一層の企業価値向上に努めてまいります。
2.10 年ビジョンの概要
当グループは「化成品」と「建装建材」という2つの事業を柱に成長していきます。化成
品は、人々の暮らしや社会インフラを支える建設分野向け樹脂でアジアトップメーカーと
しての地位を目指しつつ、自動車・日用品・電子材料など非建設分野で成長していきます。
建装建材は、これまでの家具・什器・水廻りの内壁市場向け主体から外壁も含めた壁面市場
等の建材未開拓分野に事業領域を拡大し、住宅・非住宅を含めた生活空間全体に快適・安全
を提供できる空間デザインメーカーとして成長を続けていきます。そしてこの 2 つの主力
事業が相互に触発し連携し、社会に役立つ独創的な商品を生み出しながら発展していく企
業グループを目指しています。
3.新中期経営計画「Change & Grow 2400」の概要
10 年ビジョンの第 2 ステップとして、2023 年度を最終年度とする 3 ヵ年(2021 年 4 月~
2024 年 3 月)の新中期経営計画「Change & Grow 2400」を、以下の通り策定しました。
(1)財務目標
(2)基本方針
※AS 商品:AICA Solution 商品の略。様々な社会課題(インフラ老朽化・高齢化・環境・安全・人手不足など)を解決する商品
(3)投資計画
持続的な成長を実現する為に、既存事業の拡大・維持投資に加え、M&A 等による新たな
事業投資も積極的に進めます。また、自動化・気候変動・BCP に資する設備投資、情報化投
資にも注力します。これらの設備投資・事業投資を合わせて、3 年間で 400 億円を目処に投
資を行います。新規事業の M&A については、海外の化成品・建装建材事業、国内外の機能
材料事業、国内の補修補強事業、国内の壁・床・天井事業などを中心に、技術・販路・生産
力を拡大するシナジーを追及してまいります。また、アイカの価値創造の源泉である化学と
デザインの力を強化するため、研究開発投資・人材投資も積極的に行ってまいります。
(4)配当方針
当社は、株主の皆さまへの利益還元と会社の持続的な成長を実現するため、各期の連結業
績、配当性向および内部留保を総合的に勘案したうえで配当を行ってまいります。新中期経
営計画「Change & Grow 2400」においては、連結配当性向 50%を目処に安定的な株主還元
を実施してまいります。
内部留保資金の使途については、既存コア事業拡大の為の設備投資や、M&A 等将来の企
業価値を高めるための投資に優先的に活用する等、長期的な視点で投資効率を考えた上で行
っていきます。
詳しくは、別紙中期経営計画概要をご参照ください。
また、2021 年 3 月期決算発表後に、前中期経営計画実績および新中期経営計画詳細内容を発表
させていただきます。
以上
本件照会先:経営企画部 広報・IR グループ 川口
TEL:052-533-3137
新中期経営計画
「Change&Grow 2400」
2021年4月1日
1
1.中期経営計画の推移
中期3カ年計画
中期3カ年計画 中期4カ年計画 中期4カ年計画
[百万円] Change&
NEXT JUMP1500 C&C2000 Grow2400
[百万円]
250,000 25,000
200,000 20,000
150,000 15,000
100,000 10,000
50,000 5,000
※1
11/3 12/3 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3 期
売上(百万円) ※左軸 営業利益(百万円)※右軸 経常利益(百万円) ※右軸
国内基盤強化 新規事業への挑戦 国内の事業基盤強化 成長市場の深耕
ROEの改善 海外への本格進出 新規基盤の獲得 事業基盤の変革
売上1.25倍、営業利益1.6 売上・営業利益共に1.5倍へ拡大 海外建装建材事業基盤獲得 利益基盤の強化(DX対応)
倍へ拡大 海外化成品事業基盤獲得(AAPグループ) (AALH・ALV・ウィルソナート・ソイス・AHT) 海外成長市場の拡大
機能材料事業への本格進出 新規事業領域の獲得・挑戦 海外機能材料の拡大(EMCグループ) (AAP・EMC・AALH各グループ)
(非建設分野の開拓) (ATK:無機分野、フェノール樹脂:産業用 AS商品拡販による社会課題解決 気候変動問題対応
国内着工増・化粧板事業伸 分野) 配当性向の引き上げ 資本効率の維持
長 電子材料事業の売却 ※1:第3四半期決算発表時点の予想値です。 2
2.新中期経営計画における課題認識
内部資本 外部資本
知的資本 製造資本 人的資本 財務資本 社会・関係資本 自然資本
次世代の中核大型 工場の老朽化 マネジメント人材の メラミン化粧板・セ 国内木工家具市場(メラミン化粧 低炭素型社会への
商品 自動化の遅延 開発研修やキャリア ラール利益への依存 板・ポリ板需要)縮小 移行
品質・安全 GHG排出量削減へ パス設計への対応 事業投資減損リスク 国内新築住宅着工減少 ZEH・ZEBの浸透
ナレッジの蓄積 の対応不足 サクセッションプランの 為替変動リスク (80万戸台) バイオマス商品、
