4203 住友ベーク 2020-07-31 15:00:00
川澄化学工業株式会社株式(証券コード:7703)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ [pdf]

                                                                    2020年7月31日
 各     位

                                   会   社   名    住 友 ベ ー ク ラ イ ト 株 式 会 社
                                   代 表 者 名      代 表 取 締 役 社 長 藤 原          一 彦
                                               (コード番号     4203   東証第一部)
                                   本社所在地        東京都品川区東品川二丁目5番8号
                                                総務本部       コーポレート・コミュニ
                                   問 合 せ 先
                                                ケ ー シ ョ ン 部 長 白 本         勝 久
                                               (TEL 03-5462-4165)




              川澄化学工業株式会社株式(証券コード:7703)に対する
                   公開買付けの開始に関するお知らせ

 住友ベークライト株式会社(以下「当社」又は「公開買付者」といいます。)は、本日開催の取締役会に
おいて、川澄化学工業株式会社(コード番号:7703、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」と
いいます。)市場第二部、以下「対象者」といいます。)の普通株式(以下「対象者株式」といいます。)
を金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。)に基づく公
開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決議いたしましたので、お知らせい
たします。


1.買付け等の目的
(1)本公開買付けの概要
   当社は、本日現在、東京証券取引所市場第二部に上場している対象者の普通株式を 4,762,980 株(所
  有割合(注):23.05%)直接所有することにより、対象者を持分法適用関連会社としております。今
  般、当社は、本日開催の取締役会において、対象者の発行済株式の全て(但し、当社が直接所有する
  対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得し、対象者を当社の完全子会社とす
  るための取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決議い
  たしました。
  (注) 対象者が本日提出した「2021 年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下
      「対象者決算短信」といいます。)に記載された 2020 年6月 30 日現在の発行済株式総数
      (22,948,003 株)から、対象者決算短信に記載された同日現在の対象者が所有する自己株式数
      (2,279,844 株)を控除した株式数(20,668,159 株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨
      五入。以下、所有割合の計算において同じとします。)をいいます。

       本公開買付けにおいて、当社は、対象者の完全子会社化を企図しているため買付予定数の下限を
     9,015,900 株(所有割合:43.62%)に設定しており、本公開買付けに応じて応募された株券等(以下
     「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限(9,015,900 株)に満たない場合には、応募
     株券等の全部の買付け等を行いません。他方、本公開買付けは対象者を完全子会社化することを目的
     としておりますので、買付予定数の上限は設けておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上
     の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行います。なお、買付予定数の下限(9,015,900 株)は、対
     象者決算短信に記載された 2020 年6月 30 日現在の対象者の発行済株式総数(22,948,003 株)より、対

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 象者決算短信に記載された同日現在対象者が所有する自己株式数(2,279,844 株)を控除した株式数
 (20,668,159 株)に係る議決権の数(206,681 個)に3分の2を乗じた数(137,788 個、小数点以下を切
 り上げ)から、当社が本日現在所有する対象者株式数(4,762,980 株)に係る議決権の数(47,629 個)
 を控除した議決権の数(90,159 個)に相当する対象者株式数(9,015,900 株)としており、いわゆる
 「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」(対象者決算短信に記載された 2020 年
 6月 30 日現在の対象者の発行済株式総数(22,948,003 株)より、対象者決算短信に記載された同日現
 在対象者が所有する自己株式数(2,279,844 株)、当社が本日現在所有する対象者株式数(4,762,980 株)
 を控除した株式数(15,905,179 株)に係る議決権の数(159,051 個)の過半数に相当する数(79,526 個)
 に相当する対象者株式数(7,952,600 株))を上回るものとなります。

  当社は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより、当社が対象者株式の全て(但し、
 当社が直接所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場
 合には、本公開買付けの成立後、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階
 買収に関する事項)」に記載のとおり、当社が対象者株式の全て(但し、当社が直接所有する対象者
 株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得し、対象者を当社の完全子会社とするため
 の一連の手続(以下「本完全子会社化手続」といいます。)を実施することを予定しています。
  対象者が本日付で公表した「住友ベークライト株式会社による当社株式に対する公開買付けに関す
 る意見表明のお知らせ」(以下「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象者は、本日
 開催の取締役会において、本公開買付けに関し、賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆
 様に対し本公開買付けへの応募を推奨することを決議したとのことです。

  上記対象者取締役会決議の詳細については、対象者プレスリリース及び下記「2 .買付け等の概要」
 の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「(買付け等の価格の公正性を担
 保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措
 置)」の「(e)対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」をご
 参照ください。


(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の
  経営方針
 ① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
  当社は、1955 年3月、日本ベークライト株式会社と住友化工材工業株式会社が合併することで発足
 いたしました。当社の前身の一つである日本ベークライト株式会社は、1932 年1月、三共株式会社よ
 りフェノール系合成樹脂事業を継承することで創業し、1949 年5月には東京証券取引所市場及び大阪
 証券取引所市場に上場いたしました。また、当社のもう一つの前身である住友化工材工業株式会社
 は、1938 年8月に株式会社合成樹脂工業所として設立し、1944 年5月には住友化工材工業株式会社
 に、1945 年 11 月には日本化工材工業株式会社に社名を変更した後、1952 年 11 月に住友化工材工業株
 式会社へ社名復帰をしております。なお、住友化工材工業株式会社は、1950 年5月に大阪証券取引所
 市場に上場し、1955 年3月の日本ベークライト株式会社と住友化工材工業株式会社の合併により、住
 友ベークライト株式会社に商号変更し、2013 年7月に行われた東京証券取引所と大阪証券取引所の統
 合等に伴い、現在は東京証券取引所市場第一部に上場しております。当社は、住友ベークライト株式
 会社として 1955 年3月に創業してから現在に至るまで、「我が社は、信用を重んじ確実を旨とし、事
 業を通じて社会の進運及び民生の向上に貢献することを期する。」という基本方針のもと、プラス
 チック製品の製造事業に参入して以来、1950 年代にはメラミン樹脂とフェノール樹脂で構成される化
 粧板の「デコラ」を開発、1960 年代には半導体パッケージに対応する封止材である「スミコンEM
 E」を開発、1970 年代には食品包装用のシート「スミライトCEL」を発売、1980 年代には手術・看
 護・組織培養・臨床検査用等の各種医療器具を販売開始、1990 年代には集積回路の保護膜である「ス

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ミレジンエクセルCRC」を販売開始、2000 年代には半導体パッケージ基板材料である「LαZ」の
量産を開始する等、継続して技術開発を行ってきました。現在では半導体関連材料、高機能プラス
チック(注1)、クオリティオブライフ(注2)の3つの事業セグメントにおいてプラスチック製品
を提供しています。2019 年5月には、プラスチックの可能性を広げ、お客様の価値創造を通じて、
「未来に夢を提供する会社」を目指すというビジョンを掲げ、2019 年度から 2021 年度までの新中期経
営目標を策定いたしました。新中期経営目標では、競争優位性のある新製品の開発や既存製品の収益
力強化、成長領域における積極的なM&A等を基本戦略とし、事業セグメント別に重点施策を定めて
おります。半導体関連材料においては、車載等の成長領域における市場創造・シェア拡大や、高集積
デバイス領域(注3)におけるラインナップ強化を目指しております。また、高機能プラスチックに
おいては、当社の強みである樹脂・成形材料・成形品の一貫した開発体制やグローバルに展開する生
産・供給体制を活かした成長戦略への回帰、競争優位性を持つ製品の拡販・展開、航空機分野の事業
基盤強化・領域拡大を目指しております。さらにクオリティオブライフセグメントのヘルスケア分野
においては、成長領域である血管内治療(注4)や内視鏡治療等の低侵襲治療(注5)分野への積極
的展開や医療機器の高度化・専門化対応、社外との連携・協業による事業規模拡大等を軸に、対象製
品のラインナップ拡充や顧客へ提供する機能の高度化等を目指しております。
(注1) 自動車用の摩擦材等に使用されるフェノール樹脂を中心としたプラスチックに、耐熱性、寸
    法安定性、電気特性、機械特性、耐摩耗性等の機能を付与したものを製造・販売する事業を
    指します。
(注2) 商品包装用のフィルムや医薬品のパッケージ、医療機器、理化学器具や、各種ディスプレイ
    分野、インテリア、防水用シートや各種住宅資材、建築分野等、よりよい暮らしの実現、産
    業の発展に貢献するためのプラスチック製品を製造・販売する事業を指します。
(注3) 次世代パワーデバイス、次世代メモリー、高速通信デバイス等、今後のインフラを支える半
    導体分野を指します。
(注4) 従来は手術で治療していた疾患に対して、カテーテル等を血管に挿入することによって体を
    大きく切り開くことなく治療をすることを指します。
(注5) 可能な限り体に傷をつけずに行う、内視鏡やカテーテルを用いた治療を指します。

   一方、対象者は、1954 年 12 月に創業し、プラスチック製のディスポーザブル採血・輸血セット
(注6)の製造・販売を開始したとのことです。また、対象者は、1957 年6月に川澄化学工業株式会
社として設立されて以降、当時輸入品に頼っていた人工腎臓の国産化や日本赤十字社への安定的な血
液バッグの供給等、日本におけるディスポーザブル医療機器の製造等を行っており、1987 年2月に
は、東京証券取引所市場第二部に上場を果たしたとのことです。対象者は、2013 年には、開窓型胸部
大動脈瘤用ステントグラフト(注7)の承認を取得し、国内外で販売を開始する等、近年では、低侵
襲の先端医療機器の研究開発に力をいれているとのことです。そして、対象者は、2018 年5月 15 日に
は、長期ビジョン「世界を舞台にオリジナリティで存在感のある企業」のもと、2019 年3月期から
2021 年3月期までの中期経営計画を発表したとのことです。当該中期経営計画では、透析分野(注
8)と血液浄化分野(注9)からなる体外循環事業の見直し、血管内分野(注 10)の拡大と新分野で
ある消化器分野(注 11)への進出、生産性の向上を重点施策として掲げており、事業の構造改革に
伴って捻出された資源を成長領域である血管内分野及び新たな領域である消化器分野の研究開発等に
積極投入することで、より付加価値の高い事業基盤を確立することを目指しているとのことです。
(注6) ディスポーザブル採血・輸血セットとは、塩化ビニル製の単回使用(一回限り使用すること
       ができる)輸血用チューブ回路を指します。
(注7) ステントグラフトとは、金属でできた骨組み(ステント)に人工血管(グラフト)を縫い付
       けた医療機器を指します。開窓型ステントグラフトとは、ステントグラフトのうち、頭や腕

