4202 ダイセル 2020-06-08 11:00:00
新中期戦略『Accelerate 2025』 [pdf]
中期戦略
2 0 2 0 年 6 月8 日
はじめに
新型コロナウイルスへの対応
世界規模で拡大した新型コロナウイルス感染症は、一過性の現象ではなく、
今後、人々の生活様式や企業活動にも大きな変化を起こすものと考えています
こうした環境の激変に対して、以下の観点から対策を講じるとともに、
状況の進捗に応じて、経営戦略もフレキシブルに改定していきます
(1)新型コロナウイルス対策への貢献
(2)景気低迷に対する足元固め
(3)ウィズコロナへの対応
中期戦略策定について
新型コロナウイルス感染症の収束後に訪れる変化に対しても、本中期戦略の方向
性は合致していると認識しております
したがって、現時点で中期戦略の骨格について発表し、今後新型コロナウイルス
感染症の影響などの状況を見極めながら、経営目標について随時見直しを行って
まいります
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全体構成
1. 長期ビジョン「DAICEL VISION 4.0」
(抜粋)
2. 全 社 戦 略
3. 事 業 戦 略
4. 機能別戦略
5. 経 営 目 標
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長 期 ビ ジ ョ ン( 抜 粋 )
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めざすこと
Sustainable Product 社会と人々の幸せに貢献する
幸せを追求する
・ニーズは、お客様と一緒に創造
・自社の製品にこだわらず、良いモノは他社の製品でも提供
・みんなが営業!ダ!
Sustainable Process 地球や人にやさしい方法で実現する
会社、工場の枠組みを取り払う
Sustainable People ・バリューチェーン追求による新全体最適企業集団を築く
・水平統合の模索を提案し、クロスバリューチェーンを完成
バイオマスプロダクトツリーの構築
・天然由来原料から自然回帰製品まで
エネルギーオフセットプロセス
Sustainable People 働く人がやりがいを実感できる
大胆な権限移譲
・変革のリーダーは大胆な権限移譲と抜擢で発掘する
・とんがったプロは他流試合で鍛える
・過去の制度との決別
小さなコーポレート
・最終的に社内ファンド機能のみ
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実現のためのオペレーション
Operation -Ⅰ 原ダイセル
(OP-Ⅰ) (現状の事業に加え注力するドメインを含めた領域)
• 事業構造の転換
(事業の選択と集中⇒価値提供型組織へシフト)
• アセットライト化
• OP-Ⅱ/Ⅲの成長を加速させる構造改革
Operation -Ⅱ 新ダイセル
(OP-Ⅱ) (既存事業の周辺領域でM&Aや提携による領域拡大)
• 事業再編、既存JVの抜本的見直し
• アセットスーパーライト化
• OP-Ⅲが狙える高付加価値企業
Operation -Ⅲ 新企業集団
(OP-Ⅲ) (垂直統合型のサプライチェーンに水平方向の統合を
視野に入れたクロスバリューチェーン)
• M&Aにこだわらず、多様なつながりでNo.1サプライチェーンを構築
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本中期戦略の位置づけ
本中期戦略は、原ダイセル(OP-Ⅰ)、
新ダイセル(OP-Ⅱ)の実行と新企業集団(OP-Ⅲ)の実行準備を
同時に進めるフェーズであり、経営目標は OP-Ⅰを示す
新企業集団(OP-Ⅲ)
成 中期戦略
●クロスバリューチェーン
長
&
企 新ダイセル(OP-Ⅱ)
業 ●事業の再編、既存JVの抜本的見直し
価
値 原ダイセル(OP-Ⅰ)
●事業構造の改革
経営目標
2020年度
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全社戦略
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全体像
会社、工場の枠組みを超えたサプライチェーン全体での共存共栄
全社戦略 事業戦略 機能別戦略
・クロスバリューチェーン ・価値提供型 ・R
(研究) (開発)
とD の自立
実現に向けた取り組み 「健康」「安全・安心」 ・M&Aの積極推進
・ポートフォリオ 「便利・快適」「環境」
・バーチャルカンパニー
マネジメント 分野に注力
の設定
・素材提供型
技術・製品・テクニカル ・デジタルアーキテクチャ
サービスを活かし の展開
価値提供型へシフト
Accelerate 2025 経営目標
ROIC 10%以上、EBITDA1,000億円以上、営業利益 最高益更新
重点指標 ROE≧ROIC≧ROA>WACC
(注) ROE:自己資本利益率 ROIC:投下資本利益率 ROA:総資産利益率 WACC:加重平均資本コスト