国内化粧板以外の 生産体制の最適化 構築 職人不足・省施工ニーズ拡大 CO2排出量低負荷
ブランド価値が不足 使用現場における自動化の進行 商品への移行
DXの対応 ZEH・ZEB・LCCMの拡大、税制の 自然災害リスク
変化 原材料費の高騰リス
Afterコロナ時代の生活スタイルへの ク
変化
物流費の高騰
3
2.新中期経営計画における課題認識
特に以下の2点については、国や資本市場や国際社会が牽引役となり急激に変化
気候変動対応 DX対応
各国で2050年までにGHG排出量ネットゼロ化へ 使用現場における自動化の進行
⇒ 法規制の強化(炭素税の引き上げ等、カーボンプライシングが進行) DX対応についての税制の変化。設備投資の加速
⇒ 環境対応設備投資への補助金の拡大 デジタル技術を用いた働き方改革が進行
⇒ バイオマス化・梱包材料の変化・商品の軽量化 ⇒ 設計士など決定権者の働き方も変化、マーケティング手法も変化
⇒ 簡易解体・モノマテリアル化 ⇒ 住環境やオフィスが変化、商品ニーズも変化
ZEH・ZEBの拡大 働き方改革後進企業 ⇒ 優秀人材の維持・確保が困難に
LCA評価済商品の採用促進、排出係数によるスペックイン システムセキュリティ対策の重要性の高まり
脱プラスチック
水素社会の到来
税制や規制が過去とは異なるスピード感で変化、社会構造が変革 変化に対応できない企業は衰退
必要とされる商品のスペックが変化、バリューチェーンの淘汰開始 変化に対応できる企業は成長
4
3.方針骨子
2013 2017 2021 2024 2027
アイカ10年ビジョン
財 中期経営計画 中期経営計画
務 新中期経営計画
Change&
非
財
マテリアリティの策定 マテリアリティの改定 Grow2400
務
社是・経営理念の整理、経営方針の策定 マテリアリティの改定、中期経営計画への組込み
[新中期経営計画基本方針] 変
①成長事業の創出・拡大 ②利益基盤の強化 ③左記を支える経営基盤の強化 化
に
AS商品※の拡販 物流網、販路の最適化 ガバナンスの強化
強
非建設分野向け事業の拡大 営業基盤強化、ブランド構築 気候変動問題への対応
い
海外の成長 自動化、コストダウン、生産効率アップ、 人材育成、組織強化
ア
用途・事業領域の拡大 生産基盤の最適化 DX推進
イ
シナジーの創出拡大、R&D機能の強化
品質保証
カ
労働安全
へ 5
3.方針骨子
化成品国内 建装建材国内 機能材料 化成品海外 建装建材海外
(機能材料以外) (機能材料以外)
① AS商品の拡販 非建設分野向け 海外の成長
成 抗ウイルス 事業の拡大
長 簡易施工、省力化、軽量 •自動車 •化粧品/日用品 AAPグループ AALHグループ
創事 安心・安全 •電子材料 •衣類/靴 フェノール樹脂の拡大 地域ニーズに即した高機能
出業 ユニバーサルデザイン
SDGs対応 EMCグループ
環境対応商品の拡充 商品の拡充
リテール向け接着剤拡大
・の アイカブランドの浸透
拡 用途・事業領域の拡大
大 シナジーの創出拡大、R&D機能の強化 化成品×建装建材 AAP×EMC×AICA AALH×AICA
② 物流網、販路の最適化
利
の益 自動化、コストダウン、生産効率アップ、生産基盤の最適化
強基
化盤 営業基盤の強化、ブランド構築
③
経 DX推進、気候変動対応、人材育成・組織強化
の営 ガバナンス強化、品質保証、労働安全
マテリアリティと連動
強基
化盤 6
4.財務目標
21/3期 24/3期
※2
効 率 性 ROE 10%を目処 7.6% 10%を目処
資本を効率的に運用し利益を創出する
※2
成 長 性 海外+機能材料事業売上高※1 808億円 1,150億円
強みを活かし成長市場を獲得する
課題解決
※2
AS商品売上高※1
社会課題を解決し国内市場でもシェア拡大を志向する
142億円 200億円
※2
経常利益 240億円
170億円 240億円
※2
売 上 2400億円 1,745億円 2,400億円
社会に提供した価値の総量
※1:連結消去前単純合算売上高
※2:第3四半期決算発表時点の予想値です。
7
5.投資計画
3期累計投資額
生産能力増強・生産体制最適化・自動化・DX対応
設 備 投 資 230億円 気候変動対応・BCP対応
事 業 投 資 170億円 新規市場・新規事業領域への参入、技術基盤の拡充
研究開発費 120億円 次世代基幹商品の開発、開発力の強化
人 材 投 資 多様な人材の開発、個人のスキルアップとスキル管理
8
6.新中期経営計画スローガン
Change&Grow 2400
グループ会社の従業員が常に「変革」と「成長」を志し、
2400億円の売上高を目指すことを表現しています。
4月30日の2021年3月期決算発表後、
前中期経営計画実績および新中期経営計画の詳細を発表させていただきます。
本資料に掲載されているアイカ工業株式会社の現在の計画、見通し、戦略、確信等のうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しであり、リ
スクや不確実な要因を含んでおります。