                        3
      等へ血液を送っている血管を塞がないように、グラフトの一部に穴を開けたものを指します。
      開窓型胸部大動脈瘤用ステントグラフトとは、胸部周辺の大動脈に発生した大動脈瘤(大動
      脈がこぶ状に拡大する病気)を治療するステントグラフト内挿術(大動脈瘤内部へ血液が流
      れ込まないようにステントグラフトにより蓋をすることで、瘤の拡大や破裂を防ぐ治療法)
      で使用されるステントグラフトを指します。
(注8) 透析分野とは、体内の老廃物や過剰な水分を機械的に取り除く処置に使用される医療機器の
      分野を指します。
(注9) 血液浄化分野とは、薬剤等の内科的治療のみでは治療が難しい難治性疾患(症例数が少なく、
      原因不明で、治療方法が確立しておらず、生活面への長期に亘る支障がある疾患)等に用い
      られることの多い、血液を体の外に取り出し、病因物質を取り除いて体に戻すという治療法
      に使用される医療機器の分野を指します。
(注 10)血管内分野とは、開胸・開腹をせず、カテーテル等を使用し、血管の中から疾患を治療する
      ために使用される医療機器の分野を指します。
(注 11)消化器分野とは、癌腫瘍等による胆管や大腸等の消化器の狭窄を改善するための治療に使用
      される医療機器の分野を指します。

 近年、我が国では、高齢化の進展や糖尿病等の慢性疾患の患者数の増加等により、医療機器製品の
需要が底堅く堅調に推移しており、今後もその傾向が続くことが見込まれております。その一方で、
医療費抑制政策に伴う医療機器メーカー各社への値下げ圧力の強まりや、その結果として引き起こさ
れる医療機器製品のコモディティ化の進展等も予想され、医療機器業界は大きな変革期を迎えており
ます。また、グローバルな視点においては、米国企業を始めとする業界の大手メーカーがM&Aを通
じて更なるシェア拡大・技術獲得を図ると同時に、中国やASEANにおける新興国メーカーも台頭
してきていることから、当社及び対象者を取り巻く競争環境は一層激化するものと考えられます。
 当社は、今後、当社をはじめとする医療機器メーカーが医療機器業界のメインプレイヤーとして競
争力を維持し、国内外においてさらにプレゼンスを拡大させていくためには、次世代医療機器製品の
開発促進、事業規模の拡大及び生産・販売体制の一層の効率化が肝要であると認識しております。

 当社は、上述した次世代医療機器製品の開発促進、事業規模の拡大及び生産・販売体制の一層の効
率化を実現するため、自助努力を尽くすことはもとより、当社の成長戦略と整合するパートナーとの
提携も視野に入れて検討する必要性を感じていたところ、大和証券株式会社(以下「大和証券」とい
います。)から対象者の紹介を受け、その後、2018 年4月中旬に対象者との面談を実施する機会を得
ました。その後、複数回の面談を通し、両社が低侵襲治療分野を成長領域として認識しており、今後、
当該分野を強化していく方針であるとの考えで一致したことから当社及び対象者は、上述した競争環
境の激化に対応するため、成長領域である低侵襲治療分野における協業体制の構築を進めることとし、
具体的には、①両社が有する医療機器製品に関する情報等の共有及び当該情報に基づく次世代医療機
器製品の共同研究・開発の可能性の検討、②両社が有する日本国内外における医療機器製品の拠点の
相互活用、③当社が有するポリマー分析・評価技術の対象者の医療機器製品への活用等の業務提携を
通じて、両社の医療機器製品事業の発展拡大、それに伴う両社の企業価値向上を目指すことといたし
ました。また、当社及び対象者は、両社による業務提携への中長期的、戦略的なコミットメントをよ
り強固にすることを目的として、両社間において資本関係を構築することといたしました。当社及び
対象者は、対象者が企業価値を向上させていくためには、対象者の上場会社としての自主性及び独立
性を維持する観点から、対象者を当社の連結子会社とするのではなく、当社の持分法適用関連会社と
することが適切と判断し、資本関係構築の方法としては、対象者株式の売却を希望する既存株主が存
在したこと、対象者に資金需要がなかったことから、既存株主からの株式譲受けの方法によることと
いたしました。以上より、2019 年3月 20 日、対象者と当社は資本業務提携契約(以下「本資本業務提
携契約」といい、当該契約に基づく資本業務提携を以下「本資本業務提携」といいます。)を締結し、

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当社が同日付で対象者の既存株主4社(いずれも医療・化学メーカー)との間でそれぞれ株式譲渡契
約を締結の上、2019 年3月 26 日付で対象者株式 4,762,980 株(当該時点の所有割合(注 12):23.10%)
を譲り受け、対象者を持分法適用関連会社化するとともに、両社それぞれが独立した事業主体として、
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和 22 年法律第 54 号。その後の改正を含みます。
以下「独占禁止法」といいます。)に抵触しない範囲で、上記のような協業体制の構築に向けた綿密
な協議を進めてまいりました。
(注 12)対象者が 2019 年2月7日に提出した「2019 年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連
      結)」に記載された 2018 年 12 月 31 日現在の発行済株式総数(22,948,003 株)から、「2019
      年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載された同日現在の対象者が所
      有する自己株式数(2,332,593 株)を控除した株式数(20,615,410 株)に対する割合(小数点
      以下第三位を四捨五入)をいいます。

 しかしながら、上記のような協議の過程において、本資本業務提携の上記目的のうち、①に関して
は、共同研究や新製品開発のために両社の重要な技術について交流を行うこと、②に関しては、相互
の生産拠点を効率的に活用するために設備の整備や調整・人材の効率的な配置を行うこと、また、③
に関しては、同一診療領域において両社で類似機能のデバイス開発を進めている案件も多い中で情報
を共有すること等について、これらを効果的に実行するためには、未発表の投資・開発計画、競合し
得る製品や相互に関連しシナジーを生じ得る製品についての、技術情報、マーケティング戦略・生
産・販売に関する情報、顧客の情報といった機微情報を交換する必要性が高いことが明らかとなりま
した。当社及び対象者は、対象者と当社が一体の事業主体として事業を行っているわけではない状況
では、かかる情報交換に独占禁止法の観点からそれぞれ制約があり、2019 年 10 月上旬、本資本業務提
携において企図していた低侵襲治療分野における両社の協業体制の構築を早期かつ効果的に推進する
ことは難しいと認識するに至りました。
 また、上述のとおり、当社が 2019 年5月に策定した 2019 年度から 2021 年度までの新中期経営目標
において、当社は、成長領域における積極的なM&A等を基本戦略の一つとして掲げており、特にク
オリティオブライフセグメントのヘルスケア分野においては、成長領域である血管内治療や内視鏡治
療等の低侵襲治療分野への積極的展開や医療機器の高度化・専門化対応、社外との連携・協業による
事業規模拡大等を軸に、対象製品のラインナップ拡充や顧客へ提供する機能の高度化等を目指すこと
を定めております。当社といたしましては、成長領域である低侵襲治療分野を強化することは、新中
期経営目標で掲げている経営戦略に合致するものであり、当該目標で目指している「ニッチ&トップ
シェア」の実現や事業規模の拡大のため、また、厳しい事業環境の中でより一層プレゼンスを高め、
両社の企業価値を向上させていくためにも、2019 年 10 月中旬、対象者を完全子会社化することで、上
述の制約を全て取り除いて低侵襲治療分野における対象者との協業を早期に推し進め、以下のような
シナジー効果を発揮することが必要不可欠であると確信いたしました。

(i)両社が有する医療機器製品に関する情報等の共有及び当該情報に基づく次世代医療機器製品の共同
    研究・開発の更なる促進
      両社の有する医療機器製品に関する情報や知見等を制限なく共有し、さらに、両社が保有する
     設計・成形・溶着・金属加工・組立・評価・シミュレーション等の技術を融合させることで、次
     世代医療機器製品の研究開発を促進させることができるものと考えております。
(ii)次世代医療機器製品の開発費用の共有化による研究開発の効率化
      両社が中長期製品群として重視している、インプラント製品を主とした血管治療処置具や内視
     鏡治療処置具の、開発から承認取得・販売開始までの長期間に必要な費用(調査・開発・基礎実
     験・評価・動物実験・生物学的安全性試験・治験・薬事・外部コンサル費用他)の共有化を行う
     ことで、次世代医療機器の開発の効率化並びに承認取得・販売開始までの期間短縮化を行うこと
     ができるものと考えております。

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(iii)事業規模の拡大による業界プレゼンスの向上
      両社は激しい競争環境に置かれるものの、事業規模を拡大させることで、医療機器業界におけ
     る更なるプレゼンスの向上が可能になるものと考えております。両社は医療機器業界において、
     これまで以上にブランド力を高め、優れた人材を確保することで、既存製品の拡販のみならず次
     世代医療機器製品の開発・承認取得・販売において、更なる実現確度及び実現スピード向上が可
     能になるものと考えております。
(iv)両社の有する国内外拠点及び設備の相互活用や合理化によるビジネスの効率化
      両社が有する日本国内外における医療機器製品の販売網及び流通網を統一あるいは相互補完し
     あうことで、更なるビジネスの効率化を図ることができるものと考えております。また、生産面
     では、両社の有する生産設備の協力体制を強化することで、効率的な生産体制の構築を図ること
     ができるものと考えております。
(v)経営効率の向上
      投資家対応業務、資金調達関連業務、株主総会の開催・運営等の一部の間接部門・業務の統合
     や、グループ一体でのシステム投資による効率化ができるものと考えております。
(vi)人材の相互活用によるビジネスの効率化
      両社が有する管理・営業・生産・研究・薬事等の人材を相互活用し、最適な人材配置を行うこ
     とで、ビジネスの効率化を図ることができるものと考えております。また、ノウハウの共有、更
     なる人材育成、新規事業の発案を促進し、ひいては両社の企業価値向上を図ることができるもの
     と考えております。