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クロスバリューチェーン実現に向けた取り組み
サプライチェーンの垂直/水平方向との連携(クロスバリューチェーン)
「チェーンが一体」となり、市場に対して個々ではなく企業集団で競争力を高め、
より社会に価値あるモノを持続的に提供することを目指す
今中期戦略で注力すること
新企業集団を見据え、組織変更に対し柔軟に組み替え可能なデジタルアーキテクチャを構築
複数の事業を自在に組み合わせて仮想の会社を形成(バーチャルカンパニー)
バーチャルカンパニーでPL、BSをリアルタイムに把握し、アセットライト化&収益力を強化
ク
サプライヤー ロ サプライヤー
ス 新企業集団
ダイセル バ ダイセル
<調達>
事業 <生産>
リ 垂 事業
<物流> ュ 直
ー グループ 連
<販売>
企業 事業 同業他社
チ 携
事業 ェ 事業 事業
ー 水平連携
ン 価値
へ
ユーザー ユーザー
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事業ポートフォリオ
「健康」「安全・安心」「便利・快適」「環境」における価値提供型事業へシフト
・ ・ ・
従来の68事業を33事業に集約
次世代育成 成長牽引
◆ 化粧品原料 ◆ 医薬品受託開発 製造
・ ◆ 電子材料用溶剤 ◆ POM
◆ 健康食品 ◆ 高機能光学フィルム ◆ インフレータ ◆ PPS
◆ 分析サービス ◆ レジスト用ポリマー ◆ カプロラクトン ◆ LCP
◆ キラル試薬 ◆ レンズモジュール等 ◆ 脂環式エポキシ類 ◆ COC
◆ ゲノミクス関連製品 ◆ 民生用火工品
改革事業 基盤事業
◆ 繊維用セルロース ◆ キラルカラム ◆ PBT
◆ 樹脂コンパウンド・アセチ等 ◆ TAC ◆ 食品包装フィルム
◆ OPSシート ◆ アセテート トウ
・ ◆ CMC
◆ 容器成型 ◆ 酢酸及び誘導体 ◆ 化成品等
◆ ケテン誘導体 アミン類
・ ◆ メンブレン製品
◆ 高発泡プラスチック
・業界成長、 競争環境、売上高成長、営業利益率をベースに、事業特性等の要素も加味して位置づけ
・ROIC、売上高成長率等を使って事業を評価
メディカル・ヘルスケア スマート セイフティ マテリアル エンジニアリングプラスチック その他
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事業戦略
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ヘルスケアSBU
次世代育成 ありたい姿
ヘルスケア分野において特徴ある素材 技術で
・
美と健康に貢献し続ける
主要施策
コスメBU:
主力製品
化粧品市場で更なる存在感のあるプレイヤーへ
【コスメBU】
1,3‐ブチレングリコール(1,3BG) ■1,3BGの生産拠点複数化による安定供給と世界No.1品質維持
ポリグリセリン誘導体 ■スキンケア素材のラインアップ拡充
増粘剤 ■川下事業への展開
【健康食品BU】 ■環境に配慮したセルロース系微粒子の市場展開
エクオール
セラミド 健康食品BU:
健康食品(通販)
独自素材/エビデンスに強みを持つプレイヤーへ
■エクオールの増産及び腸内代謝物の製品拡充
SDGs ■腸内フローラに注目した素材やサービスの導入
■アップサイクル素材による製品展開
■通販事業の強化
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メディカルSBU
次世代育成 ありたい姿
基盤事業
キラルを中心とする低分子から、成長市場の中 高分子/
・
バイオ製薬市場でソリューションを提供し続ける
主要施策
AT BU:キラル事業を軸に分離 分析市場で新たな価値提供へ
・
主力製品 ■既存キラルカラム市場のトップシェアを維持
【Analytical Tools(AT) BU】 ■ペプチド等の中分子に対するアプリケーション開発と新製品上市
キラル・アキラル用カラム/充填剤 ■ファーマ・メディカル市場を対象にした新規分析ツールの獲得
新規分析ツール
PS BU:
【Pharma Service(PS) BU】
分析サービス 製薬市場での開発を加速させるサービスを提供する事業へ
【Specialty chemical SC ) BU】
( ■他BUとのシナジーによる革新的な統合サービスの開発
キラル試薬 ■分析・精製サービスのバイオ製薬市場への展開
不純物精製標品 ■中印の成長市場における事業拡大
【Biotech(BT ) BU】 SC BU:医薬品開発用試薬 標品のグローバルサプライヤーへ
・
バイオ創薬市場 ■試薬・標品のラインナップ拡張と中印の立地を生かした低コスト製造
アグリバイオ市場
■オリゴ核酸、バイオテック市場向け製品開発とマーケティングの展開
■グローバル物流プラットフォームの整備
SDGs
BT BU:診断市場を中心に製品 サービスを提供する事業へ
・
■アグリバイオ向け製品ラインナップの拡張
■診断分野および細胞・遺伝子治療用の製品、サービスの獲得
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スマートSBU