これらの情報は、現在入手可能な情報からアイカ工業株式会社の経営者の判断に基づいて作成されております。実際の業績は、さまざまな重要な要素によ
り、業績見通しとは大きく異なる結果となりうるため、業績見通しのみに全面的に依拠することは控えるようお願い致します。
また、本資料は、投資勧誘を目的としたものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い申し上げます。
9
Appendix 用語集
略語 意味
AS商品 AICA Solution商品の略。様々な社会課題を解決する商品。次期中計よりSDGsとの紐付け開始。
DX デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品
やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争
上の優位性を確立すること
GHG 温室効果ガス(Greenhouse Gas)の略。
二酸化炭素(CO2)、メタン(CH₄)、一酸化二窒素(N₂O)、フロン(炭素Cとフッ素Fの化合物)などが含まれる
京都議定書で排出削減の対象となっているのは以下の通り。
二酸化炭素(CO₂)、メタン(CH₄)、一酸化二窒素(N₂O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフ
ルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF₆)。2013年の第二約束期間から、三フッ化窒素(NF₃)も加
わり計7種に。
LCCM ライフサイクルカーボンマイナス(Life Cycle Carbon Minus)住宅の略。
住宅の建設・運用・解体・廃棄までのライフサイクルトータルの CO2 収支がマイナスとなる住宅のこと
ZEH ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)の略。ゼッチと読む
住まいの断熱性・省エネ性能を上げること、そして太陽光発電などでエネルギーを創ることにより、年間の一次消費
エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)の収支をプラスマイナス「ゼロ」にする住宅
ZEB ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(Net Zero Energy Building)の略。ゼブと読む
快適な室内環境を実現しながら、省エネと創エネにより消費するエネルギーをゼロにすることを目指した建物
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Appendix 略語集
略語 意味
AAPグループ アイカ・アジア・パシフィックグループの略。主に樹脂製品を取り扱う海外化成品事業の中核グループ。
在シンガポールのアイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社が、海外化成品事業の統括機能を担う。
その子会社は、シンガポール・中国・インドネシア・タイ・ベトナム・マレーシア・ニュージーランドにてフェノール樹脂やユリ
ア樹脂、メラミン樹脂、溶剤ゴム系接着剤、ホットメルト、UV樹脂、可塑剤、塗床材、フェノール含侵紙などの製造
販売を行う。2012年よりアイカグループ入り。
AALHグルー アイカ・アジア・ラミネーツ・ホールディンググループの略。海外建装建材事業の中核グループ。中国・インドネシア・タ
プ イ・ベトナム・インド等にて主にメラミン化粧板等を製造販売する。2018年よりグループとしてのマネジメントを開始。
AHT アイカ・HPL・トレーディング社の略。HPLとはメラミン化粧板のこと。ベトナムにてメラミン化粧板とその周辺商品の販
売を行う。2020年よりアイカグループ入り。
ALV アイカ・ラミネーツ・ベトナム社の略。ベトナムにてメラミン化粧板の製造販売を行う。2019年工場稼働開始。
ATK アイカテック建材の略。全国で無機系建築材料の製造販売を行う。茨城・愛知・兵庫に工場を有する。主な製造
品目は、押出成型セメント板とけい酸カルシウム板。2015年よりアイカグループ入り。
EMCグループ エバモア・ケミカル・インダストリー社を中心とした、海外機能材料事業の中核グループ。
台湾・中国・ベトナム・タイにグループ会社をもち、ウレタン樹脂・架橋剤・ホットメルトなどの製造販売を行う。2018
年よりアイカグループ入り。
ウィルソナート ウィルソナート上海社、ウィルソナート・タイ社、ウィルソナート・アジア社、ウィルソナート・オーストラリア社のこと。中国、
タイ、オーストラリアでメラミン化粧板等の製造販売を行う。2019年よりアイカグループ入り。
ソイス ソイス・メンディニ・インダストリー社の略。中国にてメラミン化粧板等の販売を行う。2019年よりアイカグループ入り。
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