  当社は、上記の検討を踏まえ、2019 年 10 月 25 日、対象者に対して完全子会社化に係る検討を開始し
たいと打診しました。その後、当社は、2019 年 11 月上旬、当社及び対象者から独立したフィナンシャ
ル・アドバイザー及び第三者算定機関として大和証券を、リーガル・アドバイザーとして西村あさひ
法律事務所をそれぞれ選任し、本取引に関する検討体制を構築し、社内検討を行った上で、2020 年3
月 26 日に、対象者に対して公開買付けを通した完全子会社化の具体的な意向表明書を提出しました。
  その上で、当社は、本取引の実現可能性の精査のためのデュー・ディリジェンスを 2020 年4月下旬
から 2020 年6月上旬まで実施いたしました。なお、当社は、当該デュー・ディリジェンスの結果を踏
まえ、新型コロナウイルスによる影響は本取引の実行性に影響を及ぼすものではないと判断し、また、
2020 年4月7日に発令された緊急事態宣言については、それにより、当社及び対象者の双方で在宅勤
務が実施される等、平時に比べて本取引の準備を円滑に進めることができないおそれが生じることは
想定されるものの、本取引の重要性に鑑み、本取引を着実に進めることが当社及び対象者双方の利益
になると考えて、引き続き本取引について検討を続けました。その上で、2020 年6月下旬より、対象
者との間で、本公開買付けにおける対象者1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」と
いいます。)に関する協議を重ねてまいりました。具体的には、当社は、2020 年6月 25 日に本公開買
付価格に関する最初の提案(1株当たり 1,250 円)を行いました。当社は、2020 年6月 30 日に対象者
から、妥当な価格に達していないとの理由で提案内容の再検討を要請されたことを踏まえ、その後、
当社のフィナンシャル・アドバイザーである大和証券と複数回に亘り本公開買付価格の検討を行い、
対象者に対して、2020 年7月3日及び同月 14 日に本公開買付価格を 1,500 円前後としたい旨の提案を
行ったものの、いずれの提案に対してもいまだ妥当な価格に達していないとの旨の回答を受けたため、
対象者との間で、本公開買付価格に関する協議・交渉を重ねてまいりました。その後、当社は、対象
者に対して、同月 21 日に、本公開買付価格を 1,700 円とする旨の最終提案を実施しました。そして、
当該協議・交渉の結果、当社と対象者は、同月 22 日、本公開買付価格を 1,700 円とすることで合意に
至りました。
  これらの協議・交渉を経て、当社は本日開催の取締役会において、対象者を当社の完全子会社とす
ることを目的として、本公開買付価格を 1,700 円とすることについて決議しました。



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 他方、対象者においては、上記に記載のとおり、2019 年 10 月 25 日に当社から、完全子会社化に係る
検討を開始したい旨の打診を受けたことを契機として、本公開買付価格を含む本取引における諸条件
の公正性を担保すべく、2020 年2月上旬、本取引に関して当社及び対象者から独立したリーガル・ア
ドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を、フィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関と
して野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)をそれぞれ選任するとともに、第三者算定
機関である野村證券に対し、対象者株式に係る株式価値算定書(以下「対象者株式価値算定書」とい
います。)の提出を依頼したとのことです。なお、野村證券に対する報酬には、本取引の成立等を条
件に支払われる成功報酬が含まれているとのことです。
 その後、2020 年3月 26 日、当社から、対象者に対し、公開買付けを通した完全子会社化の具体的な
意向表明書が提出されました。これを受けて、対象者は、本取引が対象者の主要株主かつ筆頭株主に
よる持分法適用関連会社の買収に該当し、当社と対象者又は対象者の一般株主との間に構造的な利益
相反が存することに鑑み、本取引の是非や取引条件の妥当性についての検討及び判断が行われる過程
全般に亘ってその公正性を担保するため、リーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所の
法的助言を受け、速やかに、当社から独立した立場で本取引について検討・交渉等を行うための特別
委員会(当該特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、下記「2 .買付け等の概要」の
「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「(買付け等の価格の公正性を担保
するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措
置)」の「(c)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご
参照ください。)を設置する旨を 2020 年4月 23 日開催の取締役会にて決議したとのことです。また、
対象者は、2007 年4月 26 日付取締役会決議により、「対象者株券等の大量買付行為に関する対応策」
を導入して以降、対象者の株主の承認のもと更新し、新たな「対象者株式の大量取得行為に関する対
応策(買収防衛策)」(以下「本買収防衛策」といいます。)の導入及びその継続を重ね、現在に
至っておりますが、上記 2020 年4月 23 日開催の取締役会において、本資本業務提携に係る交渉経緯や
その後の当社との友好な関係に鑑み、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時
間を確保し、当社との交渉の機会を確保すること等が期待できることから、本取引に係る提案は、少
なくとも同日時点においては、本買収防衛策に従った手続を実施する必要性はないと判断したため、
本取引に係る提案は本買収防衛策の発動に係る手続が必要となる「買付等」に該当しないものとして
予め承認する旨を決議したとのことです。

  また、対象者は、リーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所から本公開買付けにおけ
る意思決定過程、意思決定方法その他本公開買付けに関する意思決定にあたっての留意点についての
法的助言を受け、また、フィナンシャル・アドバイザーとしての野村證券から財務的見地等に関する
助言及び支援を受けてきたとのことです。対象者は、2020 年6月 25 日、当社より、本公開買付価格を
1,250 円とする旨の本取引に係る提案を受領した後、当社との交渉を開始し、上記の助言等を踏まえ、
当社との間で複数回に亘り協議・交渉を行ったとのことです。さらに、対象者は、当社との間の本取
引に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき特別委員会に適時に報告し、また、特別委員会との間で
随時方針等を協議しつつ、当社との協議・交渉を進めてきたとのことです。具体的には、対象者は、
当社より、2020 年6月 25 日に本公開買付価格に関する最初の提案(1株当たり 1,250 円)を受領した
ものの、2020 年6月 30 日に、当社に対して、妥当な価格に達していないとの理由で、提案内容の再検
討を要請いたしました。その後、対象者は、当社より、2020 年7月3日及び同月 14 日に本公開買付価
格を 1,500 円前後としたい旨の提案を順次受領しましたが、いずれの提案に対しても、いまだ妥当な価
格に達していないとして、提案内容の再検討を要請しました。
  その後、対象者は、当社より、同月 21 日に、本公開買付価格を 1,700 円とする旨の最終提案を受領
し、同月 22 日、当社と対象者は、本公開買付価格を 1,700 円とすることで合意に至りました。
  その後、対象者は、2020 年7月 30 日付で野村證券より対象者株式価値算定書を取得し、また、特別
委員会から同日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けているとのことです。本

                         7
答申書の概要については、下記「2 .買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の
「② 算定の経緯」の「(買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するた
めの措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(c)対象者における独立した特別
委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。

 その上で、対象者取締役会は、森・濱田松本法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関
する意思決定過程、意思決定方法その他本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留
意点についての法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言及び対象者株式価値算定書の内
容を踏まえつつ、特別委員会から取得した本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により対
象者の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引における諸条件は妥当な
ものであるか等の観点から慎重に協議・検討を行ったとのことです。
 その結果、対象者は、当社の完全子会社となり、より一層連携を深め、対象者が当社の有する経営
資源をより一層活用する等により、以下のとおり、シナジーの創出を見込むことができると認識して
いるとのことです。

(i)研究開発力の強化
   対象者は、血管内分野及び消化器分野の拡大が対象者の企業価値向上のドライバーであると考えて
いることから、研究開発型企業として同分野での新製品開発に注力しているとのことです。対象者が
当社の完全子会社となり、両社が保有する医療機器製品の情報を従来以上に共有できるようになるこ
とによって、医療現場からの新たなニーズを把握することや医療機器製品の開発のノウハウを新たに
取得することがより実現しやすくなるため、対象者では、次世代医療機器の開発の促進及び効率化並
びに承認取得・販売開始までの期間短縮化が可能になるものと考えているとのことです。特に、両社
で重複する研究開発テーマについては、単独で取り組む場合と比べて効率的に取り組むことができる
と考えているとのことです。また、当社が保有するポリマー分析・評価技術の活用、及び当社の研究
開発人員・設備・管理体制等の機能の提供を受けることにより、既存製品への技術の展開、及び技術
を応用した新規開発テーマ創出の可能性が拡がり、対象者の医療機器開発は一層促進されると考えて
いるとのことです。

(ii)営業体制の強化
   対象者が当社の完全子会社となることで、当社及び対象者が有する国内の営業拠点の相互活用が可
能となると考えていることや、両社が販売する医療機器製品の重複が少なく、胆管用メタリックステ
ント(注 13)のみであることから、両社の製品ラインナップの拡充及び当社と対象者の製品のクロス
セル(注 14)による売上拡大が実現されると考えているとのことです。また、対象者は新製品の海外
展開に向けた体制強化、ステントグラフトの欧州での販売拡大等のグローバル展開の加速を重点施策
として掲げているところ、当社が有する海外の営業・マーケティング拠点を活用することでグローバ
ル展開を一層促進することができると考えているとのことです。
(注 13)胆管用メタリックステントとは、胆管の閉塞を解除させることを目的として使用される金属
      でできた骨組み(ステント)を指します。
(注 14)クロスセルとは、相互に、相手方の関連製品を自社の顧客に販売することを指します。

(iii)生産活動の効率化
    対象者は対象者の製品に係る国内外生産の一元管理を開始する等、各工場における医療機器製品の
製造、物流及び在庫管理を含む生産活動の効率化を進めているところ、対象者が当社の完全子会社と
なり、当社が有する生産管理システム、管理体制のノウハウを参考に対象者の生産活動を改善するこ
とによって、生産活動をより一層効率化することができると考えているとのことです。