次世代育成 ありたい姿
成長牽引
快適なスマート社会に必要な技術 製品で、
・
基盤事業
ソリューションを提供し続ける
主要施策
ディスプレイBU:
主力製品
多様化するディスプレイ市場に応えるプレイヤーへ
【ディスプレイBU】
トリアセチルセルロース(TAC) ■見やすく、傷つかない、高性能ディスプレイ材料の提供
車載用・電材用/表面・離型フィルム ■大型ディスプレイの高機能化を支える天然由来材料の拡充
【IC/半導体BU】
電子材料用溶剤 IC/半導体BU:
レジスト用ポリマー 高度化する半導体プロセスを支えるサプライヤーへ
半導体プロセス洗浄剤
■先端レジスト材料・超高純度溶剤のラインナップ拡充
【センシングBU】
■半導体プロセス用材料の新規開発、上市
レンズモジュール
銀ナノインク
有機半導体デバイス センシングBU:
可視化技術の新たなパイオニアへ
SDGs ■撮像および光源レンズの一体提案で差別化
■有機半導体の省電力フィルムセンサを社会実証、実装化
■社外研究機関等との共創による事業領域拡大
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セイフティSBU
次世代育成 ありたい姿
成長牽引
火工技術と自動車安全領域で培ったノウハウを土台に
新たな安全安心を社会に提供し続ける
主要施策
モビリティBU:
主力製品
次世代モビリティの安全・安心を支える新たな価値提供へ
【モビリティBU】
■競争力強化のための徹底した生産性の向上
インフレータ
モビリティ向け合成樹脂 ■製品カタログ化及び海外拠点効率化による収益改善
【インダストリーBU】 ■モジュールメーカーとの協業強化による
イニシエータ/PGG 欧米及びインドOEMへの拡販
パイロヒューズ ■次世代技術の取り込み
非モビリティ向け安全デバイス
インダストリーBU:
火工技術で創造する安全安心を更に広い領域へ
■グローバルイニシエータ戦略の再設計と確実な実行
■PGGの設計戦略・協業による拡販
SDGs ■欧州マーケティング強化によるパイロデバイスの拡販
■パイロデバイスの新規用途開発
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マテリアルSBU
成長牽引 ありたい姿
基盤事業
ダイセルの原点である素材事業で培った技術で地球規模の
改革必須
ニーズに多様なソリューションを提供し続ける
主要施策
アセチルBU:
主力製品
素材の力で世界中の人々のより豊かな生活を実現へ
【アセチルBU】
酢酸及び酢酸誘導体 ■既存事業の収益力と競争力の強化
アセテートトウ ■グローバルテクニカルサポート力の強化・充実
酢酸セルロース ■市場変化にフレキシブルに適応したサプライチェーンの強化
【ケミカル】 ■環境プラを中心とする新しいセルロース事業の実現
脂環式エポキシ類
カプロラクトン ケミカルBU:
アルキルアミン類
ケテン誘導品
社会変化に適応したモノづくりによる
ソリューションを世界へ
SDGs ■脂環式エポキシの生産拠点複数化
■品質差別化による高付加価値用途への展開
■アライアンス推進によるグローバル体制の強化
■高機能製品のラインナップ拡充
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エンジニアリングプラスチックセグメント
成長牽引 ありたい姿
基盤事業
持続可能な社会に向けてエンプラをはじめとする
改革必須
素材の力でソリューションを提供し続ける
主要施策
ポリプラスチックス:
主力製品
世界に認められるエンプラNo.1のSolution Providerへ
【ポリプラスチックス】
ポリアセタール樹脂 ■新規事業創出
ポリブチレンテレフタレート樹脂 ■グローバルテクニカルソリューション体制の強化
ポリフェニレンサルファイド樹脂 ■プレミアム市場シェアを拡大する高品質・高付加価値材料開発
液晶ポリマー ■市場規模拡大に向けた供給安定化と技術革新
シクロオレフィンコポリマー
■グローバルサプライ体制強化
【ダイセルミライズ】
CMC 有機製品
ダイセルミライズ:
樹脂製品 家庭用品
樹脂 化成品 ライフ分野で社会 顧客ニーズを解決へ
・ ・ ・
SDGs ■LIB市場を主体にCMC事業の更なる拡大
■環境対応型樹脂上市に向けたコンパウンド技術の確立と製品開発
■海外ネットワーク活用による各種製品のグローバル展開
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機能別戦略
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事業創出力
技術・知的財産
Proactive IPで事業を強く
事業を創出するキープロセスのアンテナ
市場から技術・事業の方向性を解析
IPランドスケープ
Research Development
ユーザー目線で 事業化力を磨く
シーズを掘り起こす お客様とニーズ具現、
未来社会課題からの要求の実用化 必要な技術獲得、開発の加速
有機と無機の融合 みんなが営業 ダ
! !