                      8
(iv)当社の経営資源の活用
   対象者の持続的な企業価値向上のためには、研究開発力の強化を始めとした事業活動の強化により
利益成長を図ることに加え、ガバナンス、人事制度及びシステムといった経営管理機能を維持向上さ
せ、とりわけ、近年要請が高まっているESG(注 15)やSDGs(注 16)等の取り組みを強化する
ことにより、企業の社会的責任を果たしていくことが必要だと考えているとのことですが、対象者単
独での取り組みでは、経営資源の制約を踏まえた対応を選択せざるを得ないものと考えているとのこ
とです。対象者が当社の完全子会社となり、当社の人材及び管理体制等の経営資源を有効に活用する
ことにより、こうした社会的責任を果たしていくための経営管理機能の抜本的な強化が可能になるも
のと考えているとのことです。
(注 15)ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Go
      vernance)の頭文字を取った、企業の長期的な成長のために必要な三つの観点のこ
      とを指します。
(注 16)SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略で、持
      続可能な社会を実現するための国際社会における共通の目標を指します。


 上記企業価値向上のための各種施策を実施するに際しては、相当規模の投資が必要となり、具体的
には、血管内分野及び消化器分野における新製品の開発・承認取得・販売開始までのスピードを加速
化させるために、対象者は、2021 年 10 月、交通アクセスの良い川崎市殿町国際戦略拠点に、開発に関
連する業務及び本社機能を集約した研究開発施設を新設する予定とのことですが、これらの投資は、
短期的には利益水準の悪化につながる可能性があり、また、中長期的に収益向上を実現できない場合
には企業価値を下落させる可能性があると考えているとのことです。対象者が当社の完全子会社にな
ることにより、こうした株主の皆様へのリスク負担を回避しつつ、各種施策の実行や当社の資本力を
活用した更なる追加投資が可能となると考えているとのことです。さらには、監査費用等の上場維持
に必要なコストの軽減も見込まれるとのことです。
 以上より、本取引により当社の完全子会社となり、当社とのさらなる連携強化を図ることは、対象
者の中長期的な企業価値向上に資するものであると考えているとのことです。

 また、(ⅰ)本公開買付価格が、下記「2 .買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根
拠等」の「② 算定の経緯」の「(買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回
避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(b)対象者における独立
した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、野村證券による対象者の株式価
値の算定結果のうち、市場株価平均法による算定結果の範囲を上回っており、また、類似会社比較法
及びディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)の算定結果の範
囲内にあること、(ⅱ)本公開買付価格が、東京証券取引所市場第二部における、本公開買付けの実
施についての公表日の前営業日である 2020 年7月 30 日の対象者株式の終値 805 円に対して 111.18%
(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、同日までの過去
1ヶ月間(2020 年7月1日から同年7月 30 日まで)の終値単純平均値 840 円(小数点以下を四捨五入。
以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して 102.38%、同日までの過去3ヶ月間(2020
年5月1日から 2020 年7月 30 日まで)の終値単純平均値 862 円に対して 97.22%、同日までの過去6ヶ
月間(2020 年1月 31 日から 2020 年7月 30 日まで)の終値単純平均値 930 円に対して 82.80%のプレミ
アムがそれぞれ加算されており、連結子会社又は持分法適用関連会社の完全子会社化を目的とした他
の公開買付けの事例におけるプレミアム水準との比較においても相応のプレミアムが付されていると
考えられること(なお、対象者は、2020 年4月 23 日付で公表した「2020 年3月期連結業績予想の修正
に関するお知らせ」において、2020 年3月期の連結業績予想を下方修正しておりますが、当該公表に
よる株価への影響は限定的であったことから、過去1ヶ月間及び過去3ヶ月間に加えて、過去6ヶ月
間の終値単純平均値に対するプレミアムを考慮することは合理的であると判断しているとのことで

                             9
す。)、(ⅲ)本公開買付価格の決定に際しては、下記「2 .買付け等の概要」の「(4)買付け等
の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「(買付け等の価格の公正性を担保するための措置及
び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載の本公
開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が採られており、少数
株主の利益への配慮がなされていると認められること、(ⅳ)本公開買付価格が、上記利益相反を回
避するための措置が採られた上で、対象者と当社との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と
同等の協議・交渉が行われ、より具体的には野村證券による対象者の株式価値に係る算定結果の内容
及び特別委員会との協議等を踏まえながら、真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として提案
された価格であること、(v)本公開買付価格は、対象者の 2020 年6月 30 日現在の簿価純資産から算
出した1株当たり純資産額を下回っているものの、対象者株式価値の算定にあたっては対象者が継続
企業であることを前提とすべきところ、1株当たり純資産額のみをもって本公開買付価格を判断する
ことは妥当ではなく、また、清算のための相当な追加コストの発生等を考慮すると、必ずしも簿価純
資産額がそのまま換価されるわけでもないと考えられること等を踏まえ、本日開催の取締役会におい
て、本公開買付けは対象者の株主の皆様に対して、相当なプレミアムを付した価格での合理的な対象
者株式の売却の機会を提供するものであると判断したとのことです。

 以上より、対象者は、本取引が対象者の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付
価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、本日開催の取締役会において、本公
開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対し本公開買付けへの応募を推奨
することを決議したとのことです。また、対象者は、本日開催の取締役会において、上記決議と併せ
て、本取引に係る提案について、本取引の交渉過程においては、株主の皆様が適切な判断をするため
に必要かつ十分な情報と時間を確保し、当社との交渉の機会を確保すること等ができたと考えること
から、本買収防衛策に従った手続を実施する必要性はなく、2020 年4月 23 日開催の取締役会において
決定した、本取引に係る提案は本買収防衛策の発動に係る手続が必要となる「買付等」に該当しない
ものとして承認する旨の決議に変更はない旨を改めて決議したとのことです。当該取締役会の意思決
定過程の詳細については、下記「2 .買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の
「② 算定の経緯」の「(買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するた
めの措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(e)対象者における利害関係を有
しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」をご参照ください。

② 本公開買付け成立後の経営方針
 当社は、本公開買付けの成立後には、上記「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目
的及び意思決定の過程」に記載のとおり、本資本業務提携契約で定めた施策を実行し、当社と対象者
双方の企業価値向上に努めてまいります。
 本日現在、対象者の取締役である小林孝氏は、当社の取締役常務執行役員を兼務しております。今
後の対象者の役員体制につきましては、本日現在において未定ではありますが、今後対象者と協議の
上、上記諸施策の実行や経営基盤の更なる強化に向けた最適な体制の構築を検討していく予定です。
また、本公開買付け成立後の対象者の従業員に関しては、原則として引き続き雇用を継続することを
予定しております。
 また、当社は、本公開買付け後の対象者の経営方針として、対象者の経営の自主性を維持・尊重す
ることを基本としつつ、本公開買付け実施後の対象者の経営方針の詳細については、本公開買付け成
立後、対象者と協議の上で決定していくことを予定しております。
 なお、上記経営体制及び経営方針の詳細な検討にあたっては、本公開買付け成立後、当社及び対象
者は速やかに分科会(開発、生産、営業、人事、総務、システム、薬事等)を組成し、当社及び対象
者間のシナジーの最大化を図るべく協議を行っていくことを予定しております。



                       10
(3)当社と対象者の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項
   該当事項はありません。


(4)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付
  けの公正性を担保するための措置
  本日現在において、対象者は当社の連結子会社ではなく、本公開買付けは支配株主による従属会社
 の買収には該当しません。もっとも、(i)当社は、対象者株式を4,762,980株(所有割合:23.05%)所
 有することにより、対象者を持分法適用関連会社としていること、及び、(ii)対象者の取締役1名が
 当社の役員を兼任しかつ当社の出身者であること等を考慮し、当社及び対象者は、買付け等の価格の
 公正性を担保し利益相反を回避する観点から、以下の措置を実施しております(なお、以下の記載中
 の対象者において実施した措置については、対象者から受けた説明に基づくものです。)。
 (a) 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
 (b) 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
 (c) 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
 (d) 対象者における独立した法律事務所からの助言
 (e) 対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認
 (f) 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
 (g) マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)を達成する買付予定数の下限の設
     定

   以上の詳細については、下記「2 .買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の
  「② 算定の経緯」の「(買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するた
  めの措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」をご参照ください。


(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
   当社は、上記「(1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、対象者を当社の完全子会社とする方
  針であり、本公開買付けにおいて当社が対象者株式の全てを取得できなかった場合には、本公開買付
  け成立後、以下の方法により、対象者株式の全て(但し、当社が直接所有する対象者株式及び対象者
  が所有する自己株式を除きます。)の取得を目的として、本完全子会社化手続を実施することを予定
  しております。

   ① 株式売渡請求
   当社は、本公開買付けの成立により、当社の所有する対象者の議決権の合計数が対象者の総株主の
  議決権の数の 90%以上となり、当社が会社法(平成 17 年法律第 86 号。その後の改正を含みます。以
  下同じです。)第 179 条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了
  後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、対象者の株主(当社及び対象者を除き
  ます。以下「売渡株主」といいます。)の全員に対し、その所有する対象者株式の全部を売り渡すこ
  とを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)する予定です。株式売渡請求においては、対象者株
  式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める
  予定です。この場合、当社は、その旨を対象者に通知し、対象者に対して株式売渡請求の承認を求め
  ます。対象者が取締役会の決議により株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従
  い、売渡株主の個別の承諾を要することなく、当社は、株式売渡請求において定めた取得日をもって、
  売渡株主の全員からその所有する対象者株式の全部を取得します。そして、当該各売渡株主の所有し
  ていた対象者株式1株当たりの対価として、当社は、当該各売渡株主に対し、本公開買付価格と同額
  の金銭を交付する予定です。なお、対象者プレスリリースによれば、対象者は、当社より株式売渡請
  求をしようとする旨及び会社法第 179 条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、対象

                           11
者取締役会にて係る株式売渡請求を承認する予定とのことです。
 株式売渡請求に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法の規定として、会社法第 179 条の
8その他の関係法令の定めに従って、売渡株主の皆様は、裁判所に対して、その所有する対象者株式
の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。なお、当該申立てがなされ
た場合の売買価格は、最終的に裁判所が判断することになります。

 ② 株式併合
 他方で、本公開買付けの成立により、当社の所有する対象者の議決権の合計数が対象者の総株主の
議決権の 90%未満となった場合には、当社は、会社法第 180 条に基づき対象者株式の併合を行うこと
(以下「株式併合」といいます。)及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止
する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といい
ます。)を 2020 年 11 月下旬から 2020 年 12 月上旬頃に開催することを、本公開買付けの決済の完了後
速やかに対象者に要請する予定です。なお、当社は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する
予定です。

 本臨時株主総会において株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、株式併合がその効
力を生ずる日において、対象者の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた株式併合の割
合に応じた数の対象者株式を所有することとなります。株式併合をすることにより株式の数に1株に
満たない端数が生じるときは、端数が生じた対象者の株主に対して、会社法第 235 条その他の関係法
令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該
端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する対象者株式を対象者又は当社に売却すること
等によって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する対象者株式の売
却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募しなかった対象者の株主(当社及び対象者
を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の
数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを
対象者に要請する予定です。また、対象者株式の併合の割合は、本日現在において未定ですが、当社
のみが対象者株式の全て(対象者が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本
公開買付けに応募しなかった対象者の株主(当社及び対象者を除きます。)の所有する対象者株式の
数が1株に満たない端数となるように決定される予定です。

 株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした規定として、株式併合がなされた場合であっ
て、株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第 182 条の4
及び第 182 条の5その他の関係法令の定めに従い、本公開買付けに応募しなかった対象者の株主(当
社及び対象者を除きます。)は、対象者に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数とな
るものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して対象者株式
の価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。上記のとおり、株式併合
においては、本公開買付けに応募しなかった対象者の株主(当社及び対象者を除きます。)の所有す
る対象者株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、株式併合に反対する対象者の株主は、
会社法第 182 条の4及び第 182 条の5その他の関係法令の定めに従い、価格決定の申立てを行うことが
できることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は最終的に裁判所が判断す
ることになります。

 上記①及び②の各手続については、関係法令の改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、実
施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買
付けが成立した場合には、本公開買付けに応募しなかった対象者の株主(当社及び対象者を除きま
す。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該対象者の

                          12
   株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該対象者の株主が所有していた対象者株
   式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定です。
    以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、対象者と協議の上、決定次第、
   対象者が速やかに公表する予定です。
    なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における対象者の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一
   切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、
   対象者の株主の皆様が自らの責任にて税務専門家にご確認ください。


(6)上場廃止となる見込み及びその事由
   対象者株式は、本日現在、東京証券取引所市場第二部に上場されておりますが、当社は、本公開買
  付けにおいて買付予定数に上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、対象者株式は、
  東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。
   また、本公開買付けの成立時点で当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、上記
  「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、
  当社にて、対象者株式の全て(当社が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きま
  す。)の取得を目的とした手続を実施することを予定しておりますので、その場合、対象者株式は東
  京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。上場廃止後は、対象者
  株式を東京証券取引所市場第二部において取引することはできません。



2.買付け等の概要
(1)対象者の概要
①名             称    川澄化学工業株式会社
②所       在     地    東京都港区港南2丁目 15 番地2号品川インターシティ B 棟 9 階
③ 代表者の役職・氏名         代表取締役社長        齊野 猛司
④事     業   内   容    医療機器・医薬品の開発・製造・販売
⑤資       本     金    66 億 42 百万円(2020 年3月 31 日現在)
⑥設 立 年 月 日          1957 年6月 26 日
⑦ 大株主及び持株比率         住友ベークライト株式会社                        23.05%
(2020 年3月 31 日現在)
                    旭化成メディカル株式会社                           4.84%

                    エムエルアイ フォー クライアント       ジェネラル    オムニ   4.10%
                    ノン コラテラル ノン トリーティー      ピービー

                    (常任代理人 メリルリンチ日本証券株式会社)

                    株式会社三井住友銀行                             3.51%

                    森六ホールディングス株式会社                         2.96%

                    株式会社伊予銀行                               2.43%

                    株式会社大分銀行                               2.43%

                    ステート ストリート バンク     アンド トラスト     クライア   2.31%
                    ント オムニバス アカウント     オーエムゼロツー     5050
                    02

                    (常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)

                    川野 幸博                                  2.05%


                               13
                      川野 安博                                            1.87%

⑧ 当社と対象者の関係
      資本関係            当社は、対象者株式 4,762,980 株(所有割合:23.05%)を所有してお
                      り、対象者を持分法適用関連会社としております。
       人的関係           本日現在、対象者の取締役 11 名のうち1名が当社の常務執行役員を兼務
                      しております。
       取引関係           特筆すべき取引関係はありません。
       関連当事者への        対象者は、当社の持分法適用関連会社であり、関連当事者に該当しま
       該当状況           す。


(2)日程等
    ① 日程
公開買付実施決定日            2020年7月31日(金曜日)
公 開 買 付開 始 公告 予 定日   2020年8月3日(月曜日)
                     電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。
                     (電子公告アドレス https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/)
公開買付届出書提出予定日         2020年8月3日(月曜日)

   ②  届出当初の買付け等の期間
    2020年8月3日(月曜日)から2020年9月30日(水曜日)まで(40営業日)

   ③ 対象者の請求に基づく延長の可能性
    該当事項はありません。


(3)買付け等の価格
  普通株式1株につき、金1,700円


(4)買付け等の価格の算定根拠等
  ① 算定の基礎
   当社は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するに当たり、当社及び
  対象者から独立した第三者算定機関として、フィナンシャル・アドバイザーである大和証券に対して、
  対象者株式の株式価値の算定を依頼いたしました。なお、大和証券は当社及び対象者の関連当事者に
  は該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有しておりません。大和証券は、本公開買付
  けにおける算定手法を検討した結果、対象者株式が東京証券取引所市場第二部に上場していることか
  ら市場株価法、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて対象者株式の株式価
  値の算定を行い、当社は2020年7月30日付で大和証券から算定書(以下「当社算定書」といいます。)
  を取得いたしました。なお、当社は、大和証券から本公開買付価格の妥当性に関する意見書(フェア
  ネス・オピニオン)を取得しておりません。
   大和証券による対象者株式の1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりです。
   市場株価法 808円~932円
   DCF法  1,513円~2,358円
   市場株価法では、2020年7月29日を基準日として、東京証券取引所市場第二部における対象者株式
  の基準日終値808円、直近1ヶ月間の終値単純平均値843円、直近3ヶ月間の終値単純平均値864円及び
  直近6ヶ月間の終値単純平均値932円を基に、対象者株式の1株当たり株式価値の範囲を808円から932
  円までと算定しております。
   DCF法では、対象者の2021年3月期から2025年3月期までの5期分の事業計画における収益や投
  資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、2021年3月期以降に対象者が将来創出する

                                       14
と見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて対象者の企業価
値や株式価値を算定し、対象者株式の1株当たり株式価値の範囲を1,513円から2,358円と算定しており
ます。
  なお、大和証券がDCF法による算定の基礎とした対象者の事業計画においては、大幅な増益及び
減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2021年3月期において、営業利益及
び経常利益のそれぞれが前期比で約30%以上となる大幅な増益となることが見込まれておりますが、
これは構造改革として行ってきた体外循環事業の見直しによる収益改善によるものである一方、当期
純利益は前期比で約30%以上となる大幅な減益となることが見込まれておりますが、これは2020年3
月期に投資有価証券売却益等で計上した一過性の特別利益が前期比で減少することによるものです。
また、2022年3月期において、営業利益及び経常利益のそれぞれが前期比で約30%以上となる大幅な
減益となることが見込まれておりますが、これは新規投資による償却費の増加によるものです。さら
に、2023年3月期において、営業利益、経常利益及び当期純利益のそれぞれが前期比で約30%以上と
なる大幅な増益となること、2024年3月期において、営業利益及び経常利益のそれぞれが前期比で約
30%以上となる大幅な増益となること、2025年3月期において、営業利益、経常利益及び当期純利益
のそれぞれが前期比で約30%以上となる大幅な増益となることが見込まれておりますが、これらは主
に翼付採血キット(注1)の次世代品であるプッシュボタン式翼付採血キット(注2)の米国の病
院・施設といった海外への販路拡大及びステントグラフトの国内外の症例数増加に起因した需要拡大
による血液及び血管内関連セグメントの業績拡大が見込まれていることによるものです。なお、本取
引の実行により実現することが期待されるシナジー効果は、現時点において具体的に見積もることが
困難であったため、当該事業計画においては考慮しておりません。
(注1) 翼付採血キットとは、採血後に針が刺さることを防ぐために、針をカバーで隠す誤刺防止機
      構が付いた採血キットを指します。
(注2) プッシュボタン式翼付採血キットとは、ボタンを押すことによって、誤刺防止機構が自動的
      に起動する翼付採血キットを指します。

  当社は、大和証券から取得した当社算定書の算定結果に加え、当社において2020年4月下旬から
2020年6月上旬まで実施した対象者に対するデュー・ディリジェンスの結果、過去の発行者以外の者
による完全子会社化を目的とした株券等の公開買付けの事例において買付け等の価格決定の際に付与
されたプレミアムの実例、対象者の取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、対象者株式の市場
株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、対象者との協議・交渉の結
果等も踏まえ、最終的に本日開催の取締役会の決議によって、本公開買付価格を1株当たり1,700円と
決定いたしました。
  なお、本公開買付価格である1株当たり1,700円は、本公開買付けの公表日の前営業日である2020年
7月30日の東京証券取引所市場第二部における対象者株式の終値805円に対して111.18%、2020年7月
30日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値840円に対して102.38%、2020年7月30日までの直近3ヶ月
間の終値単純平均値862円に対して97.22%、2020年7月30日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値930
円に対して82.80%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であります。
  なお、当社は、2019年3月26日付で対象者株式4,762,980株(当該時点の所有割合:23.10%)を1株
当たり724.70円で市場外相対取引によって取得しておりますが、当該価格は、2019年3月19日(当該
取引に係る株式譲渡契約の締結日の前営業日)を基準とした当時の市場株価(2019年3月19日終値752
円、2019年3月19日から過去1ヶ月の終値単純平均値755円、同過去3ヶ月の終値単純平均値702円、
同6ヶ月の終値単純平均値678円)を踏まえ、対象者の経営成績や財政状態等を考慮し、当社と当該取
引の相手方との間の個別交渉により合意した価格です。当該価格は、本公開買付価格である1,700円と
比較して975.30円低い価格でありますが、これは、それぞれの価格決定時期の相違により価格決定に
当たって考慮した対象者株式の市場株価が上昇したこと(前者は2019年3月19日における終値752円で
あるのに対して、後者は本日の前営業日である2020年7月30日の東京証券取引所市場第二部における