バイオマスプロダクトツリー 新たな評価解析技術、バーチャルラボ
他社との協業 M&A
・
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新規事業の取り組み
健康 便 利・快 適
腸内フローラを応用した素材とサービス ウェハーレベル光学レンズ
バイオ医薬品/診断薬の製品とサービス 省電力フィルムセンサー
蛍光機能を有するナノ材料 プリンテッドエレクトロニクス用材料
バイオマスプロダクトツリー
高信頼性瞬発パイロヒューズ
生分解性樹脂・新規水処理膜
無給電パイロデバイス 摩擦を制御する省エネルギー技術
安 全・安 心 環境
【動物実験用新規投与デバイス】 【ナノダイヤモンド】
アクトランザ™ラボ DINNOVARE™
(ディノベア)
遺伝子などの高分子物質を 摩擦界面制御により
細胞内へ効率的に 金属フリーで省エネルギー
デリバリー 駆動を実現
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プロダクション
現場の力を結集し、バーチャルカンパニーで
パートナーに価値を提供する
安全・品質のあくなき追求 究極のアセットライト
ミスしない / ミスしても大事に至らない リードタイム短縮
●予防処置の徹底 ●事後処置の強化 ●在庫レスの追求 ●究極の要員体制
環境、安全と健康の 作業負荷の極少化
クライシスアセスメント 切替・段替性能向上
総合アセスメント 多能工・多技能工化
●現場管理の改革 ●エネルギーオフセット
障がい者目線で
発生量、使用量収支±ゼロ
現場再構築
BU毎のバーチャルファクトリー 現場活躍の基盤 技術・技能強化
●情報基盤 ●人財基盤
フィールド
在庫管理
業務変革
プロダクション ノウハウの顕在化
トレーサビリティ
アーキテクチャ 要素技術の活用
管理会計 体験型教育
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デジタルトランスフォーメーション
働き方改革
クロスバリューチェーンの実現にむけて
バーチャルカンパニーがwin-winとなる意思決定支援
AIを活用した次世代生産革新の実現
新事業創出加速 バーチャルカンパニーの実現
市場・顧客・知財情報のアンテナ 垂直/水平統合など柔軟に
機能強化と技術の融合 組み替え統合が可能な共通仕様
CRM、IPランドスケープ、 デジタルアーキテクチャ展開
バーチャルラボの構築 (ダイセル式生産革新、業務革新)
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変 え る!変 わ る!人 事
多様な社員が存在感と達成感を味わいながら成長
キャリア
部下の成長が スペシャリティを磨き
自らの成長 会社と共に 得意領域で輝く
描く
大胆な権限移譲 グループを牽引
抜擢人事 するリーダー
働く人の 幸せ
挑戦を後押しし Sustainable 全員が
成果を称賛する People イキイキ働ける
制度 多様性
頑張った人が お互いを
Simple 報われる 尊重する 各国のCulture
リージョン毎の
& Flexible を大切にする
最適な制度確立
「人間中心の経営」を守る
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経営目標
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経営目標
2025年度
ターゲット
2019年度 ROIC 10.0%
実績
EBITDA
ROIC 4.1% 1,000億円超
営業利益
830 最高益更新
605
512
471
296
175
2018 2019 2020 2025
単位:億円 営業利益 EBITDA
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資本政策、株主還元
基本方針
資産効率の最大化と最適資本構成の実現
( ROE ≧ ROIC ≧ ROA > WACC )
資金調達力維持のための健全性確保
安定的かつ連結業績を反映した配当
これら方針に沿い、利益配分を決定いたします
自己株式取得につきましても、配当を補完する
株主還元策として機動的に実施してまいります
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予測に関する注意事項
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のではありません。本資料(業績計画を含む)は、現時点で入手可能な信頼できる
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