                          15
対象者株式の終値805円となっております。)、また、本公開買付価格である1,700円は、上記記載の
とおり、大和証券から取得した当社算定書の算定結果に加え、当社において2020年4月下旬から2020
年6月上旬まで実施した対象者に対するデュー・ディリジェンスの結果、過去の発行者以外の者によ
る完全子会社化を目的とした株券等の公開買付けの事例において買付け等の価格決定の際に付与され
たプレミアムの実例、対象者の取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、対象者株式の市場株価
の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、対象者との協議・交渉の結果等
も踏まえ、本日の前営業日である2020年7月30日の東京証券取引所市場第二部における対象者株式の
終値805円に対して111.18%のプレミアムを加えた金額であることによります。

② 算定の経緯
 (本公開買付価格の決定に至る経緯)
 当社は、上記「1 .買付け等の目的」の「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目
的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定する
に至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、新中期経営目標で目指している「ニッチ
&トップシェア」の実現や事業規模の拡大のため、また、厳しい事業環境の中でより一層プレゼンス
を高め、当社と対象者の企業価値を向上させていくためにも、2019年10月中旬、対象者を完全子会社
化することで、機微情報の交換に関する制約を全て取り除いて低侵襲治療分野における対象者との協
業を早期に推し進め、シナジー効果を発揮することが必要不可欠であると確信し、かかる検討を踏ま
え、2019年10月25日、対象者に対して完全子会社化に係る検討を開始したいと打診しました。その後、
当社は、2019年11月上旬、当社及び対象者から独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算
定機関として大和証券を、リーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所をそれぞれ選任し、
本取引に関する検討体制を構築し、対象者によるデュー・ディリジェンス準備期間を経て、2020年3
月26日に、対象者に対して公開買付けを通した完全子会社化の具体的な意向表明書を提出しました。
 その上で、2020年6月下旬より、対象者との間で、本公開買付価格に関する協議を重ねてまいりま
した。具体的には、当社は、2020年6月25日に本公開買付価格に関する最初の提案(1株当たり1,250
円)を行いました。当社は、2020年6月30日に対象者から、妥当な価格に達していないとの理由で提
案内容の再検討を要請されたことを踏まえ、その後、当社は、当社のフィナンシャル・アドバイザー
である大和証券と複数回に亘り本公開買付価格の検討を行い、対象者に対して、2020年7月3日及び
同月14日に本公開買付価格を1,500円前後としたい旨の提案を行ったものの、いずれの提案に対しても
いまだ妥当な価格に達していないとの旨の回答を受けたため、対象者との間で、本公開買価格に関す
る協議・交渉を重ねてまいりました。その後、当社は、対象者に対して、同月21日に、本公開買付価
格を1,700円とする旨の最終提案を実施しました。そして、当該協議・交渉の結果、当社と対象者は、
同月22日、本公開買付価格を1,700円とすることで合意に至りました。
 これらの協議・交渉を経て、当社は本日開催の取締役会において、対象者を当社の完全子会社とす
ることを目的として、本公開買付価格を1,700円とすることについて決議しました。

 (買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買
付けの公正性を担保するための措置)
(a) 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
      当社は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するに当たり、
    当社及び対象者から独立した第三者算定機関として、フィナンシャル・アドバイザーである大
    和証券に対して、対象者株式の株式価値の算定を依頼いたしました。当社が大和証券から取得
    した対象者株式の株式価値の算定結果に関する当社算定書の詳細については、上記「① 算定
    の基礎」をご参照ください。
(b) 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
      対象者は、本公開買付けに関する意見表明を行うに当たり、当社から提示された本公開買付

                      16
価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、当社及び対象者から独立した
フィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券に対して、対象者株式の価
値算定を依頼し、2020 年7月 30 日付で野村證券より対象者株式価値算定書を取得したとのこ
とです。なお、対象者は、野村證券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネ
ス・オピニオン)を取得していないとのことです。
 また、野村證券は、当社及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して記載
すべき重要な利害関係を有していないとのことです。
 野村證券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、対象者が継続企業であるとの
前提のもと、対象者株式の価値を多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、対象
者株式が東京証券取引所市場第二部に上場していることから市場株価平均法を用い、比較可能
な類似上場会社が存在し、類似上場会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似
会社比較法を用い、また、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて対
象者株式の株式価値の算定を行ったとのことです。野村證券によれば、対象者株式の株式価値
算定に当たり、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された対象者株式の1株当たりの株
式価値の範囲は以下のとおりとのことです。

 市場株価平均法    805 円から 930 円
 類似会社比較法    1,365 円から 1,739 円
 DCF法       1,580 円から 1,909 円

 市場株価平均法では、2020 年7月 30 日を算定基準日として、対象者株式の東京証券取引所
市場第二部における基準日終値 805 円、直近5営業日の終値単純平均値 816 円、直近1ヶ月間
の終値単純平均値 840 円、直近3ヶ月間の終値単純平均値 862 円及び直近6ヶ月間の終値単純
平均値 930 円を基に、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲は、805 円から 930 円までと
算定しているとのことです。
 類似会社比較法では、対象者と比較的類似する事業を営む上場企業の市場株価や収益性等を
示す財務指標との比較を通じて、対象者の株式価値を算定し、対象者株式の1株当たりの株式
価値の範囲は、1,365 円から 1,739 円までと算定しているとのことです。
 DCF法では、対象者が作成した 2021 年3月期から 2025 年3月期までの事業計画に基づく
収益予測や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、対象者が 2021 年3月
期第1四半期以降、将来生み出すフリー・キャッシュ・フローを基に、事業リスクに応じた一
定の割引率で現在価値に割り戻して企業価値を評価し、対象者株式の1株当たりの株式価値の
範囲は、1,580 円から 1,909 円までと算定しているとのことです。なお、DCF法による算定の
基礎とした対象者の事業計画においては、大幅な増益及び減益を見込んでいる事業年度が含ま
れているとのことです。具体的には、2021 年3月期において、営業利益及び経常利益のそれぞ
れが前期比で約 30%以上となる大幅な増益となることを見込んでいるとのことですが、これは
構造改革として行ってきた体外循環事業の見直しによる収益改善によるものである一方、当期
純利益が前期比で約 30%以上となる大幅な減益となることを見込んでいるとのことですが、こ
れは 2020 年3月期に投資有価証券売却益等で計上した一過性の特別利益が前期比で減少する
ことによるものであるとのことです。また、2022 年3月期において、営業利益及び経常利益の
それぞれが前期比で約 30%以上となる大幅な減益となることを見込んでいるとのことですが、
これは新規投資による償却費の増加によるものとのことです。さらに、2023 年3月期において、
営業利益、経常利益及び当期純利益のそれぞれが前期比で約 30%以上となる大幅な増益となる
こと、2024 年3月期において、営業利益及び経常利益のそれぞれが前期比で約 30%以上とな
る大幅な増益となること、2025 年3月期において、営業利益、経常利益及び当期純利益のそれ
ぞれが前期比で約 30%以上となる大幅な増益となることを見込んでいるとのことですが、これ

                         17
    らは主に翼付採血キットの次世代品であるプッシュボタン式翼付採血キットの米国の病院・施
    設といった海外への販路拡大及びステントグラフトの国内外の症例数増加に起因した需要拡大
    による血液及び血管内関連セグメントの業績拡大を見込んでいることによるものとのことです。
    なお、当該事業計画は本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果は考慮して
    いないとのことです。
   (注1) 野村證券は、対象者株式の株式価値の算定に際して、公開情報及び野村證券に提供さ
        れた一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性
        及び完全性についての検証は行っていないとのことです。対象者及びその関係会社の
        資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)
        について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を
        行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っていないとのことです。対
        象者の財務予測(利益計画その他の情報を含みます。)については、対象者の経営陣
        により現時点で得られる最善かつ誠実な予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成
        されたことを前提としているとのことです。野村證券の算定は、2020 年7月 30 日まで
        に野村證券が入手した情報及び経済条件を反映したものとのことです。なお、野村證
        券の算定は、対象者の取締役会が対象者株式の株式価値を検討するための参考に資す
        ることを唯一の目的としているとのことです。
(c) 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
      対象者は、本取引における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題に対応し、
    本取引の公正性を担保することを目的として、2020 年4月 23 日開催の取締役会において、対
    象者社外取締役である近藤安正氏(監査等委員)及び当時対象者社外取締役であった川村滋氏
    (元監査等委員)、並びに、社外有識者である長谷川臣介氏(対象者買収防衛策独立委員会委
    員、公認会計士・税理士)の3名から構成される特別委員会を設置したとのことです。対象者
    取締役会は、社外有識者である長谷川臣介氏の選定に際し、長谷川臣介氏が、(i)対象者買
    収防衛策独立委員会委員を務めており、対象者の支配に関する基本方針について知見を有する
    こと、及び、(ii)本取引に類似する取引類型において独立委員としての豊富な経験を有する
    ことを考慮した上で決定したとのことです。川村滋氏は、2020 年6月 18 日開催の第 63 期定時
    株主総会終結の時をもって取締役を退任しておりますが、退任後も特別委員会委員としての職
    務を継続しているとのことです。また、特別委員会は、互選により、特別委員会の委員長とし
    て、近藤安正氏を選定しております。なお、特別委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかか
    わらず固定額を支払う報酬体系としているとのことです。
      対象者取締役会は、特別委員会設置の決定に際し、特別委員会に対し、(i)本公開買付け
    について対象者取締役会が賛同するべきか否か、及び、対象者株主に対して本公開買付けへの
    応募を推奨するべきか否かを検討し、対象者取締役会に勧告を行うこと、(ii)対象者取締役
    会における本公開買付けについての決定が、対象者の少数株主にとって不利益なものでないか
    を検討し、対象者取締役会に意見を述べること、また、対象者取締役会における本公開買付け
    後に予定されている対象者の完全子会社化の決定が、対象者の少数株主にとって不利益なもの
    でないかを検討し、対象者取締役会に意見を述べること、また、(i)の検討に際しては、①
    対象者の企業価値の向上に資するかという観点から、本公開買付けが合理性を有するものとい
    えるか検討・判断するとともに、②対象者の一般株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当
    性及び手続の公正性(本公開買付けのために講じられた公正性担保措置の内容を含む。)につ
    いて検討・判断するものとすること(以下これらを総称して「本諮問事項」といいます。)を
    諮問し、これらの点についての答申を対象者に提出することを嘱託したとのことです。さらに、
    対象者は、上記の取締役会において、取締役会における本公開買付けについての決定は、特別
    委員会の判断内容を最大限尊重して行うこととし、特別委員会が取引条件を妥当でないと判断
    した場合には本公開買付けに賛同しないことを決定するとともに、特別委員会に対し、(i)

                        18
 対象者と当社の間での公正な交渉状況を確保するべく、対象者が当社との間で行う交渉過程に
 関与すること、(ii)本取引のために講じるべき公正性担保措置の程度を検討し、必要に応じ
 て意見・提言すること、(iii)本諮問事項に関する答申を行うに際し、必要に応じ、自らの財
 務若しくは法務等のアドバイザーを選任すること(この場合の費用は対象者が負担するものと
 されております。)、又は対象者の財務若しくは法務等のアドバイザーを指名し、若しくは承
 認(事後承認を含みます。)すること、及び(iv)対象者の役職員から本公開買付けの検討及
 び判断に必要な情報を受領することの権限を付与する旨を決定したとのことです。これを受け
 て、特別委員会は、対象者が選任したリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所、
 フィナンシャル・アドバイザーである野村證券について、当社及び対象者からの独立性に問題
 がないことを確認し、それぞれ対象者のアドバイザーとして承認したとのことです。
   特別委員会は、2020 年5月 20 日より同年7月 30 日までの間に合計7回、合計約 12 時間に
 亘って開催され、本諮問事項についての協議及び検討を行ったとのことです。具体的には、本
 取引の目的、本取引に至る経緯、対象者の事業内容及び業績・財務状況及び事業計画について
 対象者から説明を受けるとともに、これらに関する質疑応答を行い、また、当社との交渉の各
 局面においては、対象者に対して意見表明や助言を行ったとのことです。さらに、特別委員会
 は、野村證券から、本取引の条件等についての交渉経緯及び対象者の株式価値算定についての
 説明を受けるとともに、森・濱田松本法律事務所から、本取引の手続面における公正性を担保
 するための措置並びに本取引に係る対象者の取締役会の意思決定の方法及び過程その他の利益
 相反を回避するための措置の内容について説明を受け、これらに関しても質疑応答を行ってい
 るとのことです。
   特別委員会は、以上の経緯で本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2020
 年7月 30 日付で、対象者取締役会に対し、本諮問事項につき大要以下を内容とする本答申書
 を提出したとのことです。
(i)答申内容
   (a)対象者取締役会は、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、対象者の
      株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議するべきであると考える。
   (b)対象者取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、対
      象者の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議することは、対象者
      の少数株主にとって不利益なものではないと考える。また、本公開買付け後に予定さ
      れている対象者の完全子会社化の決定は、対象者の少数株主にとって不利益なもので
      はないと考える。

(ii)答申理由
    (a)以下の点より、特別委員会は、対象者を取り巻く事業環境及び対象者の経営課題に照
       らし、対象者の企業価値の向上に資するかという観点から、本取引が合理性を有する
       と判断するに至った。
       ・ 対象者が過去において事業シナジーを模索するために行った資本政策の一環と位置
         付けられる主要株主の変遷を踏まえると、上記「1 .買付け等の目的」の「(2)
         本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本
         公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、
         目的及び意思決定の過程」に記載の当社及び対象者が有している対象者を取り巻く
         事業環境及び対象者の経営課題についての現状認識については、特別委員会も同様
         の認識を有しており、いわゆる買収防衛策の発動に抵触しないものと整理する中で
         本取引の検討が開始されたことについて、特別委員会として異存はない。
       ・ また、上記の事業環境及び経営課題を踏まえ、対象者経営陣からは、対象者と当社
         は、2019 年3月 20 日より資本業務提携契約を締結し、以降、独占禁止法に抵触し

                       19
     ない範囲で効果的な協業体制を構築すべく協議を進めてきたところ、両社が一体の
     事業主体として事業を行っているわけではない状況では、未発表の投資・開発計画、
     競合し得る製品や相互に関連しシナジーを生じ得る製品についての情報の交換に独
     占禁止法の観点からそれぞれ制約があり、本資本業務提携において企図していた低
     侵襲治療分野における両社の協業体制の構築を早期かつ効果的に推進することは難
     しいとの認識が示されている。そして、本取引が実現すれば、かかる制約なく当社
     との連携強化を加速することができ、特に両社が共通して研究開発を進めている血
     管内分野及び消化器分野においては、①両社が保有する医療機器製品の情報を従来
     以上に共有できるようになることによって、医療現場からの新たなニーズを把握す
     ることや医療機器製品の開発のノウハウを新たに取得することがより実現しやすく
     なる結果、対象者における次世代医療機器の開発の促進及び効率化並びに承認取
     得・販売開始までの期間短縮化が可能になり、②当社が保有するポリマー分析・評
     価技術の応用、及び当社の研究開発人員・設備・管理体制等の機能の提供を受ける
     ことにより、既存製品への技術の展開及び技術を応用した新規開発テーマ創出の可
     能性が拡がり、対象者の医療機器の開発が一層促進されるとの認識が示されている。
     これらに加え、対象者経営陣からは、上記「1 .買付け等の目的」の「(2)本公
     開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開
     買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的
     及び意思決定の過程」に記載の各シナジーの創出が可能になるとの認識を示されて
     いる。
   ・ 特別委員会としても、このような対象者経営陣の説明は対象者を取り巻く事業環境
     及び対象者の経営課題を前提としたもので、いずれも一定の合理性があり、本取引
     は、かかるシナジーを創出・発現するために採り得る選択肢と思われる。
(b)以下の点より、特別委員会は、対象者の一般株主の利益を図る観点から、本取引の取
   引条件の妥当性は確保されていると判断するに至った。
   ・ 野村證券作成の対象者株式価値算定書における算定手法である市場株価平均法、類
     似会社比較法及びDCF法は、現在の評価実務に照らして一般的、合理的な手法で
     あると考えられ、また、類似会社比較法における類似会社の選定理由及びDCF法
     における割引率等の根拠に関する説明も合理的であって、その算定内容は現在の実
     務に照らして妥当なものであると考えられる。また、DCF法の算定の前提となっ
     ている対象者の事業計画の作成経緯及び対象者の現状に照らして、当該事業計画の
     採用は不合理なものではないと考えられる。当該対象者株式価値算定書における対
     象者株式の株式価値評価に照らして、本公開買付価格は、市場株価平均法の算定結
     果の上限値及び類似会社比較法の算定結果の中央値を超え、かつ、DCF法の算定
     結果の範囲内にある。
   ・ 市場株価に対する本公開買付価格のプレミアム水準は、連結子会社又は持分法適用
     関連会社の完全子会社化を目的とした他の公開買付けの事例におけるプレミアム水
     準に照らして高い水準と認められる。
   ・ 特別委員会は、早期から交渉方針等の説明を受けた上で、公開買付価格が対象者の
     一般株主に不利益を与える価格とならぬよう議論を複数回に亘って行い、当該議論
     の結果を当社との交渉方針に反映し、当社との交渉は特別委員会において決定され
     た当該交渉方針の下、その指示に従って行われている。そして、かかる交渉を行っ
     たことを通じて、結果として、計3回、当初提案から 36%(450 円)の価格の引き
     上げを実現している。
   ・ ①当社が新型コロナウイルスの感染拡大により不確実性の増している現在の状況を
     殊更に利用して本取引を打診したとは認め難いことや、②新型コロナウイルスの世

                  20
     界的な感染拡大を契機とする市場株価の状況には左右されない対象者の本源的価値
     を前提として当社と協議・交渉するという方針の下で合意された本公開買付価格で
     あること等を考慮すれば、新型コロナウイルスの感染拡大による一定の混乱が見受
     けられる現在の状況を踏まえても、この時期に本取引を行うことが不合理であると
     は考えられない。
   ・ その他本公開買付価格の決定プロセスの公正性を疑わせるような具体的事情は存在
     しないと認められる。
   ・ 一段階目として公開買付けを行い、二段階目として株式等売渡請求又は株式併合を
     行うという方法は、完全子会社化の取引においては一般的に採用されている方法で
     あり、本取引の方法に不合理な点は認められない。
(c)以下の点より、特別委員会は、対象者の一般株主の利益を図る観点から、本取引の手
   続には公正性が認められると判断するに至った。
   ・ 対象者取締役会は、当社及び対象者から独立した特別委員会を設置している。
   ・ 特別委員会が、対象者や野村證券に対して、重要な局面で意見を述べ、指示や要請
     を行うことで当社との交渉は進められていた。
   ・ 対象者は対象者における独立したリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律
     事務所から法的助言を受けている。
   ・ 対象者は対象者における独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機
     関である野村證券から対象者株式価値算定書を取得している。
   ・ 対象者は、当社グループ各社の役職員を兼務している対象者の役職員のみならず、
     過去に当社グループ各社の役職員としての地位を有していた対象者の役職員が、対
     象者と当社との間の本取引に係る取引条件に関する協議・交渉過程、及び本事業計
     画の作成過程に関与しない体制を構築している。
   ・ 対象者の取締役のうち、当社の取締役を兼務している小林孝氏を 2020 年2月6日開
     催の取締役会以降、本取引に関する取締役会の審議及び決議(非公式の報告等を含
     む。)には参加させておらず、2020 年7月 31 日に開催予定の取締役会においても
     本取引に関する審議及び決議には参加させない予定であり、さらに、小林孝氏を対
     象者の立場で、本取引に係る協議及び交渉に参加させていない。
   ・ 公開買付期間が法令に定められた最短期間(20 営業日)よりも長期(40 営業日)に
     設定されるとともに、対象者は、当社との間で、対象者が当社以外の対抗的買収提
     案者と接触することを制限するような合意は一切行っておらず、いわゆる間接的な
     マーケット・チェックが行われていると認められる。
   ・ 本公開買付けでは、マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)を達
     成する買付予定数の下限が設定されており、対象者の少数株主の意思が重視されて
     いる。
   ・ 適切な情報開示がなされる予定である。
   ・ 本取引については強圧性の問題が生じないように配慮のうえ、スクイーズアウト手
     続の適法性も確保されているといえる。
   ・ その他本取引に係る協議、検討及び交渉の過程において、対象者が当社より不当な
     影響を受けたことを推認させる事実は認められない。
(d)以上から、対象者取締役会は、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、
   対象者の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議するべきであると
   考える。
(e)また、対象者取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するととも
   に、対象者の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議することは、
   対象者の少数株主にとって不利益なものではないと考える。さらに、本公開買付けが

                     21
        成立した後における当社による対象者の完全子会社化は、対象者の少数株主にとって
        不利益なものではないと考える。
(d) 対象者における独立した法律事務所からの助言
      対象者は、対象者取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、リーガル・
    アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、特別委員会の委員の選定方法、本公開
    買付け及びその後の一連の手続に対する対象者取締役会の意思決定の方法及び過程その他の意
    思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けているとのことです。なお、森・濱田松本
    法律事務所は、当社及び対象者から独立しており、当社及び対象者との間に重要な利害関係を
    有していないとのことです。
(e) 対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認
      対象者は、森・濱田松本法律事務所から得た法的助言、野村證券から受けた財務的見地か
     らの助言、対象者株式価値算定書の内容、特別委員会から入手した本答申書の内容、当社と
     の間で実施した複数回に亘る継続的な協議の内容及びその他の関連資料を踏まえ、当社によ
     る本公開買付けに関する諸条件の内容について慎重に協議・検討を行った結果、上記「1 .
     買付け等の目的」の「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決
     定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定するに
     至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、本日開催の対象者取締役会におい
     て、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、対象者株式について本公開買付
     けに応募することを推奨することを決議したとのことです。
      上記の対象者取締役会においては、対象者の取締役 11 名のうち、小林孝氏を除く 10 名が審
     議及び決議に参加し、決議に参加した取締役全員(監査等委員を含む。)の一致により、本
     公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対し本公開買付けへの
     応募を推奨することを決議したとのことです。
     なお、対象者の取締役である小林孝氏は、当社の取締役常務執行役員を兼務しているため、
    本取引における構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除する観点
    から、上記の取締役会を含む本取引に係る取締役会の審議及び決議には参加しておらず、かつ、
    対象者の立場で本取引の協議及び交渉に参加していないとのことです。
(f) 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
      当社は、対象者との間で、対象者が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取
     引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が対象者との間で接触することを制限する
     ような内容の合意を行っておりません。
      また、当社は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間が 20 営業日であるとこ
     ろ、比較的長期間である 40 営業日としております。当社は、公開買付期間を比較的長期に設
     定することにより、対象者の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機
     会を確保しつつ、当社以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、もって本公開買
     付価格の適正性も担保することを企図しております。
(g) マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)を達成する買付予定数の下限の設定
      当社は、本公開買付けにおいて、買付予定数の下限を設定しており、応募株券等の総数が
     買付予定数の下限(9,015,900 株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行い
     ません。他方、本公開買付けにおいて、当社は、買付予定数の上限を設定しておりませんの
     で、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行
     います。
      なお、買付予定数の下限である 9,015,900 株は、対象者決算短信に記載された 2020 年6月 30
     日現在の対象者の発行済株式総数(22,948,003 株)より、対象者決算短信に記載された同日現
     在対象者が所有する自己株式数(2,279,844 株)を控除した株式数(20,668,159 株)に係る議決
     権の数(206,681 個)に3分の2を乗じた数(137,788 個、小数点以下を切り上げ)から、当社

                           22
       が本日現在所有する対象者株式数(4,762,980 株)に係る議決権の数(47,629 個)を控除した
       議決権の数(90,159 個)に相当する対象者株式数(9,015,900 株)としております。
         また、買付予定数の下限は、対象者決算短信に記載された対象者の発行済株式総数
       (22,948,003 株)より、対象者決算短信に記載された同日現在対象者が所有する自己株式数
       (2,279,844 株)、当社が本日現在所有する対象者株式数(4,762,980 株)を控除した株式数
       (15,905,179 株)に係る議決権の数(159,051 個)の過半数に相当する数(79,526 個)に相当す
       る対象者株式数(7,952,600 株、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of
       minority)」に相当する株式数)を上回るものとなります。
       このように、当社は、当社と利害関係を有さない対象者の株主から過半数の賛同が得られない
      場合には、本公開買付けを含む本取引を行わないこととし、対象者の株主の意思を重視した買付
      予定数の下限の設定を行っております。

  ③ 算定機関との関係
   当社のフィナンシャル・アドバイザーである大和証券は、当社及び対象者の関連当事者には該当せ
  ず、本公開買付に関して重要な利害関係を有しません。


(5)買付予定の株券等の数
     買付予定数                買付予定数の下限                   買付予定数の上限

          15,905,179(株)               9,015,900(株)          ―(株)

  (注1)応募株券等の総数が買付予定数の下限(9,015,900 株)に満たない場合は、応募株券等の全部
      の買付け等を行いません。応募株券等の総数が買付予定数の下限(9,015,900 株)以上の場合
      は、応募株券等の全部の買付け等を行います。
  (注2)本公開買付けにおいては、買付予定数の上限を設定しておりませんので、買付予定数は本公
      開買付けにより当社が取得する対象者株券等の最大数である対象者株式数(15,905,179 株)を
      記載しております。買付予定数は、対象者決算短信に記載された 2020 年6月 30 日現在の発行
      済株式総数(22,948,003 株)から、本日現在の当社が所有する株式数(4,762,980 株)及び対
      象者決算短信に記載された 2020 年6月 30 日現在の対象者が所有する自己株式数(2,279,844
      株)を控除したものになります。
  (注3)単元未満株式も本公開買付けの対象としております。なお、会社法に従って対象者の株主に
      よる単元未満株式買取請求権が行使された場合には、対象者は法令の手続に従い、公開買付
      期間中に自己の株式を買い取ることがあります。
  (注4)本公開買付けを通じて、対象者が所有する自己株式を取得する予定はありません。


(6)買付け等による株券等所有割合の異動
買付け等前における公開買付者
                    47,629個           (買付け等前における株券等所有割合23.04%)
の所有株券等に係る議決権の数
買付け等前における特別関係者
                     1,296個           (買付け等前における株券等所有割合0.63%)
の所有株券等に係る議決権の数
買付け等後における公開買付者
                   206,680個           (買付け等後における株券等所有割合100.00%)
の所有株券等に係る議決権の数
買付け等後における特別関係者
                         0個           (買付け等後における株券等所有割合0.00%)
の所有株券等に係る議決権の数

対象者の総株主の議決権の数             206,572個

  (注1)「 買付け等後における公開買付者の所有株券等に係る議決権の数」は、本公開買付けにおけ
      る買付予定数に係る議決権の数に、「買付け等前における公開買付者の所有株券等に係る議

                                 23
      決権の数」を加えた議決権の数を記載しております。
  (注2)「 買付け等前における特別関係者の所有株券等に係る議決権の数」は、各特別関係者(但し、
      特別関係者のうち法第 27 条の2第1項各号における株券等所有割合の計算において発行者以
      外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成2年大蔵省令第 38 号。その
      後の改正を含みます。以下「府令」といいます。) 第3条第2項第1号に基づき特別関係者
      から除外される者を除きます。)が所有する株券等に係る議決権の数の合計を記載しており
      ます。なお、特別関係者の所有株券等(但し、対象者が所有する自己株式を除きます。)も
      本公開買付けの対象としているため、「買付け等後における特別関係者の所有株券等に係る
      議決権の数」を 0 個と記載しております。また、公開買付者は、今後、特別関係者の所有す
      る対象者の株券等を確認の上、訂正が必要な場合には、速やかに訂正した内容を開示いたし
      ます。
  (注3)「 対象者の総株主の議決権の数」は、対象者が 2020 年6月 18 日に提出した第 63 期有価証券
      報告書に記載された 2020 年3月 31 日現在の総株主の議決権の数(1単元の株式数を 100 株と
      して記載されたもの)です。但し、単元未満株式も本公開買付けの対象としているため、
      「買付け等前における株券等所有割合」及び「買付け等後における株券等所有割合」の計算
      に お い て は 、 対 象 者 決 算 短 信 に 記 載 さ れ た 2020 年 6 月 30 日 現 在 の 発 行 済 株 式 総 数
      (22,948,003 株)から、対象者決算短信に記載された同日現在の対象者が所有する自己株式数
      (2,279,844 株)を控除した株式数(20,668,159 株)に係る議決権の数(206,681 個)を「対象
      者の総株主の議決権の数」として計算しております。
  (注4)「買付け等前における株券等所有割合」及び「買付け等後における株券等所有割合」につい
      ては、小数点以下第三位を四捨五入しております。


(7)買付代金     27,038,804,300円
  (注)「買付代金」は、本公開買付けの買付予定数(15,905,179株)に本公開買付価格(1,700円)を
     乗じた金額です。


(8)決済の方法
  ① 買付け等の決済をする金融商品取引業者・銀行等の名称及び本店の所在地
   大和証券株式会社     東京都千代田区丸の内